説明

一酸化物発光物質を含む、放電ランプ

本発明は、放電ランプに関し、IIIB族又は希土類一酸化物発光物質を含み、前記一酸化物化合物の顕著な発光特性により、前記ランプ特性を大きく改良するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置のための新規物質に向けられ、特に放電ランプのための新規物質の分野に向けられる。
【背景技術】
【0002】
放電ランプは、照明の形の中でも最も知られて広く用いられ一般的なものである。しかし放電ランプの多くは欠点を有し、その発光スペクトルが、緑色及び赤色への寄与が少ないということであり、言い換えると、青色(及び紫外)の量が最も普通であるということである。これにより、例えば放電容器の達成可能な発光効率を限定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、前記の欠点を少なくとも部分的に解決し、特に広い範囲の応用のための改良された照明性質を有する放電ランプの構築を可能とする、照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明の請求項1による照明システムにより達成される。従って、提供される照明システム、特に放電ランプは、ガス状一酸化物発光物質XOを含み、XはIIIB族(=Sc、La、Y)、希土類金属又はこれらの混合物から選択される。本発明の範囲にある広い範囲の応用について、かかる照明システムは少なくとも次のような利点の一つを持つ。
【0005】
かかる照明システムを用いると、本発明の範囲内で広い範囲の応用において光技術的性質が容易にかつ効果的に大きく改良されることである。
【0006】
発光効率が、純粋のIIIB族金属―ハロゲン化物又は希土類金属ハロゲン化物放電ランプに比べて強化されること;
色座標x、yが、プランクローカスへシフトする(即ち放電は「より白く」なる);
演色性が改良される。
【0007】
使用される物質は無毒であり、従って本発明の範囲内で広い範囲の応用に使用可能である。
【0008】
本発明の好ましい実施態様によれば、光発生放電は、密閉ランプ容器内で操作される。
【0009】
本発明の好ましい実施態様によれば、一酸化物発光物質XOは、再生化学反応中で連続的に形成・破壊されており、かかる操作システムの光技術的性質が、1時間以上に亘り一定に保持される。
【0010】
本発明の好ましい実施態様によれば、一酸化物発光物質は、少なくとも1つ、好ましくは2つの前駆体から放電ランプの操作中にガス状で形成される。
【0011】
このことは、本発明の範囲内で多くの応用のために有利であることを示す。というのは、この特性により、照明システムの性質、特に放電ランプとしてのシステムの寿命が非常に改良されるからである。
【0012】
本発明の好ましい実施態様によれば、一酸化物発光物質XOは、少なくともひとつの金属がIIIB(=Sc、La、Y)を含む群から選ばれる第1の金属化合物、希土類金属又はその混合物と、少なくともひとつの第2の遷移金属化合物との反応により生成される。
【0013】
本発明はさらに、照明システム、特に放電ランプに関し、
少なくともひとつの金属がIIIB(=Sc、La、Y)を含む群から選ばれる第1の金属化合物、希土類金属又はその混合物と、少なくともひとつの第2の酸素含有及び/又は酸素供与化合物を含む。
用語「第2の酸素含有化合物」とは、この化合物(本出願ではより読み易くするために以下「第2化合物」とする)は、酸素を含み及びさらに少なくともひとつの酸素以外の非金属元素を含むものであることを、特に意味/又は含む。
【0014】
用語「第2の酸素供与化合物」とは、この化合物は、ランプ内に存在する他の物質(即ち、酸素含有不純物)と反応し、酸素含有化合物を形成するものであることを特に意味/又は含む。
【0015】
本発明の範囲内で広い範囲の応用にとって、そのような照明システムは少なくともひとつの次の利点を持つことが見出された:
かかる照明システムを用いると、本発明の範囲内で広い範囲の応用において光技術的性質が容易にかつ効果的に大きく改良されることである
発光効率が、純粋のIIIB族金属―ハロゲン化物又は希土類金属ハロゲン化物放電ランプに比べて強化されること;
色座標x、yが、プランクローカスへシフトする(即ち放電は「より白く」なる);
演色性が改良される。
【0016】
使用される物質は無毒であり、従って本発明の範囲内で広い範囲の応用に使用可能である。
【0017】
いかなる理論にしばられるものではなく、本発明者は、かかる第1及び第2化合物を用いることで、特に一酸化物発光物質が照明システムの照明特性に影響を与える程度に生成され、広い範囲の応用が可能となると信じる。
【0018】
放電の熱中心領域でこれらの化合物が拡散して原子に分解することに起因すると考えられる。従って原子は、再結合し、望ましい一酸化物となり、最終的に分子発光する。
【0019】
驚くべきことに、本発明内で広い範囲の応用にとって、第2化合物は、酸化物ハロゲン化合物でなくてもよいことである。これらの実施態様においては、酸素は酸素含有不純物から由来すると考えられる。すなわち、製造プロセスにおいて導入されるとか、放電容物質(SiOのような)と充填される遷移金属ハロゲン化物との反応から、由来すると考えられる。これらの実施態様では、第2化合物は最初これらの不純物と反応し及び/又はSiOと反応して中間的な酸化物ハロゲン化物化合物を形成し、これがさらに反応する、と考えられる。従って、このような第2化合物は、本発明の意味で「酸素供与物質」であると考えられる。
好ましくは、これらの第1及び第2化合物の少なくともひとつは、900Kで0.01Paより大きい蒸気圧を持つ。
ひとつの化合物の蒸気圧が900Kで知られていない場合は、よく知られた熱力学的方法で推定することができる。例えばクラジウスークラペイロン式を用いて、文献データで知られている温度範囲を超える温度について蒸気圧を外挿することによる。
【0020】
本発明の好ましい実施態様によれば、これらの第1及び/又は第2化合物の少なくともひとつは、蒸気圧が900Kで、0.025Paより高く、好ましくは0.05Paより高く、最も好ましくは0.10Paより高い。
【0021】
本発明の好ましい実施態様によれば、第1化合物は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物又はこれらの混合物である。
【0022】
本発明の好ましい実施態様によれば、第2化合物は、遷移金属化合物を含む。本発明の意味で遷移金属化合物には特に、金属ハロゲン化物、金属酸化物及び/又は金属酸化物ハロゲン化物を含む。
【0023】
本発明の好ましい実施態様によれば、第2化合物は、VB族元素、VB族元素ハロゲン化物、VB族元素酸化物ハロゲン化物、VIB族元素、VIB族元素ハロゲン化物、VIB族元素酸化物ハロゲン化物又はそれらの混合物から選択される。
【0024】
本発明の好ましい実施態様によれば、第2化合物の少なくともひとつは、金属、金属ハロゲン化物、金属酸化物及び/又は金属酸化物ハロゲン化合物であり、前記金属は、V、Nb、Cr、Mo、W又はこれらの混合物を含む群から選択される。
【0025】
本発明の好ましい実施態様によれば、第2化合物は、B、C、As、Sb、Ge、S、Se、Te、F、Cl、Br、Iを含む群から選択される少なくともひとつの元素を含む、好ましくは高酸化状態のものである。
【0026】
「高酸化状態」とは、この元素を含む化合物で通常見られる最高及び/又は次の最高の酸化状態を特に意味する。この実施態様の内容で、次の元素について、次の酸化状態が特に好ましい。
【0027】
【表1】

本発明の好ましい実施態様によれば、第2化合物は、P、SeO、ホルメート、パークロレート、クロレート、ブロメート、パーアイオデート、アイオデート又はこれらの混合物から選択される。
【0028】
本発明の好ましい実施態様によれば、第1化合物と第2化合物との比(モル:モルで)は、>0.01:1及び<1000:1、好ましくは>0.1:1及び<100:1及び最も好ましくは>0.5:1及び<20:1である。
【0029】
本発明の好ましい実施態様によれば、照明システムは、放電容器を含み、好ましくはアモルファス又は(多)結晶性酸化物又はその混合物から作られ、特に放電ランプの技術で使用されるものである。好ましくは、前記容器物質はSiO(石英)又はAl(多結晶性アルミナ又はサファイア)である。また、他の容器物質は、耐ランプ充填物性の適切なコーティング(酸化物)がなされるのであれば、ソフトガラスも使用可能である。
【0030】
本発明の好ましい実施態様によれば、ガス容器内の第1化合物及び/又は第2化合物の量は、≧10−12モル/cm及び≦10−4モル/cm、好ましくは≧10−11モル/cm及び≦10−5モル/cmである。
【0031】
本発明の好ましい実施態様によれば、放電ランプは、HIDランプ、誘電バリア放電ランプ(DBD)、TL、CFL及び/又はQL低圧放電ランプであり、RF又はマイクロ波周波数領域内で無電極的(容量的又は誘導的)に操作及び/又は内部電極を用いて(この場合、電極物質はタングステンを含むものが特に好ましい)低周波数又はDCで操作される。
【0032】
HID又はDBDを含む照明システムの場合、特に好ましくは、ガス容器内の第1化合物及び/又は第2化合物の量が、≧10−8モル/cm及び≦10−4モル/cm、好ましくは≧10−7モル/cm及び≦10−5モル/cmである。
【0033】
TL、CFL及び/又はQLを含む照明システムの場合、特に好ましくは、ガス容器内の第1化合物及び/又は第2化合物の量が、≧10−11モル/cm及び≦10−6モル/cm、好ましくは≧10−10モル/cm及び≦10−7モル/cmである。
【0034】
本発明の好ましい実施態様によれば、照明システムは、ガス充填物を含む。ここでガス充填物は、不活性緩衝ガスを含む。緩衝ガスは、希ガス、窒素又は水銀であり得る。より好ましくは、緩衝ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノン又はその混合物から選択される。
【0035】
本発明の好ましい実施態様によれば、照明システムは、少なくともひとつの第3の低安定性酸素含有化合物(以下「第3化合物」とする)を含む。
【0036】
「第3の低安定性酸素含有化合物」とは、この化合物(以下読み易くするために「第3化合物」とする)は、100℃より高い温度で分解及び/又は、第3化合物に含まれる酸素ごとに、100kJ/molよりも小さい、一つの実施態様によれば70kJ/molよりも小さい負の生成エンタルピーを持つものであることを、特に意味する。
【0037】
本発明の好ましい実施態様によれば、第3化合物は、貴金属酸化物又は酸化ハロゲン化物を含むか又は貴金属酸化物又は酸化ハロゲン化物である。
【0038】
かかる化合物は、本発明内において、それらが高温度で通常高い分解傾向を持つことから、非常に有効であることが見出された。
【0039】
好ましくは、第3化合物は、Au、Pt、RhO、RuO、AgO、Ag及びAg又はその混合物を含む群から選択される。
【0040】
本発明によるいくつかの第3化合物のいくらかの性質を示すが、単に説明のためであり、なんら限定するものではない。
【0041】
【表2】

本発明による照明システムは、広い種類のシステム及び/又は応用において使用可能であり、特に次のひとつ又はそれ以上である。
オフィス照明システム、
家事応用システム、
商店照明システム、
家庭照明システム、
アクセント照明システム、
スポット照明システム、
劇場照明システム、
ファイバ光学応用システム、
プロジェクション応用システム、
自動点灯ディスプレーシステム、
画素化ディスプレーシステム、
分割ディスプレーシステム、
警告サインシステム、
医学照明応用システム、
指示サインシステム及び
装飾照明システム、
ポータブルシステム、
自動車用応用、
温室用照明システム。
【0042】
上で説明した部品は、請求される部品及び本発明において実施態様で使用される部品同様、それらのサイズや、形状、物質の選択及び技術的概念においていかなる特別の除外の対象になるものではなく、関連する分野で知られた選択方法が、なんら限定なく適用される。
【0043】
本発明のさらなる詳細、構成、特徴及び利点については従属請求項に開示され、図及び図の説明及び実施例(例示の様式で)では、本発明による照明システムのいくつかの実施態様及び例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明の実施例1による放電ランプの測定及びシミュレート発光スペクトルを示す。
【図2】図2は、本発明の実施例2による放電ランプの測定及びシミュレート発光スペクトルを示す。
【図3】図3は、本発明の実施例3による放電ランプの測定及びシミュレート発光スペクトルを示す。
【図4】図4は、本発明の実施例4による放電ランプの測定発光スペクトルを示す。
【図5】図5は、本発明の実施例5による放電ランプの測定発光スペクトルを示す。
【図6】図6は、本発明の実施例6による放電ランプの測定発光スペクトルを示す。
【図7】図7は、本発明の実施例7による放電ランプの測定発光スペクトルを示す。
【図8】図8は、本発明の実施例8による放電ランプの測定発光スペクトルを示す。
【図9】図9は、本発明の実施例9による放電ランプの測定発光スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0045】
図1は実施例1を参照する。次の設定がなされた。32.5mm内直径の円筒状石英容器(容積18ccm)に、0.57mgのHoCl、0.39mgのMoCl及び100ミリバール(=室温での充填圧力)のArを充填した。このランプ(HoMoH1とする)を2.45GHzマイクロ波共振器で、800Wで操作して400nmから800nmの波長領域で図1に示されるようなスペクトルを発光させた。また、同じ緩衝ガスを用いたが、0.48mgのMoClのみ含むランプ(図1で破線で示されるMoCH1)、又は0.58mgのHoClのみ含むランプ(図1で点線で示されるHoCH1)も示される。
【0046】
ランプHoMoH1の発光スペクトルは、純粋な充填物のランプとは大きく相違する。これは2つの少なくともを組み合わせたものではなく、完全に異なる発光挙動を示す。このスペクトルは、緑/青色にシフトし、MoCH1及びHoCH1に比べて非常に狭い。主な発光は、500nmから600nmの間で起こる。
【0047】
スペクトル特性に対するこの大きな変化は、放射プラズマゾーン内の安定な(2原子性の)ホルミウム一酸化物HoO分子の形成によると考えられる。
【実施例2】
【0048】
図2は、実施例2を参照する。次の設定がなされた。32.5mm内直径の円筒状石英容器(容積18ccm)に、1.8mgのTbI、1.0mgのWoBr及び100ミリバール(=室温での充填圧力)のArを充填した。このランプ(TbWH1とする)を2.45GHzマイクロ波共振器で850Wで操作して図2に示されるようなスペクトルを発光させた。また、同じ緩衝ガスを用いたが、純粋なテルビウムハロゲン化物を含むランプ(図2で点線で示される)、又は純粋なタングステン酸化物ハロゲン化物を含むランプ(図1で破線で示される)も示される。
【0049】
実施例1で議論したように、混合物の発光は、純粋な充填物のものと、又はそれらの組み合わせたものとは大きく相違する。これはTbOの形成によると考えられる。緑、黄色及び赤近くの領域での強い発光が生成される。
【実施例3】
【0050】
図3は、実施例3を参照する。次の設定がなされた。
【0051】
32.5mm内直径の円筒状石英容器(容積18ccm)に、0.56mgのDyCl、0.3mgのMoCl及び100ミリバール(=室温での充填圧力)のArを充填した。このランプ(DyMoH1とする)を2.45GHzマイクロ波共振器で700Wで操作して図3に示されるようなスペクトルを発光させた。また、同じ緩衝ガスを用いたが、純粋なディスプロシウムハロゲン化物を含むランプ(図3で点線で示される)も示される。
【0052】
ランプDyMoH1の発光スペクトルは、純粋な充填物のものとは異なる。スペクトルは少し緑/青にシフトし、600nmから700nmの波長範囲では発光は少ない。スペクトル幅は、純粋なものよりも狭い。
【0053】
スペクトル特質の変化は、発光プラズマゾーンでの安定な(2原子)DyOの形成によると考えられる。
【実施例4】
【0054】
図4は、実施例4を参照する。次の設定がなされた。
【0055】
32.5mm内直径の円筒状石英容器(容積18ccm)に、1.3mgのScI、0.97mgのWoBr及び100ミリバール(=室温での充填圧力)のArを充填した。このランプ(ScWH1とする)を2.45GHzマイクロ波共振器で500Wで操作して図4に示されるようなスペクトルを発光させた。また、同じ緩衝ガスを用いたが、純粋なスカンジウムヨウ化物を含むランプ(図4で破線で示される)も示される。
【0056】
ランプScWH1の発光スペクトルは、純粋な充填物のものとは異なる。スペクトルは、赤付近、λ=610nm!に強くピークを持つ。スペクトル幅は、約20nmだけである。
【0057】
スペクトル特質の変化は、発光プラズマゾーンでの安定な(2原子)ScOの形成によると考えられる。
【実施例5】
【0058】
図5は、実施例5を参照する。次の設定がなされた。
【0059】
32.5mm内直径の円筒状石英容器(容積18ccm)に、1.39mgのYBr、0.21mgのP及び100ミリバール(=室温での充填圧力)のArを充填した。このランプ(YPH1とする)を2.45GHzマイクロ波共振器で700Wで操作して図4に示されるようなスペクトルを発光させた。また、2つのYOバンドシステム(図5で細線)及びYBrH1ランプ(0.70mgYBrを含むがPは含まない、図5で黒色点線)のシミュレーション発光スペクトルも示す。
【0060】
スペクトル特質の変化は、発光プラズマゾーンでの安定な(2原子)YOの形成によると考えられる。
【実施例6】
【0061】
図6は、実施例6を参照する。次の設定がなされた。
【0062】
32.5mm内直径の円筒状石英容器(容積18ccm)に、0.78mgのLaBr、1.06mgのWoBr及び100ミリバール(=室温での充填圧力)のArを充填した。このランプ(LaWH1とする)を2.45GHzマイクロ波共振器で850Wで操作して図6に示されるようなスペクトルを発光させた(図6で実線)。また、同じ緩衝ガスを用いたが、純粋なランタン臭化物を含むランプ(図6で破線で示される)も示される。
【0063】
ランプLaWH1の発光スペクトルは、純粋な充填物のものとは異なる。まず発光は非常に強い。スペクトルは、赤付近のλ=750nm及び800nmにピークを持つ。スペクトル幅は、約20nmだけである。
【0064】
スペクトル特質の変化は、発光プラズマゾーンでの安定な(2原子)LaOの形成によると考えられる。
【実施例7】
【0065】
図7は、実施例7を参照する。次の設定がなされた。
【0066】
32.5mm内直径の円筒状石英容器(容積18ccm)に、0.65mgのGdCl、0.42mgのMoCl及び100ミリバール(=室温での充填圧力)のArを充填した。このランプ(GdMoH1とする)を2.45GHzマイクロ波共振器で750Wで操作して図7に示されるようなスペクトルを発光させた。また、同じ緩衝ガスを用いたが、純粋なガドリニウム塩化物を含むランプ(図7で破線で示される)も示される。
【0067】
ランプGdMoH1の発光スペクトルは、純粋な充填物のものとは異なる。特に、発光は黄色/赤色領域で(λ=570nmから630nm)でより強くなる。また450nmから500nmの間にいくつかの追加の発光が存在する。
【0068】
スペクトル特質の変化は、発光プラズマゾーンでの安定な(2原子)GdOの形成によると考えられる。
【実施例8】
【0069】
図8は、実施例8を参照する。次の設定がなされた。
【0070】
32.5mm内直径の円筒状石英容器(容積18ccm)に、0.54mgのLuCl、0.39mgのMoCl及び100ミリバール(=室温での充填圧力)のArを充填した。このランプ(LuMoH1とする)を2.45GHzマイクロ波共振器で800Wで操作して図8に示されるようなスペクトルを発光させた(図8で実線)。また、同じ緩衝ガスを用いたが、純粋なルテチウム塩化物を含むランプ(図8で破線で示される)も示される。
【0071】
純粋な充填物(LuCL3、赤点線カーブ)はすでに強い発光を青色領域(λ=450nmから500nm)に持ち、同様に赤外領域(λ=670nmから750nm)にも持つ。LuMoH1ランプの発光は、この純粋な充填のものとは相違する。青色領域の発光はより鋭くなり、さらに追加の狭いλ=520nmでの発光がある。赤外発光は消失した。
【0072】
スペクトル特質の変化は、発光プラズマゾーンでの安定な(2原子)LuOの形成によると考えられる。
【実施例9】
【0073】
図9は、実施例9を参照する。次の設定がなされた。
【0074】
23mm内直径及び37mm長さの円筒状石英容器(容積15ccm)に、0.75mgのScCl、0.33mgのWoCl及び40ミリバール(=室温での充填圧力)のキセノンを充填した。約165Wの14MHzRFを誘導的に前記ランプに、前記バーナーでの外部空気コイルの手段により結合した(2つの1mm銀ワイヤを平行に6回巻き)。このバーナーを空気で充填したオーバークラッドで操作した。P=170Wで500秒ランプを操作後、図9(実線)に示す発光が測定された。同じランプをP=160Wでt=100秒で操作した際の発光も示す(即ちより低い最冷温度、図9破線)。
【0075】
より高い最冷点温度(即ちt=500秒、図9で実線)でランプを操作すると、ランプをほんの100秒で操作した場合に比べて発光スペクトルは大きく相違する。青い発光スペクトルが変化し、追加の発光がλ=530nm及び600nmと630nmの間に存在する。
【0076】
スペクトル特質の変化は、発光プラズマゾーンでの安定な(2原子)ScOの形成によると考えられる。
【0077】
上で説明された実施態様での構成及び特徴の特定の組み合わせは例示的なものである。これらの教示と、本出願及び参照として取り込まれた特許/特許出願の他の教示とを、交換又は置換することもまた、明確に認識され得ることである。この技術分野の熟練者が認識するように、ここで記載されたものを変形、修正及びその他の改善することは、この技術分野の熟練者にとって、請求されている本発明の概念から外れることなく可能である。従って、前記記載は、例示にすぎないし、限定する意図はない。本発明の範囲は特許請求の範囲に規定された範囲及びそれと均等な範囲である。さらに明細書及び特許請求の範囲で用いられる符合は請求される本発明の範囲を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明システム、特に放電ランプであり、一酸化発光物質XOを含み、Xは、IIIB族(=Sc、La、Y)、希土類金属又はその混合物を含む群から選択される、照明システム。
【請求項2】
前記光生成放電が、密閉ランプ容器内で操作される、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記一酸化発光物質XOが、少なくともひとつの第1の金属化合物であって、前記金属がIIIB族(=Sc、La、Y)、希土類金属又はその混合物を含む群から選択される第1の金属化合物と、少なくともひとつの第2の遷移金属化合物との反応により生成される、請求項1又は2のいずれかに記載の照明システム。
【請求項4】
照明システム、特に放電ランプであって、少なくともひとつの第1の金属化合物を含み、前記金属がIIIB族(=Sc、La、Y)、希土類金属又はその混合物を含む群から選択され、及び少なくともひとつの第2の酸素含有及び/又は酸素供与化合物を含む、照明システム。
【請求項5】
前記ガス容器内の前記第1の化合物及び/又は前記第2の化合物の量が、≧10−12モル/cm及び≦10−4モル/cm、である請求項4に記載の照明システム。
【請求項6】
前記第1の化合物が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物又はその混合物を含む群から選択される、請求項2乃至6のいずれかに器の照明ユニット。
【請求項7】
前記第2の化合物が、VB族元素、VB族元素ハロゲン化物、VB族元素酸化ハロゲン化物、VIB元素、VIB元素ハロゲン化物、VIB族元素酸化ハロゲン化物又はその混合物を含む群から選択される、請求項4乃至6のいずれかに記載の照明システム。
【請求項8】
前記第2の化合物が、B、C、P、As、Sb、Ge、S、Se、Te、F、Cl、Br、Iを含む群から選択される少なくともひとつの元素を含み、好ましくは高酸化状態である、請求項4乃至7のいずれかに記載の照明システム。
【請求項9】
前記放電ランプが、HIDランプ、誘電バリア放電ランプ(DBD),TL、CFL及び/又はQL低圧放電ランプであり、RF又はマイクロ波周波数領域内で無電極的(容量的又は誘導的)に操作及び/又は内部電極を用いて(この場合、電極物質はタングステンを含むものが特に好ましい)低周波数又はDCで操作される、請求項1乃至8のいずれかに記載の照明システム。
【請求項10】
前記照明システムが、
オフィス照明システム、家事応用システム、商店照明システム、家庭照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、劇場照明システム、ファイバ光学応用システム、プロジェクション応用システム、自動点灯ディスプレーシステム、画素化ディスプレーシステム、分割ディスプレーシステム、警告サインシステム、医学照明応用システム、指示サインシステム及び装飾照明システム、ポータブルシステム、自動車用応用、温室用照明システムの、
ひとつ又はそれ以上で使用される、請求項1乃至9のいずれかに記載の照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−506118(P2012−506118A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531594(P2011−531594)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054402
【国際公開番号】WO2010/044020
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】