説明

三方活栓

【課題】第2導入管や弁体内に薬液の滞留を生じさせることなく、スムーズな薬液の供給を行うことができる三方活栓を提供する。
【解決手段】三方活栓は、弁体3を貫通する主流路9と、弁体3の側面に形成した、主流路の一端から円周方向周りで他端に至る周回溝10とを備える。周回溝10は、主流路9の一端から周回溝10の中間位置に至る第1周回溝11と、中間位置から主流路9の他端に至る第2周回溝12とで構成する。第1周回溝11は、主流路9の一端側から中間位置側にかけて徐々に幅が狭くかつ深くなる形状を有し、第2周回溝12は、第1周回溝の終端よりも幅が広くて浅い一定の幅及び深さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流路を切り替えるための三方活栓に関する。
【背景技術】
【0002】
三方活栓は、医療の分野において点滴等を行う際に使用され、2つの導入管を経て導入される薬液等を他の1つの導出管に交互に又は同時に導出するために用いられる。従来、この種の三方活栓は、円筒状の基部と、基部から径方向外方に延びる第1導入管、第2導入管及び導出管と、基部内に液密かつ回動自在に設けられた円柱状の弁体とを備える。
【0003】
弁体にはT字状の切換路が形成されており、その3つの端部に対応し得るように、第1導入管、第2導入管及び導出管が、この順で、基部の周方向に配置されている。すなわち弁体を回動させることにより、第1導入管及び第2導入管を選択的に切り換えて導出管に接続できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、T字状切換路が「T」の頂部の「―」部分とその下部の「I」部分で構成されているものとすると、弁体の切換位置が、T字状切換路の「―」部分が第1導入管及び導出管に接続し、「I」部分の先端が第2導入管とは反対側に位置するように設定されているときには、第1導入管のみから導出管へ薬液の供給が行われる。このとき、T字状切換路の「I」部分は使用されない無駄な空間すなわちデッドスペースとなり、そこに薬液が滞留する。
【0005】
また、弁体の切換位置が、T字状切換路の「I」部分の先端が導出管に接続し、「―」部分の一端が第2導入管に接続し、「―」部分の他端が第2導入管とは反対側に位置するように設定されているときには、第2導入管のみから導出管へ薬液の供給が行われる。このとき、T字状切換路の「―」部分の他端側がデッドスペースとなり、そこに薬液が滞留する。
【0006】
このようなデッドスペースに薬液が滞留するという不都合を解消するために、特許文献2に記載された三方活栓では、弁体内の切換路を、弁体を貫通する貫通孔と、貫通孔の一端から他端にかけて弁体の側面に設けた溝とによって構成するようにしている。この三方活栓によれば、弁体がどの切換位置に位置する場合でも、弁体側面の溝を通過する薬液の流通によって、弁体の切換路内にデッドスペースが生じないようになっている。
【0007】
一方、特許文献3には、3つのポートを画定するハウジングと、ハウジングに対し選択可能に位置決め可能な取っ手要素と、3つのポートのうちの2つの間で連通し、取っ手要素によって選択可能に画定される流体通路とを備えた三方活栓が記載されている。この三方活栓では、1つの流体通路を部分的に分岐させる流体ガイドを備え、この流体ガイドにより1つのポートをフラッシングし得るようになっている。なお、3つのポートは上述の第1導入管、第2導入管及び導出管に対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6−44554号公報
【特許文献2】特開2009−77879号公報
【特許文献3】特表2008−511371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2の三方活栓では、第1導入管及び第2導入管の双方から薬液を供給しているとき、第1導入管からの薬液は、貫通孔と弁体側面の溝とを経て導出管に供給され、第2導入管からの薬液は、弁体側面の溝を経て導出管に供給される。このとき、第2導入管からの薬液の供給が停止されると、第2導入管内の残存薬液がそのまま滞留する可能性がある。
【0010】
この残存薬液は、第1導入管から弁体側面の溝を経て導出管に供給される薬液により、ある程度は取り込まれて導出管に導出される。しかし、この残存薬液をより効果的に除去できる手段を採用できれば、より好ましいと考えられる。
【0011】
一方、特許文献3の三方活栓によれば、第1導入管及び第2導入管の双方から薬液の供給を行うとき、流体ガイドがハウジングの中心から第2導入管の開口部近傍にかけて突出した状態となっているので、第2導入管からの薬液の供給が停止したり、第2導入管がプラグ等で閉鎖されたりした場合には、第1導入管からの薬液により第2導入管内がフラッシングされる。したがって、第2導入管における薬液の滞留は生じないと考えられる。
【0012】
しかし、第1導入管及び第2導入管の双方から薬液の供給を行うときに、上述のように流体ガイドが第2導入管の開口部近傍にまで突出した状態となっており、第2導入管からの薬液の圧力が、流体ガイドを乗り越えようとする第1導入管からの薬液に加わるので、第1導入管からは僅かの薬液しか供給できないという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、第2導入管や弁体内に薬液の滞留を生じさせることなく、スムーズな薬液の供給を行うことができる三方活栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る三方活栓は、円筒状の基部と、前記基部に対して相対的に回動し得るように該基部の内面により側面が支持された円柱状の弁体と、前記基部の内面に開口して径方向外方に延びる第1導入管、第2導入管及び導出管とを備え、前記弁体には、該弁体の軸線に直交する方向に貫通する主流路が設けられ、前記第1導入管、第2導入管及び導出管の各基端は、この順番で、前記基部の一方の円周方向周りに90°間隔で位置し、前記主流路は、前記弁体が所定の第1位置に位置するときに前記第1導入管及び導出管と一直線上に位置し、該第1位置から前記円周方向周りに90°回動した第2位置に位置するときに前記第2導入管と一直線上に位置し、前記弁体の側面には、前記主流路の一端から前記円周方向周りで他端に至る周回溝が形成され、前記周回溝は、前記主流路の一端から該周回溝の中間位置に至る第1周回溝と、該中間位置から前記主流路の他端に至る第2周回溝とを備え、前記第1周回溝は、前記主流路の一端側から前記中間位置側にかけて徐々に幅が狭くかつ深くなる形状を有することを特徴とする。
【0015】
この構成において、第1導入管及び第2導入管の双方から導出管に薬液を供給する場合には、弁体が第1位置に位置される。このとき、主流路は、第1導入管及び導出管と一直線上に位置する。このため、第1導入管及び導出管は、主流路及び周回溝によって接続され、第2導入管は第2周回溝によって導出管に接続された状態にある。したがって、第1導入管及び第2導入管に供給される各薬液は、支障なく、十分な量が、導出管に供給される。
【0016】
この後、第2導入管からの薬液の供給が完了して第2導入管からの薬液の供給が停止された場合には、引き続き第1導入管から供給される薬液は、主流路及び周回溝を経て導出管に供給される。このとき、第1周回溝を流動してくる薬液は、第1周回溝の幅が狭くかつ深くなった端部によって流れの方向が変化し、第2導入管内へ突入し、さらに第2周回溝を経て、導出管へ導出される。
【0017】
このため、第2導入管がデッドスペースとなってそこに薬液が滞留することはない。したがって、その後に再度、第2導入管から新たな薬液を供給するときには、第2導入管の残留薬液による影響を受けることなく、薬液の供給を行うことができる。
【0018】
一方、第2導入管のみから薬液の供給を行う場合には、弁体が第2位置に位置される。この場合、主流路が第2導入管と一直線上に位置し、第2導入管に供給される薬液は、主流路及び第2周回溝を通るルートと、第1周回溝を通るルートの2つのルートによって導出管に供給される。したがって、弁体が第1位置及び第2位置のいずれに位置する場合でも、弁体内に薬液が滞留するデッドスペースは生じない。
【0019】
このように、本発明によれば、第2導入管や弁体内に薬液の滞留を生じさせることなく、スムーズな薬液の供給を行うことができる。
【0020】
本発明においては、前記第2周回溝は、前記第1周回溝の終端よりも幅が広くて浅い一定の幅及び深さを有するものであってもよい。これによれば、第2導入管から導出管への薬液の流れをスムーズなものとすることができる。したがって、上述の本発明の効果を高めることができる。
【0021】
本発明においては、前記第1周回溝は、始端部が、前記主流路の一端の開口部を同心円状に囲むように形成された、該開口部よりも径が大きな半円筒状の内壁を有し、終端部が、該半円筒状内壁よりも径が小さい半円筒状又は部分球面状の内壁を有し、前記第2周回溝は、始端部が、前記第1周回溝終端部の内壁を同心円状に囲むように形成された、該内壁よりも径が大きい半円筒状の内壁を有し、終端部が、前記主流路の他端の開口部を同心円状に囲むように形成された、該開口部よりも径が大きな半円筒状の内壁を有していてもよい。
【0022】
これによれば、第1導入管や第2導入管に供給される薬液が、主流路や、第1周回溝、第2周回溝を経て導出管に至るスムーズな薬液の流れを形成することができる。したがって、上述の本発明の効果を高めることができる。
【0023】
また、本発明においては、前記第1周回溝の終端部は、該第1周回溝の始端側からの液流を、前記弁体の径方向外方へ導く形状を有することを特徴とする。これによれば、上述の第1周回溝の終端部から第2導入管内への薬液の突入がスムーズに行われるようにすることができる。したがって、上述の本発明の効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る三方活栓の平面図である。
【図2】図1の平面断面図である。
【図3】図1の三方活栓における弁体及びハンドル部分の斜視図である。
【図4】図1の三方活栓における周回溝を展開した状態の平面図及び断面図である。
【図5】図1の三方活栓において弁体が第1位置に位置するときに薬液が供給される様子を示す断面図である。
【図6】図1の三方活栓において弁体が第2位置に位置するときに薬液が供給される様子を示す断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係る三方活栓の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る三方活栓の平面図である。図2は図1の平面断面図である。これらの図に示すように、この三方活栓1は、円筒状の基部2と、基部2に対して相対的に回動し得るように基部2の内面により側面が支持された円柱状の弁体3と、基部2の内面に開口して径方向外方に延びる第1導入管4、第2導入管5及び導出管6とを備える。
【0026】
第1導入管4及び第2導入管5は、それぞれメスルアーコネクタを構成する。第2導入管5には、オスルアーコネクタを挿入することにより流路が解放される閉鎖弁7が設けられる。導出管6はオスルアーコネクタを構成する。弁体3には、弁体3を回動させるためのハンドル8が設けられる。また、弁体3には、弁体3の軸線に直交する方向に貫通する主流路9が設けられる。
【0027】
第1導入管4、第2導入管5及び導出管6の各基端は、この順番で、基部2の一方の円周方向周りに90°間隔で位置する。主流路9は、弁体3が所定の第1位置に位置するときに第1導入管4及び導出管6と一直線上に位置する。図2では、弁体3が第1位置に位置している状態が示されている。また、主流路9は、弁体3が第1位置から前記一方の円周方向周りに90°回動した第2位置(図6)に位置するときに第2導入管5と一直線上に位置する。
【0028】
図3は弁体3及びハンドル8部分の斜視図である。図3に示すように、弁体3の側面には、主流路9の一端から前記一方の円周方向周りで他端に至る周回溝10が形成される。なお、図3においては、第1導入管4及び第2導入管5の内面が、想像線(二点差線)で示されている。
【0029】
図4(a)は、周回溝10の平面図である。図4(b)は図4(a)のA−A線断面図である。ただし、これらの図においては、弁体3の側面を平面状に展開した状態で示している。これらの図に示すように、周回溝10は、主流路9の一端の開口部9aから周回溝10の中間位置に至る第1周回溝11と、該中間位置から主流路9の他端の開口部9bに至る第2周回溝12とを備える。
【0030】
第1周回溝11は、主流路9の一端の開口部9a側から前記中間位置側にかけて徐々に幅が狭くかつ深くなる形状を有する。第2周回溝12は、第1周回溝11の終端よりも幅が広くて浅い一定の幅及び深さを有する。したがって、第1周回溝11から第2周回溝12へ移行する周回溝10の中間位置には、深い第1周回溝11の終端部から、浅い第2周回溝12の始端部へ移行する部分としての段差が形成される。
【0031】
また、第1周回溝11の始端部は、主流路9の一端の開口部9aよりも径が大きな半円筒状の内壁11aを有する。半円筒状内壁11aは、弁体3の径方向外方から見ると、開口部9aを同心円状に囲むように位置している。図3に示されるように、半円筒状内壁11aは、第1導入管4の基部2内面での開口と、径及び中心軸が一致する。第1周回溝11の終端は、半円筒状内壁11aよりも径が小さい半円筒状又は部分球面状の内壁11bを有する。
【0032】
第2周回溝12の始端部は、内壁11bよりも径が大きい半円筒状の内壁12aを有する。半円筒状内壁12aは、内壁11bに対し、弁体3の径方向外方に位置する。半円筒状内壁12aは、弁体3の径方向外方から見ると、内壁11bを同心円状に囲むように位置している。半円筒状内壁12aは、第2導入管5の基部2内面での開口と、径の大きさ及び中心軸が一致する。
【0033】
このように、第1周回溝11及び第2周回溝12は、周回溝10の中間において、重複した部分を有する。そして、この重複部分において、第1周回溝11から第2周回溝12にかけて、上述の段差が形成されている。
【0034】
第2周回溝12の終端は、主流路9の他端の開口部9bよりも径が大きな半円筒状の内壁12bを有する。半円筒状内壁12bは、弁体3の径方向外方から見ると、開口部9bを同心円状に囲むように位置している。半円筒状内壁12bは、導出管6の基部2内面での開口と、径及び中心軸が一致する。主流路9の径は、第1導入管4の基部2内面における開口の径の1/2以下である。
【0035】
第1周回溝11の終端は、第1周回溝11の始端側からの薬液の流れを、弁体3の径方向外方へ導く形状を有する。具体的には、例えば、内壁11bから隣接する第1周回溝11の底面にかけて、曲面11cが形成される。
【0036】
図5は弁体3が第1位置に位置するときに薬液が供給される様子を示す。また、図6は弁体3が第2位置に位置するときに薬液が供給される様子を示す。
【0037】
弁体3が第1位置に位置するときには、図5のように、主流路9が第1導入管4及び導出管6と一直線上に位置する。第1周回溝11の始端は、第1導入管4の基部2内面での開口部分に位置し、終端は、第2導入管5の基部2内面での開口部分に位置する。また、第2周回溝12の始端は、第2導入管5の基部2内面での開口部分に位置し、終端は、導出管6の基部2内面での開口部分に位置する。
【0038】
このため、第1導入管4及び導出管6は、主流路9及び周回溝10によって接続され、第2導入管5は、第2周回溝12によって導出管6に接続された状態となる。したがって第1導入管4に供給される薬液は、主流路9及び周回溝10を経て導出管6に供給され、第2導入管5に供給される薬液は、第2周回溝12を経て導出管6に供給される。
【0039】
ただし、第2導入管5が閉鎖弁7で閉鎖されている場合には、図5において薬液の流線を示している矢印で示されるように、第1導入管4からの薬液のみが、主流路9及び周回溝10を経て導出管6に供給される。このとき、周回溝10を経て供給される薬液は、途中で第1周回溝11の終端から第2導入管5へ突入し、第2導入管5内をフラッシングしてから第2周回溝12を経て導出管6に導出される。
【0040】
一方、弁体3が第2位置に位置するときには、図6のように、主流路9が第2導入管5と一直線上に位置する。このため、第2導入管5は、主流路9及び第2周回溝12を通るルートと、第1周回溝11を通るルートの2つのルートによって導出管6に接続された状態となる。したがって、この場合、第2導入管5に供給される薬液を、この2つのルートを経て導出管6に供給することができる。
【0041】
この構成において、輸液を行うに際しては、輸液バッグ等に接続された可撓性管路が第1導入管4に接続される。第2導入管5には、シリンジが挿入される。導出管6には、患者の静脈に留置された留置針に接続された可撓性管路が接続される。また、ハンドル8により、弁体3が、図5で示される第1位置に位置される。そして、第1導入管4に対し、可撓性管路を介して点滴等の薬液が供給される。また、第2導入管5には、シリンジ内の他の薬液が供給される。
【0042】
このとき、第1導入管4に供給される薬液は、主流路9及び周回溝10を経て導出管6に供給される。一方、第2導入管5に供給される薬液は、第2周回溝12を経て導出管6に供給される。したがって、弁体3内にデッドスペースが生じて薬液が滞留することなく、両薬液は導出管6に供給され、混合されて、患者の静脈に投入される。
【0043】
その後、シリンジ内の薬液が無くなったことに応じてシリンジが第2導入管5から引き抜かれると、閉鎖弁7により第2導入管5が閉鎖される。この後、第1導入管4からの薬液の供給が継続されるが、その際、第1周回溝11を流動してくる第1導入管4からの薬液は、内壁11bに当たって流れの方向が変化し、第2導入管5内へ突入する。
【0044】
突入した薬液は、図5のように、第2導入管5内をフラッシングしながら、第2周回溝12を経て導出管6へ供給される。このため、第2導入管5がデッドスペースとなって、そこに薬液が滞留することはない。
【0045】
その後、再度、シリンジを第2導入管5に挿入して閉鎖弁7を押し開き、シリンジから薬液を供給する場合には、第2導入管5内に滞留している薬液は無いので、滞留薬液による影響なく、薬液の供給が行われる。
【0046】
一方、第2導入管5のみから薬液を導出管6に供給する場合には、ハンドル8により、弁体3が、図6のように、第2位置に位置される。この場合、第2導入管5を経て供給される薬液は、主流路9及び第2周回溝12を通るルートと、第1周回溝11を通るルートとの2つのルートを経て導出管6に供給される。したがって、弁体3内にデッドスペースが生じて薬液が滞留するおそれはない。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、弁体3を貫通する主流路9と、その両端を連絡する周回溝10とを介して第1導入管4及び第2導入管5から導出管6への接続を選択的に切り換えて行うとともに、周回溝10を前半部分の第1周回溝11と、後半部分の第2周回溝12とで構成し、第1周回溝11として、徐々に幅が狭くかつ深くなる形状のものを採用したため、次のような効果を得ることができる。
【0048】
すなわち、弁体3が第1位置又は第2位置のいずれに位置する場合でも、弁体3内にデッドスペースが生じるのを回避することができる。また、弁体3が第1位置に位置するときでも、第2導入管5がフラッシングされるので、第2導入管5がデッドスペースとなって、そこに薬液が滞留するのを防止することができる。したがって、滞留していた薬剤が急激に投与されることにより薬効に障害が生じるのを防止することができる。
【0049】
また、主流路9及び周回溝10を介して、第1導入管4及び第2導入管5から、十分な量の薬液をスムーズに導出管6に供給することができる。
【0050】
また、第1周回溝11及び第2周回溝12の始端部及び終端部を、上述の半円筒状内壁11a、11b、12a、12bで構成するようにしたため、主流路9や、第1周回溝11、第2導入管5、第2周回溝12を経て導出管6に至るスムーズな薬液の流れを形成することができる。したがって、上述のフラッシングによる効果や、十分な量の薬液をスムーズに供給できる効果をさらに高めることができる。
【0051】
また、第1周回溝11の終端部を、第1周回溝11の始端側からの液流を、弁体3の径方向外方へ導く形状に形成するようにしたため、上述の第1周回溝11の終端部から第2導入管5内への薬液の突入を支障なく実現することができる。したがって、上述のフラッシングによる効果や、十分な量の薬液をスムーズに供給できる効果をさらに高めることができる。
【0052】
図7は、本発明の別の実施形態に係る三方活栓の平面断面図である。この三方活栓71は、上述実施形態の三方活栓1とは、第2導入管の形態のみが異なる。すなわち三方活栓71の第2導入管75は、三方活栓1の第2導入管5とは異なり、閉鎖弁7が設けられておらず、メスルアーコネクタのみで構成される。
【0053】
この場合も、弁体3が第2位置に位置し、第2導入管75のみから導出管6へ薬液が供給される図7の状態において、第1導入管4のみから導出管6へ薬液を供給するために、弁体3が第1位置に位置されたとき、上述の図5で示される場合と同様に、第1導入管4からの薬液により第2導入管75がフラッシングされるので、第2導入管75がデッドスペースとなってそこに薬液が滞留するのを防止することができる。
【0054】
他の点については、上述図1〜図6の実施形態の場合と同様であり、同様に、デッドスペースが弁体3に生じるおそれなく、十分な薬液を、第1導入管4及び第2導入管75から導出管6へスムーズに供給することができる。
【0055】
なお、本発明は上述実施形態に限定されない。例えば、上述においては、ハンドル8側から見て反時計回りに第1導入管4、第2導入管5又は75、及び導出管6をこの順で配置し、これに合わせて該反時計回りに、第1周回溝11及び第2周回溝12をこの順で配置するようにしているが、これとは逆に、時計回りに、これらの要素を配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,71…三方活栓、2…基部、3…弁体、4…第1導入管、5…第2導入管、6…導出管、9…主流路、10…周回溝、11…第1周回溝、11a…半円筒状内壁、11b…内壁、12…第2周回溝、12a…半円筒状内壁、12b…半円筒状内壁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の基部と、
前記基部に対して相対的に回動し得るように該基部の内面により側面が支持された円柱状の弁体と、
前記基部の内面に開口して径方向外方に延びる第1導入管、第2導入管及び導出管とを備え、
前記弁体には、該弁体の軸線に直交する方向に貫通する主流路が設けられ、
前記第1導入管、第2導入管及び導出管の各基端は、この順番で、前記基部の一方の円周方向周りに90°間隔で位置し、
前記主流路は、前記弁体が所定の第1位置に位置するときに前記第1導入管及び導出管と一直線上に位置し、該第1位置から前記円周方向周りに90°回動した第2位置に位置するときに前記第2導入管と一直線上に位置し、
前記弁体の側面には、前記主流路の一端から前記円周方向周りで他端に至る周回溝が形成され、
前記周回溝は、前記主流路の一端から該周回溝の中間位置に至る第1周回溝と、該中間位置から前記主流路の他端に至る第2周回溝とを備え、
前記第1周回溝は、前記主流路の一端側から前記中間位置側にかけて徐々に幅が狭くかつ深くなる形状を有することを特徴とする三方活栓。
【請求項2】
前記第2周回溝は、前記第1周回溝の終端よりも幅が広くて浅い一定の幅及び深さを有することを特徴とする請求項1に記載の三方活栓。
【請求項3】
前記第1周回溝は、始端部が、前記主流路の一端の開口部を同心円状に囲むように形成された、該開口部よりも径が大きな半円筒状の内壁を有し、終端部が、該半円筒状内壁よりも径が小さい半円筒状又は部分球面状の内壁を有し、
前記第2周回溝は、始端部が、前記第1周回溝終端部の内壁を同心円状に囲むように形成された、該内壁よりも径が大きい半円筒状の内壁を有し、終端部が、前記主流路の他端の開口部を同心円状に囲むように形成された、該開口部よりも径が大きな半円筒状の内壁を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の三方活栓。
【請求項4】
前記第1周回溝の終端部は、該第1周回溝の始端側からの液流を、前記弁体の径方向外方へ導く形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の三方活栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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