説明

ワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置

【課題】接触して並べることが難しいワークを、所定位置から取り出すことができ、設備がコンパクトで、しかも廃材の出ない、エンボスキャリア搬送装置を提供する。
【解決手段】可搬型キャリーケース11の搭載位置から、ワークの取り出し位置Cまで、キャリーケース11から取り出されたエンボスキャリア10を送り込むようにスクリュー型搬送機構101のスクリュー部材104を配置する。
キャリーケース11には、エンボスキャリア10を、最下段から取り出すための第1開口部103aと底部段差空間部103bと第2開口部103cとを設ける。第1開口部103aには、最下段のエンボスキャリア10を摺動可能に支えると共に、キャリーケース11の持ち運びの際に、エンボスキャリア10が垂れ下がらないようにする受手段105を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組付け等の加工を行う際、接触して並べることが難しいワークを担持してワークを供給するためのエンボスキャリアを搬送するワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、組付け加工に用いられる、接触して並べることが難しいワークの供給装置としては、図6に示すように、トレイチェンジャー1上のトレイマガジン2に複数のワークWを2次元的に配列し、トレイマガジン2単位でロボット近傍にワークWを配置しつつ、それぞれのワークWの位置までロボット3が縦横上下に移動して取り出すものが採用されてきた。
しかしながら、このような方式では、トレイチェンジャー1とロボット3を用いてワークWを搭載したトレイマガジン2からワークWを供給し、排出を行うため、設備のコンパクト化は困難であった。
【0003】
それを解決するものとして、特許文献1が開示するように、エンボステープおよびカバーテープによって電子部品を封止したエンボスキャリアから電子部品を供給する装置がある。
この場合、この装置であれば、所定の搬送手段でエンボスキャリアを、電子部品の取出し位置まで搬送し、その取出し位置においてカバーテープを外して電子部品を取り出すということが可能となり、設備が比較的コンパクトになる。
【0004】
ところで、上述のようなエンボスキャリアを搬送するには、エンボスキャリアを収容した収容ケースから取出して、エンボスキャリアに開けた送り穴にスプロケットを噛み合わせて送る手法や、前述の送り穴にピンを挿し込んで定ピッチで送る手法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−33163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のエンボスキャリアを搬送する手段では、収容ケースからエンボスキャリアを搬送する手段まで、エンボスキャリアを取出して送り込むためのアクチュエータが別途必要となり、設備コストの上昇を招くという問題があった。
本発明は、以上のような課題を解決するために提案されたものであって、設備をコンパクトにしつつ、設備等のコストを極力抑えることが可能なワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、一次元状に列設したワーク受入用ポケット(12)にワークをそれぞれ担持してなるエンボスキャリア(10)を、キャリーケース(11)に複数積載収容し、キャリーケース(11)の底部側の取出し開口部(103)からエンボスキャリア(10)を順次取出して、エンボスキャリア(10)を、ワークを取出す位置まで搬送するワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置(100)において、キャリーケース(11)の底部側の取出し開口部(103)に、複数積載されたエンボスキャリア(10)を支持するための受手段(105)と、取出し開口部(103)に近接配置したスクリュー部材(104)を有し、エンボスキャリア(10)のうち最下段のエンボスキャリア(10)におけるワークを収容するワーク受入用ポケット(12)間の隙間にスクリュー部材(104)におけるスクリューリブ(104r)を嵌入して、エンボスキャリア(10)を、エンボスキャリア(10)からワークを取出す位置まで搬送するスクリュー型搬送機構(101)と、を具備することを特徴とする。
【0008】
これにより、ワークを担持したエンボスキャリア(10)を整列した状態で複数キャリーケース(11)に収容しても、キャリーケース(11)の持ち運びの際に、キャリーケース(11)の底部側の取出し開口部(103)に設けた受手段(105)によって、エンボスキャリア(10)が垂れ下がることなく支持される。
そしてこのようなキャリーケース(11)からスクリュー型搬送機構(101)だけで、エンボスキャリア(10)を取り出して、エンボスキャリア(10)におけるワーク受入用ポケット(12)間に、スクリューリブ(104r)を嵌入するように載置して、スクリュー部材(104)を回転することで、ワークを収容したエンボスキャリア(10)を、エンボスキャリア(10)からワークを取出す位置まで搬送することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、スクリュー型搬送機構(101)におけるスクリュー部材(104)は、キャリーケース(11)の取出し開口部(103)からワークを取出す位置まで延在していることを特徴とする。
【0010】
これにより、エンボスキャリア(10)を、スクリュー型搬送機構(101)のスクリュー部材(104)のみで、キャリーケース(11)の取出し開口部(103)から取り出して、エンボスキャリア(10)を、ワークを取出す位置まで連続して搬送供給することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、スクリュー部材(104)には、スクリュー部材(104)に沿って、スクリュー部材(104)の両側に、エンボスキャリア(10)の長手両縁部(10e、10e)を摺動移動可能に支持する脱落防止用ガイド(109)を配設したことを特徴とする。
【0012】
これにより、エンボスキャリア(10)を脱落することなく、搬送することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、キャリーケース(11)における取出し開口部(103)は、キャリーケース(11)の底部側に、スクリュー部材(104)の始端側におけるスクリューリブ(104r)を位置させてなる底部段差空間部(103b)を備えたことを特徴とする。
【0014】
これにより、キャリーケース(11)内の最下段のエンボスキャリア(10)は底部段差空間部(103b)にあるため、スクリュー部材(104)の始端側におけるスクリューリブ(104r)が、エンボスキャリア(10)におけるワーク受入用ポケット(12)間に嵌入される状態になる。
【0015】
さらに請求項5に記載の発明では、キャリーケース(11)における取出し開口部(103)は、キャリーケース(11)の取出し側端面に設けて内側に最下段のエンボスキャリア(10)の長手両側縁部(10e、10e)を摺動可能に支持する受手段(105)を配設した第1の開口部(103a)と、底部段差空間部(103b)に向けて開口して、エンボスキャリア(10)におけるポケット(12)を通過させる第2の開口部(103c)と、を備えることを特徴とする。
【0016】
これにより、エンボスキャリア(10)を、キャリーケース(11)の取出し側端面に設けた第1開口部(103a)内側の受手段(105)により、垂れ下がることなく支持することができ、多数のエンボスキャリア(10)を積載収容したキャリーケース(11)を持ち運ぶ際に、何ら支障はなく、取り扱い性が向上する。
さらに、第1開口部(103a)内側の受手段(105)と第2開口部(103c)とを通じて、エンボスキャリア(10)を円滑に取出すことができる。
【0017】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかるワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置の一実施形態を示す、要部断面説明図である。
【図2】図1に示すエンボスキャリア搬送装置において用いられるキャリーケースの取出し開口部を示した、要部説明図である。
【図3】図1に示すエンボスキャリア搬送装置において、A−A線に沿う、切断矢視図である。
【図4】エンボスキャリアを用いてワークを供給する工程を示した、参考例の模式的な説明図である。
【図5】図4において用いられる、エンボスキャリア取出手段の一例を示した、概略斜視説明図である。
【図6】従来のワーク供給装置の一例を示す、模式的な斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかるワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置を実施するに当たり、本発明の課題達成手段を明示するために、本発明の実施形態に先立って、図4に参考例にかかるエンボスキャリアを用いたワーク供給装置の要部を模式的に示し、以下、説明する。
このワーク供給装置では、ワーク(図示省略)を組立工程等、次工程へ供給するための手段として、ワークを一次元状に配列担持してなる、可撓性短冊型エンボスキャリア10と、このエンボスキャリア10を整列状態で、且つ積載収容する、可搬型キャリーケース11とを用いている。
またかかるワーク供給装置では、可搬型キャリーケース11からエンボスキャリア10を取り出すエンボスキャリア取出手段13を備えている。
またワーク供給装置では、可搬型キャリーケース11から取り出されたエンボスキャリア10を、ワークの取り出し位置Cまで送り出すエンボスキャリア送出手段14(例えば直動押込み手段14)を備えている。
そして、ワーク供給装置では、エンボスキャリア10に担持されるワークを、ワークの取り出し位置Cで、例えば、二次元動作取出し機構(図示省略)で取り出した後に、エンボスキャリア10を反転搬送手段16により反転搬送し、反転搬送されたエンボスキャリア10を裏返しの状態で、例えば適宜な回収ケース(図示省略)に、順次、積重ねられるようになっている。
【0020】
エンボスキャリア10は、周知の可撓性素材を用いた、長尺状の短冊部材であり、後述するように、長手方向に送り出す際、容易に長手方向に反転搬送を可能としている。
かかるエンボスキャリア10は、一次元状に配列形成した、所定深さと形状凹部である、ワーク受入用ポケット12を具備している。
【0021】
可搬型キャリーケース11は、多数のエンボスキャリア10を整列状態で積上げ、積載収容する容積を有する。
かかる可搬型キャリーケース11の底部寄りの側壁には、積載したエンボスキャリア10をエンボスキャリア取出手段13により、最下段から長手方向に取り出すための第1開口部11aを設けている(図2参照)。
【0022】
エンボスキャリア取出手段13は、例えば、スライドガイド13aと、このスライドガイド13a上を往復動可能に設けたプッシャー13bとからなる。かかるエンボスキャリア取出手段13のスライドガイド13aを、キャリーケース11の底部の第1開口部11aに向けて、キャリーケース11の背後第1開口部11bから装入して、プッシャー13bをスライドガイド13aに沿って第1開口部11aに向けて移動させることで、積載されたエンボスキャリア10のうち、最下段のエンボスキャリア10を第1開口部11aから長手方向に取り出すようにしている。
【0023】
ワークの取り出し位置Cまで送り出すエンボスキャリア送出手段である直動押込み手段14は、詳細は図示しないが、押込み方向に進退動する直動軸15に直角状に突設する送りピン15aと位置決めピン15bとを備えている。送りピン15aは、上記ピッチ送り穴10hに嵌入することで、エンボスキャリア10を押込むことができる。また、送りピン15aに対し、所定間隔おいて形成した、位置決めピン15bは、後続して可搬型キャリーケース11から取り出されたエンボスキャリア10の位置決めを行っている。
【0024】
エンボスキャリア10を反転搬送する反転搬送手段16は、直動押込み手段14によって押込まれるエンボスキャリア10の進行方向を、180度反転する円弧状外側ガイド16aと、ローラ状内側ガイド16bと、両側面ガイド16cとを備えている。
【0025】
以上のようなエンボスキャリア搬送装置におけるワークの供給手順を説明すると、以下の通りである。
短冊型エンボスキャリア10のポケット12に、ワークを詰めた状態で、可搬型キャリーケース11の中に、積重ねた状態で部品供給したい設備にセットする(図1参照)。
次いで、セットされた可搬型キャリーケース11の最下段にあるエンボスキャリア10をエンボスキャリア取出手段13によって、第1開口部11aからエンボスキャリア10の長手方向に取り出すことができる。
【0026】
可搬型キャリーケース11の第1開口部11aから取り出されたエンボスキャリア10は、エンボスキャリア送出手段である直動押込み手段14により、ワークの取り出し位置Cまで送り出され、エンボスキャリア10に担持されるワークを、取り出し位置Cで、二次元動作取出し機構で取り出した後に、エンボスキャリア10を反転搬送手段16により反転搬送し、反転搬送されたエンボスキャリア10を裏返しの状態で、回収ケース(図示省略)に、順次、積重ねられ、再びエンボスキャリア10のポケット12にワークを詰める工程に供せられる。
【0027】
このように、接触して並べることが難しいワークを、所定位置から取り出すことができ、経費が節減できて設備もコンパクト、しかも廃材の出ない、ワーク供給装置を提供することができる。
【0028】
ところで、上述のワーク供給装置によれば、接触して並べることが難しいワークを、所定位置から取り出すことができ、ワークを次工程へと提供することはできるが、かかるワーク供給装置では、エンボスキャリア取出手段13並びにワークの取り出し位置Cまで送り出すエンボスキャリア送出手段(直動押込み手段14)が不可欠のものとなっている。
従って、上述のワーク供給装置に対しては、さらに設備の合理化、コンパクト化案として、可搬型キャリーケース11からエンボスキャリア10を取り出す手段とワークの取り出し位置Cまで送り出す手段とが、改善課題として検討がなされている。
【0029】
そこで、本発明にかかるワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置100の実施形態を図1に示し、以下、説明する。なお、エンボスキャリア搬送装置100において、参考例で示したワーク供給工程におけるエンボスキャリア搬送装置を構成する構成要素と実質的に同様の構成要素に対しては、同符号を付してその詳細な説明は省略する。
供給対象としては、上述の参考例同様、可撓性短冊型エンボスキャリア10に一次元状に配列担持してなるワークであり、エンボスキャリア搬送装置100では、エンボスキャリア10を整列状態で積載収容する、可搬型キャリーケース11を用いている。
【0030】
また、エンボスキャリア搬送装置100では、上述のエンボスキャリア10を整列状態で積載収容したキャリーケース11から、エンボスキャリア10を取出すと共に、エンボスキャリア10を、エンボスキャリア10からワークを取出す位置Cまで搬送するスクリュー型搬送機構101を備えている。
すなわち、このエンボスキャリア搬送装置100は、供給架台102上に可搬型キャリーケース11を搭載し、可搬型キャリーケース11の搭載位置から、可搬型キャリーケース11の長手軸方向に離隔して供給架台102の端部寄りに設置した反転搬送手段16に向けて、キャリーケース11から取り出されたエンボスキャリア10を送り込むようにスクリュー型搬送機構101を設置して構成されている。
【0031】
キャリーケース11には、図2に示すように、底部側に取出し開口部103が設けられ、取出し開口部103は、取出し側端面に第1開口部103aと、第1開口部103aから所定距離、水平方向に、エンボスキャリア10のポケット12外側底部からの上面までの高さ寸法分、キャリーケース11内空間側に向かって切り欠いた底部段差空間部103bとを有している。また取出し開口部103は、キャリーケース11に、底部段差空間部103bに向けて開口して、エンボスキャリア10におけるポケット12を通過させる第2開口部103cを有している。
そして、キャリーケース11内空間側において第1開口部103aから水平方向に受手段105を設けている。
以上のような第1開口部103a、底部段差空間部103bにおいて、最下段のエンボスキャリア10は、エンボスキャリア10における長手側両側縁部10e、10eが第1開口部103aから水平方向に形成された受手段105に摺動可能に支えられた状態で保持されることとなる。
また、底部段差空間部103bには、後述するスクリュー型搬送機構101におけるスクリュー部材104の始端側のスクリューリブを位置させるようにしている。
【0032】
次に、スクリュー型搬送機構101について説明する。
スクリュー型搬送機構101におけるスクリュー部材104は、上述のように、供給架台102に搭載されたキャリーケース11の底部段差空間部103bから、供給架台102の端部寄りに設置した反転搬送手段16に向けて配置している。スクリュー部材104は、始端側を底部段差空間部103bに位置させ、供給架台102に基軸104aを介して回動自在に取着されている。一方、スクリュー部材104の終端側は、供給架台102の端部寄りの反転搬送手段16導入側に、回動自在に取着されている。
また、スクリュー型搬送機構101は、スクリュー部材104に動力を伝達するための原動機部106が組み付けられている。原動機部106は、詳細は図示していないが、モータ(図示省略)からの回転動力を軸受け107と、タイミングベルト108を介してスクリュー部材104の基軸104aに伝達する構成としている。これによって、原動機部106を必要に応じて制御して、スクリュー部材104を連続して回転させたり、間欠的に回転させることで、後述するエンボスキャリア10を連続的にワーク取り出し位置Cに送り込んだり、間欠的に送り込むという動作を可能としている。
【0033】
スクリュー部材104には、外周に所定のピッチのスクリューリブ104rが設けられている。スクリューリブ104rは、スクリュー部材104の軸部104b外周からの高さが、エンボスキャリア10におけるポケット12の深さ外寸より若干大とし、且つ肉厚が隣接するポケット12の間隔より若干小とする設定となっている。
また、かかるスクリューリブ104rのピッチは、ポケット12の外径寸法より大とし、隣接するスクリューリブ104r間に各ポケット12が嵌入可能としている。
そして、スクリュー部材104を供給架台102に回動自在に支持する際、スクリュー部材104の始端側のスクリューリブ104rが、キャリーケース11底部の底部段差空間部103bに望んで、スクリューリブ104rの頂部が受手段105に近接するようにしている。
【0034】
さらに、スクリュー部材104には、キャリーケース11底部の底部段差空間部103bから延出して、スクリュー部材104の終端側までの間に、エンボスキャリア10を脱落することなく搬送するために、スクリュー部材104に沿って、脱落防止用ガイド109が設けられている。脱落防止用ガイド109は、スクリュー部材104の両側にガイド109aと浮上り防止ガイド109bとを重ねた状態で配設されている(図3参照)。ガイド109aの上面はフラットで、エンボスキャリア10の両側縁部10e、10eが抵抗なく摺動できるようにしている。両側のガイド109a間の間隔は、エンボスキャリア10の両側縁部10e、10eが支えられるようにしている。また、浮上り防止ガイド109bは、互いに対向する先端部分がガイド109a上面との間でエンボスキャリア10の両側縁部10e、10eを受け入れる隙間ができるように肉薄に形成されている。
【0035】
なお、供給架台102の端部寄りの反転搬送手段16は、参考例同様、エンボスキャリア10の進行方向を、180度反転する構成のものであり、ここでは説明は省略する。
また、かかるエンボスキャリア搬送装置100においても、エンボスキャリア10に担持されるワークを、ワークの取り出し位置Cで、二次元動作取出し機構(図示省略)で取り出した後に、エンボスキャリア10を反転搬送手段16により反転搬送し、反転搬送されたエンボスキャリア10を裏返しの状態で、適宜な回収ケース(図示省略)に、順次、積重ねられるようになっている。
【0036】
本発明にかかるワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置100は、以上のように構成されるものであり、次にこの装置を用いた搬送、供給動作を説明する。
先ず、短冊型エンボスキャリア10のポケット12に、ワークを詰めた状態で、キャリーケース11の中に多数、積載した状態で、キャリーケース11をエンボスキャリア搬送装置100の供給架台102にセットする。
このとき、キャリーケース11の最下段にあるエンボスキャリア10は、取り出し方向先端側の長手側両縁部10e、10eが、第1開口部103a内側の受手段105に支持され、キャリーケース11の底部段差空間部103bに位置させるように配置した、スクリュー型搬送機構101のスクリュー部材104の始端側のスクリューリブ104rが、エンボスキャリア10のポケット12間の隙間に嵌入する。
【0037】
ここで、原動機部106を起動して、モータからの回転動力を軸受け107と、タイミングベルト108を介してスクリュー部材104の基軸104aに伝達して、スクリュー部材104を回転駆動させることで、スクリューリブ104rが見かけ上、軸方向、すなわち、反転搬送手段16寄りの終端側に進行する。このため、このスクリューリブ104rの進行変化に連動して、隣接するスクリューリブ104r間に嵌入したポケット12が、軸方向、終端側に移動せしめられ、長手側両縁部10e、10eが、第1開口部103側の受手段105を円滑に摺動し、エンボスキャリア10のポケット12は、底部段差空間部103b側の第2開口部103cを通過して、エンボスキャリア10を搬送することができる。この場合、エンボスキャリア10は、スクリュー部材104の1回転で1ピッチ進むことになる。その際、原動機部106を必要に応じて制御して、スクリュー部材104を連続して回転させたり、間欠的に回転させることで、エンボスキャリア10の連続的な送り込みや、間欠的な送り込みを行うことができる。
【0038】
エンボスキャリア10は、スクリュー部材104に沿って搬送される際、長手側両側縁部10e、10eが、スクリュー部材104の両側に配設された脱落防止用ガイド109であるガイド109aと浮上り防止ガイド109bとの間をガイドとして、脱落することなく搬送される。
【0039】
このようにして、エンボスキャリア10は、ワークの取り出し位置Cまで搬送されると、ワークがエンボスキャリア10のポケット12から、二次元動作取出し機構で取り出した後に、エンボスキャリア10を反転搬送手段16により反転搬送し、反転搬送されたエンボスキャリア10を裏返しの状態で、適宜な回収ケース(図示省略)に、順次、積重ねることができる。
【0040】
そして、スクリュー部材104をキャリーケース11の底部段差空間部103bに位置させたことで、先に取り出されたエンボスキャリア10の最後尾がキャリーケース11から離脱した時点で、待機しているエンボスキャリア10の先頭のポケット12間にできる隙間に、スクリューリブ104rがかかることで、先行しているエンボスキャリア10と待機しているエンボスキャリア10を連続して搬送することができ、ワークをワークの取り出し位置Cから、次工程へ絶え間なく供給することができる。
【0041】
なお、エンボスキャリア10を整列収納ができるキャリーケース11に入れて持ち運ぶ際、第1開口部103に受手段105があることで、エンボスキャリア10の先端が垂れ下がらなくなり、持ち運びやすく、取り扱い性が大いに向上することがわかる。
【0042】
以上、本発明におけるワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置100によれば、供給架台102に組み付けられたスクリュー型搬送機構101のみで、組付け等の加工を行う際、接触して並べることが難しいワークを連続して次工程へ供給することができ、一層の設備のコンパクト化が達成され、設備等のコストを極力抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
10 エンボスキャリア
10h ピッチ送り穴
11 可搬型キャリーケース
11a 第1開口部
12 ポケット
13 エンボスキャリア取出手段
13a スライドガイド
13b プッシャー
14 直動押込み手段
15 直動軸
15a 送りピン
15b 位置決めピン
16 反転搬送ガイド手段
16a 外側ガイド
16b 内側ガイド
16c 側面ガイド
100 エンボスキャリア搬送装置
101 スクリュー型搬送機構
102 供給架台
103 取出し開口部
103a 第1開口部
103b 底部段差空間部
103c 第2開口部
104 スクリュー部材
104a 基軸
104b 軸部
104r スクリューリブ
105 受手段
106 原動機部
107 軸受け
108 タイミングベルト
109 脱落防止用ガイド
109a ガイド
109b 浮上り防止ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次元状に列設したワーク受入用ポケット(12)にワークをそれぞれ担持してなるエンボスキャリア(10)を、キャリーケース(11)に複数積載収容し、前記キャリーケース(11)の底部側の取出し開口部(103)から前記エンボスキャリア(10)を順次取出して、前記エンボスキャリア(10)を、前記ワークを取出す位置まで搬送するワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置(100)において、
前記キャリーケース(11)の底部側の取出し開口部(103)に、前記複数積載された前記エンボスキャリア(10)を支持するための受手段(105)と、
前記取出し開口部(103)に近接配置したスクリュー部材(104)を有し、前記エンボスキャリア(10)のうち最下段のエンボスキャリア(10)におけるワークを収容するワーク受入用ポケット(12)間の隙間に前記スクリュー部材(104)におけるスクリューリブ(104r)を嵌入して、前記エンボスキャリア(10)を、前記エンボスキャリア(10)から前記ワークを取出す位置まで搬送するスクリュー型搬送機構(101)と、
を具備することを特徴とするワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置。
【請求項2】
前記スクリュー型搬送機構(101)におけるスクリュー部材(104)は、前記キャリーケース(11)の取出し開口部(103)から前記ワークを取出す位置まで延在していることを特徴とする請求項1に記載のワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置。
【請求項3】
前記スクリュー部材(104)には、前記スクリュー部材(104)に沿って、前記スクリュー部材(104)の両側に、前記エンボスキャリア(10)の長手両縁部(10e、10e)を摺動移動可能に支持する脱落防止用ガイド(109)を配設したことを特徴とする請求項1または2に記載のワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置。
【請求項4】
前記キャリーケース(11)における取出し開口部(103)は、キャリーケース(11)の底部側に、前記スクリュー部材(104)の始端側におけるスクリューリブ(104r)を位置させてなる底部段差空間部(103b)を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置。
【請求項5】
前記キャリーケース(11)における取出し開口部(103)は、キャリーケース(11)の取出し側端面に設けて内側に前記最下段のエンボスキャリア(10)の長手両側縁部(10e、10e)を摺動可能に支持する前記受手段(105)を配設した第1の開口部(103a)と、
前記底部段差空間部(103b)に向けて開口して、前記エンボスキャリア(10)におけるポケット(12)を通過させる第2の開口部(103c)と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載のワーク供給のためのエンボスキャリア搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−162335(P2011−162335A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29206(P2010−29206)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】