Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
ワクチンのための免疫調節因子
説明

ワクチンのための免疫調節因子

【課題】本発明は、感染性因子の範囲に対して使用することが意図されるワクチンにおける使用のための免疫調節因子に関し、さらに、免疫調節因子を、好ましくは抗原と組み合わせて免疫調節因子を含むワクチン組成物、およびこのワクチン組成物を使用するワクチン接種方法に関する。
【解決手段】感染性疾患に対するワクチンのための免疫調節因子としての以下の使用を開示する:(i)全体毒素を含まないEtxB、CtxBもしくはVtxB;(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb−3結合活性を有する、VtxB以外の因子;あるいは(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対して効果を有する因子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(ワクチン)
本発明は、感染性因子の範囲に対して使用することが意図されるワクチンにおける使用のための免疫調節因子(immunomodulator)に関する。さらに、本発明は、免疫調節因子を、好ましくは抗原と組み合わせて免疫調節因子を含むワクチン組成物、およびこのワクチン組成物を使用するワクチン接種方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コレラ毒素(Ctx)およびその密接に関連するE.coli非耐熱性腸毒素(Etx)は、強力な免疫原であり、かつ粘膜アジュバントである。しかし、それらの固有の毒性は、それらをヒトにおける使用に適さないようにする。例えば、Ctxは、実験動物において最も一般的に使用される粘膜アジュバントであるが、その強力な下痢を誘導する特性のために、ヒトにおける使用には適していない。例えば、CtxおよびEtxの成分をホロ毒素(holotoxin)自体についての代替物として使用することにより、アジュバント活性から毒性を分離する試みがなされてきた。E.coliベロ毒素(verotoxin:Vtx)は、別の公知の細菌毒素である。
【0003】
CtxおよびEtxは、酵素的に活性なAサブユニットおよび五量体Bサブユニットから構成されるヘテロ六量体タンパク質である。CtxBおよびEtxBは、GM1−ガングリオシド(GM1)(哺乳動物細胞の表面上に遍在して見出されたグリコスフィンゴリピド(glycosphingolipid))に結合することが公知である。Vtxは、GM1に対するレセプターの類似の型であるGb3に結合する。
【0004】
ワクチン開発についての毒性の問題を回避する試みにおいて、非毒性Bサブユニットのアジュバント活性が、以前に調査されている。しかし、多くの報告が、CtxBまたはEtxBの商業的調製物が使用された実験を記載する。これらの調製物は、小量であるが生物学的に有意な量の活性毒素が回避不能に混入しており、Bサブユニットに起因するアジュバント活性は、全体毒素(whole toxin)のアジュバント活性とは区別できない(WuおよびRussell(1993)Infection and Immunity 61:314−322、US−5182109)。組換えCtxB(rCtxB)を使用する続く研究は、CtxBが、乏しい粘膜アジュバントであり、ネイティブホロ毒素の添加のみが、強力なバイスタンダー(bystander)応答を引き起こすことを示唆した(Tamuraら(1994)Vaccine 12:419−426)。他の研究は、rCtxBが、ホロ毒素のADPリボシル化活性およびcAMP刺激活性を欠き、そしてアジュバント機構がこれらの能力と関連するので、CtxBは、アジュバントとして使用するには適していないことを示唆した(VajdyおよびLycke(1992)Immunology 75:488−492、Lyckeら(1992)Eur.J.Immunol.22:2277−2281、Douceら(1997)Infection and Immunity 65:2821−2828)。
【0005】
別の研究において、rCtxBをアジュバントとして使用する卵白アルブミンの鼻腔内投与は、乏しい抗体応答を生じた。Aサブユニットにおける変異を有するCtxの非毒性誘導体もまた、バイスタンダー抗原に対して弱い応答を生成し、一方、活性Aサブユニットの存在は、アジュバント活性を劇的に増加し、これらのことは、活性Aサブユニットが必須であることを示唆する(Douceら(1997)上記)。
【0006】
rCtxBおよびrEtxBを使用して、異種抗原に対する寛容性を促進し得ることもまた示されている(Sunら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91:4610−4614、Sunら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.93:7196−7201、Bergerotら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.94:4610−4614、Williamsら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.94:5290−5295)。このことは、これらの分子が、アジュバントとして使用するには適切ではないことを示唆する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(本発明の根拠)
CtxBおよびEtxBが乏しいアジュバント性(ajuvanticity)を有し、そして事実、寛容原として作用し得るということが当該分野における教示であるにもかかわらず、本発明は、それにもかかわらず、マウスモデルにおいてHSVについての鼻腔内ワクチンにおけるrEtxB(従って、残留ホロ毒素またはAサブユニットを含まない)の使用を調査し、そして驚くべきことに、ウイルスチャレンジに対する防御免疫応答を刺激し得ることを見出した。詳細には、本発明は以下のことを見出した:
i)EtxBおよびCtxBのような因子は、高レベルの局所(粘膜)抗体産生を刺激する(rEtxBを使用する免疫化は、組み合わせたCtx/CtxBよりも、低レベルの全体の血清抗体産生を刺激したにも関わらず);
ii)産生された抗体の分布は、非補体固定抗体(特に、S−IgAおよびIgG1)の方へ傾いた;
iii)EtxBおよびCtxBのような因子はまた、局所および全身性のT細胞増殖性応答を刺激した;
iv)CtxBおよびEtxBのような因子は、免疫応答をTh1関連応答からTh2関連応答へシフトする傾向がある;
v)CtxBおよびEtxBのような因子が、免疫調節因子として使用される場合、Th2関連応答の有害効果のいくつか(例えば、IgEの生成)が回避される;
vi)rEtxBは、rCtxBよりもさらに有効な免疫調節因子である。
【0008】
vii)EtxBおよびCtxBのような因子は、抗原提示細胞が抗原をインターナライズし、そしてプロセスする方法を変更して、抗原存続を増加し得る。;
viii)EtxBおよびCtxBのような因子が抗原に連結される場合、抗原のプロセシング経路を、免疫調節因子に対する結合を変更することによって変更することが可能である;そして
ix)VtxBは、EtxBおよびCtxBによって発揮される効果と同様の免疫調節効果を、インビトロで白血球集団に対して発揮する。
【0009】
これらの重要な発見は、本発明の様々な局面の根拠であり、そして純粋なEtxB、CtxBおよびVtxB、ならびにGM1またはGb3に結合し得るかまたはそれに結合する効果を模倣する他の因子が、HSV−1感染ならびに他の感染に対する予防的ワクチン接種および治療的ワクチン接種において、免疫調節因子としてワクチンにおける使用のために有用であり、その予防または処置が上記に列挙した型の免疫調節から恩恵を受けるということを、本発明者らが予測することを可能にした。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1) 感染性疾患に対するワクチンのための免疫調節因子としての以下の使用:
(i)全体毒素を含まないEtxB、CtxBもしくはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb−3結合活性を有する、VtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対して効果を有する因子。
(項目2) 前記免疫調節因子が全体毒素を含まないEtxBである、項目1に記載の使用。
(項目3) 前記感染性疾患が、該疾患についての感染性因子がヘルペスウイルスファミリーのメンバーである、項目1または2に記載の使用。
(項目4) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子が、HSV−1、HSV−2、EBV、VZV、CMV、HHV−6、HHV−7およびHHV−8からなる群より選択される、項目3に記載の使用。
(項目5) 前記感染性因子が、HSV−1、HSV−2、CMVまたはEBVからなる群より選択される、項目4に記載の使用。
(項目6) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子がインフルエンザウイルスである、項目1または2に記載の使用。
(項目7) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子がパラインフルエンザウイルスである、項目1または2に記載の使用。
(項目8) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子がRSウイルスである、項目1または2に記載の使用。
(項目9) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子が肝炎ウイルスである、項目1または2に記載の使用。
(項目10) 前記感染性因子が、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびD型肝炎ウイルスからなる群より選択される、項目9に記載の使用。
(項目11) 前記感染性因子が、A型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスである、項目10に記載の使用。
(項目12) 前記感染性疾患が髄膜炎である、項目1または2に記載の使用。
(項目13) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子が、Neisseria meningitidis、Haemophilus influenzae B型およびStreptococcus pneumoniaeからなる群より選択される、項目12に記載の使用。
(項目14) 前記感染性因子が、肺炎または気道感染である、項目1または2に記載の使用。
(項目15) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子が、Streptococcus pneumoniae、Legonella pneumophilaおよびMycobacterium tuberculosisからなる群より選択される、項目14に記載の使用。
(項目16) 前記感染性疾患が、性行為感染症である、項目1または2に記載の使用。
(項目17) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子が、Neisseria gonnorheae、HIV−1、HIV−2およびChlamydia trachomatisからなる群より選択される、項目16に記載の使用。
(項目18) 前記感染性疾患が、胃腸疾患である、項目1または2に記載の使用。
(項目19) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子が、腸病原性、腸毒素産生性、腸侵入性、腸出血性および腸凝集性の、E.coli、ロタウイルス、Salmonella enteritidis、Salmonella typhi、Helicobacter pylori、Bacillus cereus、Campylobacter jejuniおよびVibrio choleraeからなる群より選択される、項目18に記載の使用。
(項目20) 前記感染性疾患が、表在性感染である、項目1または2に記載の使用。
(項目21) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子が、Staphylococcus aureus、Streptococcus pyogenesおよびSteptococcus mutansからなる群より選択される、項目20に記載の使用。
(項目22) 前記感染性疾患が、寄生性疾患である、項目1または2に記載の使用。
(項目23) 前記感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、そして該感染性因子が、マラリア、Trypanasoma spp.、Toxoplasma gondii、Leishmania donovaniおよびOncocerca spp.からなる群より選択される、項目22に記載の使用。
(項目24) 感染性疾患に対して使用するためのワクチン組成物であって、該感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、ここで該ワクチン組成物が、抗原決定基および以下:
(i)全体毒素を含まないEtxB、CtxBもしくはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb−3結合活性を有する、VtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対して効果を有する因子、
から選択される免疫調節因子を含み、
ここで該抗原決定基が、該感染性因子の抗原決定基である、ワクチン組成物。
(項目25) 前記感染性疾患がHSV−1感染であり、そしてここで、前記抗原決定基がHSV−1の抗原決定基である、項目24に記載のワクチン組成物。
(項目26) 前記免疫調節因子が、全体毒素を含まないEtxBである、項目24または25に記載のワクチン組成物。
(項目27) 前記免疫調節因子および前記抗原決定基が別々の部分である、項目24、25または26に記載のワクチン組成物。
(項目28) 前記免疫調節因子および前記抗原決定基が、二官能性架橋試薬によって結合される、項目24、25または26に記載のワクチン組成物。
(項目29) 感染性疾患に対して哺乳動物被験体をワクチン接種するためのキットであって、該キットは、以下:
a)以下の因子の1つ:
(i)全体毒素を含まないEtxB、CtxBもしくはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb−3結合活性を有する、VtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対して効果を有する因子、ならびに
b)該ワクチン免疫調節因子と同時投与するための、該感染性疾患の抗原決定基である抗原決定基、を含む、キット。
(項目30) 宿主における疾患を予防または処置する方法であって、該方法は、少なくとも1つの抗原決定基および免疫調節因子を含むワクチンを該宿主に接種する工程を包含し、ここで該免疫調節因子は、以下:
(i)全体毒素を含まないEtxB、CtxBもしくはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb−3結合活性を有する、VtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対して効果を有する因子、
である、方法。
(項目31) 粘膜表面で抗体の産生をアップレギュレートするための、
以下の使用:
(i)全体毒素を含まないEtxB、CtxBもしくはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb−3結合活性を有する、VtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対して効果を有する因子。
(項目32) 哺乳動物被験体において抗原提示を延長し、かつ持続した免疫学的記憶を与えるための、ワクチンにおける免疫調節因子としての、以下の使用:
(i)全体毒素を含まないEtxB、CtxBもしくはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb−3結合活性を有する、VtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対して効果を有する因子。
(項目33) 感染性疾患に対して使用するためのワクチン組成物であって、該感染性疾患が感染性因子によって引き起こされ、ここで該ワクチンが、抗原決定基および以下:
(i)全体毒素を含まないEtxB、CtxBもしくはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb−3結合活性を有する、VtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対して効果を有する因子、
から選択される免疫調節因子を含み、
ここで該抗原決定基が、該感染性因子の抗原決定基であり、そしてここで該免疫調節因子が、該抗原決定基の提示を延長し、かつ持続した免疫学的記憶を与える、ワクチン組成物。
(項目34) 抗原または抗原決定基の送達を、抗原提示細胞のサイトゾルまたは核に標的化するための、該抗原または抗原決定基と組み合わせての以下の使用:
(i)全体毒素を含まないEtxB、CtxBもしくはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb−3結合活性を有する、VtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される小胞インターナリゼーションに対して効果を有する因子。
(項目35) 抗原決定基、または抗原由来の抗原決定基の抗原提示を、MHCクラスI分子によってアップレギュレートするための、該抗原または抗原決定基と組み合わせての以下の使用:
(i)全体毒素を含まないEtxB、CtxBもしくはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb−3結合活性を有する、VtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される小胞インターナリゼーションに対して効果を有する因子。
(項目36) EBV関連疾患の処置および/または予防における使用のための、以下を含むワクチン組成物:
a)EtxB、CtxB、またはGM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子;および
b)EVB抗原。
(項目37) EBV関連疾患の処置における使用のための、EtxB、CtxB、またはGM1結合活性を有するEtxBもしくはCtxB以外の因子を含む、治療用組成物。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、HSV−1糖タンパク質/rEtxBを用いて免疫したマウスにおいて、血清(MS)における全IgおよびIgAおよび眼の洗浄(EW)の際のIgAの刺激を示す。
【図2】図2は、HSV−1/rEtxBを用いて免疫したマウスにおける(腸間膜リンパ節)MLNリンパ球または(頸部リンパ節)CLNリンパ球のT細胞増殖を示す。
【図3】図3は、1〜20μgのEtxBの存在下においてHSV−1 Gpを用いて鼻内的に免疫したマウスのMLNおよびCLN由来の細胞のT細胞増殖を示す。
【図4】図4は、アジュバントとして可変量のrEtxBまたはrCtxBを用いる、10日間隔で3回のHSV−1糖タンパク質の投与後の、マウスにおける抗HSV−1血清Igのレベルを示す。
【図5】図5は、HSV−1/rEtxBを用いて免疫したマウスにおけるウイルス散布性、臨床的疾患および潜伏の減少を示す。
【図6】図6は、免疫調節因子としてEtxBまたはCtxBの存在下においてHSV−1を用いる感染またはHSV−1 Gpを用いる免疫の後の、MSにおけるIgアイソタイプ分布を示す。
【図7】図7は、免疫調節因子としてrEtxBまたはrCtxbのいずれかを用いるHSV−1 Gpの鼻内投与後のIgサブクラスの分布を示す。
【図8】図8は、HSV−1糖タンパク質を用いる投与後の眼の洗浄の際のHSV−1特異的IgAのレベルに対する種々の量のrEtxBまたはrCtxBの免疫原効果を示す。
【図9】図9は、HSV−1または偽(mock)糖タンパク質(gp)を単独またはアジュバントの存在下において用いるマウスの免疫後の血清免疫グロブリン応答を示す。
【図10】図10は、HSV−1もしくは偽糖タンパク質を単独またはアジュバントの存在下において用いるマウスの鼻内免疫後の眼の洗浄の際の粘膜IgAを示す。
【図11】図11は、HSV−1もしくは偽糖タンパク質(gp)を単独またはアジュバントの存在下において用いるマウスの鼻内免疫後の膣の洗浄の際の粘膜IgAを示す。
【図12】図12は、HSV−1糖タンパク質をアジュバントとして種々の用量のrEtxBの存在下において用いて免疫したマウス由来の血清におけるHSV−1特異的免疫グロブリンのレベルを示す。
【図13】図13は、変化する濃度のrEtxBの存在下においてHSV−1糖タンパク質を用いて免疫したマウスの眼の洗浄の際のIgAのレベルを示す。
【図14】図14は、変化する濃度のrEtxBの存在下においてHSV−1糖タンパク質を用いて免疫したマウスの膣の洗浄の際のIgAのレベルを示す。
【図15】図15は、Ctx/CtxBもしくはrEtxBを用いる鼻内免疫またはHSV−1を用いる眼の感染後のHSV−1に対する血清抗体応答のIgGサブクラス分布を示す。
【図16】図16は、眼の乱切によりHSV−1を用いて感染されたか、アジュバントとしてCtx/CtxBまたはrEtxBを用いるHSV−1糖タンパク質の鼻内投与によって免疫されたかのいずれかであるマウスから採取したリンパ節細胞の培養物からのサイトカイン産生を示す。
【図17】図17は、免疫調節因子としてrEtxBの存在下においてHSV−1または偽糖タンパク質の混合物を用いて鼻内に免疫されたマウスにおける眼のHSV−1感染に対する保護のレベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(免疫応答の刺激)
EtxB、CtxB、VtxBおよびGM1またはGb3へ結合し得るかまたは結合の効果を模倣し得る他の因子は、免疫調節因子として作用し得、そして抗原チャレンジに対する特異的な免疫応答を刺激する。
【0012】
本発明の第一の局面に従って、以下:
(i)全体毒素がないEtxB、CtxBまたはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBまたはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有する、VtxB以外の因子;または
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対する効果を有する因子;
の、感染疾患に対するワクチンについての免疫調節因子としての使用が提供される。
【0013】
本発明の第二の局面に従って、感染疾患に対する使用のためのワクチン組成物が提供される。この感染疾患は、感染因子によって生じ、ここで、このワクチン組成物が、抗原性決定基および以下から選択される免疫調節因子を含有する:
(i)全体毒素がないEtxB、CtxBまたはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBまたはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有する、VtxB以外の因子;または
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対する効果を有する因子;
ここで、上記抗原性決定基は、上記感染因子の抗原性決定基である。
【0014】
抗原および免疫調節因子は、例えば、共有結合的にまたは遺伝的に連結されて、単一の有効な因子を形成し得る。本発明の特定の実施態様において、この抗原および免疫調節因子は、化学的に結合体化され得る。例えば、この抗原および免疫調節因子は、ヘテロ二官能性架橋試薬を用いて化学的に連結され得る。本発明のこの局面の殆どの適用において、別個の投与(ここで、抗原および免疫調節因子は、そのようには連結されていない)が好ましい。なぜなら、この投与は、異なる部分の別々の投与を可能にするからである。
【0015】
本発明の第三の局面に従って、哺乳動物被験体(例えば、ヒトまたは獣医学的被験体)の、感染疾患に対するワクチン接種のためのキットが提供される。このキットは、以下を備える:
a)以下の因子のうちの一つ:
(i)全体毒素がないEtxB、CtxBまたはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBまたはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有する、VtxB以外の因子;または
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対する効果を有する因子;ならびに
b)上記ワクチン免疫調節因子との同時投与のための上記感染疾患の抗原性決定基である抗原性決定基。
【0016】
本発明の第二の局面のワクチン組成物および本発明の第三の局面のキットは、予防的または治療的なワクチン接種方法において使用され得る。ここで、「予防的ワクチン」はナイーブな(未感染の)個体に対して投与されて、疾患の発症を防ぎ、そして「治療的ワクチン」は、存在する感染を有する個体に対して投与されて、その感染を減少もしくは最小化し、またはその疾患の免疫病理的結果を除去する。
【0017】
EtxBのような因子は、一旦感染が生じると免疫応答の性質を変更する能力を有する。そのような因子を含む治療的ワクチン(すなわち、抗原を含む必要はないもの)は、その免疫応答が感染を除去しなかった状況において特に使用を見出し得る。この適用は、特に慢性疾患(例えば、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、HIV、TBおよび寄生虫からなる群から選択される原因因子についての疾患)を処置するための使用であり得る。
【0018】
本発明の第四の局面に従って、宿主における疾患を予防または処置する方法が提供される。この方法は、上記宿主に、少なくとも1つの抗原性決定基および免疫調節因子を含むワクチンを接種する工程を包含する。ここで、この免疫調節因子は:
(i)全体毒素がないEtxB、CtxBまたはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBまたはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有する、VtxB以外の因子;または
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対する効果を有する因子。
【0019】
このワクチンは、同時投与のためにパッケージングされ得、そして多数の異なる経路(例えば、経鼻、経口、膣内、尿道内、または眼内の投与)によって投与され得る。鼻内免疫が現在好ましい。ワクチンが鼻内に投与される場合、そのワクチンは、エーロゾルとしてまたは液剤形態として投与され得る。
【0020】
抗原性決定基および免疫調節因子は、単回用量または複数回用量として被験体に投与され得る。
【0021】
第一の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキット、および本発明の第四の局面の方法は、その感染因子が、ヘルペスウイルスファミリーのメンバーである疾患に対して使用される。例えば、その感染因子は、以下からなる群より選択され得る:HSV−1、HSV−2、EBV、VZV、CMV、HHV−6、HHV−7およびHHV−8。特に、その感染因子は、HSV−1、HSV−2、CMVまたはEBVであり得る。
【0022】
この第一の実施態様において、この抗原決定因子は、好ましくは、ヘルペスウイルスの最初期、初期または後期の遺伝子産物(例えば、表面糖タンパク質)の抗原性決定基である。
【0023】
その感染因子は、HSV−1またはHSV−2である場合、その抗原性決定基は、以下からなる群より選択される遺伝子産物の抗原性決定基であり得る:gD、gB、gH、gCまたは潜伏関連転写物(LAT)。
【0024】
その感染因子がEBVである場合、この抗原性決定基は、gp340もしくははgp350または潜在的なタンパク質の抗原性決定基であり得る(例えばEBNA 1、EBNA 2、EBNA 3A、EBNA 3B、EBNA 3CおよびEBNA−LP、LMP−1、LMP−2AおよびLMP2BまたはEBER).
第二の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキットおよび本発明の第四の局面の方法は、その感染因子がインフルエンザウイルスである疾患に対して使用される。
【0025】
この第二の実施態様において、この抗原性決定基は、好ましくはウイルス外被タンパク質(例えば、血液凝集素およびノイラミニダーゼ)または内部タンパク質(例えば、核タンパク質)の抗原性決定基である。
【0026】
第三の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキットおよび本発明の第四の局面の方法は、その感染因子がパラインフルエンザウイルスである疾患に対して使用される。
【0027】
第四の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキットおよび本発明の第四の局面の方法は、その感染因子がRSウイルスである疾患に対して使用される。
【0028】
第五の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキットおよび本発明の第四の局面の方法は、その感染因子が肝炎ウイルスである疾患に対して使用される。例えば、その感染因子は、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎およびD型肝炎からなる群より選択され得る。特に、その感染因子は、A型肝炎またはC型肝炎であり得る。
【0029】
第六の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキットおよび本発明の第四の局面の方法は、髄膜炎に対して使用される。この第六の実施態様において、その感染因子は、Neisseria meningitidis、Haemophilus influenzaeB型およびStreptococcus pneumoniaeからなる群より選択され得る。
【0030】
第七の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキットおよび本発明の第四の局面の方法は、肺炎または呼吸器管の感染に対して使用される。この第七の実施態様において、この感染因子は、Streptococcus pneumoniae,Legonella pneumophilaおよびMycobacterium tuberculosisからなる群より選択され得る。
【0031】
第八の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキットおよび本発明の第四の局面の方法は、性感染疾患に対して使用される。この第八の実施態様において、この感染因子は、Neisseria gonnorheae、HIV−1、HIV−2およびChlamydia trachomatisからなる群より選択され得る。
【0032】
第九の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキットおよび本発明の第四の局面の方法は、胃腸疾患に対して使用される。この第九の実施態様において、この感染因子は、腸病原性、腸毒素および腸侵襲性E.coli、ロタウイルス、Salmonella enteritidis、Salmonella typhi、Helicobacter pylori、Bacillus cereus、Campylobacter jejuniおよびVibrio choleraeからなる群より選択され得る。
【0033】
この感染因子が、腸病原性、腸毒素、腸侵襲性の、腸出血性および腸凝集性のE.coliからなる群より選択される場合、その抗原性決定基は、細菌の毒素または接着因子の抗原性決定基であり得る。
【0034】
第十の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキットおよび本発明の第四の局面の方法は、表在感染に対して使用される。この第十の実施態様において、この感染因子は、Staphylococcus aureus、Streptococcus pyogenesおよびStreptococcus mutansからなる群より選択され得る。
【0035】
第十一の実施態様において、本発明の第一の局面の免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン、本発明の第三の局面のキットおよび本発明の第四の局面の方法は、寄生生物疾患に対して使用される。この第十一の実施態様において、この感染因子は、マラリア、Trypanasoma spp.、Toxoplasma gondii、Leishmania donovaniおよびOncocerca sppからなる群より選択され得る。
【0036】
(粘膜免疫応答の刺激)
EtxB、CtxB、VtxBおよびGM1またはGb3への結合し得るかまたはその結合の効果を模倣し得る他の因子は、粘膜の抗体産生を特異的にアップレギュレートし得る。
【0037】
本発明の第一の局面のワクチン免疫調節因子、本発明の第二の局面のワクチン組成物および本発明の第三の局面のキットは、感染または処置からの保護がインビボで粘膜免疫応答によってもたらされる疾患に対して特に有効である。例えば、感染の間、その感染因子がその粘膜を横切って結合し、コロニー化し、またはアクセスを得る疾患に対してである。そのような疾患の例としては、ウイルス(HIV、HSV、EBV、CMV、インフルエンザ、麻疹、流行性耳下腺炎、ロタウイルスなど)によって引き起こされる疾患、細菌(E. coli、Salmonella、Shigella、Chlamydia、N. gonnorhoea、T.pallidium、Streptococcus種(歯科の虫歯を起こす細菌を含む))によって引き起こされる疾患、ならびに寄生生物によって引き起こされる疾患が挙げられる。
【0038】
本発明の第二の局面の好ましい実施態様において、少なくとも1つのHSV−1抗原性決定基および免疫調節因子を含むHSV−1感染に対するワクチンが提供される。ここで、この免疫調節因子は、以下:
(i)全体毒素がないEtxB、CtxBまたはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBまたはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有する、VtxB以外の因子;または
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対する効果を有する因子、である。
【0039】
好ましくは、この免疫調節因子は、EtxBである。
【0040】
本発明の第三の局面の好ましい実施態様において、HSV−1に対する、哺乳動物被験体のワクチン接種のためのキットが提供される。このキットは以下を備える:
a)以下であるワクチン免疫調節因子:
(i)全体毒素がないEtxB、CtxBまたはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBまたはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有する、VtxB以外の因子;または
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対する効果を有する因子;ならびに
b)上記ワクチン免疫調節因子との同時投与のための少なくとも1つのHSV−1抗原性決定基。
【0041】
本発明の第五の局面に従って、以下:
(i)全体毒素がないEtxB、CtxBまたはVtxB;
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBまたはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有する、VtxB以外の因子;または
(iii)GM1結合またはGb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象に対する効果を有する因子、
を、粘膜表面での抗体の産生をアップレギュレートするための使用が提供される。非補体固定血清抗体の産生もまた、アップレギュレートされ得る。好ましくは、S−IgAは、本発明の第五の局面に従って産生される。
【0042】
本発明のこの第五の局面において、この因子は、1つ以上の抗原性決定基とともに用いられ得る。
【0043】
(免疫応答の病理学的成分を下方調節する工程)
本発明はまた、純粋なEtxBが、記載された方法において、免疫調節因子として使用された場合、Th2関連の応答の有害な効果(例えば、潜在的に病理学的なIgEの高レベルの生成)が回避されたことを見出した。これにもかかわらず、免疫調節因子としてのEtxB(またはCtxBもしくはVtxB)の使用により誘発された免疫応答は、Th2関連サイトカインの誘導を助けるようである。言い換えれば、EtxB(またはCtxB)は、Th1型応答からTh2型応答へのシフトを誘導する。これにより、純粋なEtxB、CtxBまたはVtxB、ならびにGM1またはGb3へ結合し得るか、またはそれへの結合効果を模倣し得る他の因子が、Th1活性化およびTh2活性化の両方に関する免疫応答の病理学的な成分を下方調節し得ることを本発明者らが予測できるようになった。
【0044】
本発明の第6の局面に従って、Th2関連免疫応答の病理学的成分を下方調節するための、以下の用途が提供される:
(i)EtxB、CtxBまたはVtxB(全体毒素を含まない)
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有するVtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合により媒介される細胞内シグナル伝達事象への効果を有する因子。Th1関連免疫応答の病理学的成分はまた下方調節され得る。
【0045】
EtxBおよびCtxBがGM1に結合し、そしてCD8+T細胞の特異的な枯渇および関連するB細胞の活性化を含む、リンパ球集団への異なる効果を誘導することは、公知である(WO 97/02045)。ここで、EtxBおよびCtxBは、炎症性Th1関連反応が下方調節され、一方Th2関連応答が上方調節されるように免疫応答のバランスを変化すると考えられる。Th1応答は、マクロファージ活性および遅延型過敏症反応を導く活性化T細胞によるγIFNの分泌を含む。このような応答は、多数の病原体での感染の間、病理状態の重要な原因であり得る。Th2応答は、IL−4、IL−5、IL−10のようなサイトカインを産生するT細胞の活性化を含み、そして高レベルの抗体、特にIgAの分泌を促進することが公知である。
【0046】
EtxBが、記載された方法において、免疫調節因子として使用される場合、Th2関連の応答の有害な効果(例えば、潜在的に病理学的なIgEの高レベルの生成)が回避されることが、今日、驚くべきことに見出されている。従って、EtxBおよびCtxBは、Th1およびTh2活性化の両方に関連する免疫応答の病理学的な成分を下方調節し得る。このような応答は、血清抗体を回復する高レベルの非補体の産生、および粘膜表面での分泌型IgA産生に一致して調節される。
【0047】
本発明の第6の局面に従った因子の使用は、免疫病理学的な機構に関連する疾患における治療的ワクチン接種のために特に有用である。このような疾患の例は、HSV−1、HSV−2、TBおよびHIVである。
【0048】
本発明の第1および第6の局面は、組み合され得る。言い換えれば、EtxBのような因子は、免疫調節因子および治療的因子として同時に用いられ得る。例えば、免疫病理学的な機構が関連する疾患において、EtxBまたはCtxBのようなワクチン組み込み因子の使用は、感染の制限のために作用するだけでなく、病理学的な疾患工程を排除するためにも作用する。このように免疫調節因子は、予防的および治療的の両方で作用する。従って、この方法でのワクチン接種が特定の価値であるような感染の例としては、ヘルペスウイルスファミリー、胃腸の病原体および呼吸器系の病原体により引き起こされる感染が挙げられる。
【0049】
(抗原処理経路の免疫調節)
a)提示の延長
本発明者らはまた、EtxB(またはCtxBもしくはVtxB)が、免疫調節因子として用いられた場合、抗原内在化(internalisation)および抗原の処理経路が変化されることを見出した。Bサブユニットの存在は、おそらく抗原提示細胞の内部での抗原輸送を変化することにより、延長された提示を生じ、その結果抗原分解を遅延し、従ってより長い期間にわたって維持される。Bサブユニット関連抗原提示のこの特徴は、本発明に従うワクチン組み込み因子が抗原永続性を増大し、そして維持された免疫学的な記憶を導くことを意味する。
【0050】
本発明の第7の局面に従って、哺乳動物被験体において抗原提示を延長し、そして免疫学的な記憶の保持をもたらすための、ワクチンにおける免疫調節因子としての、以下の使用が提供される:
(i)EtxB、CtxBまたはVtxB(全体毒素を含まない);
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有するVtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合により媒介される細胞内シグナル伝達事象への効果を有する因子。
【0051】
本発明の第8の局面に従って、感染性疾患に対する使用のためのワクチン組成物が提供される。この組成物は、抗原性決定因子および以下から選択される免疫調節因子を含む:
(i)EtxB、CtxBまたはVtxB(全体毒素を含まない);
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有するVtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合により媒介される細胞内シグナル伝達事象への効果を有する因子;
ここで、この抗原性決定因子は、この感染性疾患の抗原性決定因子であり、そして免疫調節因子は、抗原性決定因子の提示を延長し、そして持続した免疫学的な記憶を与える。
【0052】
b)MHC−I関連経路またはMHC−II関連経路に対する抗原の細胞間標的化
前述のように、治療的ワクチンまたは予防的ワクチンにおいて、抗原および免疫調節因子は、例えば、共有結合的にまたは遺伝子連結的に、連結され得、単一の効果的な因子を形成する。本発明者らは、細胞の異なる区画に対して、それゆえ免疫調節因子への抗原の連結を変化することにより異なる抗原提示経路に対して、抗原を指向することが可能であることを見出した。
【0053】
特定の手段における免疫調節因子への抗原または抗原性決定因子を結合することにより、エンドソームの膜を横切る細胞質への抗原の転位を促進することが可能である。本発明者は、これがMHCクラスI分子への抗原性ペプチドの負荷を増強することを予想する。従って、抗原−免疫調節因子結合体の使用は、細胞傷害性T細胞(CTL)の活性化を特異的に増強するために用いられ得る。CTLの誘導は、多数の疾患、特にウイルス、細胞内細菌および寄生生物により生じる疾患の予防および処置のために利点がある。
【0054】
抗原−免疫調節因子結合体の連結はまた、抗原が核に送達されるように選択され得る。
【0055】
本発明の第9の局面に従って、抗原または抗原性決定因子および以下から選択される免疫調節因子を含む結合体が提供される:
(i)EtxB、CtxBまたはVtxB(全体毒素を含まない);
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有するVtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合により媒介される小胞内在化(vesicular internalization)に効果を有する因子。
【0056】
本発明の第10の局面に従って、感染性疾患(この感染性疾患は、感染性因子により生じる)に対する使用のためのワクチン組成物が提供される。このワクチン組成物は、抗原または抗原性決定因子および以下から選択される免疫調節因子の結合体を含む:
(i)EtxB、CtxBまたはVtxB(全体毒素を含まない);
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有するVtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合により媒介される小胞内在化に効果を有する因子;
ここで、この抗原または抗原性決定因子は、この感染因子の抗原または抗原性決定因子である。
【0057】
抗原または抗原性決定因子は、遺伝子的連結または化学結合を含む、種々の方法により免疫調節因子に連結され得る。第1の好ましい実施態様において、この結合体は、抗原または抗原性決定因子の遺伝子的連結により作製された、免疫調節因子への融合タンパク質である。好ましくは、抗原または抗原性決定因子は、免疫調節因子のC末端に遺伝子的に連結される。第2の好ましい実施態様において、抗原または抗原性決定因子は、免疫調節因子に化学的に結合体化される。好ましくは、抗原または抗原性決定因子は、二官能基性の架橋剤(例えば、異種二官能価の架橋剤)を用いて免疫調節因子に結合体化される。より好ましくは、架橋剤は、N−γ(−マレイミド−ブチロキシル(butyroxyl))−スクシンイミドエステル(GMBS)またはN−スクシンイミジル−(3−ピリジル−ジチオ)−プロピオネート(SPDP)である。このワクチン組成物は、経鼻投与、経口投与、経膣投与、経尿道投与または眼内投与のような多数の異なる経路により投与され得る。経鼻免疫が好ましい。
【0058】
本発明の第11の局面に従って、抗原提示細胞の細胞質または核への、この抗原または抗原性決定因子の送達を標的するための、抗原または抗原性決定因子と結合体化した、以下の使用が提供される:
(i)EtxB、CtxBまたはVtxB(全体毒素を含まない);
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有するVtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合により媒介される小胞内在化に効果を有する因子。
【0059】
本発明の第12の局面に従って、この抗原性決定因子の提示を上方調節するための抗原もしくは抗原性決定因子、またはMHCクラスI分子によりこの抗原から誘導された抗原性決定因子と結合体化された、以下の使用が提供される:
(i)EtxB、CtxBまたはVtxB(全体毒素を含まない);
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有するVtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合により媒介される小胞内在化に効果を有する因子。
【0060】
好ましくは、本発明の第12の局面の結合体の使用は、強力なCTL応答を刺激するため、そして粘膜抗体産生を上方調節するための、本発明の第5の局面に従う因子の使用と併用して使用する。この活性は、ウイルス感染(例えば、インフルエンザ)の予防および処置において特に有用である。
【0061】
(EtxBは好ましい免疫調節因子である)
EtxBおよびCtxBは,類似の特性を有すると以前に考えられていた。しかし,本発明者らは、rEtxBがより強力であり、そしてrCtxBよりも有効な免疫調節因子であることを見出した。従って、好ましい免疫調節因子は、EtxB、またはEtxBの効果を模倣する因子である。
【0062】
(EBV)
EBVは、公知のヒトヘルペスウイルスの8つのうちの1つである。感染は、通常幼年期に生じるが、臨床的症状は、通常、この段階では、弱いかまたは検出不能である。後半生におけるEBVの主な感染は、伝染性単核球症(IM)に関連する。これは、米国における青年期の2番目に最も頻繁な疾患である。EBVはまた、発ガン性能を有する。EBVと風土的なバーキットリンパ腫(BL)および未分化鼻咽頭癌腫(NPC)との間には強い関連が存在する。また、免疫無防備状態患者で生じるリンパ腫の大部分がEBVによって生じ、そして特定のホジキンリンパ腫とEBVとの間に関連が存在することが示されている。
【0063】
潜在的にEBV感染に感染した細胞は、少数のいわゆる「潜伏」タンパク質を発現する。これらには、6つの核タンパク質(EBNA 1、2、3A、3B、3Cおよび−LP)、3つの完全な膜タンパク質(LMP−1、2A、および2B)ならびにRNAスプライシングにおいて役割を有する2つの非ポリアデニル化ウイルス由来RNA(EBER)が挙げられる。
【0064】
EBV潜伏膜タンパク質1(LMP−1)は、感染した細胞の原形質膜に存在する。これはまた、鼻咽頭癌腫(NPC)およびEBV陽性ホジキンリンパ腫(HD)において発現され、これはこれらの腫瘍の発生におけるLMP−1についての役割を示す。このLMP−1遺伝子は、細胞表面の活性化マーカーの上方調節を生じる感染してない細胞の表現型を変化し得、これは、細胞増殖を促進する。LMP−1はまた、シグナル伝達経路を変化し得、そして抗アポトーシス性の効果を有する。このウイルス抗原に対する細胞性免疫応答は、健常なキャリアまたは腫瘍患者のいずれにおいても、どんな確実度でも実証されていない。
【0065】
多数の動物ウイルスが、宿主免疫系による検出を回避するための進化した機構を有している。通常、これらの機構は、TAP関連ペプチド輸送系の妨害を含む。EBVも、免疫系の検出を回避するための進化した類似の機構を有し、従って宿主におけるその永続性を可能にすると考えられる。これは、特定の細胞性免疫応答がなぜEBV潜伏タンパク質EBNA1を検出不能であるかを説明し、そしてLMP1に対するこのような応答の明白な非存在を説明し得る。
【0066】
本発明の第13の局面に従って、以下を含むワクチン組成物が提供される:
a)以下の因子の1つ:
(i)EtxB、CtxBまたはVtxB(全体毒素を含まない);
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有するVtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合により媒介される細胞内シグナル伝達事象に影響を有する因子;ならびに
b)EBV抗原(EBV−関連疾患の処置および/または予防における使用のための)。
【0067】
詳細には、本発明の第13の局面のワクチン組成物は、EtxB、CtxB、またはGM1結合活性を有するEtxBもしくはCtxB以外の因子を含む。
【0068】
本発明の第14の局面に従って、以下を含む、EBV−関連疾患の処置における使用のための治療的組成物が提供される:
(i)EtxB、CtxBまたはVtxB(全体毒素を含まない);
(ii)GM1結合活性を有する、EtxBもしくはCtxB以外の因子、またはGb3結合活性を有するVtxB以外の因子;あるいは
(iii)GM1結合またはGb3結合により媒介される細胞内シグナル伝達事象に影響を有する因子。
【0069】
詳細には、本発明の第14の局面の治療的組成物は、EtxB、CtxB、またはGM1結合活性を有するEtxBまたはCtxB以外の因子を含む。
【0070】
EtxBがLMP1で同時キャップする(cocap)こと、およびEtxBがLMP−1のフラグメント化を促進するという知識に基づき、EtxB(およびGM1結合活性を有する他のCtxB様因子)は、抗EBV免疫応答を刺激するために有用であることが理論付けられる。この活性は、一旦それが発症すれば、EBV関連疾患を防ぐためのワクチン、およびこのような疾患を処置するための治療的処置における、適用を有する。
【0071】
理論により束縛されることを望まないが、EtxBをLMP−1で同時キャップする場合、抗原は、ウイルスによりブロックされる通常の処理経路に対して抗原を迂回させ得る、異なる細胞内経路により処理されると考えられる。従ってこの抗原は、細胞表面に効率的に存在する。EtxBの作用はまた、抗原が従来の経路で処理される場合に存在するエピトープとは異なる、細胞表面で存在する抗原の異なるエピトープを生じ得る。
【0072】
本発明の13番目の局面のワクチンを使用して、EBVによる感染、またはEBV感染個体におけるEBV関連疾患の発生を予防し得る。このワクチンはまた、別々のアジュバントを含み得るか、またはこの因子(例えば、EtxBまたはCtxB)はそれ自身で、アジュバントとして作用し得る。
【0073】
本発明の14番目の局面に特定された因子を単独で(すなわち、抗原を伴わずに)、被験体においてすでに発生したEBV関連疾患の処置に用い得る。
【0074】
本発明の13番目および14番目の局面における使用に好ましい因子は、EtxBである。
【0075】
EBV抗原は、EBV自体に由来し得る抗原であるか、またはEBVの作用によりEBV感染宿主細胞により発現されることが引き起こされる抗原である。好ましくは、この抗原は、EBV潜伏性(latent)膜タンパク質である。特に好ましいのは、抗原LMP−1、LMP−2A、LMP−2B、およびEBNA−1、ならびにこれらの抗原性フラグメントである。この抗原は、EBV感染細胞から直接単離され得るか、または合成的手段もしくは組換え手段により作製され得る。
【0076】
本発明の13番目および14番目の局面は、以下の疾患の処置および/または予防に特に適している:感染性単核細胞症、バーキットリンパ腫、鼻咽頭癌腫、およびホジキンリンパ腫。本発明のこれらの局面は、鼻咽頭癌腫およびホジキンリンパ腫の処置ならびに/または予防に特に適すると考えられる。
【0077】
本発明の13番目および14番目の局面に従う、ワクチンまたは治療用組成物を使用して、被験体への免疫学的有効量の投与によって、哺乳動物被験体におけるEBV関連疾患の発生を予防するか、または哺乳動物被験体におけるEBV関連疾患を処置し得る。
【0078】
この哺乳動物被検体は、例えば、健康なEBV感染個体または健康なEBV非感染個体、免疫不全個体、あるいは、EBV関連疾患を有する個体であり得る。
【0079】
このワクチンは、任意の適切な経路で投与され得る。この因子および抗原は、哺乳動物被験体に同時投与され得るか、または別々に投与され得る。この因子および抗原は、別々であり得るか、あるいは、結合(例えば、共有結合または遺伝学的結合)して単一の有効な因子を形成し得る。
【0080】
(GM−1およびGb3間連シグナル伝達)
理論により拘束されることを望まないが、GM1結合またはGb3結合は、細胞内シグナル伝達を直接もしくは間接的に誘発し得ると考えられる。本発明者らはまた、EtxBが、GM1関連細胞内シグナル伝達事象に関与する少なくとも1つの他のレセプターと相互作用することを示唆する証拠を見出した。これは、GM1へのEtxB(またはCtxB)の結合が、タンパク質への結合を容易にし、このタンパク質が細胞内シグナル伝達を誘発することであり得る。何がこのシグナル伝達事象を特異的に誘発するか知られていないが、これは、GM1またはこのタンパク質のリン酸化であり得る。EtxB/CtxBが細胞表面のGM1と結合する場合、結合されたGM1は小胞中にインターナライズされる(Williamsら(1999)Immunology Today 20;95〜101)。GM1および他の糖脂質(例えば、Gb3)は、「膜ラフト(raft)」に優先的に位置し、この膜ラフトには、キータンパク質レセプターもまた見出される。従って、Bサブユニット結合の結果としてのGM1のインターナライゼーションは、このようなタンパク質の同時キャップ(cocap)を引き起こし、これは、このようなタンパク質が細胞内シグナル伝達事象を媒介するように誘発されることをもたらす。
【0081】
(定義)
アジュバントとは、抗原に対する免疫応答を非特異的に増強する物質であり、ワクチンキャリア(その目的は、所望の部位に抗原を標的化することである)とは異なる。用語「免疫調節因子」とは、アジュバントと同様に、特定の免疫応答を刺激するように作用するが、また、特定の方向にこの免疫応答を指向する因子を示すために、本明細書中で使用される。
【0082】
用語「同時投与」とは、抗原および免疫調節因子の、投与の部位および時間が、必要な免疫応答が刺激されるようであることを意味するために使用される。従って、抗原および免疫調節因子は同じ時点および同じ部位で投与され得るが、免疫調節因子と異なる時間および/または異なる部位で抗原を投与する利点が存在し得る。例えば、抗原および免疫調節因子は、第1の工程で一緒に投与され得、次いで、免疫応答は、抗原単独の投与により第2工程で追加免疫され得る。
【0083】
用語「抗原決定基」とは、本明細書中で使用される場合、抗体またはT細胞レセプターにより認識される抗原上の部位をいう。好ましくは、これは、タンパク質抗原に由来する短いペプチドかまたはタンパク質抗原の一部としての短いペプチドであるが、しかしこの用語はまた、糖ペプチドおよび炭水化物抗原決定基を含むことが意図される。この用語はまた、生物全体を認識する応答を刺激する、アミノ酸または炭水化物の修飾された配列も含む。
【0084】
所定の感染性因子に対する抗原決定基を同定することが可能である多数の公知の方法が存在する。
【0085】
例えば、潜在的な防御抗原は、感染した患者または回復期の患者における免疫応答、感染した動物または回復期の動物における免疫応答を増加することにより、あるいは調製物を含む抗原に対するインビトロ免疫応答をモニタリングすることにより、同定され得る。例えば、
i)感染した患者または回復期の患者あるいは感染した動物または回復期の動物由来の血清サンプルは、感染性因子の全細胞溶解物に対してか、あるいは感染性因子により感染した細胞の溶解物に対して、標準技術であるウェスタンブロッティングによりスクリーニングされて、免疫血清により認識される抗原を検出し得る;
ii)感染した患者または回復期の患者あるいは感染した動物または回復期の動物由来の血清サンプルは、感染性因子から部分精製または高度に精製された抗原に対してか、あるいは感染性因子に感染した細胞の溶解物に対して、標準技術であるELISA(部分精製または高度に精製された抗原を使用してマイクロタイターウェルをコートする)によってか、あるいはイムノブロッティングによって、スクリーニングされて、免疫血清により認識される抗原を検出し得る;
iii)感染した患者または回復期の患者あるいは感染した動物または回復期の動物由来の血清サンプルは、目的の抗原の1つ以上をコードする組換え発現系に由来する全細胞溶解物に対して、そして標準技術であるELISAまたはウェスタンブロッティングを使用してスクリーニングされて、免疫血清により認識される抗原を検出し得る;
iv)感染した患者または回復期の患者あるいは感染した動物または回復期の動物由来の血清サンプルは、目的の感染性因子からクローニングされた遺伝子を含む発現ライブラリーに対して、コロニーブロット免疫検出を使用してスクリーニングされ、免疫血清により認識される抗原を発現するクローン、またはそのフラグメントを同定し得る;あるいは
v)感染した患者または回復期の患者の血液由来のPBL、あるいは感染した動物または回復期の動物由来のPBL、リンパ節細胞、脾臓細胞、または固有層細胞は、感染性因子、または感染性因子に感染した細胞の溶解物、または1つ以上の抗原をコードする組換え発現系のいずれかに由来する部分精製抗原または高度に精製された抗原の存在下で、インビトロで培養されて、抗原特異的T細胞増殖性応答を検出し得る。
【0086】
あるいは、病原体のインビボ生存に必須である遺伝子産物を検出することが可能であり、Holdenにより開発された署名タグ化変異誘発(signature tagged mutagenesis)の技術か、またはインビボで特異的に誘導された遺伝子産物の検出の技術(例えば、Mekalanosにより開発されたIVET(In Vivo Expression Technology)、またはFalkowにより開発された差示的発光誘導)に例示されるように、潜在的防御抗原であるようである遺伝子のサブセットを同定する。これらの方法を使用して、遺伝子産物は、上記に概略されるようにスクリーニングされ得る。遺伝子は、発現ベクターにクローニングされ得、そして抗原はスフィンゴ糖脂質関連活性を調節する因子とともにワクチン処方物中に含有されるために回収される。
【0087】
所定の感染性因子に対する抗原を単離することが可能である多数の公知の方法が存在する。
【0088】
例えば、1つ以上の潜在的防御抗原を含む感染性因子の表面成分は、この物質からか、またはこの物質に感染した細胞から、この抗原の回収を可能にする手順の使用により抽出され得る。これは、細胞を溶解するための細胞破壊技術(例えば、超音波処理および/または界面活性剤抽出)の使用を含み得る。遠心分離、限外濾過または沈殿が、収集された抗原調製物に対して使用され得る。Richardsら、(1988)J.Infect.Dis.177;1451−7に記載されるHSV−1糖タンパク質を含む抗原調製物が、このような方法を例証する。
【0089】
また、感染性因子の抗原は、この感染性因子に感染した細胞から、尿素抽出、アルカリもしくは酸抽出、または界面活性剤抽出を含むが、これらに限定されない種々の手順により抽出され得、次いでクロマトグラフィー分離に供される。1つ以上の潜在的防御抗原を含む空隙(void)または溶出ピークで回収された物質は、ワクチン処方物中で使用され得る。
【0090】
あるいは、1つ以上の潜在的防御抗原をコードする遺伝子は、抗原産生に適切な種々の発現ベクターにクローニングされ得る。これらは,細菌性発現系または真核生物発現系(例えば、Escherichia coli、Bacillus spp.、Vibrio spp.、Saccharomyces cerevisiae、哺乳動物細胞株および昆虫細胞株)を含み得る。抗原は、従来の抽出、分離および/またはクロマトグラフィー手順により回収され得る。
【0091】
用語「CtxB」、「EtxB」および「VtxB」は、本明細書中で使用される場合、この分子の天然形態および組換え形態を含む。組換え形態が、特に好ましい。この分子の組換え形態は、このタンパク質が形成される特定のポリペプチド鎖(単数または複数)をコードする遺伝子(単数または複数)が、適切なベクターに挿入され、次いで適切な宿主をトランスフェクトするために使用される方法により、生成され得る。例えば、EtxBアセンブルが挿入され得るポリペプチド鎖をコードする遺伝子が、例えば、プラスミドpMM68に挿入され、次いでVibrio sp.60のような宿主細胞をトランスフェクトするために使用される。タンパク質は、本質的に公知の様式で、精製および単離される。活性な変異体CtxB、EtxB、またはVtxBタンパク質を発現する変異体遺伝子は、野生型遺伝子から、公知の方法により生成され得る。
【0092】
用語「CtxB」、「EtxB」および「VtxB」はまた、GM1またはGb3の結合する能力、あるいはGM1またはGb3への結合の効果を模倣する能力を保持する、変異体分子および他の合成分子(CtxB、EtxBまたはVtxBの一部を含む)を含む。
【0093】
GM1結合活性を保持するEtxBおよびCtxB以外の因子、ならびにGb3結合活性を保持するVtxB以外の因子は、GM1またはGb3に結合する抗体を含む。
【0094】
抗体の生成のために、種々の宿主(ヤギ、ウサギ、ラット、マウスなどを含む)は、GM1またはGb3、あるいはその任意の誘導体またはホモログでの注射により免疫され得る。宿主の種に依存して、種々のアジュバントが使用されて、免疫学的応答を増強し得る。このようなアジュバントは、以下を含むが、これらに限定されない:フロイントアジュバント、無機物ゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、および表面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、およびジニトロフェノール。BCG(Bacilli Calmette−Guerin)およびCorynebacterium parvumは、潜在的に有用なヒトアジュバントである。
【0095】
ヒト化モノクローナル抗体が、本発明において好ましくあり得る。モノクローナル抗体は、培養中の連続する細胞株により抗体分子の生成を提供するに任意の技術を使用して調製され得る。これらには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:KoehlerおよびMilstein(1975 Nature 256:495〜497)に元来記載されるハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら(1983)Immunol Today 4:72;Coteら(1983)Proc Natl Acad Sci 80:2026〜2030)およびEBVハイブリドーマ技術(Colaら(1985)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R Liss Inc、77〜96頁)。さらに、「キメラ抗体」の生成について開発された技術、すなわちマウス抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子へとスプライシングして適切な抗原特異性および生物学的活性を有する分子を得ることが使用され得る(Morrisonら(1984)Proc Natl Acad Sci 81:6851〜6855;Neubergerら(1984)Nature 312:604〜608;Takedaら(1985)Nature 314:452〜454)。あるいは、単鎖抗体の生成について記載された技術(米国特許第4,946,779号)は、標的相互作用成分特異的単鎖抗体を生成するために適応され得る。
【0096】
抗体はまた、リンパ球集団においてインビボ生成を誘導することにより、またはOrlandiら(1989、Proc Natl Acad Sci 86:3833〜3837)ならびにWinter G およびMilstein C(1991;Nature 349:293〜299)に開示されるように、組換えイムノグロブリンライブラリーもしくは高度に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングすることにより生成され得る。
【0097】
GM1またはGb3に対する特異的結合部位を含む抗体フラグメントもまた、生成され得る。例えば、このようなフラグメントとしては、抗体分子のペプシン消化により生成され得るF(ab’)2フラグメント、およびF(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することにより生成され得るFabフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、Fab発現ライブラリーは、所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容易な同定を可能にするよう構築され得る(Huse WDら(1989)Science 256:1275〜1281)。
【0098】
ペプチドライブラリーまたは有機ライブラリーは、コンビナトリアル化学により作製され得、次いで、GM1/Gb3に結合するその能力についてスクリーニングされ得る。潜在的に生物学的に活性な物質の、合成化合物、天然産物、および他の供給源は、当業者に慣用的であると見なされる多数の方法でスクリーニングされ得る。
【0099】
GM1またはGb3あるいはこれらのフラグメントは、任意の種々のスクリーニング技術でペプチドまたは分子をスクリーニングするために使用され得る。分子は、溶液中で遊離であってもよく、固体支持体に固定されていてもよく、細胞表面上に生じてもよく、または細胞内に位置してもよい。GM1またはGb3と試験される因子との間の、活性の廃止または結合複合体の形成が測定され得る。
【0100】
GM1/Gb3に対する結合を決定する別の方法は、マイクロタイタープレートをコーティングするために精製GM1/Gb3を使用することによる。ブロッキングの後、調査される因子がプレートに適用され、そして洗浄およびこの因子に対する特異的抗体を用いての検出の前に相互作用させられる。酵素または放射標識への直接または間接的いずれかでの抗体の結合体化は、続いて、比色に基づく方法または放射活性に基づく方法(それぞれ、ELISAまたはRIA)のいずれかを使用しての、結合の定量を可能にする。
【0101】
GM1/Gb3への結合を決定する別の方法は、適切なカラムマトリックスへGM1/Gb3のサッカリド部分を結合させて、標準的アフィニティークロマトグラフィーが実行されるのを可能にすることによる。希釈物からの、カラムに適用された既知の化合物の除去は、結合活性の証拠として使用されるか、あるいは化合物の混合物がカラムに適用される場合、溶出および続く分析は、ガングリオシド結合因子の特性を決定する。タンパク質の場合、分析は、ペプチド配列決定およびトリプシン消化マッピング、続く利用可能なデータベースとの比較を含む。溶出されたタンパク質がこの方法により同定され得ない場合、次いで、標準的生化学的分析、例えば、レーザー脱離質量分光法による質量決定が使用されて、その化合物をさらに特徴付けする。GM1アフィニティーカラムから溶出された非タンパク質は、単一同質ピークのHPLCおよび質量分光法により分析される。
【0102】
GM1/Gb3への結合の能力ならびに相互作用の正確な親和性を決定する別の方法は、以前に報告された(Kuziemkoら(1996)Biochem 35:6375〜6384)ように、プラズモン表面共鳴を用いることによる。
【0103】
あるいは、ファージディスプレイが、GM1またはGb3に結合する候補因子の同定に使用され得る。
【0104】
ファージディスプレイは、組換えバクテリオファージを利用する分子スクリーニングのプロトコールである。この技術は、GM1/Gb3(またはこれらの誘導体またはホモログ)と反応し得る適切なリガンド(この場合は候補因子)をコードする遺伝子、あるいは同じものをコードするヌクレオチド配列(またはその誘導体もしくはホモログ)でバクテリオファージを形質転換することを含む。形質転換されるバクテリオファージ(好ましくは、固体支持体につながれる)は、適切なリガンド(例えば、候補因子)を発現し、そしてそのファージコート上にこのリガンドを提示する。この候補因子を認識する標的分子を保有する実体(単数または複数)(例えば、細胞)は、単離および増幅される。次いで、好結果の候補因子が特徴付けされる。ファージディスプレイは、標準的アフィニティーリガンドスクリーニング技術を越える利点を有する。ファージ表面は3次元配置で候補因子を提示し、これは、その天然に存在するコンフォーメーションとより近接して類似する。これは、スクリーニング目的のために、より特異的かつより高度なアフィニティー結合を可能にする。
【0105】
スクリーニングについての別の技術は、GM1またはGb3に対して適切な結合親和性を有する物質の高処理能力スクリーニングのために提供され、そしてWO 84/03564に詳細に記載される方法に基づく。要約すると、多数の種々の小ペプチド試験化合物は、プラスチックピンまたはいくつかの他の表面のような固体基材上で合成される。ペプチド試験物質は、標的相互作用成分フラグメントと反応し、そして洗浄される。次いで、結合した標的相互作用成分が、(例えば、当該分野で周知の、適切に適応する方法によって)検出される。精製した標的相互作用成分はまた、前述の薬物スクリーニング技術における使用のために、プレート上で直接的に被覆され得る。あるいは、非中和化抗体は、ペプチドを捕捉するために使用され得、そしてそのペプチドを固体支持体上に固定化し得る。
【0106】
本発明の全ての局面において、GM1結合活性またはGb3結合活性を有する物質はまた、GM1レセプターまたはGb3レセプターを架橋することができ得る。EtxBは、そのペンタマー形態に基づいてGM1レセプターを架橋することができる、このような物質の1つである。
【0107】
GM1/Gb3結合によって媒介される細胞内シグナル伝達事象において効果を有するが、それ自体はGM1またはGb3を結合しない物質を同定するための種々の方法が存在する。例えば、ある物質がB細胞上でCD25もしくはMHCクラスIIをアップレギュレートすること、あるいはCD25をアップレギュレートするかまたはCD8+T細胞のアポトーシスを促進すること、あるいは単球によるIL−10の分泌をアップレギュレートすることを示すが、この物質はGM1またはGb3を結合することを示さない(例えば、上記の結合アッセイの1つによって)場合、この物質は、GM1/Gb3結合の効果を模倣することができると結論付けられ得る。
【0108】
ここで、本発明は、添付の図面および以下の実施例を参照して例示される。
【0109】
実施例は、図面を参照する。
【0110】
(実施例1:rEtxBを、免疫のためにHSV−1 Gpと組み合わせて使用し得る)
マウスを、10μgまたは20μgのrEtxBのいずれかを有する10μgのHSV−1糖タンパク質(Gp)を用いて鼻内で3回免疫した。コントロールは、操作されていないか、またはHIV非感染組織培養細胞由来のウイルス糖タンパク質の偽調製物(偽)を与えたかのいずれかであった。抗体レベルを、感染後レベルの割合として表した。血清中の全IgおよびIgAならびに眼の洗浄の際のIgAの産生を、HSV−1糖タンパク質/rEtxBによって刺激した(図1)。本発明者らはまた、0.1μg程度の低いrEtxBの用量もまたこのような応答を刺激することにおいて効果的であることを示している。
【0111】
また、頸部リンパ節(これは、ワクチン接種部位に対して局所的である)および腸間膜リンパ節(これは、ワクチン接種部位に対して離れている)からの免疫したマウス由来のTリンパ球は、HSV−1を用いてインビトロで培養した場合に増殖することが示されたが、偽HSV−1 Gpを用いて、または抗原なしでインビトロで培養した場合には増殖することは示されなかった(図2)。
【0112】
HSV−1 Gpおよび変化する量のEtxBを用いて免疫したマウスのMLNおよびCLN由来のTリンパ球のHSV−1 Gpに応答した増殖を、図3に示す。
【0113】
変化する量のEtxB(またはCtxB)を用いる3日間隔でのHSV−1糖タンパク質の投与後の、マウスにおける抗HSV−1血清Igの産生を、図4に示す。
【0114】
最後に、HSV−1およびrEtxBを用いて免疫したマウスは、コントロールに比較して、HSV−1を用いる角膜乱切後のウイルス散布性における減少(図5a)、そして局所的な広がり(浮腫(oedema)および眼瞼疾患)、三叉神経節に対する広がり(帯状疱疹状感染)、中枢神経系に対する広がり(脳炎)および潜伏における減少(5b)を有することが示された。
【0115】
(実施例2:rCtxBおよびrEtxBは免疫調節因子として作用する)
EtxBが免疫調節因子として使用される場合、Igアイソタイプの分布は、非対称である(図6)。Igサブクラスの分布は、rCtxBまたはrEtxBが免疫調節因子として使用されるかに依存して異なる(図7)。
【0116】
(実施例3:rEtxBはrCtxBよりも、より有効な免疫調節因子である)
HSV特異的IgAのレベル(図8)は、rCtxB/HSV−1 Gpを用いる刺激後よりも、rEtxB/HSV−1Gpを用いる刺激後に、より大きい。
【0117】
(実施例4:(図9))
マウスを、HSV−1糖タンパク質単独で、HSV−1糖タンパク質の偽調製物(非感染組織培養細胞を採取し、そしてそれらをHSV−1タンパク質の単離および精製のために使用される処置レジメと同じ処置レジメに供することによって調製した)で、または種々の推定粘膜アジュバントと組み合わせたHSV−1糖タンパク質を用いて、鼻内で3回免疫した。各々の場合において、HSV−1糖タンパク質の用量は、1免疫あたり10μgであり、そしてこれらを、アジュバントとして10μgの組み換えEtxB、またはCtxB、あるいは0.5μgのCtxおよび10μgのCtxBの混合物と組み合わせた。最後の免疫の3週間後、血液サンプルを収集し、そして全ての抗HSV−1抗体を、ELISAによって測定した。抗体の量を、105pfu HSV−1株SC16を用いる乱切により誘導された眼の感染後の刺激されたレベルの割合として表す。このデータ(図9に示す)は、抗原を全CtxおよびCtxBの混合物と組み合わせる場合に最も強力な血清抗体応答が刺激されることを示す。しかし、高レベルの応答は、rEtxBがアジュバントとして使用される場合にも刺激される。対照的に、rCtxBは、非常に弱いアジュバントである。
【0118】
(実施例5:(図10))
マウスを、実施例4において記載されるように免疫した。眼における分泌IgA産生を、継続的な日数にわたって涙の洗浄物を得ることによって評価し、次いでこれらのサンプルをプールし、そして特異的抗IgA検出抗体を用いるELISA分析に供した。抗体の量を、105pfu HSV−1株SC16を用いる乱切により誘導された眼の感染後の刺激されたレベルの割合として表す。このデータは、分泌した高レベルの抗HSV−1抗体が、Ctx/CtxBまたはEtxBのいずれかの存在下における免疫後に産生されることを明確に実証する(図10)。血清抗体応答の分析からの結果とは対照的に、アジュバントとしてCtx/CtxBまたはEtxBを用いて免疫された動物の間で、眼における抗体レベルにおいて差異は存在しなかった。血清抗体を用いると同様に、rCtxBが非常に乏しいアジュバントであるという明らかな証拠が存在した。
【0119】
(実施例6:(図11))
マウスを、実施例4に記載されるように免疫した。膣における分泌IgA産生を、継続的な日数にわたって生殖管からの洗浄物を得ることによって評価し、次いでこれらのサンプルをプールし、そして特異的抗IgA検出抗体を用いるELISA分析に供した。抗体の量を、直線回帰分析によって算出された終点力価(endpoint titre)として表す。このデータは、分泌した高レベルの抗HSV−1抗体が、Ctx/CtxBまたはEtxBのいずれかの存在下における免疫後に、遠位の粘膜部位において産生されることを明らかに実証する。膣において、最高レベルの抗体が、rEtxBの存在下における免疫後に放出された。より低レベルのものが、Ctx/CtxBを用いる免疫後に放出され、非常に少量の分泌が、アジュバントとしてrCtxBを用いることによって誘発された。
【0120】
(実施例7:(図12))
マウスを、HSV−1糖タンパク質(10μg)を、単独で、またはアジュバントとして、増加する用量のrEtxBの存在下においてのいずれかで用いて、鼻内に3回免疫した。最後の免疫の3週間後、血液を採取し、そして抗HSV−1抗体のレベルを、ELISAによって評価した。抗体の量を、105pfu HSV−1株SC16を用いる乱切により誘導された眼の感染後の、刺激されたレベルの割合として表す。このデータは、異種の添加された抗原に対して抗体応答を誘発するrEtxBの能力が用量依存現象であり、最大応答がおよそ20〜50μgのrEtxBで生じることを、明確に実証する。さらに、20μgおよびそれを上回るのrEtxBの用量で、鼻内感染によって刺激された抗HSV−1抗体のレベルが、生ビルレントウイルス感染によって刺激されるレベルに匹敵するか、またはより大きいことが、明らかである。
【0121】
(実施例8:(図13))
マウスを、実施例7に記載されるように免疫した。眼における分泌IgA産生を、継続的な日数にわたって涙の洗浄物を得ることによって評価し、次いでこれらのサンプルをプールし、そして特異的抗IgA検出抗体を用いるELISA分析に供した。抗体の量を、105pfu HSV−1株SC16を用いる乱切により誘導された眼の感染後の、刺激されたレベルの割合として表す。このデータは、HSV−1糖タンパク質が20μgまたはそれ以上のrEtxBと組み合わせて与えられる場合に、眼における最大IgA応答が刺激されることを実証する。それにも関わらず、この用量では、IgA産生のレベルは、眼のウイルス感染の間に誘発されるレベルよりも低い。
【0122】
(実施例9:(図14))
マウスを、実施例7に記載されるように免疫した。膣における分泌IgA産生を、継続的な日数にわたって生殖管からの洗浄物を得ることによって評価し、次いでこれらのサンプルをプールし、そして特異的抗IgA検出抗体を用いるELISA分析に供した。抗体の量を、直線回帰分析によって算出された終点力価として表す。このデータは、20μgまたはそれ以上のrEtxBがアジュバントとして使用される場合に、至適な抗HSV−1応答が膣において刺激されることを示す。
【0123】
(実施例10:(図15))
マウスに、角膜への乱切により105pfu HSV−1株SC16を用いて感染させるか、または10μgのHSV−1糖タンパク質をCtx/CtxBもしくはrEtxBと組み合わせて用いて鼻内に3回免疫するかのいずれかを行った。最後の接種の3週間後、血清を採取し、そしてHSV−1に対するIgG1およびIgG2aの存在についてELISAによって分析した。抗体の量を、直線回帰分析によって算出された終点力価として表す(図7a)。このデータは、HSV−1に対する抗体応答の性質が、抗原が免疫系に提示される方法によって影響されることを明確に示す。高レベルの補体結合抗体アイソタイプIgG2aによって特徴付けられるように、HSV−1での感染が、Th1関連抗体産生を主に活性化する。感染は、比較的低いレベルのTh2関連IgGアイソタイプIgG1を刺激する。免疫応答のこのプロフィールは、このデータを図7bに示されるようなIgG1:IgG2aの比として表す場合に明確に可視的である。この比は、感染後に1より実質的に小さい。アジュバントとしてCtx/CtxBの存在下における鼻内免疫は、主に、Th2関連IgG1の放出を誘発する。有意なレベルのIgG2aもまた産生され、このことは、Ctx/CtxBがTh1細胞またはTh2細胞の活性化を生じることを示唆する。Th2の応答および相対的な優勢の両方の活性化が、およそ3であるIgG1:IgG2a比において反映される。興味深いことに、アジュバントとしてのrEtxBによって刺激されるHSV−1に対する応答の性質は、ほぼもっぱらTh2優勢である。高レベルのIgG1が、非常に少量のみのIgG2aを用いて産生される。Th2応答性に対するこの強力な偏向は、約9のIgG1:IgG2a比において反映される。
【0124】
(実施例11(図16))
マウスに、角膜への乱切により105pfu HSV−1株SC16を用いて感染させるか、または10μgのHSV−1糖タンパク質をCtx/CtxBもしくはrEtxBと組み合わせて用いて鼻内に3回免疫するかのいずれかを行った。最後の接種の3週間後、リンパ節を動物から取り出し、そしてこれを用いて単一細胞懸濁液を作製し、これを殺傷したHSV−1または非感染組織培養細胞由来のウイルスの偽調製物のいずれかの存在下において培養した。培養の4〜7日後、細胞のサンプルを取り出し、そしてcELISA分析に供してサイトカインの分泌を現した。このデータは、この培養物におけるT細胞はHSV−1に応答し得るが、偽ウイルス調製物には有意に応答し得なかったことを、明確に示す。HSV−1を用いて感染させたマウスから採取したリンパ節細胞は、主にTh1関連サイトカイン(γインターフェロン(γ−IFN))を産生した。鼻内に免疫した動物から採取したリンパ節細胞は、高レベルのTh2関連サイトカイン(IL−4およびIL−10)を産生した。さらに、Ctx/CtxBおよびrEtxBの両方は、HSV−1を用いるインビトロの刺激に際してγIFNを分泌するT細胞の活性化を誘導した。これは、これらのアジュバントに対する応答がTh2サイトカインの産生に優勢であるが、いくつかのTh1活性化もまた生じるということを示す。これらの知見は、抗体応答の分析からの知見と一致する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−254720(P2010−254720A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181959(P2010−181959)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【分割の表示】特願2000−547996(P2000−547996)の分割
【原出願日】平成11年5月10日(1999.5.10)
【出願人】(300002942)ザ ユニバーシティ オブ ブリストル (10)
【Fターム(参考)】