説明

ワーク支持台

【課題】種々の形状の板状のワークを撓みなく良好に支持でき、支持アームの位置決めを高い自由度で行うことができ、ロボットの掴み替え作業に支障が生じない、ワーク支持台を提供する。
【解決手段】本体部(1)と、本体部(1)から水平に延出すると共に本体部(1)に沿って水平方向にそれぞれ独立に移動可能とされて板状のワーク(W1)を下方側から支持する複数の支持アーム(2L,2R)と、本体部(1)から水平に延出した起立状態と、本体部(1)に沿って略鉛直方向に伏せられた待機状態と、の間で遷移可能に設けられ、起立状態で複数の支持アーム(2L,2R)と共にワーク(W1)を支持可能な補助アーム部(3)と、を備える。補助アーム部(3)は、待機状態で支持アーム(2L,2R)よりも下方側に退避し、支持アーム(2L,2R)は、待機状態の補助アーム部(3)を越えて水平方向に移動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク支持台に係り、特に、板状のワークをその下方側から複数のアームで支持する構造とされ、ロボットハンドによる掴み替え作業において好適に利用できるワーク支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークのプレス加工工程や曲げ加工工程において、ロボットによるワークの掴み替え作業のためワークを一時的に支持するワーク支持台が利用される場合がある。そのワーク支持台の一例が、特許文献1に持ち替え台30として記載されている。
【0003】
このようなワーク支持台として、板状のワークを支持するために、ワークを下方側から支える一対の支持アームを備えたものがある。
図7は、本体部101aと、一対の支持アーム102,102と、を備えたワーク支持台101を示す斜視図である。この図7は、ワークWを支持した状態が示されている。
ワーク支持台101において、一対の支持アーム102,102は、サイズの異なる板状のワークの両端部を支持できるように、それぞれストロークD101間を移動して互いの間隔P101を可変とされている。
また、ワークWのサイズが大きい又はワークWが薄い場合には、そのワークWを、間隔P101を大きく広げた一対の支持アーム102,102のみで支えるとワークWの中央部が下方側に撓み易い。
そこで、ワーク支持台101は、支持アーム102,102の間に、ヒンジ部103aを中心に矢印DR方向に伏起可能な補助アーム103を有している。この補助アーム103によってワークWの中央部を支え、ワークWを撓ませずに支持できるようになっている。
【0004】
このような構成のワーク支持台101に対し、ロボット等により運ばれてきたワークWは、支持アーム102,102上に通常それらの先端側を基準位置RFとして載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−114616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、できるだけ幅dの広いワークWを支持できるように、支持アーム102,102及び補助アーム103は、本体部101aから、より長く延出していることが望まれる。
一方、ワーク支持台101が支持するワークWの床面からの高さH1は、このワークWを加工する加工装置のパスラインに一致していることが望まれる。従って、回動する補助アーム103の長さを長くすることには限界がある。
この相反する条件下で、長尺で幅dが短いワークWを、基準位置RFを基準として支持アーム102,102に支持しようとすると、補助アーム103について、その長さが足りない、という状況になる場合がある。
すなわち、良好に支持できるワークWのサイズや形状が限定される。
例えば、図8に示されるように、支持するワークW1が、長尺で孔W1zが設けられ、孔W1zよりも基準位置RF側の縁部W1yの幅d1が小さい場合には、縁部W1yに補助アーム103が届かずに、縁部W1yが下方側に撓んでワークW1を良好に支持することができない。図8では、理解容易のため撓みは誇張して描かれている。
【0007】
また、回動する補助アーム103を長くする場合には、ヒンジ部103aの位置をできるだけ高くする必要がある。
しかしながら、ヒンジ部103aは、その位置を高くすると支持アーム102の移動経路の延長線上に進入するので、支持アーム102を、補助アーム103を越えて移動させることができなくなる。
このため、例えば、補助アーム103に対して左右いずれかの側に複数の支持アーム102を集めて位置決めし、左右の一方側でのみワークWを支持するという拡張した利用が困難になる。
すなわち、従来のワーク支持台は、支持アームの位置決めにおいて高い自由度を得難く、この点で改良の余地がある。
【0008】
これに対しては、図9に示されるように、ヒンジ部103aの位置を支持アーム102の移動経路から下方に退避した位置(支持アーム102よりも下方側)にして、補助アーム103に立設してワークWを直接支えるサポートピン103bの長さL103をその分長くする対応も検討されている。
しかしながら、サポートピン103bを長くした分、ロボットハンドが進入できるエリアSP101の奥側(エリアSP101の左方側)が狭くなり、ロボットによる掴み替え作業に支障が生じる可能性があるので、この対応も好ましいものとは言い難い。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、板状のワークを支持する支持アームを備えたワーク支持台であって、さらに補助アームを備えても、種々の形状のワークを撓みなく良好に支持でき、支持アームの位置決めを高い自由度で行うことができ、ロボットの掴み替え作業に支障が生じない、ワーク支持台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
1) 板状のワーク(W1)を支持するワーク支持台であって、
本体部(1)と、
前記本体部(1)から水平に延出すると共に前記本体部(1)に沿って水平方向にそれぞれ独立に移動可能とされてワーク(W1)を下方側から支持する複数の支持アーム(2L,2R)と、
前記本体部(1)から水平に延出した起立状態と、前記本体部(1)に沿って略鉛直方向に伏せられた待機状態と、の間で遷移可能に設けられ、前記起立状態で前記複数の支持アーム(2L,2R)と共に前記ワーク(W1)を支持可能な補助アーム部(3)と、
を備え、
前記補助アーム部(3)は、前記待機状態で前記支持アーム(2L,2R)よりも下方側に退避し、前記支持アーム(2L,2R)は、前記待機状態の前記補助アーム部(3)を越えて前記水平方向に移動可能に構成されていることを特徴とするワーク支持台(51)である。
2) 板状のワーク(W1)を支持するワーク支持台であって、
本体部(1)と、
前記本体部(1)から水平に延出すると共に前記本体部(1)に沿って水平方向にそれぞれ独立に移動可能とされてワーク(W1)を下方側から支持する複数の支持アーム(2L,2R)と、
前記本体部(1)から水平に延出した起立状態と、前記本体部に沿って略鉛直方向に伏せられた待機状態と、の間で遷移可能に設けられ、前記起立状態で前記複数の支持アーム(2L,2R)と共に前記ワーク(W1)を支持可能な補助アーム部(3)と、
を備え、
前記補助アーム部(3)は、
第1の回動軸部(HP2)を有し、前記本体部(1)に対し、前記第1の回動軸部(HP2)を上位置と下位置との間で上下動可能なよう連結された根本リンク部材(3a)と、
前記第1の回動軸部(HP2)に一端側が連結して前記第1の回動軸部(HP2)まわりに回動可能とされた中間バー(3b)と、
前記中間バー(3b)の先端側に設けられた第2の回動軸部(HP3)に連結して前記第2の回動軸部(HP3)まわりに回動可能とされた先端バー(3c)と、
前記根本リンク部材(3a)と前記先端バー(3c)との間に連結され、前記根本リンク部材(3a)と前記中間バー(3b)との相対回動位置に応じて前記先端バー(3c)の前記中間バー(3b)に対する回動位置を制御するリンク部材(3d)と、
前記中間バー(3b)を前記第1の回動軸部(HP2)まわりに回動させるためにロッド(3e1)を伸縮させるシリンダ(3e)と、を有し、
前記ロッド(3e1)の縮動作により、前記中間バー(3b)は前記第1の回動軸部(HP2)まわりに回動して鉛直姿勢をとると共に前記根本リンク部材(3a)は前記第1の回動軸部(HP2)が下位置にあるよう下降する一方、前記リンク(3d)は前記先端バー(3c)を前記中間バー(3b)に対して交差姿勢となるよう第2の回動軸部(HP3)まわりに回動させて前記待機状態に遷移し、
前記ロッド(3e1)の伸動作により、前記中間バー(3c)は前記第1の回動軸部(HP1)まわりに回動して水平姿勢をとると共に前記根本リンク部材(3a)は前記第1の回動軸部(HP2)が上位置にあるよう上昇する一方、前記リンク(3d)は前記先端バー(3c)を前記中間バー(3b)の延長線上で直状姿勢となるよう前記第2の回動軸部(HP3)まわりに回動させて前記起立状態に遷移するよう構成されていることを特徴とするワーク支持台(51)である。
3) 前記根本リンク部材(3a)は、一端側が前記本体部(1)に設けられた回動軸(HP1)まわりに回動可能に連結され、他端側に前記第1の回動軸(HP2)を有することを特徴とする2)に記載のワーク支持台(51)である。
4) 前記本体部(1)は、上下方向に延びるリニアガイド(3Ag)を備え、前記根本リンク部材(3Aa)は、前記リニアガイド(3Ag)に対し上下動可能に取り付けられていることを特徴とする2)に記載のワーク支持台(51)である。
5) 前記起立状態の前記補助アーム部(3)及び前記複数の支持アーム(2L,2R)は、各先端部(3cs,2Ls,2Rs)が前記本体部(1)から概ね等しい距離(Lf)に位置するよう延出していることを特徴とする1)〜4)のいずれか一つに記載のワーク支持台(51)である。
6) 前記等しい距離(Lf)は、当該ワーク支持台(51)の接地面(GL)から前記補助アーム部(3)のワーク支持面(SF)までの距離(Lh)よりも長いことを特徴とする5)に記載のワーク支持台(51)である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、補助アームを備えても、種々の形状のワークを撓みなく良好に支持でき、一対の支持アームの位置決めを高い自由度で行うことができ、ロボットの掴み替え作業に支障が生じない、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のワーク支持台の実施例を説明するための斜視図である。
【図2】本発明のワーク支持台の実施例における補助アーム部の状態遷移を説明するための図である。
【図3】本発明のワーク支持台の実施例において補助アーム部を複数備えた例を説明するための斜視図である。
【図4】図3のワーク支持台における支持アームの位置決めの例を説明するための斜視図である。
【図5】実施例のワーク支持台における補助アーム部の変形例の状態遷移を説明するための第1の図である。
【図6】実施例のワーク支持台における補助アーム部の変形例の状態遷移を説明するための第2の図である。
【図7】従来のワーク支持台を説明するための斜視図である。
【図8】従来のワーク支持台によるワーク支持例を説明するための斜視図である。
【図9】従来のワーク支持台を説明するための左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図6を用いて説明する。
<実施例>
図1は、本発明のワーク支持台51を示す外観斜視図であり、孔W1zを有する板状のワークW1を支持した状態が示されている。ワーク支持台51の上下左右前後の各方向は、便宜的に図1に示された矢印の方向にて規定する。
ワーク支持台51は、例えば、ある工程で加工が施された板状のワークをロボットハンドで掴んで次工程に供給する過程で、掴み方を替える必要があるときにワークを一旦載置する台として利用される。
【0014】
ワーク支持台51は、本体部1と、本体部1から前方に向け水平に延出して設けられた一対の支持アーム2L,2Rと、左右方向のほぼ中央において前方に延出した姿勢を取り得る補助アーム部3と、を含んで構成されている。また、補助アーム部3に対応した位置の支柱1aには、ワークを上方側からも押さえられるように押さえ位置と上方に跳ね上げられた退避位置との間で回動可能とされた補助支持アーム21が設けられている。
支持アーム2L,2Rは、本体部1のトップフレーム1cにおける前縁部及び後縁部に配設されたリニアガイド4a,4bによって左右方向に移動自由に支持されている。また、支持アーム2L,2Rは、駆動部5により左右方向に独立移動するベルト6aとベルト6bとにそれぞれ連結されている。
これにより、支持アーム2L,2Rは、駆動部5の駆動により、ベルト6a,6bを介して本体部1上を、その左右端間を概ねのストロークとし、所定の位置に向け滑らかに各独立して移動するようになっている。
支持アーム2L,2R,補助アーム部3,及び補助支持アーム21には、ワークを吸着する吸着部を先端に備えたサポートピン2j,3j,21jがそれぞれに複数設けられている。吸着部は、本体部に備えられた真空ポンプ22によりワークを吸着して支持する。
【0015】
補助アーム部3は、図1に示される、水平方向に起立した起立状態と、鉛直方向に折りたたまれた伏せ位置である待機状態と、の間で姿勢変換できるように構成されている。すなわち、起立状態と待機状態とに状態遷移可能とされている。
起立状態において、補助アーム部3の先端部3sの位置は、このワーク支持台51にてワークW1を支持する際の、基準位置RFにほぼ一致している。すなわち、支持アーム2L,2Rの各先端部2Ls,2Rsの前後方向位置と起立位置における補助アーム部3の先端部3sの前後方向位置とは、ほぼ同じ基準位置RFにある。
【0016】
図2(a)〜図2(c)は、補助アーム部3の姿勢変換動作を説明する図であって、補助アーム部3と支持アーム2Rとを左方側から見た図である。
図2(a)は、補助アーム部3を使用せず折りたたんだ待機状態、図2(c)は、補助アーム部3を使用するために水平に伸ばした起立状態、図2(b)は、待機状態と起立状態との間の遷移途中の一状態である。
【0017】
まず、図2(a)を主に参照して、補助アーム部3の構成について説明する。
本体部1の中央部の支柱1a(図1参照)における、支持アーム2Rの根本部分とほぼ同じ高さ(上下方向位置)に、ヒンジピンHP1を介して回動自由に根本リンク3aが取り付けられている。根本リンク3aは、基部3akとその両端から同方向に延出した一対の腕3a1,3a2を有して略コ字状に形成され、一方の腕3a1の先端部がヒンジピンHP1に接続されている。
根本リンク3aにおける他方の腕3a2の先端部には、ヒンジピンHP2を介して回動自由に中間バー3bが取り付けられている。中間バー3bは直状部材であり、その一方端がヒンジピンHP2に接続されている。
中間バー3bの他方端には、ヒンジピンHP3を介して回動自由に先端バー3cが取り付けられている。
先端バー3cは、直状の基部3ckと、その一端側から基部3ckに斜交するよう延出した延出部3c1とを有し、基部3ckと延出部3c1とが交わる部位にヒンジピンHP3は接続されている。
また、延出部3c1の先端部と、根本リンク3aにおける腕3a2の中間部位に設けられたヒンジピンHP4と、が、リンク3dにより連結されている。
また、中間バー3bの中央よりも根本リンク3a側寄りの部位に設けられたヒンジピンHP5と、本体部1の床面側にあるベースフレーム1bと、を連結してエアシリンダ3eが配設されている。
【0018】
支柱1aには、根本リンク3aの基部3akの下端面に当接してその下方(時計回り方向)への回動を規制するストッパ3fが設けられている。
また、本体部1のトップフレーム1cには、根本リンク3aの上端面に当接してその上方(反時計回り方向)への回動を規制するストッパ3gが設けられている。
また、根本リンク3aの腕3a2の先端部には、中間バー3bの上面に当接してその上方(反時計回り方向)への回動を規制するようストッパ3hが折り曲げ形成されている。
【0019】
このような構成において、エアシリンダ3eがロッド3e1を縮めると、中間バー3bが下方(時計回り方向)に回動し、その回動に伴い根本リンク3aも下方(時計回り方向)に回動し、所定の回動位置でストッパ3fに当接して位置規定される。そして、根本リンク3aのこの位置規定された姿勢において、中間バー3bは、本体部1に沿う概ね鉛直方向の姿勢(水平方向の起立姿勢に対して伏せられた姿勢)をとり、先端バー3cはリンク3dを介して概ね床面に平行な姿勢をとるようになっている。すなわち、先端バー3cが中間バー3bに対して交差する姿勢となっている。この状態が、図2(a)に示される待機状態である。
【0020】
待機状態から、エアシリンダ3eを作動させ、ロッド3e1が伸び始めると、図2(b)に示されるように、中間バー3bがヒンジピンHP2を中心として反時計回りに回動する。この回動に伴い、リンク3dによって先端バー3cの延出部3c1が根本リンク3a側に引っ張られ、先端バー3cはヒンジピンHP2を中心とし中間バー3bに対して時計回りに相対的に回動する。
【0021】
この中間状態を経て、ロッド3e1が所定量だけ伸びた状態が図2(c)に示される起立状態である。
起立状態では、ロッド3e1が充分に(所定量)伸びて、中間バー3bは、そのヒンジピンHP5が支持アーム2Rに相当する高さまで持ち上げられる。この持ち上がりに伴って根本リンク3aもヒンジピンHP1を中心として反時計回りに回動するが、所定量回動するとストッパ3gに当接して回動は規制される。この根本リンク3aの規制位置において、中間バー3bは、ストッパ3hの当接による回動規制を伴って支持アーム2Rとほぼ同じ高さで水平の姿勢をとる。また、根本リンク3aに連結されたリンク3dにより、先端バー3cは、中間バー3bと共にその延長線上において一直線の姿勢(直状姿勢)となる。
この起立状態で、中間バー3bと先端バー3cと支持アーム2Rsとの上下方向位置が、ほぼ同じ位置となるように各部材の寸法等が設定されている。
【0022】
このように、補助アーム部3は、支持するワークの上下方向位置を変えることなく、すなわちワークを通常のパスライン位置で支持できるように、起立状態で、中間バー3b及び先端バー3cが、支持アーム2L,2Rとほぼ同じ上下方向位置(高さ)にあり、かつ、先端バー3cの先端部3csが、支持アーム2L,2Rの先端部2Ls,2Rsとほぼ同じ前後方向位置にある。詳しくは、本体部1から概ね等しい距離Lf(図1参照)にある。
これにより、幅dが細い(小さい)ワークを支持する場合にも、基準位置RFに合わせて支持アーム2L,2Rに載置されたワークに対し、補助アーム部3が支持アーム2L,2Rと同様にワークの下面を支持できるので、ワークを撓みなく安定的に良好に支持することができる。
【0023】
また、補助アーム部3は、複数の部材、すなわち根本リンク3a,中間バー3b,及び先端バー3cに分割され、起立状態に対して全長が短くなるように本体部1側に折りたたまれて待機状態とされている。
従って、補助アーム部3は、中間バー3b及び先端バー3cに取り付けられたサポートピン3jの長さを長くする必要がないので、待機状態で、ロボットアームが進入するエリア7の奥側〔図2(a)のエリア7の左方側〕が狭くならない。
従って、ロボットの掴み替え作業に支障が生じることがない。
【0024】
また、図2(a)に示されるように、補助アーム部3は、待機状態で、支持アーム2R(2Lも同様)における、リニアガイド4a,4b上の紙面表裏方向の移動経路から下方側に退避するようになっており、その移動を妨げない。
これにより、支持アーム2L,2Rは、補助アーム部3を越え、このワーク支持台51の左右端部間を移動可能になっている。
従って、例えば、左側の支持アーム2Lを、補助アーム部3を越えて右方側に移動し、右側の支持アーム2Rと共にワーク支持台51の右方側(例えば図1のA位置)に配置することも容易に行える。
また、短尺のワークを、例えば右方側に隣接配置された加工装置に対して短経路で供給しようとする場合に、ワーク支持台51の右方側においてワークを支持でき、この短経路搬送を実現できる。このように、ワーク支持台51は、支持アーム2L,2Rの位置決めを高い自由度で行うことができる。
【0025】
ワーク支持台51は、補助アーム部3を越えて支持アーム2L,2Rを移動できることから、補助アーム部3を複数備えても、支持アーム2L,2Rの位置決めに何ら支障は生じない。
図3は、例えば二つの補助アーム部33a,33bを備えたワーク支持台51Aを示す斜視図である。
ワーク支持台51Aは、支持するワークがより長尺の場合でも、ワークの中間部を、補助アーム部33a,33bによって二箇所で支持することができるので、ワークの下方側への撓みをより少なくして極めて良好に支持することができる。
【0026】
図4は、図3に示されたワーク支持台51Aにおいて、支持アーム2L,2Rを、補助アーム部33a,33bを越えてそれらの間に配置した状態を示す斜視図である。支持アーム2L,2Rを補助アーム部33a,33bを越えて移動させる際には、補助アーム部33a,33bを待機状態としておく。この状態は支持アーム2L,2Rの配置の一例である。
この例によれば、極めて短尺のワークW2も、間隔を狭めた支持アーム2L,2Rによって良好に支持することができる。
従って、ワーク支持台51,51Aによれば、伏起可能な一つ又は複数の補助アームと、補助アームの存在に拘わらず左右方向に自由に位置決めできる複数の支持アームと、によって、長尺から短尺まで極めて広い範囲のサイズのワークを、良好に支持することができる。
【0027】
図5,図6は、補助アーム部3の変形例である補助アーム部3Aの伏起動作を説明する図であり、補助アーム部3が示された図2(a)〜(c)に概ね対応した図である。
図5(a)には、補助アーム部3Aの待機状態が示され、図6(b)には、起立状態が示されている。また、図5(b),図6(a)には、その順で待機状態から起立状態に状態遷移する途中の状態が示されている。
【0028】
まず、図5(a)を主に参照して、補助アーム部3に対する補助アーム部3Aの変形点を主に説明する。
補助アーム部3Aは、補助アーム部3において支柱1aのヒンジピンHP1を中心に回動するよう備えられていた根本リンク3aの替わりに、トップフレーム1cに設けられた上下方向に延びるリニアガイド3Agと、そのリニアガイド3Agに上下動可能に支持された直動リンク3Aaと、を備えている。さらに、根本リンク3aの下方への回動を規制するストッパ3fの替わりに、直動リンク3Aaの下方への移動を規制するストッパ3Afを備えている。
ここで、直動リンク3Aaは、根本リンク3aの腕3a2に相当する形状に形成されており、補助アーム部3の構成と同様に、中間バー3bはヒンジピンHP2に相当するヒンジピンHPA2に回動自由に連結され、ヒンジピンHP4に相当するヒンジピンHPA4において、リンク3dの一端側が連結されている。
このように構成された補助アーム部3Aは、補助アーム部3と同様に、エアシリンダ3eの作動により、水平方向に起立した起立状態と、鉛直方向に折りたたまれた待機状態と、の間で姿勢変換できるように構成されている
【0029】
図5(a)に示された補助アーム部3Aの待機状態から、エアシリンダ3eを作動させ、ロッド3e1が伸び始めると、図5(b)に示されるように、中間バー3bがヒンジピンHPA2を中心として反時計回りに回動する。この回動に伴い、リンク3dによって先端バー3cの延出部3c1が直動リンク3Aa側に引っ張られ、先端バー3cはヒンジピンHPA3を中心とし中間バー3bに対して時計回りに相対的に回動する。
【0030】
さらにロッド3e1が伸びると、図6(a)に示されるように、中間バー3bは、その回動が直動リンク3Aaに設けられたストッパ3Ahに規制されて水平姿勢となり、先端バー3cも中間バー3bと共に水平方向にてほぼ直状となる。このときの中間バー3bの上下方向位置は、直動リンク3Aaがまだ下方側に位置していることから支持アーム2Rより下方にあり、この位置で支持アーム2Rとほぼ平行の姿勢となっている。
【0031】
さらにロッド3e1が伸びると、図6(b)に示されるように、直動リンク3Aaがリニアガイド3Ag上を上方に移動し、これに伴い直状の中間バー3b及び先端バー3cも上方に平行移動する。そして、支持アーム2Rの上下方向位置と同じ上下方向位置の起立状態とされる。
【0032】
補助アーム部3Aは、支持するワークの上下方向の支持位置を変えることなく通常のパスライン位置として、起立状態で中間バー3b及び先端バー3cとが支持アーム2L,2Rとほぼ同じ上下方向位置(高さ)にあり、かつ、その先端部である先端バー3cの先端部3csが、支持アーム2L,2Rの先端部2Ls,2Rsと同じ前後方向位置にある。
これにより、補助アーム部3と同様に、ワークを撓みなく安定的に良好に支持することができる。
また、補助アーム部3Aは、補助アーム部3と同様に、中間バー3b及び先端バー3cに取り付けられたサポートピン3jの長さを長くする必要がないので、待機状態で、ロボットアームが進入するエリア7Aの奥側〔図5(a)のエリア7Aの左方側〕が狭くならない。
従って、ロボットの掴み替え作業に支障が生じることがない。
【0033】
また、図5(a)に示されるように、補助アーム部3Aは、待機状態で支持アーム2R(2Lも同様)のリニアガイド4a,4b上の紙面表裏方向の移動経路から退避するようになっており、その移動を妨げない。
従って、補助アーム部3の場合と同様に、支持アーム2L,2Rは、補助アーム部3Aを越え、このワーク支持台の51の左右端部間を移動可能になっており、補助アーム部3Aを備えたワーク支持台51は、支持アーム2L,2Rの位置決めを高い自由度で行うことができる。
【0034】
補助アーム部3,3Aは、起立状態での先端部3cs及び支持アーム2L,2Rの先端部2Ls,2Rsと、本体部1との距離Lfが、補助アーム部3,3Aのワーク支持面であるサポートピン3jの先端部が含まれる水平面SFと接地面GLとの距離Lh〔図2(c)参照〕よりも長くなっている。この距離Lhは、接地面GLからパスラインまでの距離とされることが望ましい。
【0035】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0036】
補助アーム部3,3Aにおいて、先端バー3cを中間バー3bに沿ってリニアガイド等により直動可能なよう並設し、ロッド3e1の伸縮に連動して先端部3csが中間バー3bの先端から前方側に突没するように構成してもよい。
この場合、ロッド3e1が所定ストロークだけ伸びた位置で、先端部3csが、支持アーム2L,2Rの先端部2Ls,2Rsとほぼ同じ前後方向位置まで突出するように構成する。
ワーク支持台51は、支持アーム2L,2Rのみを有するものに限定されない。支持アームを三つ以上有していてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 本体部
1a 支柱、 1b べースフレーム、 1c トップフレーム
2L,2R 支持アーム、 2Ls,2Rs 先端部
2j サポートピン
3,33a,33b,3A 補助アーム部
3a 根本リンク、 3a1 (一方の)腕、 3a2 (他方の)腕
3ak 基部、 3b 中間バー、 3c 先端バー、 3c1 延出部
3ck 起部、 3cs 先端部、 3d リンク、 3e エアシリンダ
3e1 ロッド、 3f,3g,3h,3Af,3Ah ストッパ
3j サポートピン、 3s 先端部、 3Ag リニアガイド
4a,4b リニアガイド
5 駆動部
6a,6b ベルト
7,7A エリア
21 補助支持アーム
21j サポートピン
51,51A ワーク支持台
GL 接地面
HP1〜HP5, HPA1〜HPA4 ヒンジピン
Lf,Lh 距離
RF 基準位置
SF 水平面(ワーク支持面)
W1,W2 ワーク、 W1z 孔、 W1y 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークを支持するワーク支持台であって、
本体部と、
前記本体部から水平に延出すると共に前記本体部に沿って水平方向にそれぞれ独立に移動可能とされてワークを下方側から支持する複数の支持アームと、
前記本体部から水平に延出した起立状態と、前記本体部に沿って略鉛直方向に伏せられた待機状態と、の間で遷移可能に設けられ、前記起立状態で前記複数の支持アームと共に前記ワークを支持可能な補助アーム部と、
を備え、
前記補助アーム部は、前記待機状態で前記支持アームよりも下方側に退避し、前記支持アームは、前記待機状態の前記補助アーム部を越えて前記水平方向に移動可能に構成されていることを特徴とするワーク支持台。
【請求項2】
板状のワークを支持するワーク支持台であって、
本体部と、
前記本体部から水平に延出すると共に前記本体部に沿って水平方向にそれぞれ独立に移動可能とされてワークを下方側から支持する複数の支持アームと、
前記本体部から水平に延出した起立状態と、前記本体部に沿って略鉛直方向に伏せられた待機状態と、の間で遷移可能に設けられ、前記起立状態で前記複数の支持アームと共に前記ワークを支持可能な補助アーム部と、
を備え、
前記補助アーム部は、
第1の回動軸部を有し、前記本体部に対し、前記第1の回動軸部を上位置と下位置との間で上下動可能なよう連結された根本リンク部材と、
前記第1の回動軸部に一端側が連結して前記第1の回動軸部まわりに回動可能とされた中間バーと、
前記中間バーの先端側に設けられた第2の回動軸部に連結して前記第2の回動軸部まわりに回動可能とされた先端バーと、
前記根本リンク部材と前記先端バーとの間に連結され、前記根本リンク部材と前記中間バーとの相対回動位置に応じて前記先端バーの前記中間バーに対する回動位置を制御するリンク部材と、
前記中間バーを前記第1の回動軸部まわりに回動させるためにロッドを伸縮させるシリンダと、を有し、
前記ロッドの縮動作により、前記中間バーは前記第1の回動軸部まわりに回動して鉛直姿勢をとると共に前記根本リンク部材は前記第1の回動軸部が下位置にあるよう下降する一方、前記リンクは前記先端バーを前記中間バーに対して交差姿勢となるよう第2の回動軸部まわりに回動させて前記待機状態に遷移し、
前記ロッドの伸動作により、前記中間バーは前記第1の回動軸部まわりに回動して水平姿勢をとると共に前記根本リンク部材は前記第1の回動軸部が上位置にあるよう上昇する一方、前記リンクは前記先端バーを前記中間バーの延長線上で直状姿勢となるよう前記第2の回動軸部まわりに回動させて前記起立状態に遷移するよう構成されていることを特徴とするワーク支持台。
【請求項3】
前記根本リンク部材は、一端側が前記本体部に設けられた回動軸まわりに回動可能に連結され、他端側に前記第1の回動軸を有することを特徴とする請求項2記載のワーク支持台。
【請求項4】
前記本体部は、上下方向に延びるリニアガイドを備え、前記根本リンク部材は、前記リニアガイドに対し上下動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のワーク支持台。
【請求項5】
前記起立状態の前記補助アーム部及び前記複数の支持アームは、各先端部が前記本体部から概ね等しい距離に位置するよう延出していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のワーク支持台。
【請求項6】
前記等しい距離は、当該ワーク支持台の接地面から前記補助アーム部のワーク支持面までの距離よりも長いことを特徴とする請求項5記載のワーク支持台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate