説明

ワイヤ型一方向クラッチ

【課題】減じられた軸方向長さを有する一方向クラッチを提供する。
【解決手段】第1のレース104が、自動車装置におけるトルク伝達エレメントに回転結合されるように配置されており、ブロッキングエレメント106が、ワイヤから形成されておりかつ、第1の回転方向108での第1のレース104の、第2のレース102に関する、相対回動のために第1のレースと第2のレースとを回転方向でロックするように配置されており、第1のレースが、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向で、第2のレースに関する回転のために、第2のレースから独立して回転するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本願は、合衆国第35法典第119条(e)に基づいて、引用したことにより本明細書に記載されたものとする2006年12月22日に出願された米国特許仮出願第60/876715号明細書の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、回転駆動ユニット(例えば、自動車のエンジン)と、回転被駆動ユニット(例えば、自動車における変速トランスミッション)との間で力を伝達するための装置の改良に関する。特に、本発明は、ラジアル一方向クラッチに関する。さらに具体的には、本発明は、係合手段としてのワイヤ形式を使用するトルクコンバータにおけるステータのためのラジアル一方向クラッチに関する。
【背景技術】
【0003】
図1は、典型的な車両における、エンジン7と、トルクコンバータ10と、トランスミッション8と、ディファレンシャル/車軸アセンブリ9との関係を示す概略的なブロック線図を示している。自動車のエンジンからトランスミッションへトルクを伝達するためにトルクコンバータが使用されることがよく知られている。
【0004】
トルクコンバータの3つの主要な構成要素は、ポンプ37と、タービン38と、ステータ39とである。トルクコンバータは、ポンプがカバー11に溶接されると、シールされたチャンバとなる。カバーはフレックスプレート41に結合されており、このフレックスプレート41自体はエンジン7のクランクシャフト42にボルト留めされている。カバーは、カバーに溶接されたラグ又はスタッドを用いてフレックスプレートに結合されることができる。ポンプとカバーとの間の溶接された結合はエンジントルクをポンプに伝達する。したがって、ポンプは常にエンジン速度で回転する。ポンプの機能は、この回転運動を利用し、流体を半径方向外方及び軸方向へタービンに向かって送ることである。したがって、ポンプは、流体を小さな半径の入口から大きな半径の出口へ推進する遠心ポンプであり、流体のエネルギを増大させる。トランスミッションクラッチとトルクコンバータクラッチとを係合させるための圧力は、ポンプハブによって駆動される、トランスミッションにおける付加的なポンプによって提供される。
【0005】
トルクコンバータ10において、流体回路は、ポンプ(インペラと呼ばれる場合もある)と、タービンと、ステータ(リアクタと呼ばれる場合もある)とによって構成されている。流体回路は、車両が停止させられている場合にエンジンを回転させ続け、運転手によって望まれた場合に車両を加速する。トルクコンバータは、減速歯車装置と同様に、トルク比を介してエンジントルクを補足する。トルク比は、入力トルクに対する出力トルクの比である。トルク比は、タービン回転速度が低い又はゼロである(ストールとも呼ばれる)場合に最も高くなる。ストールトルク比は通常1.8〜2.2の範囲である。これは、トルクコンバータの出力トルクが入力トルクよりも1.8〜2.2倍だけ大きいことを意味する。しかしながら、出力速度は入力速度よりも著しく低い。なぜならば、タービンは出力部に結合されておりかつ回転していないが、入力部はエンジン速度で回転しているからである。
【0006】
タービン38は、車両を推進するために、ポンプ37から受け取る流体エネルギを利用する。タービンシェル22はタービンハブ19に結合されている。タービンハブ19は、タービントルクをトランスミッションシャフト43に伝達するためにスプライン結合を利用する。入力軸は、トランスミッション8における歯車及び軸と、車軸ディファレンシャル9とを介して、車輪に結合されている。タービンブレードに衝突する流体の力は、トルクとしてタービンから出力される。軸方向スラスト軸受31は、構成要素を、流体によって与えられる軸方向の力から支持する。出力トルクが、静止中の車両の慣性を克服するのに十分であると、車両は動き始める。
【0007】
流体エネルギはタービンによってトルクに変換された後、依然として流体には僅かなエネルギが残されている。小さな半径の出口44から出てくる流体は、通常は、ポンプの回転に対抗するような形式でポンプに進入する。ステータ39は、ポンプの加速を助けるために流体を方向転換させるために使用され、これにより、トルク比を増大させる。ステータ39は一方向クラッチ46を介してステータシャフト45に結合されている。ステータシャフトはトランスミッションハウジング47に結合されており、回転しない。一方向クラッチ46は、ステータ39が低速比(ポンプがタービンよりも速く回転している)において回転するのを阻止する。タービン出口44からステータ39に進入する流体は、ステータブレード48によって方向転換させられ、回転方向でポンプ37に進入する。
【0008】
ブレードの入口角度及び出口角度、ポンプ及びタービンシェルの形状、トルクコンバータの総直径とが、その性能に影響する。設計パラメータは、トルク比と、効率と、エンジンを"ランアウェイ"させることなくエンジントルクを吸収するためのトルクコンバータの能力とを含む。これは、トルクコンバータが小さすぎ、ポンプがエンジンを減速させることができない場合に起こる。
【0009】
低速比においては、トルクコンバータは正常に機能し、車両が静止した状態でエンジンを回転させ、増大した性能のためにエンジントルクを補足する。1よりも小さな速度比では、トルクコンバータの効率は100%に満たない。タービンの回転速度がポンプの回転速度に近づくにしたがって、トルクコンバータのトルク比は、約1.8〜2.2から、約1のトルク比まで次第に減少する。トルク比が1に達したときの速度比はカップリングポイントと呼ばれる。このポイントにおいては、ステータに進入する流体はもはや方向転換される必要はなく、ステータにおける一方向クラッチが、流体を、ポンプ及びタービンと同じ方向に回転させる。ステータが流体を方向転換していないので、トルクコンバータから出力されるトルクは、トルク入力と同じである。流体回路全体はユニットとして回転する。
【0010】
最大トルクコンバータ効率は、流体における損失に基づき92〜93%に限定される。したがって、トルクコンバータクラッチ49は、トルクコンバータ入力部を出力部に機械的に結合するために使用され、効率を100%に改善する。クラッチピストンプレート17は、トランスミッションコントローラによって命令されると、液圧によって作動させられる。ピストンプレート17は、内径においてOリング18によってタービンハブ19に対してシールされており、外径において摩擦材料リング51によってカバー11に対してシールされている。これらのシールは、圧力チャンバを形成し、ピストンプレート17をカバー11と係合させる。この機械的な結合は、トルクコンバータ流体回路をバイパスする。
【0011】
トルクコンバータクラッチ49の機械的結合は、ドライブトレーンに、より多くのエンジンねじれ変動を伝達する。ドライブトレーンが基本的にばね質量系であるので、エンジンからのねじれ変動は、系の固有振動数を励起することができる。ダンパは、ドライブトレーンの固有振動数を、駆動範囲から外れさせるように使用される。ダンパは、エンジン7及びトランスミッション8と直列に配置されたばね15を有しており、これにより、系の有効ばね定数を減衰させ、固有振動数を低下させる。
【0012】
トルクコンバータクラッチ49は、4つの構成要素、すなわちピストンプレート17と、カバープレート12及び16と、ばね15と、フランジ13とを有している。カバープレート12及び16はトルクをピストンプレート17から圧縮ばね15に伝達する。カバープレートウィング52は、軸方向保持のためにばね15の周囲に形成されている。ピストンプレート17からのトルクは、リベット結合部を介してカバープレート12及び16に伝達される。カバープレート12及び16は、ばね窓の縁部と接触することによって、トルクを圧縮ばね15に提供する。両カバープレートは、ばねの中心軸線の両側においてばねを支持するように協働する。ばね力は、フランジばね窓縁部との接触によって、フランジ13に伝達される。時には、フランジは、高トルク時にばねの過剰圧縮を回避するために、カバープレートの一部に係合する回転タブ又はスロットも有している。フランジ13からのトルクは、タービンハブ19と、トランスミッション入力軸43とに伝達される。
【0013】
エネルギ吸収は、望まれるならば、時にはヒステリシスと呼ばれる摩擦によって達せられることができる。ヒステリシスは、ダンパプレートの巻き上げ及び巻出しからの摩擦を含み、したがって実際の摩擦トルクの2倍である。ヒステリシスパッケージは、概して、ダイアフラムばね(又は皿ばね)14から成り、このダイアフラムばね(又は皿ばね)は、フランジ13と、カバープレート16の一方との間に配置されており、フランジ13を他方のカバープレート12と接触させる。ダイアフラムばね14によって加えられる力の大きさを制御することによって、摩擦トルクの大きさも制御されることができる。典型的なヒステリシス値は、10〜30Nmの範囲である。
【0014】
現代の自動車設計は、トルクコンバータの寸法、特にトルクコンバータの軸方向長さを減じるために一定の圧力を生じる。また、自動車市場のますます競争的な性質は、トルクコンバータ構成部材の複雑さ及びコストが全ての機会において減じられることを要求する。一方向クラッチにおける中間エレメントは、クラッチの回転エレメントによって供給されるトルクを維持しなければならない。例えば、トルクを維持するための、回転部材と固定部材とを備えたクラッチの場合、中間エレメントは、クラッチの回転部材及び固定部材と接触した所定の量の表面積を有していなければならない。一方向クラッチのためにローラ又はスプラグクラッチを使用することが知られている。ローラは軸方向に整列させられており、クラッチレースと接触したローラの比較的小さな部分は、特にロックモードにおいて、ステータの作動に関連した力を支持するように設計されていなければならない。あいにく、力を説明するために、ローラの軸方向長さは比較的長く形成されなければならず、クラッチの軸方向幅を増大させる。また、ローラ及びスプラグクラッチは比較的複雑であり、多数の精密エレメントを含む。
【0015】
したがって、減じられた軸方向長さを有しておりかつより費用効果の高い構成部材及び方法を使用する、トルクコンバータにおけるステータのための一方向クラッチが長い間必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の全体的な目的は、減じられた軸方向長さを有する一方向クラッチを提供することである。
【0017】
本発明の全体的な目的は、スタンピングされた部品を用いて経済的に製造されることができる一方向クラッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の概要
本発明は、広くは、クラッチのための軸線を中心にして周方向に配置された第1のレースと;軸線を中心として周方向に配置された第2のレースと;レースの間に配置されたブロッキングエレメントとを有する一方向クラッチを含む。第1のレースは自動車装置におけるトルク伝達エレメントに回転結合されるように配置されており、ブロッキングエレメントは、ワイヤから形成されておりかつ第2のレースに対して第1のレースが第1の回転方向に相対回動するために、第1のレースと第2のレースとを回転方向でロックするように配置されており、第1のレースが、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向で第2のレースに対して回転するように第2のレースから独立して回転するように配置されている。
【0019】
第1及び第2のレースと接触したブロッキングエレメントの周方向範囲は、第1及び第2のレースと接触したブロッキングエレメントの軸方向範囲よりも大きい。幾つかの態様において、ブロッキングエレメントは、回転方向のロッキングに関連したエネルギを減衰させるように配置されている。幾つかの態様において、ロッキング係合の間、周方向範囲は増大するように配置されている。
【0020】
第1又は第2のレースは少なくとも1つの軸方向突出部を有し、ブロッキングエレメントは、第1の方向での相対回動のために、及び第2の回転方向での相対移動のために、少なくとも1つの突出部とロックするように係合するように配置されており、ブロッキングエレメントは、少なくとも1つの突出部から連続的な突出部に摺動するように係合するように配置されている。幾つかの態様において、少なくとも1つの軸方向突出部は少なくとも1つの斜面を含む。幾つかの態様において、少なくとも1つの軸方向突出部は、摺動係合の部分としてブロッキングエレメントを軸方向に変位させるように配置されている。幾つかの態様において、ブロッキングエレメントは、ブロッキングエレメントが少なくとも1つの突出部にロックするように係合した時に撓むように配置されており、撓みは、ロッキング係合に関連したエネルギを散逸させる。
【0021】
第1のレース又は第2のレースは少なくとも1つの凹所を有し、ブロッキングエレメントは、少なくとも1つの凹所に配置されかつ第1のレース又は第2のレースとブロッキングエレメントとを回転方向で結合する少なくとも1つのセグメントを含む。幾つかの態様において、クラッチはトルクコンバータのステータにおいて使用するために配置されている。
【0022】
本発明は、広くは、ハブと;ステータのためのブレードアセンブリに結合されるように配置された外側エレメントと;ブロッキングエレメントとを有するステータ一方向クラッチを含む。ブロッキングエレメントは、ワイヤから形成されており、第1の回転方向での外側エレメントの回転のために、ハブと外側エレメントとを回転方向でロックするように配置されている。ハブと外側エレメントとに接触したブロッキングエレメントの周方向範囲は、ハブと外側エレメントとに接触したブロッキングエレメントの軸方向範囲よりも大きい。ハブ又は外側エレメントは少なくとも1つの軸方向突出部を有し、ブロッキングエレメントは、第1の方向での回転のために、少なくとも1つの突出部とロックするように係合するように配置されており、第1の方向と反対の第2の回転方向での外側エレメントの回転のために、ブロッキングエレメントは、少なくとも1つの突出部から連続的な突出部に摺動するように係合するように配置されている。幾つかの態様において、少なくとも1つの軸方向突出部は少なくとも1つの斜面を含む。
【0023】
幾つかの態様において、ブロッキングエレメントは、ブロッキングエレメントが少なくとも1つの突出部にロックするように係合した時にロッキング係合に関連したエネルギを散逸させるために撓むように配置されている。ハブ又は外側エレメントは少なくとも1つの凹所を有しており、ブロッキングエレメントは、少なくとも1つの凹所に配置されかつハブ又はブロッキングエレメントのうちの一方に回転結合する少なくとも1つのセグメントを含む。
【0024】
本発明のこれらの目的及び利点並びにその他の目的及び利点は、本発明の好適な実施形態の以下の説明と、添付の図面及び請求項とから容易に認められるであろう。
【0025】
本発明の性質及び作動態様がここで、添付の図面を参照した発明の以下の詳細な説明によりさらに完全に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
まず、異なる図面における同じ参照符号は、発明の同じ又は機能的に類似の構造エレメントを表していることが認識されるべきである。本発明は、現時点で好適な態様であると考えられるものに関して説明されるが、請求項に記載の発明は開示された態様に限定されないと理解されるべきである。
【0027】
さらに、発明は、記載された特定の方法、材料及び変更に限定されず、もちろん変更することができる。ここで使用されている用語は、特定の態様だけを説明するためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではなく、発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定される。
【0028】
特に定義されない限りは、ここで使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者にとって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。ここに説明されたものと同じ又は均等のあらゆる方法、装置又は材料が発明の実施又は試験において使用されることができるが、好適な方法、装置及び材料がここでは説明されている。
【0029】
図7Aは、本願において用いられる空間に関する用語を説明する円筒座標系80の斜視図である。本発明は、少なくとも部分的に円筒座標系に関連して説明される。系80は長手方向軸線81を有しており、この長手方向軸線は、以下の方向及び空間の用語のための基準として使用される。"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という形容詞は、軸線81、半径82(軸線81に対して直交する)又は円周83のそれぞれに対して平行な方向に関する。"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という形容詞は、個々の平面に対して平行な方向をいう。様々な平面の配置を明らかにするために、物体84,85及び86が用いられている。物体84の面87は軸方向平面を形成している。すなわち、軸線81はこの面に沿った線を形成している。物体85の面88は半径方向平面を形成している。すなわち、半径82はこの面に沿った線を形成している。物体86の面89は周面を形成している。すなわち、円周83はこの面に沿った線を形成している。別の例として、軸方向の移動又は配置は軸線81に対して平行であり、半径方向の移動又は配置は半径82に対して平行であり、周方向の移動又は配置は円周83に対して平行である。回転は軸線81に関する。
【0030】
"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という副詞はそれぞれ、軸線81、半径82又は円周83に対して平行な方向をいう。"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という副詞は、個々の平面に対して平行な方向をいう。
【0031】
図7Bは、本願において用いられる空間に関する用語を説明する図7Aの円筒座標系における物体90の斜視図である。円筒状物体90は、円筒座標系における円筒状物体を表しており、本願発明をどのようにも限定しようとするものではない。物体90は、軸方向の面91と、半径方向の面92と、周面93とを有している。面91は軸方向平面の一部であり、面92は半径方向平面の一部であり、面93は周面の一部である。
【0032】
"ロックするように"及び"摺動するように"という用語は、2つの物体の間の相対移動を表し、この場合、"ロックするように"は、互いに対する移動を阻止するために2つの物体が互いに係合させられている条件を表すために使用される。"摺動するように"は、2つの物体が互いに係合させられるが、互いに対して移動する条件を表すために使用される。
【0033】
図8は、本発明の一方向クラッチ100の分解された前方斜視図である。
【0034】
図9は、図8に示されたクラッチ100の分解された後方分解斜視図である。
【0035】
図10は、図8に示された一方向クラッチ100の前方斜視図である。
【0036】
図11は、図8に示された一方向クラッチ100の後方斜視図である。以下の説明は図8から図11までを参照すべきである。一方向クラッチ100は、内レース102と、外レース104と、ブロッキングエレメント106とを有している。レース102及び104は、クラッチのための回転軸線若しくは長手方向軸線107を中心として配置されている。レースのうちの一方は、自動車装置(図示せず)におけるトルク伝達エレメント(図示せず)に回転結合されるように配置されている。図8において、レース104はトルク伝達エレメントに結合されるために配置されており、この構成は、そうでないと述べられない限りは以下の説明のための前提とされる。ブロッキングエレメントは、長さと比較して比較的小さな断面を有するワイヤ若しくは別の弾性的な材料から形成されており、ロッキングモード方向、例えば方向108でのレース104の相対回動のためにレースを回転方向でロックするように配置されている。回転方向でロックするとは、レースが一緒に回転させられることを意味する。ロッキングは、レースの直接的な結合によるか、図示のように、中間部材、例えばエレメント106を介するものであることができる。相対回動は、トルク伝達エレメントに結合されていないレース、すなわちレース102に対するものである。レース104は、反対の空転方向、例えば方向110ではレース102に対してレース102から独立して回転するように配置されている。すなわち、レース104は方向110での相対回動の場合には空転する。方向108及び110はそれぞれ逆時計回り及び時計回りとして示されているが、本発明のクラッチにおけるロッキング及び空転は、あらゆる特定の回転方向に限定されないことが理解されるべきである。幾つかの態様において、レース102は、ハブであり、回転方向で固定されている。例えば、クラッチ100はトルクコンバータ(図示せず)のためのステータクラッチであり、レース102は、接地されたステータシャフト(図示せず)に結合されている。しかしながら、本発明のクラッチは、トルクコンバータのステータとの使用に限定されず、本発明のクラッチは、他の自動車装置におけるその他のトルク伝達エレメントと使用されることができる。
【0037】
以下の説明のため及び例示の目的のために、レース104は、そうでないことが述べられない限り、トルク伝達装置に結合されている。しかしながら、レース104ではなく、レース102がトルク伝達装置に結合されることができ、以下の説明は概して、レース102がトルク伝達エレメントに結合されている態様に適用可能であることが理解されるべきである。
【0038】
レース102は少なくとも1つの凹所112を有しており、レース104は少なくとも1つの軸方向突出部114を有している。ブロッキングエレメント106は、個々の凹所112に配置される少なくとも1つのセグメント116を有している。セグメント116と凹所112とは、レース102とブロッキングエレメントとを回転方向で結合させる。回転方向で結合又は固定されているとは、個々の構成部材が一緒に回転する、すなわち構成部材が回転に関して固定されているようにブロッキングエレメントとレースとが結合されていることを意味する。2つの構成要素を回転方向で結合することは、必ずしも他の方向での相対移動を制限するわけではない。例えば、回転方向で結合された2つの構成要素が、スプライン結合を介して互いに対して軸方向移動を行うことが可能である。しかしながら、回転方向での結合は、他の方向での移動が必ずしも存在することを意味すると理解されるべきではない。例えば、回転方向で結合された2つの構成要素は、軸方向で互いに固定されていることができる。回転方向での結合の前記説明は、以下の説明にも適用可能である。
【0039】
ブロッキングエレメントはセグメント118をも有する。レース104が方向108に回転すると、セグメント118は突出部114とロックするように係合し、レースを回転方向でロックする。レース104が方向110に回転すると、ブロッキングエレメント106は、突出部にロックするように係合することなく、突出部上を摺動する。幾つかの態様において、ブロッキングエレメントが形成されたワイヤは、十分にフレキシブルであり、セグメント118が突出部と係合すると撓む。有利には、この撓みは、回転方向のロッキング、特にセグメントと突出部との係合に関連するエネルギを吸収し、エネルギを減衰させる。例えば、減衰は、係合に関する振動又はノイズを低減又は排除することができる。
【0040】
クラッチ100は、回転方向で固定されたレース102及び回転可能なレース104に限定されない。幾つかの態様において、レース102が、トルク伝達エレメントに結合されるように配置され、レース104が固定されている。幾つかの態様において、両方のレースが回転可能であり、トルク受取りレースと他方のレースとの回転が相対回転である。例えば、ロックアップモードをトリガするために、トルク伝達エレメントに結合されたレースは、他方のレースよりも高速でロックアップ方向に回転する。
【0041】
レース102及び104は、トルク伝達エレメントに結合されるか、トルク受取りエレメントに結合されるか、又は技術上知られたあらゆる手段を用いて回転方向で固定されていることができる。例えば、レース102は、スプライン120を用いて結合又は固定されることができ、レース104は、技術上知られたあらゆるファスナ(図示せず)と開口122とを用いて結合又は固定されることができる。
【0042】
図12は、図8に示されたレース104及びブロッキングエレメント106の後面図である。以下の説明は図8から図12までを参照すべきである。幾つかの態様において、突出部114は斜面である。斜面の基部124は、レース104の面126の少なくとも部分に移行しており、斜面は頂上128まで軸方向に増大している(面126に関して高さが増大している)。頂上128において、斜面は、面126に対して鋭角を形成した面130を有している。幾つかの態様において、面130は面126に対して実質的に直交である。セグメント118は、面130のための半径方向角度と同じ半径方向角度を形成しているが、以下に説明するように、面とセグメント118との係合時にブロッキングエレメントが撓むことができるように、角度は異なっていることができる。幾つかの態様において、クラッチ100はプレート132を有している。プレート132は、技術上知られたあらゆる手段、例えばファスナ(図示せず)及び開口134及び122を用いてレース104に結合される。プレート132は、レース102の面136に係合し、レース102をレース104に対して軸方向で保持する。
【0043】
セグメント116は、プレート132とレース104との結合によってレースの間に固定される。セグメント116のこの固定は、ブロッキングエレメントを凹所112と半径方向で整合させておくために働く。図10に示された構成において出発すると、クラッチ100のロッキングモードのために、レース104は方向108に回転し、斜面、特に面130をセグメント118と接触させる(レース102は回転方向で固定されている)。面の角度は、セグメント118のそれ以上の移動に対抗し、例えば、幾つかの態様において、面は、面126及び方向108に対して実質的に直交である。さらに、レースとのセグメント116の係合は、セグメント118を面126と接触させておくために働く。すなわち、面130はセグメント118を超えて進むことができず、レースは、方向108で回転方向でロックされる。ブロッキングエレメントは十分にフレキシブルであり、(斜面の基部と頂上との間において)斜面によって表されたより緩やかな傾斜におけるブロッキングエレメントの軸方向移動を可能にする。すなわち、クラッチ100は、斜面に配置されたセグメント118でロッキングモードを開始することができ、レース104が回転すると、セグメントは斜面を滑り降りて面126に達し、面と係合する。ロッキングモードにおいて、セグメント118は、セグメント137の先行部分として考えられることができる。
【0044】
空転モードの場合、レース104は方向110に回転し、セグメント138が、セグメント137の先行部分として考えられることができる。すなわち、斜面114が方向110に回転すると、斜面は、セグメント118ではなく、まずセグメント138に衝突する。すなわち、セグメント138は斜面に乗り上げ、面130において面126へ落下し、レース104にロッキング係合することなく、レース104の回転に応じて回転し続ける。言い換えれば、空転モードにおいて、セグメント138は、連続した斜面若しくは軸方向突出部114と滑りながら係合することができる。上述のフレキシビリティは、斜面に乗り上げかつ面126に落下するために必要とされるブロッキングエレメントの軸方向撓みを可能にする。
【0045】
レースと接触したブロッキングエレメントの周方向範囲は、レースと接触したブロッキングエレメントの軸方向範囲よりも大きい。例えば、レース104の周面142と接触したブロッキングエレメントの部分に対応するブロッキングエレメントの寸法140は、面142と接触したブロッキングエレメントの部分のための軸方向寸法であるブロッキングエレメントの直径144よりも大きい。つまり、有利には、レースの回転ロックアップの間、周方向寸法140は軸方向寸法144よりも大きい。したがって、ブロッキングエレメントの構成は、レースとの周方向接触範囲を増大させるので、ブロッキングエレメントのための所要の荷重支持能力を維持しながらブロッキングエレメントの軸方向範囲が減じられる。したがって、クラッチ100の軸方向範囲は有利には減じられる。面126及び142は、ブロッキングエレメントのための安定性及び軸方向及び半径方向の支持をも提供する。
【0046】
ロッキングモードに戻ると、幾つかの態様において、レース104、特に面142と接触したブロッキングエレメントの周方向範囲は、セグメント118が面に係合するので増大するように配置されている。例えば、セグメント118が面に接触していない場合、セグメント146は面142に接触していない。しかしながら、セグメント118が面に係合すると、係合が、セグメント146に半径方向外向きの力を生ぜしめ、セグメント146を面142と接触させる。ブロッキングエレメントはこの移動に抵抗し、したがって、係合に関連したエネルギが、セグメントを駆動するために使用されなければならない。有利には、このエネルギの使用は、望ましくない振動又はノイズとして発現することができるエネルギを減衰させる。言い換えれば、ブロッキングエレメント106が軸方向突出部114とロッキング係合すると、セグメント146は半径方向に拡張し、ロッキング係合力を吸収しかつ面142に沿ってブロッキングエレメント106を支持する。
【0047】
幾つかの態様(図示せず)において、セグメント118は半径方向に角度付けられており、これにより、セグメントの半径方向に最も外側部分148は、セグメントの他の部分よりも前に面に接触し、レースはセグメントに向かって移動し続けるので、レースの移動によるエネルギは、セグメントを"真っ直ぐにし"、これにより、セグメントは完全に面に接触する。セグメントを真っ直ぐにするために使用されるエネルギは、望ましくない振動又はノイズとして発現することができるエネルギを減衰させる。
【0048】
レース102がトルク伝達装置に結合されている態様のために、方向が反転されながら前記説明が適用可能である(図8に示された構成を前提とする)。特に、示された構成の場合、レースがレース104に関して方向108に回転する場合、レース102は空転し、レース102がレース104に関して方向110に回転する場合、レースはロックする。
【0049】
幾つかの態様(図示せず)においては、ブロッキングエレメント及びレースの半径方向構成が反転される。すなわち、レース104はブロッキングエレメントの外周に回転方向で結合されており(凹所112とセグメント116との結合の類似)、レース102に突出部が形成されており、ブロッキングエレメントの内周に、突出部に係合するためのセグメントが形成されている。概して、図8から図14までの説明における記述が、回転方向を適当に調節することにより前の構成に適用可能である。例えば、この構成において、レースのどちらかがトルク伝達エレメントに結合されていることができる。
【0050】
クラッチ100は、6つの斜面114と、ブロッキングエレメントの対応するセグメントとを備えて示されている。しかしながら、クラッチ100は、斜面の特定の数に限定されないことが理解されるべきである。例えば、クラッチ100は、多かれ少なかれ6つより多い斜面を有することができる。使用される斜面の数は、クラッチを使用する自動車装置の所望のトルク能力と、製造の考慮、例えば特定の製造プロセスに関する考慮に従って決定されることができる。斜面及びブロッキングエレメントの周方向の向きは反転されることができることも理解されるべきである。例えば、斜面114は、方向108ではなく、方向110に高さが増大するように構成されることができる。
【0051】
ブロッキングエレメント106のためのワイヤは、技術上知られたあらゆる材料から形成された、技術上知られたあらゆるワイヤであることができる。ワイヤは、特定の寸法、断面、又は弾性又は塑性限界等の特性に限定されない。すなわち、トルクコンバータステータにおいて本発明によるクラッチが使用されると、トルクコンバータを収容した車両のためのエンジンのパワーが増大されるならば、レースに形成された斜面の数及び/又はブロッキングエレメントのためのワイヤの寸法又は強度が増大されることができ、その逆もそうである。本発明によるクラッチは図示された構成だけに限定されず、その他の構成も請求項に記載の発明の精神及び範囲に含まれることが理解されるべきである。
【0052】
したがって、本発明の目的は効率的に達成されるが、発明に対する修正及び変更が当業者に容易に明らかであるべきであり、これらの修正は、請求項に記載された発明の精神及び範囲に含まれるものである。前記説明は、本発明の例を示しており、限定するものと考えられるべきでないことも理解される。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明のその他の実施形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ドライブトレーンにおけるトルクコンバータの関係及び機能を説明することを助けるための、自動車における動力伝達経路の概略的なブロック線図である。
【図2】自動車のエンジンに固定されて示されている、従来のトルクコンバータの断面図である。
【図3】概して図2に示された線3−3に沿って見た、図2に示されたトルクコンバータの平面図である。
【図4】概して図3に示された線4−4に沿って見た、図2及び図3に示されたトルクコンバータの断面図である。
【図5】図2に示されたトルクコンバータの第1の分解図であり、分解されたトルクコンバータを左から見たものとして示されている。
【図6】図2に示されたトルクコンバータの第2の分解図であり、分解されたトルクコンバータを右から見たものとして示されている。
【図7A】本願において用いられる空間に関する用語を説明する円筒座標系の斜視図である。
【図7B】本願において用いられる空間に関する用語を説明する図7Aの円筒座標系における物体の斜視図である。
【図8】本発明の一方向クラッチの分解された前方斜視図である。
【図9】図8に示された本発明のクラッチの分解された後方斜視図である。
【図10】図8に示された一方向クラッチの前方斜視図である。
【図11】図8に示された一方向クラッチの後方斜視図である。
【図12】図8に示された外レース及びブロッキングエレメントの正面図である。
【符号の説明】
【0054】
100 クラッチ、 102 内レース、 104 外レース、 106 ブロッキングエレメント、 107 長手方向軸線、 108,110 方向、 112 凹所、 114 軸方向突出部、 116,118 セグメント、 120 スプライン、 126 面、 128 頂上、 130 面、 132 プレート、 134 開口、 136 面、 137,138 セグメント、 140 寸法、 142 面、 144 直径、 146 セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向クラッチにおいて、
該クラッチのための軸線を中心として周方向に配置された第1のレースと、
前記軸線を中心として周方向に配置された第2のレースと、
前記第1のレースと前記第2のレースとの間に配置されたブロッキングエレメントとが設けられており、前記第1のレースが、自動車装置におけるトルク伝達エレメントに回転結合されるように配置されており、前記ブロッキングエレメントが、ワイヤから形成されておりかつ、第1の回転方向での前記第1のレースの、前記第2のレースに関する、相対回動のために前記第1のレースと前記第2のレースとを回転方向でロックするように配置されており、前記第1のレースが、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向で、前記第2のレースに関する回転のために、前記第2のレースから独立して回転するように配置されていることを特徴とする、一方向クラッチ。
【請求項2】
前記ブロッキングエレメントが、前記回転方向のロックに関連したエネルギを減衰させるように配置されている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項3】
前記第1のレース及び前記第2のレースに接触した前記ブロッキングエレメントの周方向範囲が、前記第1のレース及び前記第2のレースに接触した前記ブロッキングエレメントの軸方向範囲よりも大きい、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項4】
前記ロックの間、前記周方向範囲が増大するように配置されている、請求項3記載の一方向クラッチ。
【請求項5】
前記第1のレース又は前記第2のレースのうちの一方がさらに少なくとも1つの軸方向突出部を含み、前記ブロッキングエレメントが、前記第1の回転方向での前記相対回動のために前記少なくとも1つの突出部とロックするように係合するように配置されており、前記第2の回転方向での前記相対移動のために、前記ブロッキングエレメントが、前記少なくとも1つの突出部から連続的な突出部に摺動しながら係合するように配置されている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの軸方向突出部が少なくとも1つの斜面を含む、請求項5記載の一方向クラッチ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの軸方向突出部が、前記摺動する係合の部分として前記ブロッキングエレメントを軸方向に変位させるように配置されている、請求項5記載の一方向クラッチ。
【請求項8】
前記ブロッキングエレメントが前記少なくとも1つの突出部にロックするように係合した時に撓むように、前記ブロッキングエレメントが配置されており、撓むことにより、ロックするように係合することに関連したエネルギを散逸させる、請求項5記載の一方向クラッチ。
【請求項9】
前記第1のレース又は前記第2のレースのうちの他方が、少なくとも1つの凹所を含み、前記ブロッキングエレメントが、前記少なくとも1つの凹所に配置されかつ前記第1のレース又は前記第2のレースのうちの前記他方と前記ブロッキングエレメントとを回転方向で結合させる少なくとも1つのセグメントを含む、請求項5記載の一方向クラッチ。
【請求項10】
前記第1のレースが、前記軸線に関して回転方向で固定されている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項11】
前記第1のレースが、前記軸線に関して回転可能である、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項12】
前記第2のレースが、前記軸線に関して回転方向で固定されている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項13】
前記第2のレースが、前記軸線に関して回転可能である、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項14】
前記第1のレースが、前記トルク伝達エレメントに結合されるように配置されている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項15】
前記第2のレースが、前記トルク伝達エレメントに結合されるように配置されている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項16】
前記クラッチが、トルクコンバータのステータにおいて使用されるために配置されている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項17】
一方向クラッチにおいて、
該クラッチのための軸線を中心として周方向に配置された第1のレースと、
前記軸線を中心として周方向に配置された第2のレースと、
少なくとも1つのセグメントを有するワイヤから形成されたブロッキングエレメントとが設けられており、前記第1のレース又は前記第2のレースのうちの一方が、自動車装置におけるトルク伝達エレメントに結合されるように配置されており、前記第1のレース又は前記第2のレースのうちの一方が凹所を含み、前記少なくとも1つのセグメントが、前記第1のレース又は前記第2のレースのうちの前記一方と前記ブロッキングエレメントとを回転方向で結合するために前記少なくとも1つの凹所に配置され、前記第1のレース又は前記第2のレースのうちの他方が少なくとも1つの斜面を含み、前記ブロッキングエレメントが、第1の回転方向での第1のレース又は第2のレースのうちの他方に関する、トルク伝達エレメントに結合された、第1のレース又は第2のレースの相対回動のために、前記第1のレースと前記第2のレースとを回転方向でロックするために前記少なくとも1つの斜面に係合するように配置されており、トルク伝達エレメントに結合された第1のレース又は第2のレースが、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向での、第1のレース又は第2のレースのうちの他方に関する回転のために、第1のレース又は第2のレースのうちの他方から独立して回転するようには位置されていることを特徴とする、一方向クラッチ。
【請求項18】
ステータ一方向クラッチにおいて、
ハブと、
前記ステータのためのブレードアセンブリに結合されるために配置された外側エレメントと、
ブロッキングエレメントとが設けられており、前記ブロッキングエレメントが、ワイヤから形成されておりかつ、第1の回転方向での前記外側エレメントの回転のために前記ハブと前記外側エレメントとを回転方向でロックするように配置されていることを特徴とする、ステータ一方向クラッチ。
【請求項19】
前記ハブ及び前記外側エレメントと接触した前記ブロッキングエレメントの周方向範囲が、前記ハブ及び前記外側エレメントと接触した前記ブロッキングエレメントの軸方向範囲よりも大きい、請求項18記載のステータ一方向クラッチ。
【請求項20】
前記ハブ又は前記外側エレメントのうちの一方が少なくとも1つの軸方向突出部を含み、前記ブロッキングエレメントが、前記第1の方向における前記回転のために前記少なくとも1つの突出部とロックするように係合するように配置されており、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向での前記外側エレメントの回転のために、前記ブロッキングエレメントが、前記少なくとも1つの突出部から連続的な突出部に摺動しながら係合するように配置されている、請求項18記載の一方向クラッチ。
【請求項21】
前記少なくとも1つの軸方向突出部が少なくとも1つの斜面を含む、請求項20記載のステータ一方向クラッチ。
【請求項22】
前記ブロッキングエレメントが前記少なくとも1つの突出部にロックするように係合した場合に撓むように、前記ブロッキングエレメントが配置されており、撓むことにより、ロックするように係合することに関連したエネルギを散逸させる、請求項20記載のステータ一方向クラッチ。
【請求項23】
前記ハブ又は前記外側エレメントのうちの一方が少なくとも1つの凹所を含み、前記ブロッキングエレメントが、前記少なくとも1つの凹所に配置されかつ前記ハブ又は前記ブロッキングエレメントのうちの前記一方を回転方向で結合させる少なくとも1つのセグメントを含む、請求項18記載のステータ一方向クラッチ。
【請求項24】
ステータ一方向クラッチにおいて、
ハブと、
前記ステータのためのブレードアセンブリに結合されるように配置された外側エレメントと、
少なくとも1つのセグメントを有するワイヤから形成されたブロッキングエレメントとが設けられており、前記ハブ又は前記外側エレメントのうちの一方が凹所を含み、前記少なくとも1つのセグメントが、前記ハブ又は前記外側エレメントのうちの前記一方を回転方向で結合するために前記少なくとも1つの凹所に配置されており、前記ハブ又は前記外側エレメントのうちの他方が少なくとも1つの斜面を含み、前記ブロッキングエレメントが、前記少なくとも1つの斜面にロックするように係合するために、第1の方向での前記外側エレメントの回転のために前記ハブと前記外側エレメントと回転方向でロックするために配置されており、前記第1の方向とは反対の第2の方向での前記外側エレメントの回転のために、前記ブロッキングエレメントが、前記少なくとも1つの斜面から連続的な斜面に摺動しながら係合するように配置されていることを特徴とする、ステータ一方向クラッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−157462(P2008−157462A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−330598(P2007−330598)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Baden, Germany