説明

ワイヤレスアンテナモジュール及びその製造方法

【課題】外観上の美観を損なわないワイヤレスアンテナモジュール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ワイヤレスアンテナモジュールは、樹脂製の筐体と、前記筐体の表面側に設けられ、アンテナとして機能する導電層と、前記導電層の一部の上に、前記導電層の表面と面一となるように設けられた天板と、前記筐体の背面側に設けられ、前記筐体内部を通して前記導電層と電気的に接続された導通端子と、を備え、前記筐体の背面側の前記導通端子は、前記筐体の表面側の前記天板に対向する位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で電力供給又は通信を行うために携帯端末に設けるワイヤレスアンテナモジュール及びその製造方法に関する。特に、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュール又はワイヤレス通信用アンテナモジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯型ゲーム機、デジタルオーディオ機器等の携帯端末への充電には、通常、携帯端末の筐体に露出させた電極と直接接触させる接触型の充電台、又は、携帯端末の筐体表面には電極が露出していない非接触型の充電台が用いられる。現在、後者の非接触型の充電台における充電方法として、電磁誘導方式が広く採用されている(例えば、特許文献1参照。)。電磁誘導方式では、受電用のアンテナコイルを例えば、携帯端末内に組み込んでおき、送電用のアンテナコイルから受電用のアンテナコイルに伝送される電力を携帯端末内の2次電池へ充電している。この場合、近年さらに小型化する携帯端末に、いかに省スペースで受電アンテナコイルを組み込むかが問題となる。
【0003】
そこで、携帯端末の筐体または電池パックに、アンテナコイルをインサート成形して製造することは有効な手段である。特に、筐体にアンテナコイルをインサート成形により埋め込む場合、接点の取り出し方法が構造上問題となる。これに対して、携帯端末の筐体前面のアンテナコイルに対して非接触の電極を筐体背面に設け、受電用の筐体前面に設けられたアンテナコイルに伝送された電力を筐体背面の電極に非接触で伝送する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、上述のように、現在、携帯端末への非接触型の充電方法としては、電磁誘導方式による電力伝送が主流であるが、さらに、新しい技術として電界結合方式による電力伝送が検討されている(例えば、特許文献3参照。)。この電界結合方式では、電磁誘導方式と異なる点として、送受電アンテナの形状をコイル形状とする必要がないという利点がある。このため、銅などの導電体をベタ塗り(パターンなし)した状態でアンテナとして使用することができ、またITOやFTO等の透明電極をアンテナとして用いることも可能である。
【0005】
一方、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯型ゲーム機、デジタルオーディオ機器等の小型化する携帯端末に、いかに省スペースでワイヤレス通信用アンテナを組み込むかが問題となっている。そこで携帯端末の筐体にワイヤレス通信用アンテナをインサート成形し製造することは有効な手段である。特に、筐体にパターンを有するワイヤレス通信用アンテナをインサート成形により埋め込む場合、接点の取り出し方法が構造上問題となる。例えば、携帯電話等の移動通信端末にワイヤレス通信用アンテナを二重成形によって通信端末機のプラスチックケース内にインサート成形する方法が知られている(例えば、特許文献4参照。)。この場合、筐体背面からの信号取り出しは、あらかじめアンテナの厚み方向に延在する突起部を形成し、背面からの信号取り出しを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−300398号公報
【特許文献2】国際出願公開第2007/094494パンフレット
【特許文献3】特表2009−531009号公報
【特許文献4】特開2010−206792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献3に記載のような電界結合方式によるワイヤレス電力伝送では、非接触の充電器と携帯端末にそれぞれアクティブ電極およびパッシブ電極を備え、充電器の送電モジュールと携帯端末の受電モジュールのアクティブ電極同士の間に生じる容量および送電モジュールと受電モジュールのパッシブ電極同士の間に生じる容量で送電モジュールと受電モジュールとが結合する。電力伝送効率を高くするためには、電極間の容量値が大きいことが重要なファクタになっている。この電力伝送効率は、送受電モジュール間でのそれぞれのアンテナのパッシブ電極同士およびアクティブ電極同士の距離の影響を受けるため、送受電側のいずれにおいてもアンテナはできるだけ送電モジュール及び受電モジュールの表面側に配置されていることが望ましい。
【0008】
また、携帯端末内において、表面側に設けたアンテナからの電力取り出しのための接点をどのように設けるかに関しても構造上の制約を受ける。例えば、アンテナモジュールの筐体表面側からアンテナと接続する電極を設けた場合、外観上の美観を損なう。また、特許文献2に記載のように、表面側のアンテナに対して、筐体背面側に非接触形式で接点を設け、電力を取り出す場合には、非接触形式での電界結合方式での電力伝送が2段階になる。特に、携帯端末の表面側のアンテナと背面側の非接触の接点との間では筐体の厚さにわたる電界結合方式の電力伝送となるため、高い伝送効率が得られない。
【0009】
さらに、携帯端末内において、表面側に設けたアンテナからの信号取り出しのための接点をどのように設けるかに関しても構造上の制約を受ける。例えば、アンテナモジュールの筐体表面側からアンテナと接続する電極を設けた場合、外観上の美観を損なう。また、特許文献4に記載のように、二重成形を行ったのでは非効率になる。
【0010】
本発明の目的は、外観上の美観を損なわないワイヤレスアンテナモジュール及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法は、
成型時の表面側を形成するための第1の射出成形金型を用意するステップと、
前記第1の射出成形金型の内面に、成型時の表面の一部を構成する天板を配置するステップと、
前記天板の上に第1の導電層を設けるステップと、
前記第1の射出成形金型と組み合わせて一対となる第2の射出成形金型であって、前記天板と対向する箇所に圧着ピンを挿通する貫通孔を有する第2の射出成形金型を用意するステップと、
前記第1の射出成形金型内面に設けられた前記天板と対向するように、前記第2の射出成形金型の前記貫通孔に圧着ピンを挿通するステップと、
前記第2の射出成形金型に、前記天板と対向する位置であって、前記圧着ピンの近傍に導通端子を配置するステップと、
前記圧着ピンと前記導通端子との前記天板と対向する面に第2の導電層を設けるステップと、
前記第1の射出成形金型側の前記天板上の前記第1の導電層に対して、前記第2の射出成形金型側の前記圧着ピン及び前記導通端子の面に設けた前記第2の導電層を圧着させるように前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型とを組み合わせるステップと、
前記圧着ピンを徐々に後退させながら、前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型との間の空洞部に樹脂を充填し、硬化させるステップと、
前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型を取り外して、樹脂製の筐体表面側に前記天板と前記第1の導電層とが順に設けられ、背面側に前記第1の導電層と電気的に接続された導通端子を設けられたアンテナモジュールを取り出すステップと、
を含む。
【0012】
また、上記第1態様に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法では、前記樹脂を充填するステップにおいて、前記樹脂の充填のタイミングと連動させて前記圧着ピンを後退させてもよい。
【0013】
本発明の第2態様に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法は、
成型時の表面側を形成するための第1の射出成形金型を用意するステップと、
前記第1の射出成形金型の内面に、成型時の表面の一部を構成する天板を配置するステップと、
前記天板の上に第1の導電層を設けるステップと、
前記第1の射出成形金型と組み合わせて一対となる第2の射出成形金型を用意するステップと、
前記第2の射出成形金型に、前記前記天板と対向する位置に導通端子を配置するステップと、
前記導通端子の前記天板と対向する面に第2の導電層を設けるステップと、
前記第1の射出成形金型側の前記天板上の前記第1の導電層に対して、前記第2の射出成形金型側の前記導通端子の面に設けた前記第2の導電層を圧着させるように前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型とを組み合わせるステップと、
前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型との間の空洞部に樹脂を充填し、硬化させるステップと、
前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型を取り外して、樹脂製の筐体表面側に前記天板と前記第1の導電層とが順に設けられ、背面側に前記第1の導電層と電気的に接続された導通端子を設けられたアンテナモジュールを取り出すステップと、
を含む。
【0014】
また、上記第1態様又は上記第2態様に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法において、前記天板と、前記第2の導電層とを互いに対向するように位置合わせしてもよい。
【0015】
さらに、上記第1態様又は上記第2態様に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法において、前記天板は、前記第2の導電層の面積より大きい面積を有するものを用いてもよい。
【0016】
またさらに、上記第1態様又は上記第2態様に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法において、あらかじめ天板と第1の導電層とを組み合わせておき、前記第1の射出成形金型の内面に、組み合わせた前記天板と前記第1の導電層とを配置して、前記天板を配置するステップと、前記第1の導電層を設けるステップとを同時に行ってもよい。
【0017】
また、上記第1態様又は上記第2態様に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法において、前記第1の導電層として、所定面積を有する第1の導電層を用いて、前記ワイヤレスアンテナモジュールをワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして機能させることができる。
【0018】
さらに、上記第1態様又は上記第2態様に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法において、前記第1の導電層として、所定パターンを有する第1の導電層を用いて、前記ワイヤレスアンテナモジュールをワイヤレス通信用アンテナモジュールとして機能させることができる。
【0019】
本発明の第3態様に係るワイヤレスアンテナモジュールは、樹脂製の筐体と、
前記筐体の表面側に設けられた導電層と、
前記導電層の一部の上に、前記導電層の表面と面一となるように設けられた天板と、
前記筐体の背面側に設けられ、前記筐体内部を通して前記導電層と電気的に接続された導通端子と、
を備え、
前記筐体の背面側の前記導通端子は、前記筐体の表面側の前記天板に対向する位置に設けられている。
【0020】
また、上記第3態様に係るワイヤレスアンテナモジュールにおいて、前記導電層上に設けられた加飾フィルムをさらに含んでもよい。
【0021】
さらに、上記第3態様に係るワイヤレスアンテナモジュールにおいて、前記第1の導電層を所定面積を有する導電層とすることによって、前記ワイヤレスアンテナモジュールは、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして機能させることができる。
【0022】
またさらに、上記第3態様に係るワイヤレスアンテナモジュールにおいて、前記第1の導電層を所定パターンを有する導電層とすることによって、前記ワイヤレスアンテナモジュールをワイヤレス通信用アンテナモジュールとして機能させることができる。
【0023】
また、携帯端末において、前記ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールを備えるものとしてもよい。
【0024】
さらに、携帯端末において、前記ワイヤレス通信用アンテナモジュールを備えるものとしてもよい。
【0025】
またさらに、携帯端末において、前記ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールと、
前記ワイヤレス通信用アンテナモジュールと、
前記ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールと、前記ワイヤレス通信用アンテナモジュールと、のいずれかを選択する切り替えスイッチと、
を備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るワイヤレスアンテナモジュール及びその製造方法では、第1の導電層と接続された導通端子を筐体の背面側に設けるにあたって、背面側の導通端子と表面側で対応する位置を含む所定面積を覆う天板をあらかじめ配置している。
通常、筐体内へのコアインサート物(導通端子及び第2の導電層)を設けると、筐体を構成するための樹脂充填後の冷却時間中において、全体の樹脂収縮率と、筐体背面側に設けた導電端子及び銅箔等の影響によるコアインサート物(導通端子及び第2の導電層)周辺の樹脂収縮率との差によって筐体上面に樹脂の凹み等の形状不良(ヒケ)が発生する。
しかし、本発明に係るワイヤレスアンテナモジュール及びその製造方法では、上記のように背面側の導通端子と対応する表面側の位置にあらかじめ天板を設けることによって、筐体上面の樹脂の硬化時の形状不良(ヒケ)の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュールの断面構造を示す概略断面図である。
【図2】(a)は、コアインサート物である導通端子と第2の導電層との構成を示す概略図であり、(b)は、導通端子のみの構成を示す概略図である。
【図3】天板から第1の導電層までの断面構造を示す概略断面図である。
【図4】変形例の天板から第1の導電層までの断面構造を示す概略断面図である。
【図5】天板を設けない場合の比較例における形状不良(ヒケ)の発生を示す概略図である。
【図6】(a)は、実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュールをワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして用いた携帯端末の側断面図であり、(b)は、携帯端末の平面図である。
【図7】(a)は、実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュールをワイヤレス通信用アンテナモジュールとして用いた携帯端末の平面図であり、(b)は、携帯端末の側断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法の各ステップを示す概略図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るワイヤレスアンテナモジュールの断面構造を示す概略断面図である。
【図10】図9の第1の導電層からの引き出し部と導通端子との電気的接続を示す概略斜視図である。
【図11】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態3に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法の変形例の各ステップを示す概略図である。
【図12】(a)は、本発明の実施の形態に係るワイヤレスアンテナモジュールの変形例の一つとして、表面が上に凸の曲面状の例の概略図であり、(b)は、表面が鞍状の曲面状の例の概略図である。
【図13】(a)は、本発明の実施の形態4に係るワイヤレスアンテナモジュールをワイヤレス電力伝送用アンテナモジュール及びワイヤレス通信用アンテナモジュール兼用で使用する場合において、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして使用する際の配線図であり、(b)は、ワイヤレス通信用アンテナモジュールとして使用する際の配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態に係るワイヤレスアンテナモジュール及びその製造方法について、添付図面を用いて説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュール10の概略を示す模式図である。このワイヤレスアンテナモジュール10は、樹脂製の筐体1と、筐体1の表面側に設けられ、アンテナとして機能する第1の導電層2と、第1の導電層2上に設けられた加飾フィルム3と、加飾フィルム3の一部の上に、加飾フィルム3の表面と面一となるように設けられた天板4と、筐体1の背面側に設けられ、筐体1内部を通して第1の導電層2と電気的に接続された導通端子6と、を備える。なお、導通端子6と第1の導電層2とは、第2の導電層5を介して電気的に接続されている。また、筐体1の背面側の導通端子6は、筐体1の表面側の天板4に対向する位置に設けられている。
【0030】
この実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュール10では、第1の導電層2と接続された導通端子6を筐体1の背面側に設けるにあたって、背面側の導通端子6と表面側で対応する位置を含む所定面積を覆う天板4をあらかじめ配置している。通常、筐体1内へのコアインサート物(導通端子6及び第2の導電層5)を設けると、図5に示すように、筐体1を構成するための樹脂充填後の冷却時間中において、全体の樹脂収縮率と、筐体1の背面側に設けたコアインサート物である導電端子6及び第2の導電層5(銅箔)等の影響によるコアインサート物(導通端子6及び第2の導電層5)周辺の樹脂収縮率との差によって筐体上面に樹脂の硬化時に、特にコアインサート物である第2の導電層5の周辺部において、樹脂の凹み等の形状不良(ヒケ)52が発生する。凹み等の形状不良(ヒケ)52は、樹脂からなる筐体1の上部の第1の導電層2及び加飾フィルム3に歪みを生じさせる。上記のように背面側の導通端子6と対応する表面側の位置にあらかじめ天板4を設けることによって、図1に示すように、筐体1の上面の樹脂の硬化時の形状不良(ヒケ)の発生を抑えることができる。
【0031】
また、この実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュール10は、所定面積を有する第1の導電層2を用いることによって、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして用いることができる。この実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュール10は、例えば、平行平板型の電界結合方式(容量結合方式)電力伝送システムにも、非対称型の電界結合方式(容量結合方式)電力伝送システムにも使用できる。
【0032】
<ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとしての携帯端末への応用>
図6の(a)は、実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュール10をワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして用いた携帯端末40aの側断面図であり、(b)は、携帯端末40aの平面図である。
この携帯端末40aでは、同じ表面側にアクティブ電極42とパッシブ電極44とを設けている。また、アクティブ電極42及びパッシブ電極44と引き回し配線48a、48bによって接続された電力伝送用制御回路46を備える。外部電源(図示せず)からアクティブ電極42及びパッシブ電極44を介して伝送された電力は、制御回路46内で整流、平滑化され、例えば、2次電池(図示せず)等に給電される。この場合、アクティブ電極42を制御回路46に接続するための引き回し配線48aは、パッシブ電極44の下を通すことが好ましい。これによって、引き回し配線48aからの輻射をパッシブ電極44でガードできる。なお、この携帯端末40aでは、アクティブ電極42とパッシブ電極44とを同じ表面側に設けているが、これに限られず、異なる面に設けてもよい。
【0033】
さらに、この実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュール10は、所定パターンを有する第1の導電層2を用いることによって、ワイヤレス通信用アンテナモジュールとして用いることができる。
【0034】
<ワイヤレス通信用アンテナモジュールとしての携帯端末への応用>
図7の(a)は、実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュール10をワイヤレス通信用アンテナモジュール10として用いた携帯端末40bの平面図であり、(b)は、携帯端末40bの側断面図である。
この携帯端末40bでは、同じ表面にアンテナ45aとアンテナ45bとを設けている。このアンテナ45a及び45bは、それぞれ5mm×14mmの大きさを有し、厚さ2.5mmの銅箔である。また、それぞれのアンテナ45a,45bの隙間は1mmである。なお、上記の数値は一例であって、これらに限定されるものではない。アンテナパターンとしては、例えば特許第4067041に記載の寸法等としてもよい、また、ワイヤレス通信用アンテナとして機能しうるパターンを有するものであって、使用周波数に対応するパターンを有するものとすることができる。
【0035】
以下に、実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュール10を構成する各構成部材について説明する。
【0036】
<筐体>
筐体1は、ワイヤレスアンテナモジュール10全体を支えると共に、特にアンテナとなる第1の導電層2の部分を支える。筐体1は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又は、放射線硬化性樹脂を用いることができる。また、筐体1は、射出成形によって成形してもよい。
【0037】
<第1の導電層>
第1の導電層2は、導電層であればよく、面の形状は、平面状又は曲面状のいずれであってもよい。例えば、図12(a)又は(b)に示すような曲面状としてもよい。なお、図12(a)及び(b)は、ワイヤレスアンテナモジュール10の天板4部分を含む表面の概要を示している。また、第1の導電層2は、ITO、FTO等の透明導電層や、銅箔、金箔等の金属層であってもよい。なお、第1の導電層2の厚さは、ITO、FTO等の透明導電層の場合には、10nm〜1μmの厚さが好ましく、銅箔の場合には3〜50μmの厚さが好ましい。また、第1の導電層2の面積抵抗は、0Ω/□〜1000Ω/□である。
なお、第1の導電層2は、一つのワイヤレスアンテナモジュール10内に一つに限られず、例えば、図6(a)の携帯端末40の例に示すように、2以上の第1の導電層2を設けてもよい。
【0038】
第1の導電層2は、例えば、パターンを有しないベタ塗りであって所定面積を有するものを用いることによって、電力伝送用の受電用アンテナとして機能させることができる。この場合には、ワイヤレスアンテナモジュール10は、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして機能させることができる。
また、この第1の導電層2は、電界結合方式(容量結合方式)におけるパッシブ電極に使用できる。この第1の導電層2は、筐体1の表面にわたって大面積の電極として形成できるので、受電モジュールのパッシブ電極として用いた場合、送電モジュールのパッシブ電極との間に大きな容量を形成できる。そのため、伝送可能な電力を大きくすることができる。なお、第1の導電層2は、電界結合方式におけるアクティブ電極に使用してもよい。
【0039】
さらに、第1の導電層2は、通信用のパターンを有するものを用いることによって、通信用アンテナとして機能させることができる。この場合には、ワイヤレスアンテナモジュール10は、ワイヤレス通信用アンテナモジュールとして機能させることができる。
【0040】
またさらに、第1の導電層2の筐体1側に面した側には、例えば図3に示すように、筐体1を形成するための樹脂との良好な接着性を得るための接着層7を塗布しておいてもよい。この場合、第2の導電層5及び導通端子6との電気的接続をさせるための部分には接着層7を塗布しないことが好ましい。
【0041】
<加飾フィルム>
加飾フィルム3は、ワイヤレスアンテナモジュール10の外観を装飾するために設けられる。また、加飾フィルム3は、絶縁性を有することが好ましい。この加飾フィルム3によって、第1の導電層2を保護すると共に、表面側での絶縁性を確保することができる。さらに、加飾フィルム3は、単一層構造に限られず、例えば、図3に示すように、加飾層3a、ベースフィルム3b、接着層3cからなる3層構造としてもよい。なお、必要により表面に保護層8を設けてもよい。
【0042】
なお、加飾フィルム3は、必ずしも表面側に設ける必要はなく、図4の変形例に示すように表面側に第1の導電層2として透明導電層を設け、その下層に加飾フィルム3を設けてもよい。この場合には、第1の導電層2が筐体表面に露出する。そこで、必要により第1の導電層2の上に保護層8を設けてもよい。また、第1の導電層2と導電端子6との電気的な接続を確保するために必要により、第1の導電層2と導電端子6及び第2の導電層5のコアインサート物との電気的接続部分に当たる加飾フィルム3に開口部を設けてもよい。
【0043】
<天板>
天板4は、バンブー、ホワイトオーク、トチ、ナラ、アフロモシア等の木材や、ポリカーボネート、ABS、PMMA等の樹脂、あるいは、アルミ、ステンレス等の金属を使用することができる。また、天板4の板厚は0.1〜0.3mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.2mmである。また、天板4の板材の縦弾性係数は2〜70GPaの範囲が好ましく、さらに好ましくは4〜70GPaである。さらに、天板4の材料反射率は30〜70%の範囲が好ましく、さらに好ましくは40〜50%の範囲が好ましい。
【0044】
また、天板4は、導電端子6及び第2の導電層5のコアインサート物の筐体表面側への投影面積より少なくとも10%以上大きな面積とすることが好ましく、さらに20%以上大きな面積とすることがより好ましい。このように天板4をコアインサート物の投影面積より大きな面積とすることによって、背面側に設けたコアインサート物による影響によってコアインサート物の外延部分に対応する表面部分に凹み等のヒケが発生することを抑制できる。なお、天板4は、コアインサート物の表面側への投影部分全体を覆って設けられることがさらに好ましい。
【0045】
なお、天板4は、単一構造に限られず、例えば、図3に示すように、天板本体4aと不織布4bとの2層構造で構成してもよい。不織布4bは、例えば、加飾フィルム3との接着用として用いることができる。図3の場合、例えば、天板本体4aの厚さは0.2mm、不織布4bの厚さは0.05mmである。また、天板4の表面は、図12(a)又は(b)のワイヤレスアンテナモジュール10の天板4部分を含む表面の概要に示すように、曲面状であってもよい。この場合には、加飾フィルム3等も表面で面一となるように配置される。
【0046】
<コアインサート物>
このワイヤレスアンテナモジュール10では、筐体1の表面側に設けられたアンテナとして機能する第1の導電層2と電気的に接続する導通端子6を筐体1の背面側に設けている。なお、導通端子6と、導通端子6を第1の導電層2と電気的に接続するための第2の導電層5とをコアインサート物という。筐体1の形成時に、導通端子6と第2の導電層5とを含むコアインサート物を射出成形金型の内側にあらかじめ設けておき、その後、射出成形金型の空洞部に樹脂を充填し、硬化させて筐体1を形成することによって、筐体1の背面側に導通端子6を設けることができる。
【0047】
<導通端子>
導通端子6は、第1の導電層2と電気的に接続され、筐体1の背面側から引き出された端子である。導通端子6は、導電性を有するものであればよい。導通端子6は、例えば、図2(a)及び(b)に示すように、導電ピン6bとその上部の異方性導電フィルム6aとで構成してもよい。
【0048】
<第2の導電層>
第2の導電層5は、導通端子6と第1の導電層2とを電気的に接続するものである。第2の導電層5は、第1の導電層2と同様に、ITO、FTO等の透明導電層や、銅箔、金箔等の金属層であってもよい。また、第2の導電層5は、単一構造に限られず、例えば、図2の(a)に示すように、異方性導電フィルム5aと銅箔5bとの2層構造としてもよい。なお、図2(b)に示すように、コアインサート物として、第2の導電層を設けることなく、導通端子6のみとしてもよい。
【0049】
なお、上記第1の導電層2、加飾フィルム3、第2の導電層5等の厚さの合計は、およそ0.1mm以下とすることが好ましい。
【0050】
<ワイヤレスアンテナモジュールの製造方法>
次に、実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法について説明する。図8(a)〜(d)は、実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法の各ステップを示す概略図である。
(1)成型時の表面側を形成するための第1の射出成形金型20の内面に、成型時の表面の一部を構成する天板4を配置する。さらに、天板4を含む第1の射出成形金型20の内面に加飾フィルム3を配置する。その後、加飾フィルム3の上に第1の導電層2を設ける(図8(a))。なお、第1の導電層2の筐体1側に面した側には、例えば図3に示すように、筐体1を形成するための樹脂との良好な接着性を得るための接着層7を塗布しておいてもよい。この場合、第2の導電層5及び導通端子6との電気的接続をさせるための部分には接着層7を塗布しないことが好ましい。
(2)第1の射出成形金型20と組み合わせて一対となる第2の射出成形金型30であって、天板4と対向する箇所に圧着ピン22を挿通する貫通孔24を有する第2の射出成形金型30を用意する。第1の射出成形金型20の内面に設けられた天板4と対向するように、第2の射出成形金型30の貫通孔24に圧着ピン22を挿通する。第2の射出成形金型30に、天板4と対向する位置であって、圧着ピン22の近傍に導通端子6を配置する。圧着ピン22と導通端子6との天板4と対向する面に第2の導電層5を設ける(図8(a))。
(3)第1の射出成形金型20側の天板4上の第1の導電層2に対して、第2の射出成形金型30側の圧着ピン及び導通端子6の面に設けた第2の導電層5を圧着させるように第1の射出成形金型20と第2の射出成形金型30とを組み合わせる(図8(b))。
(4)圧着ピン22を空洞部から徐々に後退させながら、第1の射出成形金型20と第2の射出成形金型30との間の空洞部に樹脂28を充填し、樹脂28を硬化させる(図8(c))。なお、樹脂を充填する際に、樹脂28の充填のタイミングと連動させて圧着ピン22を後退させてもよい。
(5)第1の射出成形金型20と第2の射出成形金型30を取り外して、樹脂28を硬化させて得られた樹脂製の筐体1の表面側に第1の導電層2と加飾フィルム3と天板4とが順に設けられ、背面側に第1の導電層と電気的に接続された導通端子6とが設けられたアンテナモジュール10を取り出す(図8(d))。
以上によって、ワイヤレスアンテナモジュール10を得ることができる。
【0051】
なお、上記製造方法では、第1の射出成形金型20を配置した後、第2の射出成形金型30を配置するとして、ワイヤレスアンテナモジュールの製造方法における各ステップの順序を示しているが、上記の順序には限定されない。例えば、まず、第2の射出成形金型30を配置した後、第1の射出成形金型20を配置してもよい。あるいは、両方の射出成形金型20、30を実質的に同時に配置してもよい。つまり、上記(1)のステップと、(2)のステップとは、実質的にいずれのステップを先にしてもよく、また、同時であってもよい。
【0052】
さらに、上記(1)のステップでは、第1の射出成形金型20の内面に、天板4、加飾フィルム3、第1の導電層2の順序に設けているが、上記順序に限定されない。例えば、あらかじめ天板4、加飾フィルム3、第1の導電層2を組み合わせたものを第1の射出成形金型20の内面に配置してもよい。
【0053】
この実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法では、第1の導電層2と接続された導通端子6を筐体1の背面側に設けるにあたって、背面側の導通端子6と表面側で対応する位置を含む所定面積を覆う天板4をあらかじめ配置している。上記のように背面側の導通端子6と対応する表面側の位置に天板4をあらかじめ設けることによって、筐体1の上面の樹脂の硬化時の形状不良(ヒケ)52の発生を抑えることができる。
【0054】
(変形例)
図4は、実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュールの変形例の天板4及び保護層8から第1の導電層2及び接着層7までの断面構造を示す概略断面図である。上記の例では、第1の導電層2を設けるにあたって、天板4、保護層8、加飾フィルム3(加飾層3a、ベースフィルム3b、接着層3c)、第1の導電層2及び接着層7の順に積層したが、変形例では、天板4、保護層8、第1の導電層2、加飾フィルム3(加飾層3a、ベースフィルム3b)及び接着層7の順に積層している点で相違する。なお、第1の導電層2を覆って設けた加飾フィルム3の面のうち、第2の導電層5及び導通端子6との電気的接続をさせるための箇所は、加飾フィルム3に開口部を設けて第1の導電層2を露出させておく。
なお、第1の導電層2を表面に露出させた場合、電界結合方式の電力伝送システムのアクティブ電極として使用することはできないが、パッシブ電極として用いることができる。なお、表面に露出させた第1の導電層2の上に保護層8を設けてもよい。
【0055】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2に係るワイヤレスアンテナモジュールの断面構成を示す概略断面図である。図10は、図9の第1の導電層2からの引き出し部と、導通端子6との接続を示す概略斜視図である。このワイヤレスアンテナモジュールは、実施の形態1に係るワイヤレスアンテナモジュールと対比すると、導通端子6をアンテナして機能する第1の導電層2の直下ではなく位置をずらせて設けている点で相違する。この場合、第1の導電層2からの引き出し部と導通端子6とを電気的に接続させている。また、天板4は、導通端子6及び第2の導電層5のコアインサート物の上面に設けられ、第1の導電層の表面と面一となるように配置される。
【0056】
(実施の形態3)
<ワイヤレスアンテナモジュールの製造方法>
実施の形態3に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法について説明する。図11(a)〜(d)は、実施の形態3に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法の各ステップを示す概略図である。このワイヤレスアンテナモジュールの製造方法では、実施の形態1に係る製造方法と対比すると、圧着ピンを使用しないで導電端子6を第1の導電層2と接続する点で相違する。
(1)成型時の表面側を形成するための第1の射出成形金型20の内面に、成型時の表面の一部を構成する天板4を配置する。さらに、天板4を含む第1の射出成形金型20の内面に加飾フィルム3を配置する。その後、加飾フィルム3の上に第1の導電層2を設ける(図11(a))。なお、第1の導電層2の筐体1側に面した側には、例えば図3に示すように、筐体1を形成するための樹脂との良好な接着性を得るための接着層7を塗布しておいてもよい。この場合、第2の導電層5及び導通端子6との電気的接続をさせるための部分には接着層7を塗布しないことが好ましい。
(2)第1の射出成形金型20と組み合わせて一対となる第2の射出成形金型30を用意する。第2の射出成形金型30に、天板4と対向する位置に導通端子6を配置する。導通端子6の天板4と対向する面に第2の導電層5を設ける(図11(a))。
(3)第1の射出成形金型20側の天板4上の第1の導電層2に対して、第2の射出成形金型30側の導通端子6の面に設けた第2の導電層5を圧着させるように第1の射出成形金型20と第2の射出成形金型30とを組み合わせる(図11(b))。
(4)第1の射出成形金型20と第2の射出成形金型30との間の空洞部に樹脂28を充填し、硬化させる(図11(c))。
(5)第1の射出成形金型20と第2の射出成形金型30を取り外して、樹脂製の筐体1の表面側に第1の導電層2と加飾フィルム3と天板4とが順に設けられ、背面側に第1の導電層2と電気的に接続された導通端子6とが設けられたアンテナモジュール10を取り出す(図11(d))。
以上によって、ワイヤレスアンテナモジュール10を得ることができる。
【0057】
なお、上記製造方法では、第1の射出成形金型20を配置した後、第2の射出成形金型30を配置するとして、ワイヤレスアンテナモジュールの製造方法における各ステップの順序を示しているが、上記の順序には限定されない。例えば、まず、第2の射出成形金型30を配置した後、第1の射出成形金型20を配置してもよい。あるいは、両方の射出成形金型20、30を実質的に同時に配置してもよい。つまり、上記(1)のステップと、(2)のステップとは、実質的にいずれのステップを先にしてもよく、また、同時であってもよい。
【0058】
さらに、上記(1)のステップでは、第1の射出成形金型20の内面に、天板4、加飾フィルム3、第1の導電層2の順序に設けているが、上記順序に限定されない。例えば、あらかじめ天板4、加飾フィルム3、第1の導電層2を組み合わせたものを第1の射出成形金型20の内面に配置してもよい。
【0059】
この実施の形態3に係るワイヤレスアンテナモジュールの製造方法においても実施の形態1に係る製造方法と同様の効果が得られる。つまり、上記のように背面側の導通端子6と対応する表面側の位置に天板4をあらかじめ設けることによって、筐体1の上面の樹脂の硬化時の形状不良(ヒケ)の発生を抑えることができる。
これによって、筐体1の表面側の第1の導電層2と電気的に接続された導通端子6を、外観上の美観を損なうことなく、筐体1の背面側から取り出すことができる。
【0060】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係るワイヤレスアンテナモジュールは、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュール及びワイヤレス通信用アンテナモジュールの双方で使用することができる電力伝送用及び通信用兼用ワイヤレスアンテナモジュールである。
【0061】
図13(a)は、本発明の実施の形態4に係る電力伝送用及び通信用兼用ワイヤレスアンテナモジュールを用いた携帯端末40cにおいて、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして使用する際の配線図である。図13(b)は、本発明の実施の形態4に係るワイヤレスアンテナモジュールを用いた携帯端末40cにおいて、ワイヤレス通信用アンテナモジュールとして使用する際の配線図である。
【0062】
この携帯端末40cでは、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして使用する際の、アクティブ電極42と、パッシブ電極44と、アクティブ電極42及びパッシブ電極44と引き回し配線48a、48bによって接続された電力伝送用制御回路46と、を備える。また、この携帯端末40cは、ワイヤレス通信用アンテナモジュールとして使用する際の2つの通信用アンテナ45a、45bと、通信用制御回路47と、を備える。なお、電力伝送用のアクティブ電極42と通信用のアンテナ45aとを兼用としている。さらに、この携帯端末40cは、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールと、ワイヤレス通信用アンテナモジュールと、の用途に応じて配線を切り替える切り替えスイッチ49を備える。この携帯端末40cは、切り替えスイッチ49によって配線を切り替えることによって、ワイヤレスアンテナモジュールを、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールと、ワイヤレス通信用アンテナモジュールと、の2つの用途で使用することができる。
【0063】
実施の形態4に係る電力伝送用及び通信用兼用ワイヤレスアンテナモジュールによれば、配線を切り替えることによって、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールと、ワイヤレス通信用アンテナモジュールと、の2つの用途で使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係るワイヤレスアンテナモジュールは、所定面積を有する第1の導電層を用いることにより、電界結合式の電力伝送を行う携帯端末用のアンテナモジュールとして用いることができる。また、所定パターンを有する第1の導電層を用いることにより、通信用のアンテナモジュールとして用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 筐体
2 第1の導電層(アンテナ)
3 加飾フィルム
3a 加飾層
3b ベースフィルム
3c 接着層
4 天板
4a 天板本体
4b 不織布
5 第2の導電層
5a 異方性導電フィルム
5b 銅箔
6 導通端子
6a 異方性導電フィルム
6b 導電ピン
7 接着層
8 保護層
10 ワイヤレスアンテナモジュール
20 第1の射出成形金型
22 圧着ピン
24 貫通孔
26 樹脂充填口
28 樹脂
30 第2の射出成形金型
40a、40b、40c 携帯端末
42 アクティブ電極
44 パッシブ電極
45a、45b 通信用アンテナ
46 電力伝送用制御回路
47 通信用制御回路
48a、48b 引き回し配線
49 切り替えスイッチ
50 天板なしのワイヤレスアンテナモジュール(比較例)
52 ヒケ(形状不良)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスアンテナモジュールの製造方法であって、
成型時の表面側を形成するための第1の射出成形金型を用意するステップと、
前記第1の射出成形金型の内面に、成型時の表面の一部を構成する天板を配置するステップと、
前記天板の上に第1の導電層を設けるステップと、
前記第1の射出成形金型と組み合わせて一対となる第2の射出成形金型であって、前記天板と対向する箇所に圧着ピンを挿通する貫通孔を有する第2の射出成形金型を用意するステップと、
前記第1の射出成形金型内面に設けられた前記天板と対向するように、前記第2の射出成形金型の前記貫通孔に圧着ピンを挿通するステップと、
前記第2の射出成形金型に、前記天板と対向する位置であって、前記圧着ピンの近傍に導通端子を配置するステップと、
前記圧着ピンと前記導通端子との前記天板と対向する面に第2の導電層を設けるステップと、
前記第1の射出成形金型側の前記天板上の前記第1の導電層に対して、前記第2の射出成形金型側の前記圧着ピン及び前記導通端子の面に設けた前記第2の導電層を圧着させるように前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型とを組み合わせるステップと、
前記圧着ピンを徐々に後退させながら、前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型との間の空洞部に樹脂を充填し、硬化させるステップと、
前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型を取り外して、樹脂製の筐体表面側に前記天板と前記第1の導電層とが順に設けられ、背面側に前記第1の導電層と電気的に接続された導通端子を設けられたアンテナモジュールを取り出すステップと、
を含む、ワイヤレスアンテナモジュールの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂を充填するステップにおいて、前記樹脂の充填のタイミングと連動させて前記圧着ピンを後退させる、請求項1に記載のワイヤレスアンテナモジュールの製造方法。
【請求項3】
ワイヤレスアンテナモジュールの製造方法であって、
成型時の表面側を形成するための第1の射出成形金型を用意するステップと、
前記第1の射出成形金型の内面に、成型時の表面の一部を構成する天板を配置するステップと、
前記天板の上に第1の導電層を設けるステップと、
前記第1の射出成形金型と組み合わせて一対となる第2の射出成形金型を用意するステップと、
前記第2の射出成形金型に、前記前記天板と対向する位置に導通端子を配置するステップと、
前記導通端子の前記天板と対向する面に第2の導電層を設けるステップと、
前記第1の射出成形金型側の前記天板上の前記第1の導電層に対して、前記第2の射出成形金型側の前記導通端子の面に設けた前記第2の導電層を圧着させるように前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型とを組み合わせるステップと、
前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型との間の空洞部に樹脂を充填し、硬化させるステップと、
前記第1の射出成形金型と前記第2の射出成形金型を取り外して、樹脂製の筐体表面側に前記天板と前記第1の導電層とが順に設けられ、背面に前記第1の導電層と電気的に接続された導通端子を設けられたアンテナモジュールを取り出すステップと、
を含む、ワイヤレスアンテナモジュールの製造方法。
【請求項4】
前記天板と、前記第2の導電層とを互いに対向するように位置合わせする、請求項1から3のいずれか一項に記載のワイヤレスアンテナモジュールの製造方法。
【請求項5】
前記天板は、前記第2の導電層の面積より大きい面積を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のワイヤレスアンテナモジュールの製造方法。
【請求項6】
あらかじめ天板と第1の導電層とを組み合わせておき、前記第1の射出成形金型の内面に、組み合わせた前記天板と前記第1の導電層とを配置して、前記天板を配置するステップと、前記第1の導電層を設けるステップとを同時に行う、請求項1から5のいずれか一項に記載のワイヤレスアンテナモジュールの製造方法。
【請求項7】
前記第1の導電層として、所定面積を有する第1の導電層を用い、前記ワイヤレスアンテナモジュールをワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして機能させる、請求項1から6のいずれか一項に記載のワイヤレスモジュールの製造方法。
【請求項8】
前記第1の導電層として、所定パターンを有する第1の導電層を用い、前記ワイヤレスアンテナモジュールをワイヤレス通信用アンテナモジュールとして機能させる、請求項1から6のいずれか一項に記載のワイヤレスモジュールの製造方法。
【請求項9】
樹脂製の筐体と、
前記筐体の表面側に設けられた導電層と、
前記導電層の一部の上に、前記導電層の表面と面一となるように設けられた天板と、
前記筐体の背面側に設けられ、前記筐体内部を通して前記導電層と電気的に接続された導通端子と、
を備え、
前記筐体の背面側の前記導通端子は、前記筐体の表面側の前記天板に対向する位置に設けられている、ワイヤレスアンテナモジュール。
【請求項10】
前記導電層上に設けられた加飾フィルムをさらに含む、請求項9に記載のワイヤレスアンテナモジュール。
【請求項11】
前記導電層は、所定面積を有する導電層であって、前記ワイヤレスアンテナモジュールは、ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールとして機能する、請求項9又は10に記載のワイヤレスモジュール。
【請求項12】
前記導電層は、所定パターンを有する導電層であって、前記ワイヤレスアンテナモジュールは、ワイヤレス通信用アンテナモジュールとして機能する、請求項9又は10に記載のワイヤレスモジュール。
【請求項13】
請求項11に記載のワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールを有する携帯端末。
【請求項14】
請求項12に記載のワイヤレス通信用アンテナモジュールを有する携帯端末。
【請求項15】
請求項11に記載のワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールと、
請求項12に記載のワイヤレス通信用アンテナモジュールと、
前記ワイヤレス電力伝送用アンテナモジュールと、前記ワイヤレス通信用アンテナモジュールと、のいずれかを選択する切り替えスイッチと、
を備えた携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−212966(P2012−212966A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76321(P2011−76321)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【特許番号】特許第5047375号(P5047375)
【特許公報発行日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】