下肢用衣料
【課題】装着者のパフォーマンスアップに有効であり、かつ装着が容易な下肢用衣料を提供する。
【解決手段】少なくとも足首及びふくらはぎを圧迫して覆う下肢用衣料1において、足首締圧部3の圧迫圧を、ふくらはぎ締圧部4の圧迫圧よりも高くすると共に、ふくらはぎ締圧部4における10N荷重時の伸長率を、周径方向よりも上下方向の方が小さくなるようにする。また、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する衣料本体2は、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4よりも、10N荷重時の伸長率が大きい生地で形成する。
【解決手段】少なくとも足首及びふくらはぎを圧迫して覆う下肢用衣料1において、足首締圧部3の圧迫圧を、ふくらはぎ締圧部4の圧迫圧よりも高くすると共に、ふくらはぎ締圧部4における10N荷重時の伸長率を、周径方向よりも上下方向の方が小さくなるようにする。また、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する衣料本体2は、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4よりも、10N荷重時の伸長率が大きい生地で形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソックス型、ハイソックス型、オーバーニー型、ストッキング型、タイツ型及び筒型などの足首及びふくらはぎを覆う形態の下肢用衣料に関する。より詳しくは、主としてスポーツなどをする際に着用される下肢用衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足の疲労回復を早めることを目的として、下肢を圧迫する構成の下肢用衣料が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の着圧ハイソックスでは、足首部及び土踏まず部を強圧にすると共に、下部から上部へと着圧を段階的に減少させることにより、足底の静脈血流の流れ促進して、浮腫解消を図っている。
【0003】
一方、スポーツなどをする際には、身体の保護や保温などの目的で、タイツなどの下肢用衣料を着用することがあるが、近年、筋肉及び関節などの運動に関与する部位を適切な圧迫状態とすることにより、ぶれを抑えて走行安定性を図ったスポーツ用タイツが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に記載のタイツでは、下肢の外側、後腰部持出し部分及び外膝サポート部分などを、その他の部分よりも伸びが強い強伸縮素材で形成することで、ハムストリングス(大腿二頭筋など)の大腿部前出しを促進する作用に連動する膝の前上方への瞬発的な引き上げ作用を促進し、膝頭のぶれを防止している。
【0004】
更に、本出願人も、スポーツ用又は生活用として、足関節の安定性を維持し、装着者のパフォーマンス向上及び疲労軽減などに有効な下肢用衣料を提案している(例えば、特許文献3,4参照。)。例えば、特許文献3に記載の靴下では、踵骨及び/又は立方骨に対応する足底部から足首部側面までを覆う部分に、伸縮性を有する補強部を一体的に設け、装着時に足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布を形成している。
【0005】
また、特許文献4に記載の下肢用衣料では、スポーツをする際に着用されるタイツなどの下肢用衣料において、厚くて腰があり、低伸縮性でかつ強圧迫性を有する生地で、足の甲、土踏まず、足関節及び足首を覆う締圧部を設けている。この下肢用衣料では、締圧部の上端部を、下肢上部に向かって傾斜させることにより、圧迫作用を上方に向かって漸進的に減少させ、静脈の流れに沿ったスムーズな圧迫を実現すると共に、装着者の違和感を低減している。
【0006】
【特許文献1】特開2005−325486号公報
【特許文献2】特開2006−207056号公報
【特許文献3】特開2007−332469号公報
【特許文献4】特開2008−50705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。先ず、特許文献1に記載の着圧ハイソックスには、装着が困難であるという問題点がある。このソックスは、足首部の着圧が特に強いため、この部分に、足首よりも周径が大きい踵を通すことが難しく、装着時に強い力が必要となる。一方、特許文献2に記載されているタイツは、足首部及びふくらはぎ部のサポート機能が弱いため、足関節や下腿部の安定及び疲労軽減効果が十分でないという問題点がある。
【0008】
これに対して、特許文献3,4に記載されている下肢用衣料は、装着者のパフォーマンス向上及び疲労軽減に効果があり、また、足関節の内反又は外反捻挫を予防するなど、足首部分を効果的にサポートすることもできる。更に、足首部に設ける補強部や締圧部を所定の構造にすることで、従来のものよりも、装着感や履きやすさを向上させている。しかしながら、このような衣料でも、足首部の圧迫圧をより高く設定すると、多少装着しにくいと感じられる場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、装着者のパフォーマンス向上に有効であり、かつ装着が容易な下肢用衣料を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る下肢用衣料は、少なくとも足首及びふくらはぎを圧迫して覆う下肢用衣料であって、前記足首を覆う部分は、前記ふくらはぎを覆う部分よりも装着時の圧迫圧が高く、かつ、前記ふくらはぎを覆う部分は、10N荷重時の伸長率が、周径方向よりも上下方向の方が小さくなっているものである。
本発明においては、足首を覆う部分とふくらはぎを覆う部分とが圧迫性を有しているため、足関節及び2つの腓腹筋の分かれ目が緊締される。これにより、装着者の足関節が安定すると共に、筋肉の無駄なぶれが抑えられるため、疲労軽減及びパフォーマンス向上に有効である。また、ふくらはぎを覆う部分は、上下方向の伸長率が低く、上下方向に伸びにくいため、装着が容易である。
この下肢用衣料では、ふくらはぎを覆う部分の10N荷重時の伸長率を、例えば、周径方向は15〜35%とし、上下方向は5〜25%とすることができる。
また、ふくらはぎを覆う部分は、周径方向よりも上下方向の方が、50%伸長時の伸長力が大きくてもよい。具体的には、周径方向における50%伸長時の伸長力を、例えば20〜40N/65mmとし、上下方向における50%伸長時の伸長力を、例えば50〜90N/65mmとすることができる。このように、ふくらはぎを覆う部分の上下方向の伸長力を、周径方向の伸長力よりも大きくすると、ふくらはぎを覆う部分が上下方向に伸びにくくなるため、装着性が向上する。
一方、足首及びふくらはぎ以外を覆う部分を構成する生地は、足首を覆う部分及びふくらはぎを覆う部分を構成する生地よりも、10N荷重時の伸長率を大きくしてもよく、また、50%伸長時の伸長力を小さくすることもできる。
この下肢用衣料では、足首を覆う部分の圧迫圧を、例えば18〜67hPaとし、ふくらはぎを覆う部分の圧迫圧を、例えば9〜54hPaとすることができる。
また、装着時に、足首からふくらはぎに向かって圧迫圧が次第に低くなる圧迫圧分布を設けてもよい。
更に、ふくらはぎを覆う部分は、同一又は相互に異なる2以上の素材を積層することにより形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、足首を覆う部分及びふくらはぎを覆う部分が圧迫性を有しているため、足関節や筋肉が安定し、装着者の疲労を軽減すると共にパフォーマンスを向上させることができ、更には、ふくらはぎを覆う部分の上下方向に所定の伸長特性をもたせているため、容易に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0013】
先ず、本発明の第1の実施形態に係る下肢用衣料について説明する。図1は本実施形態の下肢用衣料の着用状態を示す斜視図である。また、図2は図1に示す下肢用衣料1の正面図であり、図3は背面図、図4は側面図である。図1〜図4に示すように、本実施形態の下肢用衣料1は、装着時につま先及び踵が露出するオープントウ及びオープンヒールタイプのハイソックス型衣料である。
【0014】
この下肢用衣料1は、衣料本体2により、つま先及び踵を除く膝下部分を覆っており、その少なくとも足首を覆う部分及びふくらはぎを覆う部分にはそれぞれ締圧部(足首締圧部3,ふくらはぎ締圧部4)が設けられている。即ち、本実施形態の下肢用衣料1においては、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4によって、足首及びふくらはぎを圧迫して覆う構成となっている。
【0015】
また、下肢用衣料1における衣料本体2は、装着したときに違和感がなく、かつフィット感があり、運動性を阻害しないように、薄手で、軽量、保水性が少なく、通気性に富む織物又は編物などの生地で形成することができる。このような生地としては、例えば、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維又はポリウレタン繊維などの素材を使用して作製した天竺生地、フライス生地、スムース生地、ラッシェル生地、丸編生地及びトリコット生地などがある。
【0016】
また、足首締圧部3は、例えば、土踏まず、甲、足関節及び足首を覆うように形成することができる。この場合、足首締圧部3の上端部は、傾斜していることが望ましい。具体的には、図1に示すように、下腿前面中央部が高く後面に向かって低くなる構成以外にも、下腿前面中央部が低く後面に向かって高くなる構成、及び下腿の一側面から他の側面に向かって高くなる構成などを適用することができる。このように、足首締圧部3の上端を傾斜させることにより、下腿に対する圧迫作用を上方に向かって連続的に小さくすることができるため、静脈の流れに沿ったスムーズな圧迫が可能となると共に、装着者の違和感を軽減することができる。更に、踵を通しやすくなるため、装着性も向上する。
【0017】
この足首締圧部3の装着時の圧迫圧は、後述するふくらはぎ締圧部4よりも高ければよく、例えば18〜67hPaとすることができる。これにより、足首が確実に固定されるため、足関節の内反又は外反捻挫を防止することができる。なお、足首締圧部3の一部には、圧迫作用が特に強い部分が設けられていてもよい。例えば、下腿の内側のくるぶしから足裏を経て外側のくるぶしまでを覆う部分の圧迫圧を、他の部分よりも大きくすることにより、足関節の固定効果をより高めることができる。
【0018】
一方、ふくらはぎ締圧部4は、下腿後面のふくらはぎを圧迫して覆うものであり、装着時の圧迫圧は前述した足首締圧部3よりも低く、例えば9〜54hPaとすることができる。このふくらはぎ締圧部4は、腓腹筋及びアキレス腱に対応する部分のほぼ全面を圧迫して覆うように形成されていることが好ましく、腓腹筋を覆う部分よりもアキレス腱を覆う部分の方が、装着時の圧迫圧が高いことがより好ましい。これにより、2つの腓腹筋の分かれ目が緊締されるため、筋肉の無駄なぶれが抑制され、疲労を軽減できると共に、装着者のパフォーマンスを向上させることができる。
【0019】
また、本実施形態の下肢用衣料1におけるふくらはぎ締圧部4は、10N荷重時の伸長率が、周径方向よりも上下方向の方が小さくなっている。即ち、この下肢用衣料1では、ふくらはぎ締圧部4が、上下方向に伸びにくくなっている。なお、ここでいう伸長率は、下肢用衣料1のふくらはぎ締圧部4を所定の条件で掴み、引張試験を行うことにより求めることができる。図5(a)周径方向の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図であり、図5(b)はその測定箇所を示す側面図である。また、図6(a)は上下方向の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図であり、図6(b)はその測定箇所を示す側面図である。
【0020】
伸長率を測定する際は、先ず、下肢用衣料1を、ふくらはぎと向こう脛の上下方向の中心を通る矢状面を折れ目として、身体の側方から見た面(側面)同士が密着するように重ね合わせる。次に、このような状態で扁平に重ねた下肢用衣料1のふくらはぎ締圧部4を、引張試験機10のチャック11に、撓まないように取り付ける。このとき、周径方向の測定では、図5(a)及び(b)に示すように、下肢用衣料1の周径方向と引張方向が平行になるように、下肢用衣料1の下腿最大囲部分5を、引張試験機10のチャック11に取り付ける。一方、上下方向の測定では、図6(a)及び(b)に示すように、下肢用衣料1の上下方向と引張方向が平行になるように、下肢用衣料1の下腿部の中央を、引張試験機10のチャック11に取り付ける。
【0021】
そして、引張速度を100mm/分にして引張試験を行い、測定された10N荷重時の伸びE(mm)と、測定前のチャック間距離L(mm)とを用いて、下記数式1から求めることができる。なお、本測定では、チャック間距離Lは100mm、チャック幅Wは65mmとする。
【0022】
【数1】
【0023】
本実施形態の下肢用衣料1のように、足首及びふくらはぎに強い圧迫をかけるものは、その締め付け力によって、装着しにくくなることがある。このため、従来の下肢用衣料では、装着時にある程度の力をかけて引き上げなければならなかった。これに対して、本実施形態の下肢用衣料1では、ふくらはぎ締圧部4を上下方向に伸びにくくしているため、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4の圧迫圧を高くしても、引き上げやすく、従来品よりも装着性に優れている。なお、ふくらはぎ締圧部4において、周径方向よりも上下方向の伸びを大きくした場合、引き上げにくくなるため、装着容易性が低下する。
【0024】
このふくらはぎ締圧部4における10N荷重時の伸長率は、例えば、周径方向で15〜35%、上下方向で5〜25%とすることができる。ふくらはぎ締圧部4の伸長率をこのような範囲にすることで、より良好な装着性を得ることができる。
【0025】
また、ふくらはぎ締圧部4は、50%伸長時の伸長力が、周径方向よりも上下方向の方が大であることが好ましい。具体的には、ふくらはぎ締圧部4における50%伸長時の伸長力を、周径方向で20〜40N/65mm、上下方向で50〜90N/65mmとすることができる。これにより、高い圧迫圧を維持しつつ、装着性を改善することができる。
【0026】
なお、ここでいう伸長力は、前述した伸長率を同様に、図5及び図6に示す方法で引張試験を行うことで測定することができる。具体的には、伸長率測定と同様に、下肢用衣料1の側面同士を重ね合わせた状態で、引張試験機10のチャック11に、測定部分が撓まないように取り付け、周径方向又は上下方向に引張試験を行う。そして、下肢用衣料1が50%伸長したときの応力(N/65mm)を測定し、その値をふくらはぎ締圧部4の各方向における伸長力(N/65mm)とする。
【0027】
本実施形態の下肢用衣料1におけるふくらはぎ締圧部4は、上述した伸長特性(伸長率,伸長力)を実現するため、所定の伸長特性を備える生地で形成することが望ましい。具体的には、10N荷重時の伸長率が、周径方向で25〜100%、上下方向で25〜100%の生地を使用することが望ましく、10N荷重時の伸長率が、周径方向で30〜50%、上下方向で30〜50%の生地を使用することが更に望ましい。一方、ふくらはぎ締圧部4を構成する生地の50%伸長時の伸長力は、周径方向で6〜20N/25mm、上下方向で6〜20N/25mmであることが望ましく、周径方向で8〜18N/25mm、上下方向で8〜18N/25mmであることが更に望ましい。ふくらはぎ締圧部4を、このような伸長特性(伸長率,伸長力)をもつ生地で形成することにより、高い圧迫圧を維持しつつ、装着性を改善することができる。
【0028】
なお、ふくらはぎ締圧部4を構成する生地の伸長特性(伸長率,伸長力)は、引張試験により測定することができる。図7は生地の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図である。具体的には、先ず、ふくらはぎ締圧部4を構成する生地から、周径方向の伸長特性測定用として、周径方向に200mm、上下方向に25mmの大きさの長方形状の試料片を採取すると共に、上下方向の伸長特性測定用として、周径方向に25mm、上下方向に200mmの大きさの長方形状の試料片を採取する。
【0029】
次に、図7に示すように、周径方向の測定では、生地の周径方向と引張方向が平行になるように、また、上下方向の測定では、生地の上下方向と引張方向が平行になるように、各試料片12の両端部を、引張試験機10のチャック11に、測定部分が撓まないように取り付ける。そして、引張速度を100mm/分にして引張試験を行い、各方向における10N荷重時の各試料片12の伸びEを測定し、その結果に基づいて、上記数式1から生地(試料片12)の伸長率(%)を算出する。一方、生地(試料片12)の伸長力は、引張速度を100mm/分にして引張試験を行って、試料片12が50%伸長したときの応力(N/25mm)を測定し、その値を各方向における伸長力(N/25mm)とする。なお、本測定では、チャック間距離Lは100mm、チャック幅Wは65mmとする。
【0030】
更に、下腿後面を覆うふくらはぎ締圧部4を構成する生地は、下腿前面を覆う衣料本体2を構成する生地よりも厚く、かつ単位面積あたりの質量が大きいことが望ましい。具体的には、単位面積あたりの質量が350〜550g/m2で、厚さが0.7mm以上の生地を使用することが好ましく、単位面積あたりの質量が400〜500g/m2で、厚さが0.8mm以上の生地を使用することがより好ましい。ふくらはぎ締圧部4を、衣料本体2よりも厚くかつ重い生地で構成することにより、下腿後面を覆う部分に適度な腰及び支持性を付与することができる。これにより、腓腹筋のぶれを抑えて安定させることができると共に、装着時により引き上げ易くなり、装着容易性が向上する。
【0031】
前述した足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4は、例えば、同一又は相互に異なる2以上の素材を積層することにより形成することができる。具体的には、衣料本体2の所定位置に、衣料本体2を構成する生地よりも伸縮性が低い1又は2枚以上の素材を重ね合わせてその周囲を縫い付けたり、複数の素材を積層して衣料本体2よりも伸縮性を低くした生地と衣料本体2とを継ぎ合わせたりすることで、形成することができる。なお、足首締圧部3、ふくらはぎ締圧部4又は衣料本体2を構成する各生地の結合及び各素材の積層には、上述した縫製以外にも、溶着や接着など各種方法を適用することができる。
【0032】
また、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4は、衣料本体2などのように足首及びふくらはぎ以外を覆う部分とは異なる生地で形成されていることが好ましい。このように異なる生地を組み合わせて使用することにより、足首及びふくらはぎに付与する圧迫圧及び緊締力の強度を制御しやすくなる。これら足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4を構成する生地には、弾力性のある経編生地を使用することが好ましく、例えば、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維又はポリウレタン繊維などを使用したツーウェイトリコット生地、ラッセルサテンネット、パワーネット生地、その他のニット生地などが挙げられる。特に、ナイロン繊維とポリウレタン繊維とで形成された経編生地を使用することが好ましい。
【0033】
また、下腿を覆う部分全てを、弾力性があり、圧迫性が高い生地で形成すると、締め付けが強くなりすぎて、装着しにくくなると共に、装着感及びフィット感も低下する。このため、本実施形態の下肢用衣料1においては、足首より上方の下腿前面などの足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分は、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4よりも伸びやすい生地で形成することが望ましい。更に、ふくらはぎ締圧部4に上述した伸長特性(伸長率,伸長力)を付与するためには、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する生地に、所定の伸長特性をもたせることが望ましい。
【0034】
具体的には、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する生地が、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4を構成する生地よりも、10N荷重時の伸長率が大きいか、50%伸長時の伸長力が小さいか、又はその両方であることが望ましい。このように、締圧部とそれ以外の部分とで、伸長特性を変え、下腿を覆う部分全体で伸長特性のバランスをとることにより、所定の部位に適度な圧迫を付与しつつ、装着性、装着感及びフィット感を向上させることができる。
【0035】
なお、図1〜図4に示す下肢用衣料1のように、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を、衣料本体2で形成している場合は、この衣料本体2を、伸長率が大きく、伸長力が小さい生地で構成すればよい。具体的には、衣料本体2を構成する生地の10N荷重時の伸長率を、周径方向で80〜140%、上下方向で50〜100%とすることが望ましく、周径方向で100〜120%、上下方向で60〜90%とすることが更に望ましい。一方、衣料本体2を構成する生地の50%伸長時の伸長力は、周径方向で0.5〜10N/25mm、上下方向で1〜15N/25mmにすることが望ましく、周径方向で1〜5N/25mm、上下方向で2〜10N/25mmとすることが更に望ましい。
【0036】
なお、衣料本体2などのように、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する生地の伸長特性(伸長率,伸長力)も、前述したふくらはぎ締圧部4を構成する生地の伸長特性と同様に、図7に示す方法で引張試験を行うことで測定することができる。具体的には、測定対象部分を構成する生地から切り出した試料片12の両端部を、周径方向の測定では生地の周径方向と引張方向が平行になるように、また、上下方向の測定では生地の上下方向と引張方向が平行になるように、引張試験機10のチャック11に撓まないように取り付け、引張速度を100mm/分にして引張試験を行う。そして、各方向における10N荷重時の各試料片12の伸びEを測定し、その結果に基づいて、上記数式1から足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する生地の周径方向又は上下方向の伸長率(%)を算出する。また、試料片12が50%伸長したときの応力(N/25mm)を測定し、その値を足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する生地の周径方向又は上下方向の伸長力(N/65mm)とする。
【0037】
更にまた、本実施形態の下肢用衣料1においては、装着時に、足首からふくらはぎに向かって圧迫圧が次第に低くなる圧迫圧分布を設けることもできる。これにより、下肢全体の血流の循環が促進されるため、浮腫の予防及び軽減効果を向上させることができると共に、疲労回復を促進する効果が得られる。また、腓腹筋を全体的にサポートしつつ過度の圧迫をかけないことで、筋収縮の動きが阻害されず、血流の循環が促進されるため、足関節の反射が高まり、捻挫などの怪我の発生を防止する効果が向上する。更に、関節、筋肉及び腱のぶれを抑え、姿勢を安定させることができるため、装着者のパフォーマンス向上の効果も高まる。
【0038】
上述の如く、本実施形態の下肢用衣料1においては、足首を覆う足首締圧部3とふくらはぎを覆うふくらはぎ締圧部4とが適度な圧迫性を有しており、足関節及び2つの腓腹筋の分かれ目が緊締されるため、足関節が安定すると共に筋肉の無駄なぶれが抑えられる。その結果、装着者の疲労が軽減されると共に、パフォーマンスを向上させることができる。また、ふくらはぎ締圧部4を、上下方向に伸びにくくしているため、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4の圧迫圧が高い場合でも、容易に装着することができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態に係る下肢用衣料について説明する。図8は本実施形態の下肢用衣料の着用状態を示す斜視図である。また、図9は図8に示す下肢用衣料21の正面図であり、図10は背面図、図11は側面図である。なお、図8〜図11においては、図1〜図4に示す第1の実施形態の下肢用衣料1の構成要素と同じものには、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図8〜図11に示すように本実施形態の下肢用衣料21は、装着時につま先及び踵が露出するオープントウ及びオープンヒールタイプのタイツ型衣料である。この下肢用衣料21は、衣料本体22によってつま先及び踵を除く下肢が覆われており、その足首を覆う部分及びふくらはぎを覆う部分には、それぞれ足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4が設けられている。そして、この下肢用衣料21においても、装着時の圧迫圧は、ふくらはぎ締圧部4よりも足首締圧部3の方が高くなっており、更に、ふくらはぎ締圧部4における10N荷重時の伸長率は、周径方向よりも上下方向の方が小さくなっている。
【0041】
また、本実施形態の下肢用衣料21には、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4に加えて、膝締圧部25及び腰締圧部26が設けられている。下肢用衣料21における膝締圧部25は、膝蓋骨よりも下の下腿上部足口部分を圧迫する環状部と、膝蓋骨の周囲を圧迫する膝蓋部とで構成されており、装着時の圧迫圧は、例えば7〜40hPaである。そして、この膝締圧部25により、膝蓋部の上下に位置する膝蓋靱帯が圧迫状態で固定される。
【0042】
運動をして膝を激しく使用すると、疲労に伴って大腿四頭筋が柔軟性を失い、膝蓋骨が上下に移動するようになるが、本実施形態の下肢用衣料21では、膝締圧部25により膝蓋靱帯を圧迫しているため、膝蓋骨の移動が抑制され、定位置に保持される。これにより、膝の故障を防止できると共に、装着者のパフォーマンスが安定する。
【0043】
また、膝締圧部25における膝蓋部は、膝部側面から前面に向かって膝蓋骨の周囲を囲むように設けられており、膝蓋骨自体は圧迫しない構成になっているため、膝の屈曲を規制することがない。また、屈曲時には圧迫作用が自然に大きく加わることとなるため、より効果的に作用を及ぼすことができる。
【0044】
更に、腰締圧部26は、腰の部分に圧迫作用を加えて、腰にかかる外的な作用を緩和し、腰を安定に保つものであり、装着時の圧迫圧は、例えば5〜30hPaである。この腰締圧部26を設けることにより、腰の故障を防止できると共に、装着者のパフォーマンスを安定させることができる。
【0045】
これら膝締圧部25及び腰締圧部26は、前述した足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4と同様に、同一又は相互に異なる2以上の素材を積層することにより形成することができる。具体的には、衣料本体22の所定位置に、衣料本体2よりも伸縮性が低い1又は2枚以上の素材を重ね合わせてその周囲を縫い付けたり、複数の素材を積層して衣料本体22よりも伸縮性を低くした生地と衣料本体22とを継ぎ合わせたりすることにより、形成することができる。その場合、前述した第1の実施形態の下肢用衣料1における衣料本体2と同様に、衣料本体22には、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4を構成する生地よりも伸びやすい生地を使用することが望ましい。具体的には、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4を構成する生地よりも、10N荷重時の伸長率が大きく、及び/又は、50%伸長時の伸長力が小さい生地を使用することが望ましい。
【0046】
上述の如く、本実施形態の下肢用衣料21においては、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4に加えて、膝締圧部25及び腰締圧部26を設けているため、装着容易性を低下させることなく、膝及び腰の故障も防止することができ、更には、装着者のパフォーマンス向上効果を高めることもできる。なお、本実施形態の下肢用衣料21における上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態の下肢用衣料1と同様である。
【0047】
また、前述した第1及び第2の実施形態においては、オープントウ及びオープンヒールタイプのハイソックス型衣料及びタイツ型衣料を例にして説明したが、本発明はこれらの形態に限定されるものではなく、少なくとも足首及びふくらはぎを圧迫して覆う部分を備えていればよい。ハイソックス型及びタイツ型以外の形態としては、例えばソックス型、オーバーニー型、ストッキング型及び筒型などの形態が挙げられる。更に、筒型以外の形態では、つま先及び/又は踵も覆われるようにしてもよい。
【実施例】
【0048】
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、以下に示す手順で実施例1〜3及び比較例1の下肢用衣料を作製し、その装着容易性、疲労軽減感及び足関節とふくらはぎの安定性について評価した。
【0049】
(実施例1)
本発明の実施例1として、図1〜図4に示す第1の実施形態の下肢用衣料1を作製した。先ず、衣料本体2、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4を構成する各パーツを準備した。具体的には、(A)衣料本体2用のパーツは、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維からなるツーウェイトリコット編生地から、ふくらはぎ及び足首を除く下腿全体を覆う形状に切り出した。また、(B)足首締圧部3用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から所定形状に3枚切り出し、それらを接着剤で3層に積層することにより形成した。更に、(C)ふくらはぎ締圧部4用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から所定形状に2枚切り出し、それらを接着剤で2層に積層することにより形成した。
【0050】
次に、衣料本体2用、足首締圧部3用及びふくらはぎ締圧部4用の各パーツを、その周囲で継ぎ合わせて、足首からふくらはぎに向かって圧迫圧が次第に低くなる圧迫圧分布を形成し、実施例1の下肢用衣料の全体形状を形成した。
【0051】
(実施例2,3)
本発明の実施例2及び3として、図8〜図11に示す第2の実施形態の下肢用衣料21を作製した。なお、本実施例においては、衣料本体22及びふくらはぎ締圧部4用のパーツには、前述した実施例1で使用した生地とは、編密度、糸太さ及び伸長特性が異なる生地を使用した。
【0052】
先ず、衣料本体22、足首締圧部3、ふくらはぎ締圧部4、膝締圧部25及び腰締圧部を構成する各パーツを準備した。具体的には、(A)衣料本体22用のパーツは、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維からなるツーウェイトリコット編生地から、ふくらはぎ及び足首を除く大腿及び下腿全体を覆う形状に切り出した。また、(B)足首締圧部3用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から所定形状に3枚切り出し、それらを接着剤で3層に積層することにより形成した。
【0053】
(C)ふくらはぎ締圧部4用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から所定形状に2枚切り出し、それらを接着剤で2層に積層することにより形成した。また、(D)膝締圧部25用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から切り出した。更に、(E)腰締圧部26用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から切り出した。
【0054】
次に、衣料本体22用、足首締圧部3用及びふくらはぎ締圧部4用の各パーツを、その周囲で継ぎ合わせて、足首からふくらはぎに向かって圧迫圧が次第に低くなる圧迫圧分布を形成した。更に、膝締圧部25及び腰締圧部26用の各パーツを、衣料本体22の所定位置に接着剤を使用して積層した後、その周囲を衣料本体22に縫いつけ、実施例2,3の下肢用衣料とした。
【0055】
(比較例1)
本発明の比較例として、衣料本体2及びふくらはぎ締圧部4に、前述した実施例1で使用した生地と、編密度、糸太さ及び伸長特性が異なる生地を使用し、それ以外は実施例1と同様にして、比較例1の下肢用衣料を作製した。
【0056】
次に、上述した実施例及び比較例の各下肢用衣料の評価方法について説明する。
【0057】
(1)ふくらはぎ締圧部の伸長率
実施例及び比較例の各下肢用衣料におけるふくらはぎ締圧部の伸長率(%)は、前述した図5及び図6に示す方法で周径方向及び上下方向に引張試験を行って、10N荷重時の伸びE(mm)を測定し、その結果に基づいて上記数式1から算出した。なお、引張試験には、島津製作所社製 引張試験機(オートグラフAG−I,ロードセル100kg)を使用し、引張速度は100mm/分、チャック幅Wは65mm、チャック間距離Lは100mmとした。
【0058】
(2)ふくらはぎ締圧部の伸長力
実施例及び比較例の各下肢用衣料について、前述した図5及び図6に示す方法で周径方向及び上下方向に引張試験を行って、下肢用衣料が50%伸長したときの応力(N/65mm)を測定し、その値をふくらはぎ締圧部における伸長力(N/65mm)とした。なお、引張試験には、島津製作所社製 引張試験機(オートグラフAG−I,ロードセル100kg)を使用し、引張速度を100mm/分とし、チャック幅Wは65mm、チャック間距離Lは100mmとした。
【0059】
(3)各部位を構成する生地の伸長率
実施例及び比較例の各下肢用衣料におけるふくらはぎ締圧部を構成する生地、及び衣料本体を構成する生地の伸長率(%)は、前述した図7に示す方法で引張試験を行って求めた。その際、周径方向の測定には、生地から、周径方向に200mm、上下方向に25mmの大きさに切り出した長方形状の試料片を、上下方向の測定には、周径方向に25mm、上下方向に200mmの大きさに切り出した長方形状の試料片を、それぞれ使用した。
【0060】
また、引張試験には、島津製作所社製 引張試験機(オートグラフAG−I,ロードセル100kg)を使用し、引張速度は100mm/分、チャック幅Wは65mm、チャック間距離Lは100mmとした。そして、10N荷重時の試料片の伸びE(mm)を測定し、その結果に基づいて、上記数式1から、各生地の周径方向及び上下方向における伸長率(%)を算出した。
【0061】
(4)各部位を構成する生地の伸長力
実施例及び比較例の各下肢用衣料のふくらはぎ締圧部を構成する生地、及び衣料本体を構成する生地について、前述した図7に示す方法で周径方向及び上下方向に引張試験を行って、試料片が50%伸長したときの応力(N/25mm)を測定し、その値を各生地の伸長力(N/25mm)とした。なお、引張試験は、前述した伸長率と同様の試料片を使用し、島津製作所社製 引張試験機(オートグラフAG−I,ロードセル100kg)により行った。その際、引張速度は100mm/分とし、チャック幅Wは65mm、チャック間距離Lは100mmとした。
【0062】
(5)装着容易性
30代の健常男子10名を被験者として、実施例及び比較例の各下肢用衣料の装着容易性を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各下肢用衣料を実際に装着し、被験者が「装着に問題がない」と感じた場合は2点、「多少装着しやすい」と感じた場合は1点、「装着しにくい」と感じた場合は0点として、3段階で評価し、被験者全員の点数の合計値を、各下肢用衣料の装着容易性とした。即ち、この評価では、点数が高いものが、より装着容易性に優れた下肢用衣料となる。
【0063】
(6)疲労軽減感
30代の健常男子10名を被験者として、実施例及び比較例の各下肢用衣料を装着して2時間ウォーキングした後の疲労感について評価した。具体的には、「未装着のよりも疲労軽減効果が大きい」と感じた場合は2点、「未装着よりも疲労軽減効果が多少ある」と感じた場合は1点、「疲労軽減効果がない(未装着と変わらない)」と感じた場合は0点として、3段階で評価し、被験者全員の点数の合計値を、各下肢用衣料の疲労軽減感とした。即ち、この評価では、点数が高いものが、より疲労軽減効果が高い下肢用衣料となる。
【0064】
(7)足関節とふくらはぎの安定性
30代の健常男子10名を被験者として、実施例及び比較例の各下肢用衣料を装着して2時間ウォーキングしたときの足関節とふくらはぎの安定性について評価した。具体的には、「非常に安定する」と感じた場合は2点、「多少安定する」と感じた場合は1点、「安定しない(未装着と変わらない)」と感じた場合は0点として、3段階で評価し、被験者全員の点数の合計値を、各下肢用衣料における足関節及びふくらはぎの安定性とした。即ち、この評価では、点数が高いものが、より足関節とふくらはぎを安定させる効果が高い下肢用衣料となる。
【0065】
以上の結果を、下記表1にまとめて示す。
【0066】
【表1】
【0067】
上記表1に示すように、比較例1の下肢用衣料は、ふくらはぎ締圧部の10N荷重時の伸長率が周径方向よりも上下方向の方が大きく、本発明の範囲から外れているため、装着容易性の評価が低かった。これに対して、実施例1〜3の下肢用衣料は、ふくらはぎ締圧部の10N荷重時の伸長率が、周径方向よりも上下方向の方が小さくなっており、更にその伸長特性が所定の範囲内になっているため、比較例1の下肢用衣料に比べて、装着容易性に優れ、また、疲労軽減効果及び足関節とふくらはぎの安定性も良好な評価であった。以上の結果より、本実施例の下肢用衣料は、装着者のパフォーマンス向上に有効であり、かつ脱着が容易であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る下肢用衣料の装着状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す下肢用衣料1の正面図である
【図3】図1に示す下肢用衣料1の背面図である。
【図4】図1に示す下肢用衣料1の側面図である。
【図5】(a)周径方向の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図であり、(b)はその測定箇所を示す側面図である。
【図6】(a)は上下方向の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図であり、(b)はその測定箇所を示す側面図である。
【図7】生地の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る下肢用衣料の装着状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示す下肢用衣料21の正面図である
【図10】図8に示す下肢用衣料21の背面図である。
【図11】図8に示す下肢用衣料21の側面図である。
【符号の説明】
【0069】
1、21 下肢用衣料
2、22 衣料本体
3 足首締圧部
4 ふくらはぎ締圧部
5 下腿最大周囲
10 引張試験機
11 チャック
12 試料片(生地)
25 膝締圧部
26 腰締圧部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソックス型、ハイソックス型、オーバーニー型、ストッキング型、タイツ型及び筒型などの足首及びふくらはぎを覆う形態の下肢用衣料に関する。より詳しくは、主としてスポーツなどをする際に着用される下肢用衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足の疲労回復を早めることを目的として、下肢を圧迫する構成の下肢用衣料が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の着圧ハイソックスでは、足首部及び土踏まず部を強圧にすると共に、下部から上部へと着圧を段階的に減少させることにより、足底の静脈血流の流れ促進して、浮腫解消を図っている。
【0003】
一方、スポーツなどをする際には、身体の保護や保温などの目的で、タイツなどの下肢用衣料を着用することがあるが、近年、筋肉及び関節などの運動に関与する部位を適切な圧迫状態とすることにより、ぶれを抑えて走行安定性を図ったスポーツ用タイツが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に記載のタイツでは、下肢の外側、後腰部持出し部分及び外膝サポート部分などを、その他の部分よりも伸びが強い強伸縮素材で形成することで、ハムストリングス(大腿二頭筋など)の大腿部前出しを促進する作用に連動する膝の前上方への瞬発的な引き上げ作用を促進し、膝頭のぶれを防止している。
【0004】
更に、本出願人も、スポーツ用又は生活用として、足関節の安定性を維持し、装着者のパフォーマンス向上及び疲労軽減などに有効な下肢用衣料を提案している(例えば、特許文献3,4参照。)。例えば、特許文献3に記載の靴下では、踵骨及び/又は立方骨に対応する足底部から足首部側面までを覆う部分に、伸縮性を有する補強部を一体的に設け、装着時に足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布を形成している。
【0005】
また、特許文献4に記載の下肢用衣料では、スポーツをする際に着用されるタイツなどの下肢用衣料において、厚くて腰があり、低伸縮性でかつ強圧迫性を有する生地で、足の甲、土踏まず、足関節及び足首を覆う締圧部を設けている。この下肢用衣料では、締圧部の上端部を、下肢上部に向かって傾斜させることにより、圧迫作用を上方に向かって漸進的に減少させ、静脈の流れに沿ったスムーズな圧迫を実現すると共に、装着者の違和感を低減している。
【0006】
【特許文献1】特開2005−325486号公報
【特許文献2】特開2006−207056号公報
【特許文献3】特開2007−332469号公報
【特許文献4】特開2008−50705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。先ず、特許文献1に記載の着圧ハイソックスには、装着が困難であるという問題点がある。このソックスは、足首部の着圧が特に強いため、この部分に、足首よりも周径が大きい踵を通すことが難しく、装着時に強い力が必要となる。一方、特許文献2に記載されているタイツは、足首部及びふくらはぎ部のサポート機能が弱いため、足関節や下腿部の安定及び疲労軽減効果が十分でないという問題点がある。
【0008】
これに対して、特許文献3,4に記載されている下肢用衣料は、装着者のパフォーマンス向上及び疲労軽減に効果があり、また、足関節の内反又は外反捻挫を予防するなど、足首部分を効果的にサポートすることもできる。更に、足首部に設ける補強部や締圧部を所定の構造にすることで、従来のものよりも、装着感や履きやすさを向上させている。しかしながら、このような衣料でも、足首部の圧迫圧をより高く設定すると、多少装着しにくいと感じられる場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、装着者のパフォーマンス向上に有効であり、かつ装着が容易な下肢用衣料を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る下肢用衣料は、少なくとも足首及びふくらはぎを圧迫して覆う下肢用衣料であって、前記足首を覆う部分は、前記ふくらはぎを覆う部分よりも装着時の圧迫圧が高く、かつ、前記ふくらはぎを覆う部分は、10N荷重時の伸長率が、周径方向よりも上下方向の方が小さくなっているものである。
本発明においては、足首を覆う部分とふくらはぎを覆う部分とが圧迫性を有しているため、足関節及び2つの腓腹筋の分かれ目が緊締される。これにより、装着者の足関節が安定すると共に、筋肉の無駄なぶれが抑えられるため、疲労軽減及びパフォーマンス向上に有効である。また、ふくらはぎを覆う部分は、上下方向の伸長率が低く、上下方向に伸びにくいため、装着が容易である。
この下肢用衣料では、ふくらはぎを覆う部分の10N荷重時の伸長率を、例えば、周径方向は15〜35%とし、上下方向は5〜25%とすることができる。
また、ふくらはぎを覆う部分は、周径方向よりも上下方向の方が、50%伸長時の伸長力が大きくてもよい。具体的には、周径方向における50%伸長時の伸長力を、例えば20〜40N/65mmとし、上下方向における50%伸長時の伸長力を、例えば50〜90N/65mmとすることができる。このように、ふくらはぎを覆う部分の上下方向の伸長力を、周径方向の伸長力よりも大きくすると、ふくらはぎを覆う部分が上下方向に伸びにくくなるため、装着性が向上する。
一方、足首及びふくらはぎ以外を覆う部分を構成する生地は、足首を覆う部分及びふくらはぎを覆う部分を構成する生地よりも、10N荷重時の伸長率を大きくしてもよく、また、50%伸長時の伸長力を小さくすることもできる。
この下肢用衣料では、足首を覆う部分の圧迫圧を、例えば18〜67hPaとし、ふくらはぎを覆う部分の圧迫圧を、例えば9〜54hPaとすることができる。
また、装着時に、足首からふくらはぎに向かって圧迫圧が次第に低くなる圧迫圧分布を設けてもよい。
更に、ふくらはぎを覆う部分は、同一又は相互に異なる2以上の素材を積層することにより形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、足首を覆う部分及びふくらはぎを覆う部分が圧迫性を有しているため、足関節や筋肉が安定し、装着者の疲労を軽減すると共にパフォーマンスを向上させることができ、更には、ふくらはぎを覆う部分の上下方向に所定の伸長特性をもたせているため、容易に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0013】
先ず、本発明の第1の実施形態に係る下肢用衣料について説明する。図1は本実施形態の下肢用衣料の着用状態を示す斜視図である。また、図2は図1に示す下肢用衣料1の正面図であり、図3は背面図、図4は側面図である。図1〜図4に示すように、本実施形態の下肢用衣料1は、装着時につま先及び踵が露出するオープントウ及びオープンヒールタイプのハイソックス型衣料である。
【0014】
この下肢用衣料1は、衣料本体2により、つま先及び踵を除く膝下部分を覆っており、その少なくとも足首を覆う部分及びふくらはぎを覆う部分にはそれぞれ締圧部(足首締圧部3,ふくらはぎ締圧部4)が設けられている。即ち、本実施形態の下肢用衣料1においては、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4によって、足首及びふくらはぎを圧迫して覆う構成となっている。
【0015】
また、下肢用衣料1における衣料本体2は、装着したときに違和感がなく、かつフィット感があり、運動性を阻害しないように、薄手で、軽量、保水性が少なく、通気性に富む織物又は編物などの生地で形成することができる。このような生地としては、例えば、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維又はポリウレタン繊維などの素材を使用して作製した天竺生地、フライス生地、スムース生地、ラッシェル生地、丸編生地及びトリコット生地などがある。
【0016】
また、足首締圧部3は、例えば、土踏まず、甲、足関節及び足首を覆うように形成することができる。この場合、足首締圧部3の上端部は、傾斜していることが望ましい。具体的には、図1に示すように、下腿前面中央部が高く後面に向かって低くなる構成以外にも、下腿前面中央部が低く後面に向かって高くなる構成、及び下腿の一側面から他の側面に向かって高くなる構成などを適用することができる。このように、足首締圧部3の上端を傾斜させることにより、下腿に対する圧迫作用を上方に向かって連続的に小さくすることができるため、静脈の流れに沿ったスムーズな圧迫が可能となると共に、装着者の違和感を軽減することができる。更に、踵を通しやすくなるため、装着性も向上する。
【0017】
この足首締圧部3の装着時の圧迫圧は、後述するふくらはぎ締圧部4よりも高ければよく、例えば18〜67hPaとすることができる。これにより、足首が確実に固定されるため、足関節の内反又は外反捻挫を防止することができる。なお、足首締圧部3の一部には、圧迫作用が特に強い部分が設けられていてもよい。例えば、下腿の内側のくるぶしから足裏を経て外側のくるぶしまでを覆う部分の圧迫圧を、他の部分よりも大きくすることにより、足関節の固定効果をより高めることができる。
【0018】
一方、ふくらはぎ締圧部4は、下腿後面のふくらはぎを圧迫して覆うものであり、装着時の圧迫圧は前述した足首締圧部3よりも低く、例えば9〜54hPaとすることができる。このふくらはぎ締圧部4は、腓腹筋及びアキレス腱に対応する部分のほぼ全面を圧迫して覆うように形成されていることが好ましく、腓腹筋を覆う部分よりもアキレス腱を覆う部分の方が、装着時の圧迫圧が高いことがより好ましい。これにより、2つの腓腹筋の分かれ目が緊締されるため、筋肉の無駄なぶれが抑制され、疲労を軽減できると共に、装着者のパフォーマンスを向上させることができる。
【0019】
また、本実施形態の下肢用衣料1におけるふくらはぎ締圧部4は、10N荷重時の伸長率が、周径方向よりも上下方向の方が小さくなっている。即ち、この下肢用衣料1では、ふくらはぎ締圧部4が、上下方向に伸びにくくなっている。なお、ここでいう伸長率は、下肢用衣料1のふくらはぎ締圧部4を所定の条件で掴み、引張試験を行うことにより求めることができる。図5(a)周径方向の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図であり、図5(b)はその測定箇所を示す側面図である。また、図6(a)は上下方向の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図であり、図6(b)はその測定箇所を示す側面図である。
【0020】
伸長率を測定する際は、先ず、下肢用衣料1を、ふくらはぎと向こう脛の上下方向の中心を通る矢状面を折れ目として、身体の側方から見た面(側面)同士が密着するように重ね合わせる。次に、このような状態で扁平に重ねた下肢用衣料1のふくらはぎ締圧部4を、引張試験機10のチャック11に、撓まないように取り付ける。このとき、周径方向の測定では、図5(a)及び(b)に示すように、下肢用衣料1の周径方向と引張方向が平行になるように、下肢用衣料1の下腿最大囲部分5を、引張試験機10のチャック11に取り付ける。一方、上下方向の測定では、図6(a)及び(b)に示すように、下肢用衣料1の上下方向と引張方向が平行になるように、下肢用衣料1の下腿部の中央を、引張試験機10のチャック11に取り付ける。
【0021】
そして、引張速度を100mm/分にして引張試験を行い、測定された10N荷重時の伸びE(mm)と、測定前のチャック間距離L(mm)とを用いて、下記数式1から求めることができる。なお、本測定では、チャック間距離Lは100mm、チャック幅Wは65mmとする。
【0022】
【数1】
【0023】
本実施形態の下肢用衣料1のように、足首及びふくらはぎに強い圧迫をかけるものは、その締め付け力によって、装着しにくくなることがある。このため、従来の下肢用衣料では、装着時にある程度の力をかけて引き上げなければならなかった。これに対して、本実施形態の下肢用衣料1では、ふくらはぎ締圧部4を上下方向に伸びにくくしているため、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4の圧迫圧を高くしても、引き上げやすく、従来品よりも装着性に優れている。なお、ふくらはぎ締圧部4において、周径方向よりも上下方向の伸びを大きくした場合、引き上げにくくなるため、装着容易性が低下する。
【0024】
このふくらはぎ締圧部4における10N荷重時の伸長率は、例えば、周径方向で15〜35%、上下方向で5〜25%とすることができる。ふくらはぎ締圧部4の伸長率をこのような範囲にすることで、より良好な装着性を得ることができる。
【0025】
また、ふくらはぎ締圧部4は、50%伸長時の伸長力が、周径方向よりも上下方向の方が大であることが好ましい。具体的には、ふくらはぎ締圧部4における50%伸長時の伸長力を、周径方向で20〜40N/65mm、上下方向で50〜90N/65mmとすることができる。これにより、高い圧迫圧を維持しつつ、装着性を改善することができる。
【0026】
なお、ここでいう伸長力は、前述した伸長率を同様に、図5及び図6に示す方法で引張試験を行うことで測定することができる。具体的には、伸長率測定と同様に、下肢用衣料1の側面同士を重ね合わせた状態で、引張試験機10のチャック11に、測定部分が撓まないように取り付け、周径方向又は上下方向に引張試験を行う。そして、下肢用衣料1が50%伸長したときの応力(N/65mm)を測定し、その値をふくらはぎ締圧部4の各方向における伸長力(N/65mm)とする。
【0027】
本実施形態の下肢用衣料1におけるふくらはぎ締圧部4は、上述した伸長特性(伸長率,伸長力)を実現するため、所定の伸長特性を備える生地で形成することが望ましい。具体的には、10N荷重時の伸長率が、周径方向で25〜100%、上下方向で25〜100%の生地を使用することが望ましく、10N荷重時の伸長率が、周径方向で30〜50%、上下方向で30〜50%の生地を使用することが更に望ましい。一方、ふくらはぎ締圧部4を構成する生地の50%伸長時の伸長力は、周径方向で6〜20N/25mm、上下方向で6〜20N/25mmであることが望ましく、周径方向で8〜18N/25mm、上下方向で8〜18N/25mmであることが更に望ましい。ふくらはぎ締圧部4を、このような伸長特性(伸長率,伸長力)をもつ生地で形成することにより、高い圧迫圧を維持しつつ、装着性を改善することができる。
【0028】
なお、ふくらはぎ締圧部4を構成する生地の伸長特性(伸長率,伸長力)は、引張試験により測定することができる。図7は生地の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図である。具体的には、先ず、ふくらはぎ締圧部4を構成する生地から、周径方向の伸長特性測定用として、周径方向に200mm、上下方向に25mmの大きさの長方形状の試料片を採取すると共に、上下方向の伸長特性測定用として、周径方向に25mm、上下方向に200mmの大きさの長方形状の試料片を採取する。
【0029】
次に、図7に示すように、周径方向の測定では、生地の周径方向と引張方向が平行になるように、また、上下方向の測定では、生地の上下方向と引張方向が平行になるように、各試料片12の両端部を、引張試験機10のチャック11に、測定部分が撓まないように取り付ける。そして、引張速度を100mm/分にして引張試験を行い、各方向における10N荷重時の各試料片12の伸びEを測定し、その結果に基づいて、上記数式1から生地(試料片12)の伸長率(%)を算出する。一方、生地(試料片12)の伸長力は、引張速度を100mm/分にして引張試験を行って、試料片12が50%伸長したときの応力(N/25mm)を測定し、その値を各方向における伸長力(N/25mm)とする。なお、本測定では、チャック間距離Lは100mm、チャック幅Wは65mmとする。
【0030】
更に、下腿後面を覆うふくらはぎ締圧部4を構成する生地は、下腿前面を覆う衣料本体2を構成する生地よりも厚く、かつ単位面積あたりの質量が大きいことが望ましい。具体的には、単位面積あたりの質量が350〜550g/m2で、厚さが0.7mm以上の生地を使用することが好ましく、単位面積あたりの質量が400〜500g/m2で、厚さが0.8mm以上の生地を使用することがより好ましい。ふくらはぎ締圧部4を、衣料本体2よりも厚くかつ重い生地で構成することにより、下腿後面を覆う部分に適度な腰及び支持性を付与することができる。これにより、腓腹筋のぶれを抑えて安定させることができると共に、装着時により引き上げ易くなり、装着容易性が向上する。
【0031】
前述した足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4は、例えば、同一又は相互に異なる2以上の素材を積層することにより形成することができる。具体的には、衣料本体2の所定位置に、衣料本体2を構成する生地よりも伸縮性が低い1又は2枚以上の素材を重ね合わせてその周囲を縫い付けたり、複数の素材を積層して衣料本体2よりも伸縮性を低くした生地と衣料本体2とを継ぎ合わせたりすることで、形成することができる。なお、足首締圧部3、ふくらはぎ締圧部4又は衣料本体2を構成する各生地の結合及び各素材の積層には、上述した縫製以外にも、溶着や接着など各種方法を適用することができる。
【0032】
また、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4は、衣料本体2などのように足首及びふくらはぎ以外を覆う部分とは異なる生地で形成されていることが好ましい。このように異なる生地を組み合わせて使用することにより、足首及びふくらはぎに付与する圧迫圧及び緊締力の強度を制御しやすくなる。これら足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4を構成する生地には、弾力性のある経編生地を使用することが好ましく、例えば、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維又はポリウレタン繊維などを使用したツーウェイトリコット生地、ラッセルサテンネット、パワーネット生地、その他のニット生地などが挙げられる。特に、ナイロン繊維とポリウレタン繊維とで形成された経編生地を使用することが好ましい。
【0033】
また、下腿を覆う部分全てを、弾力性があり、圧迫性が高い生地で形成すると、締め付けが強くなりすぎて、装着しにくくなると共に、装着感及びフィット感も低下する。このため、本実施形態の下肢用衣料1においては、足首より上方の下腿前面などの足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分は、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4よりも伸びやすい生地で形成することが望ましい。更に、ふくらはぎ締圧部4に上述した伸長特性(伸長率,伸長力)を付与するためには、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する生地に、所定の伸長特性をもたせることが望ましい。
【0034】
具体的には、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する生地が、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4を構成する生地よりも、10N荷重時の伸長率が大きいか、50%伸長時の伸長力が小さいか、又はその両方であることが望ましい。このように、締圧部とそれ以外の部分とで、伸長特性を変え、下腿を覆う部分全体で伸長特性のバランスをとることにより、所定の部位に適度な圧迫を付与しつつ、装着性、装着感及びフィット感を向上させることができる。
【0035】
なお、図1〜図4に示す下肢用衣料1のように、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を、衣料本体2で形成している場合は、この衣料本体2を、伸長率が大きく、伸長力が小さい生地で構成すればよい。具体的には、衣料本体2を構成する生地の10N荷重時の伸長率を、周径方向で80〜140%、上下方向で50〜100%とすることが望ましく、周径方向で100〜120%、上下方向で60〜90%とすることが更に望ましい。一方、衣料本体2を構成する生地の50%伸長時の伸長力は、周径方向で0.5〜10N/25mm、上下方向で1〜15N/25mmにすることが望ましく、周径方向で1〜5N/25mm、上下方向で2〜10N/25mmとすることが更に望ましい。
【0036】
なお、衣料本体2などのように、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する生地の伸長特性(伸長率,伸長力)も、前述したふくらはぎ締圧部4を構成する生地の伸長特性と同様に、図7に示す方法で引張試験を行うことで測定することができる。具体的には、測定対象部分を構成する生地から切り出した試料片12の両端部を、周径方向の測定では生地の周径方向と引張方向が平行になるように、また、上下方向の測定では生地の上下方向と引張方向が平行になるように、引張試験機10のチャック11に撓まないように取り付け、引張速度を100mm/分にして引張試験を行う。そして、各方向における10N荷重時の各試料片12の伸びEを測定し、その結果に基づいて、上記数式1から足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する生地の周径方向又は上下方向の伸長率(%)を算出する。また、試料片12が50%伸長したときの応力(N/25mm)を測定し、その値を足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4以外の部分を構成する生地の周径方向又は上下方向の伸長力(N/65mm)とする。
【0037】
更にまた、本実施形態の下肢用衣料1においては、装着時に、足首からふくらはぎに向かって圧迫圧が次第に低くなる圧迫圧分布を設けることもできる。これにより、下肢全体の血流の循環が促進されるため、浮腫の予防及び軽減効果を向上させることができると共に、疲労回復を促進する効果が得られる。また、腓腹筋を全体的にサポートしつつ過度の圧迫をかけないことで、筋収縮の動きが阻害されず、血流の循環が促進されるため、足関節の反射が高まり、捻挫などの怪我の発生を防止する効果が向上する。更に、関節、筋肉及び腱のぶれを抑え、姿勢を安定させることができるため、装着者のパフォーマンス向上の効果も高まる。
【0038】
上述の如く、本実施形態の下肢用衣料1においては、足首を覆う足首締圧部3とふくらはぎを覆うふくらはぎ締圧部4とが適度な圧迫性を有しており、足関節及び2つの腓腹筋の分かれ目が緊締されるため、足関節が安定すると共に筋肉の無駄なぶれが抑えられる。その結果、装着者の疲労が軽減されると共に、パフォーマンスを向上させることができる。また、ふくらはぎ締圧部4を、上下方向に伸びにくくしているため、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4の圧迫圧が高い場合でも、容易に装着することができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態に係る下肢用衣料について説明する。図8は本実施形態の下肢用衣料の着用状態を示す斜視図である。また、図9は図8に示す下肢用衣料21の正面図であり、図10は背面図、図11は側面図である。なお、図8〜図11においては、図1〜図4に示す第1の実施形態の下肢用衣料1の構成要素と同じものには、同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図8〜図11に示すように本実施形態の下肢用衣料21は、装着時につま先及び踵が露出するオープントウ及びオープンヒールタイプのタイツ型衣料である。この下肢用衣料21は、衣料本体22によってつま先及び踵を除く下肢が覆われており、その足首を覆う部分及びふくらはぎを覆う部分には、それぞれ足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4が設けられている。そして、この下肢用衣料21においても、装着時の圧迫圧は、ふくらはぎ締圧部4よりも足首締圧部3の方が高くなっており、更に、ふくらはぎ締圧部4における10N荷重時の伸長率は、周径方向よりも上下方向の方が小さくなっている。
【0041】
また、本実施形態の下肢用衣料21には、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4に加えて、膝締圧部25及び腰締圧部26が設けられている。下肢用衣料21における膝締圧部25は、膝蓋骨よりも下の下腿上部足口部分を圧迫する環状部と、膝蓋骨の周囲を圧迫する膝蓋部とで構成されており、装着時の圧迫圧は、例えば7〜40hPaである。そして、この膝締圧部25により、膝蓋部の上下に位置する膝蓋靱帯が圧迫状態で固定される。
【0042】
運動をして膝を激しく使用すると、疲労に伴って大腿四頭筋が柔軟性を失い、膝蓋骨が上下に移動するようになるが、本実施形態の下肢用衣料21では、膝締圧部25により膝蓋靱帯を圧迫しているため、膝蓋骨の移動が抑制され、定位置に保持される。これにより、膝の故障を防止できると共に、装着者のパフォーマンスが安定する。
【0043】
また、膝締圧部25における膝蓋部は、膝部側面から前面に向かって膝蓋骨の周囲を囲むように設けられており、膝蓋骨自体は圧迫しない構成になっているため、膝の屈曲を規制することがない。また、屈曲時には圧迫作用が自然に大きく加わることとなるため、より効果的に作用を及ぼすことができる。
【0044】
更に、腰締圧部26は、腰の部分に圧迫作用を加えて、腰にかかる外的な作用を緩和し、腰を安定に保つものであり、装着時の圧迫圧は、例えば5〜30hPaである。この腰締圧部26を設けることにより、腰の故障を防止できると共に、装着者のパフォーマンスを安定させることができる。
【0045】
これら膝締圧部25及び腰締圧部26は、前述した足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4と同様に、同一又は相互に異なる2以上の素材を積層することにより形成することができる。具体的には、衣料本体22の所定位置に、衣料本体2よりも伸縮性が低い1又は2枚以上の素材を重ね合わせてその周囲を縫い付けたり、複数の素材を積層して衣料本体22よりも伸縮性を低くした生地と衣料本体22とを継ぎ合わせたりすることにより、形成することができる。その場合、前述した第1の実施形態の下肢用衣料1における衣料本体2と同様に、衣料本体22には、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4を構成する生地よりも伸びやすい生地を使用することが望ましい。具体的には、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4を構成する生地よりも、10N荷重時の伸長率が大きく、及び/又は、50%伸長時の伸長力が小さい生地を使用することが望ましい。
【0046】
上述の如く、本実施形態の下肢用衣料21においては、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4に加えて、膝締圧部25及び腰締圧部26を設けているため、装着容易性を低下させることなく、膝及び腰の故障も防止することができ、更には、装着者のパフォーマンス向上効果を高めることもできる。なお、本実施形態の下肢用衣料21における上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態の下肢用衣料1と同様である。
【0047】
また、前述した第1及び第2の実施形態においては、オープントウ及びオープンヒールタイプのハイソックス型衣料及びタイツ型衣料を例にして説明したが、本発明はこれらの形態に限定されるものではなく、少なくとも足首及びふくらはぎを圧迫して覆う部分を備えていればよい。ハイソックス型及びタイツ型以外の形態としては、例えばソックス型、オーバーニー型、ストッキング型及び筒型などの形態が挙げられる。更に、筒型以外の形態では、つま先及び/又は踵も覆われるようにしてもよい。
【実施例】
【0048】
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、以下に示す手順で実施例1〜3及び比較例1の下肢用衣料を作製し、その装着容易性、疲労軽減感及び足関節とふくらはぎの安定性について評価した。
【0049】
(実施例1)
本発明の実施例1として、図1〜図4に示す第1の実施形態の下肢用衣料1を作製した。先ず、衣料本体2、足首締圧部3及びふくらはぎ締圧部4を構成する各パーツを準備した。具体的には、(A)衣料本体2用のパーツは、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維からなるツーウェイトリコット編生地から、ふくらはぎ及び足首を除く下腿全体を覆う形状に切り出した。また、(B)足首締圧部3用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から所定形状に3枚切り出し、それらを接着剤で3層に積層することにより形成した。更に、(C)ふくらはぎ締圧部4用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から所定形状に2枚切り出し、それらを接着剤で2層に積層することにより形成した。
【0050】
次に、衣料本体2用、足首締圧部3用及びふくらはぎ締圧部4用の各パーツを、その周囲で継ぎ合わせて、足首からふくらはぎに向かって圧迫圧が次第に低くなる圧迫圧分布を形成し、実施例1の下肢用衣料の全体形状を形成した。
【0051】
(実施例2,3)
本発明の実施例2及び3として、図8〜図11に示す第2の実施形態の下肢用衣料21を作製した。なお、本実施例においては、衣料本体22及びふくらはぎ締圧部4用のパーツには、前述した実施例1で使用した生地とは、編密度、糸太さ及び伸長特性が異なる生地を使用した。
【0052】
先ず、衣料本体22、足首締圧部3、ふくらはぎ締圧部4、膝締圧部25及び腰締圧部を構成する各パーツを準備した。具体的には、(A)衣料本体22用のパーツは、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維からなるツーウェイトリコット編生地から、ふくらはぎ及び足首を除く大腿及び下腿全体を覆う形状に切り出した。また、(B)足首締圧部3用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から所定形状に3枚切り出し、それらを接着剤で3層に積層することにより形成した。
【0053】
(C)ふくらはぎ締圧部4用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から所定形状に2枚切り出し、それらを接着剤で2層に積層することにより形成した。また、(D)膝締圧部25用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から切り出した。更に、(E)腰締圧部26用のパーツは、ポリアミド繊維とポリウレタン繊維からなるサテンネット生地(縦編生地)から切り出した。
【0054】
次に、衣料本体22用、足首締圧部3用及びふくらはぎ締圧部4用の各パーツを、その周囲で継ぎ合わせて、足首からふくらはぎに向かって圧迫圧が次第に低くなる圧迫圧分布を形成した。更に、膝締圧部25及び腰締圧部26用の各パーツを、衣料本体22の所定位置に接着剤を使用して積層した後、その周囲を衣料本体22に縫いつけ、実施例2,3の下肢用衣料とした。
【0055】
(比較例1)
本発明の比較例として、衣料本体2及びふくらはぎ締圧部4に、前述した実施例1で使用した生地と、編密度、糸太さ及び伸長特性が異なる生地を使用し、それ以外は実施例1と同様にして、比較例1の下肢用衣料を作製した。
【0056】
次に、上述した実施例及び比較例の各下肢用衣料の評価方法について説明する。
【0057】
(1)ふくらはぎ締圧部の伸長率
実施例及び比較例の各下肢用衣料におけるふくらはぎ締圧部の伸長率(%)は、前述した図5及び図6に示す方法で周径方向及び上下方向に引張試験を行って、10N荷重時の伸びE(mm)を測定し、その結果に基づいて上記数式1から算出した。なお、引張試験には、島津製作所社製 引張試験機(オートグラフAG−I,ロードセル100kg)を使用し、引張速度は100mm/分、チャック幅Wは65mm、チャック間距離Lは100mmとした。
【0058】
(2)ふくらはぎ締圧部の伸長力
実施例及び比較例の各下肢用衣料について、前述した図5及び図6に示す方法で周径方向及び上下方向に引張試験を行って、下肢用衣料が50%伸長したときの応力(N/65mm)を測定し、その値をふくらはぎ締圧部における伸長力(N/65mm)とした。なお、引張試験には、島津製作所社製 引張試験機(オートグラフAG−I,ロードセル100kg)を使用し、引張速度を100mm/分とし、チャック幅Wは65mm、チャック間距離Lは100mmとした。
【0059】
(3)各部位を構成する生地の伸長率
実施例及び比較例の各下肢用衣料におけるふくらはぎ締圧部を構成する生地、及び衣料本体を構成する生地の伸長率(%)は、前述した図7に示す方法で引張試験を行って求めた。その際、周径方向の測定には、生地から、周径方向に200mm、上下方向に25mmの大きさに切り出した長方形状の試料片を、上下方向の測定には、周径方向に25mm、上下方向に200mmの大きさに切り出した長方形状の試料片を、それぞれ使用した。
【0060】
また、引張試験には、島津製作所社製 引張試験機(オートグラフAG−I,ロードセル100kg)を使用し、引張速度は100mm/分、チャック幅Wは65mm、チャック間距離Lは100mmとした。そして、10N荷重時の試料片の伸びE(mm)を測定し、その結果に基づいて、上記数式1から、各生地の周径方向及び上下方向における伸長率(%)を算出した。
【0061】
(4)各部位を構成する生地の伸長力
実施例及び比較例の各下肢用衣料のふくらはぎ締圧部を構成する生地、及び衣料本体を構成する生地について、前述した図7に示す方法で周径方向及び上下方向に引張試験を行って、試料片が50%伸長したときの応力(N/25mm)を測定し、その値を各生地の伸長力(N/25mm)とした。なお、引張試験は、前述した伸長率と同様の試料片を使用し、島津製作所社製 引張試験機(オートグラフAG−I,ロードセル100kg)により行った。その際、引張速度は100mm/分とし、チャック幅Wは65mm、チャック間距離Lは100mmとした。
【0062】
(5)装着容易性
30代の健常男子10名を被験者として、実施例及び比較例の各下肢用衣料の装着容易性を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各下肢用衣料を実際に装着し、被験者が「装着に問題がない」と感じた場合は2点、「多少装着しやすい」と感じた場合は1点、「装着しにくい」と感じた場合は0点として、3段階で評価し、被験者全員の点数の合計値を、各下肢用衣料の装着容易性とした。即ち、この評価では、点数が高いものが、より装着容易性に優れた下肢用衣料となる。
【0063】
(6)疲労軽減感
30代の健常男子10名を被験者として、実施例及び比較例の各下肢用衣料を装着して2時間ウォーキングした後の疲労感について評価した。具体的には、「未装着のよりも疲労軽減効果が大きい」と感じた場合は2点、「未装着よりも疲労軽減効果が多少ある」と感じた場合は1点、「疲労軽減効果がない(未装着と変わらない)」と感じた場合は0点として、3段階で評価し、被験者全員の点数の合計値を、各下肢用衣料の疲労軽減感とした。即ち、この評価では、点数が高いものが、より疲労軽減効果が高い下肢用衣料となる。
【0064】
(7)足関節とふくらはぎの安定性
30代の健常男子10名を被験者として、実施例及び比較例の各下肢用衣料を装着して2時間ウォーキングしたときの足関節とふくらはぎの安定性について評価した。具体的には、「非常に安定する」と感じた場合は2点、「多少安定する」と感じた場合は1点、「安定しない(未装着と変わらない)」と感じた場合は0点として、3段階で評価し、被験者全員の点数の合計値を、各下肢用衣料における足関節及びふくらはぎの安定性とした。即ち、この評価では、点数が高いものが、より足関節とふくらはぎを安定させる効果が高い下肢用衣料となる。
【0065】
以上の結果を、下記表1にまとめて示す。
【0066】
【表1】
【0067】
上記表1に示すように、比較例1の下肢用衣料は、ふくらはぎ締圧部の10N荷重時の伸長率が周径方向よりも上下方向の方が大きく、本発明の範囲から外れているため、装着容易性の評価が低かった。これに対して、実施例1〜3の下肢用衣料は、ふくらはぎ締圧部の10N荷重時の伸長率が、周径方向よりも上下方向の方が小さくなっており、更にその伸長特性が所定の範囲内になっているため、比較例1の下肢用衣料に比べて、装着容易性に優れ、また、疲労軽減効果及び足関節とふくらはぎの安定性も良好な評価であった。以上の結果より、本実施例の下肢用衣料は、装着者のパフォーマンス向上に有効であり、かつ脱着が容易であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る下肢用衣料の装着状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す下肢用衣料1の正面図である
【図3】図1に示す下肢用衣料1の背面図である。
【図4】図1に示す下肢用衣料1の側面図である。
【図5】(a)周径方向の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図であり、(b)はその測定箇所を示す側面図である。
【図6】(a)は上下方向の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図であり、(b)はその測定箇所を示す側面図である。
【図7】生地の伸長特性の測定方法を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る下肢用衣料の装着状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示す下肢用衣料21の正面図である
【図10】図8に示す下肢用衣料21の背面図である。
【図11】図8に示す下肢用衣料21の側面図である。
【符号の説明】
【0069】
1、21 下肢用衣料
2、22 衣料本体
3 足首締圧部
4 ふくらはぎ締圧部
5 下腿最大周囲
10 引張試験機
11 チャック
12 試料片(生地)
25 膝締圧部
26 腰締圧部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも足首及びふくらはぎを圧迫して覆う下肢用衣料であって、
前記足首を覆う部分は、前記ふくらはぎを覆う部分よりも装着時の圧迫圧が高く、
かつ、前記ふくらはぎを覆う部分は、10N荷重時の伸長率が、周径方向よりも上下方向の方が小である下肢用衣料。
【請求項2】
前記ふくらはぎを覆う部分の10N荷重時の伸長率が、周径方向は15〜35%であり、上下方向は5〜25%であることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項3】
前記ふくらはぎを覆う部分は、50%伸長時の伸長力が、周径方向よりも上下方向の方が大であることを特徴とする請求項1又は2に記載の下肢用衣料。
【請求項4】
前記ふくらはぎを覆う部分の50%伸長時の伸長力が、周径方向は20〜40N/65mmであり、上下方向は50〜90N/65mmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項5】
足首及びふくらはぎ以外を覆う部分を構成する生地は、前記足首を覆う部分及び前記ふくらはぎを覆う部分を構成する生地よりも、10N荷重時の伸長率が大であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項6】
足首及びふくらはぎ以外を覆う部分を構成する生地は、前記足首を覆う部分及び前記ふくらはぎを覆う部分を構成する生地よりも、50%伸長時の伸長力が小であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項7】
前記足首を覆う部分の圧迫圧が18〜67hPaであり、前記ふくらはぎを覆う部分の圧迫圧が9〜54hPaであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項8】
装着時に、足首からふくらはぎに向かって圧迫圧が次第に低くなる圧迫圧分布が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項9】
前記ふくらはぎを覆う部分は、同一又は相互に異なる2以上の素材を積層することにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項1】
少なくとも足首及びふくらはぎを圧迫して覆う下肢用衣料であって、
前記足首を覆う部分は、前記ふくらはぎを覆う部分よりも装着時の圧迫圧が高く、
かつ、前記ふくらはぎを覆う部分は、10N荷重時の伸長率が、周径方向よりも上下方向の方が小である下肢用衣料。
【請求項2】
前記ふくらはぎを覆う部分の10N荷重時の伸長率が、周径方向は15〜35%であり、上下方向は5〜25%であることを特徴とする請求項1に記載の下肢用衣料。
【請求項3】
前記ふくらはぎを覆う部分は、50%伸長時の伸長力が、周径方向よりも上下方向の方が大であることを特徴とする請求項1又は2に記載の下肢用衣料。
【請求項4】
前記ふくらはぎを覆う部分の50%伸長時の伸長力が、周径方向は20〜40N/65mmであり、上下方向は50〜90N/65mmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項5】
足首及びふくらはぎ以外を覆う部分を構成する生地は、前記足首を覆う部分及び前記ふくらはぎを覆う部分を構成する生地よりも、10N荷重時の伸長率が大であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項6】
足首及びふくらはぎ以外を覆う部分を構成する生地は、前記足首を覆う部分及び前記ふくらはぎを覆う部分を構成する生地よりも、50%伸長時の伸長力が小であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項7】
前記足首を覆う部分の圧迫圧が18〜67hPaであり、前記ふくらはぎを覆う部分の圧迫圧が9〜54hPaであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項8】
装着時に、足首からふくらはぎに向かって圧迫圧が次第に低くなる圧迫圧分布が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【請求項9】
前記ふくらはぎを覆う部分は、同一又は相互に異なる2以上の素材を積層することにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の下肢用衣料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−77574(P2010−77574A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250287(P2008−250287)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】
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