説明

下枠フラットサッシ

【課題】下枠の内レールと室内側端部との間に設けられる部材の脱着が容易で清掃が容易な下枠フラットサッシを提供する。
【解決手段】下枠11は室内側端部に内外レールと略同じ高さの室内立ち上がり片23を有し、室内立ち上がり片23と内レール32の間を渡すように室内上面材33が設けられ、室内上面材33は下枠上面において左右の縦枠間の略全長に渡って設けられると共に、下枠11の見込方向に弾発係止可能な係止片38cを備え、係止片38cは内レール32に対して係止されることで室内上面材33を下枠11に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体を構成する下枠の敷居面が略平坦状に形成された下枠フラットサッシに関し、特に下枠の内外レール間の領域に金属製の部材を設けて下枠上面をより平坦状とした下枠フラットサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物開口部に設けられる枠体内に内外障子を引き違い状に納め、内外障子を案内する内外レールの上端を含む下枠の敷居面を略平坦状に形成した下枠フラットサッシが知られている。下枠フラットサッシは、敷居面をできるだけ平坦に近くするため、内外障子を案内する内外レールの間や内レールと下枠室内端部との間に、カバー材を設けている。このような下枠フラットサッシとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開2004−293221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
下枠の上面において、内レールと下枠室内端部との間に設けられるカバー材は、内レールの上端位置に近い上面を有するように形成されている。このため、下枠本体の上面とカバー材との間には空間部分が生じる。この空間部分には、カバー材上面に流れてきた水が導かれ、さらに下枠の中空内部を介して水は室外に排水される。このため、ゴミや埃がカバー材の下方に侵入することがあり、適宜清掃を行う必要がある。しかし、従来の下枠フラットサッシにおいては、カバー材の脱着が容易ではなく、したがって清掃を行うことも困難であった。
【0004】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、下枠の内レールと室内側端部との間に設けられる部材の脱着が容易で清掃が容易な下枠フラットサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る下枠フラットサッシは、建物開口部に設けられる枠体内に内外障子を引き違い状に納め、前記枠体を構成する下枠は前記内外障子を案内する内外レールの上端を含む敷居面が略平坦状に形成された下枠フラットサッシにおいて、
前記下枠は室内側端部に前記内外レールと略同じ高さの室内立ち上がり片を有し、該室内立ち上がり片と前記内レールの間を渡すように室内上面材が設けられ、該室内上面材は前記下枠上面において前記左右の縦枠間の略全長に渡って設けられると共に、前記下枠の見込方向に弾発係止可能な係止片を備え、該係止片は前記内レールに対して係止することで前記室内上面材を下枠に固定することを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記内レールは室内側面に前記室内上面材の室外端部を支持する突片が形成され、前記室内上面材の係止片は前記内レールの突片に対して弾発係止固定されることを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記室内上面材の両端部には端部キャップが設けられ、該端部キャップに前記係止片が形成されることを特徴として構成されている。
【0008】
さらにまた、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記端部キャップは前記係止片と一体的な操作部を上方突出状に有し、該操作部と係止片は前記端部キャップの本体部に対して弾性的に支持されてなることを特徴として構成されている。
【0009】
そして、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記係止片を有する端部キャップは合成樹脂により形成されてなることを特徴として構成されている。
【0010】
また、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記下枠の室内立ち上がり片と内レールの間の上面には一方の縦枠側端部にコーナーブロックが設けられると共に、他方の縦枠側端部に前記内障子と当接する戸当たりストッパーが設けられ、前記室内上面材は前記コーナーブロックと戸当たりストッパーの間に設けられることを特徴として構成されている。
【0011】
さらに、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記室内上面材は前記内外障子の召し合わせ部分において長手方向に分割されてなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る下枠フラットサッシによれば、下枠の室内立ち上がり片と内レールの間を渡すように室内上面材が設けられ、室内上面材は下枠上面において左右の縦枠間の略全長に渡って設けられると共に、下枠の見込方向に弾発係止可能な係止片を備え、係止片は内レールに対して係止することで室内上面材を下枠に固定することにより、室内上面材を下枠に対して容易に脱着することができ、下枠上面の内レールと室内立ち上がり片との間の清掃を容易にすることができる。
【0013】
また、本発明に係る下枠フラットサッシによれば、内レールは室内側面に室内上面材の室外端部を支持する突片が形成され、室内上面材の係止片は内レールの突片に対して弾発係止固定されることにより、係止片による下枠への係止を容易に行うことができ、下枠に対する脱着をより容易にすることができる。
【0014】
さらに、本発明に係る下枠フラットサッシによれば、室内上面材の両端部には端部キャップが設けられ、端部キャップに係止片が形成されることにより、室内上面材本体は簡易な形状として製造を容易にすることができる。
【0015】
さらにまた、本発明に係る下枠フラットサッシによれば、端部キャップは係止片と一体的な操作部を上方突出状に有し、操作部と係止片は端部キャップの本体部に対して弾性的に支持されてなることにより、室内上面材の上方から容易に係止及びその解除操作を行うことができ、下枠に対する脱着をより容易にすることができる。
【0016】
そして、本発明に係る下枠フラットサッシによれば、係止片を有する端部キャップは合成樹脂により形成されてなることにより、係止片の弾性変形を大きくして容易に弾発係止をなすことができる。
【0017】
また、本発明に係る下枠フラットサッシによれば、下枠の室内立ち上がり片と内レールの間の上面には一方の縦枠側端部にコーナーブロックが設けられると共に、他方の縦枠側端部に内障子と当接する戸当たりストッパーが設けられ、室内上面材はコーナーブロックと戸当たりストッパーの間に設けられることにより、凹凸を有する縦枠の内周面に室内上面材の端部が突き当たらないので、縦枠が脱着の際の妨げとなることがなく、容易に脱着を行うことができる。
【0018】
さらに、本発明に係る下枠フラットサッシによれば、室内上面材は内外障子の召し合わせ部分において長手方向に分割されてなることにより、内外障子を枠体から取り外すことなく、容易に室内上面材を下枠に対し脱着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態における下枠フラットサッシの縦断面図を、図2には下枠フラットサッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態の下枠フラットサッシは、建物開口部に設けられる枠体1内に内障子2と外障子3が引き違い状に納められてなり、外障子3の室外側にはさらに網戸4が走行自在に納められている。
【0020】
枠体1は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みして構成されている。また枠体1は、金属枠1aの室内側露出面を樹脂枠1bで覆っており、金属枠1aが室内側に直接露出しないようにすることで、断熱性及び意匠性を良好にしている。
【0021】
枠体1を構成する各枠材について見ると、上枠10は金属上枠10aと樹脂上枠10bからなっている。上枠10の内周面には、内障子2を上枠10の長手方向に案内する内案内部10cと、外障子3を上枠10の長手方向に案内する外案内部10dとが形成されている。内案内部10cは、樹脂上枠10bによって構成されており、外案内部10dは、金属上枠10a及び樹脂上枠10bによって構成されている。下枠11は、金属下枠20と樹脂下枠25からなっている。下枠11の詳細な構造については、後述する。
【0022】
縦枠12は、金属縦枠12aと樹脂縦枠12bからなっている。内障子2が配置される側の縦枠12は、内障子2の外周面と対向する位置に内周側に向かって突出する内周突出片12cを有しており、内障子2に設けられる気密材2aが当接することで、枠体1と内障子2との間の気密性を確保する。また、外障子3が配置される側の縦枠12は、外障子3の外周面と対向する位置に内周側に向かって突出する内周突出片12cを有しており、外障子3に設けられる気密材3aが当接することで、枠体1と外障子3との間の気密性を確保する。
【0023】
内障子2と外障子3は、いずれも方形状に框組みされてなる框体5内にガラス板からなるパネル体6を納めて構成され、下端部にはこれらを走行自在とするための戸車7が設けられている。框体5は、枠体1と同様に金属材の室内側露出面を覆うように樹脂材が設けられており、断熱性及び意匠性の向上を図っている。
【0024】
次に、下枠11の構成について詳細に説明する。図3には図1の下枠11付近拡大図を、図4には下枠11の分解断面図を、それぞれ示している。図3に示すように、下枠11は、金属下枠20の室内側露出面を覆うように樹脂下枠25が設けられて構成されている。図4に示すように金属下枠20は、断面中空状に形成されると共に、上面には室外側から順に網戸レール22と外レール21及び室内立ち上がり片23が突出状に形成されている。これら網戸レール22と外レール21及び室内立ち上がり片23は、いずれも上端位置が略同じ高さとなるように形成されている。また、樹脂下枠25は、金属下枠20の上面を覆うように設けられる上面被覆部材26と、金属下枠20の室内側面を覆うように設けられる室内面被覆部材27とからなっている。
【0025】
図4に示すように、金属下枠20の上面には、外レール21と室内立ち上がり片23との間に大きな凹状の領域が形成され、この領域に樹脂下枠25を構成する上面被覆部材26が取付けられる。上面被覆部材26は、金属下枠20の上面を被覆する上面被覆部26aと、金属下枠20の室内立ち上がり片23の室外面を被覆する立ち上がり被覆部26bとで、断面略L字状をなす形状に形成されている。
【0026】
金属下枠20の外レール21よりも室内側の上面には、樹脂枠係合片24が突出状に形成されており、上面被覆部材26は室外端部が樹脂枠係合片24に係合する。また、室内立ち上がり片23の上端近傍には、係合部23aが形成されており、上面被覆部材26の立ち上がり被覆部26bが係合し固定がなされる。
【0027】
上面被覆部材26の上面には、内レール部材30が載置される。内レール部材30は金属材からなり、上面被覆部材26に載置される基部31と、基部31から上方に突出状に形成される内レール32とからなっている。内レール32の上端位置は、外レール21や室内立ち上がり片23の上端位置と略同じ高さとなるようにされている。
【0028】
上面被覆部材26の上面被覆部26aには、内レール部材30の基部31を係合させる内レール係合部26cが形成されており、内レール部材30の基部31は内レール係合部26cに係合すると共に、ネジ止めにより上面被覆部材26に対して固定される。この固定に用いられるネジ28は、金属下枠20の上面を貫通して中空内部にまで達しており、これによって内レール部材30を金属下枠20に対しても固定している。
【0029】
このように、内レール32を金属下枠20とは別体の金属材で形成した内レール部材30に設け、この内レール部材30を樹脂材からなる上面被覆部材26に載置固定しているので、内レール32は金属下枠20と熱絶縁されている。したがって、内障子2の荷重を支える内レール32の強度を充分に確保しつつ、これが室内側に露出することによる断熱性の悪化を防ぐことができる。
【0030】
また、内レール32と外レール21の間の領域には、長手方向略全長に渡って中間上面材34が設けられる。中間上面材34は、金属材によって形成されており、上面34aは内障子2の室外面近傍から外障子3の戸車7近傍に渡ると共に、内レール32や外レール21及び室内立ち上がり片23の上端位置と略同じ高さとなるように形成されている。
【0031】
中間上面材34を下枠11に固定するため、上面被覆部材26の室外端部上面には上面材取付部品35が設けられる。上面材取付部品35は、小片状の部品として形成されており、下枠11の長手方向に沿って所定間隔おきに複数が設けられる。中間上面材34は、各上面材取付部品35と係合されることにより、長手方向に沿って複数個所で下枠11に対して固定される。
【0032】
金属下枠20の室内側面を被覆するように設けられる室内面被覆部材27は、金属下枠20の室内側面を覆う室内面被覆部27aと、その上端から室内側に向かって延出されるアングル構成部27bとが一体的に形成されて断面略L字状をなすように形成されている。アングル構成部27bは、枠体1の室内側に設けられる床材(図示しない)の上面に当接してネジ止めされ、さらにその上面にはアングルカバー材14が設けられる。
【0033】
内レール32と室内立ち上がり片23の間の領域には、室内上面材33が設けられる。室内上面材33は金属材からなり略薄板状をなすように形成される。室内上面材33の室外端部は、内レール32の上端近傍に形成される突片32aに支持され、一方で室内上面材33の室内端部は、上面被覆部材26を構成する立ち上がり被覆部26bの上端部分と係合する。
【0034】
そして、室内上面材33は、立ち上がり被覆部26bが被覆する立ち上がり片23に対しては、接触しないようにされている。これにより、室内上面材33は金属下枠20に対しては熱絶縁された状態となっている。また、室内上面材33は、立ち上がり被覆部26bの上端部分と内レール32の上端近傍の突片32aにそれぞれ支持され取付けられているため、その上面33aは内レール32や室内立ち上がり片23の上端位置と略同じ高さとなっている。
【0035】
このように、内レール32と室内立ち上がり片23の間に金属材からなる室内上面材33を設け、室内上面材33を金属下枠20から熱絶縁されるように固定することで、下枠11上面の強度を大きくしつつ、断熱性も確保することができる。また、室内上面材33が取付けられる内レール部材30も、前述のように金属下枠20からは熱絶縁されているので、より断熱性の高い下枠フラットサッシとすることができる。
【0036】
金属下枠20の外レール21と網戸レール22の間には、室外上面材36が取付けられる。室外上面材36は、金属下枠20の上面及び網戸レール22の室内面にそれぞれ係合して固定されており、上面36aは内レール32や外レール21の上端位置と略同じ高さを有すると共に、網戸4の室内面近傍から外障子3の室外面近傍に渡るように形成されている。
【0037】
室外上面材36の上面36aと中間上面材34の上面34a、及び室内上面材33の上面33aは、これまで説明したようにいずれも網戸レール22、外レール21、内レール32、及び室内立ち上がり片23の上端位置と略同じ高さを有しており、しかもこれらの高さは枠体1の室内側の床材と略同じ高さを有している。これによって下枠11の上面は、全体として室内外に渡って略平坦な敷居面13を構成している。
【0038】
内障子2と外障子3は、それぞれ室外面が敷居面13よりも下方まで垂下されており、その垂下部分にはそれぞれ気密材2a、3aが設けられている。内障子2の気密材2aは、内レール32の室外面に当接し、外障子3の気密材3aは、外レール21の室外面に当接し、それぞれ内障子2及び外障子3と枠体1間の気密性を確保している。また、中間上面材34には室内面に気密材34cが設けられており、この気密材34cが内障子2の室外面に当接することで、気密性をより高くしている。
【0039】
図5には、枠体1の横断面図を示している。この図に示すように、下枠11の内レール32と外レール21の間の領域には、中央部に中央気密ブロック37が設けられる。中央気密ブロック37は、内障子2と外障子3が閉じた状態において召合せ部分となる位置に設けられており、上面には複数のヒレが形成されて召合せ部分における気密性を確保する。
【0040】
下枠11の内レール32と外レール21の間の領域であって、中央気密ブロック37の左右には、それぞれ前述の中間上面材34が設けられる。このように、中間上面材34が長手方向の所定間隔おきに設けられる小片状の上面材取付部品35によって保持固定されることにより、上面材取付部品35間の領域においては、中間上面材34と金属下枠20上面が空間を有して対向することとなる。このため、内レール32と中間上面材34との間の領域に水が浸入しても、中間上面材34と金属下枠20上面間の空間から中間上面材34の室外側に水を円滑に流すことができ、排水を効率的に行うことができる。
【0041】
なお、金属下枠20上面の中間上面材34と外レール21との間の領域には、底面に排水孔が形成されており、中間上面材34の室内側及び室外側に浸入した水はこの排水孔から金属下枠20の中空内部に導かれた上で、室外側に排水される。
【0042】
図5は図2と同じ向きに描かれており、下枠11の平面を表している。したがって図中左側に外障子3が配置され、図中右側に内障子2が配置される。外障子3が配置される側の中間上面材34は、室内側に露出するため、断熱性を確保するために金属下枠20とは熱的に遮断される必要がある。このため、図中左側の外障子3が配置される側の上面材取付部品35は、樹脂材によって形成される。これによって、中間上面材34は金属下枠20と熱絶縁されるため、断熱性を向上させることができる。
【0043】
一方、図中右側の内障子2が配置される側については、障子が閉じた状態において中間上面材34が室内側に露出しないため、上面材取付部品35は金属材であってもよい。ただし、ここでも樹脂材により形成された上面材取付部品35を用いてもよい。
【0044】
下枠11の内レール32と室内立ち上がり片23の間に設けられる室内上面材33は、下枠11の長手方向略全長に渡るように設けられる。ただし、下枠11のうち外障子3が配置される側の縦枠12に隣接する位置には、内障子2をスライドさせた際に当接して、スライド端部を規定する戸当たりストッパー40が設けられ、下枠11のうち内障子2が配置される側の縦枠12に隣接する位置には、縦枠12の内周突出片12cにより形成される凹部分を塞ぐようにコーナーブロック41が設けられており、室内上面材33はこれら戸当たりストッパー40とコーナーブロック41の間に渡るように設けられている。
【0045】
室内上面材33は、内障子2と外障子3の召し合わせ位置となる中央部において、長手方向に分割されている。そして、左右の室内上面材33の両端部には、それぞれ端部キャップ38が設けられている。下枠11の中央部においては、室内上面材33が分割されているので、端部キャップ38が隣り合うように配置されることとなる。また、下枠11の両端部においては、前述のように戸当たりストッパー40とコーナーブロック41によって縦枠12に隣接する位置が塞がれていて、端部キャップ38は縦枠12からやや離れた位置に配置される。これにより、内周面に凹凸を有した縦枠12によって端部キャップ38による室内上面材33の脱着が妨げられることがないようにすることができる。
【0046】
図6には、端部キャップ38の斜視図を示している。この図に示すように、端部キャップ38は室内上面材33に隣接して配置される本体部38aと、室内上面材33に端面から挿入される挿入部38bとを有して構成されている。また、本体部38aには、室外側に面するように半円形状の切欠が形成されており、この切欠内に係止片38c及び操作部38dが弾性腕部38eを介して本体部38aと一体形成されている。
【0047】
係止片38cは、室外側に向かって突出状に形成されている。また、係止片38cの先端部は本体部38aの室外端部よりも室外側に突出するようにされている。係止片38cを支持する弾性腕部38eは、本体部38aの両側から係止片38cを懸架する細幅状に形成されており、室内外方向に弾性変形可能とされている。なお、端部キャップ38は合成樹脂により形成されているので、弾性腕部38eは室内外方向に大きく弾性変形することができる。
【0048】
操作部38dは、係止片38cの根元部上面から上方に突出し、本体部38aの切欠に沿う円弧状をなすように形成されている。操作部38dを室内側に引くように操作することで、弾性腕部38eは室内側に弾性変形し、それに伴い係止片38cも室内側に移動する。操作部38dから手を離すと、弾性力により弾性腕部38eは室外側に移動し、係止片38cも元の位置に戻る。
【0049】
端部キャップ38は、挿入部38bを室内上面材33の端面から挿入することにより、室内上面材33に対して固定されて一体化される。室内上面材33を下枠11に取付けるにあたっては、予め端部キャップ38を室内上面材33と一体化しておき、室内上面材33が係止片38cを有した状態としておく。そして、端部キャップ38に設けられた操作部38dを室内側に引くことで弾性腕部38eを撓ませて、係止片38cを室内側に移動させ、その状態で室内上面材33を下枠11の所定位置に取付ける。続いて操作部38dを元に戻して係止片38cを元の状態とすることで、係止片38cは内レール32の突片32aに対して弾発係止される。これによって、室内上面材33は下枠11に対して固定される。
【0050】
逆に、室内上面材33が下枠11に固定された状態において、操作部38dを室内側に引くように操作することで、係止片38cの突片32aに対する弾発係止状態は解除され、その状態で室内上面材33を下枠11から取り外すことができる。すなわち、簡単な操作で室内上面材33を容易に取り外すことができる。
【0051】
図7には、端部キャップ38の取付位置における拡大縦断面図を示している。この図に示すように、端部キャップ38の挿入部38bは、室内上面材33の下面側の形状に略適合する断面形状を有して挿入自在とされている。また、端部キャップ38の係止片38cは、本体部38aの室外端部よりも室外側に突出して、内レール32の突片32aに対し下枠11の見込方向である室内外方向に弾発係止された状態となっている。
【0052】
このように、室内上面材33に係止片38cを有する端部キャップ38を設け、係止片38cを下枠11に対して室内外方向に弾発係止自在としたことにより、室内上面材33を下枠11に対して脱着容易とすることができ、下枠11の上面における内レール32と室内立ち上がり片23の間を容易に清掃することができる。
【0053】
また、室内上面材33を内障子2と外障子3の召し合わせ部分で長手方向に分割し、左右それぞれの室内上面材33の両端部に係止片38cを有する端部キャップ38を設けているので、内障子2や外障子3を枠体1から取り外すことなく、室内上面材33を脱着することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、室内上面材33に設けられる係止片38cを、端部キャップ38に形成することとしたが、室内上面材33本体に係止片38cを設けるようにしてもよい。
【0055】
また、室内上面材33を下枠11に固定する構成として本実施形態では下枠11に対し見込方向に弾発係止自在な係止片38cを設けているが、室内上面材33が下枠11に対して見込方向に弾発係合するものであればよく、例えば室内上面材33に室内外方向に伸縮自在なバネ等の弾性体を設けて、下枠11に対し弾発係合するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態における下枠フラットサッシの縦断面図である。
【図2】本実施形態における下枠フラットサッシの横断面図である。
【図3】図1の下枠付近拡大図である。
【図4】下枠の分解断面図である。
【図5】枠体の横断面図である。
【図6】端部キャップの斜視図である。
【図7】端部キャップの取付位置における拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 枠体
2 内障子
3 外障子
4 網戸
5 框体
6 パネル体
7 戸車
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
13 敷居面
20 金属下枠
21 外レール
22 網戸レール
23 室内立ち上がり片
24 樹脂枠係合片
25 樹脂下枠
26 上面被覆部材
27 室内面被覆部材
29 凹部
30 内レール部材
31 基部
32 内レール
33 室内上面材
34 中間上面材
35 上面材取付部品
38 端部キャップ
38a 本体部
38b 挿入部
38c 係止片
38d 操作部
40 戸当たりブロック
41 コーナーブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に設けられる枠体内に内外障子を引き違い状に納め、前記枠体を構成する下枠は前記内外障子を案内する内外レールの上端を含む敷居面が略平坦状に形成された下枠フラットサッシにおいて、
前記下枠は室内側端部に前記内外レールと略同じ高さの室内立ち上がり片を有し、該室内立ち上がり片と前記内レールの間を渡すように室内上面材が設けられ、該室内上面材は前記下枠上面において前記左右の縦枠間の略全長に渡って設けられると共に、前記下枠の見込方向に弾発係止可能な係止片を備え、該係止片は前記内レールに対して係止することで前記室内上面材を下枠に固定することを特徴とする下枠フラットサッシ。
【請求項2】
前記内レールは室内側面に前記室内上面材の室外端部を支持する突片が形成され、前記室内上面材の係止片は前記内レールの突片に対して弾発係止固定されることを特徴とする請求項1記載の下枠フラットサッシ。
【請求項3】
前記室内上面材の両端部には端部キャップが設けられ、該端部キャップに前記係止片が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の下枠フラットサッシ。
【請求項4】
前記端部キャップは前記係止片と一体的な操作部を上方突出状に有し、該操作部と係止片は前記端部キャップの本体部に対して弾性的に支持されてなることを特徴とする請求項3記載の下枠フラットサッシ。
【請求項5】
前記係止片を有する端部キャップは合成樹脂により形成されてなることを特徴とする請求項3または4記載の下枠フラットサッシ。
【請求項6】
前記下枠の室内立ち上がり片と内レールの間の上面には一方の縦枠側端部にコーナーブロックが設けられると共に、他方の縦枠側端部に前記内障子と当接する戸当たりストッパーが設けられ、前記室内上面材は前記コーナーブロックと戸当たりストッパーの間に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の下枠フラットサッシ。
【請求項7】
前記室内上面材は前記内外障子の召し合わせ部分において長手方向に分割されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の下枠フラットサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−133186(P2010−133186A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312014(P2008−312014)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】