説明

一個切り装置

【課題】丸棒状のワークを所定のピッチにて保持する一個切り装置であって、安価な構成からなり、搬送時におけるワークの品質を確実に保持し、該ワークの形状に影響を受けにくい一個切り装置の技術を提供することを課題とする。
【解決手段】ワークW・W・・・の上方において、ワークW・W・・・の搬送方向に向かって配設される複数の丸棒部材からなるローラーストッパー21・21・・・を備え、これらローラーストッパー21・21・・・は各々ローラーストッパー21の重心位置となる軸心G1と平行に配置される回転軸心G2を有し、回転軸心G2と各ワークWの軸心とが平行になる姿勢で、各ワークWに対して前後方向および上下方向に移動可能に配設されるとともに、各ワークWの上端部に各々当接して設けられ、隣り合う二組のローラーストッパー21・21によって各ワークWの上端部を押圧しつつ挟持することで、各ワークWは所定のピッチに保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸棒状のワークを単一方向に搬送する搬送装置に備えられ、これらワークを所定のピッチによって保持する一個切り装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばCVJ(Constat Velocity Jointo)用中間シャフトなどのような円筒形状からなる丸棒状のワークを、連続して単一方向に搬送する搬送装置においては、隣り合うワーク同士が搬送途中に接触して、該ワークの表面に施された表面塗装が剥離することなどを防止するために、各ワークを所定間隔だけ離した状態で搬送する一個切り装置が備えられる。
前記一個切り装置は、ワークの搬送方向に沿って所定のピッチ毎に並設される複数のストッパー機構から構成される。
そして、これら複数のストッパー機構を、搬送方向の最下流側に配設されるものから、上流側に向かって順に可動させることで、前記ワークは単一方向に連続して搬送されるとともに、各ワークの間隔が所定のピッチに保持されるようになっている。
【0003】
ここで、このような一個切り装置の一例について、図5を用いて説明する。
図5は、搬送装置100に備えられる、従来の一個切り装置101の全体的な構成を示した側面図である。
なお、以下の説明に関しては、便宜上、図5における矢印Aの方向を前方、且つワークWの搬送方向と規定して説明する。
また、図5においては、図面上の上下方向を一個切り装置101の上下方向と規定して、以下説明する。
【0004】
一個切り装置101は搬送装置100の搬送レール150に備えられ、複数のストッパー機構102・102・・・を有して構成される。
前記各ストッパー機構102は、主に複数の回転板121・121(図5においては、側面図であるため一枚の回転板121のみ記載)や、回転軸122などにより構成される。
【0005】
回転板121は、略歯車形状からなる板状部材によって形成される。
即ち、回転板121は円盤部材から形成され、その外周部には、搬送物であるシャフト(以下、「ワーク」と記載する)Wの外周面の形状に略沿いつつ、前記回転板121の中心側に向かって延出する複数の凹部121a・121a・・・が、円周方向へ等間隔に設けられる。
そして、このような形状からなる二枚の回転板121・121を回転軸122の両端部に配設することで、ストッパー機構102が構成される。
なお、これら回転板121・121は、各々に形成される複数の凹部121a・・・121a・・・が、側面視において互いに同位置となる(重なる)ように、位相を合わせて配設される。
【0006】
一方、搬送装置100には、図示せぬフレームの上面部において、ワークWの搬送方向(図5における矢印Aの方向。以下同じ。)に向かって延出し、且つ各々平行に配設される複数の板状部材からなる搬送レール150・150・・・が設けられる。
前記搬送レール150の上面部150aは、ワークWの搬送方向に向かって、緩やかに下方側に傾斜して形成される。
そして、前記上面部150aの近傍には、複数のストッパー機構102・102・・・の回転軸122・122・・・・が、該上面部150aの傾斜方向に沿って所定のピッチを有して配設されるとともに、軸心方向を左右方向(平面視において、搬送方向と直交する方向。以下同じ。)に向けて回転可能に挿設される。
【0007】
このように、各ストッパー機構102は、前記上面部150a近傍の左右両側において、二枚の回転板121・121が、回転軸122を介して回転可能に各々軸支されることとなり、このような構成からなる複数のストッパー機構102・102・・・によって、一個切り装置101は、所定のピッチにてワークWを保持することができるように構成されている。
【0008】
即ち、搬送装置100によって搬送される複数のワークW・W・・・は、平面視において、各々軸心方向を左右方向に向けつつ、複数の搬送レール150・150・・・の上面部150a・150a・・・に横架するようにして各々配設される。
つまり、これら複数のワークW・W・・・は、自重によって前記上面部150aを転がり落ちることで、搬送方向に搬送されるようになっている。
なお、搬送方向の最下流側に位置するワークW(以下、「ワークW1」と記載する)の近傍(ワークW1の搬送方向側近傍)には搬送ストッパー103が配設されており、後述するように、該搬送ストッパー103の開閉動作によって、ワークW1の移動(搬送方向への移動)が制御されるようになっている。
【0009】
一方、側面視において、各ストッパー機構102は、回転板121の上端部が前記上面部150aより僅かに上方に突出するようにして搬送レール150に配設される。また、各ストッパー機構102は、前記突出部において、二箇所の凹部121a・121aがそれぞれ搬送方向の下流側(前方側。以下同じ。)、および上流側(後方側。以下同じ)に表れる姿勢を基本姿勢として、搬送レール150に軸支される。
そして、前後方向に隣り合って配設されるストッパー機構102・102において、各々の回転板121・121・・・が基本姿勢の状態にある場合、各ワークWは、前方側に配設される回転板121の後部に位置する凹部121aと、後方側に配設される回転板121の前部に位置する凹部121aとによって保持される。
こうして、複数のストッパー機構102・102・・・がそれぞれ基本姿勢を保持する限り、複数のワークW・W・・・は回転板121・121・・・の凹部121a・121a・・・内に嵌まり込み、これらストッパー機構102・102・・・によって所定のピッチに保持されるのである。
【0010】
そして、このような複数のワークW・W・・・が各々所定のピッチに保持された状態において、搬送ストッパー103がひとたび「開状態」となれば、ワークW1は前方側に向かって搬送レール150の上面部150aを転がり落ちて搬送される。
そして、搬送ストッパー103は、ワークW1が該搬送ストッパー103を完全に通過した時点において、再び「閉状態」となる。
このように、ワークW1は、搬送ストッパー103の開閉動作によって、搬送方向への移動が制御される。
【0011】
なお、搬送ストッパー103は、このように開閉動作可能な構成であることに限定されるものではなく、例えば、搬送レール150の上面部150aより、上方に突出する板状部材を単に固設するような構成であってもよい。
即ち、ワークW1は、このような上方に突出する板状部材と当接し、常に搬送方向への移動を妨げられる構成とし、複数のワークW・W・・・を各々搬送方向に搬送する場合は、ワークW1を上方へと抜き出すこととして、これら複数のワークW・W・・・の移動を制御するようにしてもよい。
【0012】
その後、ワークW1の後方側に隣り合って配設されるワークW(以下、「ワークW2」と記載する)は、搬送方向の最下流側に位置するストッパー機構102(以下、「ストッパー機構102A」と記載する)の回転板121(以下、「回転板121A」と記載する)を、自重により前方側に回転(即ち、図5において、時計回りの方向に回転)させつつ、前記回転板121Aを乗り越えて前方へと転がり落ち、搬送ストッパー103に当接して停止する。
つまり、ワークW2は搬送方向の最下流側の停止位置、即ち搬送ストッパー103が「開状態」となる以前の、ワークW1の位置まで搬送されて停止する。
【0013】
ワークW2が前方に搬送されると、該ワークW2の後方側に隣り合って配設されるワークW(以下、「ワークW3」と記載する)が、ストッパー機構102Aの後方側に隣り合って配設されるストッパー機構102(以下、「ストッパー機構102B」と記載する)の回転板121(以下、「回転板121B」と記載する)を、自重により前方側に回転(即ち、図5において、時計回りの方向に回転)させつつ、前記回転板121Bを乗り越えて前方へと転がり落ちる。
そして、ワークW3は、ワークW2が搬送される以前の位置まで搬送されて停止する。
【0014】
このように、搬送方向の最下流側に位置するワークW1が前方へと搬送されると、該ワークW1に後続するワークW2・W3・・・は、順に回転板121A・121B・・・を、自重により前方側に回転させつつ乗り越えて前方へと搬送され、各ワークWは、前方側に隣り合って配設されるワークWが移動し始める前に停止していた位置にて停止する。
つまり、複数のワークW1・W2・・・は、搬送レール150の上面部150aを転がり落ちながら単一の搬送方向(前方)に連続して搬送されるとともに、複数のストッパー機構102A・102B・・・において、最下流側に配設される回転板121Aから、上流側に向かって順に可動(回転)されることで、所定のピッチにて保持されるようになっているのである。
【0015】
ところで、このような構成からなる従来の一個切り装置101においては、以下に示すような問題点を有していた。
即ち、前述の通り、各ストッパー機構102が有する回転板121は、略歯車形状からなる複雑な形状に形成されるところ、このような形状を板状部材に施すには、例えばレーザー切断やワイヤーカットのような特殊な加工法を用いる必要がある。
よって、このような特殊な加工法を用いれば、旋盤などにおける加工法に比べて加工費が高額となり、一個切り装置101を備える搬送装置100全体として、設備費が嵩む要因となっていた。
【0016】
また、前述の通り、従来の一個切り装置101においては、ワークWの上下方向への移動を規制する手段(例えば、上方より下方に向かってワークWを抑え付けるガイドなど)が設けられていない。
よって、搬送レール150の上面部150a上にて搬送されるワークWは、例えば、回転板121を前方側に回転させつつ、該回転板121を乗り越えて前方へと搬送される際、該回転板121との衝突によって上方へと浮き上がり、搬送姿勢を乱しやすい。
その結果、隣り合うワークW・W同士が搬送途中に接触し、これらワークW・Wの表面に施された表面塗装が剥離することもあり、搬送時におけるワークWの品質を確実に保証することが容易ではなかった。
なお、このようなワークWの上方への浮き上がりを、例えば、搬送レール150の上面部150aにおける傾斜角度を調整することで防止しようとしても、現実的には困難である。
【0017】
さらに、回転板121の形状(より具体的には、複数の凹部121a・121a・・・の形状)は、搬送物であるワークWの断面形状に従って決定されるところ、例えば、ワークWに対して断面形状の外径寸法が数mm異なるシャフトを新たなワークW’(図5に示さず)として搬送する場合、ワークWの断面形状に沿って形成された凹部121a・121a・・・では、新たなワークW’を確実に保持することは難しい。
よって、搬送レール150に軸支される複数の回転板121・121・・・については、前記ワークW’の断面形状に従って新たに製作された回転板に全て交換しなければならない。
従って、ワークWの形状(より具体的には、断面形状の外径寸法)が変更される度に、回転板121・121・・・の加工費や調整費が嵩み、汎用性の乏しい一個切り装置101となっていた。
【0018】
以上に示した、様々な問題点を改善するための手段として、「特許文献1」に示される技術が提案されている。
【0019】
即ち、「特許文献1」においては、固定シュートと、固定シュートに平行に配設された移動シュートと、固定シュートに対して上方位置と下方位置との間で垂直方向に移動シュートを移動させる駆動装置と、移動シュートにワークの自重で回動可能に取付けられた保持装置とを備え、固定シュートは、鋸歯状に形成された複数の固定傾斜面と、隣り合う固定傾斜面の間にそれぞれ形成された固定係止部とを有し、移動シュートは、鋸歯状に形成された複数の移動傾斜面と、隣り合う移動傾斜面の間にそれぞれ形成された移動係止部とを有する搬送装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2005−314037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
前記「特許文献1」に開示される技術によれば、ワークを搬送する固定シュートおよび移動シュートは、それぞれ上面部に鋸歯状の傾斜面を有する比較的容易な形状を有して形成されるため、例えばレーザー切断やワイヤーカットのような特殊な加工法を用いる必要もなく、旋盤などによって比較的安価に搬送装置を構成することができる。
しかし、前述した搬送装置100に備えられる従来の一個切り装置101と同様に、前記「特許文献1」における搬送装置には、搬送物であるワークWの上下方向における規制手段が設けられておらず、搬送途中における該ワークWの搬送姿勢を乱しやすい構成となっている。
従って、隣り合うワークW・W同士が搬送途中に接触し、これらワークW・Wの表面に施された表面塗装が剥離することもあり、搬送時におけるワークWの品質を確実に保証することが容易ではなかった。
また、これら固定シュートおよび移動シュートの上面部における、鋸歯状の傾斜面の形状(例えば傾斜面の傾斜角度など)は、搬送物であるワークWの断面形状に大きく影響を受けるため、従来の一個切り装置101と同様に、汎用性の乏しい搬送装置であることにかわりはなかった。
【0022】
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、丸棒状のワークを単一方向に搬送する搬送装置に備えられ、これらワークを所定のピッチによって保持する一個切り装置であって、安価な構成からなり、搬送時におけるワークの品質を確実に保持し、該ワークの形状に影響を受けにくい一個切り装置の技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0024】
即ち、請求項1においては、丸棒状の部材からなり、平面視において軸心方向と直交する方向の一側に向かって搬送される複数の搬送物を、所定のピッチにて保持する一個切り装置であって、これら搬送物の上方において、前記搬送物の搬送方向に向かって配設される複数の丸棒部材からなるローラーストッパーを備え、これらローラーストッパーは、該ローラーストッパーの重心位置を通る軸心と平行に配置される回転軸心を有し、該回転軸心と、前記搬送物の軸心とが平行になる姿勢で、前記搬送物に対して前後方向および上下方向に移動可能に配設されるとともに、前記搬送物の上端部に当接して設けられ、隣り合う二組のローラーストッパーによって、各搬送物の上端部を押圧しつつ挟持することで、各搬送物を所定のピッチにて保持するものである。
【0025】
また、請求項2においては、前記ローラーストッパーは、下方に向かって付勢する付勢手段を有し、各搬送物を、いずれかのローラーストッパーによって、常に上端部を押圧するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明における一個切り装置によれば、丸棒状のワークを単一方向に搬送する搬送装置に備えられ、これらワークを所定のピッチによって保持する一個切り装置であって、安価な構成からなり、搬送時におけるワークの品質を確実に保持し、該ワークの形状に影響を受けにくい一個切り装置の技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例に係る一個切り装置の全体的な構成を示した側面図。
【図2】動作中における一個切り装置の一状態を示した図であり、最下流側のワークを抜き取った直後の状態における一個切り装置の全体的な構成を示した側面図。
【図3】同じく、動作中における一個切り装置の一状態を示した図であり、ローラーストッパーよりワークが抜け出る瞬間における一個切り装置の全体的な構成を示した側面図。
【図4】同じく、動作中における一個切り装置の一状態を示した図であり、ワークがローラーストッパーを通過した直後における一個切り装置の全体的な構成を示した側面図。
【図5】従来の一個切り装置の全体的な構成を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0029】
[一個切り装置1]
先ず、本発明を具現化する、搬送装置50に備えられる一個切り装置1の全体構成について、図1を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては、便宜上、図1における矢印Aの方向を前方、且つワークWの搬送方向と規定して説明する。
また、図1においては、図面上の上下方向を一個切り装置1の上下方向と規定して、以下説明する。
【0030】
一個切り装置1は、搬送装置50によって搬送される複数のワークW・W・・・を、搬送方向に所定のピッチにて保持するための装置である。
なお、本実施例におけるワークWは、例えばCVJ(Constat Velocity Jointo)用中間シャフトなどのような、円筒形状からなる丸棒状の部材が想定される。
【0031】
ここで、搬送装置50には、図示せぬフレームの上面部において、ワークWの搬送方向(図1における矢印Aの方向。以下同じ。)に向かって延出し、且つ各々平行に配設される複数の板状部材からなる搬送レール51・51・・・が設けられる。
【0032】
前記搬送レール51の上面部51aは、ワークWの搬送方向に向かって、緩やかに下方側に傾斜して形成される。
そして、搬送装置50によって搬送される複数のワークW・W・・・は、各々の軸心を搬送方向に対する直交方向に向けつつ、複数の搬送レール51・51・・・の上面部51a・51a・・・に横架するように配設される。
つまり、これら複数のワークW・W・・・は、自重によって前記上面部51aを転がり落ちることで、単一方向(搬送方向)に搬送されるようになっている。
【0033】
ここで、搬送方向の最下流側に位置するワークW(以下、「ワークW1」と記載する)の近傍(ワークW1の搬送方向側近傍)には搬送ストッパー53が配設されており、後述するように、該搬送ストッパー53の開閉動作によって、ワークW1の移動(搬送方向への移動)が制御されるようになっている。
【0034】
なお、搬送装置50の構成については、本実施例に限定されるものではなく、丸棒状の部材からなる複数のワークW・W・・・を、軸心方向と平面視直交方向に向かって単一方向(搬送方向)に搬送することが可能であれば、例えば、ベルトコンベアなどのような、他の構成であってもよい。
【0035】
一個切り装置1は、搬送装置50において、搬送レール51の上方に配設される支持フレーム52に備えられ、複数のストッパー機構2・2・・・を有して構成される。
前記各ストッパー機構2は、主にローラーストッパー21や、該ローラーストッパー21を回転可能に保持する保持部22などにより構成される。
【0036】
ローラーストッパー21はワークWと当接し、該ワークWの搬送方向への移動を規制するための部材である。
ローラーストッパー21は丸棒部材から形成される。そして、ローラーストッパー21は、その軸心G1を搬送方向に対して直交する方向に向けて、搬送レール51の上方に配設される。
【0037】
なお、ローラーストッパー21は、本実施例に示すように、中実の丸棒部材に限定されるものではなく、中空状の筒状部材であってもよい。
【0038】
ローラーストッパー21は、後述する保持部22によって回転可能に支持される。
ここで、ローラーストッパー21の回転時の中心(以下、「回転軸心G2」と記載する)は、該ローラーストッパー21の軸心G1に対して平行、且つ軸心方向視にて偏心させて設けられる。
つまり、ローラーストッパー21は、保持部22によって、重心の位置である軸心G1に対して偏心した回転軸心G2を中心にして回転可能に軸支される。
【0039】
保持部22は、支持フレーム52よりローラーストッパー21を支持するための部位である。
保持部22は、主に移動支持部材23や固定支持部材24や付勢手段25などにより構成される。
【0040】
移動支持部材23は、ローラーストッパー21を回転可能に支持するための部材である。
移動支持部材23は、例えば長尺の矩形状に形成される板状部材の長手方向両端部を同じ方向へ略垂直に屈曲して「コ」字状の断面形状に形成され、開口方向をローラーストッパー21に向けて配設される。
【0041】
即ち、移動支持部材23は、平面視において搬送方向に対する直交方向に対向して配設される二部の側面部23a・23a(図1においては、側面図であるため一部の側面部23aのみ記載)と、該側面部23a・23aの上端部を連結する上面部23bと、により構成される。また、ローラーストッパー21は、平面視において回転軸心G2を搬送方向と直交する方向に向けた姿勢で、側面部23a・23aの間に配設される。
【0042】
そして、これら側面部23a・23aにおける上面部23bと対向する側の端部(下端部)において、ローラーストッパー21は回転軸心G2を中心にして軸支される。
【0043】
移動支持部材23の上面部23bにはガイドシャフト23cが固設される。
ガイドシャフト23cは棒状部材にて形成され、側面視において、上面部23bから上方(ローラーストッパー21側とは反対方向)に延出するようにして上面部23bに固設される。
【0044】
より具体的には、側面視において、ガイドシャフト23cはローラーストッパー21の回転軸心G2と、後述する固定支持部材24の回動軸心G3とを繋ぐ仮想線L1上に軸心が位置するようにして配設され、上面部23bに固設される。
【0045】
そして、移動支持部材23はガイドシャフト23cを介して、後述する固定支持部材24のガイド部24Bに摺動可能に保持される。
【0046】
固定支持部材24は、移動支持部材23を支持するとともに、搬送装置50の支持フレーム52に固定保持され、保持部22全体を該支持フレーム52に固設するための部材である。
固定支持部材24は、基部24Aやガイド部24Bなどにより構成される。
【0047】
基部24Aは、例えば長尺の矩形状に形成される板状部材の長手方向両端部を同じ方向へ略垂直に屈曲して「コ」字状の断面形状に形成され、開口方向を支持フレーム52に向けて配設される。
【0048】
即ち、基部24Aは、平面視において搬送方向に対する直交方向に対向して配設される二部の側面部24a・24a(図1においては、側面図であるため一部の側面部24aのみ記載)と、該側面部24a・24aの下端部を連結する下面部24bと、により構成される。また、基部24Aは、側面部24a・24aの上端部にて支持フレーム52を挟持するようにして配設される。
【0049】
そして、これら側面部24a・24aにおける下面部24bと反対側の端部(上端部)には、後述するガイド部24Bの軸心方向に向かって延出する、略長円形状の長孔24c・24cが穿孔され、該長孔24c・24cを介して、基部24Aは、ボルトなどの締結部材26によって、支持フレーム52に固設される。
つまり、基部24Aは、締結部材26の軸心を回動軸心G3とし、該回動軸心G3を中心にして、前後方向(搬送方向の上流側および下流側の方向。以下同じ。)に回動可能な構成となっている。また、基部24Aは、支持フレーム52との関係において、前記長孔24c・24cを介して、ガイド部24Bの軸心方向へ近接離間可能な構成となっている。
【0050】
基部24Aの下面部24bにはガイド部24Bが嵌設される。
ガイド部24Bは中空状の筒状部材にて形成され、側面視において、下面部24bから下方(基部24Aの回動軸心G3と反対側の方向)に延出するようにして下面部24bに嵌設される。
より具体的には、側面視において、ガイド部24Bは、ローラーストッパー21の回転軸心G2と、基部24Aの回動軸心G3とを繋ぐ仮想線L1上に軸心が位置するようにして配設され、下面部24bに嵌設される。
【0051】
ガイド部24Bの内周部には、図視せぬブッシングが同軸上に挿嵌される。
該ブッシングの内周部の断面形状は、移動支持部材23のガイドシャフト23cの断面形状と同等に形成され、前記ブッシングを介して、ガイドシャフト23cは、ガイド部24Bの内周部に、上方に向かって挿入される。
このように、移動支持部材23は、ガイドシャフト23cを介して、固定支持部材24のガイド部24Bの内周部を摺動移動可能に保持され、固定支持部材24に対して近接離間方向(上下方向)に移動可能な構成となっている。
【0052】
付勢手段25は、移動支持部材23を、固定支持部材24に対して離間方向(下方向)に付勢するためのものである。
付勢手段25は、例えば圧縮コイルばねなどから構成され、移動支持部材23と固定支持部材24との間において、ガイドシャフト23cに外嵌される。
【0053】
そして、付勢手段25の上端部と固定支持部材24のガイド部24Bの下端部、および付勢手段25の下端部と移動支持部材23の上面部23bが各々当接され、移動支持部材23は、付勢手段25によって、ガイドシャフト23cの軸心方向における、固定支持部材24から離間する方向(下方向)に、常に付勢される。
【0054】
以上のような構成からなる各ストッパー機構2は、ローラーストッパー21・21・・・を下方に配置しつつ、保持部22を下端部が上端部に対して後方側(上流側)に位置するように傾倒させた姿勢で、支持フレーム52の下部に吊設される。
そして、このような構成からなる複数のストッパー機構2・2・・・を、搬送レール51の上方に、所定のピッチにて単一方向(搬送方向)に沿って配設することで、一個切り装置1は構成される。
【0055】
その結果、各ローラーストッパー21は、搬送レール51の上方、つまり複数のワークW・W・・・の上方において、所定のピッチで搬送方向の上流側から下流側に沿って配設されることとなる。
また、各ローラーストッパー21は、軸心G1に対して偏心させた回転軸心G2を中心にして軸支されるとともに、付勢手段25によって、仮想線L1上、且つ下方に向かって常に付勢されつつ、ガイド部24B、およびガイドシャフト23cを介して上下動可能に配設されるのである。
【0056】
なお、ローラーストッパー21の回転軸心G2の位置は、回動軸心G3を中心にして、保持部22全体を回動させることで、前後両方向に容易に調整可能な構成となっており、また固定支持部材24の長孔24c・24cを介して、保持部22全体を移動させることで、上下両方向に容易に調整可能な構成となっている。
【0057】
このような構成からなる一個切り装置1において、前後方向に互いに隣り合って配設されるローラーストッパー21・21によってワークWを挟持することで、複数のワークW・W・・・は搬送方向に所定のピッチで保持されるのである。
【0058】
なお、本実施例における保持部22の構成は一例を示すものであって、これに限定されるものではない。
即ち、前述したとおり、保持部22の構成については、搬送レール51の上方において、軸心G1から偏心した回転軸心G2を中心にしてローラーストッパー21を軸支可能な構成であり、また、ローラーストッパー21を、下端部を後方側(上流側)に傾倒して設けた仮想線L1上における下方に向かって常に付勢可能な構成であればよい。
【0059】
[一個切り装置1の動作手順]
次に、本発明を具現化する、搬送装置50に備えられる一個切り装置1の動作手順について、図1乃至図4を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては、便宜上、図2乃至図4における矢印Aの方向を前方、且つワークWの搬送方向と規定して説明する。
また、図2乃至図4においては、図面上の上下方向を一個切り装置1の上下方向と規定して、以下説明する。
【0060】
先ず、図1に示すように、搬送装置50によって搬送される複数のワークW・W・・・のうち、最下流側に位置するワークW1を除く他のワークW・W・・・については、前後方向に互いに隣り合って配設されるローラーストッパー21・21によって各々上端部を押圧されつつ挟持され、搬送方向に所定のピッチで保持されている。
【0061】
即ち、各ワークWの外周面は、自身(ワークW)の斜前上方および斜後上方に配設されるローラーストッパー21・21の外周面と、点P1、および点P2によって示される当接箇所によってそれぞれ当接される。
また、これら当接箇所(点P1、および点P2)には、付勢手段25・25による下方向(より具体的には、斜後下方向)への付勢力が、ローラーストッパー21・21を介してそれぞれ付加される。
そして、これら当接箇所(点P1、および点P2)における下方向への付勢力によって、各ワークWは搬送レール51の上面部51aに押し付けられ、所定の位置に保持される。
【0062】
換言すれば、各ローラーストッパー21の外周面は、自身(ローラーストッパー21)の斜前下方および斜後下方に配設されるワークW・Wの外周面と、点P2、および点P1によって示される当接箇所によってそれぞれ当接される。
また、これら当接箇所(点P2、および点P1)には、ワークW・Wに付加された下方向への付勢力に対する、上方向(より具体的には、斜前上方向)への反力が、それぞれ付加される。
そして、これら当接箇所(点P2、および点P1)における上方向への反力によって、各ローラーストッパー21は押し上げられつつ、重心の位置(軸心G1の位置)が回転軸心G2の位置に対して前側に振られた(位置した)状態によって保持される。
【0063】
一方、搬送方向の最下流側に位置するワークW1については、自身(ワークW1)の斜後上方に配設されるローラーストッパー21によって、上端部を押圧されるとともに、前方に配設される搬送ストッパー53によって、搬送方向への移動が規制され、他のワークW・W・・・に対して、搬送方向に所定のピッチで保持されている。
【0064】
このように、複数のワークW・W・・・が各々所定のピッチに保持された状態において、搬送ストッパー53がひとたび「開状態」となれば、ワークW1は下流側(前方側。以下同じ。)に向かって搬送レール51の上面部51aを転がり落ちて搬送される。
そして、ワークW1が搬送ストッパー53を完全に通過した時点において、搬送ストッパー53は再び「閉状態」となる。
こうして、ワークW1は、搬送ストッパー53の開閉動作によって、搬送方向への移動が制御される。
【0065】
なお、搬送ストッパー53は、このように開閉動作可能な構成であることに限定されるものではなく、例えば、搬送レール51の上面部51aより、上方に突出する板状部材を単に固設するような構成であってもよい。
【0066】
即ち、ワークW1は、このような上方に突出する板状部材と当接し、常に搬送方向への移動を妨げられる構成とし、複数のワークW・W・・・を各々搬送方向に搬送する場合は、ワークW1を上方へと抜き出すこととして、これら複数のワークW・W・・・の移動を制御するようにしてもよい。
【0067】
搬送ストッパー53の開閉動作により、ワークW1が前方へと移動し始めると、他の残されたワークW・W・・・は、これに追従して搬送レール51の上面部51aを転がり落ち、前方へと移動し始める。
【0068】
即ち、図2に示すように、ワークW1が所定の位置(図2におけるワークW1’の位置)から前方へと移動すると、最下流側に位置するローラーストッパー21(以下、「ローラーストッパー21A」と記載する)は、前記ワークW1による前方側の規制がなくなり、回転軸心G2を中心にして、前方側に回転(即ち、図2において、反時計回りの方向に回転)可能な状態となる。
【0069】
すると、ワークW1と隣り合う位置に配設されるワークW(以下、「ワークW2」と記載する)は、回転軸心G2を中心にしてローラーストッパー21Aを斜前上方に回転させながら(押上げながら)、自重によって搬送レール51の上面部51aを転がり落ち、前方へと移動し始める。
【0070】
なお、この際、ローラーストッパー21Aは、付勢手段25によって常に下方へと付勢されており、ワークW2の外周面に沿いつつ、軸心G1(図1を参照)から偏心した回転軸心G2を中心にして回転することで、該回転軸心G2の位置は下方へと移動される。
【0071】
ワークW2が所定の位置(図2におけるワークW2’の位置)より僅かに前方へと移動すると、ローラーストッパー21Aと後方側(ワークWの搬送方向の上流側。以下同じ。)に隣り合う位置に配設されるローラーストッパー21(以下、「ローラーストッパー21B」と記載する)は、前記ワークW2による前方側の規制がなくなり、回転軸心G2を中心にして、前方側に回転(即ち、図2において、反時計回りの方向に回転)可能な状態となる。
【0072】
すると、ワークW2と後方側に隣り合う位置に配設されるワークW(以下、「ワークW3」と記載する)は、回転軸心G2を中心にしてローラーストッパー21Bを斜前上方に回転させながら(押上げながら)、自重によって搬送レール51の上面部51aを転がり落ち、前方へと移動し始める。
【0073】
なお、この際、ローラーストッパー21Bは、付勢手段25によって常に下方へと付勢されており、ワークW3の外周面に沿いつつ、軸心G1(図1を参照)から偏心した回転軸心G2を中心にして回転することで、該回転軸心G2の位置は、下方へと移動される。
【0074】
このように、各ワークWが前方へと移動し始めると、該ワークWの斜後上方に配設されるローラーストッパー21は、回転軸心G2を中心にして前方側に回転可能な状態となり、前記ローラーストッパー21によって前方への移動を規制されていた、後続するワークWは前方へと移動し始めることとなる。
そして、このような動作を順次繰り返すことで、全てのワークW・W・・・は、順次前方に向かって移動し始めるのである。
【0075】
前方に向かって移動し始めた各ワークW(W2・W3・・・)は、その後、さらに前方へと移動する。
即ち、図3に示すように、ワークW1に替わって新たに最下流側に位置することとなったワークW2は、回転軸心G2を中心にしてローラーストッパー21Aを斜前上方に回転させながら(押上げながら)、自重によって搬送レール51の上面部51aを転がり落ち、さらに前方へと移動する。
【0076】
また、ワークW2に後続するワークW3・W4・・・も、回転軸心G2を中心にしてローラーストッパー21B・21C・・・を斜前上方に各々回転させながら(押上げながら)、自重によって搬送レール51の上面部51aを転がり落ち、さらに前方へと移動する。
【0077】
なお、この際、各ローラーストッパー21は、付勢手段25によって常に下方へと付勢されるとともに、各ワークWによって上方へと突き上げられ、各ワークWの外周面に沿いつつ、軸心G1(図1を参照)から偏心した回転軸心G2を中心にして回転することで、該回転軸心G2の位置は、上方へと移動される。
【0078】
そして、これらワークW2・W3・・・は、前方に向かって一定の距離まで移動した時点で、各ローラーストッパー21A・21B・・・を、各々通過することとなる。
【0079】
ローラーストッパー21を通過した各ワークWは、該ローラーストッパー21によって上端部を押圧されつつ、さらに搬送レール51の上面部51aを転がり落ち、前方へと移動する。
【0080】
即ち、最下流側に位置するワークW2は、ローラーストッパー21Aによって上端部を押圧されつつ前方へと移動する一方、該ローラストッパー21Aは、ワークW2の外周面を摺動しながら、回転軸心G2を中心にして、前方側に回転(即ち、図3において、反時計回りの方向に回転)する。
また、ワークW2に後続するワークW3・W4・・・も、各ローラーストッパー21B・21C・・・によって上端部を各々押圧されつつ前方へと移動する一方、これらローラーストッパー21B・21C・・・は、ワークW3・W4・・・の外周面を摺動しながら、回転軸心G2を中心にして、各々前方側に回転(即ち、図3において、反時計回りの方向に回転)する。
【0081】
その後、図4に示すように、ワークW2に後続するワークW3・W4・・・は、自身(ワークW3・W4・・・)の斜前上方に各々配設される各ローラーストッパー21A・21B・・・と各々当接され、これら各ローラーストッパー21A・21B・・・によって、上端部の前後両部を押圧されつつ、さらに前方へと移動する。
【0082】
即ち、ワークW3は、自身(ワークW3)の斜前上方および斜後上方に各々配設されるローラーストッパー21A・21Bによって、上端部の前後両部を押圧されつつ前方へと移動する一方、これらローラーストッパー21A・21Bは、ワークW3の外周面を摺動しながら、回転軸心G2を中心にして、各々前方側に回転(即ち、図4において、反時計回りの方向に回転)する。
また、ワークW3に後続するワークW4・W5・・・も、各ローラーストッパー21B・21C・・・によって上端部の前後両部を各々押圧されつつ前方へと移動する一方、これらローラーストッパー21B・21C・・・は、ワークW4・W5・・・の外周面を摺動しながら、回転軸心G2を中心にして、各々前方側に回転(即ち、図4において、反時計回りの方向に回転)する。
【0083】
一方、最下流側に位置するワークW2は、自身(ワークW2)の斜後上方に配設されるローラーストッパー21Aによって、上端部の後部を押圧されつつ、さらに前方へと移動する。
【0084】
なお、この際、各ローラーストッパー21は、付勢手段25によって常に下方へと付勢されるとともに、各ワークWの外周面に沿って上方へと突き上げられ、各ワークWの外周面に沿いつつ、軸心G1(図1を参照)から偏心した回転軸心G2を中心にして回転することで、該回転軸心G2の位置は、さらに上方へと移動される。
【0085】
また、この際、各ローラーストッパー21の軸心G1(図1を参照)の位置は、回転軸心G2の後方に位置するため、該ローラーストッパー21は、自重によっても、回転軸心G2を中心にして、前方側に回転(即ち、図4において、反時計回りの方向に回転)することとなる。
つまり、各ワークWは、各ローラーストッパー21に付加される付勢手段25による下方への付勢力と、自重による回転力と、によって、上端部を押圧されることとなる。
【0086】
その後、最下流側に位置するワークW2は、前方に配設される搬送ストッパー53と当接され、前方への移動を規制される。
ワークW2が停止すれば、ローラーストッパー21Aの状態は保持される。
即ち、ローラーストッパー21Aは、ワークW2が障害となり、もはや回転軸心G2を中心にして前方側に回転(即ち、図4において、反時計回りの方向に回転)することができない。
すると、ワークW2に後続するワークW3は、ローラーストッパー21Aによって前方への移動を規制されて停止する。
【0087】
ワークW3が停止すれば、ローラーストッパー21Bの状態は保持される。
即ち、ローラーストッパー21Bは、ワークW3が障害となり、もはや回転軸心G2を中心にして前方側に回転(即ち、図4において、反時計回りの方向に回転)することができない。
すると、ワークW3に後続するワークW4は、ローラーストッパー21Bによって前方への移動を規制されて停止する。
【0088】
このように、各ワークWは、上方に配設される何れかのローラーストッパー21によって、上端部を常に押圧されつつ、単一方向(搬送方向)に搬送され、その後、最下流側に位置するワークW2を除く他のワークW(W3・W4・・・)は、前後方向に互いに隣り合って配設されるローラーストッパー21・21によって各々上端部を押圧されつつ挟持されて停止する。
【0089】
即ち、各ワークWは、斜後上方に配設されるローラーストッパー21を、回転軸心G2を中心にして前方に摺動回転(即ち、図4において、時計回りの方向に回転)させながら搬送レール51の上面部51aを転がり落ち、やがて斜前上方に配設されるローラーストッパー21、或いは搬送ストッパー53と当接して停止する。
そして、最下流側に位置するワークW2を除く他の各ワークW(W3・W4・・・)については、自身(ワークW)の斜前上方および斜後上方に配設される両ローラーストッパー21・21によって、上端部を押圧されつつ挟持され停止する。
【0090】
そして、このような動作を、順次繰り返すことで、複数のワークW2・W3・・・は、再び図1に示すように、前後方向に互いに隣り合って配設されるローラーストッパー21・21によって各々挟持され、所定のピッチを有して保持されるのである。
【0091】
以上のように、本実施例における一個切り装置1は、丸棒状の部材からなり、平面視において軸心方向と直交する方向の一側に向かって搬送される複数のワーク(搬送物)W・W・・・を、所定のピッチにて保持する一個切り装置1であって、これらワーク(搬送物)W・W・・・の上方において、前記ワーク(搬送物)W・W・・・の搬送方向に向かって配設される複数の丸棒部材からなるローラーストッパー21・21・・・を備え、これらローラーストッパー21・21・・・は、各々該ローラーストッパー21の重心位置を通る軸心G1と平行に配置される回転軸心G2を有し、該回転軸心G2と、前記各ワーク(搬送物)Wの軸心とが平行になる姿勢で、前記各ワーク(搬送物)Wに対して前後方向および上下方向に移動可能に配設されるとともに、前記各ワーク(搬送物)Wの上端部に各々当接して設けられ、隣り合う二組のローラーストッパー21・21(例えば、図1におけるローラーストッパー21A・21B)によって、前記各ワーク(搬送物)Wの上端部を押圧しつつ挟持することで、前記各ワーク(搬送物)Wを所定のピッチにて保持することとしている。
【0092】
このような構成を有することで、本実施例における一個切り装置1によれば、丸棒状のワークW・W・・・を単一方向(搬送方向)に搬送する搬送装置50に備えられ、これらワークW・W・・・を所定のピッチによって保持する一個切り装置1であって、安価な構成からなり、搬送時におけるワークW・W・・・の品質を確実に保持し、該ワークW・W・・・の形状に影響を受けにくい一個切り装置1の技術を提供することが可能になる。
【0093】
即ち、各ワークWと直接当接し、該ワークWの搬送方向への移動を規制するローラーストッパー21は、従来の一個切り装置101に備えられる回転板121(図5を参照)のような複雑な形状を有するものではなく、軸心G1と平行に設けられる回転軸心G2を有した、単純な丸棒部材によって形成されるため、特殊な加工法を必要とせず、旋盤などによって容易に加工することができる。
従って、一個切り装置1は、安価な加工費によって製作することが可能となり、該一個切り装置1を備える搬送装置50全体として、設備費を低減することができる。
【0094】
また、本実施例における一個切り装置1において、複数のローラーストッパー21・21・・・は、各ワークWの上端部に当接して設けられることとしている。
よって、搬送時における各ワークWの上下方向への移動は、これらローラーストッパー21・21・・・によって規制されることとなる。
従って、各ワークWの搬送姿勢は、確実に保持されることとなり、隣り合うワークW・W同士が搬送途中に搬送姿勢を乱して接触し、これらワークW・Wの表面に施された表面塗装が剥離するようなこともなく、搬送時におけるワークW・W・・・の品質を確実に保持することができる。
【0095】
さらに、各ローラーストッパー21は、ワークWの上方において、該ワークWに対して前後方向および上下方向に移動可能に配設される。
即ち、保持部22の支持フレーム52に対する固定位置を、回動軸心G3を中心にして前後方向に回動させることにより、各ローラーストッパー21の位置は、前後方向に調節可能な構成となっている。また、保持部22の支持フレーム52に対する固定位置を、長孔24c・24cの範囲内で上下移動させることにより、各ローラーストッパー21の位置は、上下方向に調節可能な構成となっている。
【0096】
よって、一個切り装置1では、例え搬送されるワークWが変更され、断面形状の外径寸法が異なるシャフトを新たに搬送することとなっても、別途新たなローラーストッパーに交換する必要はなく、前後方向および上下方向に関して各ローラーストッパー21の位置を調節することで、容易に対応することができる。
つまり、本実施例における一個切り装置1は、搬送されるワークWの形状に影響を受けにくく、汎用性の高い構成となっている。
【0097】
また、本実施例における一個切り装置1において、前記ローラーストッパー21・21・・・は各々、下方に向かって付勢する付勢手段25を有し、各ワーク(搬送物)Wを、いずれかのローラーストッパー21によって、常に上端部を押圧することとしている。
【0098】
このような構成を有することで、搬送中のワークWが、例え上下動したとしても、いずれかのローラーストッパー21が、前記上下動に追従して移動し、常に前記ワークWの上端部を押圧することとなる。
従って、各ワークWの搬送姿勢は、確実に保持されることとなり、隣り合うワークW・W同士が搬送途中に搬送姿勢を乱して接触し、これらワークW・Wの表面に施された表面塗装が剥離するようなこともなく、搬送時におけるワークW・W・・・の品質を確実に保持することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 一個切り装置
21 ローラーストッパー
21A ローラーストッパー
21B ローラーストッパー
G1 軸心
G2 回転軸心
W ワーク(搬送物)
W1 ワーク(搬送物)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸棒状の部材からなり、平面視において軸心方向と直交する方向の一側に向かって搬送される複数の搬送物を、所定のピッチにて保持する一個切り装置であって、
これら搬送物の上方において、前記搬送物の搬送方向に向かって配設される複数の丸棒部材からなるローラーストッパーを備え、
これらローラーストッパーは、
該ローラーストッパーの重心位置を通る軸心と平行に配置される回転軸心を有し、
該回転軸心と、前記搬送物の軸心とが平行になる姿勢で、前記搬送物に対して前後方向および上下方向に移動可能に配設されるとともに、前記搬送物の上端部に当接して設けられ、
隣り合う二組のローラーストッパーによって、各搬送物の上端部を押圧しつつ挟持することで、各搬送物を所定のピッチにて保持する、
ことを特徴とする一個切り装置。
【請求項2】
前記ローラーストッパーは、下方に向かって付勢する付勢手段を有し、
各搬送物を、いずれかのローラーストッパーによって、常に上端部を押圧する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の一個切り装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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