説明

上映管理システム、上映管理方法及びプログラム

【課題】映像コンテンツの一部の変更が容易に行える上映管理システムを提供する。
【解決手段】コンテンツ蓄積部に蓄積された映像の上映順序を規定するプレイリストにより上映の管理を行う。この場合のプレイリストとして、複数のフレームを配置したリストとし、複数のフレームの内の第1のフレームで、上映する映像コンテンツを示し、複数のフレームの内の第2のフレームで、ファイルを示す構成とした。ファイルには、1つ又は複数の映像コンテンツを配置し、プレイリストとは個別にファイルを管理し、プレイリストに対応したファイルの変更で、該当するフレーム部分で上映するコンテンツを入れ替えることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映画館などの上映場所での映像コンテンツの上映を管理する上映管理システム及び上映管理方法、並びにその上映監理方法を実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映画館で映画などの映像コンテンツを上映する際に、従来の映画フィルムを使用した上映の代わりに、デジタル化された映像コンテンツを用意し、ビデオプロジェクタを使用して映像コンテンツをスクリーンに投映して、上映を行うシステムが普及している。
【0003】
このような上映システムの場合、映画館では、映像コンテンツを蓄積するライブラリと称される記憶部が用意され、映画本編のコンテンツや、予告編のコンテンツ、広告などのプリショウと称されるコンテンツなどを蓄積する。
そして、映画館で各コンテンツを上映するスケジュールに基づいて、映像コンテンツのプレイリストが作成され、そのプレイリストに基づいて、蓄積したコンテンツの上映が行われる。
【0004】
図7は、従来のプレイリストを使用した上映管理の例を示した図である。この例では、2つのスクリーンを備えた映画館を想定する。第1スクリーンでは、10時から12時に、プリショウaと予告編bと本編cを上映する。13時から15時までと、17時から19時までにも、同じ組み合わせでの上映を行う。この場合、それぞれの上映は、プレイリスト1で示される。
一方、第2スクリーンでは、毎回、同じ予告編dと本編eを上映するが、プリショウについては、毎回異なるものを上映する。すなわち、10時からの上映時にプリショウaを上映し、13時からの上映時にプリショウfを上映し、17時からの上映時にプリショウgを上映する。
このとき、第2スクリーンでの上映については、それぞれの上映回ごとに異なるプレイリスト2,3,4で示される。プレイリストは、どのコンテンツをどの順序で上映するのかを示すデータである。
【0005】
特許文献1には、上映スケジュールに基づいて映像コンテンツの上映を制御する上映管理装置についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−40885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、映画館での上映をプレイリストで管理すると、上映形態によっては、プレイリストの数が多くなり、管理が複雑化する問題がある。例えば、図7に示した例では、第1スクリーンは、毎回同じ内容の上映が繰り返されるので、1つのプレイリストでよい。これに対して、第2スクリーンは、本編や予告編で上映されるコンテンツは毎回同じであるが、広告などのプリショウのコンテンツが上映時間ごとに異なるため、上映時間ごとに異なるプレイリストが必要である。
【0008】
また、本編としての映画は、決められた期間、毎日、同じ映画を連続して繰り返し上映するが、広告などのプリショウは、本編とは無関係に、別の内容に変更される可能性がある。そのような広告の差し替えがあった場合にも、プレイリストの更新を行う。
【0009】
図7ではスクリーンが2つの映画館の例であるが、実際には3つ以上の多くのスクリーンを備えた映画館が多数普及しており、スクリーンの数に、各スクリーンでの上映組み合わせの数を乗算した数だけ、プレイリストが存在する。しかも、広告などの差し替えがあるごとに、プレイリストが更新される。したがって、従来の上映管理システムでは、非常に多くのプレイリストを用意する必要があり、映画上映の管理が煩雑化する問題がある。
【0010】
本開示は、映像コンテンツの一部の変更が容易に行える上映管理システム、上映管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の上映管理システムは、上映する映像コンテンツを複数蓄積するコンテンツ蓄積部を備える。また、コンテンツ蓄積部が蓄積した映像コンテンツが上映される順序を規定するプレイリストを管理し、プレイリストの中の特定箇所で上映する1つ又は複数の映像コンテンツを示したファイルを管理するプレイリスト管理部を備える。さらに、上映時間に対応してプレイリストを管理するスケジュール管理部を備える。
そして、プレイリストは、複数のフレームを配置したリストとされ、複数のフレームの内の第1のフレームで、上映する映像コンテンツを示し、複数のフレームの内の第2のフレームで、前記ファイルを示すようにした。
【0012】
また本開示の上映管理方法は、上映する映像コンテンツを複数蓄積させ、蓄積した映像コンテンツを上映する順序を規定するプレイリストを取得し、蓄積した映像コンテンツと、その映像コンテンツを1つ又は複数格納したファイルを管理する。そして、上映時間に対応してプレイリストで示された順序で映像コンテンツの上映を実行する。
そして、この場合のプレイリストとして、複数のフレームを配置したリストとし、複数のフレームの内の第1のフレームで、上映する映像コンテンツを示し、複数のフレームの内の第2のフレームで、ファイルを示す構成とした。
【0013】
また本開示のプログラムは、上映する映像コンテンツを複数蓄積させる手順と、蓄積した映像コンテンツを上映する順序を規定するプレイリストを取得する手順を備える。さらに、蓄積した映像コンテンツと、その映像コンテンツを1つ又は複数格納したファイルを管理すると共に、上映時間に対応してプレイリストで示された順序で映像コンテンツの上映を実行する手順とを実行させる。
そして、プレイリストを取得する手順で取得されるプレイリストとして、複数のフレームを配置したリストとし、複数のフレームの内の第1のフレームで、上映する映像コンテンツを示し複数のフレームの内の第2のフレームで、ファイルを示すようにした。
【0014】
このようにしたことで、第2のフレームに対応したファイルを複数用意したり更新することで、1つのプレイリストで上映する映像コンテンツの一部を、異なった映像コンテンツとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によると、1つのプレイリストで上映する映像コンテンツの一部を、異なった映像コンテンツとすることができ、上映時間や上映形態に応じて、一部のコンテンツを入れ替えるなどの細かい上映制御が、プレイリストの数を増やすことなく行える。
例えば、1つの本編の映像コンテンツを上映するプレイリストを1つ作成し、そのプレイリスト中のプリショウ部分に対応したファイルを複数用意して、上映時間ごとにプリショウ部分に対応したファイルを変更することで、プリショウの映像の入れ替えができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本開示の一実施の形態によるシステム全体の例を示す構成図である。
【図2】本開示の一実施の形態による上映管理システムの例を示す構成図である。
【図3】本開示の一実施の形態による各管理部のデータ例を示す図である。
【図4】本開示の一実施の形態によるスケジュールに基づいた処理例を示すフローチャートである。
【図5】本開示の一実施の形態によるスケジュールに基づいた映像コンテンツの配信例を示す図である。
【図6】本開示の一実施の形態によるスケジュールに基づいた映像コンテンツの配信例(フレームに対応したパックがない場合の例)を示す図である。
【図7】従来のプレイリストによる上映制御例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の一実施の形態の例を、以下の順序で説明する。
1.システム全体の構成例(図1)
2.上映管理システムの構成例(図2)
3.各管理部が管理するデータの例(図3)
4.スケジュールに従って実行する例(図4,図5)
5.フレームに対応したパックがない場合の例(図6)
6.変形例
【0018】
[1.システム全体の構成例]
まず、図1を参照して、映画館での上映を管理するシステム全体の構成を説明する。
この例の映画館は、図1に示すように3つのスクリーン213,223,233を備え、それぞれのスクリーンごとに設定されたプレイリストに従って、それぞれのスクリーン213,223,233で映画などの上映を個別に行う。
映画館は、3つのスクリーンでの上映全体を制御するシステムとしての上映管理システム100を備え、この上映管理システム100が上映の管理を行う。上映管理システム100は、大容量のデータ記憶を行う蓄積部110を備え、映画コンテンツ配給業者91から供給された映画のコンテンツのデータや、プリショウ配給業者92から供給されたプリショウのコンテンツのデータなどを、蓄積部110が記憶する。映画コンテンツ配給業者91から供給されるコンテンツのデータには、映画の本編のコンテンツの他に、映画の予告編のコンテンツも含まれる。この映画の予告編のコンテンツは、プリショウ配給業者92から供給される場合もある。
蓄積部110は、例えば複数台のハードディスクドライブ装置で構成する。
【0019】
そして、上映管理システム100が蓄積したコンテンツのデータを、スクリーンごとに用意したスクリーン管理システムに送る。
すなわち、第1スクリーン213での上映を制御する第1スクリーン管理システム210と、第2スクリーン223での上映を制御する第2スクリーン管理システム220と、第3スクリーン233での上映を制御する第3スクリーン管理システム230を備える。そして、上映管理システム100に設定された第1スクリーンの上映スケジュールに従って、第1スクリーン213で上映する映像コンテンツのデータを第1スクリーン管理システム210に送る。第1スクリーン管理システム210では、受信した映像コンテンツのデータを、システム内の蓄積部211が蓄積する。この第1スクリーン管理システム210の蓄積部211が蓄積した映像コンテンツを使用して、第1スクリーン用のビデオプロジェクタ212が、映像のスクリーン213への投影を行い、上映を実行する。
【0020】
同様に、上映管理システム100に設定された第2スクリーンの上映スケジュールに従って、第2スクリーン223で上映する映像コンテンツのデータを第2スクリーン管理システム220に送る。第2スクリーン管理システム220では、受信した映像コンテンツのデータを、システム内の蓄積部221が蓄積する。蓄積部221が使用した映像コンテンツを使用して、第2スクリーン用のビデオプロジェクタ222が、映像の第2スクリーン223への投影を行い、上映を実行する。
さらに、上映管理システム100に設定された第3スクリーンの上映スケジュールに従って、第3スクリーン233で上映する映像コンテンツのデータを第3スクリーン管理システム230に送る。第3スクリーン管理システム230では、受信した映像コンテンツのデータを、システム内の蓄積部231が蓄積する。蓄積部231が使用した映像コンテンツを使用して、第3スクリーン用のビデオプロジェクタ232が、映像の第3スクリーン233への投影を行い、上映を実行する。
【0021】
映画コンテンツ配給業者91から供給される映画のコンテンツや、プリショウ配給業者92から供給されたプリショウのコンテンツは、暗号化されたデータとして上映管理システム100に供給される。この暗号化されたデータは、上映管理システム100内では暗号化されたまま処理して、各スクリーン管理システム210,220,230に送る。そして、スクリーン管理システム210,220,230内で、暗号化からの復号を行う。
【0022】
[2.上映管理システムの構成例]
次に、図2を参照して、上映管理システム100の構成を説明する。
上映管理システム100は、ファイル管理部101と、権限管理部102と、スケジュール管理部103と、プレイリスト管理部104と、コンテンツ管理部105とを備える。ファイル管理部101は、上映スケジュールやプレイリストなどのデータを外部から受信し、受信したデータを蓄積部110が蓄積する。また、蓄積部110は、映像コンテンツ(映画本編,予告編,プリショウ)を蓄積する。なお、映像コンテンツは、配給業者などから通信回線を経由して受信してもよいが、例えば配給業者から送付されたコンテンツ記録済みのハードディスクなどの媒体を、蓄積部110に装着して、蓄積する構成でもよい。
【0023】
そして、蓄積部110が蓄積したスケジュールのデータを、スケジュール管理部103が読み出し、その読み出したスケジュールに従って、スケジュール管理部103が上映の管理を行う。このとき、スケジュールで指示されたプレイリストのデータを、蓄積部110からプレイリスト管理部104が読み出し、スケジュール管理部103に送り、スケジュールで実行するプレイリストを判断する。このスケジュール管理部103によるプレイリストの実行で、コンテンツ管理部105が蓄積部110に蓄積された映像コンテンツを読み出し、指示されたスクリーン管理システム210,220又は230に、読み出した映像コンテンツを送る。
【0024】
これらのスケジュール管理部103と、プレイリスト管理部104と、コンテンツ管理部105での管理処理を行う際には、権限管理部102が操作者の権限を判断して、その判断した権限で対応した管理が可能な場合に実行する。例えば、上映スケジュールについての権限を有する者が操作している場合に、スケジュール管理部103でのスケジュールの作成や修正を、権限管理部102が許可する。また、例えば権限管理部102が操作者の権限を判断して、プリショウに関するデータ(例えば後述するパックのデータなど)の更新や作成だけを行える権限であるとき、該当する操作を権限管理部102が許可する。
【0025】
[3.各管理部が管理するデータの例]
図3は、スケジュール管理部103と、プレイリスト管理部104が管理するデータの例である。
スケジュール管理部103は、それぞれのスクリーンの上映時間ごとのスケジュールのデータを持つ。それぞれのスケジュールのデータは、プレイリストの番号と、フレーム・パック関連テーブルのデータを持つ。フレーム・パック関連テーブルは、プレイリスト内のフレームと、パックと称されるファイルとの対応を示すデータである。
【0026】
この図3に示した例の場合、第1スクリーン213では、各上映時間で本編の映画は同じであり、本編の映画上映前に上映するプリショウの映像だけが各上映時間で異なる。このように本編の映画が同じ場合、どの上映時間のスケジュールでも、同じ番号のプレイリストを指定する。そして、フレーム・パック関連テーブルのデータで、プリショウに対応したコンテンツを指示する。
第2スクリーン223と第3スクリーン233についても、各上映時間で本編の映画がスクリーンごとに同じである場合、各上映時間で同じ番号のプレイリストを指定する。本編の映画が異なる場合に、プレイリストの番号が変化する。そして、フレーム・パック関連テーブルのデータで、プリショウの映像を指定する。
【0027】
具体的には、例えば、第1スクリーン213の10時から12時の上映時間でのスケジュールSC11で、そのスケジュールで実行されるプレイリストPL1を指示する。また、フレーム・パック関連テーブルとして、フレームF11がパックPK11に対応し、フレームF14がパックPK12に対応していることを示す。
また、第1スクリーン213の13時から15時の上映時間でのスケジュールSC12で、そのスケジュールで実行されるプレイリストPL1が指示される。このプレイリストPL1は、上述した10時から12時の上映時間の際のプレイリストと同じである。
また、フレーム・パック関連テーブルとして、フレームF11がパックPK13に対応し、フレームF14がパックPK12に対応していることを示す。
【0028】
次に、プレイリスト管理部104が管理するプレイリストについて説明する。
それぞれのプレイリストは、複数のフレームの集合で示される。例えば、プレイリストPL1は、4つのフレームF11,F12,F13,F14で構成される。この4つのフレームF11,F12,F13,F14の内の、先頭のフレームF11で、広告映像などのプリショウの映像コンテンツが示される。次のフレームF12で予告編の映像コンテンツが示され、その次のフレームF13で本編の映像コンテンツが示される。最後のフレームF14は、本編終了後に上映する映像コンテンツが示される。上映時には、フレームF11の映像コンテンツ、フレームF12の映像コンテンツ、フレームF13の映像コンテンツ、フレームF14の映像コンテンツの順で上映が行われる。なお、このような4つのフレームで構成されるのは1つの例であり、例えば本編終了後に上映する映像コンテンツに対応したフレームF14はなくてもよい。また、本編の前半と後半を個別の映像コンテンツとして、それぞれを別のフレームで指示してもよい。
【0029】
プレイリストとして、このようなフレーム構成として、全てのフレームに映像コンテンツを指示するデータを配置する構成としてもよいが、本実施の形態の場合には、一部のフレーム(第1のフレーム)だけに、映像コンテンツを指示するデータを配置する。そして、残りのフレーム(第2のフレーム)については、映像コンテンツを指示するデータを配置しない、いわゆる空のフレームとする。
【0030】
具体的には、例えば、予告編の映像コンテンツを指示するフレームF12と、本編の映像コンテンツを指示するフレームF13は、各フレーム内のデータで、それぞれの映像コンテンツを指示する。図3に示したプレイリストPL1では、フレームF12で、コンテンツAとコンテンツBを指示し、フレームF13で、コンテンツCを指示する。コンテンツA,Bは、それぞれ予告編の映像コンテンツで、コンテンツCは、本編の映像コンテンツである。
そして、プリショウの映像コンテンツを指示するフレームF11と、本編終了後に上映する映像コンテンツを指示するフレームF14については、映像コンテンツを指示するデータがない空のフレームとする。
【0031】
プレイリスト管理部104は、このようなプレイリストの他に、フレーム・パック関連テーブルについても管理する。
すなわち、先に説明したフレーム・パック関連テーブルで示されたパックの具体的な内容が示される。例えば、パックPK11は、映像コンテンツUと映像コンテンツVと映像コンテンツWを含むことが示される。また、パックPK12は、映像コンテンツXと映像コンテンツYを含むことが示される。さらに、パックPK13は、映像コンテンツVと映像コンテンツZを含むことが示される。これらの例では、1つのパック内に複数の映像コンテンツを配置したが、1つのパックに1つの映像コンテンツだけを配置してもよい。
このように、パックは、複数又は1つの映像コンテンツを納めたファイルに相当する。但し、映像コンテンツの実体は、パック内ではなく蓄積部110に格納されている。
【0032】
なお、スケジュール管理部103が管理するフレーム・パック関連テーブルと、プレイリスト管理部104が管理するパックの内容は、特定の権限を有する者が操作した場合にだけ更新や作成が行えるように、権限管理部102が管理する。具体的には、例えばプリショウ配給業者にだけ操作できる権限を与え、映画館側の作業者に権限を与えないようにする。
【0033】
[4.スケジュールに従って実行する例]
次に、スケジュール管理部103が持つスケジュールのデータに基づいて、各スクリーン管理システムに上映を指示する処理を、図4のフローチャートに基づいて説明する。
まず、スケジュール管理部103が持つ1つのスケジュールを取得する(ステップS11)。このとき、スケジュールに付加されたプレイリストの番号とフレーム・パック関連テーブルを判断する。
【0034】
そして、スケジュールに付加されたプレイリストの番号を元に、そのプレイリストをプレイリスト管理部104から取得する。また、ステップS11で取得したスケジュールとして、フレーム・パック関連テーブルが付加されたデータであるか否かを判断する(ステップS13)。この判断で、フレーム・パック関連テーブルが付加されていると判断した場合には、フレーム・パック関連テーブルで示されたパックが存在するか否かを判断する(ステップS14)。
【0035】
ステップS14の判断で、フレーム・パック関連テーブルで示されたパックが存在した場合には、該当するパック内の映像コンテンツを判断する(ステップS15)。そして、プレイリスト内のフレームで指示された映像コンテンツと、パック内の映像コンテンツを、フレーム順に配列して、その映像コンテンツを、スケジュールに対応したスクリーン管理システムに配信する(ステップS17)。なお、このステップS16では、映像コンテンツの再生順序だけをスクリーン管理システムに伝えて、その後に、該当する映像コンテンツそのものは、その再生順序で指示された映像コンテンツを、スクリーン管理システムが取得処理を行うようにしてもよい。
【0036】
また、ステップS13で、プレイリストにフレーム・パック関連テーブルが付加されていないと判断した場合には、ステップS17に移る。さらに、ステップS14で、フレーム・パック関連テーブルで指示されたパックが存在しないと判断した場合にも、ステップS17に移る。
そして、ステップS17で、プレイリスト内のフレームで指示された映像コンテンツだけを、フレーム順に配列して、その映像コンテンツを、スケジュールに対応したスクリーン管理システムに配信する。
【0037】
次に、図4のフローチャートで説明したスケジュール実行処理の具体例を、図5を参照して説明する。
この例では、第1スクリーン213で10時から上映を行うスケジュールSC11を示す。このスケジュールSC11は、プレイリストPL1が設定され、フレーム・パック関連テーブルとして、フレームF11がパックPK11に関連し、フレームF14がパックPK12に関連していることが、情報300として取得される。
【0038】
そして、この情報300で示されたプレイリストPL1の詳細情報310が取得される。
このプレイリストPL1の詳細情報310では、フレームF11,F12,F13,F14で構成されることが示される。この例では、フレームF11がプリショウに相当する部分のフレームであり、フレームF12が予告編に相当する部分のフレームであり、フレームF13が本編に相当するフレームであり、フレームF14が本編終了後に上映する部分のフレームである。
【0039】
これらのフレームの内で、フレームF12で映像コンテンツAと映像コンテンツBが示され、フレームF13で映像コンテンツCが示されている。また、フレームF11とフレームF14は、映像コンテンツが示されない空のフレームとなっている。
このとき、フレーム・パック関連テーブルに基づいて、フレームF11に対応したパックPK11の情報311と、フレームF14に対応したパックPK12の情報312が取得される。そして、それぞれのパック内の映像コンテンツが、空のフレームに対応した映像コンテンツとなる。
【0040】
具体的には、フレームF11の映像コンテンツが、パックPK11で示された映像コンテンツUと映像コンテンツVと映像コンテンツWとなる。また、フレームF14の映像コンテンツが、パックPK12で示された映像コンテンツXと映像コンテンツYとなる。
【0041】
したがって、スケジュールSC11で上映する映像コンテンツが、図5に情報320として示すように、各映像コンテンツをフレーム順に配置した、映像コンテンツU,V,W,A,B,C,X,Yとなる。この映像コンテンツU,V,W,A,B,C,X,Yの配列で、映像コンテンツを上映管理システム100から第1スクリーン管理システム210に配信する。あるいは、上映管理システム100から第1スクリーン管理システム210に、この情報320の映像コンテンツの上映順序を伝え、第1スクリーン管理システム210が該当する映像コンテンツを取得する。
【0042】
図5では、1つのスケジュールの例だけを示したが、例えばスケジュールが変わることで、同じプレイリストであっても、フレーム・パック関連テーブルの変更で、フレームF11やフレームF14の映像コンテンツが変更される。すなわち、プリショウに相当するフレームF11で上映する映像コンテンツや、本編終了後に上映するフレームF14として、別の映像コンテンツに変更することができる。
【0043】
[5.フレームに対応したパックがない場合の例]
図5の例は、フレーム・パック関連テーブルで示されたパックが全て存在した場合である。これに対して、図4のフローチャートのステップS14での判断で、指示されたパックのデータが存在しない場合もありえる。
図6は、この場合の処理を示した図である。
スケジュールの情報300に基づいて、プレイリストPL1の詳細情報310を取得するまでは、図5と同じである。ここで、図6の場合には、プレイリストPL1のフレームF14に対応したパックの情報が、プレイリスト管理部104に設定されていない場合を想定する。このとき、プレイリストPL1に従ってスケジュールを作成する処理で、フレームF14を削除して、フレームF11,F12,F13だけから、映像コンテンツを配列する。
具体的には、スケジュールSC11で上映する映像コンテンツが、図6に情報330として示すように、各映像コンテンツをフレーム順に配置した、映像コンテンツU,V,W,A,B,Cとなる。この映像コンテンツU,V,W,A,B,Cの配列で、映像コンテンツを上映管理システム100から第1スクリーン管理システム210に配信する。あるいは、上映管理システム100から第1スクリーン管理システム210に、この情報330の映像コンテンツの上映順序を伝え、第1スクリーン管理システム210が該当する映像コンテンツを取得する。
なお、図6の例は、パックが存在しない場合の例であるが、例えばパックのデータが存在しても、そのパックで指示された映像コンテンツが蓄積されていない場合にも、同様の処理が行われる。
【0044】
この図6に示す処理が行われることで、上映時の不具合を効果的に防止できる。具体的には、例えばプリショウ部分での上映は、広告などで構成されるため多数の映像コンテンツを上映することが多く、映像コンテンツの準備が完了しているかどうかの確認が難しい。このため、パックの内容の不備や映像コンテンツの未蓄積などで、一部の映像コンテンツが上映できない状態になる可能性がある。しかしながら、万一そのような事態になっても、該当する部分が自動的にスキップして上映が行われるので、部分的に映像が無表示になるような事故が発生せず、スケジュールに従った上映が失敗することがない。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態を適用することで、プレイリスト内の一部の区間に上映する映像コンテンツを、そのプレイリストとは別のパックと称されるファイルで指示できる。したがって、例えば映画上映時の本編や予告編などの基本となる上映形態をプレイリストで指示し、上映回ごとに変更の可能性があるプリショウ部分をパックで指示することで、プレイリストの数を増やすことなく、多彩な上映形態に対応できるようになる。
【0046】
パックの情報の変更や更新に関する操作を、権限管理部102で行い、映画館の作業者には制限させ、プリショウ配給業者などのその部分を操作できる特別な権限を有する者だけが実行可能とすることで、確実かつ適切なプリショウの上映が可能になる。すなわち、上映操作を行う映画館側は、広告などのプリショウの上映時の映像の選択などの操作に関わらなくなり、プリショウ配給業者が決めた通りに確実に上映が行われ、映画館側の誤操作などで、特定の広告映像が上映されない、などのトラブルを防止できる。
【0047】
また、プリショウ部分をパックで指示することで、パックの内容をプリショウ配給業者などが更新するだけで、プレイリストを変更することなく、プリショウとして上映する広告などを別の映像に更新させることができる。したがって、プリショウとして上映する広告などを簡単に別の映像に更新することができる。
【0048】
[6.変形例]
なお、上述した実施の形態の例では、プレイリストで示されるフレームの内、プリショウ部分のフレームと、本編上映後に上映される部分のフレームを、空のフレームとして、パックで内容が示されるようにした。この2つのフレームに適用したのはあくまでも1つの例であり、その他のフレームに適用してもよい。また、パックの内容として、映像コンテンツを特定するデータを配置したが、映像コンテンツそのものを配置したパック(ファイル)を用意してもよい。
【0049】
また、プリショウ部分に対応したパックの更新や作成を、権限管理部102が特定の操作者に制限するようにしたが、この権限に基づいた制限についても一例を示したものであり、映画館側が操作できるようにしてもよい。
【0050】
また、上述した実施の形態の例では、上映管理システムをスクリーン管理システムに接続して、そのスクリーン管理システムを使用して上映を行うシステム構成とした。複数のスクリーンが存在する映画館(上映館)の場合にはこのようなシステムとなるが、1つスクリーンだけを備えた映画館の場合には、上映管理システムで得られたスケジュールに基づいて、直接、プロジェクタで映像を上映するシステム構成としてもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態の例では、図2に示した上映管理システムを構成する装置として、プレイリスト管理部104を設け、そのプレイリスト管理部104がプレイリストの管理と、パックと称されるファイルの管理を行う構成とした。これに対して、パックと称されるファイルの管理は、別の管理部で行う構成としてもよい。その他のデータの管理を行う処理部についても、図2の構成は一例であり、その他の処理部が管理などを実行してもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態の例では、上映管理システムを専用の装置として構成した例を示した。これに対して、例えば図4のフローチャートに示した処理手順を実行するプログラムを作成し、汎用のコンピュータ装置に、そのプログラムを実装することで、実施の形態で説明した上映管理システムを構成するようにしてもよい。
【0053】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1) 上映する映像コンテンツを複数蓄積するコンテンツ蓄積部と、
前記コンテンツ蓄積部が蓄積した映像コンテンツが上映される順序を規定するプレイリストを管理し、前記プレイリストの中の特定箇所で上映する1つ又は複数の映像コンテンツを示したファイルを管理するプレイリスト管理部と、
上映時間に対応してプレイリストを管理するスケジュール管理部とを備え、
前記プレイリストは、複数のフレームを配置したリストとされ、
前記複数のフレームの内の第1のフレームで、上映する映像コンテンツを示し、前記複数のフレームの内の第2のフレームで、前記ファイルを示すようにした、

上映管理システム。
【0054】
(2) 上映時間ごとのプレイリストに、前記第2のフレームと前記ファイルとの対応を示したフレーム・ファイル関連テーブルを付加し、
前記フレーム・ファイル関連テーブルで示すファイルの変更で、該当するフレームで上映する映像コンテンツを、上映時間ごとに変更可能とした、
前記(1)記載の上映管理システム。
【0055】
(3) 前記フレーム・ファイル関連テーブルで示すファイル又は映像コンテンツが存在しない場合に、該当するフレーム又は映像コンテンツの部分を除いて、上映スケジュールを作成する
前記(2)記載の上映管理システム。
【0056】
(4) 前記コンテンツ管理部が管理するファイルの更新で、プレイリストを変更することなく前記第2のフレームの区間に上映する映像コンテンツを、別の映像コンテンツに更新できるようにした、
前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の上映管理システム。
【0057】
(5) 前記プレイリストで示される複数のフレームの内の前記第1のフレームで示された映像コンテンツと、前記第2のフレームで示されたファイル内の映像コンテンツとを前記コンテンツ蓄積部から読み出し、スクリーンごとに用意されたスクリーン管理システムに送る
前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の上映管理システム。
【0058】
(6) 権限管理部を設け、
前記権限管理部で権限を認めた者だけが、前記ファイルの更新又は入れ替えを行えるようにした
前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の上映管理システム。
【0059】
(7) 上映する映像コンテンツを複数蓄積し、
前記蓄積した映像コンテンツを上映する順序を規定するプレイリストを取得し、
前記蓄積した映像コンテンツと、その映像コンテンツを1つ又は複数格納したファイルを管理すると共に、上映時間に対応して前記プレイリストで示された順序で映像コンテンツの上映を実行する上映管理方法であり、
前記プレイリストとして、複数のフレームを配置したリストとし、
前記複数のフレームの内の第1のフレームで、上映する映像コンテンツを示し、前記複数のフレームの内の第2のフレームで、前記ファイルを示す構成とした、
上映管理方法。
【0060】
(8) コンピュータに、
上映する映像コンテンツを複数蓄積する手順と、
前記蓄積した映像コンテンツを上映する順序を規定するプレイリストを取得する手順と、
前記蓄積した映像コンテンツと、その映像コンテンツを1つ又は複数格納したファイルを管理すると共に、上映時間に対応して前記プレイリストで示された順序で映像コンテンツの上映を実行する手順とを実行させると共に、
前記プレイリストを取得する手順で取得されるプレイリストとして、複数のフレームを配置したリストとし、
前記複数のフレームの内の第1のフレームで、上映する映像コンテンツを示し、前記複数のフレームの内の第2のフレームで、前記ファイルを示す構成として、映像コンテンツの上映を実行させる
プログラム。
【符号の説明】
【0061】
91…映画コンテンツ配給業者、92…プリショウ配給業者、100…上映管理システム、101…ファイル管理部、102…権限管理部、103…スケジュール管理部、104…プレイリスト管理部、105…コンテンツ管理部、110…蓄積部、210…第1スクリーン管理システム、211…蓄積部、212…ビデオプロジェクタ、213…第1スクリーン、220…第2スクリーン管理システム、221…蓄積部、222…ビデオプロジェクタ、223…第2スクリーン、230…第3スクリーン管理システム、231…蓄積部、232…ビデオプロジェクタ、233…第3スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上映する映像コンテンツを複数蓄積するコンテンツ蓄積部と、
前記コンテンツ蓄積部が蓄積した映像コンテンツが上映される順序を規定するプレイリストを管理し、前記プレイリストの中の特定箇所で上映する1つ又は複数の映像コンテンツを示したファイルを管理するプレイリスト管理部と、
上映時間に対応してプレイリストを管理するスケジュール管理部とを備え、
前記プレイリストは、複数のフレームを配置したリストとされ、
前記複数のフレームの内の第1のフレームで、上映する映像コンテンツを示し、前記複数のフレームの内の第2のフレームで、前記ファイルを示すようにした、
上映管理システム。
【請求項2】
上映時間ごとのプレイリストに、前記第2のフレームと前記ファイルとの対応を示したフレーム・ファイル関連テーブルを付加し、
前記フレーム・ファイル関連テーブルで示すファイルの変更で、該当するフレームで上映する映像コンテンツを、上映時間ごとに変更可能とした、
請求項1記載の上映管理システム。
【請求項3】
前記フレーム・ファイル関連テーブルで示すファイル又は映像コンテンツが存在しない場合に、該当するフレーム又は映像コンテンツの部分を除いて、上映スケジュールを作成する
請求項2記載の上映管理システム。
【請求項4】
前記ファイルの更新で、プレイリストを変更することなく前記第2のフレームの区間に上映する映像コンテンツを、別の映像コンテンツに更新できるようにした、
請求項1記載の上映管理システム。
【請求項5】
前記プレイリストで示される複数のフレームの内の前記第1のフレームで示された映像コンテンツと、前記第2のフレームで示されたファイル内の映像コンテンツとを前記コンテンツ蓄積部から読み出し、スクリーンごとに用意されたスクリーン管理システムに送る
請求項1記載の上映管理システム。
【請求項6】
権限管理部を設け、
前記権限管理部で権限を認めた者だけが、前記ファイルの更新又は作成を行えるようにした
請求項1記載の上映管理システム。
【請求項7】
上映する映像コンテンツを複数蓄積し、
前記蓄積した映像コンテンツを上映する順序を規定するプレイリストを取得し、
前記蓄積した映像コンテンツと、その映像コンテンツを1つ又は複数格納したファイルを管理すると共に、上映時間に対応して前記プレイリストで示された順序で映像コンテンツの上映を実行し、
前記プレイリストとして、複数のフレームを配置したリストとし、
前記複数のフレームの内の第1のフレームで、上映する映像コンテンツを示し、前記複数のフレームの内の第2のフレームで前記ファイルを示す、
上映管理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
上映する映像コンテンツを複数蓄積する手順と、
前記蓄積した映像コンテンツを上映する順序を規定するプレイリストを取得する手順と、
前記蓄積した映像コンテンツと、その映像コンテンツを1つ又は複数格納したファイルを管理すると共に、上映時間に対応して前記プレイリストで示された順序で映像コンテンツの上映を実行する手順とを実行させ、
前記プレイリストを取得する手順で取得されるプレイリストとして、複数のフレームを配置したリストとし、
前記複数のフレームの内の第1のフレームで、上映する映像コンテンツを示し、前記複数のフレームの内の第2のフレームで、前記ファイルを示すようにして、映像コンテンツの上映をコンピュータに実行させるための
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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