説明

下貼りラベル貼付装置

【課題】 搬送手段の下側に配置される下貼りラベル貼付手段のメンテナンス作業をし易くする。
【解決手段】 搬送手段によって搬送される商品の下面にラベルを貼付する下貼りラベル貼付装置において、搬送手段の下側に、ラベル貼付手段を前記搬送手段の搬送方向と直行する方向に移動可能とする水平移動手段と、前記水平移動手段に対して水平回動する水平回動手段を介して移動可能に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送手段によって搬送される商品の下面にラベル(下ラベル)を貼付する下貼りラベル貼付装置に関し、更に詳しくはメンテナンス作業を容易に行うことができる下貼りラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮食品等がトレイに収容され、そのトレイをストレッチフィルムで包装した商品に対して、商品名や商品の値段、単価等を印字したラベル(上ラベル)が該商品の上面に貼付されるが、更に該ラベルに表示しきれない商品の生産地、添加物等の商品に関する情報は、別のラベル(下ラベル)に印字し、商品の下面に貼付されるようになっている。
そして、上記した商品の下面にラベルを貼付する装置として、例えば特許文献1が存在する。
【0003】
特許文献1に記載のラベル貼付装置は、商品を搬送する搬送路の途中に、略搬送路の幅方向に亘ってスリットを設けた搬送部と、該搬送部の下方に設けたラベル発行部と、該ラベル発行部から発行されたラベルを、前記スリットを通過させて商品下面へ移送するラベル移送部と、該ラベル移送部を前記スリットに沿って搬送路の幅方向に移動自在ならしめる移動機構とを備えている。
【0004】
特許文献1に記載のラベル貼付装置は、前記構成により、搬送路の幅方向に亘って設けたスリットに沿ってラベル移送部を移動できるため、ラベル発行部から発行されるラベルを、スリットの横幅範囲内において繰り出し位置、即ち商品に対する下ラベルの貼付位置を変更することができる。
そして、このラベル貼付装置は搬送路(搬送ライン)の下部に位置し、作業者と正対する正面部分にはラベル発行部(ラベルロールや印字機構)、発行したラベルの移送部が配置されており、容易にアクセスできるようになっている。勿論、上記構成により、正面側のラベル発行部やラベル移送部は、移動機構によって手前側(作業者側)に引き出して、更にアクセスしやすくなっている。
【0005】
しかし、背面(裏側)は多くの場合、搬送路が壁に近接して設置されていることが多いため、その背面側に容易にアクセスすることはできない。背面側には正面部分に配置されるラベル発行部やラベル移送部、及びそれら機構の動作を制御する制御部等の電装関係が配置されている。
従って、前記した状況でメンテナンス等の為にラベル貼付装置の背面側(ラベルロールや印字機構等が配置された面と反対側)に配置されている部品等を点検するためには、搬送ラインの下にもぐりこむようになり、更に場合によっては搬送ラインを解体して移動させるようなこともあり、メンテナンス作業を困難ならしめるといった問題を有していた。
【0006】
【特許文献1】特開2005−335727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その課題はメンテナンス等の作業を楽な姿勢で容易に行うことができるラベル貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成する為に本発明のラベル貼付装置は、商品を搬送する搬送手段の途中に、該搬送手段の搬送方向と交差する幅方向に亘って開口部を設けた搬送手段と、前記搬送手段の下方に配置され、前記搬送手段上を搬送される商品の下面に貼付するラベルを発行するラベル発行部と、前記ラベル発行部から発行されたラベルを前記開口部へ移送する移送部と、前記開口部上を通過する商品の下面に前記ラベルを貼付するラベル貼付部とを有するラベル貼付手段と、前記ラベル貼付手段を、前記搬送手段の商品の搬送方向と直交する方向で、且つ水平方向に移動させる水平移動手段と、前記ラベル貼付手段を、水平旋回させる水平回動手段と、を備えることを特徴とする(請求項1)。
前記搬送手段は、商品を水平搬送できるものであればよく、例えばベルトコンベヤ、ローラコンベヤ等が挙げられる。
前記水平回動手段の回動範囲は、1回転(360°)或いは半回転(180°)等、何れでもよく、要はラベル貼付手段のラベルロールや印字部が配置された正面側とは反対側(裏側)が、搬送手段の前に立つ作業者と対向する回転角であればよい。その場合、ラベル貼付手段を水平回転させる方向は時計回り方向、反時計回り方向の何れでもよい。
【0009】
上記手段によれば、搬送手段の下方に配置されたラベル貼付手段を水平移動手段によって該搬送手段の下部から手前側に水平に引き出し、更に水平回動手段によって水平回転、例えば時計回り方向又は反時計回り方向に90°〜180°回転することにより、ラベル貼付手段の背面側に配置されている電装、制御部等の通常では手が届かない裏側を、正面(搬送手段の前に立つ作業者と正対する位置)に移動させることができる。それにより、ラベル貼付手段の裏側に配置された電装、制御部等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0010】
そして、前記水平移動手段は、前記ラベル貼付手段を搬送手段の搬送方向と直交する幅方向の原点位置(ラベルを貼付する時の位置)から水平直線的に手前方向に移動させるもので、所定位置まで一動作で移動させる、或いは多段階に移動させる等、何れでもよい。
多段階に移動させる形態としては、例えば二段階移動が挙げられる。具体的には、前記ラベル貼付手段を、前記搬送手段の搬送方向と直交する幅方向に沿って該搬送手段の幅方向範囲内の水平移動を許容する第一の移動手段と、前記第一の移動手段により移動終点位置から前記ラベル貼付手段を更に搬送手段の搬送方向と交差する幅方向に水平移動可能とする第二の移動手段とで構成する(請求項2)。
【0011】
上記手段によれば、第一の移動手段によってラベル貼付手段と一体の第二の移動手段を一緒に所定位置まで引き出し、その引き出した終点位置から第二の移動手段によりラベル貼付手段を更に手前に引き出すことが可能となる。それにより、更に作業がしやすい正面側に引き出し移動させることが可能となる。しかも、第一の移動手段による移動は、搬送手段の幅方向範囲内の移動であるため、前記したラベル貼付手段のメンテナンスのみならず、ラベル貼付手段が発行し移送するラベルを商品に対して貼付する位置を、搬送手段の幅方向の範囲内で調整するのに使用することができる。
【0012】
又、前記水平回動手段は、前記第一の移動手段に対して前記第二の移動手段を水平回動させるものである(請求項3)。
上記手段によれば、第一の移動手段によって第二の移動手段を手前側に引き出し、引き出し位置で水平回動できるため、引き出しと回動を組み合わせることで、周囲に障害物が配置されていても、該障害物を避けて目的の位置へ引き出し、或いはラベル貼付手段の裏側を作業者と正対する正面側に回動位置させることができる。
【0013】
前記水平移動手段及び水平回動手段の具体的構成は、例えば、前記第一の移動手段を、搬送手段のフレーム部間に架設したシャフトと、該シャフトに沿ってスライド可能に支持した平面視矩形状の枠体とで構成し、前記第二の移動手段は前記第一の移動手段の枠体に対して水平回動/連結固定の切替可能な水平回動手段を構成する枠体の対向する周壁に亘って架設したシャフトと、そのシャフトに沿ってスライド可能に支持したガイド枠とで構成され、該ガイド枠は前記ラベル貼付手段を垂下固定し、且つロック機構により前記水平回動手段の枠体に対して連結/分離切替可能とする(請求項4)。
前記ロック機構は、水平回動手段の枠体に架設したシャフトにスライド可能に支持したガイド枠を、前記枠体と一体化して連結固定、或いは連結を解除してスライド可能とするもので、そのロック機構の構造は任意である。
【0014】
上記手段によれば、搬送手段の搬送方向と直交する幅方向への二段階の引き出しと、水平回動の組み合わせにより、ラベル貼付手段を水平回動した時、該ラベル貼付手段の角部等が他物に当たって回動できないような場合、ラベル貼付手段を水平移動手段によって手前側に移動させ、角部が当たる障害物を避けた後に、水平回動手段によって回動させることができる。従って、搬送手段の下部空間の形状がいびつな形状であっても、直線的な引き出しと、水平回動を組み合わせることで、ラベル貼付手段を確実に反転させることができる。
【0015】
又、前記水平回動手段の枠体は、前記第一の移動手段の枠体に開設した孔に対する軸の嵌合によって回動可能に支持されるが、前記水平回動手段の枠体に、前記第一の移動手段の枠体に対して回転可能に吊持するフックを備えてもよい(請求項5)。
そのフックの形態としては、例えば、第一の移動手段を構成する枠体に開設した孔の周縁に対して係合するフックを、水平回動手段の枠体側に切り起こし、溶接等によって形成する。
【0016】
上記手段によれば、ラベル貼付手段を第二の移動手段を介して垂下固定した水平回動手段の枠体を、第一の移動手段の枠体の下部に水平回動可能に組み付ける場合、該水平回動手段の枠体側に設けたフックを、第一の移動手段の枠体に開設した孔の周縁に係着することで、ラベル貼付手段を垂下した水平回動手段の枠体を、第一の移動手段の枠体に吊り下げ支持することができる。従って、重量が重いラベル貼付手段を補助の作業者が支える、或いは台に載せて支えるなどすることなく、容易に組み立てることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の下貼りラベル貼付装置は請求項1記載の構成により、ラベル貼付手段を搬送手段の下部位置から手前に引き出して水平回動することにより、ラベル貼付手段の裏側に配置されている電装、制御部などの部位を、作業者と正対する正面側に移動させることができる。従って、ラベル貼付手段の電装、制御部などのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
又、請求項2記載の構成により、搬送手段の下部に位置するラベル貼付手段を、更に作業がしやすい正面側に引き出し移動させることが可能となる。また、第一の移動手段による移動は、搬送手段の幅方向範囲内の移動であるため、前記したラベル貼付手段のメンテナンスのみならず、ラベル貼付手段が発行し移送するラベルを商品に対して貼付する位置を、搬送手段の幅方向の範囲内で調整するのに使用することができる。
【0018】
更に、請求項3、4記載の構成により、引き出しと回動を組み合わせることで、周囲に障害物が配置されていても、該障害物を避けて目的の位置へ引き出し、或いはラベル貼付手段の裏側を作業者と正対する正面側に回動位置させることができる。
また、請求項5記載の構成により、搬送手段の下方位置に、ラベル貼付手段を引き出し且つ水平回動可能に組み付ける第一の移動手段に対する水平回動手段の組み付けを、容易に行うことができる。よって、組立作業性に富んだ下貼りラベル貼付装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る下貼りラベル貼付装置の実施の形態の一例を図面に基いて説明する。
図1は、下貼りラベル貼付装置全体を示す正面図で、図中、Aは商品Wを搬送する搬送手段で、その搬送手段Aの搬送方向途中に開口部が設けられ、更に該搬送手段Aの下方には、前記搬送手段A上を搬送される商品Wの下面に貼付するラベルLを発行するラベル発行部B1と、そのラベル発行部B1から発行されたラベルLを前記開口部へ移送する移送部B2と、前記開口部上を通過する商品Wの下面に前記ラベルLを貼付するラベル貼付部B3とを有するラベル貼付手段Bが配置され、且つ前記ラベル貼付手段Bは前記搬送手段Aの搬送方向と直交する幅方向に移動し得るように移動機構Cで支持されている。
【0020】
搬送手段Aは、所定の間隔をおいて対峙する前後一対の載せ枠で構成されたフレーム部1に、ベルトコンベアで構成された長短二台のコンベアA1,A2を直線状に連設載架すると共に、それらコンベアA1,A2の間に2本の駆動ローラ2,2’が前記搬送手段Aの搬送方向と直交して配置され、その駆動ローラ2,2’によって開口部3が区画形成されている。
【0021】
フレーム部1に載架する長短二台のコンベアA1,A2は、該コンベアA1,A2をフレーム部に1に載架定着することで、フレーム部1に装備した駆動手段4の動力伝達部材と連繋し、回転力がコンベアA1,A2に伝達されるように構成されている。
又、コンベアA1とコンベアA2との間に配置される駆動ローラ2,2’は前記駆動手段4によって駆動されるコンベアA1の回転を利用し、動力伝達部材を介して駆動回転するように構成されている。(尚、搬送手段Aの詳細な構成は、特開2005−335727号参照)
【0022】
コンベアA1,A2を載承するフレーム部1は、コンベアA1,A2を載承保持する前後一対の載せ枠5と、その載せ枠5を所定高さに支持する脚体6と、コンベアA1の一方のローラを駆動回転する為の駆動手段4とで構成されている。そして、コンベアA1を載承する箇所とコンベアA2を載承する箇所との間には、コンベアA1からコンベアA2へ回転力を伝達する動力伝達手段(図示省略)と、その動力伝達手段で回転される駆動ローラ2,2’が配置されている。
【0023】
上記の如く構成した搬送手段Aの下方にはラベル貼付手段Bが移動機構Cによって該搬送手段Aの搬送方向と直交する方向に水平移動可能且つ水平回動可能に支持されている。
【0024】
ラベル貼付手段Bは、前記搬送手段A上を搬送される商品Wの下面に貼付するラベルLを発行するラベル発行部B1と、そのラベル発行部B1から発行されたラベルLを前記開口部3へ移送するラベル移送部B2と、前記開口部上を通過する商品Wの下面に前記ラベルLを貼付するラベル貼付部B3とで構成され、ラベル移送部B2はラベル発行部B1の側部に一体的に設けられている。
【0025】
ラベル発行部B1は、コンソール部(図示省略)からのデータの入力に基いて所要のデータ、例えばバーコード、添加物名、原産地表示等の項目をラベルLに印字して発行するラベルプリンタで構成されている。
そのラベルプリンタ7は、器枠7f内に、ラベル用紙が台紙に剥離可能に貼付されたラベルロール7aと、サーマルヘッド7bと、プラテンローラ7cと、台紙巻取りローラ7dと、フィードローラ7e、及び前記台紙巻取りローラ7dとフィードローラ7eを駆動回転するモータ(図示省略)等を備えた今日周知のもので、サーマルヘッド7bとプラテンローラ7cとにより台紙上のラベル用紙に前記所要項目が印字され、印字完了後のラベル用紙はプラテンローラ7c先端部のディスペンサで台紙から剥離されて発行口へ送出され、該発行口と対向するよう配置したラベル移送部B2のラベル搬送コンベアに渡される。尚、ラベルロール7aからの台紙の引き出し方向は、前記搬送手段Aを構成するコンベアA1の搬送方向と同じ方向となるようにラベルロール7aは配置されている。
【0026】
前記ラベル発行部B1から印字発行されるラベルLを開口部3に向けて移送するラベル移送部B2は、ラベルLを無端回動するベルト表面に吸着保持して移送するもので、細幅のベルトを複数本、平行に架設したベルトコンベア8aと、そのベルトコンベア8aのベルト内側に配設した孔開き空気流通路8bと、該空気流通路8bに圧縮空気を供給吐出する空気供給ノズル8cとで構成されており、空気供給ノズル8cから孔開き空気流通路8bに圧縮空気が吐出されることで該孔開き空気流通路8b内の空気の流れによって外気が引き込まれ、孔開き空気流通路8bの孔部に吸引力が発生し、ベルトコンベア8a表面にラベルを吸着して搬送するように構成されている。
【0027】
そして、ラベルLを移送するベルトコンベア8aは、前記ラベル発行部B1の発行口前方位置から前記開口部3の直下位置に向けて傾斜して配置されている。尚、ラベル移送部B2で移送されるラベルLは、印字面がベルト面に吸着され、粘着面(接着剤塗布面)を上側に向けて移送される。又、前記孔開き空気流通路8bは別途設置したコンプレッサ(図示省略)に接続して、圧縮空気が供給されるように構成されている。
【0028】
ラベル貼付部B3は、前記ラベル移送部B2の上端(開口部3寄り)に、ベルトコンベア8aのベルト面に吸着保持されて移送されるラベルLを開口部3に向けて送り出し、該開口部3上を通過する商品Wの下面に確実に接着されるようにするもので、ラベルLの移送方向に沿った先端側から後端までを商品の下面に正常に貼付し得るよう、ガイドローラ9がベルト上に間隔を置いて平行に架設されて構成されている。
【0029】
そして、ラベル貼付手段Bはラベル発行部B1の裏側に該ラベル発行部B1のモータを含めた電装関係、及びそれらの動作を制御する制御部等(回路基板等)が枠体35内に纏めて配置されている。
上記の如く構成したラベル貼付手段Bは、水平移動手段C1と水平回動手段C2とで構成した移動機構Cによって前記搬送手段Aの下部に、該搬送手段の搬送方向と直交する方向にスライド可能且つ水平回動可能に支持されている。
【0030】
水平移動手段C1は、前記ラベル貼付手段Bを、前記搬送手段Aのフレーム部1を構成する前後一対の載せ枠5の範囲内の水平移動を許容する第一の移動手段10と、その第一の移動手段10により移動された前記ラベル貼付手段Bを、搬送手段Aの搬送方向と直交する方向に更に水平移動可能とする第二の移動手段11とで構成されている。
【0031】
前記第一の移動手段10は、搬送手段Aのフレーム部1を構成する前後一対の載せ枠5、5間に亘って直角且つ平行に架設したシャフト12,12’と、該シャフト12,12’に沿って水平状態でスライド可能に支持した平面視略矩形状の枠体13とで構成されている。
前記枠体13は、金属製平板を用いて平面視略矩形状の箱型に形成され、底部13aの周縁に起立形成した側壁13bの対向する二辺に、前記シャフト12,12’に嵌合する通孔13dが開設され、これにより枠体13がスライド可能に支持されている。
又、枠体13の底部13aの略中央位置には平面視円形の孔13cが開設され、この孔13cに、第二の移動手段11を組み込んだ水平回動手段C2が水平回動可能に垂下支持されるように構成されている。
【0032】
前記第二の移動手段11は、前記第一の移動手段10のシャフト12,12’に沿ってスライドする枠体13と一緒に移動する水平回動手段C2の枠体14に対して、ラベル貼付手段Bを水平移動可能に支持するもので、平面視略矩形状の箱型に形成した枠体14の相対向する側壁14b,14b’に亘って平行に架設したシャフト15,15’と、そのシャフト15,15’にスライド可能に貫通支持したガイド枠16とで構成されている。
【0033】
水平回動手段C2の枠体14は、図2に示すように、底部14aに前記枠体13の孔13cの孔縁に係合し、且つ該孔13cの孔縁に沿って周方向への回動を可能とするフック17,17’が相対向する直径線上に切り起こしによって形成され、これにより該枠体14を枠体13の下に吊り下げ支持し得るようになっている。そして、前記フック17,17’によって枠体14は枠体13に対して回動し得るが、より安定した回動を確保する為に、前記枠体13の孔13cに嵌合し回転軸の役割をなす円板18と、孔13cの孔縁に係合して抜け落ちるのを防止する落下防止円板19を、枠体13に対して枠体14を垂下支持した後、枠体14に止めネジ20で固定し得るようになっている。即ち、枠体14に円板18と落下防止円板19が止ネジ20で連結固定され、一体化される。尚、円板18と落下防止円板19の周縁には前記フック17,17’が嵌合する切欠き21,22が切欠き形成されている。又、円板18と落下防止円板19は別体構造とすることなく、段付き軸の如く一枚板で構成してもよい。
【0034】
また、枠体14は前記枠体13と一緒にスライドさせる為に該枠体13と連結固定し、連結を解除することで枠体13に対し水平回動可能な状態となる。
枠体14を枠体13に対して連結/分離可能とする機構は、図2に示す止ネジ23による連結固定の他に、図7に示すワンタッチの掛止構造としてもよい。
図7に示す掛止構造は、枠体13と枠体14の両者に亘って、掛止めピン24を嵌脱する通孔25,26を対角線上に貫通開穿し、掛止めピン24を通孔25,26に亘って差し込むことにより枠体13と枠体14を一体化し、枠体14の回動を防止する。また、掛止めピン24を通孔25,26から引き抜くことで枠体13と枠体14の一体化が解除され、枠体14は枠体13に対して回動可能な状態となる。尚、図示の例では掛止めピン24が嵌脱される通孔25,26を孔13cを挟む対角線上に設け、その対角線上の夫々の孔に差し込むピンを連結した一本ものを示したが、それぞれ独立したピンでもよい。また、掛止めピン24を差し込む通孔25,26の位置は、図示の対角線上に限らず、孔13cの周囲部分に1箇所または2箇所設けてもよい。
【0035】
前記ガイド枠16は、前記枠体14に架設したシャフト15,15’に沿ってラベル貼付手段Bをスライド可能に吊り下げ支持するもので、ラベル貼付手段Bを安定よく4点で吊り下げ支持し得るように、所定幅(但し、枠体14の側壁14b,14b’間の寸法よりは短い)を有した平板の前後縁に側壁16a,16a’が起立形成され、その前後の側壁16a,16a’に前記シャフト15,15’が貫通される通孔16bが開設されている。そして、このガイド枠16は、平板部分をラベル貼付手段Bの枠体35の上面に止ネジ33で固着されている。
そして、ガイド枠16のスライド量(移動距離)は、枠体14の側壁14b,14b’間の寸法と、ガイド枠16の側壁16a,16a’間の寸法とで決定される為、第二の移動手段11のスライド量を大きくする場合は枠体14の側壁14b,14b’間の寸法を大きくし、ガイド枠16の側壁16a,16a’間の寸法を小さくする。
【0036】
又、前記枠体14には前記ガイド枠16のスライド/固定を切り替えるロック機構34が装備されている。
そのロック機構34は、ガイド枠16を枠体14に対してスライドできないように係着し、或いは係着を解除してスライド可能にするもので、その構成は図2に示すように、枠体14のシャフト15,15’を架設する手前側の側壁14bに開口27を開設し、奥側の側壁14b’の前記開口27と対向する位置には下向きに突出する掛止め突片28が形成されている。他方、前記開口27から挿入して側壁14b,14b’間に架設するロックバー29は、該ロックバー29の先端近傍に掛止め孔30が開設され、その掛止め孔30が前記掛止め突片28に常時嵌合してロックバー29の架設状態が維持されている。
また、前記ガイド枠16の手前側の側壁16aには前記ロックバーに沿ってスライドする為の案内溝31が切欠形成され,奥側の側壁16a’には前記ロックバー29の掛止め孔30に嵌脱する係合突片32が上向に切欠き形成され、ガイド枠16が枠体14の奥側(側壁16a’が側壁14b’と接合する位置)にスライドされた時、係合突片32が前記ロックバー29の下面を摺擦しながら掛止め孔30に到達し、掛止め孔30に到達した時点でロックバー29の先端側は自重で下方に移動し、掛止め孔30は係合突片32に嵌合し、ガイド枠16がスライド不可状態にロック(係着)される。即ち、水平回動手段C2の枠体14と第二の移動手段11のガイド枠16がロック機構34を介して一体化され、一緒にスライドし得る状態となる。
更に、開口27より手前に突出する前記ロックバー29の前端は略直角下向きに折り曲げられて解除操作部29’が形成され、その解除操作部29’の下端側を枠体14側に押すことで該ロックバー29が上方に回動するように構成されている。尚、前記係合突片32の突出高さは、前記ロックバー29の解除操作部29’を操作した時、該ロックバー29の先端側の移動位置(高さ)より低い位置とする。
【0037】
ガイド枠16のスライド不可状態を解除する場合は、ロックバー29の解除操作部29’の下端側を枠体14側に押し込むと、ロックバー29は梃子の作用で上方に回動し、該ロックバー29の先端側の掛止め孔30は掛止め突片28に嵌合した状態のまま上方に移動する。それにより、それまで掛止め孔30に嵌合していたガイド枠16の係合突片32との係着は解除され、ラベル貼付手段Bは枠体14に対してスライド可能な状態となる。従って、前記解除操作部29’の下端側を押した状態でラベル貼付手段Bを手前側に引張ると、該ラベル貼付手段Bと一体のガイド枠16の係合突片32は上記したようにロックバー29の掛止め孔30から外れ、ラベル貼付手段Bは枠体14に架設したシャフト15,15’に沿って手前側に引き出される。
【0038】
次に、ラベル貼付手段Bのスライド、水平回動操作を図5及び図6に基いて説明する。
先ず、図5(a)はラベル貼付手段Bが通常のラベル貼付状態に配置された状態を示す。ラベル貼付状態とは、ラベル貼付手段Bのラベル貼付部B3の幅方向中心が、搬送手段Aの搬送路幅の略中心線と合致する位置(原点位置)で、しかも該ラベル貼付手段Bをスライド、水平回動する移動機構Cは、水平移動手段C1の第一の移動手段10の枠体13と水平回動手段C2の枠体14が止ネジ23で連結固定され、且つ水平回動手段C2の枠体14に対し第二の移動手段11におけるラベル貼付手段Bを垂下固着したガイド枠16はロック機構34で該枠体14の奥側に係着固定されている。即ち、枠体13と枠体14とガイド枠16が連結一体化されている。
【0039】
そして、ラベル貼付手段Bのラベル発行部B1にセットされているラベルロール7aを交換する、或いはラベル移送部B2、ラベル貼付部B3等の保守点検を行う場合、ラベル貼付手段Bを原点位置に位置させたまま前記作業を行うことができるが、より作業をスムーズに行うために、ラベル貼付手段Bを搬送手段Aの搬送方向と直交する幅方向の手前側(搬送手段と正対する作業者側)に移動させることができる。
その移動は、図5(b)に示すように、ラベル貼付手段Bを水平移動手段C1の第一の移動手段10によって、枠体13の側壁13bがシャフト12,12’を架設するフレーム部1の手前側の載せ枠5と当接する位置まで引き出す。この第一の移動手段10による一段目の移動で、ラベル貼付手段Bは原点位置より手前側に引き出され作業し易くなるが、更に作業をし易くする場合は第二の移動手段11によって、ラベル貼付手段Bを図5(c)に示す位置まで引き出すことができる。
【0040】
第二の移動手段11の操作は、第一の移動手段10によって引き出した移動位置(図5(b)の位置)で、ロック機構34のロックバー29を枠体14側に押しながらラベル貼付手段Bを手前側に引くと、ガイド枠16の係合突片32が枠体14の側壁14b,14b’間に架設支持されているロックバー29の掛止め孔30から外れ、ガイド枠16は枠体14に架設されているシャフト15,15’に沿ってスライド可能となる。そして、そのスライド可能範囲は、ガイド枠16の側壁16aが枠体14の側壁14bと当接する位置で、図5(c)に示すようにラベル貼付手段Bのラベル発行部B1、ラベル移送部B2をフレーム部1より外側に引き出すことができる。これにより、ラベルロール7aの交換、ラベル移送部B2、ラベル貼付部B3等の保守点検等、ラベル貼付手段Bの表面側の作業を容易に行うことができる。尚、前記ロック機構34の解除操作は、第一の移動手段10を操作して移動させた移動終点位置に限らず、任意の位置で行うことが可能である。
【0041】
ラベル貼付手段Bの表面側の作業は、上記したように水平移動手段C1の第一の移動手段10、第二の移動手段11を操作することで対応できるが、ラベル貼付手段Bの裏面側に配置されている電装関係、制御部等のメンテナンス作業は、従来と同様、狭い空間での作業を強いられることになる。このような場合、前記水平移動手段C1に加え水平回動手段C2を操作することで、ラベル貼付手段Bの裏面側を開放された空間側に移動させてメンテナンス作業等を容易に行うことができる。
その水平回動手段C2の操作を図6に基づいて説明する。
先ず、図6(a)に示す原点位置(図5(a)と同じ位置)で、水平移動手段C1の第一の移動手段10における枠体13と、水平回動手段C2の枠体14を連結する止ネジ23(又は図7における掛止めピン24)を外して、水平回動手段C2を機能し得る状態(枠体14が枠体13に対して回動し得る状態)にする。
【0042】
次に、図示の実施の形態では枠体13の底部13aを、孔13cに嵌合した円板18を介在して枠体14の底部14aと落下防止円板19で挟み、止ネジ20で挾着しているため、止ネジ20を緩めて摩擦抵抗を小さくし、ロック機構34を介してガイド枠16を連結一体化した枠体14が枠体13に対して水平回動し得る状態にする。そして、枠体14に止ネジ20で固定されている円板18を回転軸としてラベル貼付手段Bを時計回り方向に回動し(図6(b)参照)、該ラベル貼付手段Bの裏面側を作業がしやすい位置、例えば原点位置に対して時計回り方向又は反時計回り方向に90度回転した横向き状態、或いは180度回転し、ラベル貼付手段Bの裏面側が作業者と正対する位置等に移動する。
【0043】
上記回動は原点位置での水平回動で、その水平回動時にラベル貼付手段Bの枠体35の角部や、該ラベル貼付手段Bを支持する水平回動手段C2の枠体14が、周囲に配置されている部材に当たり、目的の位置まで回動できない場合は、前記した水平移動手段C1(第一の移動手段10、第二の移動手段11)の操作を組み合わせ、障害物を避けながら回動し、ラベル貼付手段Bの裏面側を作業しやすい位置(空間)まで移動させる。
【0044】
そして、上記した水平移動手段C1と組み合わせて回動することで、ラベル貼付手段Bを図5(c)に示す最前位置へ引き出し、且つその位置で180度反転させて、図6(c)に示す裏面側を作業者と正対する位置へ位置させることができる。それにより、非常に楽な姿勢でメンテナンス作業を行うことが可能となる。
又、前記水平移動手段C1と水平回動手段C2を組み合わせて操作する場合、その操作の順番は自由で、例えば、最初に第二の移動手段11に装備されているロック機構34のロックを解除してラベル貼付手段Bを水平回動手段C2の枠体14に対してスライド可能とし、ラベル貼付手段Bを所定位置まで引き出してから、水平回動するようにしてもよい。
【0045】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で変更可能である。
(1)水平回動手段C2における枠体13と枠体14との回動支持は、ベアリング等を用いて構成してもよい。
(2)水平移動手段は実施の形態で二段階の引き出し機構を示したが、一段の引き出し機構でも勿論よく、更に三段以上の多段引き出しでもよいものであり。
(3)水平移動手段と水平回動手段を連結固定する方式は、図示の止ネジや掛止めピンの方式に限定されない。
(4)止ネジ20を緩めてラベル貼付手段Bを微小回転させた後、前記止ネジ20を締め付けて固定することで、ラベル貼付の角度を微調整するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る下貼りラベル貼付装置の実施の形態の一例を示す正面図。
【図2】ラベル貼付手段の移動機構を示す分解斜視図。
【図3】(a)は同移動機構を示す平面図、(b)は(a)図のb−b線に沿える縦断正面図。
【図4】(a)は移動機構を構成する第一の移動手段の枠体13と水平回動手段の枠体14の組み付け状態を示す平面図、(b)は(a)図のb−b線に沿える縦断面図、(c)は(a)図のc−c線に沿える縦断面図。
【図5】ラベル貼付手段の移動操作を示す図で、(a)は原点位置、(b)は第一の移動手段を操作して引き出した状態、(c)は第二の移動手段を操作して最前位置へ引き出した状態。
【図6】ラベル貼付手段の回動操作を示す図で、(a)は原点位置、(b)は原点位置でラベル貼付手段を時計回り方向に45度回転した状態、(c)は最前位置へ引き出し且つ180度回転した状態。
【図7】第一の移動手段と水平回動手段を連結する他の形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0047】
A…搬送手段 B…ラベル貼付手段
B1…ラベル発行部 B2…ラベル移送部
B3…ラベル貼付部 C…移動機構
C1…水平移動手段 C2…水平回動手段
W…商品 L…ラベル
1…フレーム部 3…開口部
10…第一の移動手段 11…第二の移動手段
12,12’…第一の移動手段のシャフト 13…第一の移動手段の枠体
14…水平回動手段の枠体 15,15’…第二の移動手段のシャフト
16…ガイド枠 17,17’…枠体14に設けたフック
34…ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を搬送する搬送手段の途中に、該搬送手段の搬送方向と交差する幅方向に亘って開口部を設けた搬送手段と、
前記搬送手段の下方に配置され、前記搬送手段上を搬送される商品の下面に貼付するラベルを発行するラベル発行部と、前記ラベル発行部から発行されたラベルを前記開口部へ移送する移送部と、前記開口部上を通過する商品の下面に前記ラベルを貼付するラベル貼付部とを有するラベル貼付手段と、
前記ラベル貼付手段を、前記搬送手段の商品の搬送方向と直交する方向で、且つ水平方向に移動させる水平移動手段と、
前記ラベル貼付手段を、水平回動させる水平回動手段と、
を備えることを特徴とする下貼りラベル貼付装置。
【請求項2】
前記水平移動手段は、前記ラベル貼付手段を、前記搬送手段の搬送方向と直交する幅方向に沿って該搬送手段の幅方向範囲内の水平移動を許容する第一の移動手段と、
前記第一の移動手段による移動終点位置から更に前記ラベル貼付手段を搬送手段の搬送方向と交差する幅方向に水平移動可能とする第二の移動手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の下貼りラベル貼付装置。
【請求項3】
前記水平回動手段は、前記第一の移動手段に対して前記第二の移動手段を水平回動させることを特徴とする請求項2記載の下貼りラベル貼付装置。
【請求項4】
前記第一の移動手段は、搬送手段のフレーム部間に架設したシャフトと、該シャフトに沿ってスライド可能に支持した平面視矩形状の枠体とで構成され、前記第二の移動手段は前記第一の移動手段の枠体に対して水平回動/連結固定の切替可能な水平回動手段を構成する枠体の対向する周壁に亘って架設したシャフトと、そのシャフトに沿ってスライド可能に支持したガイド枠とで構成され、該ガイド枠は前記ラベル貼付手段を垂下固定し、且つロック機構により前記水平回動手段の枠体に対して連結/分離切替可能としたことを特徴とする請求項2又は3記載の下貼りラベル貼付装置。
【請求項5】
前記水平回動手段の枠体は、前記第一の移動手段の枠体に対して回転可能に吊持するフックを備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の下貼りラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−285182(P2008−285182A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130453(P2007−130453)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】