説明

一連の担持体を被覆するための方法および装置

適切な担持体への触媒活性被覆の付与時の被覆濃度の精度は、比較的大きな被覆濃度変動幅での1回の出発被覆後、過多にまたは過少に付与された被覆が、場合により反復的に補正される場合に高めることができる。過多に付与された被覆懸濁液は、被覆の、まだ湿分を帯びている状態で、たとえば後吸出しによって除去されるのに対して、過少に付与された被覆懸濁液は、たとえば被覆懸濁液の付加的な吹付けによって補足される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆懸濁液によって一連の担持体を被覆(コーティング)するための方法に関する。特に本発明は、触媒、たとえば自動車排ガス触媒に用いられる担持体を被覆するための方法および装置に関する。
【0002】
自動車排ガス触媒に用いられる担持体は、一般的に、2つの端面と1つの周面とを備えた円筒形状を有していて、第1の端面から第2の端面に向かって、内燃機関の排ガスに対する、円筒軸線に対してほぼ平行に位置する多数の流れ通路によって貫通される。この担持体はハニカムボディとも呼ばれる。
【0003】
担持体の横断面形状は自動車における組付け要求に関連している。円形の横断面、楕円形の横断面または三角形の横断面を備えた担持体が広く普及している。流れ通路は、たいてい正方形の横断面を有していて、密なパターンで担持体の全横断面にわたって配置されている。使用事例に応じて、流れ通路の通路密度もしくはセル密度は10〜140cm−2の間で変化する。最大250cm−2以上のセル密度を備えたハニカムボディが開発されている。
【0004】
自動車排ガスを浄化するためには、主として、触媒担持体が使用される。この触媒担持体は、セラミック材料の押出し成形によって得られる。これに対して択一的には、波付けされかつ巻成された金属シートから成る触媒担持体が使用される。乗用車の排ガス浄化のためには、今日まだ、主として、62cm−2のセル密度を備えたセラミックス製の担持体が使用される。流れ通路の横断面寸法は、この事例では、1.27×1.27mmである。このような担持体の壁厚さは0.1〜0.2mmの間にある。
【0005】
自動車排ガス内に含まれた有害物質、たとえば一酸化炭素、炭化水素および窒素酸化物を無害な化合物に変換するためには、たいてい、極微細分配された白金群金属が使用される。この白金群金属はその触媒作用において卑金属の化合物によって変化させることができる。この触媒活性成分は担持体に析出されなければならない。しかし、担持体の幾何学的な表面への触媒活性成分の析出による、この成分の、要求された極微細な分配を保証することは不可能である。このことは、多孔質でない金属製の担持体にも、多孔質のセラミックス製の担持体にも同じく当てはまる。触媒活性成分に対する十分に大きな表面は、流れ通路の内面への、微粒子状の高表面積の材料から成る担体層の被着によってしか提供することができない。この過程は、以下、担持体の被覆と呼ばれる。担持体の外側の周面の被覆は望まれておらず、高価な触媒活性材料における損失を回避するために回避されることが望ましい。
【0006】
担持体の被覆のためには、液相(たいてい水)における、微粒子状の高表面積の材料から成る懸濁液が使用される。触媒使用事例に対する一般的な被覆懸濁液は、触媒活性成分に対する高表面積の担体材料として、たとえば活性酸化アルミニウムと、アルミニウムケイ酸塩と、ゼオライトと、二酸化ケイ素と、酸化チタンと、酸化ジルコンと、酸化セリウムをベースとした酸素吸蔵成分とを含有している。これらの材料は被覆懸濁液の固形物質成分を成している。さらに、被覆懸濁液には、促進剤のまだ可溶の前段または元素の周期表の白金群の触媒活性貴金属を供給することができる。一般的な被覆懸濁液の固形物質濃度は、懸濁液の全重量に対して、20〜65質量%の間の範囲内にある。この被覆懸濁液は1.1〜1.8kg/lの間の密度を有している。
【0007】
公知先行技術に基づき、被覆懸濁液もしくはスラリを使用して担持体に担体層を析出するための種々異なる方法が公知である。被覆のためには、担持体が、たとえば被覆懸濁液内に浸漬され得るかまたはオーバフローするほど担持体に被覆懸濁液が注入され得る。さらに、被覆懸濁液を担持体の通路内に圧送するかまたは吸い込むことが可能である。
【0008】
全ての事例では、担持体から過剰の被覆材料が、たとえば吸出しまたは圧縮空気による担持体の通路の吹出しによって除去されなければならない。これによって、場合により被覆懸濁液で閉塞された通路も開放される。
【0009】
被覆後、担持体と担体層とが乾燥させられ、次いで、固化および担持体への担体層の位置固定のために仮焼される。次いで、触媒活性成分が、この触媒活性成分の前駆体化合物のたいてい水溶液による含浸によって被覆される。これに対して択一的には、触媒活性成分がすでに被覆懸濁液自体に供給されてもよい。触媒活性成分を備えた完成した担体層の追補的な含浸はこの事例では省略される。
【0010】
被覆法の主要な基準は、被覆法によって1回の作業工程で達成可能な被覆濃度またはローディング濃度である。これは、乾燥および仮焼後に担持体に残されている固形物質割合と解される。被覆濃度は、担持体の体積1リットルあたりのグラム数で記載される(g/l)。実際、被覆濃度は、自動車排ガス触媒の場合、最大300g/l必要となる。この量を、使用される方法によって1回の作業工程で付与することができない場合には、被覆過程が担持体の乾燥後および場合により仮焼後、所望のローディングが達成されるまで頻繁に繰り返されなければならない。しばしば、それぞれ異なる組成により形成された被覆懸濁液による2回またはそれ以上の回数の被覆過程が行われる。これによって、種々異なる触媒機能を備えた重なり合って位置する複数の層を有する触媒が得られる。
【0011】
ドイツ連邦共和国特許第4040150号明細書には、ハニカム形状の触媒担持体をその全長にわたって均一に担体層もしくは触媒活性層で被覆することができる方法が記載されている。以下、ハニカム形状の触媒担持体をハニカムボディとも呼ぶ。ドイツ連邦共和国特許第4040150号明細書の方法によれば、ハニカムボディの円筒軸線が被覆のために鉛直に方向付けられる。その後、被覆懸濁液が、ハニカムボディの上側の端面で流出するまで、下側の端面を通して通路内にポンプにより送り込まれる。その後、被覆懸濁液が再び下方にポンプにより送り出され、通路の目詰まりを回避するために、担持体から過剰の被覆懸濁液が吹出しまたは吸出しによって除去される。この方法によって、ハニカムボディの全長にわたって良好な均一性を有する担体層が得られる。
【0012】
前述した被覆法は、あらゆる技術的なプロセス同様、担持体ごとに被覆量のある程度の変動幅を有している。この変動幅は、被覆懸濁液の性質と、被覆したいハニカムボディの特性とに関連している。
【0013】
被覆プロセスの変動幅は、完成した触媒の触媒活性に直接影響する。なぜならば、この触媒活性が、特に触媒活性貴金属によるローディング量に直接関連しているからである。したがって、触媒の最小活性を保証するために、全ての触媒が被覆懸濁液における少なくとも所定の目標量を有していることが確保されなければならない。これは、担持体が生産中に被覆懸濁液による被覆プロセスの変動幅の半分だけ過負荷(オーバローディング)されなければならないことを意味している。すなわち、被覆プロセスの変動幅を減少させることが成功すれば、必要となる過負荷が相応に減少させられ、高価な貴金属と被覆出発物質とにおける相応の節約とが得られる。
【0014】
したがって、本発明の課題は、特に触媒に用いられる担持体を被覆するための方法および装置を改良して、触媒担持体を、公知先行技術に基づく比較可能な方法による被覆量変動幅よりも僅かな被覆量変動幅で被覆することが可能となるようにすることである。
【0015】
この課題は、請求項に記載した特徴によって解決される。
【0016】
本発明の詳しい説明の前に、ここで、幾つかの概念を説明する。
【0017】
「物体」という概念は、本発明の枠内では、触媒活性被覆のための不活性の担持体と解される。一般的には、この担持体は、セラミックスまたは金属から成る、いわゆる「ハニカムボディ」である。
【0018】
湿受容もしくは湿被覆量または出発被覆とは、以下、被覆懸濁液の、被覆後にかつ場合による乾燥過程前に担持体に残されている量と解される。この量は、被覆前のかつ被覆後の担持体の秤量によって検出することができる。
【0019】
これに対して、乾受容とは、被覆材料の、乾燥および仮焼後に担持体に付与されている量である。
【0020】
目標量とは、以下、要求された触媒活性を達成するために絶対的に必要となる、被覆されていない担持体によって下回られてよい湿受容と解される。
【0021】
最終被覆とは、当該方法の終了後に付与された湿受容を意味している。
【0022】
本発明による方法によって、一連の円筒状の連続気泡性の物体を、固形の物質と、溶解された物質とを液状の媒体内に含有した少なくとも一種類の被覆懸濁液によって、少なくとも所定の目標被覆量に相当する湿被覆量で被覆することができる。当該方法は、以下の方法ステップ:すなわち、
a)被覆懸濁液による物体の被覆によって出発被覆を実施し、
b)物体に付与された出発被覆の実際量を検出し、
c)まだ湿分を帯びている被覆懸濁液の除去または付加的な被覆懸濁液の付与によって実際量を補正し、これによって、最終的な被覆の被覆量が、目標量を上回る、出発被覆の変動幅よりも僅かな幅の公差範囲内にあるようにする:
ことによって特徴付けられている。
【0023】
当該方法は、金属またはセラミックスから成る担持体の被覆のために適している。この担持体は、両側で開放した平行な通路を備えた、いわゆる「ハニカムボディ」の形で付与されていてもよいし、連続気泡性の発泡構造体または繊維構造体を有していてもよい。しかし、当該方法によって、いわゆる「ウォールフロー型フィルタ」を被覆することもできる。このウォールフロー型フィルタの流れ通路は交互に閉鎖されており、これによって、排ガスに、フィルタを通る経路において、流れ通路の間の多孔質の分離壁を通って流れることが強要される。
【0024】
本発明の以下の説明に対して、平行な流れ通路を備えた担持体から出発する。この担持体は、内燃機関の排ガスを浄化するための触媒に用いられる担持体として大きな個数で使用される。
【0025】
ステップa)での担持体の被覆は、有利には、いわゆる「被覆ステーション」で行われる。これに対して、公知先行技術に基づき、種々様々な例が公知である。例として、ここでは、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第4040150号明細書、欧州特許出願公開第0941763号明細書、欧州特許出願公開第1136462号明細書および欧州特許出願公開第1273344号明細書に記載されたような被覆ステーションから出発する。
【0026】
このようなステーションでの被覆のためには、担持体がその円筒軸線で鉛直に方向付けられ、たとえば下側の端面で被覆ステーションに載着され、その後、下方からポンプによってかまたは圧力下にあるリザーバから被覆懸濁液で充填される。次いで、担持体から過剰の被覆懸濁液が除去される。これは、ポンプによる送出し、吸出し、吹出しまたはこれらの動作の組合せによって行うことができる。その後、担持体がその内側の壁面に被覆懸濁液による被覆を有している。
【0027】
このように実施された担持体の被覆は、以下、出発被覆と呼ばれる。この出発被覆の被覆量は、被覆懸濁液の固形物質濃度、被覆懸濁液の粘度および被覆条件、特に担持体の流れ通路からの過剰の被覆懸濁液の除去時の条件に関連している。当業者には、これらの関係が周知である。したがって、当業者は、この被覆プロセスの変動幅を考慮して、実際被覆量の平均値を所望の値に調整することができる。
【0028】
この慣用の被覆プロセスの変動幅は、被覆懸濁液の種類と、被覆プロセスの別のパラメータとに関連している。通常、変動幅は±5%〜±10%である。有利な事例では、変動幅が±2%にまで減少させられてよい。
【0029】
この慣用の被覆プロセスの変動幅を減少させるために、本発明は、付与される被覆量の補正を提案している。このためには、ステップb)で被覆の実際量が検出される。出発被覆の実際量が目標量を下回っている場合、本発明によれば、付加的な被覆懸濁液が担持体に付与される。これに対して、出発被覆の実際量が、最終被覆に対する規定された公差範囲を上回っている場合には、まだ湿分を帯びている被覆懸濁液の一部が担持体から除去される。両事例では、被覆の実際量をただ1回の補正によって、目標量を上回る最終被覆に対する設定された公差範囲内に入れることが目標とされる。
【0030】
被覆量の補正後、新たに調整された実際量を再度測定することができ、場合により、さらなる補正をステップc)により行うことができる。すなわち、方法ステップb)(実際量の測定)および方法ステップc)(実際量の補正)は、被覆量の、要求された精度が達成されるまで、反復的に複数回実施することができる。以下、方法ステップb)およびc)の実行を反復ループと呼ぶ。
【0031】
反復プロセスひいては被覆プロセスは、被覆の実際量が、最終被覆に対する規定された公差範囲内にある場合に終了される。
【0032】
担持体に対する被覆の軸方向の均一性を改善するためには、担持体が2回の反復ループの間に180゜だけ水平な軸線を中心として回動させられてよく、これによって、後続の反復ループにおいて、担持体の、予め下方に位置する端面が上方に位置することになる。
【0033】
所望の目標量に対して相対的なステップa)における湿被覆量の平均値の位置は、当該方法に対して二義的である。平均値は、目標量を下回っていてもよいし、上回っていてもよいし、目標量に等しくてもよい。特にステップc)でも、補正によって目標を越えて押し出された場合には、同一の担持体における実際量と目標量との間の負の差と正の差との間の交番が生ぜしめられ得る。すなわち、実際量が目標量よりも大きい場合のまだ湿分を帯びている被覆懸濁液の除去が、実際量が目標量よりも小さい場合の付加的な被覆懸濁液の付与と交換され得る。
【0034】
しかし、実際被覆量が、ステップa)における被覆プロセスの変動幅を考慮して、常に目標量を下回っているかまたは上回っていることが確保されると有利である。第1の事例では、目標量に近づけるために、その都度付加的な被覆懸濁液が付与されさえすればよいようにプロセスをガイドすることができ、第2の事例では、反復ループにおいて被覆懸濁液が除去されさえすればよいようにプロセスをガイドすることができることが分かった。この場合、付加的な被覆懸濁液の付与と、被覆懸濁液の除去との間の交番は、十分に排除することができる。この場合、第1の方法変化実施態様、すなわち、全ての担持体において、ステップa)で付与された被覆量が、要求された目標量を下回るようにステップa)で被覆量を調整することが特に有利である。
【0035】
ステップa)における実際被覆量を測定するためには、担持体が、有利には被覆過程前にかつ被覆過程後に秤量される。ステップc)での被覆量の補正後、新たな実際量をステップa)での被覆前の秤量との比較によって測定し、これによって、補正の結果を評価し、場合により、さらなる反復ループの実施を導入するために、支持体が新たに秤量される。
【0036】
実際量と目標量との間の差が負である場合には、付加的な被覆懸濁液が、鉛直に方向付けられた担持体の上側の端面に付与されてよい。次いで、この付加的な被覆懸濁液が、吸通しまたは吹通しによって担持体の長さにわたって分配されてよい。
【0037】
実際被覆量と目標被覆量との間の差が正である場合には、実際量が吸出しまたは吹出しによって、要求された目標被覆量に近づけられてよい。この場合、吸出しまたは吹出しの強さおよび/または期間は、検出された差量に関連して選択される。吸出しまたは吹出しの強さおよび/または期間の適合は、たとえば、相応の値が、測定された実際量に対する、予備試験で検出された値表から選択されることにあり得る。択一的には、強さおよび/または期間を、実際量に対する、直接的に予め被覆された物体において検出された値に相応して調整することができ、強さおよび/または期間を調整することができ、これにより得られる、実際量と目標量との間の差の減少を調整することができる。すなわち、出発重量もしくは要求された目標量からの偏差に応じて、ステップc)での吸出しまたは吹出しが予見して調整され、これによって、実際量が、担持体における目標重量もしくは目標被覆量に可能な限り十分に近づけられる。
【0038】
すなわち、本発明によれば、出発被覆を担持体に付与するために、慣用の被覆法が使用される。これに続いて、(目標値もしくは目標量に対する)被覆懸濁液における万が一の過多量または過少量が吸い出されるかもしくは付与される補正が行われる。
【0039】
被覆プロセスの終了後、被覆された担持体が、80〜200℃の間の高められた温度で5分ないし2時間の期間乾燥させられ、次いで、通常300〜600℃の間の温度で10分ないし5時間の期間仮焼される。この仮焼は、担持体への被覆の良好な位置固定を生ぜしめ、被覆懸濁液内の万が一の前駆体化合物をその最終的な形に変換する。
【0040】
前述した方法は、触媒活性被覆による担持体の被覆時に、物体ごとの被覆濃度の優れた精度、すなわち、僅かな変動幅を提供する。高められた精度は、ステップc)での本発明による補正によって得られる。
【0041】
担持体への多層の形成に対する当該方法の使用が特に有利である。この場合、個々の被覆層の変動幅が合算され、これによって、著しい変動幅を備えた慣用の方法の場合には、最終的な多重被覆が考慮されなければならない。この被覆問題に対する本発明による方法の使用によって、被覆濃度の、著しく減少させられた変動幅を備えた多層を形成することができる。
【0042】
当該装置もしくは当該方法の有利な構成および実施態様を、たとえば図1および図2につき詳しく説明する。
【0043】
図1には、当該方法のために適した被覆設備の可能な構造が示してある。この被覆設備は、有利には、出発被覆を実施するための被覆ステーション20を有している。この目的のためには、被覆したい担持体1が、この担持体1のために設けられた保持エレメントに降下させられる(図1参照)。膨張可能なゴムスリーブ21の膨張によって、担持体1がステーションに位置固定され、シールされる。さらに、第2のシールスリーブ22が設けられていてよい。この第2のシールスリーブ22は、オーバフロー部23を密に位置固定するために、担持体1の上側の端部に被せられる。有利には上方に充填センサ25が配置されている。この充填センサ25を介して、担持体1の十分な充填量が検出される。これに相応して、充填センサ25が信号を被覆設備の装置制御部もしくは調整部に付与する。
【0044】
出発被覆を実施するためには、充填センサが、規定された充填高さへの到達を報知するまで、被覆懸濁液が供給部24を介して下方から担持体1内にポンプにより送り込まれる。その後、担持体から、通路内の過剰の被覆懸濁液が、吸出しフラップもしくは絞りフラップ26の開放によって除去される。このためには、管路27が負圧容器(図示せず)とデミスタとに接続されている。負圧容器はブロワに接続されている。このブロワは、有利には50〜500mbarの間の負圧、特に有利には300mbarの負圧を維持している。吸出しの強さおよび期間は絞りフラップ26によって調整することができる。吸出しの強さおよび期間は、担持体1に残される出発被覆量を規定する。さらに、この過程は、場合により被覆懸濁液によって閉塞された通路を開放するために働く。
【0045】
さらに、図1には、秤量ステーション30が示してある。この秤量ステーション30では、被覆された担持体1が秤31で秤量される。こうして、担持体1内の被覆懸濁液の量を検出することができる。付加的には、被覆ステーション20に前置された、秤11を備えた秤量ステーション10が設けられていてよい。秤11は被覆前の担持体1の重量を測定する。
【0046】
いま、仮に秤量ステーション30において、担持体1への被覆懸濁液のローディングが、最終被覆に対する公差範囲外にあることが分かった場合には、担持体が補正ステーション40に搬送される。この補正ステーション40では、過度に多く付与された被覆懸濁液を後吸出しによって吸出し管路47を介して除去することができるだけでなく、過度に少なく付与された被覆懸濁液をスプレーノズル45を介して補足することもできる。
【0047】
補正ステーション40には、被覆ステーション20に類似して、シールスリーブ41が位置している。このシールスリーブ41は担持体1を補正ステーション40に密に位置固定する。吸出しフラップ46を介して、吸い出される被覆懸濁液の量を制御することができるかもしくは調整することができる。これに対して、仮に秤量ステーション30において、付与された被覆量が、すでに最終被覆の公差範囲内にあることが確認された場合には、担持体が被覆懸濁液の補正なしに被覆設備から取り出され、乾燥・仮焼ステーション(図示せず)に供給される。
【0048】
補正後、図1に示したように、特に有利には、担持体1のさらなる秤量が秤量ステーション30でまたは秤51を備えた後続の秤量ステーション50で行われる。仮に担持体1における被覆懸濁液の量のさらなる補正時に、実際被覆量が相変わらず最終被覆の公差範囲外にあることが確認された場合には、担持体が再度補正ステーション40に搬送され得る。そうでない場合には、担持体が被覆設備から取り出され、乾燥・仮焼ステーションに供給される。
【0049】
秤量ステーション30,50は、すでに記載したように、設備全体の所望のフレキシビリティもしくは速度に関連して統合されてよい。さらに、秤量ステーション30;50は後吸出しステーション40または被覆ステーション20と組み合わされてよい。
【0050】
図2には、4つの担持体A,B,C,Dの本発明による被覆時の過程の概略図が示してある。
【0051】
触媒最小活性を達成するために必要となる被覆量は、図2では「目標量」と呼ばれている。被覆された担持体のいずれも、被覆法の終了後、目標量を下回る被覆量を有していてはならない。したがって、最終被覆に対する許容可能な公差範囲は目標量のすぐ上方にある。
【0052】
図2では、被覆法が調整されており、これによって、実際被覆量の、被覆法により達成可能な平均値が目標被覆量を下回っていて、しかも、出発被覆の変動幅の半分よりも大きい間隔を置いて下回っていることが仮定されている。したがって、担持体A〜Dの出発被覆量は全て目標量を下回っている。出発被覆量の変動幅は、最終被覆の、目標とされる公差範囲よりも著しく大きく設定されている。
【0053】
本発明によれば、出発被覆量が、補正を施すことによって最終被覆の公差範囲内に持ち上げられる。担持体A,Bの事例では、このことが、ただ1回の補正によって行われる。担持体Cの事例では、被覆量を最終被覆の公差範囲内に到達させるために、プロセスの変動に基づき、第1回の補正では不十分である。したがって、ここでは、第2回の補正が必要となる。担持体Dの事例では、第1回の補正が目標を越えて押し出されている。第1回の補正ステップで付加的に付与された被覆量が、不足した被覆量を補償し過ぎた。したがって、第2回の補正によって、再び幾分被覆懸濁液が担持体から除去されなければならない。
【0054】
図2では、実際量の平均値が目標量を下回っていることから出発している。しかし、当該方法は、目標量を上回っているかまたは直接最終被覆の公差範囲内にある実際量の平均値にも類似して適している。
【0055】
しかし、前述した方法が、所定の担持体に付与される被覆量を反復的に目標被覆の所望の公差範囲内に入れることができる場合でも、当該方法の有利な実施態様では、被覆量のただ1回の補正によって所望の目標を達成することが常に目標とされる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】当該方法を実施するための有利な被覆設備の原理図である。
【図2】被覆法の概略図である。
【符号の説明】
【0057】
1 担持体、 10 秤量ステーション、 11 秤、 20 被覆ステーション、 21 ゴムスリーブ、 22 シールスリーブ、 23 オーバフロー部、 24 供給部、 25 充填センサ、 26 絞りフラップ、 27 管路、 30 秤量ステーション、 31 秤、 40 補正ステーション、 41 シールスリーブ、 45 スプレーノズル、 46 吸出しフラップ、 47 吸出し管路、 50 秤量ステーション、 51 秤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に固形の物質と、溶解された物質とを液状の媒体内に有する少なくとも一種類の被覆懸濁液によって、少なくとも所定の要求された目標量に相当する量で、湿った状態において、一連の円筒状の連続気泡性の物体を被覆するための方法であって、この場合、被覆過程が、付与される湿被覆量の変動幅を物体ごとに有している形式のものにおいて、当該方法が、以下の方法ステップ:すなわち、
a)被覆懸濁液による物体の被覆によって出発被覆を実施し、
b)物体に付与された出発被覆の実際量を検出し、
c)まだ湿分を帯びている被覆懸濁液の除去または付加的な被覆懸濁液の付与によって実際量を補正し、これによって、最終的な被覆の被覆量が、目標量を上回る、出発被覆の変動幅よりも僅かな幅の公差範囲内にあるようにする:
を有していることを特徴とする、一連の円筒状の連続気泡性の物体を被覆するための方法。
【請求項2】
実際量を、ステップa)での被覆前のかつ被覆後の物体の秤量によって検出する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
物体を、ステップa)での被覆のために鉛直に方向付け、下側の端面を通して被覆懸濁液で充填し、次いで、担持体から過剰の被覆懸濁液を除去する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
担持体からステップa)でポンプによる送出し、吸出し、吹出しまたはこれらの動作の組合せによって過剰の被覆懸濁液を除去する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
被覆量の要求された精度が達成されるまで、ステップb)およびc)を、場合により複数回の反復ループで実施する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
その都度の実際量を、1回の反復ステップ後の物体の秤量と、被覆前の秤量との比較とによって検出する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
担持体を、2回の反復ループの間に180゜だけ水平な軸線を中心として回動させる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
ステップc)において、実際量と目標量との間の差が負である場合、実際量を、担持体の上側の端面への付加的な被覆懸濁液の付与によって、要求された目標量に近づけ、次いで、付加的な被覆懸濁液を吸通しまたは吹通しによって担持体の長さにわたって分配する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ステップc)において、実際量と目標量との間の差が正である場合、実際量を、まだ湿分を帯びている被覆懸濁液の吸出しまたは吹出しによって、要求された目標量に近づける、請求項1記載の方法。
【請求項10】
吸出しまたは吹出しの期間および/または強さを、予備試験で検出された、測定された実際量に対する値表から選択する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
吸出しまたは吹出しの期間および/または強さを、直接的に予め被覆された物体において検出された、実際量に対する値に相応して調整し、吸出しまたは吹出しの期間および/または強さを調整し、これにより得られる、実際量と目標量との間の差の減少を調整する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ステップc)後、担持体の被覆を乾燥させ、仮焼する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
特に請求項1から12までのいずれか1項記載の方法に用いられる、特に固形の物質と、溶解された物質とを液状の媒体内に有する少なくとも一種類の被覆懸濁液によって、少なくとも所定の要求された目標量に相当すべき量で、湿った状態において、一連の円筒状の連続気泡性の物体を被覆するための装置であって、被覆過程が、付与される湿被覆量の変動幅を物体ごとに有している形式のものにおいて、
(a)被覆前の物体の重量を検出するための第1の秤量ステーション(10)が設けられており、
(b)物体を被覆するための装置(20)が設けられており、
(c)被覆後の物体の重量を検出するための第2の秤量ステーション(30)が設けられており、
(d)実際量が、最終的な被覆に対する公差範囲を上回っている場合には、まだ湿分を帯びている被覆懸濁液を吹出しまたは吸出しによって除去し、実際量が、最終的な被覆に対する公差範囲を下回っている場合には、物体の上側の端面へのスプレーノズル(45)による付加的な被覆懸濁液の付与によって、被覆量を補正するための装置(40)が設けられており、
(e)該装置(40)での被覆量の補正後の実際量を検出するための第3の秤量ステーション(50)が設けられている
ことを特徴とする、一連の円筒状の連続気泡性の物体を被覆するための装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−516760(P2008−516760A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537168(P2007−537168)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011051
【国際公開番号】WO2006/042699
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【Fターム(参考)】