説明

三次元レリーフの製造方法および装置

【課題】従来よりも立体感をより一層得ること。
【解決手段】原画像に基づいて当該原画像を立体的に表現した三次元レリーフを製造する方法であって、原画像に対して、当該原画像に含まれる輪郭線を用いて複数の領域に区画し、原区画画像を作成するステップ(#13)と、原区画画像に対して、区画した領域を修正して修正区画画像を作成するステップ(#14)と、修正区画画像の各領域に対して高さレベルを付与するステップ(#15)と、各領域において付与された高さレベルに応じて、各領域内の部位の高さを決定するステップ(#18)と、決定した高さとなるようにレリーフ材料を加工し、原画像についての凹凸を有する三次元レリーフ原形を作成するステップ(#19)と、三次元レリーフ原形に対して、原画像に基づく画像印刷を行うことによって着色を行うステップ(#20)とを有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元の原画像から凹凸を有する三次元レリーフを製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、美術品である絵画、彫刻などを三次元レリーフとして複製したものがある。また、人物や風景、または山や谷などの自然の地形の2次元画像に基づいて三次元レリーフを復元したものも知られている。
【0003】
このような三次元レリーフを自動的に製造する加工システムが提案されている(特許文献1)。つまり、特許文献1によると、デジタルカメラなどによってレリーフのモチーフとなる画像を入力すると、各画素の色調データに基づいて算出された階調データに基づきレリーフの高さを表すZ座標データが設定され、各画素の二次元位置データD(x,y)に基づきレリーフの平面位置を表すX−Y座標データが設定される。そして、これらをXYZ座標とする三次元形状データに基づいて工具のカッターパスが算出され、算出されたカッターパスに基づいて、被加工物の表面がNC加工機により研削加工される。
【0004】
NC加工機で表面を研削された被加工物に対し、画素情報の二次元位置データと対応する位置に、色調データで表された色乃至明るさのインクを噴霧して着色を行う。
【0005】
また、インク吐出量の制御などの濃度制御をより正確に行うことによって原画像に一層忠実な三次元レリーフを作成する方法を、本出願人は先に提案した(特許文献2)。
【特許文献1】特開平9−311707
【特許文献2】特開2007−331257
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、三次元レリーフのための原画像として、例えば、建築物の現物を撮影して得られた写真画像、または建築物を描いた絵画などが用いられることがある。これら写真画像や絵画を原画像として用いた場合に、その原画像から得られる遠近感をそのまま三次元レリーフに適用しても、実際には立体感に欠ける三次元レリーフしか作成できないことがある。
【0007】
特に、正面から見た縦寸法および横寸法に比べて厚さ寸法が大幅に少ない三次元レリーフでは、見た目の立体感、または奥行き感をどのようにして得るかということが重要である。
【0008】
また、写真画像を原画像とした場合には、撮影時の光線に応じた陰影が写るため、この陰影を旨く処理する必要がある。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、従来よりも立体感をより一層得ることのできる三次元レリーフの製造方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る方法は、原画像に基づいて当該原画像を立体的に表現した三次元レリーフを製造する方法であって、前記原画像に対して、当該原画像に含まれる輪郭線を用いて複数の領域に区画し、原区画画像を作成するステップと、前記原区画画像に対して、区画した領域を修正して修正区画画像を作成するステップと、前記修正区画画像の各領域に対して高さレベルを付与するステップと、各領域において付与された高さレベルに応じて、各領域内の部位の高さを決定するステップと、決定した高さとなるようにレリーフ材料を加工し、前記原画像についての凹凸を有する三次元レリーフ原形を作成するステップと、前記三次元レリーフ原形に対して、前記原画像に基づく画像印刷を行うことによって着色を行うステップとを有してなる。
【0011】
好ましくは、前記高さレベルをグレースケールを用いて示す濃淡画像を作成するステップと、前記濃淡画像を視認可能なように表示するステップとを有する。
【0012】
また、前記修正区画画像を作成するステップにおいて、1つの平面を構成する部分が1つの領域となるように区画を修正する処理を含んでもよい。
【0013】
また、前記原画像がカラー画像である場合に、当該原画像をモノクロ画像に変換するステップを含んでもよく、前記原区画画像を作成するステップにおいては、前記モノクロ画像を原画像として用いる。
【0014】
また、前記着色を行うステップにおいて、各部の画像に対して形状を強調するための陰影を付与してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、従来よりも立体感をより一層得ることのできる三次元レリーフの製造方法および装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明に係る三次元レリーフ製造装置1の全体の構成を示す図、図2は原画像GFの例を示す図、図3は図2に示す原画像GFに対応する高さ画像TFの例を示す図、図4は図2に示す原画像GFの1つの窓の部分を拡大して示す図、図5は図4に対応する原区画画像KFの例を示す図、図6は図5に対応する修正区画画像SFの例を示す図、図7は図6に示す修正区画画像SFに高さを付与した状態を説明する図、図8は図7に対応する高さ画像TFの例を示す図、図9はパターンの例を示す図、図10はある領域AR14において柱の画像に陰影を付した様子を示す図である。
【0017】
図1において、三次元レリーフ製造装置1は、画像処理のためのコンピュータ10、入力装置21、表示装置22、プリンタ23、および加工装置24などからなる。
【0018】
コンピュータ10は、CPUやDSPなどによる処理装置、半導体メモリや磁気ディスクなどの記憶装置、および種々のインタフェース回路などを含んで構成されている。
【0019】
コンピュータ10は、入力装置21から入力される指令またはデータなどに応じて、三次元レリーフの製造のために必要な処理を行い、例えば図2に示すような原画像GFに基づいて図3に示すような高さ画像TFを生成する。
【0020】
入力装置21は、キーボードやマウスなどである。なお、コンピュータ10および入力装置21などのために、パーソナルコンピュータを用いることが可能である。
【0021】
表示装置22は、原画像GF、モノクロ画像GFM、エッジ画像、原区画画像KF、修正区画画像SF、高さ画像TF、および濃淡画像TFNなどを表示し、その他の必要な画像やメッセンジなどを表示する。
【0022】
プリンタ23は、インクジェットプリンタであり、加工装置24で加工された三次元レリーフ原形RGに対し、その表面に、原画像GFに基づく画像印刷を行うことによって着色を行う。プリンタ23は、例えば、Y,M,C,Kの各色のインクを保持し、原画像GFの色データに応じて、高速でパルス状に微量のそれぞれのインクを噴射し、三次元レリーフ原形RGの凹凸の表面にフルカラーの画像を生成する。プリンタ23の基本的な機能としては、従来から存在する種々の公知のインクジェットプリンタを用いることができる。
【0023】
加工装置24は、制御データに基づいて、レリーフ材料RZに対して数値制御による加工を施し、原画像GFについての三次元レリーフ原形RGを作成する。加工装置24として、種々のNC旋盤、マシニングセンター、レーザ加工機、サンドブラスト、ルーターなどを用いることが可能である。なお、レリーフ材料RZには、材木、石膏、大理石、合成樹脂、または金属など、種々の材料が用いられる。レリーフ材料RZの形状として、板状、直方体状、円柱状、各柱状、球状など、種々の形状のものが用いられる。三次元レリーフ原形RGは、レリーフ材料RZに加工を施したものであるから、加工された表面は、通常、レリーフ材料RZと同じ色である。
【0024】
さて、コンピュータ10の内部には、原画像格納部11、カラーモノクロ変換部12、エッジ検出部13、原区画画像格納部14、領域修正部15、修正区画画像格納部16、高さ付与部17、高さ画像格納部18、高さデータ格納部19、および制御データ出力部20などが機能的に形成されている。これらの各機能は、コンピュータ10の内部のメモリに記憶されたプログラムをCPUやDSPが実行することにより、または適当な回路素子などが協働することによって、ソフトウエア的またはハードウエア的に実現される。
【0025】
原画像格納部11は、原画像GFを格納する。なお、原画像GFは画像データであるが、画像データの元になった画像を指すこともある。また、特に視覚可能な画像と画像データとを区別する際には、「原画像データGF」「原画像GFのデータ」「画像データ」などと記載することがある。他の画像についても同様である。
【0026】
さて、原画像GFとして、人物、動物、建築物、風景など、また、山や谷などの自然の地形の鳥瞰図や航空写真など、種々の画像が用いられる。
【0027】
原画像GFは、X方向およびX方向に直交するY方向にマトリックス状に配列された多数の画素GSからなる2次元画像である。各画素GSは、色情報CDを持つ。色情報CDは濃度情報を含む。例えば、各画素GSが、RGBまたはCMYKなどで表現されている場合は、各原色の濃度情報によって各画素GSの色、つまり、色相、彩度、および明度が決定される。画素GSは他の表色系のデータによって表現されていてもよい。
【0028】
このような原画像GFを得るために、それらの実物をデジタルカメラやビデオカメラなどによって撮影してもよい。また、既に撮影された写真や印刷物などをスキャナなどで読み取ってデジタル化してもよい。また、既にデジタル化されて画像データとなった原画像GFを、CD−ROMやメモリチップなどの記憶媒体を介して、またはネットワークからダウンロードして取得することも可能である。また、コンピュータ10の内部において、種々のアプリケーションを用いて原画像GFを生成してもよい。
【0029】
なお、原画像GFは、ビットマップ状のデータとして格納しておいてもよいが、適当な圧縮方法によって圧縮された圧縮データとして格納しておいてもよい。原画像GFは、通常、フルカラー画像であるが、モノクロ画像でもよい。
【0030】
カラーモノクロ変換部12は、原画像GFがカラー画像であった場合に、それをモノクロ画像に変換する。その場合に、例えば、原画像GFの濃度情報(明度情報)を用いて、各画素についての濃度情報のみからなるモノクロ画像GFMを生成する。原画像GFがモノクロ画像であった場合には、原画像GFをそのままモノクロ画像GFMとして用いる。
【0031】
エッジ検出部13は、モノクロ画像GFMに対して、当該モノクロ画像GFMに含まれるエッジ(輪郭線)を用いて複数の領域ARに区画し、原区画画像KFを作成する。原区画画像KFの例が図5に示されている。
【0032】
すなわち、エッジ検出部13は、モノクロ画像GFMに対してエッジ検出処理を施し、画像内におけるエッジを検出する。エッジ検出処理は、それ自体は公知の処理であり、例えば、画像における濃度の変化度合いが予め設定されたしきい値よりも大きい部分を画像のエッジとして検出する。検出されたエッジにより構成される画像がエッジ画像である。エッジ画像は、表示装置22に表示される。
【0033】
エッジ画像は、原区画画像KFとして原区画画像格納部14に格納される。その際に、エッジ画像のみではエッジまたはライン(線分)が不足して領域ARを区画する区画線とはならない部分などについて、必要なラインを補って原区画画像KFを生成する処理などを行うことがある。このようなエッジ検出を自動的に行ってもよいが、エッジ検出を自動的に行うことなく、モノクロ画像GFMを表示した状態で、ユーザがモノクロ画像GFMを見ながら入力装置21による操作を行ってエッジ画像を生成してもよい。
【0034】
領域修正部15は、原区画画像KFに対して、区画した領域ARを修正して修正区画画像SFを作成する。このとき、例えば、原区画画像KFにおいて1つの平面を構成する部分が、1つの領域ARとなるように、区画を修正する。
【0035】
これは、例えば、建築物の壁面などにおいて、1つの平面であるにも係わらず、レイトレースによる陰影に基づく画像のエッジによってその1つの平面が2つの領域ARに分割されている場合に、その2つの領域ARを1つの領域ARに統合する。
【0036】
また、これとは逆に、壁面と壁面から浮き出た柱面とによる異なる2つの平面であるにも係わらず、レイトレースによる光沢によってそれらの間にエッジが検出されず、そのため2つの異なる平面が1つの領域ARとして繋がってしまっている場合に、その1つの領域ARを壁面と柱面との境界線によって2つの領域ARに分割する。
【0037】
例えば、図5におけるラインLN1,2,3などは、画像の陰影によるエッジに基づくものであり、これらのラインLN1,2,3を取り除く。これによって陰影のみによって区画されていた領域などが消滅する。例えば、ラインLN1が取り除かれることによって、領域AR11と領域AR13とが統合され、領域AR11となる。また、領域AR21は消滅し、領域AR11に合体する。
【0038】
また、図5においては、図の右側において光線により輝度が高まっており、そのため壁面と柱面との境界部分にエッジが検出されていない。これに対して、図6に示すように、壁面と柱面との境界部分にラインLN4を追加する。これによって、壁面である領域AR11が分割され、領域AR11の一部であった柱面の領域AR12が分離される。
【0039】
このような処理は、表示装置22に表示されたそれらの画像をユーザが見ながら手動で行うことも可能であり、また、適当な画像処理により行うことも可能である。
【0040】
修正区画画像格納部16は、修正によって生成された修正区画画像SFを格納する。
【0041】
高さ付与部17は、修正区画画像SFの各領域ARに対して、高さレベルTLを付与する。
【0042】
すなわち、高さ付与部17は、修正区画画像SFにおける区画された各領域ARに対して高さレベルTLを付与する。高さレベルTLの付与は、ユーザが手動で行ってもよく、または画像内における領域ARの状態をコンピュータ10で認識させることにより自動で行ってもよい。
【0043】
図7に示す例では、高さレベルTLは、例えば1〜10の10段階に設定されており、それぞれの領域ARに1〜10のいずれかの高さレベルTLが付与されている。高さレベルTLは、その領域ARにおける最大の高さを規定するものであり、「1」が最も高く、「10」が最も低い。したがって、例えば、背景領域(背景部、背景位置)は、高さレベルTLが「10」である。
【0044】
図7の例では、領域AR11には「8」、領域AR12には「4」、領域AR14には「3」、領域AR15には「4」、領域AR16には「3」が、それぞれ付与されている。
【0045】
なお、本実施形態において、高さレベルTLは、図6に示す修正区画画像SFについて、示された修正区画画像SFの内部での相対的な高さに応じて付与されている。例えば、領域AR11は、原画像GFの全体からすれば手前に位置しているので高さレベルTLはもっと小さい値であるが、図6に示す修正区画画像SFにおいては奥側に位置しているので高さレベルTLが大きくなっている。
【0046】
また、原画像GFにおける奥側に位置する窓についても、例えば領域AR14に対応する領域ARに図7と同じ高さレベルTLである「3」を付与することにより、そのような奥側に位置する窓であっても、領域AR14に対応する領域ARが奥側に沈んでしまうことがない。
【0047】
このように、高さレベルTLの決定に当たり、原画像GFの全体における各部の高さに応じて高さレベルTLを決定するのでなく、限られた範囲内における各部の高さに応じて高さレベルTLを決定することにより、より深く奥行き感が強調され、より一層の奥行き感または立体感を表現することができる。
【0048】
したがって、三次元レリーフRRの厚さ寸法に限界があることによる制約に対して、各部の凹凸の変化つまり段差の大きさが大きくなり、視覚的に強調されて立体感を増大させることができる。
【0049】
なお、高さレベルTLの段階の個数、高さレベルTLとして付与する符号または記号、それら符号または記号に与える意味付けなどは、種々のものを採用することができる。
【0050】
また、図7で示した高さ画像TFに対し、それぞれの高さレベルTLをグレースケールを用いて濃淡で表し、これによって濃淡画像TFNが作成される。濃淡画像TFNは、表示装置22によって、ユーザが視認可能なように表示される。
【0051】
濃淡画像TFNの例が図8に示されている。図8の濃淡画像TFNは、図7の高さ画像TFに対応するものではあるが、正確には対応していない。
【0052】
図8において、高さレベルTLが小さい領域ARは濃度が低く(明るく)、高さレベルTLが大きい領域ARは濃度が高く(暗く)、それぞれ表示されている。
【0053】
ユーザは、この濃淡画像TFNを見て、その奥行き感を直観的に把握することができる。ユーザは、必要に応じて、付与した高さレベルTLを変更することができる。
【0054】
高さデータ格納部19には、高さレベルTLに対応した高さデータTDが格納されている。高さデータTDは、高さレベルTLを実際の高さの寸法に近づけるためのデータである。例えば、レリーフ材料RZの厚さ寸法または最大の彫り深さなどに基づいて、各高さレベルTLにおける彫り深さ寸法が決定され、高さデータTDとして格納されている。
【0055】
高さデータTDとして、例えば、256階調(8ビット)、64階調(6ビット)などのデータが用いられる。高さデータTDは、例えば、最も低い位置(例えば背景位置)から最も高い位置までの間における位置を示す。また、高さデータTDが、最も低い位置からの距離を直接的に示すようにしてもよい。
【0056】
また、高さデータTDを算出するための演算式を、高さデータ格納部19に格納しておいてもよい。
【0057】
また、例えば、図9に示すように、高さレベルTLが付与された領域ARにおける高さデータTDの生成のパターンに関して複数のパターンPT1〜6を予め登録しておく。そして、それぞれの領域ARについて、登録された複数のパターンPT1〜6の中から、ユーザにより手動でまたは自動的に、1つのパターンPTを選択する。選択されたパターンPTに基づいて、各部(各画素GS)の高さデータTDを算出して決定する。
【0058】
例えば、図9のパターンPT1が選択された場合は、その領域ARにおける中央位置を高さレベルTLで指定される最大の高さとし、その周辺に向かうにしたがって、パターンPT1で示されるように円弧状に高さが低下していく。また、図9のパターンPT2が選択された場合は、その領域ARの中央位置から周辺に向かうにしたがってパターンPT2で示されるように直線状に高さが低下していく。また、図9のパターンPT6が選択された場合は、その領域ARの中央位置は平であり、周辺において直線状に高さが低下していく。
【0059】
制御データ出力部20は、高さデータ格納部19に格納された高さデータTDに基づいて、高さ画像格納部18に格納された高さ画像TFの各領域ARに対し、付与された高さレベルに応じた高さを決定し、制御データDCとして外部に出力する。なお、制御データ出力部20は、各領域ARに付与された高さレベルTLを、そのまま制御データDCとして出力してもよい。
【0060】
加工装置24は、コンピュータ10から出力された制御データDCに基づいて、レリーフ材料RZに対して加工を行い、原画像GFについての凹凸を有する三次元レリーフ原形RGを作成する。その際に、制御データDCを、必要に応じて数値制御のためのデータに変換する。
【0061】
プリンタ23は、三次元レリーフ原形RGに対して、原画像GFに基づく画像印刷を行うことによって着色し、三次元レリーフRRを完成させる。
【0062】
上に述べた三次元レリーフの製造方法による三次元レリーフRRでは、従来よりも立体感をより一層得ることができる。
【0063】
なお、奥行き感をさらに一層強くするために、ある一定の場所に光源を置くことを仮想し、全体にレイトレースを仮想し、それに対して陰影またはハイライト部分などを強調してもよい。
【0064】
また、三次元レリーフ原形RGに対しプリンタ23で印刷を行う際に、各部の画像に対して形状を強調するための陰影を付与してもよい。つまり、原画像GFをそのままの状態で印刷するのではなく、高さ画像TFでの各領域ARに対応して陰影とハイライト部とを強調するように印刷するのである。
【0065】
例えば、図7の高さ画像TFの領域AR14は、円柱状の柱の画像であるが、図10に示すように、この領域AR14について、その横方向における中央部分(つまり円柱の正面部分)をハイライトとし、両端部分(つまり周側面部分)に陰影NE1,2を印刷する。これによって、同じ領域AR14でありながら、印刷された陰影NE1,2によって立体感がより一層強調されることとなる。
【0066】
また、画像が円周面の内側である場合にも、これと同様に陰影NEを印刷することによって立体感を強調することができる。
【0067】
次に、三次元レリーフ製造装置1の全体的な動作について、フローチャートを参照して説明する。
【0068】
図11は三次元レリーフ作成装置1の全体の動作の流れを示すフローチャートである。
【0069】
図11において、原画像GFを取得し(#11)、原画像GFがカラー画像である場合に当該原画像GFをモノクロ画像GFMに変換する(#12)。モノクロ画像GFMを含む原画像GFに含まれるエッジを用いて、複数の領域ARに区画し、原区画画像KFを作成する(#13)。
【0070】
原区画画像KFに対して、区画した領域ARを修正して修正区画画像SFを作成する(#14)。修正区画画像SFの各領域ARに対して、高さレベルTLを付与する(#15)。高さレベルTLをグレースケールを用いて示す濃淡画像TFNを作成する(#16)。濃淡画像TFNを視認可能なように表示装置22で表示する(#17)。各領域ARにおいて付与された高さレベルTLに応じて、各領域AR内の部位の高さを決定する(#18)。決定した高さとなるようにレリーフ材料RZを加工し、原画像GFについての凹凸を有する三次元レリーフ原形RGを作成する(#19)。三次元レリーフ原形RGに対して、原画像GFに基づく画像印刷を行うことによって着色する(#20)。
【0071】
上に述べた実施形態において、各ステップを適当に省略しまたは別のステップを追加することも可能である。
【0072】
その他、コンピュータ10または三次元レリーフ製造装置1の全体または各部の構成、形状、寸法、個数、材質、原画像GFなどの内容、コンピュータ10における処理内容、処理順序などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る三次元レリーフ製造装置の全体の構成を示す図である。
【図2】原画像の例を示す図である。
【図3】図2に示す原画像に対応する高さ画像の例を示す図である。
【図4】図2に示す原画像の1つの窓の部分を拡大して示す図である。
【図5】図4に対応する原区画画像の例を示す図である。
【図6】図5に対応する修正区画画像の例を示す図である。
【図7】図6に示す修正区画画像に高さを付与した状態を説明する図である。
【図8】図7に対応する高さ画像の例を示す図である。
【図9】パターンの例を示す図である。
【図10】ある領域において柱に陰影を付した様子を示す図である。
【図11】三次元レリーフ作成装置の全体の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 三次元レリーフ製造装置
10 コンピュータ
11 原画像格納部
12 カラーモノクロ変換部
13 エッジ検出部
14 原区画画像格納部
15 領域修正部
16 修正区画画像格納部
17 高さ付与部
18 高さ画像格納部
19 高さデータ格納部
20 制御データ出力部
21 入力装置
22 表示装置
23 プリンタ
24 加工装置
GF 原画像
GFM モノクロ画像(原画像)
KF 原区画画像
SF 修正区画画像
TF 高さ画像
TFN 濃淡画像(高さ画像)
RR 三次元レリーフ
RG 三次元レリーフ原形
RZ レリーフ材料
TL 高さレベル
AR 領域
LN ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原画像に基づいて当該原画像を立体的に表現した三次元レリーフを製造する方法であって、
前記原画像に対して、当該原画像に含まれる輪郭線を用いて複数の領域に区画し、原区画画像を作成するステップと、
前記原区画画像に対して、区画した領域を修正して修正区画画像を作成するステップと、
前記修正区画画像の各領域に対して高さレベルを付与するステップと、
各領域において付与された高さレベルに応じて、各領域内の部位の高さを決定するステップと、
決定した高さとなるようにレリーフ材料を加工し、前記原画像についての凹凸を有する三次元レリーフ原形を作成するステップと、
前記三次元レリーフ原形に対して、前記原画像に基づく画像印刷を行うことによって着色を行うステップと、
を有してなることを特徴とする三次元レリーフの製造方法。
【請求項2】
前記高さレベルをグレースケールを用いて示す濃淡画像を作成するステップと、
前記濃淡画像を視認可能なように表示するステップと、
を有してる請求項1記載の三次元レリーフの製造方法。
【請求項3】
前記修正区画画像を作成するステップにおいて、1つの平面を構成する部分が1つの領域となるように区画を修正する処理を含む、
請求項1記載の三次元レリーフの製造方法。
【請求項4】
前記原画像がカラー画像である場合に、当該原画像をモノクロ画像に変換するステップを含み、
前記原区画画像を作成するステップにおいては、前記モノクロ画像を原画像として用いる、
請求項1記載の三次元レリーフの製造方法。
【請求項5】
前記着色を行うステップにおいて、各部の画像に対して形状を強調するための陰影を付与する、
請求項1記載の三次元レリーフの製造方法。
【請求項6】
原画像に基づいて当該原画像を立体的に表現した三次元レリーフを製造する装置であって、
前記原画像に対して、当該原画像に含まれる輪郭線を用いて複数の領域に区画し、原区画画像を作成する手段と、
前記原区画画像に対して、区画した領域を修正して修正区画画像を作成する手段と、
前記修正区画画像の各領域に対して高さレベルを付与する手段と、
各領域において付与された高さレベルに応じて、各領域内の部位の高さを決定する手段と、
決定した高さとなるようにレリーフ材料を加工し、前記原画像についての凹凸を有する三次元レリーフ原形を作成する手段と、
前記三次元レリーフ原形に対して、前記原画像に基づく画像印刷を行うことによって着色を行う手段と、
を有してなることを特徴とする三次元レリーフの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−269181(P2009−269181A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118760(P2008−118760)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(591243893)株式会社フオトクラフト社 (26)