説明

ワクチン生産のためのポリオウイルスの高力価での生産

本発明は、次のステップ:a)PER.C6細胞である細胞の無血清懸濁培養物を提供すること、b)前記細胞をポリオウイルスにより、2×10細胞/mlおよび150×10細胞/mlの間の細胞密度で感染させること、およびc)ポリオウイルスを感染後12および48時間の間の時間で収集することを含む、ポリオウイルスの生産のための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養およびポリオウイルス生産の分野に関する。より一層詳細には、それはポリオワクチンの生産のための細胞の培養およびそれからのポリオウイルスの生産のための改善された方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
ポリオウイルスは、ファミリーのピコナウイルス科のエンテロウイルスのメンバーである。ポリオウイルスは、一本鎖、正のセンスRNAゲノムを封入するカプシドを有する小さな、無エンベロープウイルスである。3種類のポリオウイルスが存在し、すなわち、タイプ1、2および3である。感受性のある個体のポリオウイルスによる感染は、麻痺性灰白髄炎を招くことがある。灰白髄炎は高度に伝染性である。2つの異なるポリオワクチンが開発され、ソーク(Salk)の不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)およびセービン(Sabin)の生きた、弱毒化された経口ポリオウイルスワクチン(OPV)である。双方のワクチンは安全でかつ有効である。各々にはその特定の利益および不都合があり、そして双方とも灰白髄炎の制御において重要な役割を演じた。ポリオウイルスおよびポリオワクチンについての概説として、例えばKew(ケウ)ら2005年参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第01/38362号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Card(カード)CJら、2005年、Animal Cell Technology meets Genomics, 761-765
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経口ポリオワクチン(OPV)は、安価で、かつ便利であり、そして大規模に用いられた。しかしながら、レシピエント(受け手)は時折、ワクチンにおける復帰変異体のためにワクチン関連の麻痺性灰白髄炎(VAPP)に悩まされる。さらにまた、完全に免疫化されなかった集団において、以下のことが観察され、それは、弱毒化したセービンのポリオ株が、自然発生的な野生型ポリオの疾病から臨床的および疫学的に区別がつかない(indistinghuishable)麻痺症の大流行を引き起こすために、十分な変異性の変化を受け;これらの変異体が、循環性のワクチン由来(ワクチンから導き出された)ポリオウイルスまたはcVDPVsと呼ばれている〔例えば、ケウら、2005年;Wright(ライト)およびModlin(モドリン)(2008年);Yakovenko(ヤコベンコ)ら、2009年参照〕。
【0006】
不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)は、既存のOPV戦略と連動して用いられるとき、野生型ポリオのより一層迅速な撲滅および緊急のcVDPVの制御に関与するかもしれないとするコンセンサスの高まりがある〔ライトおよびモドリン(2008年);John(ジョン)、2009年〕。
【0007】
しかし、IPVの生産は、より一層高価であり(例えば、ジョン、2009年参照)、そして発展途上の、そして後発開発途上の諸国では、ポリオワクチンについての強い必要性がまだ存在するが、それらにとってひどく高価である場合さえある。ワクチンで用いることができるバルクのポリオウイルス材料、とりわけ、非弱毒化のポリオウイルスを生産するための培養システムは、大体において比較的高い経費の一因となる。
【0008】
このように、この技術において、ワクチンで用いるためのポリオウイルス生産用の効率的な培養システムについての必要性が残る。
【0009】
HEK293細胞でのポリオウイルスの増殖(繁殖)は、ポリオウイルスのニューロンに特有の複製表現型の研究のためのシステムとして説明されており、そしてたとえば、セービン株に存在するようなIRES(配列内リボソーム進入部位)要素での点変異を含むポリオウイルスのようなポリオウイルスの弱毒化された形態が、HEK293細胞で減少した増殖を示したことが記述された〔Cambell(キャンベル)ら、2005年〕。
【0010】
E1を不死化したヒト胚性網膜(HER)細胞は、とりわけ、PER.C6細胞で、インフルエンザウイルスに重点を置いて、種々のウイルスの増殖に適切であると説明されている〔Pau(ポー)ら、2001年;国際公開(WO)第01/38362号〕。WO 第01/38362号は、PER.C6細胞でのインフルエンザウイルスの種々の株の、そして単純ヘルペスウイルス(HSV)型1および2、麻疹(はしか)ウイルスおよびロタウイルスの増殖の実施例を説明するが、ポリオウイルスの増殖は国際公開第01/38362号で実証されなかった。さらにまた、そのような細胞でのポリオウイルスの複製のための条件は説明されておらず、そしてそれは、これらの細胞における無関係なウイルスの複製に基づいて安易に予測することができない。それゆえ、これらの細胞におけるワクチン生産目的のために産業規模で経済的にポリオウイルスを生産することが可能かどうかは、今まで知られていなかった。
【0011】
不活化ポリオワクチンの大規模な製造のために、ポリオウイルスは一般に、ベロ細胞において増殖され、それはサルから導き出され(由来し)ている。ベロ細胞は、ワクチン生産のために、不活化された、ならびに弱毒化されたポリオワクチンを含めて広く用いられており、そしてこれまでウイルスワクチンの製造のための監督機関によって最も広く認められた連続継代細胞系であり、そしてワクチン生産のためのこれらの細胞の使用は、この分野における専門家によって増加することが期待されている〔Barrett(バレット)ら、2009年〕。
【0012】
不活化ポリオウイルスワクチンのためのベロ細胞の大規模マイクロキャリヤー培養はMontagnon(モンタグノン)ら、1982年および1984年によって記載された。ベロ細胞を用いるポリオワクチンの大規模生産のためのプロセス、および得られるワクチンはまた、米国特許第4,525,349号明細書に記載されている。
【0013】
マイクロキャリヤー上のベロ細胞を、無血清媒体でのウイルス生産段階に先立って血清含有媒体において培養したときの状況について、ポリオウイルス(セービン型1)の生産の高い力価(ほとんど2×109TCID50/ml)が〔Merten(メルテン)ら、1997年〕によって説明され、しかし、血清を用いる不都合からみれば、これらの著者は完全な無血清プロセスが望ましいことを既に示し、そしてそのような最適化された完全に無血清なプロセスでは、これらの著者は6.3×108TCID50/mlの力価を得ることができた。
【0014】
また、Kreeftenberg(クリーフテンバーグ)ら(2006年)は、産業規模でのワクチン生産のため、ポリオウイルスの生産に関与し、またいろいろな野生型の産出およびマイクロキャリヤー上で増殖するベロ細胞でのポリオウイルスのセービン株に言及し、それは産出が異なる株について同様であり、ログ力価が8.1および8.6の間にある。これらの著者はまた、最終的なワクチンを生産するために必要なウイルスの量がOPVのためよりもIPVのためのもので著しく高いことを記載し、それによって、OPVのためよりもIPVのための方が用量あたりで著しく高い生産コストを招く。
【0015】
また、マイクロキャリヤー上で育てたベロ細胞を用いるポリオウイルスの無血清での生産が〔Card(カード)ら、2005年〕によって記述され、そして生産性のレベルは静的培養においてのものより低かったが、マイクロキャリヤー培養はスケールアップにおいてより一層簡単であるとして記載された。
【0016】
これらのマイクロキャリヤーに基づくベロ細胞培養の、有効性および産業上の適用可能性にもかかわらず、大量のポリオウイルスの生産は高価なままであり、そしてしたがって、この不都合にあまり悩まされないポリオウイルスのための代わりの生産システムのために、必要性が引き続き残る。
【0017】
懸濁ベロ細胞を用いるポリオウイルスの生産が説明され、日常的なマイクロキャリヤーのベロ細胞において観察されるものよりも低いウイルス力価(6.5および7.9の間の10logCCID50/ml)がもたらされた〔van Eikenhorst(ヴァン・アイケンホースト)ら、2009年〕。
【0018】
ワクチンでの使用のためにポリオウイルスの大規模で、かつ経済的な生産用に使用することができる適切なプロセスを提供することが、本発明の目的である。このことは、開発途上国において持続可能な基準に基づき手頃なポリオワクチンにアクセスできるようにするのを助けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の概略を説明する。本発明は、PER.C6細胞でのポリオウイルスの非常に効果的な増殖が示されたことに基づき、そこでは、ポリオウイルスの先例のない高力価は、ここに説明する方法に従って得られる。そのような高い力価を得ることは、それがベロ細胞でのポリオウイルスの生産に勝る有意義な経済的利益を提供し、そのような細胞での他のウイルスの複製に基づいて予見されることができなかったものであり、また産業上で実現可能なプロセスのための条件も予見することができなかったものであり、それは、それらの状況および入手できる利益が、大いに異なる特性を有する種々の異なる種類のウイルスについて広範に変動することができるからである。
【0020】
このようにして、本発明は、ポリオウイルスの生産のために方法を提供し、それは以下のステップ、すなわち、a)細胞の無血清懸濁培養物を提供することであり、それらの細胞は、ECACC(ヨーロピアン・コレクション・オブ・アニマル・セル・カルチャー)第96022940号の下で寄託したようなPER.C6細胞であり、b)前記細胞を、2×106細胞/mlおよび150×106細胞/mlの間の細胞密度でポリオウイルスに感染させること、およびc)ポリオウイルスを、感染後の12および48時間の間の時間に収集することを含む。
【0021】
一定の具体例において、前記感染は、およそ5×106細胞/mlおよび20×106細胞/mlの間、例としておよそ8×106細胞/mlおよび15×106細胞/mlの間、例は、およそ10×106細胞/mlの細胞密度で実行される。
【0022】
一定の具体例において、ポリオウイルスの前記収集は、感染の後、およそ18および30時間、例として感染後のおよそ24時間の時間で実行される。
【0023】
これらの状況は、ポリオウイルスの非常に高い力価(1010/ml前後で、野生型ポリオ株のためにマイクロキャリヤーに基づくベロ細胞を用いて典型的に得られる力価の10倍よりもかなり高い)を比較的短いプロセスにおいて得るのを可能にし、それはしたがってワクチン調製のためにポリオウイルス生産用に目下使われるプロセスに勝る有意義な経済的利益を有する。このことは、すべての3種類のポリオウイルスについて示された:タイプ(型)1〔Brunenders(ブリューネンダーズ)株〕、タイプ2(MEF株)およびタイプ3〔Saukett(ソーケット)株〕。
【0024】
したがって、一定の具体例において、前記ポリオウイルスは、野生型の毒性ポリオウイルス、例として、ポリオウイルスタイプ1、ポリオウイルスタイプ2またはポリオウイルスタイプ3である。一定の具体例において、前記ポリオウイルスはポリオウイルスタイプ1株のMahoney(マホーニー)またはブリューネンダーズ、ポリオウイルスタイプ2株MEF(またはMEF-1)、またはポリオウイルスタイプ3株ソーケットである。他の具体例において、前記ポリオウイルスは、弱毒化されたポリオウイルス(あまり神経毒性でない)、例として、セービン株である(それはまたタイプ1、2または3でもあることができる)。
【0025】
本発明はさらに、ポリオワクチンを生産するためにプロセスを提供し、それは本発明に従うポリオウイルスを生産するための方法を含み、さらにポリオワクチンを得るために、収集されたポリオウイルスを精製すること、随意に不活性化すること、および調剤することを含む。IPVのために、ホルマリンまたは他の手段での不活化を実行する。OPVについて、不活化のステップは、必要とされない。
【0026】
またここに、ポリオワクチンの調製に有用なポリオウイルスのバルク(原体)を提供することを開示し、前記ポリオウイルスのバルクは、本発明に従うポリオウイルスを生産するためのプロセスによって得ることが可能であり、そして培養媒体および少なくとも109.4CCID50/ml、例として、約109.5および1011CCID50/mlの間、例として、約109.8および1010.8CCID50/mlの間のポリオウイルス力価が含まれる。一定の具体例において、前記バルクは1および1000リットルの間の容量を有する。更なる具体例では、前記バルクは、細胞および/または細胞片、本発明のプロセスによって用いる細胞のものを含む。一定の具体例において、前記バルクはバイオリアクター(生物反応機)中に存在する。他の具体例において、バルクはバイオリアクターから取り除かれ、そして適切な容器中に存在する。
【0027】
また、本発明の方法に従って得られうるポリオウイルスおよびポリオワクチンも開示する。前記ポリオウイルスおよび/または前記ワクチンは、モンキー(サル)タンパク質を含まず、好ましくは非人間(非ヒト)タンパク質を含まない。また、それは他の非ヒト宿主細胞の残さも含まない。対照的に、慣習的な方法によって生産されたポリオウイルスは、残余の非ヒトタンパク質および/または他の非ヒト残さ、細胞培養の間に用いた宿主細胞からの、および/または用いられた血清からのものを含む。このように、インスタントの発明に従って生産されたポリオウイルスは、慣習的なプロセスを用いて生産するポリオウイルスよりも、生産プロセスに由来する非ヒト不純物の少ない汚染にしか悩まされない。
【0028】
また本発明は、プロセスを少なくともおよそ109.4、好ましくは少なくとも109.8、より一層好ましくは少なくとも1010、例として、1010.5および1011のCCID50/mlの間での力価で細胞培養においてポリオウイルス調製物を得るためのプロセスを提供し、それは、以下のステップを含む。すなわち、a)PER.C6細胞である細胞の、無血清懸濁培養物を提供すること、b)前記細胞を、2×106細胞/mlおよび150×106細胞/mlの間の細胞密度でポリオウイルスに感染させること、およびc)前記濃度を有するポリオウイルス調製物を得るために感染後の12および48時間の間の時間でポリオウイルスを収集することである。好ましい具体例は、本発明に従うポリオウイルスの生産用のプロセスのための上記のものと同じである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】付着性PER.C6およびベロ細胞でのポリオウイルスの生産の図である。
【図2】懸濁PER.C6細胞において、異なる無血清培地における、異なるMOIsでの、および感染の異なる細胞密度によるポリオウイルスタイプ1の生産の図である。
【図3】懸濁PER.C6細胞において、無血清培地での、ポリオウイルスタイプ1、2および3の生産における温度および時間の効果の図である。
【図4】無血清培地での懸濁PER.C6細胞において、ポリオウイルスタイプ1の生産における感染の細胞密度、温度、および時間の効果の図である。
【図5】無血清懸濁PER.C6細胞における高細胞密度でのポリオウイルスタイプ1、2および3の効率的生産の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の詳細な記載をする。本発明のプロセスで用いる細胞はPER.C6細胞であり、それらは不死化された細胞であり、また連続継代細胞系としてこの技術で知られ、そしてそれ自体無限の寿命の可能性を有する(例は、バレットら、2009年参照)。本出願の目的のためのPER.C6細胞は1996年2月29日付けでECACC 第96022940号の下で寄託したような細胞を意味する。熟練者にとっては、この定義が、上流または下流の継代物またはこれらの寄託した細胞の上流または下流の継代物の子孫からの細胞を含むことは明らかであろう。PER.C6細胞は米国特許第5,994,128号明細書で、および〔Fallaux(ファラーオクス)ら、1998年〕において記載されている。これらの細胞は、それらを感染させることができ、例として、(ポーら、2001年)で、および国際公開第01/38362号に記載されたように高効率でウイルスを増殖させることができるので、細胞に基づくインフルエンザワクチンを生産するためにインフルエンザウイルス生産用に非常に適している。PER.C6細胞は、例として、(ヤロップら、2005年)に記載されたように、血清が不存在な状態での懸濁物中で増殖することが可能である。ここではまた、これらの細胞が血清を含まない懸濁培養物中で高レベルなまでのポリオウイルスの生産に非常に適していることが実証される。
【0031】
さらに、採用した条件は経済的であり、そして規制上有利である。
【0032】
マイクロキャリヤーの使用は、ベロ細胞を伴って広く用いられているプロセスとは対照的にこの発明にとって必要とされない。マイクロキャリヤーは、慣習的なベロ細胞に基づくプロセスを用いて生産されたポリオウイルスの高い経費の一因となる。
【0033】
本発明にかかる血清フリー(無血清)とは、細胞増殖および感染のために用いられる培地が原材料として全血清を欠くことを意味する。それは、たとえば、ウシ血清アルブミン(albumine)(BSA)のような血清由来の生成物が完全にはなくならないかもしれないが、しかし好ましい具体例では、そのような成分はまた存在しないか、あるいは任意の動物由来成分の不存在下に組換え的に生産されている。好ましい具体例では、完全な方法は、血清または血清成分などのような、動物に直接由来した任意の成分の不存在下に実行される。好ましい具体例では、ワクチンを生産する方法は、動物成分フリーの条件下に実行される。このことは、細胞増殖および感染のために使用される媒体が任意の動物由来成分を欠いていることを意味する。さらに、ワクチン生産のプロセスの間に媒体に補われる任意の添加物もさらに動物由来成分を含まない。前記ポリオワクチンを作成するプロセスにおける動物成分の不存在は、より一層多く制御された、そして安全なプロセスを提供する。この理由から、PER.C6細胞は、十分に特徴づけられたヒト細胞であり、そしてそれはGLP/GMPに応じて開発されており、ワクチン製造での使用に非常によく適する。異なる培養基を使用することができ、また、用いる細胞および状況のために最適な培養基を選ぶことは、この分野での熟練者の日常的な作業の一部分である。このように、本発明の目的のための適切な培養基は、熟練者によく知られており、そして通例商業上の供給源から多量に得ることができ、または標準プロトコルによって注文製であることができる。培養は、例として、ディッシュ、ローラーボトル中、あるいはバッチ、流加培養(fed-batch)、コンティニュアスシステムなどを使用するバイオリアクター中で行うことができる。細胞培養を通してウイルスの大規模(連続)生産を達成するために、この技術においては、細胞を懸濁物中で増殖することが可能になるようにするのが好ましく、また細胞を、動物またはヒトに由来した血清の不存在、または動物またはヒトに由来した血清成分の不存在下で培養することが可能になるようにするのが好ましい。細胞を培養するのに適切な条件は知られている〔たとえば、Tissue Culture(組織培養)、Academic Press(アカデミックプレス社)、Kruse(クルーズ)およびPaterson(ぺーターソン)、編集者(1973年)、およびR.I. Freshney(フレッシュニー)、Culture of animal cells(動物細胞の培養):A manual of basic technique(基本技術のマニュアル)、第4版{Wiley-Liss Inc.(ワイリーリス社)、2000年、ISBN 0-471-34889-9}参照〕。本発明のプロセスに従って使用することができる無血清培地には、制限されないが、CDM4PERMAbTM(商品名)〔Thermo Scientific HyClone(サーモ・サイエンティフィク・ハイクローン社)、cat.(カタログ)番号SH30871、SH30872〕を含め、媒体供給元のカタログから注文することができる標準媒体が含まれる。さらに、Permexcis(ペルメクサイス)〔Lonza(ロンザ社)〕のような注文品の媒体は適切である。本発明のプロセスにおける使用に適しうる他の無血清媒体の例は、AEM〔Invitrogen(インビトロゲン社)、カタログ番号第12582-011号〕、EX-CELLTM VPRO媒体〔JRH Biosciences(JRHバイオサイエンシーズ社)カタログ番号14561〕およびCDM4Retino(レチノ)TM(HyClone、カタログ番号SH30520、SH30519)である。
【0034】
一定の随意の、および非制限的な具体例では、さらに生産性を改善するために、脂質および/または加水分解物および/または他の補給物により本発明のプロセスにおいて無血清培地を補うことが可能である。
【0035】
本開示の中で使用される数値についての用語「およそ」または「前後」は、値±10%が意味される。
【0036】
本発明に従うプロセスにおいて、細胞をポリオウイルスで感染させること、および/またはウイルス増殖は、例として、およそ33℃および38℃の間の温度で適切に実行される。好ましい具体例では、前記感染および/またはウイルス増殖は、およそ34℃および36℃の間、一定の具体例では34.5℃および35.5℃の間で、例は、およそ35℃での温度で実行される。
【0037】
本発明に従うプロセスにおいて、細胞をポリオウイルスで感染させることは、例として、0.001および10の間の感染多重度(MOI)にて適切に行うことができる。一定の具体例において、前記感染は、およそ1および3の間でのMOIで、例として、およそ2のMOIで実行される。そのような比較的高い(>0.1、好ましくはおよそ1またはそれよりも高い)MOIでの感染は、高効率、高収率のプロセスをさらに増やすことができる。
【0038】
本発明によれば、細胞は、ポリオウイルスに、好ましくは、高い細胞密度で感染される。一定の見地において、細胞が、1×106細胞/mlおよび150×106細胞/mlの間で、好ましくは2×106細胞/mlおよび150×106細胞/mlの間での密度を有するとき、ポリオウイルスによる感染が起こる。一定の好ましい具体例では、およそ5×106細胞/mlおよび20×106細胞/mlの間、例として、およそ8×106細胞/mlおよび15×106細胞/mlの間、例として、およそ10×106細胞/mlでの細胞密度にて、前記感染を実行する。本発明者らが知る限り、非アデノウイルスのウイルスワクチンが製造される最高の細胞濃度を、本発明のプロセスは提供する。本発明に従うこれらのプロセスの利益は、ポリオウイルスの非常に高い力価、すなわち、先行技術の慣習的なベロプロセスでのものよりも少なくとも1桁高いものを得ることができることである。
【0039】
本発明に従うプロセスでは、ポリオウイルスは感染後12および48時間の間に収集される。一定の具体例では、ポリオウイルスの前記収集は、感染後のおよそ18および30時間の間、例として、感染後のおよそ20と28時間の間で、およそ22および26時間の間で、例は、感染後のおよそ24時間で実行される。このように、本発明に従ったプロセスは、ポリオウイルスの高い力価を極めて速く得るのに用いることができ、それはまた、この技術において慣習的な著しく長いプロセスと比較して、本発明のプロセスを経済的にとても魅力的にすることを助ける。
【0040】
ほとんどの大規模な懸濁培養は、バッチまたはフェドバッチのプロセスとして操作され、それはそれらが操作し、スケールアップするために最も直接的だからであり、そしてそのようなプロセスは、インスタントの発明の処理に原則として適切である。しかしながら、かん流(パーフュージョン)の原理に基づく連続プロセスは、より一層普及することになる。本発明の一定の具体例では、産生細胞(プロデューサー細胞)はかん流システムにおいて培養される。
【0041】
バッチ、フェドバッチ、かん流、およびかん流生産プロセスは、PER.C6細胞を用いて、たとえば、組換え抗体生産のために使われた。バッチ培養では、12×106細胞/mlよりも高い生存細胞濃度が日常的に達成される。40×106細胞/mlまでの生存細胞濃度は、フェドバッチを用いた複数回で示された。かん流プロセスでは、150×106 細胞/mlを超えるピーク細胞濃度が日常的に達成される〔Kral(クラール)ら、2009年〕。
【0042】
細胞のかん流培養は、その技術でその慣習的な意味、すなわち、培養する間、細胞を分離デバイス(装置)により保持し、そこでは分離の前よりも低い細胞密度を有する液体の流出があり、そして細胞培養基の流入があることを意味する。かん流させた培養の使用は、高密度(例は、10-50×106生存細胞/mL)で増殖する細胞のチャレンジ(免疫性のテスト)に応じる。密度を上昇させるために、媒体は、栄養的な不足を補うため、そして毒性産物を除去するために、新鮮な供給物により絶えず、あるいは断続的に交換される。かん流もまた、培養環境(pH、dO2、栄養レベルなど)のより一層良好なコントロールを可能にされる。様々な分離装置〔例は、微細なメッシュ回転フィルタ、中空繊維または平らなプレート膜ろ過器、定着チューブ(settling tubes)〕により細胞を保持することによって、培養を通した新鮮な媒体のかん流を達成することができる。一定の具体例において、分離装置は、中空繊維、即ち、管状膜を含むフィルターモジュールである。チューブの内径は、通常0.3および6.0mmの間、例として、0.5および2.0mmの間にある。一定の具体例では、膜における網目(メッシュ)サイズ(孔サイズ)は、メッシュでの孔のサイズが細胞の直径の近くにあるように選ばれ、細胞の高い保持が確実にされ、その一方で細胞片がフィルタを通ることができる。他の具体例において、網目サイズは、細胞の直径より著しく小さい。好適には、メッシュサイズは、0.1-30μmの間、例は、0.1および3μmの間、例は、およそ0.2μmである。中空繊維を含むフィルターモジュールは、たとえば、General Electric(ジェネラル・エレクトリック社)〔以前はAmersham(アマシャム社)〕から商業上入手可能である。
【0043】
一定の代謝物質の望ましい濃度を維持し、そして培養基中の不純物を除去し、それによって減らすために、かん流を用いる。かん流は、培養する間、いつも行われるのでなく、所望により培養の間、時々行われるだけである場合が典型的である。たとえば、かん流は、グルコースのような一定の媒体成分が消耗し、そして置換することが必要になり始めた後でないと、典型的に始められない。
【0044】
いくつかのかん流システムがこの技術において知られており、原則として本発明のプロセスにおける使用に適する。用語「かん流システム」で、分離装置に接続されるバイオリアクターの組合せが意味される。分離装置は、バイオリアクターに組み込まれる(例は、微細メッシュ回転フィルタ)か、バイオリアクターの外側に残る(例は、中空繊維)のいずれかであることができる。双方の場合とも、上記で説明されるように、分離装置は反応器からの細胞塊の洗い落としを妨げ、そして中程度のリフレッシュメント(回復)を可能にする。一定の具体例では、バイオリアクターが交互の接線流(ATF)かん流システムで(つながって)操作される〔例は、ATF System(ATFシステム)、Refine Technology, Co.(リファイン・テクノロジー社)、イーストハノーバー、NJ(米国ニュージャージー州)〕。この技術での熟練する者に知られる方法に従い、そしてその中で、たとえば、米国特許US 6,544,424号明細書において解説されるように、接線流を達成することができる。ATFかん流システムの操作は説明されており、そして拡大縮小可能(スケーラブル)である〔Furey(フーレー)、2002年〕。ATFシステムは、細胞がより一層長い時間の間培養され、そしてブロックされたフィルタを有することなく高い細胞密度に達することを可能にする。実際、100×106生存細胞/mLを超える極めて高い細胞密度は、ATFかん流システムの使用と共に、例として、PER.C6細胞を伴い得ることができる〔例は、Yallop(ヤロップ)ら2005年、および国際公開第2005/095578号参照〕。しかし、それらの以前の報告においては、かん流システムでのPER.C6細胞は、抗体の組換え生産のために、すなわち、完全に異なる目的のために使われ、そしてポリオウイルスで感染されなかった。
【0045】
一定の具体例では、かん流は、たとえば、ATFシステムを伴い、前培養の相の間(すなわち、ポリオウイルスでの感染前)に有利であり、それはそれが非常に高い細胞密度を得ることができ、そしてそれらの細胞がポリオウイルスとのその後の感染のために良好な状態にあるからである。前記高細胞密度に到達するために、培養基は、一定の具体例で、細胞増殖の間の部分的な時間の間に少なくとも部分的にかん流される。一定の具体例において、およそ2×106生存細胞/mLおよび8×106生存細胞/mLの間での細胞密度に達すると、かん流が開始される。
【0046】
本発明のプロセスでは、細胞はポリオウイルスに感染する。典型的に、ウイルスは最適な条件の下で適切な産生細胞に曝され、ウイルスの取り込みが可能になる。この技術における熟練した者は、最適な更なる条件、即ち、撹拌のために、pH、溶存酸素(dO2またはDO)をどのようにして見出すかを知っている。通常、最適な撹拌は、およそ50および300rpmの間、典型的におよそ100-200、例は、およそ150、典型的にDOは5-60%であり、至適pHは6.7および7.7の間である。典型的に、ポリオウイルスは自然に本発明の細胞に感染し、および細胞をポリオウイルス粒子と接触させることは、細胞の感染には十分である。概して、ポリオウイルスのシードストックを、感染を開始させるために培養物に添加し、そしてその後ポリオウイルスは細胞において増殖する。
【0047】
本発明に係る細胞培養物を、高細胞密度での、すなわち、10×106細胞/mLの前後でポリオウイルスに感染させることは有利に可能なことであり、そしてポリオウイルスの非常に高い力価(1010CCID50/mlよりも高い)が得られた。
【0048】
一定の具体例において、感染前の細胞培養物の生存率は75%より高いままであり、培養物における細胞の総量の少なくとも75%が、感染の瞬間に生存可能であることが意味される。一定の具体例において、感染での細胞培養物の生存率は少なくとも80%であり、さらに別の具体例では、少なくとも85%である。生存率は、熟練者に利用可能な日常的な方法、例は、トリパンブルー排除、Casyセル計数、などを用いて測定することができる。
【0049】
一定の具体例では、感染時の細胞密度は、およそ10×106および50×106生存細胞/mLの間で、例は、およそ10×106および20×106生存細胞/mLの間で、例は、およそ10×106および15×106生存細胞/mLの間である。これらの細胞密度は、細胞片および宿主細胞DNAの限られた蓄積を有する高いウイルスの生産を許し、それはポリオウイルスの収集のダウンストリーム(下流)処理でのこれらの具体例の利益を与える。したがって、本発明は、ポリオウイルスの生産のために最適化されたプロセスを提供し、ポリオウイルスの高力価がもたらされ、その一方で同時にダウンストリーム処理の目的のためにまだ管理することが可能な収集材料を提供する。
【0050】
他の具体例では、感染時の細胞密度は、およそ15×106および150×106細胞/mLの間、例は、およそ15×106および80×106細胞/mLの間、例は、およそ20×106および50×106細胞/mLの間である。これらの細胞密度での感染はウイルスのさらに高い濃度を生成することができる。
【0051】
本発明の一定の具体例において、本方法は、少なくとも1010CCID50/mlの力価でポリオウイルスバルクを生産するために提供される。
【0052】
力価は、細胞培養感染用量の50%であるCCID50として表わされる。これは時々またTCID50(組織培養感染用量の50%)とも称されるが、それが細胞培養によって決定されるので、用語CCID50をここで使用する。
【0053】
ウイルスは、ウイルスを細胞に感染させ、そして増殖させるために、前記細胞と接触して置かれる。例として、ウイルスのシードロット(種地)は、細胞培養に加えられ、そして細胞上で、例として、穏やかな撹拌で(例は、およそ30rpm)およそ30分間吸収されるようにされ、しかる後更なる培養基を加ることができ、そしてpHが必要に応じて調整され、撹拌速度を調節することができ、そして培養を維持する。感染のステップの後、ウイルス粒子の数の増幅が起こる。もちろん、また、このステップは、好ましくは、血清の不存在下に懸濁物にて培養されるPER.C6細胞において実行され、そしてより一層好ましくは、動物から直接導き出される成分を完全に含まない状況下に行われる。このステップは、バイオリアクターで適切に実行することができ、例として、1および20.000リットルの間、例は、10および2000リットルの間、例は、50および1000リットルの間のスケールであり、そのスケールは、ワクチンのための要求に簡単に合わせることができる。一定の具体例において、バイオリアクターは単一の用途のバイオリアクター(SUB)である。
【0054】
細胞でのポリオウイルスの増殖の後、ウイルスまたはその成分を、細胞培養物から収集する。これは日常的な方法によって行うことができ、それは熟練者にそのように知られている。細胞培養基において生産され、そして放出されるウイルスは、慣習的な方法、たとえば、遠心分離または限外ろ過のようなものによって細胞バイオマス(生物量)から分け、そして上清に集めることができる。このような場合には、遠心分離またはろ過は収集ステップである。ウイルスを収集するための慣習的な方法を用いることができ、例として、米国特許第4,525,349号明細書で記述されるそれらのものである。手短には、ウイルスを含む液体培地懸濁物を、典型的に、取り出し、フィルタに通し、そして例として、限外ろ過によって濃縮する。例として、培養終了の際に、収集はウイルス懸濁物が含まれる培養基を集めることによって遂行する。収集物は、例として、0.22μmのフィルタを使用して、フィルタに通すことができ、そして随意に4℃で貯蔵することができる。
【0055】
フィルタ処理した収集物は、ウイルス懸濁物を濃縮するために随意に限外ろ過することができ、そして、その後、ポリオウイルスは、たとえば、ゲルろ過および/またはイオン交換クロマトグラフィーを使用して、例として、米国特許第4,525,349号明細書で、またはその中で〔Van Wezel(ヴァン・ウェツェル)ら1978年〕記述される手順の後、精製することができる。結果として生じる濃縮したウイルス懸濁物は随意に薄めることができ、そしてIPVを調製するために、その中でポリオウイルスは不活化され、そのためには、慣習的な方法を用いることができる。
【0056】
ポリオウイルスまたはウイルス成分を収集し、および精製するための、およびそこからのワクチンの生産のための方法が、何十年もすでにこの技術において用いられ、そしてこのようにしてよく知られ、十分に、たとえば、〔ヴァン・ウェツェルら1978年;Montagnon(モンターノン)ら1984年;国際公開第2007/007344号;米国特許第4,525,349号明細書)に記述されており、ここで参照することによってそのすべてを組み込む。
【0057】
ポリオワクチンは、生きているウイルスまたは不活化ウイルスに基づく。それらはポリオウイルスD-抗原を含み、それは重要な保護抗原である。ウイルス産出量は標準的なウイルス滴定技術によって測定することができ、その一方で、D-抗原濃度の決定も熟練者によく知られた日常的な技術、例は、D-抗原ELISAアッセイによって実行される。例として、免疫原性は、動物におけるインビボ(生体内)テストによって定めることができる。効力は、D-抗原ELISAを使用して、および予め免疫化したラットからの血清でのポリオウイルス中和細胞培養アッセイによって定めることができる。
【0058】
概して、ポリオウイルス株の各々は別々のプロセスで培養され、そして、例として、3種類のポリオウイルスを含む三価ワクチンが調製される場合、(IPVのためには、不活化された)ウイルスは個々の投薬量の調製物のために混合され、および調剤される。たとえば、一定の具体例において、用量あたりの最終的なワクチン(例は0.5ml)は、例としてタイプ1ポリオウイルスの40のD-抗原単位(DU)、タイプ2ポリオウイルスの8DUおよびタイプ3ポリオウイルスの32DUを含むことができ、参照調製物との比較によって定められる。
【0059】
ポリオウイルスの不活化は、この技術において知られている方法、例として、ホルマリンで、またはβ-プロピオラクトン(BPL)でのものに従って行うことができる〔例は、Jiang(チャン)ら1986年参照〕。一定の具体例において、不活化はホルマリンを用い、例として、以下の方法によって実行される:精製されたウイルス懸濁物を0.22μm膜上でろ過し、安定した磁性撹拌(マグネチックスターラー)と共に24時間37℃まで加熱し、その後、ホルモール溶液を、4,000につき1の濃縮を達成するために加える。ウイルス懸濁物を37℃に保ちながら、磁性撹拌を最初の4日間続ける。6日目に、ウイルス懸濁物を0.22ミクロンの膜上にろ過し、そして不活化を12日目まで37℃の懸濁物中で続ける。不活化ウイルス懸濁物を均質化し、そして例として、4℃で貯蔵することができる。このステップの後、投与のために、濃縮された、および/または最終的なバッチを、たとえば、望ましい調製物を混ぜることによって調製することができる。
【0060】
一定の具体例において、精製されたポリオウイルスまたはウイルス成分は製薬上の組成物に調製される。これは、様々な方法に従い、およびこの技術における熟練者によく知られる日常的な方法に従うすべての様々な緩衝剤(バッファ)を使って行うことができる。大抵、それは薬学的に許容可能な組成物においてポリオウイルス粒子をもたらすことを伴い、それは、ポリオウイルスおよび少なくとも薬学的に許容可能な賦形剤を含む。そのような組成物は熟練者に知られる状況下で調製することができ、そして一定の具体例において、ヒトへの投与に適切である。一定の具体例において、組成物は緩衝化された培養基を含むことができ、それは随意にMedium(メディアム)M-199であってよく、それは、一定の登録された慣習的な不活化ポリオウイルスワクチンのために調剤バッファとして用いられる。さらに、リン酸緩衝化塩水を用いることができ、そして最終的な投薬量調剤物は、例として、2-フェノキシエタノールの0.5%および抗微生物保存剤として用量あたり最大0.02%のホルムアルデヒドを含むことができる。
【0061】
薬学的に許容可能な担体(キャリヤー)または賦形剤および希釈剤は、この技術でよく知られ、および広範囲にわたる治療上の生産物で広範囲に使われる。好ましくは、ワクチンにおいて良好に働く担体が適用される。一定の具体例において、ワクチンは、アジュバント、例は、ミョウバンを更に含む。アジュバントは、適用される抗原決定基に対する免疫反応をさらに増やすことがこの技術において知られている。
【0062】
人間に施すために、本発明は、ポリオウイルスおよび薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む製薬上の組成物を採用することができる。ここでの前後関係において、用語「薬学的に許容可能」は、担体または賦形剤として、それらが投与される対象体において、採用される投薬量および濃度にての、求められていないか、有害な影響を少しも引き起こさないことを意味する。そのような薬学的に許容可能な担体および賦形剤は、この技術においてよく知られている〔Remington's Pharmaceutical Sciences(レミントンの薬学)、第18の版、A. R. Gennaro(ジェンナーロ)、編集、Mack Publishing Company(マック出版社)[1990年];Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins(ペプチドおよびタンパク質の製薬上の調剤の開発)、S. Frokjaer(フロクジャエ)およびL. Hovgaard(ホーブガード)、編集、Taylor & Francis(テイラー・アンド・フランシス社)[2000年];およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(製薬上の賦形剤のハンドブック)、第3版、A. Kibbe(キービ)、編集、Pharmaceutical Press(ファーマシューティカル・プレス社) [2000年]参照〕。精製された不活化ポリオウイルスまたはその免疫原性部分は、好ましくは滅菌溶液として調剤、および投与される。滅菌溶液は、滅菌ろ過によって、またはこの技術においてそれ自体既知の他の方法によって調製される。次いでその溶液は凍結乾燥されるか、または薬学的な投薬容器中に充填される。溶液のpHは、概してpH3.0から9.5まで、例は、pH5.0から7.5までの範囲にある。ポリオウイルスまたはその免疫原性部分は典型的に適切な薬学的に許容可能な緩衝剤を有する溶液であり、そしてポリオウイルスの溶液はまた塩も含むことができる。随意に安定化薬剤が存在してよく、たとえば、アルブミンのようなものである。一定の具体例において、洗浄剤(界面活性剤)が加えられる。一定の具体例において、ワクチンは注射可能な調製物に調剤することができる。これらの調剤物は有効量のポリオ
ウイルスまたはその免疫原性部分を含み、どちらも滅菌液体溶液、液体懸濁物または凍結乾燥されたバージョン(異形)のいずれかでもあり、そして随意に安定剤または賦形剤を含む。
【0063】
ポリオワクチンは一価であることができ、そして、1種類のポリオウイルス(タイプ1、2または3)を含み、または二価であり(2種類のポリオウイルス、即ち、タイプ1および2、1および3または2および3を含み)、または三価である(3種類のポリオウイルス、即ち、タイプ1、2および3を含む)。
【0064】
IPVを野生型のポリオウイルスから生成することができる。あるいはまた、IPVは、非病原性の生きているポリオウイルスから、例は、Sabin(セービン)株から生成され、それはIPVの製造から野生型のポリオウイルスを再導入する危険をさらに減らすであろう〔例は、国際公開第2007/007344号、およびDoi(ドイ)ら2001年参照〕。本発明は、野生型のポリオウイルス〔タイプ1、2および3、例は、タイプ1株Mahoney(マホーニー)、タイプ2株MEF、またはタイプ3株Saukett(ソーケット)〕ならびに非病原性種類のポリオウイルス〔例は、Sabin(セービン)株〕の生産に適切である。本発明は、このようにして、IPVのために、ならびにOPVのためにポリオウイルスを生産するのに用いることができる。IPVを生成するために適用される本発明に従うプロセスは、IPVが発展途上国および後発開発途上国に利用できるようになりうるそのような範囲にまでコストを下げるのが推進されるのに役立ちうる。概してOPVは、慣習的な方法によって調製されるとき、IPVより安いが、本発明の非常に効果的なプロセスはさらにまだOPVのためのバルク材料のコストを下げることができ、そしてそれゆえ同様にそのコストを下げることができる。
【0065】
ポリオワクチンの投与は、例として、この技術において既知の方法に従い、筋肉内に、皮内に、または経口で実行することができる。
【0066】
本発明によって得られるポリオウイルスワクチンは、独立型ワクチンとして使うことができるが、しかし、他の具体例において、正規な手法で他のワクチンと組み合わせることができ、例は、ジフテリア、百日咳、破傷風およびポリオに対する複合ワクチンの形態にて、および随意に更なるワクチン成分、例は、B型肝炎および/またはヘモフィルス・インフルエンザ(heamophilus influenzae)、その他に対するものを含むことができる。このようにして、ポリオウイルスは予防接種拡大計画(EPI、expanded program on immunization)の使用に適しており、そのプログラムにおいてワクチンと組み合わせることができる。慣習的なポリオウイルスワクチンと同様に、本発明に従うワクチンは、単一の用量として、または好ましくはワクチンの複数の用量が、適切な時間間隔、例は、1-2ヵ月の時間間隔での2回の注入、次いでブースター用量が6-12ヵ月後;または例として、初回の経口投与、次いで2回目の用量がおよそ8週後および第3の用量が第2の用量の後8-12ヵ月;または例として幼児のための齢の(生後の)6-12週間目での初回の経口投与、次いで初回の用量後に2回目の用量がおよそ8週および齢のおよそ6-18ヵ月の3回目の用量;またはたとえば、予め予防接種をされた人のための高い危険性での単一回の服用だけ;その他によって施される。最適投与計画は標準的な医療行為によって決定することができ、そして通常、利用可能なポリオウイルスワクチンに対するものと同じスキームに従う。
【0067】
本発明を、以下の例においてさらに説明する。例は決して本発明を制限しない。それらは、単に本発明を明らかにするのに役立つ。
【実施例】
【0068】
例1:付着性PER.C6細胞でのポリオウイルスの効果的な生産
【0069】
付着性PER.C6細胞でのポリオウイルスの増殖をテストし、そしてウイルスストックを生成するために、ポリオウイルスのタイプ1〔Brunenders(ブリューネンダーズ)〕、タイプ2(MEF-1)およびタイプ3〔Sauckett(ソーケット)〕を、SBL(スウェーデン)から取得した。これらのストック(微生物株)の力価は、各々ベロ細胞にて生成し、106 CCID50/ml前後であった。PER.C6細胞〔Fallaux(ファラーオクス)ら1998年〕を、培養基(10%のFBSおよび10mMのMgCl2を有するDMEM)において増殖させた。 3つのT175フラスコは、各タイプのポリオウイルスのために25mlの培養基で30×106のPER.C6細胞/フラスコで接種され、そしてその翌日、0.1(0.1のCCID50/細胞)の感染多重度(MOI)を用いて、加湿したインキュベーターにおいて37℃および10%のCO2で接種した。3日後に、細胞および培地を集め、そして粗溶解物を、2回の凍結/融解サイクルによって調製した。細胞片を取り除くための遠心分離の後、上清をアリコート(一定分量)に分け、そして-80℃に貯蔵した。並行して、1つのT175フラスコには、ポリオウイルスの各株のために、25mlのベロ細胞培養基〔4mMのL-グルタミンを補われたOptipro(オプティプロ) SFM媒体〕において6.25×106ベロ細胞で接種し、そして同じMOIsで感染させた。 ベロ培養物はまた3日後に集め、凍結/融解を2回行い、そして貯蔵のために分注した(aliquotted)。
【0070】
それから、ポリオウイルスの生産は、ベロ細胞を用いたCCID50アッセイによって定量した。ここに、1.25×104のベロ細胞を100μlの媒体中で96ウェルプレートの各ウェルにおいて接種し、そして37℃および5%のCO2でインキュベートした。その翌日、ポリオウイルスサンプルの一連の15回の5倍の希釈物を、ベロ細胞培養基において調製し、そして希釈数5から15までのものの100μlを、8倍で96ウェルプレートにおいて列1から11までに加えた。列12は、非感染のコントロール列として供した。7日後に、ウェルを細胞変性効果(CPE)の発生について分析し、そして力価をSpearman-Karber(スピアマン-ケーバー)法、すなわち、次の、
エンドポイント力価(log10)=Xo-d/2+d/n*ΣXi
式中、Xoはすべての接種(植菌)がまだ陽性である最も高い希釈物のlog10値であり、dは用いる希釈係数のlog10値であり、nは各々の希釈物での複製の数であり、そしてΣXiは希釈物Xoを含む陽性であるすべてのウェルの合計である
ものを使用して計算した。
【0071】
滴定実験の結果は、図1中に描かれ、そして付着性PER.C6細胞上で、力価がタイプ1ポリオウイルスのためのベロ細胞でのものより>5倍高く、そしてタイプ2および3の場合には>10倍高かったことを示す。細胞あたりのウイルス粒子の生産における違いはより一層小さくなると考えられ、それはより一層多くのPER.C6細胞が播種されたからである。PER.C6およびベロの双方にとって、細胞単層のコンフルエンス(集密)は、〜80%であると推定された。
【0072】
これらの実験から、PER.C6細胞の付着性の単層におけるポリオウイルスの生産がベロ細胞上でのものと少なくとも同じくらい良好であると、本発明者らは結論した。
例2:懸濁物におけるPER.C6細胞でのポリオウイルスの効率的な生産
【0073】
懸濁物におけるPER.C6細胞でのポリオウイルスの増殖を研究するために、小規模実験を実行し、異なる培養基、感染多重度(MOI)および収集の時間(TOH)をテストした。ここでは、PER.C6細胞を、3つの異なる培地:AEM〔Invitrogen(インビトロゲン社)〕、BMIVg〔Lonza(ロンザ社)から、Permexcis(ペルメクサイス)TMとして商業上入手可能〕およびCDM4PERMAb〔Hyclone(ハイクローン社)〕で培養した。感染の日に、1種類の培地で培養された細胞を計数し、そして異なる細胞密度(1.5、2.5、3.5または5×百万細胞/ml)で同じタイプの培地に再び播種し、そして振とうするプラットホーム上での加湿されたインキュベーターで37℃の異なるMOIs(0.01、0.05または0.1のCCID50/細胞)により感染させた。プラットホーム(IKA KS 260)は、10mmの軌道直径を有し、そして15-20mlの培地で満たされた125または250mlの振とうフラスコについて100rpmで使われた。AEM培地については、AEMがより一層高い細胞密度を維持しなかったので、細胞を1.5または2.5×百万細胞/mlで播種した。この方法では、複数の培養物が調製され、それらは感染後の2、3または4日に収集した。すべてのサンプルは2回凍結/融解し、そして-20℃またはそれ未満で更なる分析まで保った。
【0074】
図2は、2日目および4日目のサンプルのために、これらのサンプルの滴定の結果を描く(3日目のデータは示さない)。すべての3つの培地において増殖および感染させたPER.C6細胞は、ポリオウイルスタイプ1の高い力価を生じさせることができたが、しかし、BMIVg培地は、PERMAbおよびAEM培地と比較していくぶん低い力価を与えた。さらにまた、より一層長いインキュベーションは、より一層高い力価をもたらさなかった。対照的に、2日目の収集物は、3日目および4日目の収集物と比較してほとんどの場合により一層高い力価を与えた。MOIsのバリエーションの一貫した効果は、この実験において見出すことができなかった。重要なことに、感染でのより一層高い細胞密度の使用は、より一層高い容積測定の力価をもたらし、高い細胞密度を使用した懸濁培養プロセスが伝染性のポリオウイルスの産出量のために有益であることを示した。
【0075】
次の実験では、感染間の収集の時間および温度を、すべての3つのポリオウイルス株について比較した。ここでは、PER.C6細胞を、2.5×106細胞/mlの15mlの容量で振とうフラスコのAEM培地中に播種し、そして各々のポリオウイルス株を37℃および35℃での0.1のMOIで感染させた。細胞および培地を、感染後2、3および4日に収集し、そして上記に述べたように処理した。異なる状況下のウイルス生産の分析を、上記に述べたようにCCID50値の決定によって行い、そしてすべての3種類のポリオウイルス(図3)についての37℃と比較して35℃で産出量の増加が示された。そのうえ、ほとんどの場合、収集が2日目にされたとき、最も高い力価が測定されたことが確かめられ、そしてポリオウイルスタイプ2および3にまで拡張された。
例3:懸濁PER.C6細胞でのポリオウイルスの産出量はより一層高い細胞密度で増加する
【0076】
細胞密度の更なる増加がウイルス力価の増加を導くかどうかを研究するために、2.5×106細胞/mlでの生産を、10×106細胞/mlと比較した。ここでは、PERMAb培地でのPER.C6細胞を、示された細胞密度にて振とうフラスコにおいて15mlの容量で播種し、そして3組においてポリオウイルスタイプ1の2つのCCID50/細胞を用いて感染した。24および48時間後、細胞および培地を収集し、そして清澄な溶解物を上記に述べたように凍結/融解および遠心分離によって調製した。以前にテストした温度35および37℃に加え、実験を33℃でも行った。
【0077】
CCID50アッセイ(図4)による力価の分析は、細胞が10×106細胞/mlの密度で感染されたとき、2.5×106細胞/mlと比較して産出量が改善されたことを確認した。最良の力価は、細胞密度または収集日にかかわりなく35℃で得られた。さらにまた、そしてPER.C6細胞でのポリオウイルスの効果的な増殖のための表示として、収集が24時間後でも行うことができると示され、それは24時間または48時間のサンプルにおいて産出量がまったく匹敵するものであったからである。
【0078】
次の実験では、これらの状況は、また、ポリオウイルスの他のタイプについても試験された。PER.C6細胞を、10×106細胞/mlでPERMAb培地において播種し、そして2のCCID50/細胞を用い、振とうフラスコでの3組におけるポリオウイルスの異なるストックによって35℃で感染させた。収集を24および48時間後にし、そして細胞および培地を上記に述べたように清澄にされた溶解物にまで処理した。CCID50アッセイによる滴定は、高い細胞密度の使用もタイプ2および3についてのウイルスの高収率がもたらされることを示した(図5)。
【0079】
このことは、懸濁物でのPER.C6細胞の高密度培養が優れたプラットホームを野生型ポリオウイルスの生産に提供することを明らかに示す。PER.C6細胞の細胞密度および培養物のサイズ/容量は、培養するためのバイオリアクターシステム、ウェーブバッグまたは他のタイプのアップスケーラブルなシステムを用いて増やすことができるので、ポリオウイルスの生産はベロ細胞培養での目下のマイクロキャリヤーシステムと比較して著しく改善することができる。
【0080】
生産されたポリオウイルスを、収集し、そしてこの技術で知られている方法によって精製し、そしてベロ細胞でのポリオウイルスの増殖のために使用し、既知の方法に従うホルマリンにより不活性化し、そしてその後、この技術においてよく知られた方法によって、免疫原性を、標準的なラット免疫原性アッセイを使ってテストする〔例は、Bevilacqua(ベビラックァ)ら1996年〕。このように生産されるポリオウイルスがベロ細胞を用いた慣習的なプロセスで生産されるポリオウイルスに相当する免疫原性を有すると予測される。
例4:バイオリアクターにおけるPER.C6細胞でのポリオウイルスの生産
【0081】
細胞をPER.C6ワーキング細胞バンクから解凍し、37℃および10%のCO2の加湿されたインキュベーターにおいて無血清培養基で増殖させる。0.2-0.4×106細胞/mLの細胞密度で2Lのバイオリアクターに接種するために、十分な細胞密度に達するまで、サブカルチャーを3から4日ごとに実行する。細胞を、37℃、40%のDO、および7.3のpHでの2Lのバイオリアクターにて増殖させる。ほぼ2×106細胞/mLの細胞密度に達するとき(接種後4日目)、細胞がより一層長い時間の間培養され、そして高い細胞密度に達することが許されるように、ATFシステムを開始させる。ほぼ11から12日後に、2Lのバイオリアクターにおける細胞密度は、50×106細胞/mLよりも多くに達する。このときに、細胞懸濁物を10Lのバイオリアクターに移す。2Lのバイオリアクターからの細胞懸濁物を無血清培養基で1:5に薄める。10Lのバイオリアクターでの細胞密度は10および15×106細胞/mLの間である。しかる後、10Lのバイオリアクターを、2のCCID50/細胞のMOIにてポリオウイルスのシードストックにより感染させる。ポリオウイルスの生産は、35℃、pH7.3および40%のDOで実行する。10Lのバイオリアクターは細胞計数およびポリオウイルス生産のために一定の時点にサンプルを取られ、そしてポリオウイルスの収集を感染後12および48時間の間で適切に実行する。
【0082】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップ
a)ECACC第96022940号の下で受託されたようなPER.C6細胞である細胞の無血清懸濁培養物を提供すること、
b)前記細胞をポリオウイルスにより、2×10細胞/mlおよび150×10細胞/mlの間の細胞密度で感染させること、および
c)ポリオウイルスを感染後12および48時間の間の時間で収集すること
を含む、ポリオウイルスの生産のための方法。
【請求項2】
前記感染および/またはウイルス増殖を34℃および36℃の間の温度で実行する、請求項1に従う方法。
【請求項3】
前記感染を5×10細胞/mlおよび20×10細胞/mlの間の細胞密度で実行する、いずれか一項の先行する請求項に従う方法。
【請求項4】
前記感染を10×10細胞/ml前後の細胞密度で実行する、いずれか一項の先行する請求項に従う方法。
【請求項5】
前記感染を1および3の間、たとえば2前後の感染多重度(MOI)で実行する、いずれか一項の先行する請求項に従う方法。
【請求項6】
前記ポリオウイルスの収集を感染後18および30時間の間、たとえば感染後24時間前後の時間で実行する、いずれか一項の先行する請求項に従う方法。
【請求項7】
前記ポリオウイルスは、ポリオウイルス型1、ポリオウイルス型2またはポリオウイルス型3である、いずれか一項の先行する請求項に従う方法。
【請求項8】
前記ポリオウイルスは、ポリオウイルス型1株マホーニー、ポリオウイルス型2株MEF、またはポリオウイルス型3株ソーケットである、いずれか一項の先行する請求項に従う方法。
【請求項9】
前記ポリオウイルスはセービン株のような弱毒性ポリオウイルスである、いずれか一項の先行する請求項に従う方法。
【請求項10】
いずれか一項の先行する請求項に従う方法を含み、さらにポリオワクチンを得るために収集したポリオウイルスを精製すること、随意に不活化すること、および調剤することを含む、ポリオワクチンを生産するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−532616(P2012−532616A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519981(P2012−519981)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059796
【国際公開番号】WO2011/006823
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(301055549)クルセル ホランド ベー ヴェー (27)
【Fターム(参考)】