説明

ワーク把持具及びワーク把持具を用いたワーク搬送装置

【課題】加工設備の停止時間を短縮することができるワーク把持具及びワーク把持具を用いたワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】ワーク200を搬送して少なくとも3つ以上の加工設備40a〜40fにて加工を行う生産ライン100において、ワーク200を加工設備40a〜40f間で搬送するためにワーク200の把持及び載置を行うワーク把持具10であって、ワーク200を把持及び載置可能な二つのハンドと、二つのハンドをワーク200の搬送方向に沿う線上にて回動させることによって、加工設備40a〜40fからワーク200を把持するハンドを切り替えると共に、把持しているワーク200を加工設備40a〜40fに載置するハンドを切り替える回動機構とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送工程が2工程以上あるような製造ラインに適用されるワーク把持具及びワーク把持具を用いたワーク搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを把持して搬送するワーク把持具の一例として特許文献1に示される搬送ロボットがあった。
【0003】
この特許文献1に示される搬送ロボットは、第1ハンドと第2ハンドとを有しており、この第1ハンドと第2ハンドとによってワークを把持して搬送するものである。
【特許文献1】特開2001−191278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に示される搬送ロボットを搬送工程が2工程以上あるような製造ライン(例えば、加工設備1から加工設備3)に用いた場合、設備停止時間が増加するという問題がある。
【0005】
つまり、特許文献1に示される搬送ロボットは、加工設備2(以下、設備2とも称する)にあるワークをピックアップする為にハンド(第1ハンドと第2ハンド)を降下してワークを把握して上昇する。次に、搬送ロボットは、設備2からピックアップしたワークを加工設備3(以下、設備3とも称する)へ移動させて置く。次に、搬送ロボットは、設備3にワークを下ろすと、加工設備1(以下、設備1とも称する)へ戻って、設備1にあるワークをピックアップする為にハンドを降下してワークを把握して上昇して設備2へ移動させて置く。このように、設備2は、ワークの着脱の為に加工を停止させる必要がある。つまり、設備2は、ハンドが4区間移動する間と8回アップダウンする間、加工を停止させる必要がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、加工設備の停止時間を短縮することができるワーク把持具及びワーク把持具を用いたワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載のワーク把持具は、ワークを搬送して少なくとも3つ以上の加工設備にて加工を行う生産ラインにおいて、ワークを加工設備間で搬送するためにワークの把持及び載置を行うワーク把持具であって、ワークを把持及び載置可能な二つのハンドと、二つのハンドをワークの搬送方向に沿う線上にて回動させることによって、加工設備からワークを把持するハンドを切り替えると共に、把持しているワークを加工設備に載置するハンドを切り替える切替機構とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
このようにすることによって、二つのハンドで同時に異なるワークを把持することができると共に、一方のハンドでワークを把持しつつ、他方のハンドでワークを載置することもできる。したがって、加工設備から一方のハンドでワークを把持しつつ、他方のハンドで把持しているワークをその加工設備に載置することができるので、加工設備の停止時間を短縮することができる。
【0009】
つまり、一方のハンドで最初の加工設備(設備1)からワークを把持して、その状態で次の加工設備(設備2)へ移動してハンドを切り替えて他方のハンドでこの加工設備からワークを把持する。その後、設備2において、ハンドを切り替えて、設備1にて把持したワークを設備2に載置する。この時点で設備2は動作可能となる。このように、一つのハンドでワークを搬送する場合に比べて必要な動作を少なくすることができ加工設備の停止時間を短縮することがきる。
【0010】
また、請求項2に示すように、二つのハンドは、ワークの搬送方向に沿う線上に配置される基部材に所定角度開いた状態で設けられるものであり、切替機構は、基部材を回動させることによって二つのハンドをワークの搬送方向に沿う線上にて回動させるようにしてもよい。
【0011】
このようにすることによって、基部材を回動させて二つのハンドをワークの搬送方向に沿う線上にて回動させることによって容易にハンドを切り替えることができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために請求項3に記載のワーク搬送装置は、請求項1又は請求項2に記載のワーク把持具を用いたワーク搬送装置であって、二つのハンドにおける第1のハンドで少なくとも3つの以上の加工設備における所定の加工設備から前記ワークを把持する第1工程と、次の加工設備である第2の加工設備へワーク把持具を移動させると共に切替機構にてワークを把持するハンドを第1のハンドから第2のハンドへ切り替える第2工程と、第2のハンドにて第2の加工設備からワークを把持する第3工程と、第3工程後に切替機構にて前記第2のハンドから第1のハンドに切り替える第4工程と、第4工程後に第1のハンドが把持しているワークを第2加工設備に載置する第5工程と、第5工程後に次の加工設備である第3加工設備へワーク把持具を移動させると共に第1のハンドにて第3加工設備からワークを把持する第6工程と、第6工程後に切替機構にてワークを載置するハンドを第2のハンドに切り替える第7工程と、第7工程後に第2のハンドが把持しているワークを第3加工設備に載置する第8工程とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
このようにすることによって、第5工程が終了した時点で第2の加工設備(設備2)は動作可能となる。このように、一つのハンドでワークを搬送する場合に比べて必要な動作を少なくすることができ加工設備の停止時間を短縮することがきる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるワーク把持具を有するワーク搬送装置が適用された生産ラインの概略構成を示すイメージ図である。図2は、本発明の実施の形態におけるワーク把持具の概略構成を示す斜視図である。図3は、本発明の実施の形態におけるワーク把持具がレールに搭載された場合のイメージ図である。図4(a)〜(f)は、本発明の実施の形態におけるワーク搬送装置の搬送工程を示すフロー図である。図5は、本発明のワーク搬送装置と1ハンドの搬送装置との違いを説明する説明図である。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態におけるワーク把持具10を有するワーク搬送装置は、複数の加工設備40a〜40f(少なくとも3つ以上)にてワーク200の加工を行う生産ライン100に適用されるものである。つまり、プリント基板やプリント基板に回路部品が実装された回路基板などからなるワーク200を自動搬送して複数の加工設備40a〜40fにて加工を行う生産ライン100に適用されるものである。
【0016】
生産ライン100には、ワーク200の加工工程毎に設けられる複数の加工設備40a〜40fとその複数の加工設備40a〜40fのそれぞれにワーク200を搬送するワーク搬送装置が設けられる。本実施の形態においては、加工設備40a〜40fは、略直線状に配置されている例を採用するものである。また、この各加工設備40a〜40fには、ワーク200が載置される治具50a〜50fが設けられるものである。また、ワーク搬送装置は、ワーク把持具10、ワーク把持具10を移動させるためのレール30、ワーク把持具10を駆動制御する制御装置(図示省略)などを備えるものである。
【0017】
各加工設備40a〜40fの上側(上空)には、ワーク200を把持して搬送するワーク把持具10を支持(懸架)する支持梁20が設けられている。より具体的には、支持梁20は、各加工設備40a〜40fに設けられた治具50a〜50fの上側(上空)に設けられる。この支持梁20の加工設備40a〜40fと対向する側(重量方向)には、ワーク把持具10を支持梁20の長さ方向にわたって移動可能な状態で支持するレール30が設けられている。
【0018】
この支持梁20及びレール30は、複数の加工設備40a〜40fが配置される列の少なくとも一方の端部から他方の端部に渡って設けられる。つまり、支持梁20及びレール30は、全ての加工設備40a〜40fの上側に連続的に設けられる。これによって、ワーク把持具10は、全加工設備40a〜40fに移動可能となる。なお、ワーク把持具10は、例えば、リニアモータによって、レール30(リニアモータ駆動レール)に懸架された状態で移動するものである。
【0019】
ここで、ワーク把持具10に関して説明する。図2、図3に示すように、ワーク把持具10は、支持部11、Y軸調整部12、Z軸調整部13、θ軸調整部14、基部材15、ハンド16a,16bなどを備える。支持部11には、ワーク把持具10を構成するY軸調整部12、Z軸調整部13、θ軸調整部14、基部材15、ハンド16a,16bが設けられる。また、支持部11は、レール30に移動可能な状態で懸架される駆動部(図示省略)を備えるものである。
【0020】
Y軸調整部12は、アクチュエータなどを含み、ハンド16a,16bをY軸方向に調整するものである。このY軸方向とは、地面に対して平行な方向であり、ワーク200の搬送方向に対して垂直方向である。なお、Y軸調整部12は、図示を省略する制御装置からの指示に基づいてハンド16a,16bをY軸方向に調整する。
【0021】
Z軸調整部13は、アクチュエータなどを含み、ハンド16a,16bをZ軸方向に調整するものである。このZ軸方向とは、地面に対して垂直方向である。つまり、Z軸調整部13は、ハンド16a,16bを地面に垂直な方向に移動させることによって、ワーク200を加工設備40a〜40bに対して近づけたり、遠ざけたりする。換言すると、Z軸調整部13は、ハンド16a,16bを上下に移動させるものである。なお、Z軸調整部13は、図示を省略する制御装置からの指示に基づいてハンド16a,16bをZ軸方向に調整する。
【0022】
θ軸調整部14は、アクチュエータなどを含み、ハンド16a,16bをシータ軸方向に調整するものである。このシータ軸方向とは、地面に対して垂直方向を回転軸として回転する方向である。つまり、θ軸調整部14は、ハンド16a,16bを地面に垂直な方向を回転軸にして回転させる。なお、θ軸調整部14は、図示を省略する制御装置からの指示に基づいてハンド16a,16bをシータ軸方向に調整する。
【0023】
基部材15は、二つハンド16a,16bが所定角度開いた状態で設けられ、アクチュエータなどからなる回動機構(切替機構)15aを備えるものである。この基部材15は、回動機構15aによってワーク200の搬送方向に沿う線上にて回動されるものである。つまり、基部材15は、二つハンド16a,16bを支持した状態でワーク200の搬送方向に沿う線上にて回動するものである。換言すると、基部材15は、回動機構15aによって、地面に対して平行であり、ワーク200の搬送方向に対して垂直である回転軸を中心に回動するものである。また、ハンド16aとハンド16bとは、この回転軸を中心に所定角度開いた状態で基部材15に設けられるものである。
【0024】
このように、本実施の形態においては、回動機構15aによって基部材15を回動させることによって、ハンド16aとハンド16bとを切り替えるものである。つまり、回動機構15aは、加工設備40a〜40fからワーク200を把持するハンド16a、16bを切り替えると共に、把持しているワーク200を加工設備40a〜40fに載置するハンド16a、16bを切り替える。換言すると、ハンド16aとハンド16bとを切り替えるとは、治具50a〜50fもしくは、治具50a〜50fに載置されたワーク200に対向する位置に配置するハンドをハンド16aとするか、もしくはハンド16bとするかを切り替えるものである。なお、二つのハンド16a,16bは、基部材15に対して取り付け、取り外し自在に設けられるようにしてもよい。
【0025】
ハンド16aとハンド16bとは、それぞれが独立してワーク200を把持及び載置するものである。例えば、筒状の部材をワーク200に接触させて真空吸引するようなものであってもよいし、ワーク200を挟みこむようなものであってもよい。また、ワーク200が穴を有するものである場合は、ハンド16a,16bは、その穴に挿入してワーク200を把持するようなものであってもよい。つまり、ワーク200の穴に挿入されるものであり穴の軸方向に延びる筒部と筒部の端部が複数に分割された分割部とを有する内パイプと、穴の開口幅よりも小さく、かつ内パイプの開口幅よりも大きい突状部を有する棒部材とを備え、内パイプ及び棒部材の一部が穴に挿入される前の状態では突状部は内パイプ外に配置され、内パイプ及び棒部材の一部が穴に挿入された状態では棒部材が穴への挿入方向とは反対方向に移動することによって突状部は内パイプ内に配置され、突状部によって分割部が押し広げられ、この分割部によってワーク200を把持するものであってもよい。なお、上述のようにワーク200として採用するプリント基板や回路基板は、穴を有する場合が多く、たとえ、穴を有していない場合であっても、穴を設けるのは比較的容易、すなわち、意匠的、機能的に問題が少ない。
【0026】
このようにすることによって、二つのハンド16a,16bで同時に異なるワーク200を把持することができると共に、一方のハンド(例えば、ハンド16a)でワークを把持しつつ、他方のハンド(例えば、ハンド16b)でワーク200を載置することもできる。したがって、加工設備40a〜40fのいずれかから一方のハンド(例えば、ハンド16a)でワーク200を把持しつつ、他方のハンド(例えば、ハンド16b)で把持しているワーク200をその加工設備に載置することができるので、加工設備40a〜40fの停止時間を短縮することができる。
【0027】
また、このようにすることによって、基部材15を回動させて二つのハンド16a,16bをワーク200の搬送方向に沿う線上にて回動させることによって容易にハンド16a,16bを切り替えることができる。
【0028】
ここで、図4及び図5を用いて、本実施の形態におけるワーク搬送装置におけるワーク搬送工程に関して説明する。図3においては、加工設備40aに設けられた治具50aにワーク200bが載置されている場合を例として説明する。なお、加工設備40aは、加工するワーク200bを交換する時は動作を停止する必要がある。
【0029】
まず、図4(a)に示すように、前工程から加工設備40aにワーク把持具10を移動させる。この時、ワーク把持具10は、一方のハンド16aにワーク200aを把持した状態である。
【0030】
そして、図4(b)に示すように、他方のハンド16b(ワーク200aを把持していない方のハンド)で治具50aに載置されているワーク200bを把持する(掴む)ために、ハンド16a、ハンド16bを下げて(治具50aに近づけて)、ハンド16bにてワーク200bを把持する(掴む)。
【0031】
そして、図4(c)に示すように、ハンド16aとハンド16bとを切り替えて、ハンド16aが把持しているワーク200aを治具50aに載置するために、ハンド16a、16bを上げる(治具50aから遠ざける)。
【0032】
そして、図4(d)に示すように、基部材15を回動させることによってハンド16aとハンド16bとを切り替える。つまり、ハンド16aとハンド16bとを切り替える前は、ハンド16bの鉛直方向に治具50aがあったのに対して、切り替えることによって、ハンド16aの鉛直方向に治具50aがくるようにする。このようにすることによって、ハンド16aが把持しているワーク200aを治具50aに載置することができるようになる。
【0033】
そして、図4(e)に示すように、ハンド16aが把持しているワーク200aを治具50aに載置するために、ハンド16a、ハンド16bを下げる(治具50aに近づける)。
【0034】
そして、図4(f)に示すように、ハンド16aが把持しているワーク200aを治具50aに載置して、ワーク把持具を次工程に移動させるために、ハンド16a、16bを上げる(治具50aから遠ざける)。この時点で治具50aが設けられた加工設備40aは動作(加工)可能となる。つまり、図4(a)〜図4(e)の間は、加工設備40aは動作(加工)が停止された状態となっている。
【0035】
次に、本実施の形態におけるワーク把持具10及びワーク搬送装置と、1ハンドの把持具及びその把持具を用いたワーク搬送装置とを比較する。図5に示すように、加工設備(図面では、設備40a、設備40b、設備40cと記載)が3つある生産ラインを例として説明する。図5においては、設備40aにはワーク200bが載置されており、設備40bにはワーク200aが載置されている。そして、ワーク200a及び200bを搬送して、設備40bにワーク200bが載置され、設備40cにワーク200aが載置されるようする。
【0036】
まず、1ハンドの把持具及びその把持具を用いたワーク搬送装置の場合の搬送ダイアグラムでは、把持具は、設備40bにあるワーク200aをピックアップする為にハンドを降下してワーク200aを把握して上昇する。次に、把持具は、設備40bからピックアップしたワークを設備40cへ移動させて置く。次に、把持具は、設備40cにワークを下ろすと、設備40aへ戻って、設備40aにあるワーク200bをピックアップする為にハンドを降下してワーク200bを把握して上昇して設備40bへ移動させて置く。このように、設備40bは、ワーク200a、200bの着脱の為に加工を停止させる必要がある。つまり、設備40bの停止時間は、把持具が4区間移動する間と8回アップダウンする間である。
【0037】
これに対して、本実施の形態におけるワーク把持具10及びワーク搬送装置の場合の搬送ダイアグラムでは、二つのハンドにおけるハンド16a(第1のハンド)で設備40aからワーク200bを把持して(第1工程)、次の加工設備である設備40bへワーク把持具10を移動させると共に回動機構15aにてワークを把持するハンドをハンド16a(第1のハンド)からハンド16b(第2のハンド)へ切り替えて(第2工程)、ハンド16bにて設備40bからワーク200aを把持して(第3工程)、第3工程後に回動機構15aにてハンド16bからハンド16aに切り替えて(第4工程)、第4工程後にハンド16aが把持しているワーク200bを設備40bに載置して(第5工程)、第5工程後に次の加工設備である設備40cへワーク把持具10を移動させると共にハンド16aにて設備40cからワーク(図示省略)を把持して(第6工程)、第6工程後に回動機構15aにてワークを載置するハンドをハンド16aからハンド16bに切り替えて(第7工程)と、第7工程後にハンド16bが把持しているワーク200aを設備40cに載置する(第8工程)。
【0038】
換言すると、設備40aでハンド16aにてワーク200bをピックアップして、設備40bへ移動して、ハンドを切り替えて、設備40bから空いているもう一方のハンド16bにてワーク200aをピックアップし、その後、ハンドを切り替えて、ハンド16aに把持しているワーク200aを設備40bに載置する。この時点で、設備40bは、動作可能となる。つまり、設備40bの停止時間は、ワーク把持具10の4回アップダウンとハンドの切替時間である。
【0039】
このように、一つのハンドでワークを搬送する場合に比べて必要な動作を少なくすることができ加工設備の停止時間を短縮することがきる。
【0040】
また、ワーク交換に伴う設備加工停止時間を低減することができるので、自動搬送生産ラインにおけるワークの交換時間の増大による加工設備40a〜40fの負荷時間の増大を抑制することができる。さらに、1台のワーク把持具10で複数の加工設備40a〜40fに渡ってワーク200を搬送できるので、自動搬送生産ラインにおける投資を抑制することができる。
【0041】
ここで、ワーク把持具10(ワーク搬送装置)の駆動精度補正に関して説明する。
【0042】
ワーク把持具10(以下、ロボットとも称する)を治具(例えば、50a)に接触(例えば、基準バーなどに接触)させるなどして、治具端部まで正確に移動させることはできる。ところが、ワーク把持具10に設けられたハンド16a,16bをワーク200に設けられた穴に挿入してワーク200を把持する場合、図6に示すようにハンド16a,16b(以下、ツール16とも称する)を穴位置まで移動指令値どおりに正確に移動させる必要がある。つまり、図6に示すように、ワーク把持具10を基準バーに接触した位置からワーク200に設けられた穴位置に正確に移動させる必要がある。ここで、ワーク把持具10が基準バーに接触した時の駆動量をDMとする。本実施の形態における移動精度計測と校正は、ワーク把持具10を基準バーに接触した位置からワーク200に設けられた穴位置までの範囲の移動制度を事前に計測して補正するものである。
【0043】
本実施の形態における生産ライン100では、図7に示すように、治具の位置を接触検知して、実際に使用する治具50の基準バーの座標系を確立して、その座標系からワーク200の穴位置までの距離を移動して、ツール16の先端をワーク200の穴に位置決めする。
【0044】
この時、着脱X座標値、Y座標値の移動は、指令された寸法どおりの移動距離を移動する絶対精度が必要になる。しかしながら、一般のロボットシステムでは、繰り返し精度のみが保証されていて、絶対精度が保証されていないという問題がある。
【0045】
絶対精度の計測と校正は、この問題に対処する為に行うものであり、図8に示すような治具を使って行う。この治具は、所定の格子点上の位置に金属角柱のコーナ部が配置してある。そして、三段階の高さ(例えば、10、60、110mm)にあるコーナに、ツール16を図9に示すように当てて、この時のワーク把持具10のX/Y/Z駆動値を読み取る。この治具に接触させる事より、300×300×100hのエリア内の各格子点のワーク把持具10のX/Y/Z駆動値を得る。
【0046】
これにより、各格子点の真の座標(治具が完成した時点で計測しておく)と、そこにツール16を接触させる為のXYZ駆動値がわかった事になり、この両者を使って所定の座標値に行く為のXYZ駆動値を得る補正マップを生成する事ができる。
【0047】
補正式(補正マップ)は、1次元で説明すれば、真値軸と軸の駆動値軸をとって図10に示すように表現できる。補正マップによる座標の変換は、3次元空間上のある位置へ移動の指示を受けた際に、真値から駆動値に変換する真値=>駆動値変換と、この逆に治具に接触した際に、駆動値から真値を求める駆動値=>真値変換がある。
【0048】
上記の1次元の補正を3次元の補正に拡張する際には、格子点で囲まれた空間とそれを取り巻く空間があるとする(図11)。
【0049】
図11に示す空間は、校正の為に使用できる格子点(参照点)の数から分類すると図12(a)〜(d)の様になる。校正の方法は、参照可能な格子の点数により異なるので参照可能な格子点数別に説明する。図11は、座標を校正した空間とその空間を取り巻く空間のイメージ図である。
【0050】
ここで、計測治具の機構と設置手順について説明する。計測治具は、レール30と並行に、且つ水平に設置する必要があるので、図13(a),(b)に示すような調整機構を持つ。図13(a),(b)において、(b)は回転調整用マイクロを回転させて治具搭載面を動かした状態を示している。
【0051】
図14は、補正バーを載せたイメージ図である。治具の設置は、この機構を使って下記の手順で実施する。まず、Z軸まわりの回転調整用マイクロメータを動かしてレールで計測したX軸のY値が治具の左端と右端で同じ値にする。次に、Y軸まわりの回転調整用マイクロメータを動かして治具を左右方向(X軸方向)で水平にする(なお、水平は水準器で計測する)。そして、X軸まわりの回転調整用マイクロメータを動かして治具を奥行き方向(Y軸方向)で水平にする(なお、水平は水準器で計測する)。
【0052】
なお、実際の治具は、上記の様な突起によって参照点を作るのではなく、3層板の角型の穴(300a〜300c)を利用して計測用の格子点を作っている。図15に、この治具300の平面図示す。また、図16に、この治具300の断面図を示す。符号320は、カラー付固定棒であり、図17に示すように(例えば45mmの)カラーを計測板間に入れて上から締め付けて固定するものである。また、符号310は、位置決め段付棒である。また、図18に示すように、3層板の角型の穴(300a〜300c)は、3層で所定間隔ずらしており、それぞれエッジを有する。
【0053】
また、治具300は、治具300に付随するマイクロメータを動かして、治具300をレールに対して並行で、且つ重力線に対して直交する様に設置する(治具のアライメント)。つまり、図19(a)に示すように、レール30に対して平行調整すると共に、図19(b)に示すように、水平調整する。
【0054】
また、図20、図21に示すように、治具上のある計測点の真値(真の座標値)は治具の座標系から計測した値であり、一方、駆動値は駆動原点からの距離であり、両者は全く異なるものである。この両者を位置的に関連させて真値と駆動値間の相互変換を可能にする為に以下の事を行う。最初に、絶対精度校正治具の原点(座標0の位置)を検出する。次に、原点を検出した駆動値を真値とする。そして、治具上の格子点の原点からの「真の座標値=原点駆動値+格子点計測値」とする。これを1次元の図で示すと図22のようになる。また、レール30上に複数の校正治具がある場合を想定して描くと図23の様になる。
【0055】
補正実施方法は、重量補正とトラベル補正の2通りがある。重量補正は、重量によるたわみ位置誤差が発生する事に対する補正である。トラベル補正は、XYZ軸がある距離動く際にレールが直線でない事や正確に直交していない事により発生する位置の誤差である。
【0056】
重量補正は、XYZロボットが搬送重量に対して、どの程度の剛性を有しているかによるので、十分剛性がある場合はこの補正は不要であり、剛性がない場合は何通りかの重量で格子点に接触する重量をサンプリングして補間する必要がある。なお、重量とは、ワーク把持具10の総重量。この表を基に任意重量に置ける駆動値を以下の方法で推定する。
【0057】
任意重さWでの駆動値、推定値をXedw、Yedw、Zedwとする。また、任意重さWより軽い側で、最も近い重さをWL、その時の駆動量をXedl、Yedl、Zedlとする。さらに、任意重さWより重い側で、最も近い重さをWH、その時の駆動量をXedh、Yedh、Zedhとする。この時、任意重さWでの駆動値、推定値Xedw、Yedw、Zedwを式1で推定する。
(式1)

【0058】
なお、推定しようとした重さWに対して、サンプルした重量が上下2つ存在せず。全て下側又は上側の場合は、最も近い重量の駆動値を推定値とする。この方式を取る場合、サンプリング重量が1点の場合は、全重量に対して、その時の駆動値を使う事になる。
【0059】
次に、トラベル補正に関しては、XYZ軸トラベルによる絶対位置の補正は参照点の数によって、参照点が1個の場合、参照点が2個の場合、参照点が4個の場合、参照点が8個の場合の4つの場合がある。
【0060】
まず、参照点が1個の場合について説明する。参照点が1つしかない空間は、駆動値を取得した空間のコーナに対して8箇所、図26の様に広がっている。この場合、真値と駆動値の関係は、図27に示すようになっている。この場合、駆動値=>真値、真値=>駆動値変換は以下となる。
【0061】
真値=>駆動値の変換は、D=D1+(R−R1)=D1+R−R1=R−(R1−D1)である。また、駆動値=>真値の変換は、R=R1+(D−D1)=R1+D−D1=D+(R1−D1)である。
【0062】
この数式を3次元に拡張した、真値=>駆動値、駆動値=>真値変換は以下の様に行う。参照点(格子点)の治具事前計測値をXjr、Yjr、Zjr、参照点(格子点)に接触した時の駆動値をXd、Yd、Zdとする。この時、目標位置=>駆動値変換(式3)と駆動値=>真位置変換(式4)は、以下のようになる。
(式2)

【0063】
(式3)

【0064】
(式4)

【0065】
次に、参照点が2個の場合に関して説明する。参照点が2個の補正対象空間は、計測した格子立体の周囲に図28の様に12箇所ある。この空間は、X・Y・Z軸いづれかの方向に2点の参照点がある補正対象空間である。この場合、2点間の任意の点の値は2点の誤差量を推測点から2点の格子点までの距離で内分した値で推測する。この部分の補正は以下の様に行う。
【0066】
参照点1(格子点1)の治具事前計測値をXjr1、Yjr1、Zjr1、参照点1(格子点1)に接触した時の駆動値をXdr1、Ydr1、Zdr1とする。参照点2(格子点2)の治具事前計測値をXjr2、Yjr2、Zjr2、参照点2(格子点2)に接触した時の駆動値をXdr2、Ydr2、Zdr2とする。目標位置決め位置をXt、Yt、Zt、目標位置決め位置にする時の駆動値Xd、Yd、Zdとする。
(式5)

【0067】
(式6)


【0068】
ここで、X軸方向に2つの参照点が存在する場合、目標位置=>駆動値変換(式7)と駆動値=>真位置変換(式8)は、以下のようになる。
(式7)

【0069】
(式8)

【0070】
ここで、Y軸方向に2つの参照点が存在する場合、目標位置=>駆動値変換(式9)と駆動値=>真位置変換(式10)は、以下のようになる。
(式9)

【0071】
(式10)

【0072】
ここで、Z軸方向に2つの参照点が存在する場合、目標位置=>駆動値変換(式11)と駆動値=>真位置変換(式12)は、以下のようになる。
(式11)

【0073】
(式12)

【0074】
次に、参照点が4個の場合に関して説明する。参照点が4個の補正対象空間は、計測した格子立体の周囲に図29の様に6箇所ある。この空間は、XY、YZ、又はXZ平面上の4点の参照点がある補正対象空間であり、この部分の補正をXY編面上の4点を例にとって説明する。参照点が4点ある場合は、上述の参照点が2個ある補正を2回X方向補正とY方向補正を行い補正する(図30参照)。
【0075】
まず、X軸方向の2点補正でr1とr1からr12の座標とErrを求める。次に、X軸方向の2点補正でr3とr4からr34の座標とErrを求める。そして、Y軸方向の2点補正でr12とr34からr1234の座標とErrを求める
参照点1(格子点1)の治具事前計測値をXjr1、Yjr1、Zjr1、参照点1(格子点1)に接触した時の駆動値をXdr1、Ydr1、Zdr1とする。参照点2(格子点2)の治具事前計測値をXjr2、Yjr2、Zjr2、参照点2(格子点2)に接触した時の駆動値をXdr2、Ydr2、Zdr2とする。参照点3(格子点3)の治具事前計測値をXjr3、Yjr3、Zjr3、参照点3(格子点3)に接触した時の駆動値をXdr3、Ydr3、Zdr3とする。参照点4(格子点4)の治具事前計測値をXjr4、Yjr4、Zjr4、参照点4(格子点4)に接触した時の駆動値をXdr4、Ydr4、Zdr4とする。目標位置決め位置をXt、Yt、Zt、目標位置決め位置にする時の駆動値Xd、Yd、Zdとする。
(式13)

【0076】
(式14)

【0077】
(式15)

【0078】
(式16)

【0079】
X軸方向の2点補正でr1とr2とからr12の座標とErrを求める。r12点の誤差推測量Err12。
(式17)

【0080】
r12点の真値推測量t12。
(式18)

【0081】
r12点の駆動量推測量d12。
(式19)

【0082】
X軸方向の2点補正でr3とr4とからr34の座標とErrを求める。
r34点の誤差推測量Err34。
(式20)

【0083】
r34点の真値推測量t34。
(式21)

【0084】
r34点の駆動量推測量d34。
(式22)

【0085】
X軸方向の2点補正でr12とr34とからr1234の座標とErrを求める。
目標位置=>駆動値変換
(式23)

【0086】
駆動値=>真位置変換
(式24)

【0087】
次に、参照点が8個の場合に関して説明する。8点ある場合は、上述で示した4点ある場合の拡張でX軸=>Y軸=>Z軸の順に同じ方法で内分した点のErrと座標軸を推測するという方法で指定されたXYZ点の目標位置=>駆動値変換式と駆動値=>目標位置変換式を得る(図31参照)。
【0088】
なお、校正システムは、図32に示すように、ロボットインスタンスは、ロボットドライバーに移動命令を発行する直前に補正PGで真値=>駆動値変換した上でロボットドライバーに駆動指示を出す。また、ロボットドライバーから駆動値をもらった際には、最初に駆動値=>真値変換を実施した上でその後の計算に使用する。これをイメージで示すと図33のようになる。これにおいて、重量別校正システムの内部は、真値=>駆動値、駆動地=>真値変換それぞれ図34、図35の様になる。なお、領域判定とは、図36の校正域内の座標かどうかの判定である。
【0089】
図36では、校正域が治具の格子点がある箇所だけとなっているが格子点のある範囲だけだと格子点外部の近傍の補正ができないので、実際には、際外部格子点の所定範囲(例えば25mmぐらい)外側をまでを校正範囲にする(図37参照)。また、校正域と非構成域の境界では、断続点が発生するが位置決め精度が必要なワークの着脱点及びワーク着脱点を参照する為の基準バーは、全て校正域内に存在するので断続点があっても問題は発生しない。
【0090】
次に、設備・治具位置補正に関して説明する。
【0091】
ワーク把持具10に設けられたハンド16a,16bをワーク200に設けられた穴に挿入してワーク200を把持する場合(1点保持ハンドを使用する場合)、多形状のワーク搬送が可能になるが、多形状のワークを搬送する際に、ワーク把握位置のロボットティーチングが必要である。ここでいうロボットティーチングとは、ロボット操作パネルで実際にロボット(ワーク把持具10)を物理的に動かし、ハンド16a,16bの先端をワーク200の穴(保持部)まで持って行き、その座標を記憶させる行為である。
【0092】
一般に多種の製品が流動している生産ラインでは、新しく出てくる製品がと生産中止になる製品が常に入れ替わっており、この様な生産環境で新製品の自動着脱の為の ロボットティーチングを実施しようとすると以下の問題が発生する。
【0093】
生産ラインは、新製品品以外の流動品を生産しているのでティーチングの為にラインを停止させるのが困難であり、且つラインを停止させれば、その分ラインとして生産に使える時間が減少する。
【0094】
この問題点を解決する為の手段としてオフラインティーチングがある。これは、図38に示すように、DO、JO、Hを数値として制御装置に与えて、ハンド16a,16bの先を穴に入れる為の駆動量DをD=JO+H―DOという計算で求める方法である。
【0095】
しかしながら、実際にこの方法を適用しようとした場合、例えば、床面上の基準線からレールの端部までの計測精度がmmオーダしかでない、床面上の基準線から治具50の端部までの計測精度がmmオーダしかでないなどの問題があり、ワーク200の穴にハンド16a,16bを入れる際に要求される±0.1mm程度の精度で上記方式を実施するのは非常に困難である。
【0096】
接触式設備治具位置較正は、上述の様な環境でオフラインティーチングを成立させる為の方法であり、アイデアとしては、治具30のエッジより少し手前からハンド16a,16bを自動でインチングさせ、ハンド16a,16bと治具5が接触した時に駆動量DCを記憶し、ここからH+r(rは、ハンド16a,16bの半径分)だけ移動させる事によりハンド16a,16bを穴の中心に持っていくというものである。
【0097】
1次元の世界では、この様に簡単なのであるが、実際に加工設備や治具が設置されるのは、3次元の空間である。したがって、加工設備や治具の水平度(設置時のXY平面に対する傾き)、1軸レールに対する傾きを考慮して加工設備と治具の位置と角度を校正する必要がある。
【0098】
まず、構成としては、図39に示す例を採用することができる。本実施の形態においては、治具位置を自動で検出する為に、図39に示す導通チェックによるハンド16a,16bと治具の接触による位置検出を行う。
【0099】
この場合、ハンド16a,16b先端部は絶縁されており、接触確認する時だけ5Vが加えられるので、非試験時には、ワーク200との接触により、この部分に静電気が溜まる可能性がある。短絡SWは、この為に接触探査時以外は、ハンド16a,16b先端を
支持部11に接続する為のSWである。接触試験時は、試験SWはクローズ、短絡SWはオープンの状態とし、非試験時は、試験SWはオープン、短絡SWはクローズの状態とする。
【0100】
ここで、ハンド16a,16bの絶縁は、図40に示すように、ハンド16a,16bの根元である位置で実施することができる。また、絶縁は、図41に示すように、絶縁体16a1,16b1を介してフランジ部16a2とそれ以降を接続する。また、絶縁部材としては、高さ調整兼用絶縁プレート16a3を用いることができる。この場合、絶縁部以降のワーク把持具10は、+5Vになったり、1mΩを介してアースに接続される状態になったりするので、ハンド16a,16bをアースに使う様な配線をしてはいけない。
【0101】
また、設備と治具の位置は、図42乃至図46に示すように、基準バーにツールを接触させて検出する構成とする。なお、設備は、±10mm程度の精度で設置すればよく、治具は、±3mm程度の精度で設置すればよい。
【0102】
例えば、治具座標校正を例にとって座標系の視点から見ると図47の様になる。ここで、設備座標系Mから見た治具定義座標系JDは、JDの4×4同次座標で表現される。意味としは、設備図面と治具図面から設備座標系から見た場合に、治具座標系がここにくるはずという図面上の治具位置と角度を示すデータ。治具定義座標系JDから見た治具計測座標系JMは、JDJMの4×4同次座標で表現される。意味としは、図面上の治具座標系から見た実際の治具が設置されている位置と角度を示すデータ。これは、治具定義座標系JD上で実際の治具の基準バーの位置を計測したL1、L2、L3から導出される。
【0103】
上記の場合、設備座標系Mから見た実際の治具設置座標系JMの4×4同次座標JMは、JM=JDJDJMで示される座標変換式で求められる。まず、接触探査を行い、接触で得たXYZ値から誤差4×4同次座標系を得て、誤差4×4同次座標系を設備(M)や治具(J)の実位置の4×4同次座標系に変換する。
【0104】
ここで、この点に関して説明する。接触探査を行う為には、まず、触探査開始点を求め、接触探査終了点を求め、ワーク把持具10を動作させて接触探査を行い接触座標値を得るという手順が必要である
上述の3つは、実際の駆動なので、ここでは、接触探査開始座標と接触探査終了座標の求め方に関して述べる。なお、接触探査終了座標とは、接触探査を実施しても設備又は治具が全く異なった場所においてあり、接触が発生しない場合に、ここまで探査して接触しない場合は、接触探査をエラー終了させる座標の事である。
【0105】
基準バーにハンド16a,16bで接触させて位置を計測する際には、設備上にある障害物をよけて、基準バーの特定の位置で接触させる必要があるのでハンド16a,16b接触位置を図48に示すように治具・設備毎に定義する。この寸法で、例えば、POは平面を求める為の原点の近い位置(Plane Origin)という意味であり、図48では、接触の為には、ハンド16a,16bの先端は、Z軸に並行にZ−の方向へ動く。
【0106】
補正対象となるXYZ並行移動と角度に応じた座標値記号を図49に示すように命名する。なお、ハッチングセルは、計測箇所の場所を人により指示される事を意味する。Mesセルは、その軸を計測する、つまり、その軸に沿って接触探査を行う事を意味する。接触値の補正前とは、ツールが接触した際の生の座標値である。接触値の補正後とは、接触した生の座標値からツールの半径(XY)と飛び出し量(Z)を補正した値である。XS、XLとYS、YLの計測は、XS、XLを計測した場合は、XSだけYS、YLを計測した場合はXSだけ計測する図50(a)、(b)は、XS補正を例にとった、X_XS、Mes、Z_XS、YsttXS、YstpXSの説明図である。
【0107】
接触探査の開始・終了位置を決める為には、ツールの座標径がツールの中心で決めてあるのに対して実際に接触するのがツールの外形部分であるので、この分を補正して開始&終了座標を決める必要がある。
【0108】
よって、ツール中心のツール座標系と実際に接触するツール外形部との寸法差を次の様に命名する。HIRは、接触位置較正時、水平インチング実施時の接触部のツールの半径。HIHは、接触位置較正時 水平インチング実施時の接触部のツールの接触Z座標。VIHは、接触位置較正時 垂直インチング実施時の接触部のツールの接触Z座標。XYErrM/Jは、実際にはXYErrMとXYErrjがあり、それぞれ設備又は治具の宣言された位置と実際の位置のX軸及びY軸方向(水平面)の誤差。ZErrM/Jは、実際にはZErrMとZerrがあり、それぞれ設備又は治具の宣言された位置と実際の位置のZ軸(垂直)誤差。なお、図51〜図53は、設備、治具、ツールの用語を説明する図面である。
【0109】
このような記号体系を取る時、接触探査開始、探査軸探査方向、探査長(接触がない場合探査を中止するまでの探査距離)は図54の様になる。なお、X軸及びY軸の探査開始、終了点がX_PX又はY_PYの正負で異なっているのは、基準バーが探査する2つの面(正側又は負側)のどちらに存在すかによって異なる為である。
【0110】
YS計測を例にとって、X_PY>0の基準バーと座標系の関係とX_PY<0の基準bバーと座標系の関係を図55に示す。図55から、X_PY>0の時はX軸−側から+の方向へ探査、X_PY<0の時はX軸+側から―の方向へ探査することが明らかである。
【0111】
Z軸の探査開始・終了に関しては、必ず天(設備又は治具Z軸正)から地(設備又は治具Z軸負)の方向に探査する(基準面が必ず地の方向にある)ので、XY軸探査の様な場合分けは必要ない。
【0112】
なお、接触した治具座標は、下記のHIH、HIR、VIH分だけオフセットした位置であるので、接触値からこの分だけ引き算又は足し算してツール座標系の位置を出す必要がある。接触した治具座標系の値をCPO、CPX、CPY、CXS、CXL、CYS、CYLとすると、上述のオフセット補正後の接触座標MPO、MPX、MPY、MXS、MXL、MYS、MYLは図56に示す計算で求める。
【0113】
次に、接触で得たXYZ値から誤差4×4同次座標系を得る。設備と治具の設置されている座標の較正を実施したら得られたXYZ値(MZPO、MZPX、MZPY、MYXS、MYXL、MXYS、MXYLから次の2つを求める必要がある。まず、設備の場合は、設備定義座標系MDから見た設備計測座標系MMの4×4同次座標変換行列MDMM。治具の場合は、治具定義座標系MDから見た治具計測座標系MMの4×4同次座標変換行列JDJM。4×4同次座標系は、式25の形で表現される。
(式25)

【0114】
ベース座標系から見たターゲット座標系の4×4同次座標変換行列(ベースターゲット)が上記で表現される場合、XからOは次のことを意味する。Xxは、ターゲット座標系のX単位ベクトルに含まれるベース座標系X単位ベクトル成分割合。Xyは、ターゲット座標系のX単位ベクトルに含まれるベース座標系Y単位ベクトル成分割合。Xzは、ターゲット座標系のX単位ベクトルに含まれるベース座標系Z単位ベクトル成分割合。Yxは、ターゲット座標系のY単位ベクトルに含まれるベース座標系X単位ベクトル成分割合。Yyは、ターゲット座標系のY単位ベクトルに含まれるベース座標系Y単位ベクトル成分割合。Yzは、ターゲット座標系のY単位ベクトルに含まれるベース座標系Z単位ベクトル成分割合。Zxは、ターゲット座標系のZ単位ベクトルに含まれるベース座標系X単位ベクトル成分割合。Zyは、ターゲット座標系のZ位ベクトルに含まれるベース座標系Y単位ベクトル成分割合。Zzは、ターゲット座標系のZ単位ベクトルに含まれるベース座標系Z単位ベクトル成分割合。Ozは、ベース座標系のX軸上のターゲット座標系の原点。Oyは、ベース座標系のY軸上のターゲット座標系の原点。Ozベース座標系のZ軸上のターゲット座標系の原点。
【0115】
従って、たとえば、治具の場合、治具定義座標系MDから見た治具計測座標系MMの4×4同次座標変換行列JDJMを求めるという事は、4×4同次座標変換行列JDJMの行列要素Xx〜Ox12個の値を求めるという事である。この12個の値を求める為には、角度成分を求め、次に並行移動成分を求める(図57参照)。
【0116】
角度成分を先に求めるのは、原点は空間上の1点なので、その近傍を計測する事は出来ても、その場所ズバリの位置を接触計測する事はできない。よって、原点を求める為には、計測点から直線X(治具計測座標系のX軸)と直線y(治具計測座標系のY軸)を求めて2直線の交点を求める事により原点を求めるという方式で行う。
【0117】
以下、それぞれの場合において計測値から補正すべき角度ベクトルと原点の求め方を示す。なお、実際の計測がMZPO、MZPX、MZPY、MXYS、MXYL、MYXSの組み合わせか、MZPO、MZPX、MZPY、MYXS、MYXL、MXYSの組み合わせからのいずれかの組み合わせ測定が行われるので、それぞれ別に記載する。
【0118】
まず、MZPO、MZPX、MZPY、MXYS、MXYL、MYXSを測定した場合(Y軸2点計測)に関して説明する。
【0119】
MZPO、MZPX、MZPY、MXYS、MXYL、MYXSとは、図58の箇所の計測値である。MZPO、MZPX、MZPY、MXYS、MXYL、MYXSから治具定義座標系JDから見た治具計測座標系JMの4×4同次座標変換行列JDJM(式26)は以下の手順で求める。
(式26)

【0120】
まず、MZPO、MZPX、MZPYから治具計測座標系MMのXY平面の式を求める(図59)。
【0121】
次に、XY平面の式に(MXYS、Y_YS)と(MXYL、Y_YL)を代入して、それぞれの点のZ座標値を計算する(図60)。
【0122】
次に、上記で求まった2点(MXYS、Y_YS、PZYS)と(MXYL、Y_YL、 PZYL)は、治具計測座標系JMのY軸を通る2点なので、この2点を通る直線のXYZ成分から、式26の治具計測座標系JMのY軸成分(Yx、Yy、Yz)を求める。
【0123】
次に、XY平面の式に(X_XS、MYXS)の値を代入して、Z座標値を計算する(図61)。これで、求まった点を(X_XS、MYXS、PZXS)とする。
【0124】
次に、治具定義座標系JD治具計測座標系JMの原点が座標(Ox、Oy、Ox)とした場合(Ox、Oy、Oz)と上記で求めた(X_XS、MYXS、PZXS)の2点を通る線は、治具計測座標系JMのX軸となるので以下の1、2の関係を使ってOx、Oy、Ozを求める。1、(Ox、Oy、Oz)と(X_XS、MYXS、PZXS)を結ぶ線(座標系JMのX軸)と座標系JMのY軸が直行する(内積=0)。2、(Ox、Oy、Oz)は上記3番目で求めたY軸上の点である(Y軸の直線の式を満たす)。
【0125】
次に、上記5番目で求めた治具計測座標系JMの原点座標(Ox、Oy、Oz)とX軸上の点(X_XS、MYXS、PZXS)を使って治具計測座標系JMのX軸成分(Xx、Xy、Xz)を得る。
【0126】
次に、治具計測座標系JMのX軸成分(Xx、Xy、Xz)と治具計測座標系JMのY軸成分(Yx、Yy、Yz)から、そのベクトルの外積を求める事により、治具計測座標系JMのZ軸成分(Zx、Zy、Zz)を得る。
【0127】
ここで、3つの計測点から平面の式を求める。ここで使う3点は、図62の3点のXYZ値の組み合わせである。なお、各文字列が長いので図63の様に置き換える。ここで、Z軸に50を加えたのは、平面の式を求める便宜上d=0の状態を避けたい為の処置である。図形的には、便宜上、本来のXY平面よりZ軸方向を50mm高い平面を求める事になる。
【0128】
上述の3点は、平面上の点なので下記3式が成立しこれを解く事によりabcの計数が下記の様に求まる(図64参照)。
【0129】
上記3点を平面の式ax+by+cz+d=0に代入すると、式27が成立する。
(式27)

【0130】
上記3式を解いて、a、b、cを求める(式28)。
(式28)

【0131】
d≠0なので、式29とし、
(式29)

【0132】
平面の式は、式30のようになる。
(式30)

【0133】
ただし、a’、b’、c’は、式31である。
(式31)

【0134】
この式を整形すると、式32となる。
(式32)

【0135】
次に、平面の式から式25のY軸成分Yx、Yy、Yzを求める。ここでは、上記で求めた平面の式から治具計測座標系JMのY軸を通る2点なので、この2点を通る直線のXYZ成分から下記のY軸成分を求める
上記で求めた平面の式を式33の様に変形する。
(式33)

【0136】
さらに、便宜上50mm上方にシフトした平面を前章で求めていたので、この50mmを補正する式34で座標を求める。
(式34)

【0137】
式34に図65の2点のXY座標を代入してZ座標を求める。
【0138】
計算で求めたZ座標をPZYS、PZYLとすると、治具計測座標系JMのY軸は(MXYS、Y_YS、PZYS)、(MXYL、Y_YL、PZYL)の2点を通る事になる。
【0139】
これより、治具計測座標系JMのY軸の成分Yx,Yy,Yzは、式35の様に求まる。
(式35)

【0140】
次に、平面の式からPZXSを求める。上述と同様の手法でX_XSとMYXSを代入してPZXSを求める。このとき、式36を用いる。そして、図66に代入する値と求まった値の記号を示す。
(式36)

【0141】
次に、原点Ox,Oy,Ozを求める。たとえば、2次元の座標で直線の傾きと直線上の1点の座標がわかっている場合、直線の式は図67の様に表現できる。これは、3次元座標系でも同じなので上記求めた治具計測座標系JMのY軸上の任意の点は、X=MXYS+tYx、Y=Y_YS+tYy、Z=PZYS+tYzの様に表現できる。治具計測座標系JMのY軸とX軸の交点の座標をOx、Oy、Ozとする(図68参照)。この場合、点(Ox、Oy、Oz)X軸上の点であると同時にY軸上の点でもあるのでOx=MXYS+tYx、Oy=Y_YS+tYy、Oz=PZYS+tYzを満たすtが存在する事になる。
【0142】
さらに、X軸の成分Xx,Xy,Xzは、式37の様に表現される。
(式37)

【0143】
治具計測座標系JMのX軸とY軸は、直行するのでその内積は0となるのでXxYx+XyYy+XzYz=0が成立する
これを解くと式38の様にtが求まる
(式38)

【0144】
ここで求まったtをOx=MXYS+tYx、Oy=Y_YS+tYy、Oz=PZYS+tYzに代入して、Ox、Oy、Ozを求める。
【0145】
次に、X軸成分Xx、Xy、Xzを求める。上記で求めたOx、Oy、Ozを式38に代入してXx、Xy、Xzを求める。
(式39)

【0146】
次に、Z軸成分Zx、Zy、Zzを求める。図69に示すように、ベクトルaとbの外積abは、ベクトルabに両方に対して垂直でaからbの方向へ右ネジを回したベクトルとなる。これは、図69においてaベクトルを治具計測座標系JMのX軸単位ベクトルbベクトルをY軸単位ベクトルとすれば、外戚abは治具計測座標系JMのZ軸単位ベクトルとなる事を示す。よって、治具計測座標系JMのZ軸単位ベクトル(Zx、Zy、Zz)は、上記で求めたX軸単位ベクトル(Xx、Xy、Xz)とY軸単位ベクトル(Yx、Yy、Yz)を使ってZx=XyYz-XzYy、Zy=XzYx-XxYz、Zz=XxYy-XyYxの様に求める
次に、MZPO、MZPX、MZPY、MYXS、MYXL、MXYSを測定した場合(X軸2点計測)に関して説明する。
【0147】
MZPO、MZPX、MZPY、MYXS、MYXL、MXYSとは、図70の計測値である。なお、計算の考え方は、MZPO、MZPX、MZPY、MXYS、MXYL、MYXSと同様なので説明を省略する。
【0148】
3つの計測点から平面の式を求める。ここで使う3点は、図71の3点のXYZ値の組み合わせである。これは、MZPO、MZPX、MZPY、MXYS、MXYL、MYXSで説明した組み合わせとおなじである。よって、全く同じ算定方法で平面の式a’x+b’y+c’z+d=0を得る事ができる。
【0149】
ただし、a’、b’、c’は、式40である。
(式40)

【0150】
平面の式からX軸成分Xx、Xy、Xzを求める。ここでは、上記で求めた平面の式から、治具計測座標系JMのY軸を通る2点なので、この2点を通る直線のXYZ成分から式25のX軸成分を求める。
【0151】
上記で求めた平面の式を式41の様に変形する。
(式41)

【0152】
さらに、便宜上50mm上方にシフトした平面を前章で求めていたので、この50mmを補正する式42で座標を求める。
(式42)

【0153】
上記式に図72の2点のXY座標を代入してZ座標を求める。計算で求めたZ座標をPZXS、PZXLとすると、治具計測座標系JMのY軸は(X_XS、MYXS、PZXS)、(X_XL、MYXL、PZXL)の2点を通る事になる。
【0154】
これより、治具計測座標系JMのY軸の成分Yx,Yy,Yzは式43の様に求まる。
(式43)

【0155】
平面の式からPZYSを求める。上記と同様の手法でY_YSとMXYSを代入してPZYSを求める。式44を使用する。図73に代入する値と求まった値の記号を示す。
(式44)

【0156】
原点Ox,Oy,Ozを求める。たとえば、2次元の座標で直線の傾きと直線上の1点の座標がわかっている場合、直線の図74の様に表現できる。これは、3次元座標系でも同じなので、上記で求めた治具計測座標系JMのX軸上の任意の点はX=X_XS+tXx、Y=MYXS+tXy、Z=PZXS+tXzの様に表現できる(図75参照)。
【0157】
治具計測座標系JMのX軸とY軸の交点の座標をOx、Oy、Ozとする(図76参照)。この場合Ox、Oy、Ozは、Y軸上の点であると同時にX軸上の点でもあるのでOx=X_XS+tXx、Oy=MYXS+tXy、Oz=PZXS+tXzを満たすtが存在する事になる。
【0158】
さらに、Y軸の成分Yx、Yy、Yzは式45の様に表現される。
(式45)

【0159】
治具計測座標系JMのX軸とY軸は、直行するので、その内積は0となるので、XxYx+XyYy+XzYz=0が成立する。
【0160】
これを解くと、式46の様にtが求まる。
(式46)

【0161】
ここで求まったtをOx=XforOY+tXx、Oy=MOy+tXy、Oz=Zoy+tXzに代入して、Ox,Oy,Oz を求める。
【0162】
Y軸成分Yx、Yy、Yzを求める。上記で求めたOx、Oy、Ozを式47に代入してYx,Yy,Yzを求める。
(式47)

【0163】
Z軸成分Zx、Zy、Zzを求める。上記での説明と同様にXベクトルとYベクトルの外積を求める事により、Zx=XyYz-XzYy、Zy=XzYx-XxYz、Zz=XxYy-XyYxの様にZ軸単位ベクトル成分(Zx,Zy,Zz)を得る。
【0164】
本実施の形態における生産ラインにおいては、搬送において、あるワーク把持具(例えば、10a)の搬送範囲と次のワーク把持具(例えば、10b)の搬送範囲の継ぎ目の箇所では、ワーク把持具がある治具にワーク200を入れ、次のワーク把持具がその治具からワークを取り出すという作業が必要となる。
【0165】
図77の場合、設備40cがワーク把持具10aとワーク把持具10bの搬送境界の設備であり、ワーク把持具10aがワーク200cを設備40cに投入し、ワーク把持具10bがワーク200cを設備40cから取り出す。
【0166】
この場合、設備40c及びその上に載っている治具50cの正しい位置は、ワーク把持具10aとワーク把持具10bの両者に必要であり、単純に対応するとワーク把持具10aとワーク把持具10bが設備40cに対して、おのおの接触位置校正するという事になる。
【0167】
同一の治具(例えば、治具50c)に対して、2台のワーク把持具(ワーク把持具10aとワーク把持具10b)が、おのおの位置較正すれば、段取り交換停止時間が増加する。そこで、一方のワーク把持具が接触位置校正した結果を他のロボットが利用する方法を採用する。
【0168】
この問題を検討する為には、設備・治具の接触位置較正が単に設備や治具の位置較正という意味だけでなくレール30やワーク把持具の取り付け精度を含めた校正になっている事から理解する必要があるので、ここで最初に説明し、その後、これを前提にしていかに他ワーク把持具の測定結果を利用するかを説明する。なお、以下の説明及び図面において、ワーク把持具をワーク把持具R、ワーク把持具Bとも称する。
【0169】
図78に示すように、レールとワーク把持具R及びワーク把持具B及び校正する基準バーが位置関係にある時を考える。ワーク把持具R、ワーク把持具Bから見た基準バー(図面では基準Bar)の位置は、それぞれ図79の様に計測される。座標計算システムは、上記の位置をワーク把持具Rを例に取ると以下の様に計算して校正する様指示を与える。
WTTRRE=WC
TR)−1WT)−1WTTRRE=(TR)−1WT)−1WC
RE=(TR)−1WT)−1WC
よって、ワーク把持具Rはワーク把持具座標系から見てX=4、Y=7の位置に基準バーがあるものとして、この基準バーが計算された位置(設備又は治具定義座標系)に対してどれだけズレているかを計測する。
【0170】
世界座標系上のレールの位置とレール上のワーク把持具の位置が1/100ミリオーダで正確に計測されていれば、予定した位置に基準バーが存在する。しかしながら、世界座標系上のレールの位置とレール上のワーク把持具の位置を1/100ミリオーダで正確に計測する事は不可能であり、通常は設定してある世界座標系上のレールの位置とレール上のワーク把持具の位置と実際の位置には数ミリオーダの誤差が発生する。
【0171】
たとえば定義してある位置と実際の位置に世界座標系上のレールY=-1、レール上のワーク把持具RがX=-1、レール上のワーク把持具BがX=+1のズレがあったとする。この場合、世界座標系上のレール、レール上のワーク把持具R及びワーク把持具Bの定義されている座標は前回とまったく同じなのでワーク把持具R、ワーク把持具Bは、それぞれ、図80の様に基準バー(図面では基準Bar)があるものとして座標校正を始める。この場合、ワーク把持具R、ワーク把持具Bが、それぞれが想定した基準バーの位置から実際の基準バーの位置は、図81の様にズレていると計測する。これにおいてワーク把持具は当初想定したX=4、Y=7ではなく、これにX=1、Y=1だけ補正したX=5、Y=8だけ動かせば基準バー原点上にルーツ(ハンド16a、16b)を持って行く事ができる。
【0172】
この場合、システム上の認識は図82の様に世界座標系上のレール位置、レール上のワーク把持具位置がズレているにも関わらず、全てのズレが設備位置ズレに集約され、設備位置が図82の位置にあるものとして認識される。
【0173】
これは、接触位置補正が単に設備や治具の位置を補正するだけでなく世界座標系上の設備位置、世界座標系上のレール位置、レール上のワーク把持具位置の定義位置と実際の位置ズレを含めて、それぞれのワーク把持具に対する基準バーの位置を補正できる事を示しており、位置を補正するという意味では、非常に強力な機能を有している事を意味しているが、反面他ワーク把持具が補正した世界座標系上の設備位置をそのまま使う事が出来ない事も意味している。
【0174】
この様に、他ワーク把持具が位置較正した設備位置は世界座標系上の設備位置、世界座標系上のレール位置、レール上のワーク把持具位置の定義位置と実際の位置ズレを含んで校正されるので、そのままでは使用できない。よって、他ワーク把持具の校正情報を利用する方法としては以下に説明する。
【0175】
まず、設備座標位置較正は、各ワーク把持具が重複しても校正を行う。そして、設備座標系から見た治具座標MJは、他設備の校正情報をそのまま使用する。ただし、設備位置較正は、治具位置較正に先立って必ず実施されている事とする。
【0176】
この方式を採用する利用としては、設備座標位置較正は、電源オン時に1回実施されるので、各ワーク把持具がダブって座標校正しても稼動時間ロスに対する影響が治具位置較正に比較して低い。また、治具位置較正に先行して、設備位置較正が実施され、この時点で各ワーク把持具から見た設備の位置は補正される(この時点で、世界座標系上の設備位置、世界座標系上のレール位置、レール上のワーク把持具位置の定義位置と実際の位置ズレは折込済み)。その後、補正された設備座標系上で治具の基準バーをサーチするので設備座標系から見た治具座標系MJには、世界座標系上の設備位置、世界座標系上のレール位置、レール上のワーク把持具位置の定義位置と実際の位置ズレの影響が出ない。
【0177】
また、上述のように接触の設備・治具位置計測・補正機能を説明したが、光学的な方法をとってもよい。例えば、図84などに示すように、2次元カメラ+レーザ距離計を採用することができる。設備や治具の基準バーに、図83の様にマーキング(画像認識マーク)して、2次元カメラ(図示省略)で撮像し、且つレーザ距離計Cで、その高さを計測すれば、ワーク把持具による接触位置補正と同じ方法で設備や治具の位置を出す事ができる。
【0178】
この場合、ハンド16aとカメラ中心軸線のオフセット、ハンド16aとレーザ高さ計測器Cの高さオフセットが発生する。ここで、このオフセットを自動計測する例を説明する。まず、図85、図86に示すような治具を準備する。治具は、図85、図86に示すよう、基板400上に、基板400よりも平面積が小さく上面を黒く塗装した第1部材410を設け、さらに、第1部材410上に、第1部材410よりも平面積が小さく上面を白く塗装した第2部材420を設ける。
【0179】
そして、図87、図88に示すように、治具の白黒境界がカメラ中心線となるRobot駆動量DCを求める。次に、治具の白黒境界の壁にハンド16aが接触するワーク把持具駆動量DHを求める。この時、カメラDとハンド16aのオフセット量はO=DH-DC-HR(HRは、ハンド16aの半径)となる。
【0180】
次に、ハンド16aとレーザ高さ計測器Cの高さオフセットに関して説明する。図89、図90に示すように、距離計Cで距離LHを計測する、次に、ハンド16aを降下させて設備上面に接触させ、この時の降下駆動量をDHとする。計測器から駆動量0の時のハンド16a先端までのオフセットOはO=LH-DHで求まる。
【0181】
なお、カメラだけを使用するようにしてもよい。この場合、上記の距離計Cにて距離を計測する代わりに、図91に示すように、カメラのフォーカスを合わせる際の焦点距離から距離を計算すると共に、マークを規定のサイズとしてその視野に占める角度から距離を求めるようにする。図92に示すように。Lが既知ならば、H=L/tanθとなる。
【0182】
また、図93(a)、(b)に示すような分離型の接触基準バーを用いてもよい。なお、図93(a)は、Y軸を先に校正する場合であり、図93(b)は、X軸を先に校正する場合を示す図面である。
【0183】
分離型の接触基準バーは、図94に示すように、分離しているので中央の開いている部分feを全て自由になるので使いやすくなる。また、Y軸先校正の場合、平面位置決めを担当するPXだけを分離する又は、X軸先校正の場合、平面位置決めを担当するPYだけを分離する事により、PX、PY、基準Barは、単に高さ方向の精度だけ、他方の基準バーに合わせればよくなり、これは、単純に同一厚さで2つの基準バーを製作しておき両者を設備40や治具50の天板にボルト締めするという簡単な方法で実施できる。
【0184】
また、電子回路基板の製造ラインでは、先頭工程では、プリント板の状態で流動するがプリント板状態での加工が完了した後は、プリント板はケースに入れられ、その後ケースのネーム印刷や外部取り付けブラケットの取り付けなどの工程がある。このようにプリント基板を封入したケース(ワーク)を搬送するようにしてもよい。
【0185】
この場合、ケースにも穴をあけて、1点保持ハンドを使うこともできるし、ケースになると真空吸着するΦ30以上の広い平面があるので真空吸着ハンドを使うようにしてもよい。
【0186】
例えば、ワーク把持具10のハンドとして真空吸着パッド使用する場合、図95、図96に示すように、筒状部材520の先端にラバー510を設け、真空吸着パッドの中心にスプリングで伸縮するコンタクトプローブ500を設ける。このようにすることによって、接触位置校正する上で安価な導通による接触検知が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明の実施の形態におけるワーク把持具を有するワーク搬送装置が適用された生産ラインの概略構成を示すイメージ図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるワーク把持具の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるワーク把持具がレールに搭載された場合のイメージ図である。
【図4】(a)〜(f)は、本発明の実施の形態におけるワーク搬送装置の搬送工程を示すフロー図である。
【図5】本発明のワーク搬送装置と1ハンドの搬送装置との違いを説明する説明図である。
【図6】本実施の形態におけるワーク搬送装置の駆動精度補正を説明するためのイメージ図である。
【図7】治具の位置を接触検知によって検知する際の説明図である。
【図8】絶対精度の計測と校正を行うための補正バー(校正治具)のイメージを示す斜視図である。
【図9】図8の部分的拡大図である。
【図10】真値と指令値・駆動値の関係を示すグラフである。
【図11】座標を校正した空間とその空間を取り巻く空間のイメージ図である。
【図12】(a)〜(d)は、参照点の数毎のイメージ図である。
【図13】(a),(b)は、計測治具の校正を示す斜視図である。
【図14】計測治具に補正バー(校正治具)をのせた場合の斜視図である。
【図15】計測治具に実際の校正治具をのせた場合の平面図である。
【図16】図15の側面図である。
【図17】図16の部分的拡大図である。
【図18】補正治具の穴部分を説明する断面図である。
【図19】(a),(b)は平行及び水平調整を説明するイメージ図である。
【図20】真X値と真Y値を説明するイメージ図である。
【図21】ワーク把持具の駆動値を説明するイメージ図である。
【図22】ワーク把持具の真座標値を説明するイメージ図である。
【図23】レール上に複数の校正治具がある場合の真座標と駆動量の関係を示すグラフである。
【図24】サンプリング数が1である場合の駆動値と重量の関係(駆動値推定曲線)を示すグラフである。
【図25】サンプリング数が4である場合の駆動値と重量の関係(駆動値推定曲線)を示すグラフである。
【図26】参照点1個の空間と駆動値を取得した空間の関係を説明するイメージ図である。
【図27】参照点が1個の場合の真値と駆動値の関係を示すグラフである。
【図28】参照点2個の空間と駆動値を取得した空間の関係を説明するイメージ図である。
【図29】参照点4個の空間と駆動値を取得した空間の関係を説明するイメージ図である。
【図30】参照点が4個の場合の真値と駆動値の関係を示すグラフである。
【図31】参照点が8個の場合の真値と駆動値の関係を示すグラフである。
【図32】校正システムの概略構成を示すブロック図である。
【図33】ロボットインスタンスの概略構成を示すイメージ図である。
【図34】駆動値=>真値変換機能を説明するイメージ図である。
【図35】真値<=駆動値変換機能を説明するイメージ図である。
【図36】領域判定を説明するための真座標と駆動量との関係を示すイメージ図である。
【図37】校正範囲を説明するための真座標と駆動量との関係を示すイメージ図である。
【図38】設備・治具位置校正を説明するためのワーク把持具と治具との概略構成を示すイメージ図である。
【図39】設備・治具位置校正システムの概略構成を示すイメージ図である。
【図40】ワーク把持具のハンドの構成を示す断面図である。
【図41】ワーク把持具のフランジ部を示す拡大図である。
【図42】設備のインチング自動検出を説明するイメージ図である。
【図43】(a),(b)は、治具のインチング自動検出を説明するイメージ図である。
【図44】インチング自動検出する際の設備とツール(ハンド)との位置関係を示すイメージ図である。
【図45】インチング自動検出する際の治具とツール(ハンド)との位置関係を示すイメージ図である。
【図46】インチング自動検出のシステム構成を示すイメージ図である。
【図47】設備座標系と治具定義座標系とを説明するイメージ図である。
【図48】ツールの接触位置を説明するイメージ図である。
【図49】補正対象となるXYZ平行移動と角度に応じた座標記号を示す図面である。
【図50】(a),(b)は、XS補正を例にとった、X_XS、Mes、Z_XS、YsttXS、YstpXSの説明図である。
【図51】ハンドの用語と寸法を説明する図面である。
【図52】接触校正時の用語と寸法を説明する図面である。
【図53】ワーク把持時の用語と寸法を説明する図面である。
【図54】接触探査開始、探査軸探査方向、探査長の関係を示す図面である。
【図55】(a),(b)は、X_PY>0の基準バーと座標系の関係、X_PY<0の基準バーと座標系の関係を示すイメージ図である。
【図56】オフセット補正後の接触座標MPO、MPX、MPY、MXS、MXL、MYS、MYLを示す図面である。
【図57】直線Xと直線yの交点から原点を求める方式を説明する図面である。
【図58】MZPO、MZPX、MZPY、MXYS、MXYL、MYXSを示す図面である。
【図59】MZPO、MZPX、MZPYから治具計測座標系MMのXY平面の式を求める場合のイメージ図である。
【図60】XY平面の式に(MXYS、Y_YS)と(MXYL、Y_YL)を代入して、それぞれの点のZ座標値を計算する場合のイメージ図である。
【図61】XY平面の式に(X_XS、MYXS)の値を代入して、Z座標値を計算する場合のイメージ図である。
【図62】3つの計測点から平面の式を求める際の補正項目と座標と接触値を示す図面である。
【図63】平面の式の置き換えを説明する図面である。
【図64】治具定義座標系JDのZ軸に50を加えた場合のイメージ図である。
【図65】Z座標を求める際の補正項目と座標と接触値を示す図面である。
【図66】PZXSを求める際の補正項目と座標と接触値を示す図面である。
【図67】直線の傾きと直線上お1点の座標がわかっている場合の直線の式を示す図面である。
【図68】治具定義座標系JDのY軸とX軸の交点の座標をOx、Oy,Ozとした場合のイメージ図である。
【図69】Z軸成分Zx、Zy、Zzを求める際のベクトルを説明する図面である。
【図70】MZPO、MZPX、MZPY、MYXS、MYXL、MXYSを示す図面である。
【図71】3つの計測点から平面の式を求める際の補正項目と座標と接触値を示す図面である。
【図72】Z座標を求める際の補正項目と座標と接触値を示す図面である。
【図73】PZYSを求める際の補正項目と座標と接触値を示す図面である。
【図74】直線の傾きと直線上お1点の座標がわかっている場合の直線の式を示す図面である。
【図75】原点Ox、Oy,Ozを求める際の補正項目と座標と接触値を示す図面である。
【図76】治具定義座標系JDのY軸とX軸の交点の座標をOx、Oy,Ozとした場合のイメージ図である。
【図77】生産ラインの概略構成を示すイメージ図である。
【図78】レールとワーク把持具Rとワーク把持具Bと基準バーとの位置関係を示す図面である。
【図79】ワーク把持具R及びワーク把持具Bから見た基準バーとの位置を示す計算結果を示す図面である。
【図80】基準バーの実際の位置とワーク把持具R及びワーク把持具Bに指示された位置との関係を示す図面である。
【図81】基準バーの位置ズレを示す図面である。
【図82】ワーク把持具Rにとっての基準バーの位置と、ワーク把持具Bにとっての基準バーの位置との関係を示す図面である。
【図83】カメラ及びレーザ距離計で高さを計測する場合の設備の上視図である。
【図84】カメラ及びレーザ距離計で高さを計測する場合のワーク把持具と設備との位置関係を示す側面図である。
【図85】ハンドとカメラ中心軸線のオフセットを自動計測する際に用いる治具の概略構成を示す側面図である。
【図86】図85の上視図である。
【図87】オフセットの自動計測する際のハンド及びカメラの動作を説明する図面であり、カメラ中心軸線が治具の白黒境界上にある場合を示す図面である。
【図88】オフセットの自動計測する際のハンド及びカメラの動作を説明する図面であり、ハンドが治具に接触した場合を示す図面である。
【図89】ハンドとレーザ高さ計測器のオフセットの自動計測を説明する図面である。
【図90】ハンドとレーザ高さ計測器のオフセットの自動計測を説明する図面であり、ハンドを設備まで降下させた場合を示す図面である。
【図91】カメラのフォーカスと焦点距離を説明する図面である。
【図92】視点とマークとの位置関係を示す図面である。
【図93】(a),(b)は、分離型基準バーを示す平面図である。
【図94】(a),(b)は、分離型基準バーの利点説明するための図面である。
【図95】ハンドとして用いる真空吸着パッドの概略構成を示す側面面である。
【図96】図95の断面図である。
【符号の説明】
【0188】
10 ワーク把持具、11 支持部、12 Y軸調整部、13 Z軸調整部、14 θ軸調整部、15 基部材、15a 回動機構、16a,16b ハンド、20 支持梁、30 レール、40a〜40f 加工設備、50a〜50f 治具、100 生産ライン、200,200a,200bワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送して少なくとも3つ以上の加工設備にて加工を行う生産ラインにおいて、前記ワークを加工設備間で搬送するために当該ワークの把持及び載置を行うワーク把持具であって、
前記ワークを把持及び載置可能な二つのハンドと、
前記二つのハンドを前記ワークの搬送方向に沿う線上にて回動させることによって、前記加工設備から前記ワークを把持するハンドを切り替えると共に、把持している前記ワークを前記加工設備に載置するハンドを切り替える切替機構と、
を備えることを特徴とするワーク把持具。
【請求項2】
前記二つのハンドは、前記ワークの搬送方向に沿う線上に配置される基部材に所定角度開いた状態で設けられるものであり、前記切替機構は、前記基部材を回動させることによって前記二つのハンドを前記ワークの搬送方向に沿う線上にて回動させることを特徴とする請求項1に記載のワーク把持具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の前記ワーク把持具を用いたワーク搬送装置であって、
前記二つのハンドにおける第1のハンドで前記少なくとも3つの以上の加工設備における所定の加工設備から前記ワークを把持する第1工程と、
次の加工設備である第2の加工設備へ前記ワーク把持具を移動させると共に、前記切替機構にて前記ワークを把持するハンドを前記第1のハンドから第2のハンドへ切り替える第2工程と、
前記第2のハンドにて前記第2の加工設備から前記ワークを把持する第3工程と、
前記第3工程後に、前記切替機構にて前記第2のハンドから前記第1のハンドに切り替える第4工程と、
前記第4工程後に、前記第1のハンドが把持している前記ワークを前記第2加工設備に載置する第5工程と、
前記第5工程後に、次の加工設備である第3加工設備へ前記ワーク把持具を移動させると共に、前記第1のハンドにて前記第3加工設備から前記ワークを把持する第6工程と、
前記第6工程後に、前記切替機構にて前記ワークを載置するハンドを前記第2のハンドに切り替える第7工程と、
前記第7工程後に、前記第2のハンドが把持している前記ワークを前記第3加工設備に載置する第8工程と、
を備えることを特徴とするワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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