説明

上下に載置した2つのコンテナを連結するための連結片、該連結片を具備するコンテナ、および該連結片の使用方法

【課題】全自動デバイスとして使用することができるコンテナ同士の連結片を提供する。
【解決手段】連結片の下側連結突起23の側面には、下段コンテナ36の上側コーナーフィッティングの細長孔33内部でのロックのためのロック用留め具28が当該細長孔33の長手側方の一方側に突出するように設けられると共に、前記長手側方の他方側であって下側連結突起23の係止板21との接合部には、上段コンテナ35と下段コンテナ36の連結動作中に細長孔33の構成壁に当接して前記ロック用留め具28を細長孔33内部のロック位置へと案内するように傾斜した導入面取り部30が設けられ、コンテナを分離するために上段コンテナ35を持ち上げたときに細長孔33の構成壁に当接するロック用留め具28の当接面には、下側連結突起23をロック解除位置へと案内するように傾斜させた傾斜ショルダー面34が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願発明は、特に船に積み込んで、それぞれのコーナーフィッティングで上下に載置される2つのコンテナを連結するための連結片に関し、この連結片は係止板と、係止板の両側に設けられた連結突起から成り、一方の連結突起は一方のコンテナのコーナーフィッティングに配置可能であって、他方の連結突起は他方のコンテナのコーナーフィッティング内部におけるロックのためのロック用留め具を具備する。さらに本願発明は、上記連結片を具備するコンテナ、および上記連結片の使用方法に関する。
【0002】
このような連結片は、例えば独国実用新案登録第298 11 460号明細書によって知られている。この連結片はいわゆるミッドロックと呼ばれ、船に積み込んだデッキカーゴのようなコンテナを固縛するため、特に上下に載置した2つのコンテナを連結するために用いられる。40フィートコンテナ用のスペースに2個の20フィートコンテナを置く時はいつもミッドロックが使われる。つまり、ミッドロックは、前後に置いた20フィートコンテナの互いに向き合った方のコーナーフィッティングで使われる。実際、前後に置いた20フィートコンテナ同士の間には、たった76mmほどのとても狭い隙間しかないため、荷役者がコンテナの互いに向き合った方に配置してあるコーナーフィッティングに近づくこと、延いてはミッドロックに近づくことは困難である。他方の開放されている側のコーナーフィッティングについては、自由に近づくことができる。こちら側のコーナーフィティングでは、いわゆるツイストロックと呼ばれるものが一般的に使われており、このツイストロックはコンテナの荷降ろしの際に荷役者によって手動で開放される。そして、コンテナは持ち上げられて傾くので、下段コンテナのコーナーフィッティングからミッドロックが滑り出る。
【0003】
コンテナを積荷するとき、コンテナを地上に吊り上げて、ミッドロックをまず上段のコンテナの下側のコーナーフィッティング内に吊るす。このため、従来の種類では、フック型留め具が、上側の連結突起の前側(コンテナの長手方向の前方を指している側)に設けられている。例えば独国実用新案登録第298 11 460号明細書にも記載されている、より最近の種類のミッドロックは、上側の連結突起に係止板とほぼ平行に延設する横突起を有する。この横突起は、上段のコンテナの下側コーナーフィッティング内に係合する。逆に、下側連結突起は、その前側にロック用留め具を有する。既に船に搭載された下段のコンテナ上に上段のコンテナを載せるときは、ミッドロック全体を上段のコンテナに対してスライドさせるか、あるいは上段のコンテナ全体をロック用留め具の傾斜した下面上で前方または後方へスライドさせて、コンテナをさらに降下させる間に下段のコンテナの上側のコーナーフィッティングに係合させるかする。
【0004】
このミッドロックは以下の欠点を有する。上述したように、通常船上では、ミッドロックを通常挿入するコンテナ後方のコーナーフィッティングに近づくのは困難である。少なくともある程度の搭載スペースを有しコンテナに近づくことのできるコンテナ船や、例えばロック・ロッドなどの補助の固縛手段の取付け用に搭載スペースが確保されたコンテナ船もあるが、従来のミッドロックでは、その前方開口部にロック用留め具が係合して開口部をふさいでいるため、固縛手段を下段のコンテナの上側のコーナーフィッティングに固定することができない。そこで、独国実用新案登録第100 04 359号明細書では、従来のミッドロックのロック用留め具の周辺を掴持する特別なロック・ロッドのフック・フィッティングが提案されている。しかし今までのところ、このフック・フィッティングは実際には使用されていない。
【0005】
上記に基づき、本願発明の基本目的は、上下に載置したコンテナの連結片と配列、および上下に載置したコンテナを連結させるための方法を創作することである。コンテナの上側のコーナーフィッティングの前側の開口部は、固縛手段のために開放されている。
【0006】
この目的を達成するために、本願発明の連結片は、ロック用留め具が他方の連結突起上に、コンテナの長手方向視で横に配置してあることを特徴とする。本願発明の配列は、コンテナが本願発明の連結片によって少なくともコンテナ前方のコーナーフィッティングにおいて、互いに連結していることを特徴とする。本願発明の方法によると、上段のコンテナと下段のコンテナとを連結または分離するときに、上段のコンテナがコンテナの鉛直軸を中心に水平方向に旋回するか、あるいは横方向にずれる。
【0007】
ロック用留め具が横方向に配置してあるので、下段コンテナのコーナーフィッティングの前側の開口部は、固縛手段用に利用可能に開放状態になっている。ロック用留め具は、コーナーフィッティングの側方の開口部に配置されており、このような配置は船積みコンテナを固縛するには通常使用されておらず、よって抵触を引き起こすこともない。
【0008】
しかしながら、本願発明による対策はさらなる利点を提供する。上記にて説明したとおり、20フィートコンテナは、40フィートコンテナ用の搭載スペースに、上下に載置されて2つの異なる固定具によって連結される。具体的には、一方の固定具に2つのミッドロック、他方の固定具に2つのツイストロックを使用する。よって、船上では異なる固定具が必要である。また、何か事情によってミッドロックの代わりにツイストロックが使用されると、その取り外しが困難な場合がある。したがって、過去には、すべてのコーナーフィッティングに例外なく挿入可能な固定具、いわゆるユニバーサル・ロック(ユニロックともいう)を創作する試みがなされてきた。独国実用新案登録第101 05 785号明細書の主題となっているものが、この種のユニバーサル・ロックの一例としてあげられる。しかし実際には、今日までに提案されたユニバーサル・ロックの確固たる地歩は未だ確立されていない。さらに、コンテナの荷降ろしの際、下段のコンテナの上側のコーナーフィッティングのロックを解除するため、接近可能な側のコンテナのコーナーフィッティング(「ツイストロックの位置」)にあるユニバーサル・ロックを、荷役者がやはりいつも手動で開放しなければならないという欠点がある。
【0009】
これを回避し、荷役者が関与することなくロックを解除することができる連結片を創作するために、可動ロック部材を設けたいわゆる全自動デバイスが、独国特許出願公開第43 07 781号明細書および国際公開第01/76980号パンフレットに提案されている。これらのロック部材は、航海中の船の動き、特に横揺れが原因の動きによって下段コンテナの上側コーナーフィッティングと連結片をロックする。国際公開第01/76980号パンフレットには、ケージ内で移動可能なボールがロック部材として記載されている。独国特許出願公開第43 07 781号明細書は、船の位置によって一方から他方へピボットして、下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔下にインターロックするピボット可能なブロックを使うことが記載されている。ここでは、船が停泊しているとき、つまり港にいるときに、自動的にレスト位置になるロック部材が記載してあり、ロック部材がレスト位置にあると、下段コンテナの上側コーナーフィッティングの連結片のロックが解除されて、上段のコンテナを降ろすことができる。
【0010】
しかしながら、これら全自動デバイスには、可動ロック部材が特に汚れの影響をとても受けやすいという欠点がある。したがって、これらの全自動デバイスは、たとえよくメンテナンスしたとしても非常にトラブルを起こしやすい。
【0011】
本願発明による特徴を備えた連結片は、全自動デバイスとして使うことができる。連結片は、上段コンテナの下側コーナーフィッティングの4つ全てにそれぞれ挿入される。同じデザインの連結片を4つ用いると、自動的にロック用留め具はコーナーフィッティングの「前方」と「後方」で異なる方向を向いてロックが掛かることとなる。このように準備したコンテナを下段のコンテナに載置するとき、特に連結片の形状のおかげで、コンテナは簡単に鉛直軸に対して旋回し、連結片の下側連結突起がロック用留め具によって下段コンテナのコーナーフィッティング内へ係合する。この結果として、航行中の上下に載置したコンテナ同士の安全なロックが保証される。航海中に船が揺動するので、コンテナは横方向に傾く。その結果、コンテナの一方の長手側方に圧縮荷重がかかり、反対側の長手側方には引張り荷重がかかる。引張り荷重がかかっている側のロック用留め具が下段コンテナの上側コーナーフィッティングから外れることがなく、これにより引張り荷重がかかっている側の上下のコンテナ間で引張り荷重を確実に移動させることができるように、圧縮荷重がかかっている側のコンテナの連結片はコンテナ全体が移動することを防止する。状況によって船先が動き、4つの連結片全てに引張り荷重がかかるという問題が起こり得る船の船首付近に載置されたコンテナも同様に安全に保持される。各上段コンテナの大きな慣性モーメントにより、各上段コンテナが単独でそれぞれの下段コンテナに対して回転することはないので、このような状況でも安全なロック状態が得られる。
【0012】
本願発明の実施形態によると、他方(下側)の連結突起の長さは、他方(下側)のコンテナの対応するコーナーフィッティングの対応する細長孔の長さよりわずかに短い。同様に、ロック用留め具の最大幅もまた、前記細長孔の幅よりわずかに短いとよい。このため、下側連結突起はちょうど細長孔を通過することとなり、これは上下に載置したコンテナの意図した連結および分離には十分であるが、船が動くことによる意図しない分離は防ぐことができる。ここで、他方(下側)の連結突起の先端部が細長孔の形状と一致する形状であるとさらによい。したがって、連結片は長手方向にほんの少しの遊びがあるだけで、連結片は横方向にもまたブロックされる。よって、連結片の横方向移動に対する安全策が改善され、上下に載置したコンテナの確実な連結が前記ロック用留め具によってさらに改善される。
【0013】
本願発明の他の実施形態によると、コンテナの下側連結突起のコーナーフィッティングの対応する細長孔への導入を容易にするための導入テーパが、ロック用留め具の下に施されている。この導入テーパは下向きであるので、連結の際に下側連結突起、延いては連結片全体を正確に位置づけできる。
【0014】
導入面取り部が、係止板と下側連結突起との接合部の、下側連結突起のロック用留め具とは逆向きの長手側方に設けてあるとよい。導入面取り部は、連結片が導入テーパにより細長孔へ挿入されて正確に位置づけられた後、上段コンテナをさらに降下させて使用される。連結片は、導入面取り部によって押されるが、特に上段コンテナをさらに降下させることにより、ロック用留め具が向いている方向に押されて上段コンテナと下段コンテナは連結する(ロック位置)。さらに、導入面取り部があるため連結片はコンテナの横方向にほんの少しの遊びがあるだけなので、ロック用留め具は常に下段コンテナの上側コーナーフィッティングの細長孔を確実にアンダーカットする。したがって、上下に載置したコンテナの確実な連結がより改善される。
【0015】
導入面取り部の角度はコンテナの上側のコーナーフィッティングの上側細長孔の面取り部と一致するので、導入面取り部は細長孔にぴったりと合わさる。あるいはその代わりとして、細長孔の面取り部と同じ長さの係止板の方を指した上面部のみを、細長穴の面取り部と一致する角度で設けてもよい。そして、その面取り部より傾斜の小さい面取り部をその下に設けてもよい。そうすると、ロック用留め具と係止板の間の鉛直距離を短くすることができ、結果としてコーナーフィッティング内での連結片の鉛直方向の遊びも同様に減る。よって、船に積み込んで上下に載置したコンテナはより確実に固縛される。
【0016】
連結をより簡単に外すために、傾斜ショルダー面をロック用留め具の上面に設けてもよい。このような変形は、特に全自動デバイスに適する。しかしながら、その代わりとして上面を水平としてもよい。この場合、連結が簡単に外れるようにするため、ロック用留め具の側面を内側に傾斜させる。このような変形は、特にミッドロックに適し、ロック用留め具の上面の傾斜ショルダー面とともに、あるいはその代わりとして用いてもよい。
【0017】
本願発明の連結片の他の実施形態によると、ロック用留め具は下側連結突起を斜めスライド可能に設計されている。下側連結突起がコンテナの上側コーナーフィッティングの上側の細長孔に挿入される際、ロック用留め具は下側連結突起の方へ押され、細長孔に挿入された後はスプリングの作用によってロック位置へ押し戻される。このような”新しい”ロック用留め具があると、搭載時に、今までのようにコンテナを鉛直軸に対して回転させる必要はないので、このような変形は船上でコンテナが互いに非常に接近しているときに都合がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の詳細を図に示す実施形態に基づいて以下に記述する。
【0019】
図1から図8に示す実施形態の本願発明による連結片は、ユニロックともいわれる、いわゆる全自動デバイス20に特に適す。全自動デバイス20は、中央の係止板21と、そこから上下に延設された連結突起22、23を具備する。連結突起22上に横向きの突起24と25が設けてあり、これらはコンテナのコーナーフィッティングの下側細長孔の内側に係合して、このコーナーフィッティング内でインターロックされる。ロック片26はハンドレバー27により係止板21と同平面上に横にピボットさせることができ、当該コンテナのコーナーフィッティング内に上側連結突起22をロックおよびロック解除するために使われる。この構成だけでは本願の全自動デバイス20は、独国特許出願公開第298 11 460号明細書に例示されている従来のミッドロックと同じで、荷役者により上段のコンテナの下側コーナーフィッティングに挿入されるものである。
【0020】
標準的なコンテナでは下側コーナーフィッティングの下側細長孔とちょうど同じように、上側コーナーフィッティングの上側細長孔も常にコンテナの長手方向を向いているので、ハンドレバー27は、常にコンテナの正面方向(ドアが付いている正面方向またはその反対の後ろ正面方向)を向いている。したがって、本明細書および請求の範囲において、ハンドレバー27のある面を前方V、その反対の面を後方R、それらの面に接し、前方Vから後方Rへ向っている面を長手側方Lと指定する。
【0021】
下側連結突起23は特別な態様に設計されている。この連結突起23は突出したロック用留め具28を有する。図1と図2に示すように、ロック用留め具28は2つの長手側方Lの一方側に設けてあり、図2では特に右側の長手側方Lに設けてある。ロック用留め具28は横に配置されているので、コンテナの前方に設けられコンテナのコーナーフィッティングの開口部は、固縛手段が引っ掛かるように開放された状態にある。
【0022】
連結突起23は、前記ロック用留め具28の下に下向きの導入テーパ29を具備する。導入面取り部30が、下側連結突起23と係止板21との接合部の、ロック用留め具28とは逆向きの下側連結突起23の長手側方Lに設けてある。全自動デバイス20が下段コンテナの上側コーナーフィッティング内に挿入されるとき、つまり上段コンテナが下段コンテナ上に載置されるときに、導入面取り部30により各全自動デバイスは図2でいう右方向に移動する。
【0023】
面取り部31が、下側連結突起23の、下側連結突起23と係止板21との接合部に、導入面取り部30とは逆向きに設けてある。この面取り部は主に安定性のために設けてある。ところで、図2に見られるように、面取り部31は導入面取り部30の上部と同様にコーナーフィッティングの細長孔33の面取り部32にぴったりと一致する。
【0024】
下側連結突起23の長さlは、細長孔33の長さよりほんの少しだけ短い。ロック用留め具28の最大幅bも同様に、細長孔33の幅よりほんの少しだけ短い。したがって、ロック用留め具28の突出幅tは、連結突起23の対応する細長孔33の内壁面からロック用留め具28と逆側の面までの距離aよりほんの少し短い(図2)。
【0025】
連結をより簡単に外すために、ロック用留め具28には外側に傾くショルダー面34が設けてある。上段コンテナ、延いては全自動デバイス20が持ち上げられると、ショルダー面34はコンテナのコーナーフィッティングの内側上面に接するので、全自動デバイス20は図2でいう左方向に押されて、それゆえ細長孔33から外れる。
【0026】
図3から図8は、全自動デバイス20を使ったコンテナの積荷と荷降ろしを示す。図3は船上などに既に置かれたコンテナ35を示しており、その上に他方のコンテナ36が載置される。コンテナ36は、コンテナ35にロックされる直前の状態で示されている。図5から認識できるように、全自動デバイス20は、導入テーパ29から細長孔33の上端にセットされる。そして、コンテナ36の鉛直軸に対する水平方向への回転(図7の矢印37を参照)による上段コンテナ36全体の動きによって、全自動デバイス20はロックされる。全自動デバイスの一連の動きを矢印の組合せ38で、図4と図5に示す。導入テーパ29があるので、ロックする間、前方の全自動デバイス20はまず左へスライドし(矢印38.1)、一方で後方の全自動デバイスは右へスライドする。上段コンテナ36がさらに降下すると、全自動デバイス20はまず鉛直に降りる(矢印38.2)。上段コンテナ36がさらに降下すると、前方の全自動デバイス20が最終的に右へスライドし(矢印38.3)、一方で後方の全自動デバイス20は同じように左へスライドし、それぞれのロック位置へ移動する。図6はコンテナ35および36が最終的にロックされた状態を示す。
【0027】
図3と同様に図4は、コンテナ36の荷降ろしの際にロックが解除された直後の上段コンテナ36を示す。コンテナ36は同様に下段コンテナ35に対して鉛直軸を中心に回転する。前方の全自動デバイス20は図4および図5の矢印40で示す左上方向へスライドして細長孔33から出る。一方、後方の全自動デバイス20は図4の矢印41で示す右上方向へスライドして細長孔33から出る。したがって、コンテナ36は荷降ろしの際に図7の矢印42で示すように時計回りに回転する。このような矢印38、40、41、42による方向が生じるのは、全自動デバイス20がコンテナ35、36の前方および後方コーナーフィッティング44、43に設けられ、全自動デバイス20のロック用留め具28が前方と後方で反対方向を向いているからである。
【0028】
図8を参照すると、全自動デバイスの、より正確には下側連結突起23の前方および後方の先端部39は、少なくとも下段コンテナ35の上側コーナーフィッティング43および44の細長孔33内に入る大きさで、かつ細長孔33の形状に一致することが簡単に理解できる。具体的にそれは円弧状となっている。
【0029】
後方コーナーフィッティング43に設けた全自動デバイス20、あるいは前方コーナーフィッティング44に設けた全自動デバイス20が間違った態様で挿入されたとしても、絶望的ではない。この場合、コンテナ36は、ロックおよびロック解除の際、全体的に中心から横方向に外れて上下する。しかしながら、このような状況は荷役者が注意深く作業することによって避けるべきである。1つの全自動デバイスのみが間違った態様、例えば前方コーナーフィッティング44又は後方コーナーフィッティング43に設けたロック用留め具28同士が互いに向かい合ったり、あるいは互いに逆方向を向いたりした態様で挿入されると、コンテナはロックされない。荷役者はこれに気づくと、コンテナを再度持ち上げて間違いを正すことができる。したがって、全自動デバイスをロックしたりロック解除したりするのが困難で、コンテナが荷降ろしできなくなるといった問題は生じない。
【0030】
特にミッドロック45として適す連結片を図9から図14に示す。ミッドロック45の必須構成部品は図1から図8に示す全自動デバイス20と一致するので、対応する構成部品には図1から図8の同じ参照番号を付す。しかしながら、図10に見られるように、同様に横方向に配置したミッドロック45のロック用留め具46は、傾斜したショルダー面ではなくほぼ水平な上面47を具備する。特に図14を見れば容易に理解できるように、ロック用留め具46の、ハンドレバー27の逆方向を向いている方の外側面48は内側に傾斜している。
【0031】
下段コンテナ35から上段コンテナ36を荷降ろす様子を図11から図14に示す。まず、荷役者が自由に近づける前方コーナーフィッティング44に挿入された半自動のツイストロック49が、荷役者により手動で解除される。次に、コンテナ36がコンテナ搭載用クレーンで持ち上げられる(矢印50)。コンテナ35および36の前方コーナーフィッティング44は互いに離れて、コンテナ36は傾く。したがって、特に図12を見れば簡単に理解できるように、ミッドロック45も傾く。側面48が傾斜しているので、ミッドロック45は図13に示すように左(矢印51)へ押され、結果としてロック用留め具46は細長孔33から解放される。
【0032】
コンテナ36の積荷のとき、つまりコンテナ36が下段コンテナ35に載置されるとき、コンテナ36とミッドロック45のロックは、図1から図8に示す全自動デバイス20と同様に機能する。
【0033】
図15は、導入面取り部としてまず、急斜した面取り部52が設けてある実施形態を示す。この面取り部(52)の角度は、コンテナのコーナーフィッティングの細長孔33の面取り部32の角度に一致する。導入面取り部30は、この面取り部52以下、より傾斜の小さい面取り部53へと続く。このような変形は、係止板21の下面からロック用留め具28の上側ショルダー面34までの鉛直距離が短くなり都合がよい。またこれにより、連結の鉛直方向の遊びがより少なくなる。したがって、コンテナはより安全に上下に連結されるように改善される。
【0034】
図16に示す実施形態において、ロック用留め具54は下側連結突起23に対して移動させることができる。具体的には、ロック用留め具54は導入面取り部30の方向で斜め上に少し移動されることができる。このような変形は、上下に載置したコンテナが船上で互いに接近していて、そのコンテナを搭載したり荷降ろししたりするときに、コンテナの連結や分離ためにコンテナを、鉛直軸に対して回転させることができないときに都合がよい。前述のように、上段コンテナ36を下段コンテナ35に載置するとき、下側連結突起23の導入テーパ29がまず細長孔33に挿入される。そして、細長孔33の面取り部32上を下降する。その結果、ロック用留め具54はバネ55の力に反して押され、図16の破線で示す位置にくる。このとき下側連結突起23は細長孔33内へスライドして入る。その後、ロック用留め具54はバネ55の力により最初の位置へ押し戻される。連結片はロックされる。
【0035】
図16に示す連結片においてロック用留め具54は、具体的にはコンテナが積荷される間だけ、つまり下側連結突起23が細長孔33に挿入される間だけ細長孔33内へ押し戻される。ロック用留め具が上側ショルダー面34の角度とほぼ一致した上向き方向に移動するため、荷降ろしの際、ロック用留め具54には、ロック用留め具54が動く方向に対してほぼ垂直の力が掛かる。したがって、荷降ろしのときにコンテナは必ずわずかに回転する。さらに、こうすることにより上下に載置したコンテナが、航行中のコンテナへの力によって勝手にロック解除されることがないことが保証される。コンテナを互いに近づけておいたために、コンテナを荷降ろす際に起こり得る問題は、船で輸送する間の安全性に比べると重要ではない。同時に、ロック用留め具54が移動する方向と下側スロープ56の方向とを比較すると、それは垂直よりもやや大きい。したがって、積荷の際にロック用留め具54に掛かる力は、ロック用留め具54を押すのに適した力に達する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本願発明の特徴を備える連結片の部分断面側面図である。
【図2】図1による連結片の正面図である。
【図3】積荷時におけるロック直前の2つコンテナを示す概略図である。
【図4】荷降ろし時におけるロック解除直後のコンテナを示す概略図である。
【図5】積荷時と荷降ろし時のコンテナの詳細を示す図である。
【図6】上下に載置したコンテナのロック状態の詳細を示す図である。
【図7】積荷時と荷降ろし時の2つのコンテナの概略上面図である。
【図8】ロック状態の下段コンテナの概略上面図である。
【図9】本願発明の特徴を備える2つ目の実施形態の連結片の部分断面側面図である。
【図10】図9による連結片の正面図である。
【図11】図9による連結片を備えた上下に載置した2つのコンテナの荷降ろし時のロック解除直前の状態を示す図である。
【図12】図11によるコンテナのロック解除直前の状態の詳細を示す側面図である。
【図13】図12によるコンテナの詳細な正面図である。
【図14】図12によるコンテナの詳細な上面図である。
【図15】本願発明の特徴を備える3つ目の実施形態の連結片の正面図である。
【図16】本願発明の特徴を備える他の実施形態の連結片の正面図である。
【符号の説明】
【0037】
20 全自動デバイス
21 係止板
22 連結突起
23 連結突起
24 突起
25 突起
26 ロック片
27 ハンドレバー
28 ロック用留め具
29 導入テーパ
30 導入面取り部
31 面取り部
32 面取り部
33 細長孔
34 ショルダー面
35 コンテナ
36 コンテナ
37 矢印
38 矢印の組合せ
39 先端部
40 矢印
41 矢印
42 矢印
43 コーナーフィッティング
44 コーナーフィッティング
45 ミッドロック
46 ロック用留め具
47 上面
48 側面
49 ツイストロック
50 矢印
51 矢印
52 面取り部
53 面取り部
54 ロック用留め具
55 バネ
56 スロープ
a 距離
b 幅
l 長さ
t 突出幅
V 前方
R 後方
L 長手側方

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に載置した2つのコンテナ(35、36)をそれぞれのコーナーフィッティングにおいて連結するための連結片であって、
当該連結片が、係止板(21)と、前記係止板(21)から延設して上段コンテナ(36)の下側コーナーフィッティングの細長孔(33)に挿入される上側連結突起(22)と下段コンテナ(35)の上側コーナーフィッティングの細長孔(33)に挿入される下側連結突起(23)とを具備し、
下側連結突起(23)の側面には、下段コンテナ(35)の上側コーナーフィッティングの細長孔(33)内部でのロックのためのロック用留め具(28)が当該細長孔(33)の長手側方の一方側に突出するように設けられると共に、前記長手側方の他方側であって下側連結突起(23)の係止板(21)との接合部には、上段コンテナと下段コンテナの連結動作中に細長孔(33)の構成壁に当接して前記ロック用留め具(28)を細長孔(33)内部のロック位置へと案内するように傾斜した導入面取り部(30)が設けられており、
前記ロック用留め具(28)には、コンテナを分離するために上段コンテナ(36)を持ち上げたときに細長孔(33)の構成壁に当接する部分に、下側連結突起(23)をロック解除位置へと案内するように傾斜させた傾斜ショルダー面(34)が設けられていることを特徴とする連結片。
【請求項2】
ロック用留め具(28)には、上段コンテナと下段コンテナの連結時に下段コンテナの細長孔(33)の構成壁に当接する部分に、下側連結突起(23)と下段コンテナの細長孔(33)との位置ズレを修正するように傾斜させた導入テーパ(29)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の連結片。
【請求項3】
上段コンテナと下段コンテナの連結状態において、導入面取り部(30)と細長孔(33)の構成壁に設けられた面取り部(32)とが対向接触するように、前記導入面取り部(30)の角度が、コンテナのコーナーフィッティングの細長孔(33)の構成壁に設けられた面取り部(32)の角度と一致するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の連結片。
【請求項4】
前記導入面取り部(30)が、互いに角度の異なる係止板(21)側の第1の面取り部(52)とその下に続く第2の面取り部(53)からなり、係止板(21)から傾斜ショルダー面(34)までの距離が短くなるように、第1の面取り部(52)は細長孔(33)の構成壁に設けられた面取り部(32)の角度と一致するように形成されると共に、第2の面取り部(53)は第1の面取り部(52)より傾斜が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の連結片。
【請求項5】
前記ロック用留め具(54)の突出部が、前記下側連結突起(23)に対して可動に設計されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の連結片。
【請求項6】
前記ロック用留め具(54)の突出部が、バネ(55)の力に反して前記下側連結突起(23)内に収容可能に設計されていることを特徴とする請求項5記載の連結片。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の連結片であって、当該連結片を4個一組とし、上段コンテナ(36)が、下段コンテナ(35)と連結又は分離されるときに、鉛直軸に対して回転するように、上段コンテナ(36)の一方の短手側の下側コーナーフィッティングに挿入される2個の連結片のロック用留め具(28)の突出方向と、他方の短手側の下側コーナーフィッティングに挿入される2個の連結片のロック用留め具(28)の突出方向とが、逆向きに形成されたことを特徴とする連結片。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の連結片を4個一組として具備するコンテナであって、上段コンテナ(36)が、下段コンテナ(35)と連結又は分離されるときに、鉛直軸に対して回転するように、上段コンテナ(36)の一方の短手側の下側コーナーフィッティングに挿入された2個の連結片のロック用留め具(28)の突出方向と、他方の短手側の下側コーナーフィッティングに挿入された2個の連結片のロック用留め具(28)の突出方向とが、逆向きであることを特徴とするコンテナ。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれかに記載の連結片の使用方法であって、当該連結片を4個一組とし、上段コンテナ(36)が、下段コンテナ(35)と連結又は分離されるときに、鉛直軸に対して回転するように、各連結片が上段コンテナ(36)の下側コーナーフィッティングにそれぞれ挿入される際、上段コンテナ(36)の一方の短手側にある2個の連結片のロック用留め具(28)の突出方向と、他方の短手側にある2個の連結片のロック用留め具(28)の突出方向とを、逆向きにしたことを特徴とする連結片の使用方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−184225(P2008−184225A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313852(P2007−313852)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【分割の表示】特願2004−531766(P2004−531766)の分割
【原出願日】平成15年4月22日(2003.4.22)
【出願人】(505063304)セク シップス エクイップメント センター ブレーメン ゲーエムベーハー (3)
【氏名又は名称原語表記】SEC Ship’s Equipment Centre Bremen GmbH
【住所又は居所原語表記】Speicherhof 5, 28217 Bremen Germany
【Fターム(参考)】