説明

一枚刃のドリルビット構造

【課題】一枚刃のドリルビット構造を提供する。
【解決手段】一枚刃のドリルビット構造であって、ドリル刃の外側表面に、ねじれ溝を螺旋形成する。ねじれ溝は、ドリル刃の先端からシャンクに螺旋延伸し、且つ、ドリル刃の先端に弦形ブレードを形成する。弦形ブレードの外縁は、刃先縁と支持縁を含み、支持縁の両端部と回転軸線が連接して構成される角度は、180度以上である。ドリルビット切削加工量が少ないので、剛性が強く、また、弦形設計により、公知のねじれ溝設計が排屑不良を発生しやすい情況、磨損、及び折損問題を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一枚刃のドリルビット構造に関し、特に一組の弦形ブレードとねじれ溝とを含むドリルビット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路板の電子線路の高密度、高精度の線細化の発展により、ドリル加工は、極小刃径のドリルを大量使用し、且つ、市場のプリント回路板の高品質、高需要量と短納期の競争下で、ドリルに高精度、高供給速度、良好な孔壁品質と作業中にフルート部が折れない加工条件を要求するのが、普遍的な希望と要求になっている。作業効率を向上させ、製造コストを抑制するため、プリント回路板上の貫通孔ドリル加工は、複数の基板を重ね、貫通孔ドリル加工を実行するので、長いドリルを使用する必要があり、且つ、ドリルは十分な強度を有し、快速な排屑能力を有する必要がある。
【0003】
現在、一般のドリルビット構造は、二組の対称な切刃とねじれ溝設計を採用し、この種のドリルビット構造は、現在よく見られる製品で、相関する品質検査と加工設備の適用性がよいが、二つの対称切刃と二つのねじれ溝の構造は、設計上、変化が少なく、また、ドリルビット切削加工量が大きいので、ドリルビット剛性強度が弱くなりやすい。
【0004】
早期の一枚刃のドリルビット構造は、一組の切刃とねじれ溝設計を採用し、ドリルビット切削加工量は少なく、よって、剛性が強いが、単一の切屑溝設計は制限が多く、また、切削屑詰まりも起こりやすいことや、ドリルビット折損問題等の欠点がある。更に、ドリルビットの外観の幾何設計が特殊で、現在業界で使われている品質検査、ドリル穴と切刃研磨設備は、どれも直接このようなドリルビット構造を使用することができず、特別に設計された検査設備を使用しなければならないので、製作及び検査が不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の問題を解決するため、本発明は、一枚刃のドリルビット構造を提供し、ドリル刃は、一つの弦形ブレードと一つのねじれ溝を有する。ドリルビット切削加工量は少ないので、剛性が一般の二組の対称切刃とねじれ溝設計より強く、また、その外観の幾何設計により、公知の単一切刃とねじれ溝設計が排屑不良を生じやすい問題、及び、磨損、折損問題を克服することができると同時に、現在、業界が使用している品質検査、ドリルと切刃研磨設備は、本発明の一枚刃のドリルビット構造を直接使用することができ、実用性に優れるという長所を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の実施例による一枚刃のドリルビット構造は、シャンク、及びシャンクに連接されるドリル刃を有し、ドリル刃の回転軸線を中心とし、ドリル刃の外周面に、ねじれ溝を螺旋形成する。ねじれ溝は、ドリル刃の先端からシャンクに螺旋延伸し、且つ、ドリル刃の先端は弦形ブレードを形成する。弦形ブレードの外縁は、刃先縁と支持縁を有し、支持縁の両端部がそれぞれ回転軸線と連接して構成される角度は180度以上である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のドリルビットは、ドリルビット切削加工量が少なく、よって、剛性が強く、また、その外観幾何設計により、排屑不良が発生しやすい、刀具磨損が早い、そして、断針問題を克服することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例による一枚刃のドリルビット構造の立体図である。
【図2】本発明の実施例による一枚刃のドリルビット構造の前端面を示す図である。
【図3】本発明の一枚刃のドリルビット構造と公知の二組の対称な切刃を有するドリルビットの精度表現の比較図である。
【図4】本発明の一枚刃のドリルビット構造と公知の二組の対称な切刃を有するドリルビットの内壁粗さ表現の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施例による一枚刃のドリルビット構造の立体図である。図で示されるように、一枚刃のドリルビット構造10は、シャンク12と、シャンク12に連接されるドリル刃14を有する。ドリル刃14は、外周面141を有し、ドリル刃14の前端からシャンク12に向けて、ドリル刃14の回転軸線Oを中心とし、外周面141で、螺紋旋轉するねじれ溝16を形成し、ドリル刃14の前端で、弦形ブレード18を形成する。図2は、本発明の実施例による一枚刃のドリルビット構造の前端面を示す図である。図で示されるように、弦形ブレード18の外縁は、刃先縁181と支持縁182を含み、刃先縁181は、即ち、ねじれ溝16の壁面161の前縁で、また、支持縁182の両端部A、Bがそれぞれ回転軸線Oと連接して構成する角度は180度以上で、つまり弦形ブレード18の面積は、ドリル刃14の最大円断面142の半分以上である。
【0010】
説明を続けると、この一枚刃のドリルビット構造10は、一組の弦形ブレード18と一組のねじれ溝16の設計を採用するので、ドリルビットの切削加工量が少なく、よって、剛性が、一般の二組の対称切刃とねじれ溝のドリルビット構造より強い。また、弦形ブレード18は、長い支持縁182を有し、ドリル加工実行の時、長い外縁部分がドリル全体を支承すると共に、磨損、及び折損問題を克服する。更に、この一枚刃のドリルビット構造10の外観の幾何設計は、現在業界に使われている品質検査、ドリルと切刃研磨設備を使用することができ、特別な変更が不要なので、好ましい実用性を有する。
【0011】
図3は、本発明の一枚刃のドリルビット構造と公知の二組の対称切刃を有するドリルビット構造の精度表現の比較図である。本発明の一枚刃のドリルビットと公知のドリルビットのドリル径は0.15ミリメートル(mm)で、公知のドリルビット構造は、二組の対称切刃とねじれ溝を有し、本発明の一枚刃のドリルビット構造は弦形切刃を有するドリルビット構造である。図3中、▲は公知のドリルビット構造の精度(Avg.+3σ)を示し、◆は、本発明の一枚刃のドリルビット構造の精度(Avg.+3σ)を示す。図3から分かるように、本発明の一枚刃のドリルビット構造の(Avg.+3σ)数値は、公知のドリルビット構造の数値より低く、即ち、本発明の一枚刃のドリルビット構造は、好ましい精度を有する。
【0012】
図4は、本発明の一枚刃のドリルビット構造と公知の二組の対称切刃を有するドリルビット構造の内壁粗さ(Roughness)表現の比較図である。本発明の一枚刃のドリルビットと公知のドリルビットのドリル径は0.15ミリメートル(mm)で、公知のドリルビット構造のねじれ溝は、二組の対称切刃とねじれ溝を有し、本発明の一枚刃のドリルビット構造は弦形切刃を有するドリルビット構造である。図4中、▲は公知のドリルビット構造の内壁粗さを示し、◆は本発明の一枚刃のドリルビット構造の内壁粗さを示し、○は各自の内壁粗さ平均値を示す。図4から分かるように、本発明の一枚刃のドリルビット構造の内壁粗さは、公知のドリルビット構造の内壁粗さより少し低く、よって本発明の一枚刃のドリルビット構造は、公知のドリルビット構造と同じレベルの内壁の品質を達成できる。
【0013】
総合すると、本発明において、ドリルビットは、一組の切刃とねじれ溝のドリル刃を採用し、且つ、切刃形状は弦形ブレードに設計され、このような設計により、ドリルビット切削加工量が少なく、よって、剛性が一般の二組の対称切刃とねじれ溝設計より強く、また、その外観の幾何設計により、公知の単一切刃とねじれ溝設計が排屑不良を発生しやすく、磨損、及び折損問題を克服することができ、同時に、現在の業界に使われている品質検査、ドリルと切刃研磨設備は、直接、本発明の一枚刃のドリルビット構造を使用でき、実用性に優れる。
【0014】
本発明の好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは本発明に限定するものでは決してなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0015】
10 一枚刃のドリルビット構造
12 シャンク
14 ドリル刃
141 外周面
142 最大円断面
O 回転軸線
16 ねじれ溝
161 壁面
18 弦形ブレード
181 刃先縁
182 支持縁
A、B 端部
θ 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚刃のドリルビット構造であって、
シャンク、及び、前記シャンクに連接されるドリル刃を含み、前記ドリル刃の回転軸線を中心とし、前記ドリル刃の外周面に、ねじれ溝を螺旋形成し、前記ねじれ溝は、前記ドリル刃の前端から前記シャンクに螺旋延伸し、且つ、前記ドリル刃の前端は弦形ブレードを形成し、前記弦形ブレードの外縁は、刃先縁と支持縁を有し、前記支持縁の両端部がそれぞれ前記回転軸線と連接して構成される角度は180度以上であることを特徴とする、前記一枚刃のドリルビット構造。
【請求項2】
前記刃先縁は、前記ねじれ溝の壁面の前縁であることを特徴とする、請求項1に記載の一枚刃のドリルビット構造。
【請求項3】
前記弦形ブレードの面積は、前記ドリル刃の最大円断面の半分の面積により大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の一枚刃のドリルビット構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−200834(P2012−200834A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69291(P2011−69291)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(310020921)創國精密股▲ふん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】