説明

上体パッド付筋力訓練装置

【課題】筋力訓練装置への乗降がし難く、又1台の装置で腹筋と背筋が訓練できず不便である。
【解決手段】錘(3)に抗して移動できる上体パッド(2)を、被訓練者の胸又は背中で押し動かして、腹筋又は背筋を鍛える筋力訓練装置において、基枠(20)に、錘(3)が繋がれたアーム(12)が軸支され、該アーム(12)に、上体パッド(2)の取付部(2a)が跳ね上げ回動・固定可能に軸支され、基枠(20)に、被訓練者が座る座部(8)が設けられ、上体パッド(2)は、跳ね上げ操作と下げ戻し操作とによって、該上体パッド(2)の設定位置を被訓練者の胸側又は背中側に設定できる上体パッド付筋力訓練装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力のパワーアップを図る筋力訓練装置において、腹筋と背筋を増強するための上体パッド付筋力訓練装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来装置は、シート、胸当てパッド、バランスウエイト、クランクアーム、フレーム、ウエイト吊支用枠体、ウエイト等からなる筋力鍛錬装置において、胸当てパッドを丸パッドとし、丸パッドとクランクアームの回動中心間の距離を大きくとった筋力鍛錬装置が開示されている。
【0003】
前記従来装置では、クランクアームの先端に胸当てパッドを設け、クランクアームの基端を座部の後方に軸支し、胸当てパッドを下げると、ウエイトが吊り上がり負荷となるものである。クランクアームを長尺にしたので胸当てパッドの回動軌跡がほぼ直線となり、適切な筋肉鍛錬ができる。
【0004】
しかし、前記従来装置には、胸当てパッドとクランクアームの間に、胸当てパッドを跳ね上げる構成がないので、シートへの乗り降り時に胸当てパッドが邪魔になり、不都合であった。
【特許文献1】特許2730881号掲載公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、筋力訓練装置への乗降がし難いこと、又1台の装置で腹筋と背筋を訓練する装置において、訓練負荷の方向を切り替える際に、都度乗降しなければならない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、筋力訓練装置への乗降がし易く、又1台の装置で腹筋と背筋が訓練できる上体パッド付筋力訓練装置を提供することにある。
即ち、本発明は、錘(3)に抗して移動できる上体パッド(2)を、被訓練者の胸又は背中で押し動かして、腹筋又は背筋を鍛える筋力訓練装置において、基枠(20)に、錘(3)が繋がれたアーム(12)が軸支され、該アーム(12)に、上体パッド(2)の取付部(2a)が跳ね上げ回動・固定可能に軸支され、前記基枠(20)に、被訓練者が座る座部(8)が設けられ、上体パッド(2)は、跳ね上げ操作と下げ戻し操作とによって、該上体パッド(2)の設定位置を被訓練者の胸側又は背中側に設定する上体パッド付筋力訓練装置である。
又、アーム(12)は、アーム軸部(17)と、アーム軸部(17)に連設されるアーム入力側部(18)と、アーム軸部(17)に連設されるアーム錘側部(19)とからなり、アーム軸部(17)は基枠(20)に支えられ、アーム入力側部(18)の先部には上体パッド(2)が設けられ、アーム錘側部(19)の先部には、紐状部材(16)の基端が止着され、該紐状部材(16)の先端には錘(3)が取着され、上体パッド(2)をいずれの方向に回動させてもアーム錘側部(19)は紐状部材(16)を引き錘(3)を吊り上げ、該錘(3)が上体パッド(2)の負荷となる。
更に、上体パッド(2)を水平位置から跳ね上げると、上体パッド(2)は垂直位置を少し通り越した位置で固定される。
更に又、上体パッド(2)の遊端側面(2b)には、上体パッド(2)を水平位置及び跳ね上げ位置に固定し及び解除できる固定解除具(41)が設けられ、該固定解除具(41)は、上体パッド(2)を移動操作するグリップを兼ねている。
又、柱状体でなる上体パッド(2)を、横断面が半円形状に形成された半円上体パッド(43)とし、該半円上体パッド(43)の半円面部(44)及び平面部(45)は適宜選択して被訓練者に当てがわれる。
更に、柱状体でなる上体パッド(2)を、背中合わせに位置する二面がいずれも矩形状平面に形成された両面式上体パッド(46)とし、一方平面部(48)は被訓練者の胸に当てがわれ、他方平面部(47)は被訓練者の背中に当てがわれる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、基枠20に、錘3が繋がれたアーム12が軸支され、該アーム12に、上体パッド2の取付部2aが跳ね上げ回動・固定可能に軸支され、基枠20に、被訓練者が座る座部8が設けられ、上体パッド2は、跳ね上げ操作と下げ戻し操作とによって、該上体パッド2の設定位置を被訓練者の胸側又は背中側に設定するものである。
腹筋の訓練をする時は、上体パッド2を、胸に当て前方へ押して行なう。或いは、背筋の訓練を行なう時は、上体パッド2を、背中に当て後方へ押して行なう。
【0008】
上記構成によれば、上体パッド2を胸側に当てる作業、及び、上体パッド2を背中側に当てる作業がし易く、好都合である。
又、被訓練者が椅子4に乗降する時は、上体パッド2を跳ね上げておけば、乗降の邪魔にならず、好都合である。
【0009】
本発明は、上体パッド2をいずれの方向に回動させてもアーム錘側部19は紐状部材16を引き錘3を吊り上げ、該錘3が上体パッド2の負荷となるから、上体パッド2を被訓練者が胸に当てて押し下げて腹筋を強化し、又、上体パッド2を被訓練者が背中に当てて後方へ押し背筋を強化することができ、腹筋と背筋の両筋を一台の筋力訓練装置で強化訓練でき、好都合である。
【0010】
又、上体パッド2を胸側から背中側へ移動する時、又は、背中側から胸側へ移動する時は、被訓練者は椅子4に座ったままで、上体パッド2を跳ね上げ、下げ戻して行なえるので、被訓練者は椅子4から降りる必要がなく、操作が簡素であり、介助労力を軽減でき、筋力訓練装置の使用が便利である。
【0011】
本発明は、上体パッド2を水平位置から跳ね上げると、上体パッド2は垂直位置を少し通り越した位置で固定されるから、上体パッド2が跳ね上げ状態に固定されている時、締め具28を緩めて上体パッド2の固定を解除しても上体パッド2は移動せず、上体パッド2が重力によって落下することはないから、安全であり、好都合である。
【0012】
本発明に係る上体パッド2の遊端側面2bには、上体パッド2を水平位置及び跳ね上げ位置に固定し及び解除できる固定解除具41が設けられ、該固定解除具41は、上体パッド2を移動操作するグリップ42を兼ねているから、上体パッド2の固定を解除し、該上体パッド2を移動させそして固定する操作を、固定解除具41の操作だけで片手で簡単に行なえ、又、固定解除具41は、上体パッド2を移動させる時のグリップとなり片手で安全に移動操作でき、移動途中で手が滑って上体パッド2を落下させるといった失敗は起き難く、好都合である。
【0013】
本発明は、柱状体でなる上体パッド2を、横断面が半円形状に形成された半円上体パッド43とし、該半円上体パッド43の半円面部44及び平面部45は適宜選択して被訓練者に当てがわれから、使用目的や好みに応じていずれの面かを選択でき、好都合である。又、上記構成の内、平面部45は接触面積を多く取ることができ、又、半円面部44は、当たり易く沿い易い特徴があり、当たり心地の良い方を選択でき、好都合である。
【0014】
本発明は、柱状体でなる上体パッド2を、背中合わせに位置する二面がいずれも矩形状平面に形成された両面式上体パッド46とし、一方平面部48は被訓練者の胸に当てがわれ、他方平面部47は被訓練者の背中に当てがわれる。
片側のみに矩形状平面が構成された従来上体パッドでは、被訓練者の胸への装着から背中への装着の変更、又、背中への装着から胸への装着の変更の時に、上体パッド2を一々回転させてセッティングするが、本発明に係る上記構成では、前記装着の変更の時に、上体パッド2を一々回転させて被訓練者にセッティングする必要は無く、上体パッド2の跳ね上げ操作と下げ戻し操作とで簡単に前記装着の変更が行なえ、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
被訓練者は、本発明の上体パッド付筋力訓練装置1を用いて筋力のパワーアップを図る。
被訓練者は、上体パッド2に向かって筋力を発動し、該上体パッド2を動かす。錘3は、上体パッド2の移動に対して重力負荷を掛ける。錘3は、錘フレーム32内に昇降可能に保持され、上体パッド2に連動して昇降する。
【0016】
上体パッド2の取付部2aには跳ね上げ機構26を設け、被訓練者が椅子4に乗降する時、上体パッド2を跳ね上げておけば、乗降の邪魔にならず楽にできる。
アーム12を、アーム軸部17と、アーム軸部17に連なるアーム入力側部18と、アーム軸部17に連なるアーム錘側部19とから構成し、入力装置5を、上体パッド2をいずれの方向に回動させても、アーム錘側部19は紐状部材16を引き、紐状部材16は錘3を吊り上げ、該錘3が上体パッド2の負荷となるような構成にしている。腹筋と背筋の筋力増強訓練が、一台の筋力訓練装置でできる。
【実施例1】
【0017】
図1〜5に本発明の実施例1を示す。
図1は上体パッド付筋力訓練装置1の右側面図、図2は平面図、図3は上体パッド2を前方へ押しても、後方へ押しても、錘3を吊り上げる入力装置5の構成を説明する図、図4は上体パッド付筋力訓練装置1の上体パッド2を跳ね上げた右側面図、図5は斜視図である。
実施例1の上体パッド付筋力訓練装置1を用いて、被訓練者は、腰掛け姿勢で上体を垂直姿勢から前傾姿勢に移行することによって腹筋の訓練を行ない、或いは、上体をやや前傾姿勢から後傾姿勢に移行することによって背筋の訓練を行なう。
【0018】
実施例1は、被訓練者が腰掛ける椅子4と、被訓練者が力を加えて動かす入力装置5と、該入力装置5の変位分に負荷を掛ける負荷装置6とからなる。
【0019】
椅子4は、被訓練者が座るものであって、脚枠7と、座部8と、背凭れ9と、足受10と、固定ベルト11とからなる。足受10は、上位の上足受10a、中位の中足受10b、下位の下足受10cの三つからなる。
椅子4の横に、入力装置5と負荷装置6が設けられる。
【0020】
入力装置5は、アーム12と、上体パッド2と、バランサー13と、ストッパー14と、上・下案内ローラー15a・15bと、紐状部材16とからなる。上体パッド2は円柱形状である。
【0021】
アーム12は、アーム軸部17と、アーム軸部17に連なるアーム入力側部18と、アーム軸部17に連なるアーム錘側部19とからなる。
アーム軸部17は基枠20の所定位置に支えられ、アーム入力側部18の先部には上体パッド2が設けられ、アーム錘側部19の先部には紐状部材16が止着される。紐状部材16の先端には錘3が繋着される。
【0022】
図3に示す二個併設される上・下案内ローラー15a・15bは、紐状部材16を該上・下案内ローラー15a・15b間に挟み、紐状部材16は該上・下案内ローラー15a・15b及びプーリー37に掛け回されて張設される。
被訓練者が上体パッド2を押し動かすと、アーム錘側部19が回動し、アーム錘側部19は紐状部材16を引き、紐状部材16は錘3を吊り上げ、該錘3が上体パッド2の移動分に係る負荷となる。
【0023】
上体パッド2をいずれの方向(=前方・後方の双方向)に押し動かしてもアーム錘側部19は、二個の上・下案内ローラー15a・15bの間に挟まれて張設されている紐状部材16を引き、錘3を吊り上げる。前記紐状部材16に繋がる錘3が上体パッド2の負荷となる。
【0024】
アーム入力側部18の先部に上体パッド2の位置を調節するパッド位置調節具21が設けられる。
パッド位置調節具21は、アーム入力側部18の先部に水平方向に設けられる平板軸22と、平板軸22で軸支される平板23とからなる。該平板23は、アーム入力側部18の横に沿って垂直面に在り、垂直方向に回動可能であり、平板23には複数個の小穴25が開設される。
【0025】
アーム入力側部18に、進退動する掛止ピン24が設けられ、該掛止ピン24は前記複数個の小穴25に選択的に嵌入される。
前記平板23にはその面に垂直に上体パッド2が設けられ、掛止ピン24を進出させ平板23の複数個の小穴25の一つに嵌入して平板23を適宜位置に固定する。前述の平板23の調節・固定に伴い上体パッド2の位置が調節設定される。
【0026】
上体パッド2と平板23の間に、跳ね上げ機構26が構成される。跳ね上げ機構26は、平板23に垂直方向に取着具27を突設し、取着具27に上体パッド2の取付部2aをパッド軸39で回動可能に軸支して構成される。
上体パッド2は、使用時の水平状態と、被訓練者乗降時に跳ね上げた状態(=垂直状態)との二状態に設定できる。
取着具27に設けられる締め具28は、取付部2aの回動を不自在にするものであり、上体パッド2を回動させない時に該上体パッド2を不自在に固定する。
【0027】
アーム入力側部18の基部とアーム軸部17との両部に渡って、アーム入力側部18の位置を調節する入力側部位置調節具29が設けられる。
即ち、前記入力側部位置調節具29は、水平方向に設けられたアーム軸部17に対して垂直方向に取着された垂直平板30と、アーム入力側部18の基部に進退動可能に設けられるアーム掛止ピン31とからなる。
【0028】
垂直平板30に沿ってアーム入力側部18は回動する。アーム入力側部18に設けられたアーム掛止ピン31を進出させ垂直平板30に開けられた複数個の小穴25の1つに嵌入すると、アーム軸部17に対してアーム入力側部18が適宜位置に固定される。この位置調節によって、被訓練者の背中又は胸にパッドを装着する際のアーム入力側部18の角度が調節される。
【0029】
負荷装置6は入力装置5の横側に並設される。
前記負荷装置6は、錘フレーム32と、錘3と、錘3を昇降可能に保持する保持ロッド33と、錘3に繋がる紐状部材16と、錘カバー34と、錘掛止棒35と、錘調節ピン36と、プーリー37とからなる。
前記負荷装置6の錘フレーム32に入力装置5が連結されており、アーム錘側部19に止着された紐状部材16の先端が、錘3に止着される。紐状部材16はその張設途中をプーリー37で適宜支持される。
【0030】
実施例1を使用する際には、先ず、被訓練者は座部8に腰掛ける。この時、上体パッド2は跳ね上げられて垂直状態になっている。もしも上体パッド2が水平状態にあったならば該上体パッド2を跳ね上げ、被訓練者の移乗動作の障害にならないようにする。
被訓練者が座部8に腰掛けた後、大腿に固定ベルト11を掛ける。次に、上体パッド2を下げ戻し水平状態にする。
【0031】
被訓練者毎に異なる体格に合わせて、上体パッド2の位置を平板軸22を中心に回動させて適宜位置に、パッド位置調節具21で変更調節する。
更に、入力側部位置調節具29で、アーム入力側部18とアーム錘側部19との挟み角を調節し、上体パッド2の位置を適宜位置に調節する。
被訓練者は水平状態になった上体パッド2に胸に当て、更に手を添え上体パッド2が胸から離れないようにする。
【0032】
錘3は複数個積み重ねられてあり、上体パッド2に伴って引き上げられる錘3の数は、錘調節ピン36の差込穴38の位置を適宜選択して調節する。
錘調節ピン36を下方の差込み穴38に差込、錘3の数を増せば訓練の負荷は大きくなり、錘調節ピン36を上方の差込穴38に差込み、錘3の数を減らせば訓練の負荷は小さくなる。
【0033】
次に、被訓練者は、上体を前傾させるように上体に力を入れ、上体パッド2を前方へ押し(=往動)訓練を開始する。上体パッド2が前方へ動いた距離に応じて錘3が吊り上がり、錘3の重量が被訓練者へ負荷となって掛かる。
次に、上体の力を抜き、上体を前傾姿勢から垂直姿勢に戻す(=復動)。この時、錘3は下降し元位置へ戻る。次に、再び上体に力を入れ、上体パッド2を前下方へ押し下げる。
前述の往動、復動の繰り返し動作を、所定回数行ない又は所定時間行ない、腹筋の筋力増強訓練を行なう。
【0034】
引き続き背筋の訓練をする場合は、上体パッド2を跳ね上げ垂直状態で、締め具28で取付部2aを回動不自在にした後、アーム掛止ピン31を操作してアーム入力側部18の角度を調節し、しかる後に、上体パッド2を下げ戻し、被訓練者の背中に当て横状態にし、締め具28で取付部2aを回動不自在に固定する。
【0035】
被訓練者は、上体を後方へ動かし、上体パッド2を後方へ動かす。上体パッド2が後方へ動く時、錘3が吊り上げられ、錘3の重量が、被訓練者の負荷となる。
上体パッド2を胸側から背中側へ移動する時、又は、背中側から胸側へ移動する時は、被訓練者は椅子4に座ったままで、上体パッド2を跳ね上げ、下げ戻して行なえる。
【0036】
訓練を終了する時は、上体パッド2を、跳ね上げて縦状態にして固定し、次に、被訓練者は椅子4から降り、訓練を終了する。
【実施例2】
【0037】
図6に示す実施例2は、実施例1に係る取付部2aを、上体パッド2を跳ね上げた時該上体パッド2が垂直位置を少し通り越した位置で停止する構成としたものである。
【0038】
実施例2の取付部2aには、取付部2aと一体の止め板2cが取付部2aの下部に止着される。
取付部2aには、止め板2cを側面から押し付ける締め具28が設けられる。
上体パッド2を跳ね上げた時、上体パッド2は、垂直位置を少し通り越した位置まで回動し取付部2aが切込縁部51に当って停止する。
【0039】
上体パッド2を水平方向へ戻す時は、介助者は、締め具28を緩め掛止機能を解除してから上体パッド2を下げ戻す。
【実施例3】
【0040】
図7に示す実施例3は、実施例1に係る上体パッド2の長手方向の芯位置に、上体パッド2に貫通する解除具41を付加設置したものである。
実施例3の上体パッド2の遊端側面2bには、上体パッド2を水平位置及び跳ね上げ位置に固定し及び解除できる固定解除具41が設けられ、該固定解除具41は、上体パッド2を移動操作するグリップ42を兼ねている。
【0041】
前記固定解除具41は、当接部50と棒49とグリップ42とからなる。
取付部2aを縦方向に貫通する当接部50には、取付部2aとの間にネジ40が形成され、グリップ42を正方向に回動させると当接部50は進出し当接部50が取付部27に当たり、固定解除具41が固定作用を発揮し、上体パッド2が固定される。
【0042】
グリップ42を逆方向に回動させると当接部50は後退し当接部50が取付部27から離れ、固定解除具41の固定作用が解除され、上体パッド2が回動自在になる。
【0043】
水平位置にある上体パッド2を跳ね上げる時は、グリップ42を掴んで逆方向に回動させ、固定解除具41の固定作用を解除し、続いて、グリップ42を上方へ持ち上げ、上体パッド2を垂直態勢に移動させた後、グリップ42を正方向に回動させ固定解除具41の固定作用をもって上体パッド2を垂直位置で固定する。跳ね上げた上体パッド2を水平位置に戻す時は、グリップ42を緩め、上体パッド2を水平態勢に戻し、グリップ42を締め、上体パッド2を水平位置に固定する。
【実施例4】
【0044】
図8に示す実施例4は、実施例2に係る上体パッド2の断面形状を半円形状の半円上体パッド43に代えたものである。
実施例4の半円上体パッド43は、取付部2aを半円上体パッド43の長手方向の芯にして回動自在である。半円面部44及び平面部45のいずれの面でも訓練を実施できる。
【0045】
半円上体パッド43の平面部45には、被訓練者との接触面積を多く取ることができる特徴があり、又、半円面部44には、被訓練者に当たり易く添い易い特徴がある。被訓練者は半円上体パッド43を回動させ、半円面部44か平面部45かのいずれかを適宜選択し、使用する。
【実施例5】
【0046】
図9乃至10に示す実施例5は、実施例1の上体パッド2を両面式上体パッド46に代えたものである。
実施例5の両面式上体パッド46は、一方面に一方平面部48が、他方面に他方平面部47が形成されてなる。両面式上体パッド46はその両面が平面になっているので、被訓練者が両面式上体パッド46の前面に位置しても或いは後面に位置しても、両面式上体パッド46を回動させることなく、一方平面部48又は他方平面部47を被訓練者の背中又は胸に当接可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
上体パッドに跳ね上げ機構26を設け、腹筋、背筋の訓練を一台の訓練装置に簡素に構成した上体パッド付筋力訓練装置1に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1の右側面図である。
【図2】本発明の実施例1の平面図である。
【図3】本発明の実施例1のアーム、紐状部材及び上・下案内ローラーを示す図である。
【図4】本発明の実施例1の上体パッドを跳ね上げた右側面図である。
【図5】本発明の実施例1の斜視図である。
【図6】本発明の実施例2の側面図である。
【図7】本発明の実施例3の側面図である。
【図8】本発明の実施例4の斜視図である。
【図9】本発明の実施例5の斜視図である。
【図10】本発明の実施例6の斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 上体パッド付筋力訓練装置
2 上体パッド
2a取付部
2b遊端側面
3 錘
8 座部
12 アーム
16 紐状部材
17 アーム軸部
18 アーム入力側部
19 アーム錘側部
20 基枠
41 固定解除具
42 グリップ
43 半円上体パッド
44 半円面部
45 平面部
46 両面式上体パッド
47 他方平面部
48 一方平面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錘(3)に抗して移動できる上体パッド(2)を、被訓練者の胸又は背中で押し動かして、腹筋又は背筋を鍛える筋力訓練装置において、
基枠(20)に、錘(3)が繋がれたアーム(12)が軸支され、該アーム(12)に、前記上体パッド(2)の取付部(2a)が跳ね上げ回動・固定可能に軸支され、基枠(20)に、被訓練者が座る座部(8)が設けられ、上体パッド(2)は、跳ね上げ操作と下げ戻し操作とによって、該上体パッド(2)の設定位置を被訓練者の胸側又は背中側に設定する上体パッド付筋力訓練装置。
【請求項2】
アーム(12)は、アーム軸部(17)と、アーム軸部(17)に連設されるアーム入力側部(18)と、アーム軸部(17)に連設されるアーム錘側部(19)とからなり、
アーム軸部(17)は基枠(20)に支えられ、アーム入力側部(18)の先部には上体パッド(2)が設けられ、アーム錘側部(19)の先部には、紐状部材(16)の基端が止着され、該紐状部材(16)の先端には錘(3)が取着され、
上体パッド(2)をいずれの方向に回動させてもアーム錘側部(19)は紐状部材(16)を引き錘(3)を吊り上げ、該錘(3)が上体パッド(2)の負荷となることを特徴とする請求項1記載の上体パッド付筋力訓練装置。
【請求項3】
上体パッド(2)を水平位置から跳ね上げると、上体パッド(2)は垂直位置を少し通り越した位置で固定されることを特徴とする請求項1記載の上体パッド付筋力訓練装置。
【請求項4】
上体パッド(2)の遊端側面(2b)には、上体パッド(2)を水平位置及び跳ね上げ位置に固定し及び解除できる固定解除具(41)が設けられ、該固定解除具(41)は、上体パッド(2)を移動操作するグリップを兼ねていることを特徴とする請求項1記載の上体パッド付筋力訓練装置。
【請求項5】
柱状体でなる上体パッド(2)を、横断面が半円形状に形成された半円上体パッド(43)とし、該半円上体パッド(43)の半円面部(44)及び平面部(45)は適宜選択して被訓練者に当てがわれることを特徴とする請求項1記載の上体パッド付筋力訓練装置。
【請求項6】
柱状体でなる上体パッド(2)を、背中合わせに位置する二面がいずれも矩形状平面に形成された両面式上体パッド(46)とし、一方平面部(48)は被訓練者の胸に当てがわれ、他方平面部(47)は被訓練者の背中に当てがわれることを特徴とする請求項1記載の上体パッド付筋力訓練装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−75414(P2006−75414A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263983(P2004−263983)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)