説明

一個構成型シム

炭素材料からできた一個構成型であるかさもなければ単一の環状シム部材は、例えば高密度化のような製造プロセスの間、スタックした環状母材間の間隔を保持するために用いられる。この一個構成型構造体は、有利なことには、プロセスチャンバ内の母材の配置を単純化し、母材における変形をより少なくする。この炭素組成物はまた、高密度化法を改善するに有利な熱的効果を提供する。環状シム部材上は、シム部材からの環状母材の分離を容易にするため、付着剥離性皮膜が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工程の間、スタックした多孔質基板を離間し、間隔を空けるために用いられるシム部材に関する。本発明の特定の実施例は、特に化学気相浸透(CVI)などの高密度化工程の間、スタックした環状複合材料母材の間隔を空けるために用いられる炭素の環状シム部材に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料からなる母材(プリフォーム)は、特に、ブレーキ・ディスクまたは他の摩擦部材製造のための環状母材であり得る。
【0003】
ブレーキ・ディスクなどを製造するための環状母材を高密度化するための装置は、例えば、2003年8月14日に出願された米国特許出願第10/468,031号に開示されており、その典型例は図1に示されている。
【0004】
図1は、その中に炭素繊維製の環状母材すなわち基板20の積載物を含有する囲い(エンクロージャー)10を有するプロセスチャンバの極めて模式的な説明図である。積載物は、一般に、垂直配列にあるそれらそれぞれの中央通路を有する積み重ねた基板スタックの形態をとる。スタックは、1以上の中間支持板12により分離される複数の重ね合わせたスタック部分からなり得る。
【0005】
スタックされた基板は、スペーサ30によって互いに分離される。図2に示されるように、スペーサ30は放射状に配置することが可能であり、それらの数は変更可能である。スペーサ30は、隣接基板間の全体スタックを通しての実質的に一定高さの隙間22を提供し、一方で、基板の全体的に揃えられた中央通路により構成されるスタックの内側体積24がスタックの外側および囲い10の内側に位置する外側体積26に連絡することを可能とする。
【0006】
図1の例において、囲い10は基板の単一スタックを含有する。一つの変形例において、複数の基板スタックを同じ囲いの中で並んで配置してもよい。
【0007】
囲い10は、例えば、囲い10を規定するために役立つと共にサセプタ周りのケーシング17の外側に位置する誘導コイル16に誘導結合されるグラファイト製のサセプタ14によって加熱される。他の加熱方法、例えば抵抗加熱(ジュール効果)を用いてもよい。
【0008】
1種もしくはそれ以上の炭素前駆体を含有するガス、一般的に、メタンおよび/またはプロパンなどの炭化水素ガスは、囲い10の中に入れることが可能である。図示の例において、入室は囲いの底部10aを通して行われる。ガスは、基板のスタックを支持する板11のすぐ下の、囲いの底部に上下に並べられる1以上の穴を開けた板により形成される予熱領域18を通過する。予熱プレート(これらは囲いの内側に存在する温度まで上げられる)により加熱されたガスは、同時に内側空間24中、外側空間26中、および隙間22中に入り込んで、自由に囲いの中に流れ込む。残留ガスは、蓋10bの中に形成された出口を通して、吸引により囲いから引き出される。
【0009】
スペーサ30は、最も普通にはアルミナから作製される個々に置かれるブロック部材である。しかし、一旦形成されると、アルミナブロック部材は極めて脆く、破損に由来する損失率が極めて高い。実際、通常の使用において、従来のアルミナブロックは、しばしば、せいぜい2〜3回の高密度化サイクルしか続けて使用できない。これは、アルミナブロックを交換することを意味し、自ずと製造コストを引き上げる。
【0010】
さらに、各母材層間の個々のアルミナブロック部材の手作業による適切な配置は、極端に時間がかかるものである。6個のこうしたブロック部材は、一例として図2に示され、実際の実施では12個ものブロックが用いられる。脆いブロックを破損なしに取り扱うために必要とされる異常なまでの注意により、時間的負担が重くなってしまう。一般に、母材の7個のトレイ(各々12〜14枚の母材スタックを有する)を含む完全な高密度化工程は、従来法により組み立てるためには1または2労働日もの時間を取り得る。
【0011】
個々のスペーサ部材30の使用に関する別の問題は、それらが、それらの上に積み重ねられる母材(およびスペーサ)の重量により引き起こされる母材における変形(文字通り、へこみ)を起こしやすいことである。図2から理解することができるように、スペーサ部材30間の周辺には母材の大きな不支持領域がある。母材材料が一般に柔軟であり、且つスペーサ部材30を構成するアルミナが変形しないので、へこみは、スペーサ部材30に対応する位置にある母材の表面において発生する。これらの変形は、僅かではあるが、摩擦用途に適用可能な望ましい平面表面を得るために、余分な仕上げ段階において機械加工処理をしなければならない。結果として、各母材の厚さは、公知の方法で起こる変形、およびそれらの変形を除去するための最終機械加工段階を見込んで、最終製品に必要とされるものよりも厚くなる。機械加工処理された材料は経済的な浪費を示すことになる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の観点から、本発明は、スタックされた環状母材の間隔を空けるための一個構成(ワン・ピース)型であるかさもなければ単一の環状シム部材に関する。
【0013】
本発明によるシム部材は、対向した第1および第2の表面を有する一般に平坦化された環状形態を有する。含まれる表面の少なくとも一つは、シム部材の内部空間を外部と連通するための放射状に延びるガス流路を少なくとも部分的に規定するように付形されている。
【0014】
本発明によるシム部材は、好ましくは、半径方向の寸法において、それに隣接する環状母材に類似である。すなわち、シム部材は、好ましくは、環状母材に類似の内径および類似の外径を有する。シム部材が一般に環状母材のサイズと一致しない場合、環状母材よりも大きい(すなわち、半径方向により広い)シム部材を有するよりもむしろ、わずかにシム部材を小サイズとする(すなわち、環状母材よりも大きな内径および/またはそれよりも小さい外径を有する)ことが好ましい。
【0015】
本発明の一例において、シム部材は、炭素材料(例えば、グラファイトまたは炭素/炭素複合材)から作製され、その上に形成された付着剥離性(デボンディング性)皮膜を有する。
【0016】
本発明は、図面の簡単な説明の欄にまとめて記載する添付の図面を参照することでより良好に理解できるであろう。
【0017】
また、添付の図面は、単に本発明の例を示すことを意図し、本発明の規定をいかなる点からも限定するものではないと見なされるべきであることを特に強調することができる。また、図面は、全体図または相互関係図のいずれにおいても正しい尺度で記載されたものではないということに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一般に、本発明によるシム部材は、ある種の基本的に有用な特性を有する。
【0019】
一個構成型であるか、さもなければ単一の構造は、スタックした環状母材間でいくつかの個々のスペーサ部材を使用することに比べて、スタックした環状母材をプロセスチャンバに積み込むことを大いに容易にする。上述のように、図2に関して上述した従来の配置は、それぞれの従来のスペーサ部材の手作業による配置を必要とする。さらに、従来のスペーサ部材は通常アルミナなどの高度に脆い材料から作製されるので、各スペーサ部材は、破損を避けるため、すでに長くて単調な手作業によるプロセスの間、大きな注意を払って取り扱わなければならない。スペーサ部材は、また、比較的小さく極めて薄い(例えば、1”×4”×0.1”)ので、これによってもまた取り扱いが困難となる。
【0020】
本発明による一個構成型シム部材の使用により、シム部材を位置付けする一回の作業で、従来の方法による個々のスペーサ部材の位置付けのためのいくつかの配置作業が置き換えられる。上述の従来の手法でプロセスチャンバを積み込むために1〜2日を要したのに比べて、本発明による一個構成型シムの使用は、同じ基準において、積み込み時間を2〜4時間に縮めることができるであろう。
【0021】
加えて、本発明による一個構成型シム部材の構造は、図2に示されるような個々のスペーサ部材の従来の使用に比べて、より大きな領域にわたって、積み重ねられる1個以上の環状母材の重量をより良好に支持する。特に、環状一個構成型シム部材の半径方向の幅は、環状母材のそれにほぼ等しいかまたはそれよりも僅かに狭くあるべきである。結果として、各環状母材について、プロセスチャンバから取り出された後の変形はより少ない。このことは、有用に変形されない表面を得るために、高密度化工程後において、より少ない補修機械処理しか必要とされないことを意味する。
【0022】
直前に記載したように、一個構成型シム部材は、好ましくは、環状母材とほぼ同じ半径方向の幅を有するか、さもなければ僅かに狭く(例えば、その外径および/または内径に関して約5mmだけ)ある。一個構成型シム部材が環状母材よりも広い場合、露出部分は、高密度化ガスの分解に由来してその上への残留物の蓄積(例えば、熱分解炭素)を生じる傾向があるであろう。これは、シム部材の有効寿命を減少させるか、またはこうした蓄積物を除去するための追加の改修処理を伴うであろう。加えて、シム部材が環状母材の外側縁を超えて半径方向外側に延びる場合、同時処理(しばしば行われる)のため、1つのプロセスチャンバ中にいくつかの環状母材のスタックを位置決めする際の問題を引き起こすである。このことは、プロセスチャンバ内のスペースの問題のため、生産効率にマイナスに影響し、より少ない数のスタックしか一緒に処理することができないであろう。
【0023】
一般に、本発明による一個構成型シム部材は、その一つまたは両方の表面上に半径方向に延在する通路または他の特徴を含み、全体としての効果において、少なくとも部分的に一個構成型シム部材の半径方向の内側をその半径方向の外側に連通するガス流路を規定する。場合によって、ガス流路はまた、部分的に一個構成型シム部材の構造と相まって環状母材の一つの対向表面により部分的に規定されるので、本明細書において、「部分的に」規定されたガス流路という言及がなされる。一個構成型シムを用いるガス流路の断面積は、好ましくは、結局の効果において、従来の配置において得られる断面積と比較可能である。しかし、このような考察は個々の状況に従って変わり得る。
【0024】
ガス流路について提供される集合的断面積は、例えば、各通路などのサイズを調整するか、またはより多くの通路などを設けるかのいずれかにより影響を受け得るということが理解されるであろう。この点における決定的要因は、重なり合う環状母材(複数を含む)のための望ましい支持レベルを維持することである。
【0025】
一般に、本発明による一個構成型シム部材は、約1100℃まで、好ましくは(安全目的のため)約1200℃〜1400℃までの温度に耐えることができる材料から作製されるべきである。選択される材料は、記載の運転温度での母材との反応性が最小であることが好ましい。
【0026】
一個構成型シム部材に適切として推奨される材料の例には、これに限定されるものでないが、グラファイト、炭素/炭素、および炭素繊維糸の織物などの炭素材料、セラミックス成形品、およびステンレス鋼、インコネル合金、チタン、モリブデン、タンタル、およびタングステンなどの金属材料が挙げられる。
【0027】
図3A〜図3C、図4A〜図4C、および図5A〜図5Cは、本発明による炭素系一個構成型シムの構成例を示す。構成材料は、例えば、炭素/炭素材料であってもよく、あるいは極めて熱伝導性の高いグラファイトであってもよい。後者の場合、適当なグラファイトは、PGX、UCAR、およびMKU−Sなどの名称で市販されている。
【0028】
炭素/炭素材料は、2−Dまたは3−D母材から公知の手法で本発明による環状シムとなすか(ニードリングしてもよい)、または多層の炭素繊維織布帛を積層し、次にCVIまたは樹脂含浸法を用いて高密度化することによってもよい。
【0029】
炭素/炭素系出発材料は、公知の手法で成形し、および/または機械加工で付形することができ、また、出発材料として用いられるグラファイトは、公知の手法でブランクから望ましい構造体に機械加工することができる。
【0030】
図3A〜図3Cにおいて、図3Aは本発明による環状シム部材300の平面図である。図3Bは環状シム部材300の斜視図である。図3Cは、環状シム部材300が位置する面に垂直な面におけるシム部材300の断面図である。
【0031】
環状シム部材300は、その一つの面上で、複数の、離間していて全般に規則正しく造形された高くなった部分(それらの一部は304aに示される)と、それらの部分と交互にあってそれらの部分の間で相対的に低くなった部分(それらの一部は304bに示される)とを有する。同様に、環状シム300の他方の面は、対応して、離間していて全般に規則正しく造形された高くなった部分(それらの一部は302aの破線により示される)と、それらの部分と交互にあってそれらの部分の間で相対的に低くなった部分(それらの一部は302bに示される)とを有する。
【0032】
この例において、高くなった部分302a、304aの端(エッジ)の部分は、環状シム部材300の他方の面上の対応する高くなった部分の端と重なっている。例えば、図3Cを参照されたい。集合的に、それらの部分は、上述の従来のスペーサ部材30よりも大きな重量担持面を提供する。従って、スタック重量はより広い領域にわたって広がり、荷重が集中して、従来のスペーサ部材30の位置に対応する従来の方法における比較的目立った圧痕を生じるようなことがなくなる。
【0033】
低くなった部分302b、304bは、半径方向に延びる通路またはガス流路を規定し高密度化ガスは、それの通路またはガス流路を通過してスタックされた環状母材の内側から外側に流れることができる。上述のように、これらの通路が高密度化ガス流のために提供する集合断面積は、一般に、特定の処理状況により変わることが可能である。しかし、一般に、断面積は、通常、上述の従来のスペーサ部材30を用いる時に提供されるものと比較可能であるべきである。
【0034】
図4A〜図4Cにおいて、図4Aは、本発明による環状シム部材400の平面図である。図4Bは環状シム部材400の斜視図である。図4Cは、環状シム部材400が位置する面に垂直な面におけるシム部材400の断面図である。
【0035】
環状シム部材400は、その両面が相対的に低くなった部分402b、404bと、それらの部分と交互にある相対的に高くなった部分402a、404aとを有する点において、環状シム部材300のそれに類似の構造を有する。ここで、再度、相対的に低くなった部分402b、404bは、高密度化ガスがそれらを通過してスタック化環状母材の内側からそれらの外側に流れることができる、半径方向に延びる通路またはガス流路を規定する。
【0036】
環状シム部材300の構造が構成部材306の中心平面厚さに関連して規定されることは、図3Cにおいて認めることができる。従って、一般に、環状シム部材300の外端の回りで連続の円周通路をトレースすることができる。
【0037】
対照的に、環状シム部材400が環状シム部材300よりも相対的に薄いので、その中の構成材料の等価の平面厚さはない。従って、一般に、環状シム部材400の外端に沿っての波状通路(交互の高くなった部分および低くなった部分に対応する)をトレースすることのみが可能である。(例えば、図4Cを参照されたい。)
【0038】
図5A〜図5Cにおいて、図5Aは本発明による環状シム部材500の平面図である。図5Bは環状シム部材500の斜視図である。図5Cは、環状シム部材500が位置する面に垂直な面におけるシム部材500の断面図である。
【0039】
最も一般的に、環状シム部材500は、環状シム部材500の反対面上の相対的に高くなった部分502a、504aが、低くなった部分502b、504bと同様に位置合わせされている点において、環状シム部材300および400とは異なる。特に、図5Cを参照されたい。前述のように、低くなった部分502b、504bは、高密度化ガスがそれらを通過してスタック化環状母材の内側とそれらの外側の間を通過することができる通路を、少なくとも部分的に規定する。
【0040】
一つの例において、環状シム部材500の製造は、高くなった部分502a、504aが対応する位置で、少なくとも環状シム部材500の厚さのオーダーで初期厚さを有する炭素(例えば、グラファイト)ブランクの反対面上の対応通路502b、504bを形成する観点から考察することができる。
【0041】
上述のように、前述の構造体は、あらゆる公知の且つ適切な方法により、特に、以下に限らないが、機械加工または成形またはそれらの両方により得ることができる。
【0042】
複合炭素環状母材と共に使用される本発明によるシム部材を製造するために炭素材料を用いる時に、高密度化工程後に母材に接着するシム部材の問題が時々ある。この問題に対処するために、シム部材の表面上へ付着剥離性皮膜(debonding coating)を提供し、こうした接着を避けることが推奨される。
【0043】
有用な付着剥離性皮膜の一つの例には、MoSi2製のシム部材上に形成される第1層、およびAl23製の第1層上に形成される第2層が挙げられる。これらの層は、例えば、公知のプラズマ溶射法を用いて形成することができる。MoSi2層は架橋層として機能して、構造体に対するAl23層の接着を改善する。
【0044】
炭素系シム部材、特にグラファイトシム部材の提供は、製造の間における追加の利点を有するということを特記できる。一般に、環状母材スタックに対するグラファイトシム部材の提供は、加熱、および次に高密度化を容易にするためのスタックの熱総量を高める。母材単独の温度を上げることが比較的難しいので、これは有利である。(従来の方法において、母材のスタックの上部と底部は、スタックにおける中間母材に比べてそれら部分がより大きな加熱にさらされるために、最高レベルの高密度化を有する。)また、炭素シム部材の良好な熱伝導度に由来して、より均一な温度分布を隣接の環状母材の半径方向の幅にわたって提供することができる。
【0045】
以上、本発明をその最も実用的な実施形態であると信じられるものに関して記載したが、これは例示を目的としたものであり、それらの適切な修正および変更が本明細書に添付される特許請求の範囲の精神および範囲内で可能であるという点に特に留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】スタックした環状母材を高密度化するためのプロセスチャンバを示す断面図である。
【図2】図1に示したスタックした環状母材の離間して配置するための個々のスペーサ部材の配置を示す平面図である。
【図3A】本発明による一個構成型シム部材の第1例を示す平面図である。
【図3B】本発明による一個構成型シム部材の第1例を示す斜視図である。
【図3C】本発明による一個構成型シム部材の第1例を示す断面図である。
【図4A】本発明による一個構成型シム部材の第2例を示す平面図である。
【図4B】本発明による一個構成型シム部材の第2例を示す斜視図である。
【図4C】本発明による一個構成型シム部材の第2例を示す断面図である。
【図5A】本発明による一個構成型シム部材の第3例を示す平面図である。
【図5B】本発明による一個構成型シム部材の第3例を示す斜視図である。
【図5C】本発明による一個構成型シム部材の第3例を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の対向表面を有する環状単一シム部材であって、
第1および第2の表面の少なくとも一つの上に形成された複数の半径方向に延びる通路を含み、かつその上に形成された付着剥離性皮膜を有する炭素材料からできている、環状単一シム部材。
【請求項2】
複数の半径方向に延びる通路が、第1および第2の両方の表面上に形成されている、請求項1に記載の部材。
【請求項3】
第1表面上に形成された複数の通路が、第2表面上に形成された複数の通路と実質的に揃えられている、請求項2に記載の部材。
【請求項4】
第1表面上に形成された複数の通路が、第2表面上に形成された複数の通路から円周方向にオフセットされている、請求項2に記載の部材。
【請求項5】
炭素材料が、炭素/炭素材料および固体グラファイト材料のいずれか一つである、請求項1に記載の部材。
【請求項6】
炭素/炭素繊維材料が、炭素繊維糸織布帛である、請求項5に記載の部材。
【請求項7】
付着解離性皮膜が、炭素材料上に形成されたMoSi2の第1層、およびMoSi2の第1層上に形成されたAl23の第2層を含む、請求項1に記載の部材。
【請求項8】
化学気相浸透法のための複数の環状炭素繊維母材を作製する方法であって、
複数の環状炭素繊維母材を積み重ねることを含み、その際、環状炭素繊維母材の各ペアそれぞれの間に、炭素材料製の環状単一シム部材を提供して、積み重ねられた複数の環状炭素繊維母材と環状単一シム部材とでスタック内の内部空間を集合的に規定し、かつ、その際、
各環状単一シム部材は、対向した第1及び第2の表面と、スタックの内部空間をスタックの外側と連通するためにその第1及び第2の表面の少なくとも一つの上に形成された複数の半径方向に延びる通路とを有し、また、各環状単一シム部材は、その部材に環状炭素繊維部材が接着するのを防止するために、その部材の上に形成された付着剥離性皮膜を備えている、方法。
【請求項9】
各環状単一シム部材の第1および第2の表面のそれぞれが、その上に形成されたそれぞれの複数の通路を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1表面上に形成された複数の通路が、第2表面上に形成された複数の通路と実質的に揃えられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1表面上に形成された複数の通路が、第2表面上に形成された複数の通路から円周方向にオフセットされる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
炭素材料が、炭素/炭素繊維材料および固体グラファイト材料のいずれか一つである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
炭素/炭素繊維材料が、炭素繊維糸織布帛である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
付着解離性皮膜が、炭素材料上に形成されたMoSi2の第1層、およびMoSi2の第1層上に形成されたAl23の第2層を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
第1および第2の対向面、および第1および第2の対向面の少なくとも一つの上に形成された半径方向に延びる通路を有する環状部材を炭素材料から形成すること、および
環状部材上に付着解離性皮膜を形成すること、
を含む、炭素材料から単一環状シムを製造する方法。
【請求項16】
付着解離性皮膜を形成する工程が、炭素材料上にMoSi2の第1層を形成すること、およびMoSi2の第1層上にAl23の第2層を形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
付着解離性皮膜を形成する工程が、炭素材料上にMoSi2の第1層を、およびMoSi2の第1層上にAl23の第2層を形成するためにプラズマ溶射を用いることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
環状部材を形成する工程が、グラファイトブランクを機械加工することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
炭素材料が、炭素/炭素繊維材料および炭素繊維糸織布帛のいずれか一つである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
化学気相浸透法の効率を改善するため、環状炭素繊維母材の各ペアそれぞれの間に炭素材料製の環状単一シム部材を提供してスタックの熱的質量を増大させる、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
各環状シムが、環状炭素繊維母材の外径よりも小さな外径及び環状炭素繊維母材の内径よりも大きな内径を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項22】
各環状シムの外径および内径が、環状炭素繊維母材の外径および内径よりも、それぞれ、約5mm小さく、且つ約5mm大きい、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−519151(P2006−519151A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504522(P2006−504522)
【出願日】平成16年3月2日(2004.3.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002147
【国際公開番号】WO2004/077912
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(591131361)メシエ−ブガッティ (64)
【氏名又は名称原語表記】MESSIER BUGATTI