一組の雄ねじ体および雌ねじ体、並びに、それらを用いた接続部材の固定方法
【課題】容易かつ確実に接続部材を固定することができる一組の雄ねじ体および雌ねじ体を提供する。
【解決手段】一組の雄ねじ体および雌ねじ体Aは、雄ねじ体1と、この雄ねじ体1に螺合する雌ねじ体2と、この雌ねじ体2のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えている。一対の挿通孔は、第1の挿通孔22と第2の挿通孔23であり、第1の挿通孔22と前記第2の挿通孔23とは、ねじピッチの半ピッチ分、ねじ孔の軸方向にずらして形成されている。
【解決手段】一組の雄ねじ体および雌ねじ体Aは、雄ねじ体1と、この雄ねじ体1に螺合する雌ねじ体2と、この雌ねじ体2のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えている。一対の挿通孔は、第1の挿通孔22と第2の挿通孔23であり、第1の挿通孔22と前記第2の挿通孔23とは、ねじピッチの半ピッチ分、ねじ孔の軸方向にずらして形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープやロープ、ロッド、パイプなどの接続部材を固定する一組の雄ねじ体および雌ねじ体、並びに、それらを用いた接続部材の固定方法に係り、特に、雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔を備えているものに関する。
【背景技術】
【0002】
田畑などに野獣が侵入して作物を食い荒らすのを防止するために、周囲にネットを張設したり、マンホールなどの作業現場で部外者の侵入を規制するために、周囲にロープ等を張設したりする場合、例えば、間隔をあけて立設したポールにロープを架け渡して止着し、該ロープにネットを張り巡らすなどしている。
【0003】
かかる場合、ポールにロープなどを固定するものとして、例えば、特許文献1の図1や図5に示されたように、ポールの上端部にロープ止め具を取り付け、このロープ止め具にロープを止着して固定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−144284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなロープ止め具を用いたものにあっては、ロープの入口部から出口部に亘る開口凹部において、該ロープを複雑に折り曲げて止着するものであり、手間がかかると共に熟練を要し、しかも、ポール間のロープの長さを調節する際には、一度ロープ止め具からロープを取り外して再度巻き直す必要があり、使い勝手に難があるものであった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、雄ねじ体と、この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体において、一対の挿通孔は、第1の挿通孔と第2の挿通孔であり、前記第1の挿通孔と前記第2の挿通孔とは、ねじピッチの半ピッチ分、ねじ孔の軸方向にずらして形成されているものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、雄ねじ体と、この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、前記一対の挿通孔に接続部材を挿通させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させる一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法である。
【0010】
請求項4に係る発明は、雄ねじ体と、この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体である。
【0011】
請求項5に係る発明は、雄ねじ体と、この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、前記挿入孔に接続部材の一端部を挿入させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させる一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体によれば、雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えているため、例えばテープやロープなどの接続部材を、一対の挿通孔に挿入して雄ねじ体および雌ねじ体を螺合させれば、容易かつ確実に接続部材を一組の雄ねじ体および雌ねじ体に固定することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体の効果に加え、一対の挿通孔は、第1の挿通孔と第2の挿通孔であり、前記第1の挿通孔と前記第2の挿通孔とは、ねじピッチの半ピッチ分、ねじ孔の軸方向にずらして形成されているため、第1の挿通孔側における雄ねじ体と雌ねじ体との隙間、および、第2の挿通孔側における雄ねじ体と雌ねじ体との隙間に、等しく接続部材を挟み込ませることができ、より一層強固に接続部材を一組の雄ねじ体および雌ねじ体に固定することができる。
【0014】
請求項3に記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法によれば、雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、前記一対の挿通孔に接続部材を挿通させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させるため、簡易な操作で接続部材を一組の雄ねじ体および雌ねじ体に固定することができ、しかも、接続部材の挿通孔への挿通により、該接続部材が螺合の途中で外れるのを防止することができ、一組の雄ねじ体および雌ねじ体と接続部材とを迅速かつ確実に固定することができる。
【0015】
請求項4に記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体によれば、雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えているため、例えばテープやロープなどの接続部材を、挿入孔に挿入して雄ねじ体および雌ねじ体を螺合させれば、容易かつ確実に接続部材を一組の雄ねじ体および雌ねじ体に固定することができる。
【0016】
請求項5に記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法によれば、雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、前記挿入孔に接続部材の一端部を挿入させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させるため、簡易な操作で接続部材を一組の雄ねじ体および雌ねじ体に固定することができ、しかも、接続部材の挿入孔への挿入により、該接続部材が螺合の途中で外れるのを防止することができ、一組の雄ねじ体および雌ねじ体と接続部材とを迅速かつ確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例に係る一組の雄ねじ体および雌ねじ体を示した概略的側面図である。
【図2】図1の雌ねじ体を示した概略図であり、図2(a)は側面図を、図2(b)は図2(a)のX1−X1線で切断した断面図をそれぞれ示している。
【図3】図1の雄ねじ体の変形例を示した概略的側面図である。
【図4】図1の一対の挿通孔の形態のバリエーションを示した概略的側面図であり、図4(a)は開口部が円形の図を、図4(b)は開口部が矩形の図をそれぞれ示している。
【図5】図1の一対の挿通孔において、第1の挿通孔と第2の挿通孔との位置をずらした形態の概略図であり、図5(a)は雌ねじ体の側面図を、図5(b)は図5(a)の一部を切断し、雄ねじ体を螺合させたときの図をそれぞれ示している。
【図6】図1の使用状態を示した概略図であり、図6(a)は接続部材を挿通前の図を、図6(b)は接続部材を挿通して螺止したときの図を、図6(c)は図6(b)のX2−X2線で切断した図をそれぞれ示している。
【図7】図6(b)、(c)の概略的斜視図である。
【図8】図1の使用状態の一例を示した概略的斜視図である。
【図9】図1の使用状態の他の例を示した概略的斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係る一組の雄ねじ体および雌ねじ体を示した概略図であり、図10(a)は側面図を、図10(b)は図10(a)のX3−X3線で切断した断面図をそれぞれ示している。
【図11】図10の変形例を示した概略図であり、図11(a)は側面図を、図11(b)は図11(a)のX4−X4線で切断した断面図をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施例を、図1〜図5を参照して説明する。図1において、Aは、一組の雄ねじ体および雌ねじ体であり、一組の雄ねじ体および雌ねじ体Aは、例えば、ポールpの上端部に取り付けられ、ポールp、p間を架け渡したテープやロープなどの接続部材cを止着して固定するもので、概略的に、雄ねじ体1と、雌ねじ体2と、一対の挿通孔22、23とにより構成されている。
【0019】
雄ねじ体1は、例えば、六角ボルトや六角穴付ボルト(キャップボルト)などであるが、工具を使わずに素手で容易に螺合できる点で、図3に示したような蝶ボルト(雄ねじ体1)を用いてもよい。
【0020】
雌ねじ体2は、雄ねじ体1に螺合するものであり、例えば、六角ナットである。
【0021】
一対の挿通孔22、23は、図2(a)、(b)に示したように、雌ねじ体2のねじ孔21の軸方向の中途に設けられ、ねじ孔21の軸方向に直交する方向であって、ねじ孔21を横断するように貫設されているもので、例えば、六角ナットの対向する両側面から、ねじ孔21の軸に向かって切り込みを設けて形成することができるが、接続部材cがねじ孔21を横断することができればよく、一対の挿通孔22、23は、必ずしも対向せず、挿通孔22に対して挿通孔23を傾けた方向に形成するようにしてもよい。
【0022】
この一対の挿通孔22、23は、テープやロープなどの接続部材cを挿通するために設けられているもので、各挿通孔22、23における開口寸法は、該挿通孔22、23に挿通される接続部材c(図1の仮想線を参照)の寸法に応じて適宜調整することができ、例えば、図4(a)に示したような接続部材cがロープである場合にあっては、該ロープ外径に見合った寸法の円形の開口部に形成したり、図4(b)に示したような接続部材cがテープである場合にあっては、該テープの幅と厚さに見合った寸法の矩形の開口部に形成することができる。
【0023】
また、雌ねじ体2には、図1の仮想線で示したように、ポールpを取り付けることもでき、雌ねじ体2とポールpとを別体として設けて溶接等により接合したり、雌ねじ体2とポールpとを一体として、すなわち、ポールpの先端部に加工を施して雌ねじ体2を形成したりするようにしてもよい。さらに、ここでは、ポールpに雌ねじ体2を設けた例を示したが、その他の構造体に本雌ねじ体2を一体または別体として設けるようにしても構わない。
【0024】
ところで、前述の一対の挿通孔22、23は、第1の挿通孔22と第2の挿通孔23であり、第1の挿通孔22と第2の挿通孔23とは、図5(a)、(b)に示したように、ねじピッチaの半ピッチ(=1/2×a)分、すなわち、ねじ螺旋の半周に相当するピッチ分、ねじ孔の軸方向にずらして形成するのが好ましい(|L−L’|=1/2×a)。これは、第1の挿通孔22と第2の挿通孔23との位置をずらすことで、第1の挿通孔22側における雄ねじ体1と雌ねじ体2との隙間、および、第2の挿通孔23側における雄ねじ体1と雌ねじ体2との隙間に、等しく接続部材cを挟み込ませることができるからであり、この均等な挟み込みにより一層強固に接続部材cを固定することができる。
【0025】
次に、上述した実施例ように構成される一組の雄ねじ体および雌ねじ体Aを用いた接続部材cの固定方法について、図6〜図9を参照して説明する。この固定方法にあっては、雌ねじ体2が、あらかじめポールpに溶接された状態にあって、接続部材cをテープとしたものを例示したもので、まず、図6(a)に示したように、一対の挿通孔22、23にテープc1(接続部材c)を挿通させた後、該テープc1を雄ねじ体1および雌ねじ体2に螺止させて固定する(図7参照)。
【0026】
このとき、図6(b)、(c)に示したように、挿通孔22、23の内端部22’、23’において、雄ねじ体1と雌ねじ体2とによりテープc1を挟み込ませるもので、テープc1は、第1の挿通孔22側における雄ねじ体1と雌ねじ体2との隙間、および、第2の挿通孔23側における雄ねじ体1と雌ねじ体2との隙間に挟み込まれて止着される。
【0027】
なお、上述した雌ねじ体2を複数設け、図8に示したように、接続部材cにより環状に囲い、例えば、作業現場に部外者が侵入しないように包囲したり、図9に示したように、接続部材cにネット部材nを張設し、例えば、防獣ネットとして野獣が田畑に侵入しないようにしたりすることができる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施例を、図10、図11を参照して説明する。なお、第1の実施例と同一部分には同一の符号を付して示し、その詳細な説明は省略する。図10、図11において、Aは、本実施例に係る一組の雄ねじ体および雌ねじ体であり、この一組の雄ねじ体および雌ねじ体Aは、第1の実施例とは雌ねじ体2に設けられた孔の構成が異なるもので、第1の実施例の一対の挿通孔22、23に代えて、挿入孔24が形成されている。
【0029】
挿入孔24は、雌ねじ体2のねじ孔21の軸方向の中途に設けられ、ねじ孔21の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔21に臨むように穿設されている。この挿入孔24は、図10(a)、(b)に示したように、ねじ孔21の軸に直交する方向において、雌ねじ体2の挿入孔24が穿設されている側と反対の側の部位を残して切り込みが形成されているものや、図11(a)、(b)に示したように、ねじ孔21の軸に直交する方向において、ねじ孔21の直径と略同一寸法か、または、それ以下の幅寸法の切り込みが形成(挿入孔24の断面形状は、接続部材cの断面形状に見合ったものであれば何れであってもよい)されているものを例示することができる。
【0030】
なお、第2の実施例に係る一組の雄ねじ体および雌ねじ体Aを用いた接続部材cの固定方法にあっては、基本的に、第1の実施例のものと同様であり、挿入孔24に接続部材c(例えば、図10、図11に図示したようなテープc1やロープc2)の一端部を挿入させた後、該接続部材cを雄ねじ体1および雌ねじ体2に螺止させて固定するもので、接続部材cは、挿入孔24側における雄ねじ体1と雌ねじ体2との隙間に挟み込まれて止着される。
【0031】
ところで、上述した第1および第2の実施例にあっては、接続部材cとして、テープc1やロープc2を例にとって説明したが、これらに限らず、例えば、剛性若しくは可撓性を有するロッドやパイプ、糸、線材、板材などであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
A 一組の雄ねじ体および雌ねじ体
p ポール
c 接続部材
1 雄ねじ体
2 雌ねじ体
22 第1の挿通孔
23 第2の挿通孔
24 挿入孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープやロープ、ロッド、パイプなどの接続部材を固定する一組の雄ねじ体および雌ねじ体、並びに、それらを用いた接続部材の固定方法に係り、特に、雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔を備えているものに関する。
【背景技術】
【0002】
田畑などに野獣が侵入して作物を食い荒らすのを防止するために、周囲にネットを張設したり、マンホールなどの作業現場で部外者の侵入を規制するために、周囲にロープ等を張設したりする場合、例えば、間隔をあけて立設したポールにロープを架け渡して止着し、該ロープにネットを張り巡らすなどしている。
【0003】
かかる場合、ポールにロープなどを固定するものとして、例えば、特許文献1の図1や図5に示されたように、ポールの上端部にロープ止め具を取り付け、このロープ止め具にロープを止着して固定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−144284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなロープ止め具を用いたものにあっては、ロープの入口部から出口部に亘る開口凹部において、該ロープを複雑に折り曲げて止着するものであり、手間がかかると共に熟練を要し、しかも、ポール間のロープの長さを調節する際には、一度ロープ止め具からロープを取り外して再度巻き直す必要があり、使い勝手に難があるものであった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、雄ねじ体と、この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体において、一対の挿通孔は、第1の挿通孔と第2の挿通孔であり、前記第1の挿通孔と前記第2の挿通孔とは、ねじピッチの半ピッチ分、ねじ孔の軸方向にずらして形成されているものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、雄ねじ体と、この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、前記一対の挿通孔に接続部材を挿通させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させる一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法である。
【0010】
請求項4に係る発明は、雄ねじ体と、この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体である。
【0011】
請求項5に係る発明は、雄ねじ体と、この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、前記挿入孔に接続部材の一端部を挿入させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させる一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体によれば、雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えているため、例えばテープやロープなどの接続部材を、一対の挿通孔に挿入して雄ねじ体および雌ねじ体を螺合させれば、容易かつ確実に接続部材を一組の雄ねじ体および雌ねじ体に固定することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体の効果に加え、一対の挿通孔は、第1の挿通孔と第2の挿通孔であり、前記第1の挿通孔と前記第2の挿通孔とは、ねじピッチの半ピッチ分、ねじ孔の軸方向にずらして形成されているため、第1の挿通孔側における雄ねじ体と雌ねじ体との隙間、および、第2の挿通孔側における雄ねじ体と雌ねじ体との隙間に、等しく接続部材を挟み込ませることができ、より一層強固に接続部材を一組の雄ねじ体および雌ねじ体に固定することができる。
【0014】
請求項3に記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法によれば、雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、前記一対の挿通孔に接続部材を挿通させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させるため、簡易な操作で接続部材を一組の雄ねじ体および雌ねじ体に固定することができ、しかも、接続部材の挿通孔への挿通により、該接続部材が螺合の途中で外れるのを防止することができ、一組の雄ねじ体および雌ねじ体と接続部材とを迅速かつ確実に固定することができる。
【0015】
請求項4に記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体によれば、雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えているため、例えばテープやロープなどの接続部材を、挿入孔に挿入して雄ねじ体および雌ねじ体を螺合させれば、容易かつ確実に接続部材を一組の雄ねじ体および雌ねじ体に固定することができる。
【0016】
請求項5に記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法によれば、雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、前記挿入孔に接続部材の一端部を挿入させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させるため、簡易な操作で接続部材を一組の雄ねじ体および雌ねじ体に固定することができ、しかも、接続部材の挿入孔への挿入により、該接続部材が螺合の途中で外れるのを防止することができ、一組の雄ねじ体および雌ねじ体と接続部材とを迅速かつ確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例に係る一組の雄ねじ体および雌ねじ体を示した概略的側面図である。
【図2】図1の雌ねじ体を示した概略図であり、図2(a)は側面図を、図2(b)は図2(a)のX1−X1線で切断した断面図をそれぞれ示している。
【図3】図1の雄ねじ体の変形例を示した概略的側面図である。
【図4】図1の一対の挿通孔の形態のバリエーションを示した概略的側面図であり、図4(a)は開口部が円形の図を、図4(b)は開口部が矩形の図をそれぞれ示している。
【図5】図1の一対の挿通孔において、第1の挿通孔と第2の挿通孔との位置をずらした形態の概略図であり、図5(a)は雌ねじ体の側面図を、図5(b)は図5(a)の一部を切断し、雄ねじ体を螺合させたときの図をそれぞれ示している。
【図6】図1の使用状態を示した概略図であり、図6(a)は接続部材を挿通前の図を、図6(b)は接続部材を挿通して螺止したときの図を、図6(c)は図6(b)のX2−X2線で切断した図をそれぞれ示している。
【図7】図6(b)、(c)の概略的斜視図である。
【図8】図1の使用状態の一例を示した概略的斜視図である。
【図9】図1の使用状態の他の例を示した概略的斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係る一組の雄ねじ体および雌ねじ体を示した概略図であり、図10(a)は側面図を、図10(b)は図10(a)のX3−X3線で切断した断面図をそれぞれ示している。
【図11】図10の変形例を示した概略図であり、図11(a)は側面図を、図11(b)は図11(a)のX4−X4線で切断した断面図をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施例を、図1〜図5を参照して説明する。図1において、Aは、一組の雄ねじ体および雌ねじ体であり、一組の雄ねじ体および雌ねじ体Aは、例えば、ポールpの上端部に取り付けられ、ポールp、p間を架け渡したテープやロープなどの接続部材cを止着して固定するもので、概略的に、雄ねじ体1と、雌ねじ体2と、一対の挿通孔22、23とにより構成されている。
【0019】
雄ねじ体1は、例えば、六角ボルトや六角穴付ボルト(キャップボルト)などであるが、工具を使わずに素手で容易に螺合できる点で、図3に示したような蝶ボルト(雄ねじ体1)を用いてもよい。
【0020】
雌ねじ体2は、雄ねじ体1に螺合するものであり、例えば、六角ナットである。
【0021】
一対の挿通孔22、23は、図2(a)、(b)に示したように、雌ねじ体2のねじ孔21の軸方向の中途に設けられ、ねじ孔21の軸方向に直交する方向であって、ねじ孔21を横断するように貫設されているもので、例えば、六角ナットの対向する両側面から、ねじ孔21の軸に向かって切り込みを設けて形成することができるが、接続部材cがねじ孔21を横断することができればよく、一対の挿通孔22、23は、必ずしも対向せず、挿通孔22に対して挿通孔23を傾けた方向に形成するようにしてもよい。
【0022】
この一対の挿通孔22、23は、テープやロープなどの接続部材cを挿通するために設けられているもので、各挿通孔22、23における開口寸法は、該挿通孔22、23に挿通される接続部材c(図1の仮想線を参照)の寸法に応じて適宜調整することができ、例えば、図4(a)に示したような接続部材cがロープである場合にあっては、該ロープ外径に見合った寸法の円形の開口部に形成したり、図4(b)に示したような接続部材cがテープである場合にあっては、該テープの幅と厚さに見合った寸法の矩形の開口部に形成することができる。
【0023】
また、雌ねじ体2には、図1の仮想線で示したように、ポールpを取り付けることもでき、雌ねじ体2とポールpとを別体として設けて溶接等により接合したり、雌ねじ体2とポールpとを一体として、すなわち、ポールpの先端部に加工を施して雌ねじ体2を形成したりするようにしてもよい。さらに、ここでは、ポールpに雌ねじ体2を設けた例を示したが、その他の構造体に本雌ねじ体2を一体または別体として設けるようにしても構わない。
【0024】
ところで、前述の一対の挿通孔22、23は、第1の挿通孔22と第2の挿通孔23であり、第1の挿通孔22と第2の挿通孔23とは、図5(a)、(b)に示したように、ねじピッチaの半ピッチ(=1/2×a)分、すなわち、ねじ螺旋の半周に相当するピッチ分、ねじ孔の軸方向にずらして形成するのが好ましい(|L−L’|=1/2×a)。これは、第1の挿通孔22と第2の挿通孔23との位置をずらすことで、第1の挿通孔22側における雄ねじ体1と雌ねじ体2との隙間、および、第2の挿通孔23側における雄ねじ体1と雌ねじ体2との隙間に、等しく接続部材cを挟み込ませることができるからであり、この均等な挟み込みにより一層強固に接続部材cを固定することができる。
【0025】
次に、上述した実施例ように構成される一組の雄ねじ体および雌ねじ体Aを用いた接続部材cの固定方法について、図6〜図9を参照して説明する。この固定方法にあっては、雌ねじ体2が、あらかじめポールpに溶接された状態にあって、接続部材cをテープとしたものを例示したもので、まず、図6(a)に示したように、一対の挿通孔22、23にテープc1(接続部材c)を挿通させた後、該テープc1を雄ねじ体1および雌ねじ体2に螺止させて固定する(図7参照)。
【0026】
このとき、図6(b)、(c)に示したように、挿通孔22、23の内端部22’、23’において、雄ねじ体1と雌ねじ体2とによりテープc1を挟み込ませるもので、テープc1は、第1の挿通孔22側における雄ねじ体1と雌ねじ体2との隙間、および、第2の挿通孔23側における雄ねじ体1と雌ねじ体2との隙間に挟み込まれて止着される。
【0027】
なお、上述した雌ねじ体2を複数設け、図8に示したように、接続部材cにより環状に囲い、例えば、作業現場に部外者が侵入しないように包囲したり、図9に示したように、接続部材cにネット部材nを張設し、例えば、防獣ネットとして野獣が田畑に侵入しないようにしたりすることができる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施例を、図10、図11を参照して説明する。なお、第1の実施例と同一部分には同一の符号を付して示し、その詳細な説明は省略する。図10、図11において、Aは、本実施例に係る一組の雄ねじ体および雌ねじ体であり、この一組の雄ねじ体および雌ねじ体Aは、第1の実施例とは雌ねじ体2に設けられた孔の構成が異なるもので、第1の実施例の一対の挿通孔22、23に代えて、挿入孔24が形成されている。
【0029】
挿入孔24は、雌ねじ体2のねじ孔21の軸方向の中途に設けられ、ねじ孔21の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔21に臨むように穿設されている。この挿入孔24は、図10(a)、(b)に示したように、ねじ孔21の軸に直交する方向において、雌ねじ体2の挿入孔24が穿設されている側と反対の側の部位を残して切り込みが形成されているものや、図11(a)、(b)に示したように、ねじ孔21の軸に直交する方向において、ねじ孔21の直径と略同一寸法か、または、それ以下の幅寸法の切り込みが形成(挿入孔24の断面形状は、接続部材cの断面形状に見合ったものであれば何れであってもよい)されているものを例示することができる。
【0030】
なお、第2の実施例に係る一組の雄ねじ体および雌ねじ体Aを用いた接続部材cの固定方法にあっては、基本的に、第1の実施例のものと同様であり、挿入孔24に接続部材c(例えば、図10、図11に図示したようなテープc1やロープc2)の一端部を挿入させた後、該接続部材cを雄ねじ体1および雌ねじ体2に螺止させて固定するもので、接続部材cは、挿入孔24側における雄ねじ体1と雌ねじ体2との隙間に挟み込まれて止着される。
【0031】
ところで、上述した第1および第2の実施例にあっては、接続部材cとして、テープc1やロープc2を例にとって説明したが、これらに限らず、例えば、剛性若しくは可撓性を有するロッドやパイプ、糸、線材、板材などであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
A 一組の雄ねじ体および雌ねじ体
p ポール
c 接続部材
1 雄ねじ体
2 雌ねじ体
22 第1の挿通孔
23 第2の挿通孔
24 挿入孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ねじ体と、
この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、
この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えていることを特徴とする一組の雄ねじ体および雌ねじ体。
【請求項2】
一対の挿通孔は、第1の挿通孔と第2の挿通孔であり、前記第1の挿通孔と前記第2の挿通孔とは、ねじピッチの半ピッチ分、ねじ孔の軸方向にずらして形成されていることを特徴とする請求項1記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体。
【請求項3】
雄ねじ体と、
この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、
この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、
前記一対の挿通孔に接続部材を挿通させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させることを特徴とする一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法。
【請求項4】
雄ねじ体と、
この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、
この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えていることを特徴とする一組の雄ねじ体および雌ねじ体。
【請求項5】
雄ねじ体と、
この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、
この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、
前記挿入孔に接続部材の一端部を挿入させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させることを特徴とする一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法。
【請求項1】
雄ねじ体と、
この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、
この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えていることを特徴とする一組の雄ねじ体および雌ねじ体。
【請求項2】
一対の挿通孔は、第1の挿通孔と第2の挿通孔であり、前記第1の挿通孔と前記第2の挿通孔とは、ねじピッチの半ピッチ分、ねじ孔の軸方向にずらして形成されていることを特徴とする請求項1記載の一組の雄ねじ体および雌ねじ体。
【請求項3】
雄ねじ体と、
この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、
この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔を横断するように貫設された一対の挿通孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、
前記一対の挿通孔に接続部材を挿通させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させることを特徴とする一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法。
【請求項4】
雄ねじ体と、
この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、
この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えていることを特徴とする一組の雄ねじ体および雌ねじ体。
【請求項5】
雄ねじ体と、
この雄ねじ体に螺合する雌ねじ体と、
この雌ねじ体のねじ孔の軸方向の中途に設けられ、前記ねじ孔の軸方向に直交する方向であって、該ねじ孔に臨むように穿設された挿入孔と、を備えている一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用い、
前記挿入孔に接続部材の一端部を挿入させた後、該接続部材を前記一組の雄ねじ体および雌ねじ体に螺止させることを特徴とする一組の雄ねじ体および雌ねじ体を用いた接続部材の固定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−33180(P2011−33180A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183121(P2009−183121)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(397047877)株式会社池田ネジ商会 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(397047877)株式会社池田ネジ商会 (1)
【Fターム(参考)】
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