下半身用衣類
【課題】パワーネット生地のパワーチェンジに加え、伸縮パワーの変化領域の形状を自由に設定することができ、余計な凹凸がほとんど無く、外衣に響かず、装飾性も向上させることができる下半身用衣類を提供すること。
【解決手段】多段にパワーチェンジさせたパワーネット生地によって構成された身頃部２，３を有し、該身頃部２，３の体形補整箇所に、樹脂プリント部４を前記箇所を囲むように、若しくは、前記箇所内に部分的又は全域に亘って設けた。
【解決手段】多段にパワーチェンジさせたパワーネット生地によって構成された身頃部２，３を有し、該身頃部２，３の体形補整箇所に、樹脂プリント部４を前記箇所を囲むように、若しくは、前記箇所内に部分的又は全域に亘って設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ガードル等の下半身用衣類に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、多段に緊締力（伸縮パワー）を変化（パワーチェンジ）させたパワーネット生地からなる体形補整用の下半身用衣類が知られている（特許文献１参照）。
【特許文献１】特許第３６３４８５９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
通常、パワーネット生地での多段のパワーチェンジは、製品衣類の水平方向に直線状に行うことができるだけであって、この方法では、伸縮パワーの変化領域の形状が直線状に限定され、体形補整箇所に応じた形状とすることができず、例えば、ヒップ部では、特許文献１の如く、伸縮パワーの強い領域と弱い領域との境界をヒップ下部からウエスト部に向けて斜め上に直線状にＶ形状に形成するのが限界であって、ヒップアップラインがヒップの丸みに沿ったものとならず、ヒップの下辺がＶ形に持ち上げられるだけとなり、丸みのある美しいヒップ形状に形成できないという問題点があった。
【０００４】
また、上記パワーネット生地での多段のパワーチェンジでは、製品衣類の装飾性が乏しく、別にレース生地等によって装飾性を上げる必要があるという問題点があった。
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みて開発されたもので、その目的とするところは、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、伸縮パワーの変化領域の形状を自由に設定することができ、余計な凹凸がほとんど無く、外衣に響かず、装飾性も向上させることができる下半身用衣類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
前記目的を達成するために本発明は、多段にパワーチェンジさせたパワーネット生地によって構成された身頃部を有し、該身頃部の体形補整箇所に、樹脂プリント部を前記箇所を囲むように、若しくは、前記箇所内に部分的又は全域に亘って設けたことを特徴としている。
この構成によれば、樹脂プリント部を生地に設けることによって、パワーネット生地の伸縮性を抑えて緊締力を上げることができる。従って、前記構成によれば、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、このパワーネット生地の上に樹脂プリント部をプリントするだけで伸縮パワーの変化領域を自由に修正して形成することができる。そして、伸縮パワーの変化領域の形状は、樹脂プリント部の形状によって自由に変更設定することができる。また、樹脂プリント部は、生地の上に薄く形成することができるため、生地の厚みに変化がほとんど発生せず、余計な凹凸もできないため、外衣に響くことを防止することができる。
【０００６】
また、樹脂プリント部は、生地表面側に柄模様状に設けているため、装飾性が向上し、しかも、通気性も樹脂プリント部の柄模様の表示態様によって、適宜、調節保持させることができる。
また、前記補整箇所が後身頃のヒップ部である場合、前記樹脂プリント部がヒップ下辺から両側を含むヒップ周辺のカーブに沿って帯状に設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、樹脂プリント部によってヒップ下辺から両側を含むヒップ周辺のカーブに沿ってパワーネット生地の伸縮性を抑えて緊締力の高い領域を円弧状に形成してヒップを丸く持ち上げて中央部に寄せることができ、美しいヒップラインを形成させることができる。
【０００７】
また、前記樹脂プリント部が、フロント部、ウエスト部、内腿部にも柄模様状に設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、樹脂プリント部によって、フロント部、ウエスト部、内腿部の生地の緊締力をアップさせて、体形補整機能を向上させることができる。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、樹脂プリント部によって伸縮パワーの変化領域を自由に設定することができ、従って、例えば、ヒップ部においては、丸いお尻の形を形成しつつヒップアップ作用を付与して美しいヒップラインを形成させることができる。また、樹脂プリント部は、余計な凹凸がほとんど無いため外衣に響かず、種々の柄模様を施すことができるため、それ自身で装飾性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明に係る下半身用衣類の実施形態を図面に基づいて説明する。
図面に示す実施形態は、ガードルに適用した場合であって、本発明に係る下半身用衣類１は、図１及び図２に示すように、多段にパワーチェンジさせたパワーネット生地によって構成された身頃部２，３を有し、該身頃部２，３の体形補整箇所に、樹脂プリント部４を前記箇所を囲むように、若しくは、前記箇所内に部分的又は全域に亘って設けている。
身頃部２，３は、プレーンパワーネット生地、サテンパワーネット生地、ツーウェイラッセル生地、ツーウェイトリコット生地等のいずれかのパワーネット生地で構成されている。
【００１０】
本実施形態では、前身頃２の中央部裏側には、逆三角形状のお腹押さえ用の前身裏打ち用当て布２ａが周囲を身生地に縫着して取り付けられている。この当て布２ａは、縦方向の伸縮性も備えているが、横方向の伸縮性が大きいプレーンパワーネット生地が使用され、着用者の腹部を押さえてフラットな形状に補整するようになされている。なお、この当て布２ａは、省略してもよい。そして、当て布２ａを設ける代わりに、逆三角形領域内に樹脂プリント部４を設けることによって前身頃生地の伸縮性を抑えて締付力を強くするようにしてもよい。また、マチ部５の裏側には、綿天竺生地が縫着されている。
【００１１】
身頃部２，３を構成しているパワーネット生地は、体形補整箇所に応じて多段にパワーチェンジされて編成された生地が使用されている。パワーチェンジの態様は、例えば、糸の太さを変えることによりパワーチェンジを行っており、ヒップ部６については、７８Ｔ〜１５６Ｔ（Ｔ：デシテックス：以下同様）の範囲内で締付力を弱く設定し、ヒップ下部７については、２６０Ｔ〜３９０Ｔの範囲内で締付力を強く設定し、太もも部８については、１５６Ｔ〜３１０Ｔの範囲内で締付力を中間程度に設定し、裾ライン部９については、３１０Ｔ〜３９０Ｔの範囲内で締付力を強く設定される。ウエスト部１０には、適宜の伸縮テープが取り付けられる。
【００１２】
樹脂プリント部４は、前身頃２及び後身頃３の体形補整箇所に、この体形補整箇所を囲むように、若しくは、体形補整箇所内に部分的又は全域に亘って設けられるもので、本実施形態では、後身頃３側にあっては、ヒップ部６の下辺から両側を含んでウエスト部１０までヒップ周辺のカーブに沿って帯状に設けてあり、前身頃２側にあっては、フロント部（腹部）１１の両側からウエスト部１０に至るまでに上下方向に帯状に設けてあり、さらに、フロント部（腹部）１１内上部のウエスト部１０に沿って帯状に設けてあり、また、内腿部１２にも前記後身頃３のヒップ部６の周辺のカーブに沿って設けた帯状の樹脂プリント部４から延長した状態で帯状に設けてある。
【００１３】
樹脂プリント部４は、単なる帯状とすると、最も締付力が強くなる一方、装飾性が乏しく、また、通気性も損なわれるため、花柄、蔓草柄、動物柄、その他のレース柄等の柄模様状に形成し、装飾性と通気性を具備させるようにするのが好ましい。
樹脂プリント材料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、合成ゴムまたはシリコン等の樹脂が使用可能であり、また、プリント方法としては、ローラー捺染、フラットスクリーン捺染、ロータリースクリーン捺染、インクジェット捺染等で行われる。
【００１４】
本発明の実施形態は、以上の構成からなり、この実施形態の構成によれば、樹脂プリント部４を身頃部２，３の生地に設けることによって、パワーネット生地の伸縮性を抑えて緊締力を上げることができる。従って、前記構成によれば、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、このパワーネット生地の上に樹脂プリント部４をプリントするだけで伸縮パワーの変化領域を自由に変更（修正）形成することができる。そして、伸縮パワーの変化領域の形状は、樹脂プリント部４の形状によって自由に設定することができる。また、樹脂プリント部４は、生地の上に薄く形成することができるため、生地の厚みに変化がほとんど無く、余計な凹凸もできないため、外衣に響くことを防止することができる。さらに、樹脂プリント部４は、生地表面側に柄模様状に設けているため、装飾性が向上し、しかも、通気性も適宜保持させることができる。
【００１５】
上記樹脂プリント部４をヒップ部６に図１の如く設けることにより、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、樹脂プリント部４によってヒップ下辺から両側を含むヒップ周辺のカーブに沿ってパワーネット生地の伸縮性を抑えて緊締力の高い領域を円弧状に形成してヒップを丸く持ち上げて中央部に寄せることができ、美しいヒップラインを形成させることができる。
また、樹脂プリント部４をフロント部（腹部）１１やウエスト部１０、内腿部１２に設けることによって、これらの部分におけるパワーネット生地のパワーチェンジに加え、樹脂プリント部４によって、生地の伸縮性が抑えられ、緊締力が上がり、体形補整機能を向上させることができる。
【実施例１】
【００１６】
身生地：トリスキンパワーチェンジパワーネット生地（卜部株式会社製、パワーチェンジのされたツーウェイパワーネット生地）によって図１、図２のようなガードルの身頃部２，３を作成し、これに図１及び図２に示した態様で樹脂プリント部４を設けた。
但し、身生地のパワーチェンジの態様は、ヒップ部６を所定の幅（例えば、最大２２．５ｃｍ）に亘って１５６Ｔ（ソフト）とし、ヒップ下部７を所定の幅（例えば、４．５ｃｍ）に亘って２６０Ｔ（ハード）とし、太もも部８を所定の幅（例えば、１２ｃｍ）に亘って２３５Ｔ（ミドル）とし、裾ライン部９を所定の幅（例えば、３ｃｍ）に亘って３１０Ｔ（ハード）とした。そして、樹脂プリント部４の樹脂成分として、ウレタン樹脂水性エマルジョンとアクリル系樹脂を使用し、溶剤として、ミネラルスピリット、エチレングリコール、界面活性剤、水等の配合物を使用して、フラットスクリーン捺染によりプリントした。プリント後、１７０℃×５分の条件で乾燥させた。
【００１７】
上記本発明品と従来品として本出願人の商品番号「ＩＦ３０００」との臀部における緊締力分布状況と形状変化（体形補整）状況を３次元計測装置によって比較した結果を図３に示した。
上記「ＩＦ３０００」は、上記本発明品において、樹脂プリント部４を省略した構成からなるものである。
試験装置として、（株）浜野エンジニアリング製三次元人体計測装置（型式：３ＤＩ−Ｈ−１１００−Ｓ／Ｒ）を使用した。
【００１８】
上記図３の比較結果より、本発明品による作用効果が確認された。
図面の実施形態は、ガードルに適用した場合を例示したが、本発明は、他の下半身用衣類（例えば、パンティストッキング、タイツ、レオタード、パンティ、ボディスーツ、水着等）に適用してもよいものである。また、樹脂プリント部４は、柄模様の幅及び粗密差によって緊締力を適宜変更設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明をガードルに適用した場合の後身頃の正面図である。
【図２】本発明をガードルに適用した場合の前身頃の正面図である。
【図３】本発明品と従来品との三次元計測装置による比較結果を示す図表である。
【符号の説明】
【００２０】
１ 下半身用衣類（ガードル）
２ 前身頃
３ 後身頃
４ 樹脂プリント部
５ マチ部
６ ヒップ部
７ ヒップ下部
８ 太もも部
９ 裾ライン部
１０ ウエスト部
１１ フロント部（腹部）
１２ 内腿部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ガードル等の下半身用衣類に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、多段に緊締力（伸縮パワー）を変化（パワーチェンジ）させたパワーネット生地からなる体形補整用の下半身用衣類が知られている（特許文献１参照）。
【特許文献１】特許第３６３４８５９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
通常、パワーネット生地での多段のパワーチェンジは、製品衣類の水平方向に直線状に行うことができるだけであって、この方法では、伸縮パワーの変化領域の形状が直線状に限定され、体形補整箇所に応じた形状とすることができず、例えば、ヒップ部では、特許文献１の如く、伸縮パワーの強い領域と弱い領域との境界をヒップ下部からウエスト部に向けて斜め上に直線状にＶ形状に形成するのが限界であって、ヒップアップラインがヒップの丸みに沿ったものとならず、ヒップの下辺がＶ形に持ち上げられるだけとなり、丸みのある美しいヒップ形状に形成できないという問題点があった。
【０００４】
また、上記パワーネット生地での多段のパワーチェンジでは、製品衣類の装飾性が乏しく、別にレース生地等によって装飾性を上げる必要があるという問題点があった。
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みて開発されたもので、その目的とするところは、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、伸縮パワーの変化領域の形状を自由に設定することができ、余計な凹凸がほとんど無く、外衣に響かず、装飾性も向上させることができる下半身用衣類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
前記目的を達成するために本発明は、多段にパワーチェンジさせたパワーネット生地によって構成された身頃部を有し、該身頃部の体形補整箇所に、樹脂プリント部を前記箇所を囲むように、若しくは、前記箇所内に部分的又は全域に亘って設けたことを特徴としている。
この構成によれば、樹脂プリント部を生地に設けることによって、パワーネット生地の伸縮性を抑えて緊締力を上げることができる。従って、前記構成によれば、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、このパワーネット生地の上に樹脂プリント部をプリントするだけで伸縮パワーの変化領域を自由に修正して形成することができる。そして、伸縮パワーの変化領域の形状は、樹脂プリント部の形状によって自由に変更設定することができる。また、樹脂プリント部は、生地の上に薄く形成することができるため、生地の厚みに変化がほとんど発生せず、余計な凹凸もできないため、外衣に響くことを防止することができる。
【０００６】
また、樹脂プリント部は、生地表面側に柄模様状に設けているため、装飾性が向上し、しかも、通気性も樹脂プリント部の柄模様の表示態様によって、適宜、調節保持させることができる。
また、前記補整箇所が後身頃のヒップ部である場合、前記樹脂プリント部がヒップ下辺から両側を含むヒップ周辺のカーブに沿って帯状に設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、樹脂プリント部によってヒップ下辺から両側を含むヒップ周辺のカーブに沿ってパワーネット生地の伸縮性を抑えて緊締力の高い領域を円弧状に形成してヒップを丸く持ち上げて中央部に寄せることができ、美しいヒップラインを形成させることができる。
【０００７】
また、前記樹脂プリント部が、フロント部、ウエスト部、内腿部にも柄模様状に設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、樹脂プリント部によって、フロント部、ウエスト部、内腿部の生地の緊締力をアップさせて、体形補整機能を向上させることができる。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、樹脂プリント部によって伸縮パワーの変化領域を自由に設定することができ、従って、例えば、ヒップ部においては、丸いお尻の形を形成しつつヒップアップ作用を付与して美しいヒップラインを形成させることができる。また、樹脂プリント部は、余計な凹凸がほとんど無いため外衣に響かず、種々の柄模様を施すことができるため、それ自身で装飾性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明に係る下半身用衣類の実施形態を図面に基づいて説明する。
図面に示す実施形態は、ガードルに適用した場合であって、本発明に係る下半身用衣類１は、図１及び図２に示すように、多段にパワーチェンジさせたパワーネット生地によって構成された身頃部２，３を有し、該身頃部２，３の体形補整箇所に、樹脂プリント部４を前記箇所を囲むように、若しくは、前記箇所内に部分的又は全域に亘って設けている。
身頃部２，３は、プレーンパワーネット生地、サテンパワーネット生地、ツーウェイラッセル生地、ツーウェイトリコット生地等のいずれかのパワーネット生地で構成されている。
【００１０】
本実施形態では、前身頃２の中央部裏側には、逆三角形状のお腹押さえ用の前身裏打ち用当て布２ａが周囲を身生地に縫着して取り付けられている。この当て布２ａは、縦方向の伸縮性も備えているが、横方向の伸縮性が大きいプレーンパワーネット生地が使用され、着用者の腹部を押さえてフラットな形状に補整するようになされている。なお、この当て布２ａは、省略してもよい。そして、当て布２ａを設ける代わりに、逆三角形領域内に樹脂プリント部４を設けることによって前身頃生地の伸縮性を抑えて締付力を強くするようにしてもよい。また、マチ部５の裏側には、綿天竺生地が縫着されている。
【００１１】
身頃部２，３を構成しているパワーネット生地は、体形補整箇所に応じて多段にパワーチェンジされて編成された生地が使用されている。パワーチェンジの態様は、例えば、糸の太さを変えることによりパワーチェンジを行っており、ヒップ部６については、７８Ｔ〜１５６Ｔ（Ｔ：デシテックス：以下同様）の範囲内で締付力を弱く設定し、ヒップ下部７については、２６０Ｔ〜３９０Ｔの範囲内で締付力を強く設定し、太もも部８については、１５６Ｔ〜３１０Ｔの範囲内で締付力を中間程度に設定し、裾ライン部９については、３１０Ｔ〜３９０Ｔの範囲内で締付力を強く設定される。ウエスト部１０には、適宜の伸縮テープが取り付けられる。
【００１２】
樹脂プリント部４は、前身頃２及び後身頃３の体形補整箇所に、この体形補整箇所を囲むように、若しくは、体形補整箇所内に部分的又は全域に亘って設けられるもので、本実施形態では、後身頃３側にあっては、ヒップ部６の下辺から両側を含んでウエスト部１０までヒップ周辺のカーブに沿って帯状に設けてあり、前身頃２側にあっては、フロント部（腹部）１１の両側からウエスト部１０に至るまでに上下方向に帯状に設けてあり、さらに、フロント部（腹部）１１内上部のウエスト部１０に沿って帯状に設けてあり、また、内腿部１２にも前記後身頃３のヒップ部６の周辺のカーブに沿って設けた帯状の樹脂プリント部４から延長した状態で帯状に設けてある。
【００１３】
樹脂プリント部４は、単なる帯状とすると、最も締付力が強くなる一方、装飾性が乏しく、また、通気性も損なわれるため、花柄、蔓草柄、動物柄、その他のレース柄等の柄模様状に形成し、装飾性と通気性を具備させるようにするのが好ましい。
樹脂プリント材料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、合成ゴムまたはシリコン等の樹脂が使用可能であり、また、プリント方法としては、ローラー捺染、フラットスクリーン捺染、ロータリースクリーン捺染、インクジェット捺染等で行われる。
【００１４】
本発明の実施形態は、以上の構成からなり、この実施形態の構成によれば、樹脂プリント部４を身頃部２，３の生地に設けることによって、パワーネット生地の伸縮性を抑えて緊締力を上げることができる。従って、前記構成によれば、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、このパワーネット生地の上に樹脂プリント部４をプリントするだけで伸縮パワーの変化領域を自由に変更（修正）形成することができる。そして、伸縮パワーの変化領域の形状は、樹脂プリント部４の形状によって自由に設定することができる。また、樹脂プリント部４は、生地の上に薄く形成することができるため、生地の厚みに変化がほとんど無く、余計な凹凸もできないため、外衣に響くことを防止することができる。さらに、樹脂プリント部４は、生地表面側に柄模様状に設けているため、装飾性が向上し、しかも、通気性も適宜保持させることができる。
【００１５】
上記樹脂プリント部４をヒップ部６に図１の如く設けることにより、パワーネット生地のパワーチェンジに加え、樹脂プリント部４によってヒップ下辺から両側を含むヒップ周辺のカーブに沿ってパワーネット生地の伸縮性を抑えて緊締力の高い領域を円弧状に形成してヒップを丸く持ち上げて中央部に寄せることができ、美しいヒップラインを形成させることができる。
また、樹脂プリント部４をフロント部（腹部）１１やウエスト部１０、内腿部１２に設けることによって、これらの部分におけるパワーネット生地のパワーチェンジに加え、樹脂プリント部４によって、生地の伸縮性が抑えられ、緊締力が上がり、体形補整機能を向上させることができる。
【実施例１】
【００１６】
身生地：トリスキンパワーチェンジパワーネット生地（卜部株式会社製、パワーチェンジのされたツーウェイパワーネット生地）によって図１、図２のようなガードルの身頃部２，３を作成し、これに図１及び図２に示した態様で樹脂プリント部４を設けた。
但し、身生地のパワーチェンジの態様は、ヒップ部６を所定の幅（例えば、最大２２．５ｃｍ）に亘って１５６Ｔ（ソフト）とし、ヒップ下部７を所定の幅（例えば、４．５ｃｍ）に亘って２６０Ｔ（ハード）とし、太もも部８を所定の幅（例えば、１２ｃｍ）に亘って２３５Ｔ（ミドル）とし、裾ライン部９を所定の幅（例えば、３ｃｍ）に亘って３１０Ｔ（ハード）とした。そして、樹脂プリント部４の樹脂成分として、ウレタン樹脂水性エマルジョンとアクリル系樹脂を使用し、溶剤として、ミネラルスピリット、エチレングリコール、界面活性剤、水等の配合物を使用して、フラットスクリーン捺染によりプリントした。プリント後、１７０℃×５分の条件で乾燥させた。
【００１７】
上記本発明品と従来品として本出願人の商品番号「ＩＦ３０００」との臀部における緊締力分布状況と形状変化（体形補整）状況を３次元計測装置によって比較した結果を図３に示した。
上記「ＩＦ３０００」は、上記本発明品において、樹脂プリント部４を省略した構成からなるものである。
試験装置として、（株）浜野エンジニアリング製三次元人体計測装置（型式：３ＤＩ−Ｈ−１１００−Ｓ／Ｒ）を使用した。
【００１８】
上記図３の比較結果より、本発明品による作用効果が確認された。
図面の実施形態は、ガードルに適用した場合を例示したが、本発明は、他の下半身用衣類（例えば、パンティストッキング、タイツ、レオタード、パンティ、ボディスーツ、水着等）に適用してもよいものである。また、樹脂プリント部４は、柄模様の幅及び粗密差によって緊締力を適宜変更設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明をガードルに適用した場合の後身頃の正面図である。
【図２】本発明をガードルに適用した場合の前身頃の正面図である。
【図３】本発明品と従来品との三次元計測装置による比較結果を示す図表である。
【符号の説明】
【００２０】
１ 下半身用衣類（ガードル）
２ 前身頃
３ 後身頃
４ 樹脂プリント部
５ マチ部
６ ヒップ部
７ ヒップ下部
８ 太もも部
９ 裾ライン部
１０ ウエスト部
１１ フロント部（腹部）
１２ 内腿部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
多段にパワーチェンジさせたパワーネット生地によって構成された身頃部を有し、該身頃部の体形補整箇所に、樹脂プリント部を前記箇所を囲むように、若しくは、前記箇所内に部分的又は全域に亘って設けたことを特徴とする下半身用衣類。
【請求項２】
前記樹脂プリント部は、パワーネット生地の表面側に柄模様状に設けられていることを特徴とする請求項１に記載の下半身用衣類。
【請求項３】
前記補整箇所が後身頃のヒップ部である場合、前記樹脂プリント部がヒップ下辺から両側を含むヒップ周辺のカーブに沿って帯状に設けられていることを特徴とする請求項１又は２に記載の下半身用衣類。
【請求項４】
前記樹脂プリント部が、フロント部、ウエスト部、内腿部にも柄模様状に設けられていることを特徴とする請求項１〜３の何れかに記載の下半身用衣類。
【請求項１】
多段にパワーチェンジさせたパワーネット生地によって構成された身頃部を有し、該身頃部の体形補整箇所に、樹脂プリント部を前記箇所を囲むように、若しくは、前記箇所内に部分的又は全域に亘って設けたことを特徴とする下半身用衣類。
【請求項２】
前記樹脂プリント部は、パワーネット生地の表面側に柄模様状に設けられていることを特徴とする請求項１に記載の下半身用衣類。
【請求項３】
前記補整箇所が後身頃のヒップ部である場合、前記樹脂プリント部がヒップ下辺から両側を含むヒップ周辺のカーブに沿って帯状に設けられていることを特徴とする請求項１又は２に記載の下半身用衣類。
【請求項４】
前記樹脂プリント部が、フロント部、ウエスト部、内腿部にも柄模様状に設けられていることを特徴とする請求項１〜３の何れかに記載の下半身用衣類。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００９−５７６６０（Ｐ２００９−５７６６０Ａ）
【公開日】平成２１年３月１９日（２００９．３．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２２６２１９（Ｐ２００７−２２６２１９）
【出願日】平成１９年８月３１日（２００７．８．３１）
【出願人】（０００００１３３９）グンゼ株式会社 (919)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年３月１９日（２００９．３．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年８月３１日（２００７．８．３１）
【出願人】（０００００１３３９）グンゼ株式会社 (919)
【Ｆターム（参考）】
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