説明

一体型よどみ点温度制御を有するソーラーコレクタのための方法および装置

本発明は、ソーラーコレクタが到達し得る最大温度に関する一体型制御を有することによって該コレクタでの過度のよどみ点温度を回避するソーラーコレクタのための方法および装置に関する。一態様では、ソーラーコレクタは、滑面を含む頂部と、底部と、該頂部と該底部との間に配置されて該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収する吸収材であって、該吸収材の下面と該底部の上面との間に流路が画定されるように該底部の上方に離間した関係にある吸収材と、該吸収材と該底部との間の該流路の両端に関連すると共に実質的に対向する、該流路の換気をする入口および出口と、第1の選択温度以上の温度で該出口を開き、第2の選択温度以下の温度で該出口を閉じるダンパとを具備し、該第1および第2の選択温度は該ソーラーコレクタのよどみ点温度未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ソーラーコレクタが到達し得る最大温度の一体型制御を有することによって、コレクタにおける過度のよどみ点温度を回避するソーラーコレクタのための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
全てのソーラーコレクタに関して、特にコレクタからほとんどあるいは全く熱が除去されない期間に、コレクタが極めて高い温度に達する可能性がある。例えば、ソーラー熱水システム等のコレクタから熱を除去すべく吸収材を通して伝熱流体を循環させるようになっているソーラー加熱システムでは、伝熱流体の循環が停止してしまう停電の際、あるいは熱水がほとんどまたは全く消費されない期間が長く続いた際に、コレクタは高温に達し得る。これらの条件下では、ソーラーコレクタは170℃を超える「よどみ点」温度に達し得る。コレクタの部品が損傷を受けるおそれに加えて、このような高温への暴露は、伝熱流体を急速に劣化させる、あるいは沸騰させることすらある。また、過度の圧力は、高いよどみ点温度の結果として、ソーラーコレクタ熱伝導ループを生じさせる。
【0003】
この問題は、1年の一部で凍結温度が生じる可能性がある気候において特に激しい。これらの気候に対して設計されたソーラー加熱システムは一般に、ソーラーコレクタから負荷に熱を伝達するのに不凍伝熱体を用いている。一般に使用される不凍流体はプロピレン・グリコールと水の混合物であり、この混合物は高温(例えば、約120℃よりも高い)で劣化してしまう。高いコレクタ温度がこの伝熱流体を腐食性にし、その結果、ソーラーコレクタ部品および関連するシステム部品の汚損および腐食を加速する可能性がある。
【0004】
これらの信頼性の問題に加えて、ソーラー熱水システム中のソーラーコレクタ温度の上昇はまた、熱水ストレージの熱傷性温度(システムのユーザにとって潜在的に危険な状態)を招くこともある。この潜在的に有害な状況を回避するために、熱ストレージが高温に達する場合にソーラーコレクタを通した伝熱流体の循環を停止する(例えば、循環ポンプの運転を停止することによって)ことができる。これは熱傷の危険性を低減する一方、高いよどみ点温度の問題を増大させるだけである。
【0005】
ソーラーコレクタにおける過度の温度を回避するため多数の設計がこれまで提案されてきた。たとえば、Buckleyによる米国特許第4,150,659号、Palmerによる米国特許第4,219,009号、およびChertokによる米国特許第4,503,840号は、それぞれ、熱起動式ダンパを有するベントをコレクタの上面または端部に配置することによって吸収材と滑面(glazing)との間の空間の換気を行っているソーラーコレクタを開示している。Scottによる米国特許第4,046,134号は、熱起動式機構を使用してコレクタの残部の上方の滑面を上下させることによって、滑面と吸収材との間の空間を換気するソーラーコレクタを発案した。Richによる米国特許第5,404,867号は、一定の温度に達した場合に曲がって、滑面の周囲の通気を良くする滑面を設けることによって滑面と吸収材との間の空間を換気するソーラーコレクタを開示した。Niedermyerによる米国特許第4,226,225号は、コレクタの両側に配置した熱起動式ベントによって吸収材の何れかの側の空間を換気するソーラーコレクタを開示した。米国特許第4,422,443号は、コレクタの両側に配置した熱起動式ベントによって滑面間の空間を換気する二重滑面を有するソーラーコレクタを記載した。Lorenzによる米国特許第4,237,865号は、ビルの対流式空気加熱用の空気流路を有するソーラー加熱パネルを開示した。パネルの前面に配置された熱起動式ベントが、流路の換気を提供した。しかし、これら既述の全ての設計に関しての問題は、ベントがコレクタの頂部または両側に設けられたことにより、異物や湿気がコレクタに入って滑面の内面や吸収材の表面に溜まって、効率を低下させると共に、コレクタの維持コストを増大させるということである。更に、ベントのこのような配置は、ベントの耐候性を下げてその信頼性を低下させる。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明の第1の態様によれば、滑面を含む頂部と、底部と、該頂部と該底部との間に配置されて該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収する吸収材であって、該吸収材の下面と該底部の上面との間に流路が画定されるように該底部の上方に離間した関係にある吸収材と、該吸収材と該底部との間の該流路の両端に関連すると共に実質的に対向する、該流路の換気をする入口および出口と、第1の選択温度以上の温度で該出口を開き、第2の選択温度以下の温度で該出口を閉じるダンパとを具備するソーラーコレクタであって、該第1および第2の選択温度がソーラーコレクタのよどみ点温度未満であるソーラーコレクタが提供される。
【0007】
いくつかの態様では、該第1の選択温度と該第2の選択温度とは同じである。好ましい態様において、該底部は該入口および該出口を備えており、該出口は該入口に対して高くすることができる。
【0008】
好ましい態様において、該流路を画定する少なくとも1つの面は高放射率面である。高放射率面は高放射率被覆を含むことができる。好ましくは、該少なくとも1つの面は少なくとも0.5の放射率を有する。
【0009】
いくつかの態様では、該吸収材は該滑面の下方に実質的に平行に離間して配置されており、該吸収材と該滑面との間の該空間は該流路から隔離されている。該ダンパの該開放および該閉止の少なくとも一方は受動的に起動されうる。ダンパは熱的に起動することができ、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択される少なくとも1つの部材を備えることができる。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、滑面を含む頂部と、底部と、該頂部と該底部との間に配置されて該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収する吸収材とを具備したソーラーコレクタの温度を制御する方法であって、該吸収材の下面と該底部の上面との間に流路が画定されるように該底部の上方に離間した関係で該吸収材を配置することと、該流路の両端と関連すると共に実質的に対向する、該流路の換気をする入口および出口を設けることと、第1の選択温度以上の温度で該出口を開くことと、第2の選択温度以下の温度で該出口を閉じることとを含み、該第1および第2の選択温度が該ソーラーコレクタのよどみ点温度未満である方法が提供される。
【0011】
いくつかの態様では、該方法は、該出口が該入口に対して高くなるように該ソーラーコレクタを配置することを更に含む。好ましい態様において、該方法は、該流路を画定する該面の少なくとも1つに高放射率をもたらすことを更に含む。該少なくとも1つの高放射率面は、高放射率被覆を該面に施すことによって設けることができ、該放射率は少なくとも約0.5であり得る。
【0012】
該方法は、受動的に該出口を開閉することを更に含むことができ、熱起動式ダンパを使用することができる。種々の態様では、該出口の開閉は、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択されるアクチュエータによって実行する。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、滑面を含む頂部と、底部と、該頂部と該底部との間に配置されて該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収する吸収材とを備えたソーラーコレクタの過熱を防止する方法であって、該吸収材の下面と該底部の上面との間に流路が画定されるように該底部の上方に離間した関係で該吸収材を配置することと、該流路の両端と関連すると共に実質的に対向する、該流路の換気をする入口および出口を設けることと、第1の選択温度以上の温度で該出口を開くことと、第2の選択温度以下の温度で該出口を閉じることとを含み、該第1および第2の選択温度が該ソーラーコレクタのよどみ点温度未満である方法が提供される。
【0014】
いくつかの態様では、該方法は、該出口を該入口に対して高くするように該ソーラーコレクタを配置することを更に含む。好ましい態様において、該方法は、該流路を画定する該面の少なくとも1つに高放射率をもたらすことを更に含む。該少なくとも1つの高放射率面は、高放射率被覆を該面に施すことによって設けることができ、また該放射率は少なくとも約0.5であり得る。
【0015】
該方法は、該出口を受動的に開閉することを更に含むことができ、熱起動式ダンパを使用することができる。種々の態様では、該出口の開閉は、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択されるアクチュエータによって実行する。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、本明細書に記載したようなソーラーコレクタと、該コレクタから熱を除去する熱伝導装置と、該熱伝導装置から熱を受けるヒート・シンクまたは負荷とを具備した太陽エネルギー・システムが提供される。該熱伝導装置は伝熱流体を含みうる。該太陽エネルギー・システムはソーラー熱水システムであることができる。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、頂部、底部、および側部を有し、該頂部が滑面を含み、該底部が入口および出口を有するものである外囲いと、該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収する該外囲い内の吸収材と、該吸収材と該外囲いの該底部との間の換気流路であって、該換気流路の両端に実質的に対向する該入口および該出口と通じている換気流路と、第1の選択温度以下の温度で該出口を閉じ、第2の選択温度以上の温度で該出口を開く手段とを具備し、該第1および第2の選択温度がソーラーコレクタの高いよどみ点温度未満であるソーラーコレクタが提供される。
【0018】
好ましくは、該ソーラーコレクタは、該出口を該入口に対して高くするように配置されている。
【0019】
ある態様では、該出口を開閉する該手段は受動的である。いくつかの態様では、該出口を開閉する該手段は熱的に起動される。このような態様では、該出口を開閉する該手段は、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択されるアクチュエータを含む。好ましい態様では、該出口を開閉する該手段は形状記憶合金アクチュエータを含む。
【0020】
本発明によれば、出口が開かれると直ちに、対流によって空気が換気流路を通して入口から出口に流れ込み、出口を閉じると直ちに、空気流は対流によって実質的に停止する。
【0021】
いくつかの態様では、第1の選択温度と第2の選択温度とは実質的に同じである。
【0022】
本発明の第6の態様によれば、ソーラーコレクタにおいてよどみ点温度を制御する方法であって、本発明の第1の態様に記載されているソーラーコレクタを設けることと、第1の選択温度以下の温度で該出口を閉じることと、第2の選択温度以上の温度で該出口を開くこととを含み、該第1および第2の選択温度が該ソーラーコレクタの高いよどみ点温度未満である方法が提供される。
【0023】
好ましくは、ソーラーコレクタは、該出口を該入口に対して高くするように配置されている。
【0024】
ある態様では、出口の該開閉は受動的である。好ましい態様において、該出口の該開閉は熱的に起動される。更なる態様では、該出口の該開閉は、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択されるアクチュエータによって実行する。好ましい態様において、該出口の該開閉は形状記憶合金アクチュエータによって実行する。
【0025】
いくつかの態様では、該出口を開けると直ちに、対流によって空気が換気流路を通して該入口から該出口に流れ込み、該出口を閉じると直ちに、対流による空気流は実質的に停止する。
【0026】
好ましい態様において、該第1の選択温度と該第2の選択温度とは実質的に同じである。
【0027】
本発明の第7の態様によれば、前記ソーラーコレクタと、該コレクタから熱を除去する手段と、該熱を蓄積する手段とを具備した太陽エネルギー・システムが提供される。一態様では、熱を除去する手段は循環式伝熱流体である。別の態様では、太陽エネルギー・システムはソーラー熱水システムである。
【0028】
以下、添付図面を参照しながら実例として本発明を説明する。
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、よどみが起こり得る任意の形式のソーラーコレクタにおけるよどみ点温度制御に関する。このようなソーラーコレクタは一般に、太陽に向けられた実質的に平坦でつやのある表面を有する。この滑面はガラス、または任意のプラスチックもしくは十分な太陽放射を通して吸収材を加熱できながらもコレクタが暴露される温度および環境条件に耐え得る他の材料であることができる。滑面は任意の形状であってよいが、通常は正方形または矩形である。ほとんどの太陽エネルギー・システムでは、吸収板は滑面の下方に平行に離間した関係で配置される。吸収材は滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収し、その温度を上昇させる。吸収材から熱を除去すべく伝熱流体を用いる太陽エネルギー・システムでは、流体は吸収材中を循環する。ソーラーコレクタは一般に、内部に熱を維持すべく側面および底部パネルによって外囲いされ、側面および底部パネルは熱を内部に維持するために断熱することができる。このため、コレクタに高い太陽エネルギーが加わり、および/またはほとんどあるいは全くコレクタから熱が除去されない条件下で、コレクタが過度のよどみ点温度に達するおそれがある。
【0030】
本明細書で用いる用語「よどみ点温度」、「高いよどみ点温度」、および「過度のよどみ点温度」は相互に交換が可能であり、ソーラーコレクタによる入熱量または吸収の速度がコレクタからの熱除去の速度を超え、ソーラーコレクタおよび/またはその部品の温度が、コレクタの過熱が生じてコレクタおよび/またはその部品に対する損傷の可能性が高いポイントまで増大する任意の状況(例えば、よどみ)をいうことを意図するものである。ソーラーコレクタからの熱の除去が緩慢であるか、停止した場合に、過度のよどみ点温度が生じ得る。例えば、ソーラー熱水システム等の、コレクタから熱を除去すべく伝熱流体を用いるシステムでは、停電、部品の故障(例えば、循環ポンプの故障)、システム整備もしくは修理、またはエネルギー蓄積容量制限によるポンプもしくは制御装置の介入等に起因して吸収材を介する伝熱流体の流れが中断されると、日照期間中によどみが生じ得る。
【0031】
本明細書で用いる用語「過熱」は、ソーラーコレクタおよび/またはその部品の温度がコレクタおよび/またはその部品に対する損傷の可能性が高いポイントまで上昇する状態をいう。本明細書で説明する装置および方法は、ソーラーコレクタのこのような過熱を防ぐものである。
【0032】
よどみの際に達する温度の大きさは、気候上の条件およびソーラーコレクタの設計および配置によって決まる。ソーラーコレクタは一般に、ビルの屋上または壁の何れかに取り付けられるが、地面またはラック等にも取り付けられる。壁上等への設置では、ソーラーコレクタは実質的に垂直に、すなわち水平に対して90°の滑面を用いて取り付けることができる。一般的には、ソーラーコレクタは、水平に対して一定の角度をつけて屋根に取り付ける。斜面のある屋根は、ソーラーコレクタを取り付けるための傾斜面を好都合に提供する。コレクタの傾斜角度を適切に調整することにより、特定の地理的位置および一年のうちの特定の時間においてソーラーコレクタが受ける入射太陽放射の量を最大にすることができることが認められよう。しかし、受ける太陽放射を最大にすることによって、コレクタが高いよどみ点温度に達する可能性が増す。例えば、北米における一般の屋根の傾斜は「4 in 12」、すなわち水平に対して約18°〜20°である。このような傾斜角度で取り付けられたソーラーコレクタは、特に夏季に、高い太陽放射レベルと高い周囲温度が同時に起こるために、高いよどみ点温度にさらされ易い。例えば、それぞれ1000 W/m2および30℃の毎時太陽放射強度および周囲温度が、カナダ国トロント市等の北半球の多くの場所で4月から10月にかけて生じ得る。
【0033】
ソーラーコレクタの高いよどみ点温度を避けるために、コレクタの温度制御が必要である。理論上は、コレクタのよどみ点温度の制御には2つの方法がある。すなわち、コレクタに入射する太陽エネルギーを低減するか、またはコレクタから過度の熱を除去するかである。これらのうち、後者は技術的にもまた経済的にもより実用的であり、コレクタの熱損失特性を修正することによって達成することができる。本発明によって、一体型よどみ点温度制御を有するソーラーコレクタが提供され、これはコレクタの自然対流式の(すなわち、浮力駆動式の)冷却を通して達成されるものである。本発明による自然対流式冷却を用いることが、達成可能な最大温度的には受動的に(すなわち、太陽エネルギー以外のエネルギーの入射が不要な)自己制御式であると共に、機械的に簡易で、このため高い信頼性を有するソーラーコレクタを提供する。例えば、熱電式または光起電力式ファンを用いて受動強制式対流冷却を採用することは可能であるが、このような冷却は機械的に大変複雑でそのために信頼性が低いという点でコストがかかる。
【0034】
広範囲に亘る分析および研究室でのテストを行った後、高いよどみ点温度を回避すべく、ソーラーコレクタの熱損失特性を増大する最も実用的かつ確実な手段は、吸収材の下方の空間に対流冷却をもたらすことであることが結論付けられた。このため、本発明は、吸収材上方の空間の冷却を提案した、よどみを制御するこれまでの多くの試みとは異なる。
【0035】
図1Aは、縦断面で本発明の好ましい態様を図示するものであり、これを参照すると、ソーラーコレクタ2が屋根等の斜面4に取り付けられている。このコレクタは実質的に平行で離間した関係にある滑面6および吸収板8を備えている。コレクタは、2つを10、12で示した側面と、断熱し得る底部14によって外囲いされている。換気流路16が吸収板8と底部14との間に設けられている。コレクタ底部の開口18、20が、換気流路16を外気に通じさせている。コレクタの傾斜のために、換気流路も傾斜していることと、一方の開口20が他方の開口18に対して高くなっていることとが認められよう。図1Aに示すように、好ましくは、開口を底部14および換気流路16の実質的に対向する両端に設けて、換気流路の長さ方向に沿って対流空気流をもたらすようにすることが好ましい。コレクタの下端部の開口18は空気入口であり、コレクタの高くなっている端部の開口20は空気出口である。コレクタの底部が断熱されている態様では、換気流路が断熱体と吸収材との間に設けられる。
【0036】
吸収材下方の空間の換気をすることによって、吸収材上方の空間を実質的に封止したままにすることができ、この結果、光学的表面(すなわち、滑面の内面および吸収材の上面)の汚染を回避していることが認められよう。また、コレクタの外側に換気流路を開放することによって、雨、雪、ほこり、および破片がコレクタ内に引き込まれるという問題を回避している。滑面と吸収材との間の空間の換気をする従来のコレクタに固有のこのような問題は、ソーラーコレクタの性能を時間とともに劣化させ、保守の必要性を増大させる。
【0037】
前述したように、ソーラーコレクタの形状および向きならびに気候条件等の要因を、よどみを制御する上で考慮する必要がある。下記実施例1の態様では、従来の平板コレクタに対してソーラーコレクタの傾斜18°、入射太陽強度1000 W/m2、および周囲温度30℃を使用してよどみの分析を行った。この態様では、よどみ制御は、吸収材が120℃に近づくかこれを超えた場合、コレクタからの熱損失を約5.5 W/m2 ℃から約8.9 W/m2 ℃に増加することによって達成された。120℃というこの選択温度は、一体型よどみ制御を行わない場合の同様のコレクタのよどみ点温度を下回っている。こうして、コレクタ温度が選択温度に達した場合のコレクタの熱損失を増大させることによって、コレクタの過度のよどみ点温度が回避される。更に、コレクタの熱損失特性が選択温度を下回るコレクタ温度では実質的に変化しなかったことから、このような温度でのコレクタ性能は影響を受けなかった。異なる取付け傾斜および異なる気候場所での異なるソーラーコレクタ形式に分析を適用して、コレクタの熱損失特性を増進させて高いよどみ点温度制御を提供するであろう異なる選択温度および量をもたらすことができることが認められよう。
【0038】
本発明によれば、吸収材の背後の空間の換気をする換気流路によってもたらされる対流式冷却により高いよどみ点温度を回避すべくソーラーコレクタの熱損失を増大させている。前述しかつ実施例1で述べた態様では、過度のよどみ点温度を極端な条件下で防止すべき場合には、換気流路は400 W/m2まで散逸しなければならない。換気流路の寸法および傾斜角度は、自然対流式空気流の速度に影響し、結果として吸収板から熱を除去する速度に影響する。例えば、換気流路の断面積が大きければ熱の除去が増大するだけでなく、ソーラーコレクタ全体の寸法が増すが、換気流路が小さければそれだけよどみ点温度が高くなる。
【0039】
前述したように、コレクタ温度が選択温度(好ましくは、過度のよどみ点温度を下回る)に達すると、コレクタの換気が生じる。これは、換気流路の出口にダンパを設けることによって本発明に従って達成される。本明細書で用いる用語「ダンパ」は、通常動作(例えば、選択温度以下でかつよどみ点温度未満のコレクタ温度)の際に出口および/または入口を実質的に閉じたままにするのに使用すると共に、選択温度以下でよどみ点温度未満のコレクタ温度で出口および/または入口を実質的に開くために使用する、フラップ、ふた、ドア、または弁を意味することを意図している。このダンパは、任意の適切なアクチュエータと一体化してもよいし、それと関連させてもよい。好ましくは、アクチュエータは受動的でかつ熱的に起動される。
【0040】
図1Aおよび1Bに示す態様では、換気流路16の出口20にあるダンパ22は実質的にフラップ状である。図1Bに示すように、ダンパは、選択温度以上の温度で換気流路16の出口20を開いて、熱気(図1Aおよび1Bの点彩領域)をコレクタの高い周囲から排気できるようにすると共に、冷たい周囲空気が入口18を通して下方の周囲の換気流路に入れるようにする。この空気がコレクタの吸収材の背後の換気流路で加熱されることによって、吸収板の後部から過度の熱を除去する。空気の移動は、換気流路の空気中に存する温度誘導式密度勾配(すなわち浮力)によって受動的に駆動される。通常動作の際、コレクタ温度が選択温度より低いときに、ダンパが閉じられ、この結果、換気流路を通した空気の循環を制限する(図1A)。これらの条件下で、換気流路中の空気は上方から加熱されると共に、熱的に層状態になり、静止したままとなり、ソーラーコレクタの後部からの熱損失に対して断熱層として機能する。また、空気層は加熱され熱的に安定であるので、流路への入口は閉じる必要がなく、設計が簡易化される。こうして、単一のダンパのみが出口に必要とされる。しかしながら、所望であれば入口に第2のダンパを設けることができる。以下実施例2で詳細に述べるように、よどみ条件下で吸収材を十分に冷却すると共に、通常動作(すなわち、選択温度未満)の際の熱伝導率に及ぼすどんな負のインパクトをも最小化するのに十分な空気流があることを保証すべく、換気流路の設計および幾何形状を正確に制御する。
【0041】
図1Cは、本発明の好ましい態様による換気流路の出口20にダンパ22を有するソーラーコレクタの詳細な断面図である。図1Cにおいて、ダンパ22は開位置にある。ダンパ22は点30の軸を中心に開位置から閉位置に旋回する。ダンパ22の軸30で作用する第1および第2のレバー・アームは、形状記憶合金ばね32およびバイアスばね34の一端にそれぞれ接続している。形状記憶合金ばね32およびバイアスばね34は、それらのもう一方の端で固定されている。コレクタ温度が選択温度まで上昇すると直ちに、形状記憶合金ばね32は圧縮して、第1のレバー・アームに課される力を介してダンパを開く。このとき、バイアスばね34は伸張状態にある。選択温度以下のコレクタ温度にて、形状記憶合金ばね32が弛緩すると共にバイアスばね34が圧縮することによって、第2のレバー・アームを介してダンパを閉位置に引き込む。この閉位置では、ダンパ22はストッパ36に対して静止する。
【0042】
よどみ状態の際にコレクタを十分に冷却する換気流路の能力は、流路を通した自然対流式空気流に対する抵抗を増大させる要因によって制約される。例えば、このような抵抗はコレクタの下面に位置する入口および出口、ならびに開いているときでも空気流と干渉し得る、流路の出口および入口を開閉するダンパ(例えば、弁)および関連するアクチュエータに起因し得る。以下の実施例で示すように、この種の拘束は本発明において克服されており、この結果、コレクタのよどみ点温度を回避するに十分な換気流路を通した自然対流が生じる。
【0043】
また、ソーラーコレクタから熱を除去する換気流路の有効性は、吸収材の底(下)面から換気流路を通して対流する空気への熱伝達率によって決まる。本発明者らは、吸収材の下面を流路中の他の面、特にコレクタの底部の上面(吸収材の下面に面する)に放射的に結合することによって実質的にこの熱伝達率を増大できることを見出した。要するに、このことは対流によって熱を気流(換気流路中の)に伝達し得るように、吸収材がこの熱を流路の他の壁に再放射できるようにしている。正味の効果は、空気の流れに対する対流式熱伝達に対して利用可能な表面積を増すことにある。
【0044】
放射性結合は、例えば換気流路の表面(例えば、吸収材の下面および/またはコレクタ底部の上面、ならびに選択的に任意の換気流路の側壁)を黒色塗料等の高放射率の被覆材で被覆することによって、確立または改善することができる。好ましくは、換気流路面の放射率は少なくとも約0.5であり、より好ましくは少なくとも約0.7であり、更に好ましくは0.8より大きい。一般に、換気流路の性能は、流路面の放射率が増すにつれて高まる。2つ(以上)の面の間の放射性結合は、一方の面が例えば0.9の放射率を有し他方の面が例えば0.1の放射率を有するよりも、各面が例えば0.5の放射率を有する場合のほうが、より効果的である。
【0045】
例えば、上記し実施例1でも説明する態様では、これらの条件下では、流路の内部を例えば黒色塗料等(例えば、トレムコ(Tremco: 登録商標)トレムクラッド(Tremclad: 登録商標)高温エナメル)の高放射率被覆材で被覆した場合に、約15から20 mmの深さの間の換気流路(すなわち、吸収材と断熱体の間の距離)で十分であることが見出された(Linら、2003も参照されたい)。換気流路面上のこの高放射率被覆(約0.9)は吸収材の下面(流路天井を形成する)から流路の壁への放射性熱伝達を高めた。この配置は流路内の空気流への熱伝達に対する有効表面積を増大させた。換気流路は、吸収材の下方の連続した開放空間であることもできるし、多様な方法で、例えば2つ以上の平行流路に分割することもできる。平行流路は、隣接する流路を分割する壁を形成するように吸収材のフィンを延ばしたり曲げたりすることによって好都合に形成することができる。このような配置は吸収材から換気流路への熱伝達を高めるものである。
【0046】
コレクタが選択温度に達する場合のダンパの開放を助長するために、熱起動式換気ダンパを使用した。好ましくは、このダンパは受動的に、すなわち、任意の電源(ソーラー以外の)とは無関係に動作し、全ての条件(例えば、停電の際等)下で動作する。このため、熱起動式機構はこの用途には理想的に適しており、どんな所望の温度でも開くように調整または作製することができる。この種の設計もまた、コレクタの温度が選択温度以下に下がるにつれて自動的にダンパを閉じて、コレクタの通常動作を回復させる。
【0047】
ダンパ・アセンブリの動作を制御するために、任意の熱起動式機構を使用することができ、例えば、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金等を含む。以下の実施例に示す態様では、予め設定した(すなわち選択した)温度で力を加えるべく作製することができる、形状記憶合金(SMA)ばね(Otsukaら、1998; Waram, 1993; 全ての引用した刊行物の内容は参照としてその全体が本明細書に組み込まれる)を用いてダンパ・アセンブリを構成した。SMA装置を使用するとき、戻り力を加えて通常動作の際にダンパを閉じたままにするには、従来のバイアスばね(図1Aの参照番号24)が必要である。
【0048】
本発明の別の態様によれば、熱伝導装置を介してヒート・シンクまたは負荷に接続した、前述したような一体型よどみ点温度制御を有するソーラーコレクタを備えた太陽エネルギー・システムを提供する。熱伝導装置は、例えば、ソーラーコレクタの吸収材から熱を除去すると共に、この熱をヒート・シンクまたは負荷に蓄積する循環伝熱流体を、関連する管材、ポンプ等とともに備えることができる。ヒート・シンクは、例えば、熱水タンク等の熱蓄積装置であってもよく、負荷は、加熱炉等の直接熱を使用する装置であってよい。
【0049】
本発明を以下の非制限的実施例を用いて以下に更に説明する。
【0050】
実施例1. 代表的ソーラーコレクタでのよどみ制御用の設計基準
この実施例は18°の傾斜(すなわち、典型的な北米の屋根の傾斜)で取り付けた従来のソーラーコレクタでの高いよどみ点温度制御用の設計考察を提供する。しかしながら、この分析は異なる取付け傾斜でかつ異なる地理的場所の異なるソーラーコレクタ形式に応用できることが認められよう。
【0051】
異なる地理的領域を代表する北米都市の典型的気象データ(Environment Canadaから得た)に関する分析は、一般的に1000 W/m2より大きい太陽放射レベル(18°の傾斜面上の)が、カナダ国では45 h/yr、米国南部では78 h/yr生じることを示している。30℃を上回る周囲温度はカナダ国では60 h/yrを下回るが、米国南部では856 h/yrに達し得ることを表している。高温(すなわち、> 30℃)の期間に1000 W/m2を上回る太陽放射レベルが同時に起こることは、調査した全都市においてそれ程ない。このため、更なる分析の基礎として、30℃の周囲温度と共に起こる1000 W/m2の太陽放射レベルを、よどみ点温度制御用の設計条件と考えた。
【0052】
従来のソーラーコレクタの熱的性能は十分に確立されている(Duffieら、1991)。通常の動作条件下で、ソーラーコレクタによって負荷に伝達されるエネルギー伝達率Qdelは、太陽エネルギーがソーラーコレクタで吸収される速度Qabsとソーラーコレクタ・ハウジングからの熱損失の速度Qlossとの間の差によって決定される。すなわち、

である。式中、Qabsはソーラーコレクタ面積Ac、滑面の透過率(τ)、および吸収板の吸収率(α)の積によって決定される。すなわち、

である。Qlossは全コレクタ熱損失係数(UL)とソーラーコレクタ吸収板(Tp)の温度および周囲の気温(Ta)の間の温度差との積によって与えられる。すなわち、

である。
【0053】
最悪の場合のよどみ条件下では、熱はまったく負荷に伝達されず、このためQdel = 0である。そのようなものとして、「よどみ点温度」条件下でコレクタ温度差を制御するために、ソーラーコレクタは全ての吸収したエネルギーを放射できなければならない。要するに、ソーラーコレクタの吸収材の温度はQloss = Qabs、または、

まで増加することになる。
この式を用いて、Tp、すなわち、

を解くことによってよどみの際の吸収材の温度を推定することができる。代表的なコレクタ設計の場合、(τα)= 0.8かつUL = 5.5である。このため、1000 W/m2およびTa = 30℃の入射太陽強度に対して、吸収材のよどみ点温度Tpは175℃となるであろう。
【0054】
同様に、吸収材の温度を120℃未満に制限するために、全コレクタ熱損失(UL)は8.9 W/m2 ℃まで増加しなければならない。
【0055】
熱損失は通常、ソーラーコレクタ・ハウジングの頂部、側部、および底部から生じる。従来の平板コレクタ設計では、吸収板の頂部から滑面(および周囲)への熱損失は対流および再放射によって生じる。側部および底部からの熱損失は、通常断熱されているコレクタ・ハウジングの熱抵抗に依存している。現在の設計は典型的には、コレクタ・ハウジングの後部および側部を通した熱抵抗が約1.5 W/m2 ℃になるように断熱されている。
【0056】
コレクタの頂部の熱損失は、滑面の特性、吸収材被覆、および吸収材と滑面との間の空気層の熱抵抗によって決まる。代表的なソーラーコレクタ設計の場合、吸収材の温度が120℃に近づくときに頂部の熱損失は約4 W/m2 ℃に達する。
【0057】
このため、1.5 W/m2 ℃というケーシング(すなわち、後部および側部)の熱抵抗を仮定すれば、一体型よどみ点温度制御の目標は、吸収材温度が120℃に近づく(および超過する)場合に、コレクタからの熱損失を5.5 W/m2 ℃という代表値から8.9 W/m2 ℃まで高めることである。低温では、コレクタからの熱損失は影響を受けないべきであり、これによってソーラーコレクタからの熱損失を通常動作の際に最小化する。
【0058】
実施例2. 換気流路の設計および評価
冷却効果の大きさを予測すると共に、換気流路の設計を最適化するために、計算流体力学(CFD)プログラムを用いたコンピュータによるモデリングおよびシミュレーションならびに制御した条件下での研究室でのテストを、一体型換気流路を有するソーラーコレクタの吸収材に関して行った。真っ直ぐな入口および出口を有する流路用のCFDモデル、および下向き90°の曲りを有する入口および出口を有するモデルを開発した。このモデリングで吸収板の下面から吸収材下方の換気流路にある空気への熱流束入力をシミュレートした。吸収材下方の空気を加熱することによって、局部気温が上昇すると共に、相応して空気密度が低下した。この局部空気密度の低下によって、吸収板下方の加熱した空気内に自然対流を引き起こす浮力が生成された。加熱した空気を換気流路から排気できる限り、より冷たい大気が流路内の加熱した空気と置換されたであろう。このプロセスを通して、吸収材の下面の自然対流式冷却が達成された。
【0059】
このモデリングの結果は、吸収板上の温度分布が換気流路の深さと流路の傾斜角度(すなわち、ソーラーコレクタの傾斜または勾配)との関数であることを示した。シミュレーションは10 mm、20 mm、および30 mmといった流路深さに対して行われた。これらのシミュレーションの場合、熱流束入力を400 W/m2に設定し、流路の底部からの熱損失が零であると仮定した。流路の深さが10〜20 mmの深さの場合、熱損失に強く影響することが見出された。また、深さを20 mmよりも増しても、熱損失はほとんど増加しなかった。また、流路中の自然対流および熱除去率、ならびに吸収板の対応する温度分布に及ぼす、流路傾斜および入口/出口構成の影響を調べた。
【0060】
調査結果では、吸収材熱流束400 W/m2および大気温度30℃に対する90°の下向きの出口を有する18°の傾斜付き流路の場合で速度プロフィールを得た。同様の作業において、対応する上面は、約0.7 m/sの流路の最大速度に関して流路の出口の近くで140℃を示した。吸収板からの熱流束を低減することによって、流路の最大温度は相応して低減した。
【0061】
シミュレーション結果および提案した流路設計を確認するために、カナダ国オンタリオ州Kingston市のQueen's Universityで実験用テスト装置を構成して、実験テストを行った。このテスト装置は長さ2.4 m 幅0.29 mの流路から構成した。流路は、傾斜角度(水平に対する)を変更できると共に、流路の深さを調整できるように取り付けた。流路の頂部は単一のアルミニウム板から構成した。加熱用ストリップを流路の上面に接着して、太陽エネルギー入力をシミュレートすると共に、75 mmの断熱層を加熱用ストリップの頂部に構成して、この装置の上面を通した熱損失を回避するようにした。流路の側部および底部は鋼板から構成すると共に、25 mmの気泡断熱材を用いて断熱した。加熱器への電力入力を制御するのに交流電源を用いた。
【0062】
テストは周囲温度を20〜25℃に維持した空調室で行った。上面への熱入力(コレクタの吸収材をシミュレートする)は100 W/m2〜400 W/m2の範囲の固定値に調整した。流路の上面および底面に沿った温度は、銅/コンスタンタン熱電対を用いて測定した。頂面および底面上に入口から出口にかけて中心線に沿って20 cmの間隔を置いて8個の熱電対を配置した。最初の熱電対は流路入口から10 mmの位置に配置した。
【0063】
全テストに対して定常状態方法を用いた。この手順により、テストの開始に固定電力入力を設定すると共に、頂面の温度を定常状態に達するまで測定した。測定はコンピュータベースのデータ獲得システムを用いて5分間隔で記録した。
【0064】
ケース1: 対流式冷却流路
異なる深さの流路に対して、また低放熱放射率を有する未被覆流路面に関して先ずテストを行った。そのようなものとして、これらの結果は、流路上面の対流冷却が支配的な熱伝達機構であること、すなわち、放射熱伝達が少ししか役割を果たさない場合を表している。これらのテストの際にも、流路の底部は断熱されていなかった。流路温度は、入力電力レベルを400 W/m2に設定して、2つの傾斜角度(18°および30°)で、4つの流路深さ(10、20、30、および50 mm)の場合で測定した。予測されたように、上面温度は全ての条件下で入口から出口にかけて流路に沿って増大した。結果は、流路深さが50 mmから20 mmに低減されるにつれて上面の最大温度がわずかに増加するにとどまったことを示した。流路深さを10 mmに低減したときに表面温度が相当増加した。この結果は、CFDシミュレーションと一致し、冷却用流路の最適の深さは約20 mmであることを示している。
【0065】
傾斜角度は流路からの熱損失にも影響を及ぼした。傾斜角度30°を有する換気流路に対して測定した温度は18°の傾斜角度を有する換気流路に比して約5から10℃低かった。
【0066】
換気流路の底部の温度もテストの際にモニタした。流路深さが20 mmを上回るとき、平均の底面温度は周囲温度をわずかに上回るに過ぎないことが見出された。このことは、20 mmを上回る場合、流路深さを増大することは、流路からの熱損失の顕著な増加にはつながらないことを示している。結果はまた、周囲温度が25℃に近い場合、最大流路温度は流路深さとは無関係に122℃を上回ることを示した。
【0067】
ケース2: 強化冷却用流路
上述のテスト結果は、流路からの対流式熱損失が比較的低いという点と、流路の底部および側壁が熱伝達プロセスに極くわずかしか寄与しないという点とを示した。しかし、頂部壁からの熱消散は2つの要素、すなわち対流(空気中への)および放射(底部および側壁への)からなっていた。そのようなものとして、流路内面の放射率を増大することによって流路全体の熱伝達を増加させることが決定された。これらの表面上の放射率を増大させることによって、流路の天井(すなわち、吸収材の底面)から放出される放射が流路の壁部および底部に伝達されることになり、この結果これらが加熱されこととなる。次いで、これらの表面は流路の空気中に熱を対流させることとなる。正味の効果は、空気中への熱伝達に対する有効な表面積を増加させることである。この方法を通して、流路における熱伝導率を高めることができる。このため、第2のテスト・シーケンスに対して、空気流路の内面を0.9の放射発散度および吸収率を有する黒色塗料で被覆した。
【0068】
22 mm深さの流路を熱流束入力400 W/m2および周囲温度20℃でテストした。流路の底壁部を20 mmの気泡断熱材で断熱した。流路の上面および底面双方の温度を測定し、この温度測定は最大上面温度が97℃を下回ると共に、最大底面温度が約78℃であることを示した。この場合、計算による熱損失係数は6.5 W/m2 ℃であった。
【0069】
これらのテスト結果、およびいくつかのコレクタの設計に対する吸収材と周囲温度との間の温度差の関数としての熱損失係数の決定に基づいて、換気流路の下面から何ら熱損失がない場合でも、高放射率の黒色塗料で被覆した換気流路を有するコレクタは6〜8 W/m2 ℃の有効熱損失を有するということが結論付けられた。
【0070】
実施例3. よどみ制御を有するソーラーコレクタの作製および評価
本発明による一体型よどみ点温度制御(ISTC)を有するソーラーコレクタの機能的性能および動作を確認するために、実際の環境条件下での実験テストのための原型ソーラーコレクタを構成した。カナダ国オンタリオ州Kingston市のQueen's Universityの太陽熱量測定実験室(Solar Calorimetry Laboratory)で2002年の5月および6月にかけてテストを行った。
【0071】
コレクタは、上部および下部のヘッダー・パイプを有する平行なライザ(riser)設計であった。予め作製された管およびシート吸収材ストリップを折り曲げて吸収材下方に位置する一体型換気流路を形成した。吸収材の上面を「黒色クロム」選択吸収材表面被覆材(銅上のサンセレクト(Sunselect: 登録商標)被覆: Nova Solar, Germany)で予め被覆すると共に、吸収材の裏面に高放射率黒色塗料(前述)を塗布した。
【0072】
テストのために、ISTCコレクタを基準コレクタの隣に配置した。基準コレクタは十分に断熱された吸収材ストリップからなり、このためにテスト条件下で代表的ソーラーコレクタで生じる制限のないよどみ点温度を示した。よどみテストの場合、双方のコレクタは水平方向に18°の傾斜角度をなして配置すると共に、真南に向けた。過度のよどみ条件をシミュレートするために、双方のコレクタを、伝熱流体を循環することなく「ドライ」でテストした。
【0073】
基準コレクタおよびISTCコレクタ双方は熱電対温度センサを備えた。各コレクタの吸収材および裏面の断熱板の温度を測定した。入口に近いコレクタ底部、コレクタの中間部、および温度制御式弁に近いコレクタの頂部に測定点を位置させた。テスト期間の際、周囲温度、コレクタおよびコレクタ表面上の太陽放射の温度を測定した。テストデータを収集するのにコンピュータベースのデータ獲得システムを使用した。全測定を5分間の平均量として記録した。
【0074】
双方のコレクタの温度を5月および6月の長期間に渡ってモニタした。図2は期間の晴天の一日における双方のコレクタの最大温度および対応する太陽放射(SR)ならびに周囲温度(Ta)を示している。太陽放射が増加するにつれてISTCおよび基準(REF)コレクタの温度の双方が増加した。温度が100℃に達する前は、ISTCコレクタの最大温度は基準コレクタの最大温度よりもわずかに高かったことを結果は示している。太陽放射レベルがこのポイントを超えて増加するにつれて、ISTCコレクタの温度は基準コレクタよりもゆっくりとした速度で増加すると共に、120℃付近で安定することが観察された。対応する期間の際に基準コレクタは158℃の温度に達した。
【0075】
制御弁の動作はこの期間に目視検査によって確認された。この一日の終わり頃、太陽の強度が低下するにつれて、弁の閉止が観察され、コレクタの温度間の不一致は見られなくなった。これらの結果は、90℃未満では双方のコレクタからの熱損失は同等であり、100℃を上回る場合には新型コレクタからの熱損失が顕著に増加したことを示している。
【0076】
双方のコレクタで長期間記録された温度は、ISTCコレクタのよどみ制御機構の動作を確認すると共に、コレクタの高温が本発明によって制限されることを証明するものである。前述した比較テストの他に、ISTCコレクタの最大よどみ点温度を一体型よどみ制御を不能にした状態で決定した。このことは2つの理由のために、すなわち、よどみ制御を行うことなくISTCコレクタの熱損失特性を確認するため、およびこの条件下で最大よどみ点温度を定量化するために行った。このテストに対しては、換気流路の出口を20 mm厚の断熱ボードで封止して被覆した。ISTCおよび基準コレクタに対して記録された最大温度は、一日を通してISTCコレクタで到達した温度が基準コレクタにて到達した温度よりもわずかに高かったことを示している。太陽放射強度1150 W/m2および周囲温度25℃において、最大よどみ点温度はISTCコレクタでは170℃で、また基準コレクタでは160℃であった。この結果は、通常の動作条件下ではISTCコレクタは基準コレクタよりも低い熱損失を有したことを示しており、一体型よどみ制御の利益を更に示すものである。
【0077】
要約すると、コレクタの温度が90から100℃を下回るとき、ISTCコレクタからの熱損失は基準のものに匹敵したことを結果は示している。温度が100℃を上回ったとき、ISTCコレクタからの熱損失は増加すると共に、よどみ点温度が制限された。結果は、太陽放射強度が1100 W/m2で周囲温度が25℃であるとき、120〜122℃のコレクタよどみ点温度が見られたことを示した。これらの結果はISTCコレクタのよどみ制御機構の動作を確認すると共に、コレクタの高いよどみ点温度が本発明によって防止されることを証明するものである。
【0078】
当業者は、ルーチン実験を通して、本明細書に開示した態様の等価物を認めるか、またはこれを確かめ得るであろう。このような等価物は本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲に包含される。
【0079】
参考文献

【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の態様によるソーラーコレクタの縦断面図であり、図1Aではコレクタを換気流路を閉じた状態で示しており、図1Bではコレクタを換気流路を開いた状態で示している。図1Cは、本発明の態様による、換気流路と、この換気流路の出口が開位置にある状態でのダンパとを有するソーラーコレクタの断面を詳細に示す図である。
【図2】1日24時間の周囲温度(Ta)、太陽放射強度(SR)、ならびに基準コレクタ(REF)および本発明の態様による一体型よどみ点温度制御(ISTC)を有するソーラーコレクタの温度を示すプロットである。
【図1A】

【図1B】

【図1C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含む、ソーラーコレクタ:
滑面を含む頂部、
底部、
該頂部と該底部との間に配置されて該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収する吸収材であって、該吸収材の下面と該底部の上面との間に流路が画定されるように該底部の上方に離間した関係にある吸収材、
該吸収材と該底部との間の該流路の両端に関連すると共に実質的に対向する、該流路の換気をする入口および出口、
第1の選択温度以上の温度で該出口を開き、第2の選択温度以下の温度で該出口を閉じるダンパ、
ここで該第1および第2の選択温度は、ソーラーコレクタのよどみ点温度未満である。
【請求項2】
第1の選択温度と第2の選択温度とが同じである、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項3】
底部が入口および出口を備えている、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項4】
出口が入口に対して高くなっている、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項5】
流路を画定する少なくとも1つの面が高放射率面である、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項6】
高放射率面が高放射率被覆を含む、請求項5記載のソーラーコレクタ。
【請求項7】
少なくとも1つの面が少なくとも0.5の放射率を有する、請求項5記載のソーラーコレクタ。
【請求項8】
吸収材が滑面の下方に実質的に平行に離間して配置されている、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項9】
吸収材と滑面との間の空間が流路から隔離されている、請求項8記載のソーラーコレクタ。
【請求項10】
ダンパの開放および閉止の少なくとも1つが受動的に起動される、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項11】
ダンパが熱的に起動される、請求項10記載のソーラーコレクタ。
【請求項12】
熱起動式ダンパが、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択される少なくとも1つの部材を備えている、請求項11記載のソーラーコレクタ。
【請求項13】
熱起動式ダンパが形状記憶合金を含む、請求項11記載のソーラーコレクタ。
【請求項14】
出口を開けると直ちに、換気流路を通して入口から該出口に対流によって空気が流れ、該出口を閉じると直ちに、対流による空気流が実質的に停止する、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項15】
入口を開閉するダンパを更に具備した、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項16】
以下の工程を含む、滑面を含む頂部と、底部と、該頂部と該底部との間に配置されて該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収する吸収材とを具備したソーラーコレクタの温度を制御する方法:
該吸収材の下面と該底部の上面との間に流路が画定されるように該底部の上方に離間した関係で該吸収材を配置する工程、
該流路の両端に関連すると共に実質的に対向する、該流路の換気をする入口および出口を設ける工程、
第1の選択温度以上の温度で該出口を開く工程、
第2の選択温度以下の温度で該出口を閉じる工程、
ここで該第1および第2の選択温度は、該ソーラーコレクタのよどみ点温度未満である。
【請求項17】
出口が入口に対して高くなるようにソーラーコレクタを配置する工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
流路を画定する面の少なくとも1つに高放射率をもたらす工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの高放射率面が、高放射率被覆を該面に施すことによって設けられる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
流路を画定する面の少なくとも1つに少なくとも約0.5の放射率をもたらす工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
出口を受動的に開閉する工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】
出口を開閉するために熱起動式ダンパを使用する工程を更に含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
出口の開閉を、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択されるアクチュエータによって実行する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
出口の開閉を形状記憶合金アクチュエータによって実行する、請求項22記載の方法。
【請求項25】
入口を開閉する工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項26】
第1の選択温度と第2の選択温度とが実質的に同じである、請求項16記載の方法。
【請求項27】
以下の工程を含む、滑面を含む頂部と、底部と、該頂部と該底部との間に配置されて該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収する吸収材とを具備したソーラーコレクタの過熱を防止する方法:
該吸収材の下面と該底部の上面との間に流路が画定されるように該底部の上方に離間した関係で該吸収材を配置する工程、
該流路の両端に関連すると共に実質的に対向する、該流路の換気をする入口および出口を設ける工程、
第1の選択温度以上の温度で該出口を開く工程、
第2の選択温度以下の温度で該出口を閉じる工程、
ここで該第1および第2の選択温度は、ソーラーコレクタのよどみ点温度未満である。
【請求項28】
出口が入口に対して高くなるようにソーラーコレクタを配置する工程を更に含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
流路を画定する面の少なくとも1つに高放射率をもたらす工程を更に含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つの高放射率面が、高放射率被覆を該面に施すことによって設けられる、請求項29記載の方法。
【請求項31】
流路を画定する面の少なくとも1つに少なくとも約0.5の放射率をもたらす工程を更に含む、請求項27記載の方法。
【請求項32】
出口を受動的に開閉する工程を更に含む、請求項27記載の方法。
【請求項33】
出口を開閉するために熱起動式ダンパを使用する工程を更に含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
出口の開閉を、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択されるアクチュエータによって実行する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
出口の開閉を形状記憶合金アクチュエータによって実行する、請求項33記載の方法。
【請求項36】
以下のものを含む、太陽エネルギー・システム:
請求項1記載のソーラーコレクタ、
該コレクタから熱を除去する熱伝達装置、
該熱伝達装置からの熱を受けるヒートシンクまたは負荷。
【請求項37】
熱伝達装置が伝熱流体を含む、請求項36記載の太陽エネルギー・システム。
【請求項38】
ソーラー熱水システムである、請求項36記載の太陽エネルギー・システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含む、ソーラーコレクタ:
滑面を含む頂部、
底部、
該頂部と該底部との間に配置されて該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収する吸収材であって、該吸収材の下面と該底部の上面との間に流路が画定されるように該底部の上方に離間した関係にあり、伝熱流体をその全体にわたって循環するよう適合された吸収材、
該吸収材と該底部との間の該流路の両端に関連すると共に実質的に対向する、受動的に該流路の換気をする入口および出口、
第1の選択温度以上の温度で該出口を開き、第2の選択温度以下の温度で該出口を閉じるダンパ、
ここで吸収材の該下面は、該流路の少なくとも1つの他の面に放射性に結合しており、
該第1および第2の選択温度は、ソーラーコレクタのよどみ点温度未満である。
【請求項2】
第1の選択温度と第2の選択温度とが同じである、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項3】
底部が入口および出口を備えている、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項4】
出口が入口に対して高くなっている、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項5】
流路を画定する少なくとも1つの放射性に結合された面が高放射率面である、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項6】
高放射率面が高放射率被覆を含む、請求項5記載のソーラーコレクタ。
【請求項7】
少なくとも1つの面が少なくとも0.5の放射率を有する、請求項5記載のソーラーコレクタ。
【請求項8】
吸収材が滑面の下方に実質的に平行に離間して配置されている、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項9】
吸収材と滑面との間の空間が流路から隔離されている、請求項8記載のソーラーコレクタ。
【請求項10】
ダンパの開放および閉止の少なくとも1つが受動的に起動される、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項11】
ダンパが熱的に起動される、請求項10記載のソーラーコレクタ。
【請求項12】
熱起動式ダンパが、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択される少なくとも1つの部材を備えている、請求項11記載のソーラーコレクタ。
【請求項13】
熱起動式ダンパが形状記憶合金を含む、請求項11記載のソーラーコレクタ。
【請求項14】
出口を開けると直ちに、換気流路を通して入口から該出口に対流によって空気が流れ、該出口を閉じると直ちに、対流による空気流が実質的に停止する、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項15】
入口を開閉するダンパを更に具備した、請求項1記載のソーラーコレクタ。
【請求項16】
以下の工程を含む、滑面を含む頂部と、底部と、該頂部と該底部との間に配置されて該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収し、伝熱流体をその全体にわたって循環するよう適合された吸収材とを具備したソーラーコレクタの温度を制御する方法:
該吸収材の下面と該底部の上面との間に流路が画定されるように該底部の上方に離間した関係で該吸収材を配置する工程、
吸収材の該下面を、該流路の少なくとも1つの他の面に放射性に結合させる工程、
該流路の両端に関連すると共に実質的に対向する、受動的に該流路の換気をする入口および出口を設ける工程、
該吸収材に伝熱流体を提供する工程、
第1の選択温度以上の温度で該出口を開く工程、
第2の選択温度以下の温度で該出口を閉じる工程、
ここで該第1および第2の選択温度は、該ソーラーコレクタのよどみ点温度未満である。
【請求項17】
出口が入口に対して高くなるようにソーラーコレクタを配置する工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
放射性に結合する工程が、流路を画定する面の少なくとも1つに高放射率をもたらす工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの高放射率面が、高放射率被覆を該面に施すことによって設けられる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
流路を画定する面の少なくとも1つに少なくとも約0.5の放射率をもたらす工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
出口を受動的に開閉する工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】
出口を開閉するために熱起動式ダンパを使用する工程を更に含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
出口の開閉を、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択されるアクチュエータによって実行する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
出口の開閉を形状記憶合金アクチュエータによって実行する、請求項22記載の方法。
【請求項25】
入口を開閉する工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項26】
第1の選択温度と第2の選択温度とが実質的に同じである、請求項16記載の方法。
【請求項27】
以下の工程を含む、滑面を含む頂部と、底部と、該頂部と該底部との間に配置されて該滑面を通して受ける太陽エネルギーを吸収し、伝熱流体をその全体にわたって循環するよう適合された吸収材とを具備したソーラーコレクタの過熱を防止する方法:
該吸収材の下面と該底部の上面との間に流路が画定されるように該底部の上方に離間した関係で該吸収材を配置する工程、
吸収材の該下面を、該流路の少なくとも1つの他の面に放射性に結合させる工程、
該流路の両端に関連すると共に実質的に対向する、受動的に該流路の換気をする入口および出口を設ける工程、
該吸収材に伝熱流体を提供する工程、
第1の選択温度以上の温度で該出口を開く工程、
第2の選択温度以下の温度で該出口を閉じる工程、
ここで該第1および第2の選択温度は、ソーラーコレクタのよどみ点温度未満である。
【請求項28】
出口が入口に対して高くなるようにソーラーコレクタを配置する工程を更に含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
放射性に結合する工程が、流路を画定する面の少なくとも1つに高放射率をもたらす工程を含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つの高放射率面が、高放射率被覆を該面に施すことによって設けられる、請求項29記載の方法。
【請求項31】
流路を画定する面の少なくとも1つに少なくとも約0.5の放射率をもたらす工程を更に含む、請求項27記載の方法。
【請求項32】
出口を受動的に開閉する工程を更に含む、請求項27記載の方法。
【請求項33】
出口を開閉するために熱起動式ダンパを使用する工程を更に含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
出口の開閉を、ガス充填ピストン、ワックス充填アクチュエータ、バイメタルばね、および形状記憶合金からなる群より選択されるアクチュエータによって実行する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
出口の開閉を形状記憶合金アクチュエータによって実行する、請求項33記載の方法。
【請求項36】
以下のものを含む、太陽エネルギー・システム
請求項1記載のソーラーコレクタ、
該コレクタから熱を除去する熱伝達装置、
該熱伝達装置からの熱を受けるヒートシンクまたは負荷。
【請求項37】
熱伝達装置が伝熱流体を含む、請求項36記載の太陽エネルギー・システム。
【請求項38】
ソーラー熱水システムである、請求項36記載の太陽エネルギー・システム。

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−515413(P2006−515413A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501410(P2006−501410)
【出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000162
【国際公開番号】WO2004/070289
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(391018835)クイーンズ ユニバーシティ アット キングストン (9)
【氏名又は名称原語表記】QUEEN’S UNIVERSITY AT KINGSTON