説明

三次元造形における切削幅の決定方法及び当該方法に基づく三次元造形方法

【課題】三次元造形方法において、加工表面の精度と切削効率との双方を両立させる場合、又は何れか一方を選択し、他方を無視する場合の何れにも適用可能とするような切削幅決定方法に関する構成を提供すること。
【解決手段】
三次元造形方法において、最大の切削幅をd(max)とし、最少切削幅をd(min)とし、精度に関するウエイト係数、切削速度に関するウエイト係数を設定した場合に、既に工具が移動した前の軌跡と次に工具が移動しようとする軌跡との間隔である切削幅をdとした場合に選択すべき切削幅を前記d(min)及びd(max)との比率と、各ウエイト係数との積に基づく評価函数を定義したうえで、当該評価函数を最小値とするように、切削幅を選択することを基準とする切削幅決定方法及び当該決定に基づく三次元造形方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造形対象物の高さ位置に応じて、二次元方向(平面方向)における閉ループを形成している工具の回転中心部又は工具の当該造形対象物に対する接触位置が移動する複数個の軌跡を外側から内側に向けて設定し、当該複数個の軌跡に沿って工具の回転中心を移動しながら切削を行うことによる三次元造形方法において、切削幅の決定方法及び当該方法に基づく三次元造形方法に関係している。
【背景技術】
【0002】
三次元造形において、工具が予め設定された軌跡に沿って移動する際、被加工物を切削する切削幅は、工具の被加工物に対する押圧力に基づいて選択されることから、切削表面の精度を左右し、一般に切削幅が大きい程当該押圧力が大きいが故に、精度が低下するという関係にある。
【0003】
他方、切削幅は、三次元造形に必要な切削時間をも左右し、切削幅とこれに要する時間とは本来反比例の関係にあり、切削幅が大きい程、切削効率が向上することになる。
【0004】
このように、切削幅は、切削精度及び切削時間を左右する重要な要因であるにも拘らず、双方を考慮したうえで、切削幅をどのように決定するかに関する基準を明らかにすることについては、これまで全く考察及び開発の対象となっていない。
【0005】
現に、特許文献1においては、切削幅については等間隔の場合を前提とした説明が行われており、更には、特許文献2に係る発明もまた切削幅に関連しているにも拘らず、その幅の大きさをどのように選択するかについては、格別の考察が行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−111151号公報
【特許文献2】特開2007−204828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、三次元造形方法において、加工表面の精度と切削効率との双方を両立させる場合、又は何れか一方を選択し、他方を無視する場合の何れにも適用可能とするような切削幅決定方法に関する構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、
(1)造形対象物の高さ位置に応じて、二次元方向(平面方向)における閉ループを形成している複数個の工具の回転中心部又は工具の当該造形対象物に対する接触位置が移動する軌跡を外側から内側に向けて設定し、当該複数個の軌跡に沿って工具の回転中心を移動しながら切削を行うことによる三次元造形方法であって、切削表面の精度を最大限の状態とするために必要な最少切削幅をd(min)とし、切削に使用する工具及び当該工具を移動させる装置において採用し得る最大の切削幅をd(max)とし、切削表面の精度に関するウエイト係数をwとし、切削速度に関するウエイト係数をwとし、既に工具が移動した前の軌跡と次に工具が移動しようとする軌跡との間隔である切削幅をdとした場合の評価函数
E=(d/d(min))・w+(d(max)/d)・w・・・(a)
を定義し、切削表面の精度及び切削効率の双方を両立させる場合には、切削精度及び切削効率をそれぞれ重視する程度に従って、ウエイト係数w、wにつき、零以外の数値を設定したうえで(但し、d(max)/d(min)>w/w>d(min)/d(max)を不可欠とする。)、
【数1】


を選択し、専ら切削精度を重視し切削効率を無視して良い場合には、w=0と設定したうえで、d=d(min)を選択し、専ら切削効率を重視し切削精度を無視して良い場合には、w=0を設定し、d=d(max)を選択することによって、(a)式による評価函数Eを最小値とすることを基準とする切削幅の決定方法、
(2)造形対象物の高さ位置に応じて、二次元方向(平面方向)における閉ループを形成している複数個の工具の回転中心部又は工具の当該造形対象物に対する接触位置が移動する軌跡を外側から内側に向けて設定し、当該複数個の軌跡に沿って工具の回転中心を移動しながら切削を行うことによる三次元造形方法であって、切削表面の精度を最大限の状態とするために必要な最少切削幅をd(min)とし、切削に使用する工具及び当該工具を移動させる装置において採用し得る最大の切削幅をd(max)とし、切削表面の精度に関するウエイト係数をwとし、工具を移動させる装置において、既に工具が移動した前の軌跡と次に工具が移動しようとする軌跡との間隔である切削幅につき、予め複数個(n)設定している場合における切削幅をd(=1、2・・・n)とした場合の評価函数
=(d/d(min))・w+(d(max)/d)・w・・・(a’)
を定義したうえで(但し、d(max)/d(min)>w/w>d(min)/d(max)を不可欠とする。)、切削表面の精度及び切削効率の双方を両立させる場合には、切削精度及び切削効率をそれぞれ重視する程度に従って、ウエイト係数w、wにつき、零以外の数値を設定したうえで、コンピュータによって評価函数Eを最小値とするような切削幅dを選択し、専ら切削精度を重視し切削効率を無視して良い場合には、w=0と設定したうえで、d=d(min)を選択し、専ら切削効率を重視し切削精度を無視して良い場合には、w=0を設定し、d=d(max)を選択することによって、(a’)式による評価函数Eを最小値とすることに基準とする切削幅決定方法、
(3)被加工物の表面に対応する最内側の軌跡以外の他の軌跡につき、最大の切削幅d(max)を採用し、前記最内側の軌跡につき、前記(1)及び(2)における評価函数を最小値とすることを基準とする切削幅を採用することに基づく三次元造形方法、
からなる。
【発明の効果】
【0009】
前記基本構成(1)、(2)に基づく本発明においては、前記(a)式の評価函数E、(a’)式の評価函数Eを最小値とするという基準に立脚して、切削精度と切削効率との双方を勘案し、双方を所定の数量比にて両立させる一方、切削表面の精度(以下「切削精度」と略称する。)を重視し切削効率を無視することが出来る場合には、最少切削幅d(min)を選択し、逆に切削精度を無視することが出来、切削効率を重視する場合には、最大切削幅d(max)を選択することが出来、その結果、前記基本構成(3)に基づく本考案においては、適切な切削効率と必要な切削精度の双方を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】切削表面による微視的な精度に関する断面図であって、(a)と(b)とは、それぞれ切削幅がより厚いため切削精度がより低い場合、及び切削幅がより薄いため切削精度がより高い場合とを対比することを目的とする図面である。
【図2】基本構成(2)を実現するためのフローチャートである。
【図3】前記基本構成(3)に関する平面図であって、(a)はw、wを零とせずに、評価函数E、又はEを最小値とするような切削幅を選択した場合を示しており、(b)d(min)という切削幅を選択した場合を示している。
【図4】従来技術に基づく所定高さにおける全切削工程の切削幅に関する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
基本構成(1)について説明する。
【0012】
背景技術の項において指摘したように、切削幅が大きくなるに従って切削表面における精度が低下する。
【0013】
即ち、図1(a)、(b)に示すように、切削幅の大きい図1(a)の場合に比し、切削幅が小さい図1(b)の場合の方が表面における微小な凹凸の程度も小さくなり、かつ表面精度が向上する。
【0014】
JIS B0601に規定するように、表面における粗さRの設定基準については、凸部の最大幅、凸部及び凹部の最大幅は、凹凸の絶対値の平均値、凹凸による二乗平方根による標準偏差値等が設定されている。
但し、如何なる基準に準拠したとしても、前記のように、切削幅が大きい程凹凸の程度が大きくなり、切削精度が低下することに変わりはない。
【0015】
三次元造形の現場においては、全ての加工対象物を通じて、最大の切削精度を実現するために必要な切削幅の下限値d(min)、即ち当該d(min)よりも小さな切削幅であっても、更なる切削精度を得ることができないような下限値d(min)が存在する。
【0016】
そして、作業現場においては、切削幅dを順次小さな値に変化させ、対応する切削精度がこれ以上小さくならないような切削幅dとして、当該下限値d(min)を設定することができる。
【0017】
このような場合、切削幅dを設定した場合、d/d(min)は、表面粗さの程度、即ち切削精度を示す指標(パラメータ)に該当する。
【0018】
何故ならば、前記切削幅の比率は、表面粗さの比率に該当しており、かつこの点はたとえ切削幅と凹凸の程度とが厳密な比例関係ではないとしても変わりはないからである。
【0019】
三次元造形を行う装置の場合には、使用する工具の工具径、更には当該工具径だけでなく回転数も切削幅dを作用する場合には、工具径及び工具の回転数に基づいて、最大切削幅d(max)が存在し、当該最大切削幅d(max)を設定することができる。
【0020】
背景技術の項において指摘したように、切削幅dが大きい程、切削効率が向上し、切削時間と切削幅dとは逆比例の関係にあり、かつこの点は複数本の軌跡に沿って切削を行う場合を想定することによって、直ちに察知し得るところである。
【0021】
このような場合、所定の移動速度に設定した場合において、d(max)/dは切削効率を示す指標(パラメータ)に該当する。
【0022】
基本構成(1)のように、精度に関するウエイト係数をwとし、切削効率に関するウエイト係数をwとしたうえで、評価函数Eとして
E=(d/d(min))・w+(d(max)/d)・w・・・(a)
を定義し、かつ評価函数Eを最小とするように切削幅dを選択することによって、切削表面の精度及び切削効率の双方を考慮したことによる切削幅を決定することができる。
【0023】
個別のケースに即して説明するに、w、wの何れも零でない場合には、評価函数Eを最小値とすることによって、wとwとの比率に基づいて、切削精度と切削効率の双方を調和させるような切削幅dを選択することができる。
【0024】
具体的には、(a)式をdにて微分した場合には、
E’=w/d(min)-(d(max)・w)/d
が得られ、
【数2】


の場合には、E’=0となることから、評価函数Eを最小値とすることができる。
【0025】
即ち、上記切削幅dの式からも明らかなように、最大切削幅d(max)、d(min)の双方の相乗平均とw/wの平方根との積というウエイト係数同士の比率によって双方を調和した切削幅dを選択することができる。
【0026】
評価函数Eを最小値とする(b)式による切削幅dは、d(max)とd(min)との中間値であることから、
【数3】


が成立し、結局、
(max)/d(min)>w/w>d(min)/d(max)・・・(c)
が成立する。
【0027】
即ち、(c)式はウエイト係数w、wが零でない場合の不可欠な要件に該当する。
【0028】
/wの比率については、切削精度と切削効率の何れを重視するかによって選択することが可能であり、w/wが大きい程切削効率が重視され、w/wが小さい程切削精度が重視されることになる。
【0029】
特に、w/w=1に設定している場合には、一定の場合、双方について均等に両立させるような切削幅を選択したことになる。
【0030】
しかしながら、切削幅dの選択においては、常に切削表面の精度、切削効率の双方を鑑案し、かつ調和させなければならない訳ではない。
【0031】
即ち、専ら精度のみを重視し切削効率を無視して良い場合には、w=0として、d=d(min)を選択することによって評価函数Eを最小とすれば良く、逆に切削精度を無視し、切削効率のみを重視する場合には、w=0とし、d=d(max)を選択することによって、評価函数Eを最小値とすれば良い。
【0032】
基本構成(2)について説明するに、三次元造形においては、予めCADの際に、複数の切削幅d(i=1、2・・・n)を設定し、実際の切削の現場においては、その何れかを選択する場合が少なからず存在する。
【0033】
この場合には、d/d(min)が切削精度を示す指標に該当し、d(max)/dが切削効率を示すパラメータに該当する。
【0034】
したがって、基本構成(1)の場合と同様に、ウエイト係数w、wを設定した場合には、評価函数Eとして、
=(d/d(min))・w+(d(max)/d)・w・・・(a’)
を定義し、かつ基本構成(1)の場合と同様に、評価函数Eを最小とするように切削幅dを選択することによって、切削表面の精度及び切削効率の双方を考慮したことによる切削幅を決定することができる。
【0035】
しかしながら、前記(a’)式の場合には、評価函数Eもまた切削幅dと同様に、デジタル的に変化することになり、前記(b)式のような連続的な変化に基づく最小値を選択することはできない。
但し、d(i=1、2、3・・・n)について、iが大きくなるに従ってdが順次大きくなるか又は小さくなるように順序を設定したうえで、図2のフローチャートに示すように、各切削幅dに対応するEを算定し、更に次の順序に位置している切削幅di+1に対応する評価函数Ei+1との対比によって、EとEi+1の大小関係が逆転する位置、具体的にはE>Ei+1の関係から、Ei+1≧Eとなるような切削幅dを(a’)式における評価函数Eを最小とする切削幅として選択することができる(尚、Ei+1=Eが成立する場合には、切削幅di+1もまた評価函数Ei+1を最小値とする切削幅として選択の対象とすることができるが、切削幅dを選択し得るという結論に変わりはない。)。
【0036】
/wの比率につき、前記(c)式の不等式を不可欠とすることは、(a)式の場合と変わりはなく、この点は(a’)式の評価函数Eを最小とする切削幅d、前記(c)式のdと等しい場合があり得ることからも明らかである。
【0037】
前記(a’)式の場合にも、前記(a)の場合と同様に、精度のみを重視し切削効率を無視して良い場合には、w=0として、d=di(min)を選択することによって評価函数Eを最小とすれば良く、逆に切削精度を無視し、切削効率のみを重視する場合には、w=0とし、d=di(max)を選択することによって、評価函数Eを最小値とする基準に立脚し得ることに変わりはない。
【0038】
基本構成(3)について説明するに、所定の高さにおける最外側から最内側に至るまでの切削を行う際、最終段階の造形対象物1の加工表面の切削に至る前段階はw=0とし、d=d(max)を選択することによって、最大の切削効率を実現したうえで、最終段階の造形対象物1の切削を行う場合に、w=0とし、d=d(min)を選択した場合には、切削精度と切削効率の双方を両立させることができる。
但し、三次元造形対象物の性状如何によっては、造形物の切削表面が常に切削幅d(min)とするような精度を必要とする訳ではない。
【0039】
そのような場合には、最終段階であって最も内側の軌跡における切削幅につき、評価函数E又はEを最小値とするような切削幅d又はdを選択した場合には、表係数w、wの比率を適宜設定することによって必要な精度を選択する一方、前記切削幅d又は
はd(min)よりも大きいことから、最内側の切削幅がd(min)の場合よりも最外側における切削位置においては軌跡の数を1個減らす場合も生じ得ることになり、結局切削効率に寄与することができる。
【0040】
具体的に説明するに、例えば図3(a)、(b)に示すように、最大切削幅d(max)が最小切削幅d(min)の4倍であり、しかも前記d又はdがd(min)の2.5倍である場合には、最内側の切削幅として、d(min)に代えて、前記d又はdを選択した場合には、最内側の軌跡以外の各軌跡は最内側の切削幅d(min)を選択した場合よりも、1.5d(min)だけ外側に位置することに帰するが(2.5d(min)−d(min)=1.5d(min))、図3(a)及び図3(b)の双方の対比からも明らかなように、加工素材2の最外側の位置が2番目に外側となっている軌跡の内側に位置している場合には、最外側の軌跡に沿った切削は不要となり、この点において、最内側の切削幅としてd(min)を選択した場合との相違が明白となる。
【0041】
最内側の切削の段階においても、切削精度を無視し、切削効率のみを考慮する場合には、評価函数E又はEを最小とするために、最内側における最終段階においても、w=0とし、d=d(max)を選択すれば良い。
【0042】
即ち、造形対象物1の表面に対応する最内側の軌跡以外の他の軌跡につき、最大の切削幅d(max)を採用し、前記最内側の軌跡につき、評価函数E又はEを最小値とするという基準に立脚している前記(3)の基本構成は、切削精度と切削効率とを兼有する三次元造形方法を提供することになる。
尚、本発明においては、切削精度を切削幅d又はdによって規定しているが、切削精度は切削幅d又はdだけでなく、使用している工具の送り速度及び回転数によって影響を受ける場合がある。
【0043】
したがって、このような影響が生ずる場合には、切削幅d又はdの選択に伴って、使用する工具における適切な送り速度及び回転数を選択すると良い。
【実施例】
【0044】
実施例においては、最内側の軌跡以外の他の軌跡につき、工具の移動速度につき最大値を設定し、前記最内側の軌跡における工具の移動速度につき最小値を設定することを特徴としている。
【0045】
工具の移動速度は、切削形状に関する精度を左右し、移動速度が大きい程切削形状の精度を低下する傾向にある。
【0046】
しかしながら、最内側以外の切削段階に、切削形状の精度が低下しても、最内側の切削形状にて精度を実現することによって、切削形状の精度は充足されることになる。
【0047】
このような場合、実施例のように、最内側の軌跡においては、最小値の速度を設定し、それ以外の外側の軌跡においては、最大値の速度を設定することによって最内側の切削以外の段階では、切削効率を更に実現し、最内側の段階においては切削形状の精度を実現しており、前記基本構成(3)に基づく作用効果と相俟って、本発明の効果を更に一層助長することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、工具の回転移動に伴う三次元造形において、広く利用することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 造形対象物
2 加工素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形対象物の高さ位置に応じて、二次元方向(平面方向)における閉ループを形成している複数個の工具の回転中心部又は工具の当該造形対象物に対する接触位置が移動する軌跡を外側から内側に向けて設定し、当該複数個の軌跡に沿って工具の回転中心を移動しながら切削を行うことによる三次元造形方法であって、切削表面の精度を最大限の状態とするために必要な最少切削幅をd(min)とし、切削に使用する工具及び当該工具を移動させる装置において採用し得る最大の切削幅をd(max)とし、切削表面の精度に関するウエイト係数をwとし、切削速度に関するウエイト係数をwとし、既に工具が移動した前の軌跡と次に工具が移動しようとする軌跡との間隔である切削幅をdとした場合の評価函数
E=(d/d(min))・w+(d(max)/d)・w・・・(a)
を定義し、切削表面の精度及び切削効率の双方を両立させる場合には、切削精度及び切削効率をそれぞれ重視する程度に従って、ウエイト係数w、wにつき、零以外の数値を設定したうえで(但し、d(max)/d(min)>w/w>d(min)/d(max)を不可欠とする。)、
【数1】


を選択し、専ら切削精度を重視し切削効率を無視して良い場合には、w=0と設定したうえで、d=d(min)を選択し、専ら切削効率を重視し切削精度を無視して良い場合には、w=0を設定し、d=d(max)を選択することによって、(a)式による評価函数Eを最小値とすることを基準とする切削幅の決定方法。
【請求項2】
造形対象物の高さ位置に応じて、二次元方向(平面方向)における閉ループを形成している複数個の工具の回転中心部又は工具の当該造形対象物に対する接触位置が移動する軌跡を外側から内側に向けて設定し、当該複数個の軌跡に沿って工具の回転中心を移動しながら切削を行うことによる三次元造形方法であって、切削表面の精度を最大限の状態とするために必要な最少切削幅をd(min)とし、切削に使用する工具及び当該工具を移動させる装置において採用し得る最大の切削幅をd(max)とし、切削表面の精度に関するウエイト係数をwとし、工具を移動させる装置において、既に工具が移動した前の軌跡と次に工具が移動しようとする軌跡との間隔である切削幅につき、予め複数個(n)設定している場合における切削幅をd(=1、2・・・n)とした場合の評価函数
=(d/d(min))・w+(d(max)/d)・w・・・(a’)
を定義した上で(但し、d(max)/d(min)>w/w>d(min)/d(max)を不可欠とする。)、切削表面の精度及び切削効率の双方を両立させる場合には、切削精度及び切削効率をそれぞれ重視する程度に従って、ウエイト係数w、wにつき、零以外の数値を設定したうえで、コンピュータによって評価函数Eを最小値とするような切削幅dを選択し、専ら切削精度を重視し切削効率を無視して良い場合には、w=0と設定したうえで、d=d(min)を選択し、専ら切削効率を重視し切削精度を無視して良い場合には、w=0を設定し、d=d(max)を選択することによって、(a’)式による評価函数Eを最小値とすることを基準とする切削幅決定方法。
【請求項3】
とwの比率が1であることを特徴とする請求項1、2記載の切削幅決定方法。
【請求項4】
造形対象物の表面に対応する最内側の軌跡以外の他の軌跡につき、最大の切削幅d(max)を採用し、前記最内側の軌跡につき、請求項1及び同2における評価函数を最小値とすることを基準とする切削幅を採用することに基づく三次元造形方法。
【請求項5】
最内側の軌跡以外の他の軌跡につき、工具の移動速度につき最大値を設定し、前記最内側の軌跡における工具の移動速度につき最小値を設定することを特徴とする請求項4記載の三次元造形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−140081(P2011−140081A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1431(P2010−1431)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000146087)株式会社松浦機械製作所 (40)