説明

ワイヤ類クランプ

【課題】 作業者が容易にクランプ本体に設けた操作部を操作できるワイヤ類クランプを提供する。
【解決手段】 クランプ本体1の軸心に沿って貫通するワイヤ挿通孔11にワイヤ類Wを貫通して、該ワイヤ類Wを摺動可能とし、且つ、前記ワイヤ類Wを所望の位置で牽制するロック手段Rを備えたワイヤ類クランプにおいて、前記ロック手段Rの操作部2が、前記ワイヤ挿通孔11の一端から軸心に沿って突出され、この操作部2を軸心方向に操作して、前記ワイヤ類Wのロックまたはアンロックを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内及び/または屋外において、ワイヤ類を張りわたしたり、張りわたされるワイヤ類どうしを継足したり、ワイヤ類を介して天井、壁、支柱、梁、杭などの支持体にテントシート、防災シート、斜光幕、映写幕(スクリーン)、たれ幕、ワイヤフェンスなどの展張材を張設したり、ワイヤ類を介して蛍光灯などの灯具、吊下式黒板、吊下式掲示板、各種装飾品、看板、配管、ペンダントスイッチ等などを前記支持体に吊下げたりするためにワイヤ類を固定するワイヤ類クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クランプ本体にワイヤ類を貫通して、当該ワイヤ類を摺動可能とし、且つ、前記クランプ本体を前記ワイヤ類の所望の位置で牽制させるロック手段を備えたワイヤ類クランプが知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記ロック手段には、クランプ本体の側方に操作部が設けられており、これをアンロック側に操作すれば、前記ワイヤ類がフリーな状態となって、前記ワイヤ類を自由に摺動可能となり、一方、前記操作部をロック側に操作すれば、前記ワイヤ類が牽制されて、前記ワイヤ類が摺動不能となる。
【特許文献1】特開2004−150622号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のワイヤ類クランプの操作部は、クランプ本体の側方からロックまたはアンロックの操作を行う構造であったため、例えば、使用者が操作部を操作する場合、一方の手でワイヤ類やクランプ本体を固定しておき、他方の手で操作部を操作しなければならず、ワイヤ類の位置調整をし難いという問題がある。
【0005】
しかも、ワイヤ類クランプは、一般に高所に設置されることが多く、作業者はクランプ本体の下方から操作部を操作するため、この操作部の位置を確認し難いうえ、作業性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするもので、作業者が容易にクランプ本体に設けた操作部を操作できるワイヤ類クランプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るワイヤ類クランプは、クランプ本体の軸心に沿って貫通するワイヤ挿通孔にワイヤ類を貫通して、該ワイヤ類を摺動可能とし、且つ、前記ワイヤ類を所望の位置で牽制するロック手段を備え、前記ロック手段の操作部が、前記ワイヤ挿通孔の一端から軸心に沿って突出され、この操作部を軸心方向に操作して、前記ワイヤ類のロックまたはアンロックを可能にしたことを特徴にしており、好ましくは、操作部は、ワイヤ挿通孔の下端から軸心に沿って下方に向けて突出してなる。
【0008】
具体的には、前記クランプ本体には、ワイヤ挿通孔から外周面に向けて、軸心に傾斜させて貫通する横孔を形成し、ロック手段は、操作筒、ワイヤ押圧部材、弾性体、封止部材とより構成され、前記操作筒は、ワイヤ挿通孔に挿通される筒体の一部を切欠させて開口部を形成すると共に、一端をクランプ本体の軸方向に突出させて操作部とし、軸心に沿ってワイヤ類を貫通するワイヤ通し孔を形成してなり、前記ワイヤ押圧部材は、前記横孔に挿入されると共に、前記操作筒の開口部に向けて出没可能にしてなり、前記弾性体は、前記横孔に挿入されると共に、前記ワイヤ押圧部材を前記開口部に向けて付勢してなり、前記封止部材は、前記横孔に嵌合して、前記弾性体を封止してなる。
【0009】
このように本発明では、ロック手段の操作部が、ワイヤ挿通孔の一端から軸心に沿って突出され、この操作部を軸心方向に操作して、前記ワイヤ類のロックまたはアンロックを可能にしているので、例えば、使用者が操作部を操作する場合、一方の手でワイヤ類を固定しながら、指先で操作部を容易に操作することができる。
【0010】
そのため、他方の手がフリーな状態となり、この他方の手でワイヤ類の位置を簡単且つ確実に調整することができる。
【0011】
また、本発明の操作部をワイヤ挿通孔の下端から軸心に沿って下方に向けて突出すれば、例えば、ワイヤ類クランプが高所に設置されている場合には、作業者がクランプ本体の下方から操作部を確認しながら容易に操作することができ、作業性を一層高めることができる。
【0012】
ここで、本発明におけるワイヤ類とは、細長く延びた部材、即ち、線材を全般的に含むものであり、針金、電線などの意味で一般的にワイヤと呼ばれている金属線材(金属線)の他に、樹脂からなる線材(樹脂線)、各種金属繊維、各種樹脂繊維、各種動物性繊維、各種植物性繊維のうちから選択された1種類または2種類以上の繊維からなる糸、これら線材及び糸のうちの1種類または2種類以上のものを縒り合わせた紐、綱、ロープなどが含まれる。
【0013】
また、これらワイヤ、線材、糸、紐、綱、ロープの中には表面を塗料や樹脂でコーティングされたものが含まれ、表面を塗料や樹脂でコーティングされた紐、ワイヤ、ロープの中には塗料や樹脂でコーティングされた線材、糸などを縒り合わせたものが含まれる。
【0014】
本発明におけるクランプ本体は、その形状が特に限定されるものではないが、主として軸状のものが挙げられ、この軸状とは、所定の断面形状がその断面に直角な軸方向に連続する形状を言う。
【0015】
また、断面形状には、軸方向に一様であるものと、軸方向の位置によって変化するものとが含まれるのであり、これら断面形状の変化には形状的変化と寸法的変化とが含まれ、更に、これらの変化にはそれぞれ連続的な変化と、段階的な変化とが含まれる。
【0016】
もちろん、この断面形状は、特に限定されず、円形、楕円形、三角形以上の多角形など任意の形状を採用することができる。
【0017】
また、クランプ本体の軸心に沿って貫通されるワイヤ挿通孔は、少なくとも1本のワイヤ類を挿通できる程度以上の径が形成されていれば良い。
【0018】
なお、クランプ本体には、必要に応じて、その外周面に、引っ張られる任意の他物に取り付けるための取付部を設けることが好ましい。
【0019】
また、本発明における弾性体は、ワイヤ押圧部材を操作筒の開口部に向けて付勢するものであればよく、例えば圧縮バネ、引張りバネ、捩りバネなどを用いることができ、例えば、圧縮バネとしては、圧縮コイルバネ、皿バネ、筍バネの他に、いわゆる、ガススプリングとよばれる空気バネやゴムなどを用いることも可能であり、捩りバネとしては捩り棒バネ(トーションバー)や弦巻バネが用いることもできる。
【0020】
この弾性体により、前記ワイヤ押圧部材を付勢するには、ワイヤ押圧部材を付勢する弾性体の後端を封止部材によって封止すれば良い。
【0021】
また、本発明における封止部材の中央には、ネジ孔を開設すると共に、このネジ孔に螺合しながら貫通し、先端が前記弾性体を介して前記ワイヤ押圧部材に当接して、このワイヤ押圧部材の戻りを規制してなるロックネジを設けることも可能である。
【0022】
このロックネジは、ワイヤ押圧部材がワイヤ類をロック状態にしたときに、ネジ孔に螺合させると、ロックネジの先端が弾性体を介してワイヤ押圧部材に当接して、このワイヤ押圧部材の戻りを規制するため、ワイヤ類をロック状態に維持して、操作部の誤操作を防止できる。
【0023】
更に、本発明におけるワイヤ押圧部材は、表面に凹凸を有するギアーで構成することが望ましく、ギアー表面の凹凸がワイヤ類との接触抵抗を高めて、牽制を確実に行うことができる。
【0024】
このワイヤ押圧部材は、前記横孔に挿入され、かつ、この横孔から前記操作筒の開口部に向けて出没可能に構成されていればよく、前記ギアーの他、例えば、カムやアーム或いは爪を用いることができる。
【0025】
また、本発明において、横孔から操作筒の開口部に向けて出没可能にするとは、ワイヤ挿入孔にワイヤ押圧部材の全体が没することは必要ではなく、要は、前記ワイヤ押圧部材の出没によって、前記ワイヤ類を十分に牽制または解除できる程度であれば良いが、前記クランプ本体に固定できるワイヤ類の径の多様性を高める上では、ワイヤ挿入孔にワイヤ押圧部材の全体が没するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るワイヤ類クランプによれば、ロック手段の操作部が、ワイヤ挿通孔の一端から軸心に沿って突出され、この操作部を軸心方向に操作して、前記ワイヤ類のロックまたはアンロックを可能にしているので、例えば、使用者が操作部を操作する場合、一方の手でワイヤ類を固定しながら、指先で操作部を容易に操作することができる。
【0027】
そのため、他方の手がフリーな状態となり、この他方の手でワイヤ類の位置を簡単且つ確実に調整することができる。
【0028】
また、本発明に係るワイヤ類クランプによれば、操作部は、ワイヤ挿通孔の下端から軸心に沿って下方に向けて突出してなるため、例えば、ワイヤ類クランプが高所に設置されている場合には、作業者がクランプ本体の下方から操作部を確認しながら容易に操作することができ、作業性を高めることができる。
【0029】
また、本発明に係るワイヤ類クランプによれば、ワイヤ押圧部材の戻りを規制するロックネジを設けることもでき、このロックネジでワイヤ押圧部材の戻りを規制すれば、ワイヤ押圧部材がワイヤ類を押圧した状態で維持し、前記ワイヤ類をロック状態に維持することもでき、操作部の誤操作を防止できる。
【0030】
また、本発明に係るワイヤ類クランプによれば、ワイヤ押圧部材は、表面に凹凸を有するギアーで構成してなるので、該ギアー表面がワイヤ類に確実に噛合してワイヤ類の滑りを防止し、ワイヤ類を所望の位置で、確実に牽制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係るワイヤ類クランプを図面に基づいて具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0032】
図1は、本発明に係るワイヤ類クランプAの一実施例を示した分解斜視図、図2(a)・(b)は、図1で示したワイヤ類クランプAを縦断した概略断面図であり、図2(a)は、ロック状態を示す概略断面図、図2(b)は、アンロック状態を示す概略断面図を示している。
【0033】
なお、本実施例で示したワイヤ類クランプAは、本発明の一例に過ぎず、この形状や構造に限定されるものではない。
【0034】
本発明のワイヤ類クランプAは、クランプ本体1の軸心に沿って貫通するワイヤ挿通孔11にワイヤ類Wを貫通して、該ワイヤ類Wを摺動可能とし、且つ、ワイヤ類Wを所望の位置で牽制するロック手段Rを備え、このロック手段Rの操作部2が、ワイヤ挿通孔11の一端から軸心に沿って突出され、この操作部2を軸心方向に操作して、ワイヤ類Wのロックまたはアンロックを可能にしたことを特徴にしている。
【0035】
また、本実施例では、操作部2が、ワイヤ挿通孔11の下端から軸心に沿って下方に向けて突出したものを例示しているが、操作部2をワイヤ挿通孔11の上端から軸心に沿って上方に向けて突出させることも可能である。
【0036】
すなわち、本発明は、ロック手段Rの操作部2をワイヤ挿通孔11の一端に設けると共に、この操作部2を軸心方向に操作するだけで、ワイヤ類Wのロックまたはアンロックを可能にしたものであり、例えば、使用者が操作部2を操作する場合、一方の掌でワイヤ類を掴みながら、指先で操作部2を軸心方向に引っ張るだけで、ワイヤ類Wのロックまたはアンロックを容易に操作することができる。
【0037】
そのため、操作部2を操作する際、他方の手をフリーな状態にでき、この他方の手でワイヤ類Wに吊下げた看板、配管、ペンダントスイッチ等などを支持しながら、その吊下げ位置を簡単且つ確実に調整することができる。
【0038】
特に、操作部2を図例のようにワイヤ挿通孔11の下端から軸心に沿って下方に向けて突出したものでは、例えば、ワイヤ類クランプAが高所に設置されている場合でも、作業者がクランプ本体1の下方から操作部2を確認しながら容易に操作することができ、作業性を一層高めることができる。
【0039】
本実施例を更に具体的に説明すれば、クランプ本体1には、ワイヤ挿通孔11から外周面に向けて、軸心に傾斜させて貫通する横孔12を形成しており、また、ロック手段Rは、操作筒3、ワイヤ押圧部材4、弾性体5、封止部材6とより構成してなる。
【0040】
クランプ本体1には、軸心に沿って取付部1aが突設しており、この取付部1aを天井、壁、支柱、梁、杭などの支持体(不図示)の各所に固定するようにしている。
【0041】
操作筒3は、クランプ本体1のワイヤ挿通孔11に挿通される筒体であって、且つ、 この筒体の一部を切欠させて開口部31を形成してなり、この操作筒3の一端をクランプ本体1の軸方向に突出させ、この突出された部分を操作部2としている。
【0042】
また、操作筒3内はワイヤ通し孔32であって、このワイヤ通し孔32にワイヤ類Wが軸心に沿って貫通されている。
【0043】
一方、ワイヤ押圧部材4は、横孔12から挿入し、このワイヤ押圧材材4に次いでコイルバネ等の弾性体5を挿入し、更に、この弾性体5が横孔12から飛び出さないように封止部材6で封止している。
【0044】
そのため、弾性体5が、ワイヤ押圧部材4を操作筒3の開口部31に向けて常に付勢し、操作筒3が上、下に移動されると、ワイヤ押圧部材4は、操作筒3の開口部31に向けて出没可能となる。
【0045】
また、ワイヤ押圧部材4は、単なる球体でも構わないが、本実施例では、表面に凹凸41を有するギアーで構成しており、このようなギアーであれば、表面の凹凸41がワイヤ類Wに確実に噛合してワイヤ類Wとの滑りを防止し、ワイヤ類Wを所望の位置で確実に牽制できる。
【0046】
また、封止部材6は、弾性体5が横孔12から飛び出さないように封止できる栓であっても構わないが、本実施例では、横孔12に雌ネジ部12aを形成すると共に、この雌ネジ部12aに螺合する雄ネジ部61を短筒状の封止部材6の外面に形成して、封止部材6を横孔12に螺合することで、弾性体5が横孔12から飛び出さないように封止している。
【0047】
このように構成した本発明のワイヤ類クランプAは、図2(a)に示すように、弾性体5がワイヤ押圧部材4を開口部31に突出させてワイヤ類Wを付勢しているため、ワイヤ類Wは、ワイヤ押圧部材4の牽制によって、これ以上、上方向には移動することができず、換言すれば、クランプ本体1が、下方に移動されないロック状態となっている。
【0048】
なお、図2(a)・(b)では、ワイヤ類Wが図中下方向に張力や荷重が負荷されているとして説明する。
【0049】
この図2(a)で示したロック状態から、ワイヤ類Wを下方向に移動する必要が生じた場合、換言すれば、クランプ本体1を上方に移動する必要が生じた場合には、クランプ本体1の下端に突出された操作部2を、一方の指先で摘まんで、図中矢印で示すように下方に向けて引っ張ると、操作筒3が下方に移動され、やがて開口部31の上端に接合する。
【0050】
そして、弾性体5の付勢に抗しながら、操作部2を更に下方に向けて引っ張ると、弾性体5が収縮すると共に、ワイヤ押圧部材4は開口部31から押し出されて、横孔12に埋没する。
【0051】
そのため、図2(b)で示すように、ワイヤ類Wに対する付勢が解除されて、ワイヤ類Wはフリーな状態となるため、このワイヤ類Wを上方向に移動することができ、換言すれば、クランプ本体1を下方に移動可能なアンロック状態となる。
【0052】
このアンロック状態にして、フリーな他方の手でワイヤ類Wを上方に引き上げるか、又は、クランプ本体1を引っ張ったままでクランプ本体1を下方に引き下げて、ワイヤ類W(又は、クランプ本体1)を所望の位置に調整する。
【0053】
そして、ワイヤ類11(又は、クランプ本体1)が所望の位置に到達したとき、摘まんでいた操作部2を離せば、弾性体5の弾性復元力によって、ワイヤ押圧部材4は、横孔12から突出されて操作筒3を上方に移動させると共に、操作筒3の開口部31に埋没し、開口部31内に挿通されたワイヤ類Wを、図2(a)で示すように再び付勢して、このワイヤ類11(又は、クランプ本体1)を所望の位置で牽制したロック状態にするのである。
【0054】
このように、本発明に係るワイヤ類クランプAによれば、操作部2が、ワイヤ挿通孔11の一端から軸心に沿って突出され、この操作部2を軸心方向に操作して、前記ワイヤ類Wのロックまたはアンロックを可能にしているので、例えば、使用者が操作部2を操作する場合、一方の手でワイヤ類Wを固定しながら、指先で操作部2を容易に操作することができる。
【0055】
そのため、他方の手がフリーな状態となり、この他方の手でワイヤ類Wの位置を簡単且つ確実に調整することができる。
【0056】
また、本発明のワイヤ類クランプAによれば、例えば、クランプ本体1が高所に設置されている場合であっても、作業者がクランプ本体1の下端に突出された操作部2を確認しながら、この操作部2を一方の指先で摘まんで引き下げるだけで、操作部2を容易に操作でき、しかも、フリーな他方の手でワイヤ類W(又は、クランプ本体1)を所望の位置に調整することもでき、位置調整の作業性を高めることができる。
【0057】
上述の如く、本発明に係るワイヤ類クランプAは、その位置調整を容易に行うことができるものであるが、所望の位置に調整した後、例えば、子供等が操作部2を誤って操作すると危険である。
【0058】
そのため、本実施例では、位置調整後におけるワイヤ押圧部材4の戻りを規制するロックネジ7を設けて、安全性をも確保するようにしている。
【0059】
本実施例では、図1〜図3で示すように、封止部材6の中央にネジ孔62を開設すると共に、このネジ孔62に螺合しながら貫通し、先端がコイルバネである弾性体5を介してワイヤ押圧部材4に当接して、このワイヤ押圧部材4の戻りを規制してなるロックネジ7を設けている。
【0060】
すなわち、上述のように本発明のワイヤ類クランプAを所望の位置に調整してロック状態にした後、ロックネジ7を封止部材6のネジ孔62に捩じ込んでいくと、やがてロックネジ7の先端が弾性体5を介してワイヤ押圧部材4に当接する。
【0061】
そのため、このロックネジ7が捩じ込まれた状態では、先程のようにクランプ本体1の操作部2を指先で摘まんで、下方に向けて引っ張ったとしても、ワイヤ押圧部材4がロックネジ7に規制されて移動できないため、操作筒3も下方に移動されることがなく、アンロック状態にすることを確実に規制できる。
【0062】
このようなロックネジ7を設けることで、例えば、子供等が操作部2を誤って操作してもアンロック状態にはならず、ワイヤ類Wをロック状態に確実に維持することができ、安全性も確保できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明に係るワイヤ類クランプの一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】図2(a)・(b)は、図1で示すワイヤ類クランプを縦断した概略断面図であり、図2において、(a)図はロック状態を示す概略断面図であり、(b)図はアンロック状態を示す概略断面図である。
【図3】図1及び図2で示すロックネジで、ワイヤ押圧部材の戻りを規制したロック状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0064】
A ワイヤ類クランプ
R ロック手段
W ワイヤ類
1 クランプ本体
11 ワイヤ挿通孔
12 横孔
2 操作部
3 操作筒
31 開口部
32 ワイヤ通し孔
4 ワイヤ押圧部材
41 凹凸
5 弾性体
6 封止部材
62 ネジ孔
7 ロックネジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ本体の軸心に沿って貫通するワイヤ挿通孔にワイヤ類を貫通して、該ワイヤ類を摺動可能とし、且つ、前記ワイヤ類を所望の位置で牽制するロック手段を備えたワイヤ類クランプにおいて、
前記ロック手段の操作部が、前記ワイヤ挿通孔の一端から軸心に沿って突出され、この操作部を軸心方向に操作して、前記ワイヤ類のロックまたはアンロックを可能にしたことを特徴とするワイヤ類クランプ。
【請求項2】
操作部は、ワイヤ挿通孔の下端から軸心に沿って下方に向けて突出してなる請求項1に記載のワイヤ類クランプ。
【請求項3】
クランプ本体には、ワイヤ挿通孔から外周面に向けて、軸心に傾斜させて貫通する横孔を形成し、
ロック手段は、操作筒、ワイヤ押圧部材、弾性体、封止部材とより構成してなり、
前記操作筒は、ワイヤ挿通孔に挿通される筒体の一部を切欠させて開口部を形成すると共に、一端をクランプ本体の軸方向に突出させて操作部とし、軸心に沿ってワイヤ類を貫通するワイヤ通し孔を形成してなり、
前記ワイヤ押圧部材は、前記横孔に挿入されると共に、前記操作筒の開口部に向けて出没可能にしてなり、
前記弾性体は、前記横孔に挿入されると共に、前記ワイヤ押圧部材を前記開口部に向けて付勢してなり、
前記封止部材は、前記横孔に嵌合して、前記弾性体を封止してなる、請求項1または請求項2のいずれかに記載のワイヤ類クランプ。
【請求項4】
封止部材の中央には、ネジ孔を開設すると共に、このネジ孔に螺合しながら貫通し、先端が前記弾性体を介して前記ワイヤ押圧部材に当接して、このワイヤ押圧部材の戻りを規制してなるロックネジを設けてなる請求項3に記載のワイヤ類クランプ。
【請求項5】
ワイヤ押圧部材は、表面に凹凸を有するギアーで構成してなる請求項3または請求項4のいずれか1項に記載のワイヤ類クランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−175288(P2008−175288A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8928(P2007−8928)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(501390965)大阪コートロープ株式会社 (9)