説明

下顎の下に支持される患者界面装置組立体

患者界面装置は、患者界面材及び顎支持装置を有し、患者界面材を患者上で支持しかつ患者回路から患者界面材まで気体流を供給する。一実施の形態では、顎支持装置は、中空の空洞部を有する可撓性の支持体により形成され、患者の頬の前方で下方へ湾曲して患者界面材の両側部から、患者の口の外側周辺を通じて、患者の下顎の下方位置に延伸する。他の実施の形態では、顎支持装置は、患者界面材に連結された導管に連結される。顎支持体は、少なくとも、患者の下顎の下に配置される部分を備える。

【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)の規定により、2004年2月6日に出願された米国仮出願番号第60/542,750号の利益を主張し、各開示内容を本明細書に組み込むものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、全般的に圧力支援装置に用いられる患者界面装置組立体、特に、患者の下顎の少なくとも一部に支持される患者界面装置組立体及び該患者界面装置組立体を組み込む気体搬送システムに関する。
【背景技術】
【0003】
患者に挿管せず又は外科的に気管内チューブを患者の食道内に挿入せずに、患者の気道に呼吸用気体を非侵襲的に供給することが必要かつ望ましい状況は多く存在する。例えば、非侵襲的換気法として知られた技術を使用して患者に気体を供給する方法は公知である。また、持続気道陽圧(CPAP)又は患者の呼吸周期により変化する2段階(バイレベル)圧力若しくは監視する患者の状態により変化する自動タイトレーション(滴定)圧力等の可変気道圧力を付与することは公知である。代表的な圧力支援治療法は、睡眠無呼吸症候群、特に閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)、鬱血性心不全等の医療疾患を治療するために提供される。
【0004】
非侵襲的換気法及び圧力支援治療法では、通常マスク緩衝体を支持する剛性枠体を有する鼻マスク又は鼻/口マスクである患者界面装置を患者の顔面上に配置し、人工呼吸器又は圧力支援装置を患者の気道に連結して、呼吸気体流を圧力/流れ発生装置から患者の気道に供給することができる。患者の頭部上に配置されかつ上部帯紐、即ち上部ストラップ及び下部帯紐、即ち下方ストラップを有するヘッドギアにより、患者の顔面にマスクを保持し、マスクの両側部及び頂部に設けられる連結部材に上部ストラップ及び下部ストラップの各両端部を挿通する構造は公知である。
【0005】
通常、患者の顔面に対して十分に気密の密封構造を形成して不快感なくヘッドギアによりマスクを維持し、マスクを長時間着用できることが重要である。例えば、閉塞性睡眠無呼吸を治療する持続気道陽圧を供給する際に、患者は、通常、睡眠中に一晩中患者界面装置を着用する。前記状態での1つの問題は、使用者に患者界面装置を確実に支持するため、睡眠中に患者が動いても、マスクが移動しないことである。別の問題は、使用者は、マスクによる息苦しさに慣れず、使用者が感ずる閉所恐怖症の感覚を最小限に低減できないことである。これらの問題を解決しなければ、患者は、患者界面装置の着用を拒否し、処方された圧力支援治療の目的を達成できない問題が生ずる。不快感なく患者の顔面に対して十分に気密の密封構造を形成する界面材装置を提供することも重要である。
【0006】
下記特許文献1は、鼻部材を備える患者に呼吸用気体を供給する装置を示し、鼻部材は、患者の口の両側で鼻部材の下方角部から延伸しかつ患者の顎の前方部に直接配置される横軸筒状部材に互いに接続される2つの管を有する。横軸筒状部材は、下顎の前方部に又は下顎の前方部の上方に配置される。顎を構成する下顎の前方部の突出部の説明に、用語「オトガイ隆起」を使用する。この用語は、骨の一部を指称するが、骨及び骨を被覆する皮膚の全組織を定義するものとして、本願明細書中に使用する。従って、特許文献1に示される装置は、オトガイ隆起直上に配置される。
【特許文献1】米国特許第2,241,535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示されるマスク組立体は、例えば、患者の目の付近を避けて、界面材の主要部を配置することにより、上記問題のいくつかを解決できるが、鼻部材を支持する安定な基盤を備えない。従って、これらの問題を完全に解決するマスクの必要性が依然として存続する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な実施の形態は、患者界面装置組立体及び前記患者界面装置組立体を組み込みかつ患者に気体流を供給する装置及び方法を包含する。
【0009】
本発明による患者界面装置組立体は、顎支持体に連結される患者界面部材を備える。一実施の形態では、可撓性でかつ中空の空洞を有する支持体により形成される顎支持体は、患者界面材の両側部から患者の頬の前面で下方に湾曲して、患者の口の外周を周って患者の顎の下方まで延伸する。詳細には、顎支持体は、顎のオトガイ隆起の下方又は後方の位置まで延伸する。顎支持体は、患者の顔面の外形に沿って緊密に形成され、患者の肌に直接接触する。
【0010】
顎支持体の中空構造により、圧力発生装置からの圧力を使用してマスク組立体は、膨張することができる。環状構造により、顎支持体の一方を閉塞しても、患者は、顎支持体の反対側の非閉塞側部からなお治療を受けることができる。睡眠時に患者がマスク組立体上に寝返りを打ったとき、顎支持体の可撓性軟質構造により殆ど不快感を生じない。また、マスク組立体は、視界の障害物を排除して、着用者は、眼鏡を使用することができる。
【0011】
マスク組立体のユニット(モジュール又は構成単位)構造により、鼻孔部材、鼻マスク、口マスク及び鼻/口マスク等の種々の異なる患者界面材を使用することができる。オトガイ隆起の下方又は後方で患者の顎に接触して支持する顎マスクの環状構造により、付加的な額支持体を使用せずに、支持力と安定性とを増大させることができる。顎マスクと患者界面材との間の回転可能な連結部により、患者に対して最も快適かつ効果的な位置に患者界面材を配置し、漏洩の防止を助長することができる。また、顎支持体は、口閉鎖状態の保持を助長し、睡眠時に口を開く口呼吸の発生率を低減するものである。軟質可撓性構造により、顔に髭のある患者にも界面装置組立体を適応できる性能を付与する。
【0012】
本発明の他の実施の形態では、患者界面装置組立体は、患者界面材に流体連結される患者界面材及び顎支持体を備える。回転可能な連結部は、患者界面材と顎支持体とを回転可能に接続する。これにより、患者は、最高の快適さ及びシステム性能に、患者界面材の位置を制御する機能を得ることができる。
【0013】
本発明の更に他の実施の形態は、患者界面材と、患者界面材に連結される顎支持組立体とを備える患者界面装置組立体を提供することを企図する。顎支持体の一部は、患者の下顎の下に配置されるように設計される。更に、患者界面材と顎支持体とに導管が連結される。患者界面装置組立体の前記形状により、顎支持組立体の様々に異なる形態を可能にし、各患者に最適な構造又は形状を提供できる。
【0014】
本発明の特徴及び特性、構造を構成する関連要素の操作法及び機能並びに製造の経済性は、全て本明細書の一部であり、種々の図面で対応する部品を同一の符号で示す添付図面に関する下記の記載及び特許請求の範囲の記載から明らかとなろう。しかしながら、図面は、図示及び説明の目的に過ぎず、発明の範囲を制限するものではないことを明確に理解できよう。明細書及び特許請求の範囲に使用するように、別途明記しない限り、「a」、「an」及び「the」の単数形は、複数の表示を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜図6に示す本発明の第1の実施の形態による患者界面装置組立体10は、顎支持体14に回転可能に流体連結される患者界面材12を備える。患者界面装置組立体10は、患者の気道と圧力発生装置16との間で呼吸用気体流を連絡し、例えば、人工呼吸器、持続気道陽圧(CPAP)装置又は可変圧力装置、即ち、アメリカ合衆国ペンシルベニア州マリーズビルに所在のレスピロニクス社が製造及び販売するオートタイトレーティング装置、比例補助換気(PAV)装置、比例気道陽圧(PPAP)装置、C-Flex装置、Bi-Flex装置又はBiPAP(登録商標)装置等の可変圧力装置である。
【0016】
軟質樹脂(プラスチック)化合物により形成される中空空洞を有する支持体により顎支持体14を形成するのが好ましく、顎支持体14は、患者界面材12の両側部から患者の頬の正面で下方に湾曲して、患者の口の外周を周って患者の顎(下顎、オトガイ)の下方まで延伸する。詳細には、顎支持体14は、顎のオトガイ隆起の下方位置又は後方位置まで延伸する。顎支持体14は、患者の顔面の外形に沿って緊密に形成され、患者の肌に直接接触する。顎支持体14は、顎のオトガイ隆起の下方位置又は後方位置付近に配置される旋回口部材18を更に備え、旋回口部材18は、圧力発生装置16に接続される導管20に回転可能に流体接続される。
【0017】
軟質樹脂化合物により顎支持体14を形成できることを前記に強調したが、他の材料を使用して顎支持体14を形成することを本発明が企図することは、理解されよう。即ち、樹脂か否かに無関係に、全ての半剛性材料又は剛性材料を使用して、顎支持体14を形成することができる。例えば、シリコーン(ケイ素樹脂)により顎支持体14を形成できる。必要に応じて、何らかの従来の剛性のある材料を使用してシリコーンを補強し、必要箇所で剛性を増大することができる。
【0018】
導管20は、通常可撓性の導管であり、一般に患者回路と呼ばれる。圧力発生装置16、患者回路20及び患者界面装置組立体10を組み合せて、患者に気体を供給する圧力支援装置が形成される。本発明は、従来の圧力支援装置に通常設けられる全ての特徴、要素又は作用を本発明の圧力支援装置に付与することを企図する。例えば、導管20は、単一アーム回路又は二対アーム回路である。加湿機、圧力センサ、流量センサ、温度センサ、湿度センサ又は細菌濾過器等の付属品を本発明の患者界面装置組立体10及び圧力支援装置に使用することができる。
【0019】
患者界面材12は、患者界面材12の両側に設けられる回転可能な連結部22により回転可能に顎支持体14に流体接続される。図4及び図6に示す本発明の例示的な実施の形態では、回転可能な連結部22は、比較的硬質でかつ剛性のある2片(ツーピース)の樹脂製部材である。回転可能な連結部22は、一端にフランジ26を有する中空の円筒状部材24を備える。患者界面材12に形成されるフランジ収容連結部28内にフランジ26を収容することができる。円筒状部材24の他端に連結される回転可能なフランジ30を顎支持体14のフランジ収容連結部32内に収容することができる。円筒状部材24に設けられる比較的小型のフランジ33は、フランジ30と円筒状部材24とを相対的に回転可能にフランジ30を円筒状部材24上に保持する。このように、患者界面材12に連結される顎支持体14の各端部も患者界面材12に対して回転可能である。
【0020】
図5に示すように、旋回口部材18は、導管20のフランジ36を収容するフランジ収容連結部34を備えるか又は導管20と顎支持体14との間を回転可能に連結する連結部材を備える。患者界面材12及び導管20に顎支持体14を回転可能に連結する他の構造及び技術を本発明が企図することは、理解されよう。例えば、顎支持体14と患者界面材12との間で連結部22の代わりに、導管20に顎支持体14を取り付けるフランジとフランジ連結技術とを使用でき、その逆でも使用することができる。
【0021】
本発明は、前記連結構造の何れか又は両方を回転不能な連結構造にできることも企図する。しかしながら、好適な実施の形態では、前記連結構造の各々は、回転可能であり、顎支持体14に対して不連続的に分離する位置又は不特定多数の連続的な位置に患者界面材12を調節することができる。顎支持体14に対して患者界面材12を分離する不連続な位置に配置する連結構造の例を以下説明する。
【0022】
患者界面装置組立体10を患者の頭部の適当な位置に保持する調節可能なヘッドストラップ38は、患者界面材12の両側の顎支持体14の接続部材40に取り付けることができる。患者界面材12を患者に固定する図示の構造に加えて又はこれに代えて、他の接続部材及び他のヘッドストラップを使用できることは、理解されよう。
【0023】
患者界面装置組立体10のユニット構造により、種々の患者界面材12を使用して、患者界面装置組立体10を患者の気道に連結することができる。前記患者界面材12の他の例には、鼻孔界面材、鼻マスク及び鼻/口マスクが含まれる。図1〜図6は、患者界面装置組立体10と併用される鼻孔界面材を示す。本実施の形態では、図3に明示するように、患者界面材12は、離間する一対の鼻孔部材42を支持するほぼ円筒状の支持部材46を備える。各鼻孔部材42は、患者の鼻腔を円筒状支持部材46の内部、即ち顎支持体14の内部に連絡する開口部44を有する。また、前記のように、円筒状支持部材46の各端部は、フランジ収容連結部28を備える。
【0024】
患者界面装置組立体47の第2の実施の形態を図7及び図8に示す。鼻孔界面材の代わりの患者界面材12として鼻マスク48を使用する点を除き、第2の実施の形態は、第1の実施の形態にほぼ類似する。鼻マスク48は、少なくとも患者の鼻の一部を被覆する殻、密封体又は緩衝体を備える。回転可能に連結する前記技術を含む何らかの従来法により、鼻マスク48の下隅部は、顎支持体14に接続される。顎支持体14及び鼻マスク48の両方に接続される付加的な取付部材50を使用して、ヘッドストラップ38は、患者界面装置組立体47に取り付けられる。顎支持体14及び鼻マスク48に取付部材50を軸着し又は移動可能に接続して、快適に患者に適合するように、それらを移動し又は屈曲できることが好ましい。剛性、半剛性又は可撓性の何れかを取付部材50に付与することができる。
【0025】
患者界面装置組立体に使用する適切な患者界面材の別の実施の形態を図9〜図18Bに示す。前記実施の形態の各々に示す患者界面材は、前記顎支持体に取り付けられる。例えば、各患者界面材の実施の形態は、各患者界面材を顎支持体に対して回転できるように、前記のように、一対の回転可能な連結部からフランジを受け取る一対のフランジ収容連結部を備える。
【0026】
図9A及び図9Bに示す患者界面材60は、導管62及び一対の鼻孔緩衝材(クッション)64を備える。導管62は、例えば、剛性のある樹脂製構造が好ましく、鼻孔緩衝材64は、例えば、ゲル、発泡体、シリコーン又は軟質ゴム製の軟質構造が好ましい。鼻孔緩衝材64は、導管62に形成される開口部65に着脱可能に取り付けられる。この目的で、導管62内に挿入する鼻孔緩衝材64の端部に小型フランジが設けられる。
【0027】
患者に接触する鼻孔緩衝材64の端部は、キノコ形状に形成され、比較的大型のフランジ66は、鼻孔を囲む患者の鼻領域に接触する。フランジ66は、患者の外部に配置される。鼻孔緩衝材64を貫通して形成される流路68は、患者の気道と導管の内部との間で気体を連絡する。
【0028】
図10A及び図10Bに示す患者界面材70は、導管62を使用するが、一対の鼻孔緩衝材72に異なる形状を有する。鼻孔緩衝材72は、ほぼ風船状又は球根状に形成され、鼻孔緩衝材72の丸形端部74は、各鼻孔周辺で使用者の鼻の下面上に配置される。前記実施の形態と同様に、導管62に鼻孔緩衝材72を連結するフランジ76が各鼻孔緩衝材72の対向端部に設けられる。鼻孔緩衝材72を貫通して形成される流路78は、患者の気道と導管62の内部との間で気体を連絡する。
【0029】
図11Aに示す患者界面材80は、導管82と、導管82から延伸する一対の突起84とを備える。導管82と一体に突起84を成型するのが好ましい。例えば、本発明は、シリコーンにより患者界面材80全体を成型する単一部材であることを企図する。使用者の鼻孔に挿入される突起84は、互いに向かって傾斜する角度で導管82から延伸する。図11Aに示す実施の形態では、比較的大型の楕円体に形成される開口部86を各突起84に形成する切欠部が各突起84の壁に形成される。突起84'の壁が前記切欠部を備えない点を除き、図11Bに示す患者界面材80'は、図11Aに示す患者界面材80と同様に構成される。その結果、鼻孔内部又は導管82'に連絡する突起84'の開口部88'は、非常に小さな楕円体に形成され、主に突起84'の末端部に設けられる。
【0030】
図12Aに示す患者界面材90は、突起92の形態を除き、図11A及び図11Bについて説明した患者界面材80,80'と同様である。図12Aに示す実施の形態では、導管82に設けられる各突起92は、突起92の長さに沿って突起92の周辺部に形成されるフランジ94を備える。突起84,84'とほぼ同様の形状で突起92と一体にフランジ94を成型するのが好ましい。フランジ94の目的は、使用者の鼻孔への突起92のを容易に封止することにある。各突起92の末端部に形成される開口部96は、気体を導管82の内部に連絡する。
【0031】
突起92'の壁が非常に短くかつ互いに向かって傾斜する必要がない点を除き、図12Bに示す患者界面材90'は、図12Aに示す患者界面材90と同様に構成される。また、広い封止領域を備えて各突起92'に設けられるフランジ94'は、図12Aのフランジ94よりも非常に大きい。
【0032】
ほぼ環状形状で単一のフランジ94,94'を図12A及び図12Bに示すが、本発明が各突起92,92'に多数のフランジ94,94'の設置を企図することは、理解されよう。また、本発明は、人間の鼻孔の輪郭により良好に適合するフランジ94,94'の形状と寸法とを決定することを企図する。実際、これらの図に示すように、ほぼ標準的な円筒状形状を使用せずに、人間の鼻孔の輪郭により良好に適合する外形に突起92,92'の形状を形成することもできる。
【0033】
図13A及び図13Bは、それぞれ鼻孔緩衝材型の患者界面材として患者界面材100及び100'を示す。患者界面材100は、導管102を備える。一対の突起84,84',92,92'又は鼻孔緩衝材64,72の代わりに、一対の鼻孔係合部104が導管102に直接形成される。鼻孔係合部104は、導管102に形成される一対の球根状領域であり、鼻孔係合部104の間に谷間領域106が設けられる。図13Aと図13Bに示す患者界面材100と100'との主な差異は、球根状領域間の谷間領域106の深さである。前記実施の形態のように、患者の鼻孔と導管102'の内部との間で気体を連絡する開口部108が鼻孔係合部104に形成される。
【0034】
図14A及び図14Bは、それぞれ図1の患者界面装置組立体10への使用に適切な更に別の患者界面材110の正面図及び背面図である。患者界面材110は、開口部114を有するフラップ(耳)部112と、顎支持体14に連結される端部116とを備える。フラップ部112は、使用時に使用者の鼻の下に取り付けられ、両鼻孔が開口部114内に配置される。図示の実施の形態では、人間の鼻の下側にほぼ適合する開口部114の形状とフラップ部112の外形が決定される。これにより、快適性及び取付性が改善される。シリコーン等の単一材料によりフラップ部112及び端部116を形成するのが好ましい。
【0035】
図15A及び図15Bは、それぞれ図1の患者界面装置組立体10への使用に適する患者界面材120の別の実施の形態の正面図及び背面図である。両鼻孔を配置する比較的大きな単一の開口部114の代わりに、患者の鼻孔と患者界面材120の内部との間で気体を連絡する一対の開口部122を患者界面材120に設ける点を除き、患者界面材120は、図14A及び図14Bの患者界面材110に類似する。導管部127に設けられたフラップ部126上に密封面124が形成される。密封面124に開口部122が設けられる。好適な実施の形態では、密封面124上に突出部128が設けられ、突出部128の頂部に開口部122が設けられる。人間の鼻孔の形状にほぼ対応する形状に突出部128を形成して、患者界面材120を鼻に配置するときに、各鼻孔で良好に気密性が保持される。前記実施の形態と同様に、顎支持体14に連結されるフラップ部126、密封面124及び端部128をシリコーン等の単一材料により形成するのが好ましい。
【0036】
図16A及び図16Bは、突出部128'及び開口122'の全体的な形状及び大きさを除き、患者界面材120に類似する患者界面材120'を示す。患者界面材120'は、使用者の鼻を包囲するフラップ部(図15A及び図15Bの符号126)も備えない。
【0037】
図17A及び図17Bは、図1の患者界面装置組立体10への使用に適する患者界面材130の更に別の実施の形態を示す。患者界面材130は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州マリーズビル所在レスピロニクス社により製造され、米国特許第5,724,965号に開示されるモナーク(蝶)型界面材と同様である。患者界面材130は、鼻孔を包囲する緩衝体又は密封体とも呼ばれる患者接触部132を備える。患者の気道と患者界面材130の内部との間で気体を連絡する開口部134が緩衝体に設けられる。顎支持体14に患者界面材130を連結する端部138を備えた支持体136に患者接触部132が連結される。患者接触部132及び支持体136は、患者の鼻の下側に対応する角度に傾斜する。また、支持体136に着脱可能に患者接触部132を連結するのが好ましい。例えば、米国特許第5,724,965号に開示されるように、各鼻孔に対して別の開口部を備える等の患者界面材の他の変更も本発明が企図することは、理解されよう。
【0038】
図18A及び図18Bは、図1の患者界面装置組立体10への使用に適する患者界面材140の更に他の実施の形態を示す。患者界面材140は、図7及び図8の患者界面材48と同様である。患者界面材140は、鼻の少なくとも一部を密閉する鼻マスク48型の患者界面材である。患者界面材140は、開口部144内に鼻を挿入することにより、患者の鼻の少なくとも一部を被覆する殻、密封体又は緩衝体142を備える。下方角部146は、前記回転可能な連結技術を備える何らかの従来方式の顎支持体14に接続される。この例示的な実施の形態では、シリコーン又はゴム等の単一材料により患者界面装置組立体10全体が形成される。
【0039】
図19〜図26は、本発明の原理による患者界面装置組立体160の第3の実施の形態を示す。図1〜図5について説明した顎支持体14と同様に、患者界面装置組立体160は、顎支持体164に回転可能に流体連結される患者界面材162を備える。顎支持体164は、患者接触部166と、患者回路連結口170から患者界面材162への気体流連絡に適する中空管を形成する外側部168とを備える。シリコーン等の軟質材料により患者接触部166を形成しかつ/又は患者接触部166上に軟質の患者接触物質を配置して、患者と患者界面装置組立体160との間での接触の快適さを最大にできることが好ましい。
【0040】
例えば、本発明は、着脱可能な発泡体又は布製のスリッポン式のカバー(図示せず)を患者接触部166上に設けることを企図する。スリッポン式のカバーは、下記利点を備える。(1)患者接触部166下の患者の皮膚に「呼吸」をさせ、(2)患者から湿気を吸収し、(3)特に周期的にカバーを新しいものに取り替えるか又は洗濯する場合に、より長期間顎支持体164の清潔を維持する。
【0041】
顎支持体164の開口部172内に患者の顎を収容するように構成され、患者回路連結口170に近接する顎支持体164の一部は、下顎の下に配置され下顎に支持される。この形態により、患者界面装置組立体160を比較的確実に患者に取り付けることができる。患者接触部166の比較的幅広な領域も、患者への患者界面装置組立体160の取付安定性を向上する。
【0042】
また、顎支持体164は、ヘッドギア取付部材176を取り付ける接続部174を備える。好適かつ例示的な実施の形態では、顎支持体164の各脚部に顎支持体164と一体に接続部174が形成される。しかしながら、何らかの従来法により顎支持体164に取り付けられる別体構造に接続部174を構成できることは、理解されよう。
【0043】
例示的な図示の実施の形態では、各ヘッドギア取付部材176に多数の取付開口部180を設け、ヘッドギア取付部材176に設けられたフランジ182を取付開口部180内に取り付けることにより、ヘッドギア取付部材176をこれらの取付開口部180の1つに取り付けることができる。図19の矢印Aに示すように、ヘッドギア取付部材176は、この構造により、接続部174に対して旋回又は回転できる。多数の取付開口部180は、ヘッドギア取付部材176を通じて顎支持体164にヘッドギアを取り付ける位置を調節する機能を備える。ヘッドギアストラップを挿入するスロットが各ヘッドギア取付部材176に設けられる。本発明は、ヘッドギア取付部材176に開口部を設け、接続部174の多数の突出部又はフランジをヘッドギア取付部材176の開口部内に取り付けることも企図する。
【0044】
従来の導管又は患者回路(図示せず)に取り付けられかつ圧力発生装置16から顎支持体164の内部に気流を連絡する患者回路連結部184を患者回路連結口170に嵌合可能に患者回路連結口170が構成される。使用時に、顎のオトガイ隆起の下方位置又は後方位置付近に患者回路連結口170が配置される。患者回路連結部184は、スリーブ186及びエルボ188を備える。図23の矢印Bにより示すように、エルボ188の第1の端部にスリーブ186を回転可能に取り付けるのが好ましい。患者回路20は、スリーブ188に取り付けられる。エルボ188の第2端部は、患者回路連結口170の開口部190に挿入される。
【0045】
エルボ188を患者回路連結口170に連結する取付構造体が備えられる。本発明の好適な実施の形態では、この取付構造体により、顎支持体164に対するエルボ188の回転又は旋回が可能になるが、図19の矢印Cで示すように、エルボ188と顎支持体164との間に迅速な取付分離機能も付与することができる。これにより、患者が圧力発生装置16から患者界面装置組立体160全体を分離することができる。例えば、患者が夜中にベッドから短時間離れる必要があるとき及び患者の頭部から患者界面装置組立体160全体を取り外さずにヘッドギアの再調整が必要なときに、これは、重要である。
【0046】
例示的な図示の実施の形態では、各取付アーム192のほぼ中央に配置される取付支持体を介して、エルボ188に一対の取付アーム192を取り付けて、エルボ188と顎支持体164との間に回転及び着脱可能な連結を与えることができる。患者回路連結口170に設けられる流路194内に挿入される突起部(図示せず)が取付アーム192の第1の端部193に設けられる。流路194は、患者回路連結口170の周囲に延伸し、突起部が流路194に沿って摺動することにより、エルボ188は、顎支持体164に対して360°の角度範囲で回転することができる。勿論、流路194の長さに依存して、エルボ188を狭い角度範囲で回転させることもできる。
【0047】
エルボ188を顎支持体164に取り付けたときに、取付アーム192を付勢することにより、突起部の流路19への係合が保持される。取付アーム192の構成に使用される材料により取付アーム192の付勢を実施できかつ/又は取付アーム192に連結された弾性体等の専用の付勢装置により実施できる。取付アーム192の端部196を押圧することにより、突起部がエルボ188の中心軸から外側に偏向して、突起部が流路194から分離する。同様の方法により、流路194に突起部を取り付けることができる。本発明の前記特徴に他の技術を使用してもよいことは、理解できよう。
【0048】
図1〜図5に示す実施の形態のように、患者界面材162は、顎支持体164に連結されて、図19の矢印Dに示すように、顎支持体164に対して回転可能である。患者界面材162は、緩衝体200を支持する比較的剛性を有する殻198を備える。ポリカーボネート等の剛性のある樹脂により形成するのが好ましい殻198は、顎支持体164から患者界面材162まで気体流を連絡する導管201を取り付ける端部199を備える。殻198に形成される溝202は、さねはぎ法(縁部と溝との係合)により緩衝体200の縁204を収容する。緩衝体200は、殻198に取り付けられるフラップ205を備える。殻198に緩衝体200を取り付けるために、止め輪(リテーニングリング)又は固定爪(ロッキングタブ)等の他の技術を使用することを本発明が企図することは、理解されよう。
【0049】
緩衝体200は、顔面の鼻を包囲する領域等の患者の一部に接触するように構成され、鼻等の患者の一部は、殻198及び緩衝体200内に形成される空洞部内に収容される。緩衝体200は、シリコーン、発泡体、ゴム、ゲル等のこの目的に適する何らかの材料又は何らかの他の従来の緩衝材料若しくはその材料の組み合せにより形成される。ほぼ三角形に形成される緩衝体200は、患者の鼻の中央部に配置される頂部206を有する。頂部206の反対側の緩衝体200の端部は、患者の鼻下の領域に配置される切欠部208を備える。
【0050】
排気口部材210は、患者界面材162の各側部に接続される。ポリカーボネート等の剛性プラスチックにより排気口部材210を形成するのが好ましい。排気口部材210に設けられる多数の排気口又は開口部は、患者界面装置組立体160から排気気体流を排出することができる。図26に示すように、殻198に形成される溝216に挿入される係合爪212を排気口部材210に設けるのが好ましい。溝216は、ラチェット(歯止め)法により係合爪212に係合する多数の歯214を備え、多数の顎支持体164に対して分離する不連続な位置の1つに、患者界面材162の位置を設定することができる。
【0051】
図22に示すように、本発明は、患者接触部166と外側部168との2つの片部を接合して、顎支持体164を形成することを企図する。外側部168に形成される溝218に挿入される突出部(図示せず)は、患者接触部166の縁220に沿って設けられる。接着、溶接、摩擦接合又は結合等の何らかの従来技術を使用する固着法により2つの片部を接合できる。患者接触部166の端部222は、排気口部材210に取り付けられ、患者接触部166の縁220は、排気口部材210に設けられる収容溝224に整合する。従って、排気口部材210の背面は、患者接触部166の端部222により形成される。患者回路連結口170から患者界面材162まで気体を搬送する空洞226は、顎支持体164の2つの片部により形成される。
【0052】
顎支持体164の2つの片部に同一の構造的特性又は特徴を付与する必要のないことを本発明が企図することに留意すべきである。即ち、患者接触部166及び外側部168は、異なる材料により形成されるか又は軟度若しくは硬度の異なる等の相違する特性を有する同一の材料により形成される。例えば、外側部168及び患者接触部166を両方とも軟質材料で形成し、一方を軟質としかつ他方を比較的硬質とし又は両方とも比較的硬質とすることができる。後者の場合、患者接触部166を覆う付加的なカバー又は他の要素を着脱可能に又は恒久的に備え、患者の快適性を良好にしてもよい。本発明の例示的な実施の形態では、外側部168は、排気口部材210及び/又は患者界面材162、患者回路連結部184を支持する比較的高い剛性を有し、患者接触部166は、患者に接触する快適な表面を備える比較的軟質の部材であり、患者の表面に対して少さな外形を有する。患者回路連結部184及び患者接触部166を正確に顎支持体164全体の片側半分にする必要のないことにも留意すべきである。更に、これらの対の部材の一方を他方より大きい顎支持体164の部分を形成してもよい。
【0053】
図27〜図29は、顎支持体164'に取り付ける患者界面材230の構造を除き、患者界面装置組立体160と同様の患者界面装置組立体160'を示す。従って、患者界面材230の構造に重点を置いて患者界面装置組立体160'を説明する。
【0054】
図28A〜図29に最も良好に示すように、患者界面材230は、殻234に取り付けられる緩衝体232を備える。例示的な図示の実施の形態では、殻234に形成される溝236に緩衝体232の縁を挿入することにより、殻234に緩衝体232が取り付けられる。例えば、摩擦接合、接着、殻234と緩衝体232との二段階成型(ツーショットモールディング)又は他の従来技術を用いた何らかの従来法により、緩衝体232の縁が溝236に固定される。
【0055】
緩衝体232は、顔面の鼻を囲む領域等の患者の一部に接触し、殻234及び緩衝体232に形成される空洞部238内に鼻等の患者の一部が収容される。緩衝体232は、シリコーン、発泡体、ゴム、ゲル等のこの目的に適する何らかの材料又は何らかの他の従来の緩衝材料若しくはその材料の組み合せにより形成される。緩衝体232は、ほぼ三角形に形成され、患者の鼻の中央部に配置される頂部240を有し、患者の鼻上に被着される凹状に形成される。
【0056】
緩衝体232に開口部242が形成される。患者の鼻は、開口部242に挿入される。頂部240に対向する緩衝体232の端部は、患者の鼻の下の領域に配置される切欠部244を備える。符号246に全般的に示すように、緩衝体232の凹状形状は、切欠部244により緩衝体232自体が折り重なる折返し構造を備えることが理解できよう。この折返し構造は、患者と患者界面材との間で気体の漏洩を防止して良好に密封する機能を緩衝体232に付与し、患者に接触する部分の快適さを増大すると考えられる。
【0057】
図19〜図29に示す患者界面装置組立体160,160'は、異なる患者界面材162,230を同一の顎支持構造に使用できる効果がある点にも留意すべきである。これにより、共通の顎支持体164,164'を仕入れて、保健管理の在庫費用を回避し、顎支持体164,164'に取り付けられる患者界面装置162,230の広い選択範囲を患者に与え、患者に対する患者界面構造の任意の選択肢を最大にすることができる。図19〜図29に示す患者界面装置組立体160,160'の別の変形実施の形態では、下顎の下に配置される顎支持体164,164'の部分を使用者の額上に配置して、患者が反転して着用することができる。これにより、使用者がこの形態を要求すれば、患者回路20に対して患者界面材162,230を180°回転する機能を提供することが可能である。
【0058】
図30及び図31は、本発明の原理による患者界面装置組立体250の第4の実施の形態を示す。患者界面装置組立体250は、顎支持体254に連結される患者界面材252を備える。患者界面装置組立体250からの気体流を排気する多数の開口部を備えた排気口部材256により、本願明細書に説明する何れかの患者界面材に相当する患者界面材252を顎支持体254に回転可能に連結するのが好ましい。
【0059】
顎支持体254は、排気口部材256等の顎支持体254の他の部材を取り付ける支持部材258を備える。患者界面装置組立体250の構成要素を支持できる剛性又は半剛性を支持部材258に付与するのが好ましい。シリコーン等の軟質材料又は軟質の患者接触物質により支持部材258の患者接触側を形成して、患者と患者界面装置組立体250との間に最大の快適な接触構造を設けることが好ましい。
【0060】
支持部材258に形成される患者回路連結部262は、導管260を介して排気口部材256に連結される。好適な実施の形態では、導管260は、患者界面装置組立体250の残りの構成要素に着脱可能に連結される。患者回路連結部262は、患者回路連結口264を通じて患者回路20に導管260を連結し、患者回路20は、顎支持体254に対して回転することができる。
【0061】
本発明の原理による患者界面装置組立体270の第5の実施の形態を図32及び図33に示す。患者界面装置組立体270は、患者界面材272及び顎支持組立体274を備える。患者界面材272は、緩衝体276及び緩衝支持体278を備える。緩衝支持体278は、緩衝体276を取り付ける緩衝体取付部280と、患者回路20を取り付ける患者回路連結口284を含む中空アーム282とを備える。図示の実施の形態では、エルボ連結部286は、患者回路連結口284に患者回路20を接続する。例示的な実施の形態では、エルボ連結部286は、回転可能に患者回路連結口284に軸着される。何らかの適切な連結技術を使用して、中空アーム282に患者回路20を接続することを本発明が企図するは、理解されよう。患者回路20及びエルボ連結部286を介しかつ中空アーム282の中空内部を通じて、圧力発生装置16からの気体は、緩衝体276により形成される空洞部に供給される。
【0062】
中空アーム282は、排気部材288も備える。排気部材288は、患者界面装置組立体270から周囲大気に気体を排出する多数の開口部を備える。緩衝支持体278の緩衝体取付部280には、ヘッドギア取付部材290が設けられる。例示的な図示の実施の形態では、ヘッドギア取付部材290は、ヘッドギアストラップ292に取り付けられるボール部を収容するソケットであり、球関節構造を形成する。前記球関節構造は、例えば、係属中でかつ公開される米国出願第10/629,366号(米国公開2004−0025883号)に開示され、その内容は、本願明細書の一部を構成する。緩衝支持体278にヘッドギアストラップ292を取り付ける何らかの従来構造も本発明が企図することは、理解されよう。
【0063】
図示の実施の形態では、緩衝体276は、鼻マスク型界面材であり、患者の鼻の下面に当接して配置される。鼻マスク型界面材は、全般的に符号294で示すヘッドギアにより適所に保持される。発泡体、シリコーン、ゴム、ゲル又は何れかの組み合わせ等の何らかの適切な材料により形成される緩衝体276を緩衝支持体278に着脱可能に設けて、緩衝体276を洗浄できるか又は単一寸法の緩衝支持体278に異なる寸法の緩衝体276を使用できることが好ましい。例示的な図示の実施の形態のように、顎支持アーム293及び顎支持ブランケット295を備えるほぼT形状に顎支持組立体274が形成される。顎支持ブランケット295は、顎パッド296を支持する実質的に剛性のある部材である。顎支持組立体274は、かつ顎支持ブランケット295に設けられてヘッドギアストラップ292を顎支持組立体274に選択的に取り付けられるヘッドギア取付部材290に類似するヘッドギア取付部材298を備える。顎支持組立体274にヘッドギアストラップ292を取り付ける何らかの従来の接続組立体を使用することを本発明が企図することは、理解されよう。何らかの適切な形態を有しかつ使用者への接触に適する何らかの材料により顎パッド296を形成することができる。
【0064】
中空アーム282に顎支持アーム293を調節可能に連結して、顎支持組立体274を緩衝支持体278に対して調節可能に設けることができる。中空アーム282と顎支持アーム293とを弓形状に形成して、矢印Eで示すように、中空アーム282及び顎支持アーム293の中心軸又は湾曲面に沿って顎支持組立体274を移動し、患者の異なるサイズ、形状及び要求される快適さに対応して患者界面装置272を調節できることが好ましい。この調節構造により、患者は、患者界面装置272を調節して、漏洩及び顔面の特定領域への圧力を最小にすることができる。何らかの従来法により中空アーム282に顎支持アーム293を取付けて、種々の技術の何れか1つを使用して、2つのアーム282,293の相対的な位置を制御することができる。例えば、本発明は、中空アーム282と顎支持アーム293との間に摺動摩擦係合構造とを設けることを企図する。勿論、ラチェット機構を使用して、アーム282,293間の相対的な位置を制御することができる。また、固定ピン又はネジを使用して2つのアーム282,293の相対的な位置を設定することができる。
【0065】
摺動回転装置を介して、顎支持アーム293の端部に顎支持ブランケット295を調節可能に接続できる。即ち、顎支持アーム293に対して顎支持ブランケット295を摺動させかつ回転させることができる。顎支持ブランケット295の前記構造により、緩衝支持体278に対して顎支持ブランケット295を3つの独立する位置に調節できることは、理解されよう。第1に、矢印Eにより示すように、顎支持ブランケット295を長手方向に移動できる。第2に、矢印Fにより示すように、顎支持ブランケット295を摺動方向に移動できる。最後に、矢印Gにより示すように、顎支持ブランケット295を中心軸周りに旋回することができる。
【0066】
本発明は、患者界面装置272に使用できるヘッドギア294を何らかの適切なヘッドギア、即ち、患者界面装置の分野で使用される何らかの従来のヘッドギアであることを企図する。例えば、通常のヘッドギア組立体は、患者の頭蓋部分に被着される頭部材299と、頭部材299から延伸する一対の下側ヘッドギアストラップ292及び一対の上側ヘッドギアストラップ292とを備え、鼻マスク型界面材にヘッドギア294を調節可能に接続する。
【0067】
患者界面装置組立体270の変形例として、患者界面装置組立体300の第6の実施の形態を図34に示す。患者界面装置組立体300は、患者界面材302及び顎支持組立体304を備える。本実施の形態では、患者界面材302は、緩衝体308を支持する殻306を備える。緩衝体308は、使用者の鼻、口又はその両方を包囲するほぼ三角形に形成される緩衝体である。緩衝体308は、何らかの従来の材料により形成され、何らかの従来法により殻306に取り付けられる。殻306は、回転可能な方式により殻306に患者回路20を連結する患者回路連結口310を備え、気体は、患者回路20から殻306及び緩衝体308により形成される空洞に、最終的には、患者の気道に連絡される。
【0068】
殻306は、上側延伸部312及び下側延伸部314を備える。好適な実施の形態では、上側延伸部312及び下側延伸部314は、殻306と一体に形成される。上側延伸部312は、上側ヘッドギアストラップ292を患者界面装置組立体300に取り付ける取付位置を備える。図示の実施の形態では、前記取付位置は、上側延伸部312に形成されるスロット(溝孔)316を備える。しかしながら、上側延伸部312に上側ヘッドギアストラップ292を取り付ける何らかの従来技術を使用できることは、理解されよう。
【0069】
顎支持アーム318は、下側延伸部314に連結され、矢印Hで示すように、顎支持アーム318は、弓形軌道に沿って下側延伸部314に対して摺動可能である。本実施の形態では、下側延伸部314内に顎支持アーム318の一部を収容すると共に、2つの構成要素である下側延伸部314及び顎支持アーム318は、同様の形状に形成されるめ、顎支持アーム318は、下側延伸部314内で摺動することができる。2つの構成要素の間の相対的な位置をラチェット法で制御できる多数の歯及び歯係合部材(図示せず)が支持アーム318及び下側延伸部314に設けられる。歯係合部材と歯とを分離する押しボタン320が支持アーム318に備えられる。また、押しボタン320は、スロット321内で摺動し、下側延伸部314に対する支持アーム318の移動の案内を補助する。案内スロット322が下側延伸部314の側部にも設けられ、支持アーム318上に備えられる案内部材324は、下側延伸部314に対する支持アーム318の移動を容易にする。
【0070】
顎支持ブランケット326は、支持アーム318に調節可能に連結され、顎パッド296は、顎支持ブランケット326の患者接触側に連結される。本実施の形態では、顎支持ブランケット326は、使用者の顎を収容するカップ状部材である。顎支持ブランケット326は、ヘッドギア取付部材290及びヘッドギア取付部材298と同様のヘッドギア取付部材298'を備え、顎支持組立体304にヘッドギアストラップ292を選択的に取り付けることができる。顎支持組立体304にヘッドギアストラップ292を取り付ける何らかの従来の接続組立体を使用することを本発明が企図することは、理解されよう。
【0071】
図32及び図33に示す実施の形態で実施できるように、顎支持ブランケット326は、摺動回転装置を通じて、支持アーム318の端部に調節可能に接続される。即ち、顎支持ブランケット326は、支持アーム318に対し摺動しかつ回転する両動作を行うことができる。顎支持ブランケット326の摺動回転構造により、患者界面材302に対して顎支持ブランケット326を3つの独立する位置で調節できることは、理解できよう。下側延伸部314と、支持アーム318及び顎支持ブランケット326等の下側延伸部314に連結される構成要素は、顎支持組立体304を構成する。
【0072】
患者界面装置組立体330の更に別の変形である患者界面装置組立体の第7の実施の形態を図35及び図36に示す。患者界面装置組立体330の顎支持組立体332を殻306'と一体に形成しない点を除き、患者界面装置組立体330は、患者界面装置組立体300とほぼ同様である。本実施の形態では、顎支持組立体332は、患者界面材302'に取り付けられる取付部材334を備える。下側延伸部314を顎支持アーム318に取り付ける方法とほぼ同一の方法により、取付部材334の下側延伸部335は、顎支持アーム318'に取り付けられる。
【0073】
取付部材334は、既存のマスクに対して改造でき、必要に応じて、顎支持組立体332を従来のマスクに取り付けられることが好ましい。例えば、図示の取付部材334は、取付部材334の上端部337に形成される開口部336を備える。顎支持組立体332は、患者界面材302'に形成される患者回路連結口310全体を覆って取り付けられ、患者回路20、エルボ連結部286又は他の気体搬送導管は、開口部336を通過することができる。
【0074】
必ずしも必要ではないが、本発明は、取付部材334にヘッドギア294を直接取り付けることを企図する。この目的に対し、取付部材334には、ヘッドギアストラップ292を取り付けるスロット338が設けられる。勿論、何らかの従来技術を使用して、ヘッドギア294を取付部材334に取り付けてもよい。取付部材334は、図示以外の形状、大きさ及び特徴を有してもよく、例えば、ソケット、スナップ(掛け金)、クラップ(留め金)、フック(鉤止め)等の他の型のヘッドギア取付部材を適用できることに留意すべきである。
【0075】
患者界面装置組立体330とほぼ同様の患者界面装置組立体340の第8の実施の形態を図37に示す。患者界面装置組立体340は、患者界面材302'の殻306'に取り付けられる取付部材342を備える。殻306'に回転可能に軸着するのが好ましい取付部材342は、取付部材342にヘッドギア294を取り付けるスロット338'等のヘッドギア取付部材を備える。取付部材334とは異なり、取付部材342は、患者回路連結口346を介して患者回路20に取り付けられる中空の下側延伸部344を備え、全般的に符号348により示される顎支持組立体の一部を形成する。
【0076】
前記実施の形態と同様に、顎支持組立体348は、下側延伸部344に対し摺動可能に連結される顎支持アーム318'を備える。連結口346に回転可能に患者回路20を取り付けるのが好ましい。本実施の形態では、患者の顔面のより低い位置に患者回路20の取付位置を移動して、患者界面材302'及び顎支持組立体348上に患者回路20に発生する全トルクを均一に分散することができる。
【0077】
本発明の原理による患者界面装置組立体350の第9の実施の形態を図38及び図39について説明する。異なる構造を使用して使用者の下顎上で患者界面装置組立体350を支持する点を除き、患者界面装置組立体350は、図1〜図5に示す患者界面装置組立体10とほぼ同様である。
【0078】
患者界面装置組立体350は、導管354に連結される患者界面材352を備える。本発明の好適な実施の形態では、患者界面材352は、導管354に対して回転可能に連結される鼻マスク又は鼻突起型界面材である。患者回路20を患者界面装置組立体350に連結する患者回路連結口356が導管354の端部に設けられる。この目的のために、本発明は、患者回路連結口356にエルボ連結部358を設けることを企図する。
【0079】
例示的な実施の形態では、導管354は、患者の顔の特徴に適合する角度に曲げることができる十分な可撓性を有するが、使用者の気道上で患者界面材352を支持する十分な構造一体性を保持する十分な剛性も有する。導管354を形成する材料及び/又は導管354に連結するか若しくは埋設されるワイヤー又はロッド等の個別に構成される強化部材により、導管354の構造一体性を与えることができる。本発明は、導管354全体を剛性に形成できることも企図する。
【0080】
患者界面材352を備える導管354は、全体を符号360により示す顎支持組立体とヘッドギア組立体362とにより患者に取り付けられ、顎支持組立体360及びヘッドギア組立体362の両方が取付部材364を介して導管354に接続される。顎支持組立体360は、布、発泡体又はエラストマ材料等の軟質の快適な材料により形成するのが好ましい顎ストラップ366及び顎係合部材368を備える。前記材料の例には、Lycra(登録商標、伸縮性ポリウレタン繊維)泡状積層体、ネオプレン(登録商標、ポリクロロプレン系合成ゴム)又はTPE(熱可塑性エラストマ)を含む。顎ストラップ366及び顎係合部材368は、同一材料により形成するか、互いに一体的に形成するか又は異なる材料により別々に形成することができる。
【0081】
ヘッドギア組立体362は、ヘッドギアストラップ370を備える。図39に示すように、ヘッドギア組立体362は、キャップ又は二股のストラップ等の患者の頭蓋部に被着される頭部材を備える。患者の頭部に患者界面装置組立体350を保持するヘッドギア組立体362として、何らかの従来構造又は取付技術を使用できることを本発明が企図することは、理解されよう。例えば、本発明は、ヘッドギアストラップ370の長さを調節できる機構を備えることを企図する。
【0082】
本発明の原理による患者界面装置組立体380の第10の実施の形態を図40及び図41に示す。患者界面装置組立体380は、患者回路20の端部に効果的に連絡する導管384に連結される患者界面材382を備える。図示の実施の形態では、患者界面材382は、緩衝体386と比較的剛性のある緩衝支持体388とを備える鼻マスク型界面材である。
【0083】
ヘッドギア組立体362を使用して患者に保持される顎支持組立体390を介して、導管384及び患者界面材382は、患者に取り付けられる。患者が患者界面装置組立体380を装着したときに、患者の顎を覆う下側部392を備える顎支持組立体390を顎下に配置するのが好ましい。導管384に作用するトルク力を患者界面材382に伝達しないように、適当な位置に導管384を保持するのを補助する導管連結構造が下側部392に備えられる。図示の実施の形態では、導管連結構造は、導管384を支持部材に対して押圧又は保持する一対の係合アーム394を備える。係合アーム394により、顎支持組立体390から導管384を取り外しかつ顎支持組立体390に導管384を再び取り付けることができる。更に、係合アーム394と導管384との間の摩擦係合により、顎支持組立体390に対して導管384を移動しかつ新しい位置に保持して、異なるサイズ及び形態の患者に患者界面装置組立体380を取り付けることができる。
【0084】
人間の顔面の下側部に適応する顎支持組立体390を無剛性材料により形成して、種々の異なるサイズ及び形態の顔面に顎支持組立体390を取り付けられることが好ましい。患者の口を外部に露出させる開口部396が支持部材(顎支持組立体390)に設けられる。ヘッドギア組立体362と一体に又は別々の部材により顎支持組立体390を形成して、ヘッドギア組立体362に顎支持組立体390を固定するか又は選択的に取り付けることができる。
【0085】
図41に示す任意の導管連結組立体397は、患者界面装置組立体380に連結して使用することができる。任意の導管連結組立体397は、患者の顎部(首)及び取付部399に取り付けられる顎部ストラップ398を備える。任意の導管連結組立体397は、患者回路20/導管384の位置を制御して患者界面材のねじれを防止する追加機構を備える。
【0086】
患者界面装置組立体380と同様の本発明の原理による患者界面装置組立体400の第11の実施の形態を図42に示す。患者界面装置組立体400と患者界面装置組立体380との間の主な相違は、患者界面装置組立体400が顎支持組立体390'の下側部392'に、導管連結構造として旋回接続体402を備えることである。旋回接続体402は、患者回路20を取り付ける患者回路接続口404を備える比較的剛性のある部材である。図示の実施の形態では、エルボ連結部406により下側部404に患者回路20が連結される。勿論、エルボ連結部406を省略できる。導管384は、旋回接続体402から患者界面材382に気体を連絡する。
【0087】
本発明の原理による患者界面装置組立体410の第12の実施の形態を図43及び図44に示す。患者界面装置組立体410は、ヘッドギア組立体362を使用して患者に保持される顎支持組立体412を備える。顎支持組立体412は、使用者の顔面の下部に対応する外形を有する比較的剛性のあるU字形構造体である。特に、顎支持組立体412は、使用者の下顎の下に配置されて患者界面材部分を患者に取り付ける比較的安定な基盤となる下側部414を備える。U字形の中央開口部は、患者の口及び鼻を外部に露出する状態に保持する。
【0088】
剛性支持体416は、患者の中心線に整合して顎支持組立体412の下側部414に連結される。患者回路20から剛性支持体416の端部に配置された緩衝体420に気体流を連絡する可撓性導管418が剛性支持体416に設けられる。従って、剛性支持体416及び緩衝体420は、患者界面材として有効に作用する。剛性支持体416は、支持体416に対して患者回路20を回転可能に可撓性導管418に連結する患者界面連結口422を備える。図示の実施の形態では、患者界面連結口422に患者回路20を連結するエルボ連結部424を備える。勿論、エルボ連結部424は、本発明に必須のものではない。
【0089】
本発明は、顎支持組立体412に剛性支持体416を接続する構造により患者の気道上に緩衝体420を十分に保持できることを企図する。即ち、片持ち型の取付構造は、患者の気道全体に緩衝体420を十分に保持することができる。しかしながら、患者に緩衝体420を保持するのに付加的な力が必要ならば、U字状支持部材(顎支持組立体412)の各脚部を接続する任意の十字形ストラップ426を剛性支持体416の自由端に設けてもよい。
【0090】
本発明の原理による患者界面装置組立体430の第13の実施の形態を図45及び図46に示す。患者界面装置組立体430は、導管434に連結される患者界面材432を備え、導管434は、患者の顔面の両側に配置されかつ患者の頭部の上方位置に延伸して、上方位置で患者回路20に取り付けられる。図示の実施の形態では、患者界面材382は、回転可能に導管434に連結される端部を有する鼻マスク型界面材である。しかしながら、本発明は、患者界面材382として鼻突起型界面材を使用できることを企図する。
【0091】
導管434に連結される顎支持組立体436は、患者の口の周囲に環状に形成されると共に、下顎の下に配置される下側部438を備える。口を外部に露出する開口部439が顎支持組立体436に形成される。ヘッドギアストラップ370は、患者の顔面に顎支持組立体436を保持する。図45及び図46の破線で示す他の構造では、導管434'は、患者の顔面の両側に配置されると共に、患者回路20に取り付けられる患者の頭部の下方位置に延伸する。
【0092】
本発明の原理による患者界面装置組立体440の第14の実施の形態を図47及び図48に示す。患者界面装置組立体440は、顎支持組立体444に連結される患者界面材442を備える。患者界面材442は、本願明細書に記載する患者界面材の何れかに相当し、顎支持組立体444に固定され又は回転可能に取り付けられる。
【0093】
顎支持組立体444は、患者界面材442を支持するように比較的剛性のある構造体であり、人間の顔の特徴に対応する外形を有しかつ十分な可撓性を備え、整合又は湾曲して様々な患者に適合させることができる。また、顎支持組立体444は、患者回路20から患者界面材442まで気体流を連絡する中空か又は気体搬送導管を備える。顎支持組立体444の正面下側部448に設けられる患者回路連結口446は、顎支持組立体444に患者回路20を回転可能に連結する。図示の実施の形態では、患者回路20に正面下側部448を連結するエルボ連結部450を備える。勿論、エルボ連結部450を省略してもよい。
【0094】
患者界面装置組立体440を着用するとき、顎支持組立体444の下側部452は、患者の下顎下に配置される。正面下側部448及び下側部452は、開口部454内に顎を配置して患者の顎を効果的に包囲する。患者の口を外部に露出する別の開口部456が顎支持組立体444に形成される。顎支持組立体444に接続部材458を連結して、顎支持組立体444にヘッドギアストラップ370が取り付けられる。
【0095】
本発明の原理による患者界面装置組立体460の第15の実施の形態を図49に示す。患者界面装置組立体460は、導管464に連結されかつ顎支持体として機能する患者界面材462を備える。患者界面材462は、本願明細書に説明する患者界面材の何れかに相当し、導管464に固定されるか又は回転可能に軸着される。導管464は、患者の下顎下に配置されて下顎に係合する副下顎部466を備える。導管464は、剛性又は半剛性の構造体であり、少なくとも圧力発生装置16により気体を導管464に供給するとき、顎支持体として有効に機能する。
【0096】
図49は、患者の片側のみを示すことに留意すべきである。図49に示す患者界面装置組立体460の対称形状(鏡像)が患者の他方側にも設けられる。図49が患者回路20への導管464の接続構造を示さないことにも留意すべきである。本願明細書に説明する方法又は何らかの従来法により、この接続構造を実施できることは、理解できよう。
【0097】
患者に患者界面装置組立体460を保持するヘッドギア組立体362が導管464に連結される。図示の実施の形態では、ヘッドギアストラップ370に導管464を接続するヘッドギアファスナ(留め具)468が備えられる。導管464を包囲するループ(環状体)等の導管464への接続に適する何らかの構造をヘッドギアファスナ468設けられることは、理解されよう。
【0098】
本発明は、顎ストラップファスナ472を使用して導管464に接続される任意の顎ストラップ470を設けて、患者界面装置組立体460に付加的安定性を与えることを企図する。また、ヘッドギア組立体362に顎ストラップ470を取り付け又は一体に形成できる。
【0099】
本発明の原理による患者界面装置組立体480の第16の実施の形態を図50に示す。患者界面装置組立体480は、顎支持組立体484に連結される患者界面材482を備える。患者界面材482は、本願明細書に説明する患者界面材の何れかに相当し、導管486に固定されるか又は回転可能に軸着される。
【0100】
顎支持組立体484は、患者の下顎の下に配置されかつ係合される第1の部分488と、唇の下でかつほぼ顎で使用者の顔面に接触する第2の部分490とを備える。導管486は、顎支持組立体484に連結される。図示の実施の形態では、導管486が内側を通過する導管収容ループ492が顎支持組立体484に設けられる。本発明は、導管486が顎支持組立体484の下、即ち、患者と顎支持組立体484との間を通ることも企図する。
【0101】
本発明の原理による患者界面装置組立体500の第17の実施の形態を図51及び図52に示す。患者界面装置組立体500は、顎支持組立体504に連結される患者界面材502を備える。患者界面材502は、本願明細書に説明する患者界面材の何れかに相当し、導管506に固定されるか又は回転可能に取り付けられ、顎支持組立体504に順次取り付けられる。
【0102】
顎支持組立体504は、下顎の下に配置される第1の部分508と、患者の前部の唇の下でかつ顎に又は顎の上方に配置される第2の部分510とを有するカップ状構造である。顎支持組立体504に開口部512を設けて、患者との接触を最小にするのが好ましい。連結部材514は、導管506に顎支持組立体504を取り付ける。例示的な図示の実施の形態では、連結部材514は、顎支持組立体504に固着されると共に、導管506に選択的に取り付けられる。例えば、本発明は、顎支持組立体504に固定される一端を有する布等の材料の帯紐片により連結部材514を形成することを企図する。寸法を決定すると共に、導管506を覆って(必要なら導管506の周辺部に)環状に材料の帯紐片が構成される。材料の帯紐片の自由端は、折り返して材料の帯紐片自体に取り付けるか又はフックループ型ファスナ(マジックテープ(登録商標))等の何らかの従来技術を使用して顎支持組立体504に取り付けられる。
【0103】
一実施の形態では、導管506は、患者界面装置から患者回路20を取り付ける患者の頭部の頂部付近の位置まで上方に延伸する。図51の破線で示す本発明の他の実施の形態では、患者回路20を取り付ける患者の下方位置に導管506'が延伸することを企図する。他の実施の形態を使用するとき、本明細書に説明するのと類似のヘッドギア組立体を使用して、患者に顎支持組立体504を取り付けるべきである。例えば、本発明は、顎支持組立体504に導管506'を取り付け、連結部材514を介してヘッドギアに顎支持組立体504を取り付けることを企図する。
【0104】
本発明の原理による患者界面装置組立体520の第18の実施の形態を図53に示す。患者界面装置組立体520は、顎支持組立体524に連結される患者界面材522を備える。患者界面材522は、本明細書に説明する患者界面材の何れかに相当し、導管506若しくは導管506'に固定されるか又は回転可能に取り付けられ、顎支持組立体524に順次取り付けられる。導管506及び導管506'は、患者に気体供給導管を設置する2つの代替装置を示す。双方の実施の形態では、何らかの従来法により顎支持組立体524に導管506,506'が固定される。患者界面材522は、導管506,506'の一端に固定されるか又は回転可能な方法により接続され、導管506,506'の他端が患者回路20に連結される。
【0105】
図53が患者の片側のみを示すことを理解すべきである。この図に示す患者界面装置組立体520の対称形状が患者の他方側にも備えられる。患者回路20に導管506,506'を接続する構造は図示しない。しかしながら、本明細書に説明する方法又は何らかの従来法により、この接続構造を実施できることは、理解されよう。
【0106】
ヘッドギア組立体362に取り付けられる顎支持組立体524は、下顎の下に配置される第1の部分526と、第1の部分526から患者界面材522に延伸する第2の部分528とを備える。顎支持組立体524は、患者のほぼ顎部周辺に延伸する顎部ストラップ530も備える。本実施の形態は、顎の大部分を外部に露出する状態に保持し、顎及び顎部の後部を使用して、患者界面装置組立体520に安定性を与える。
【0107】
本発明の原理による患者界面装置組立体540の第19の実施の形態を図54に示す。本実施の形態では、顎、下顎の下又はその両方の位置に患者界面材542の一部を配置するので、患者界面材542は、顎を支持する作用を有する。例えば、患者界面材542の密封体又は緩衝体の一部544は、使用者の顎に接触する。この一部544を図54に断面で示す。患者界面材542に内部空洞546が形成され、導管548が内部空洞546に連絡される。患者に患者界面装置組立体540を保持するために、ヘッドギア組立体362が患者界面材542に連結される。本実施の形態に示す患者界面材542は、鼻及び口を包囲する鼻/口マスクである。患者界面材542が口のみを包囲する口腔用マスクでもよいことは、理解されよう。
【0108】
図54が患者界面装置組立体540の片側のみを示すことも理解するべきである。この図に示す患者界面装置組立体540の対称形状が患者の他方側にも備えられる。また、患者回路20への導管548の接続構造は、図示しない。しかしながら、本明細書に説明する方法又は何らかの従来法により、この接続を実施できることは、理解されよう。
【0109】
図示の実施の形態では、導管548は、患者界面装置から患者回路20が取り付けられる患者の頭部の頂部付近の位置まで上方へ延伸する。必要に応じて、ヘッドギア組立体362に導管548を取り付けることができる。図54の破線により示す本発明の他の実施の形態では、患者回路20を取り付ける患者の下方の位置まで導管548'を延伸することを企図する。本発明の更に別の実施の形態では、好ましくは回転可能な方法により、患者界面材542の正面に導管548''を取り付けることを企図する。
【0110】
本発明の原理による患者界面装置組立体550の第20の実施の形態を図55及び図56に示す。患者界面装置組立体550は、導管554に連結される患者界面材552を備える。患者界面材552は、本明細書に説明する患者界面材の何れかに相当し、導管554に固定されるか又は回転可能に取り付けられる。顎支持組立体556は、導管554に連結され、顎支持組立体556の一部が患者の下顎の下に配置される。顎支持組立体556は、何らかの従来法により導管554に取り付けられる例えば、布材料等の可撓性構造体が好ましい。患者界面装置組立体550は、ヘッドギア組立体362を使用して患者に保持される。より詳細には、何らかの従来法によりヘッドギアストラップ370が導管554に連結される。
【0111】
本発明の原理による患者界面装置組立体560の第21の実施の形態を図57及び図58に示す。患者界面装置組立体560は、患者回路20に接続される導管564に連結される患者界面材562を備える。顎支持組立体566は、口を外部に露出する状態に保持して導管564に連結され、顎支持組立体566の一部が下顎の下を通る。布又は織物等の可撓性材料により顎支持組立体566を形成するのが好ましい。患者の頭部の後方を横切って導管564にヘッドストラップ568を接続することにより、使用者の頭部への導管564の取り付けが容易になる。
【0112】
本発明の原理による患者界面装置組立体570の第22の実施の形態を図59及び図60を示す。患者界面装置組立体570は、図32及び図33に示す患者界面装置組立体270と多くの点で類似する。患者界面装置組立体570と患者界面装置組立体270との間の2つの主な相違は、アーム582の構造及び顎パッド596の構造にある。
【0113】
患者界面装置組立体570は、患者界面材572及び顎支持組立体574を備える。患者界面材572は、緩衝体576及び緩衝支持体578も備える。前記実施の形態のように、緩衝支持体578及び緩衝体576を様々に異なる構造に形成することができ、図示の構造は、その1つに過ぎない。アーム582は、連結部材584を介して患者界面材に患者回路20を連結する。図示の実施の形態では、アーム582は、患者への気体流に対する方向の変化を最小にできる単一の弓状管の湾曲部材形状である。何らかの適切な連結技術、即ち、何らかの適切な構造の連結部材584を使用して、アーム582に患者回路20を接続することを本発明が企図することは、理解されよう。患者回路20を介しかつアーム582の中空内部を通じて、圧力発生装置16からの気体は、緩衝体576により形成される空洞部に供給される。
【0114】
アーム582には、排気部材588も備えられる。排気部材588及びヘッドギア取付部材590は、緩衝支持体578に備えられる。本実施の形態では、排気部材588は、アーム582に設けられる多数の孔を備える。図59及び図60は、ヘッドギア取付部材590に接続されるヘッドギアコネクタ592を示す。何らかの適切な形態を構造をヘッドギアコネクタ592に付与することができる。更に、図示しないが、本発明は、緩衝装置支持体278にヘッドギアストラップを取り付ける何らかの従来構造を企図する。
【0115】
図示の実施の形態では、緩衝体576は、鼻マスク型界面材であり、患者の鼻の下面に当接して配置される。緩衝体576は、緩衝体276と同様に、発泡体、シリコーン、ゴム、ゲル又はそれらの組み合わせ等の何らかの適切な材料により形成され、洗浄できるか又は1つの寸法の緩衝支持体578に異なる寸法の緩衝体576を使用できるように、緩衝支持体578から着脱可能に設けられる。勿論、本発明は、緩衝体576(又は276)が何らかの他の構造を有することを企図する。
【0116】
顎支持組立体574は、顎支持アーム593及び顎支持ブランケット595を備える。顎支持ブランケット595は、顎パッド596を支持するのに十分な剛性を有する部材である。顎支持組立体574は、ヘッドギア取付部材590と同様でかつ顎支持ブランケット595に設けられるヘッドギア取付部材を備える。顎支持組立体574にヘッドギアストラップを取り付ける何らかの従来の接続組立体の使用を本発明が企図することは、理解されよう。
【0117】
緩衝支持体578に対して顎支持組立体574を調節できるように顎支持アーム593は、アーム582に調節可能に連結される。この例示的な図示の実施の形態では、アーム582と顎支持アーム593の2つの部材の相対的な位置を不連続に分離する複数の位置に設定できるように、ラチェット機構594は、アーム582と顎支持アーム593とを連結する。特に、アーム582は、アーム582に配置される多数の歯596を備える。選択的に歯が係合するように、ラチェットアーム(又は多数のラチェットアーム)598が顎支持アーム593に連結される。顎支持アーム593は、矢印Eにより示すように、アーム582に対し、中心軸又は湾曲面に沿って移動することができる。
【0118】
顎支持ブランケット595は、摺動回転装置を通じて、顎支持アーム593の端部に調節可能に接続される。顎支持ブランケット595のスロット600と、顎支持アーム593にピン602と設けて、スロット600にピン602を係合することにより調整可能な構造を達成することができる。スロット600は、ほぼ長さに沿って分離する複数の位置に設けた移動止め(デテント)604を備え、移動止め(デテント)604にピン602を配置し保持することができる。この構造により、顎支持ブランケット595が顎支持アーム593に対して摺動と回転との両動作を行うことができる。顎支持ブランケット595の摺動回転構造により、緩衝支持体578に対して顎支持ブランケット595を3つの独立する位置で調節できることは、理解できよう。第1に、矢印Eにより示す長手方向に顎支持体ブランケット595を移動できる。第2に、矢印Fにより示す摺動方向に顎支持体ブランケット595を移動できる。最後に、矢印Gにより示すピン602の周りの湾曲方向に顎支持ブランケット595を回動できる。
【0119】
顎パッド296と同様に、顎パッド596に様々な構造の何れか1つを設けることができる。同様の構造は、米国特許出願第10/953,642号に示され、その内容は、本願明細書の一部を構成する。いくつかの適切な構造を図59及び図60に示す。本実施の形態では、顎パッド596は、シリコーン等の柔軟で、弾性のある材料により形成され、人間の顎の形状にほぼ一致する形状を有する患者接触面610を備える。顎パッド596も、中空内部、即ち、顎パッド596の内部に空洞部612が形成される。例示的な図示の実施の形態では、空洞部612は、顎パッド596の患者接触側に設けられる開口部614により外部に露出する。
【0120】
図示の実施の形態では、開口部614は、顎パッド596の外縁部又は周辺部にほぼ適合する形状を有する。しかしながら、開口部614が様々な他の構造を有してもよいことは、理解されよう。更に、空洞部612に多数の開口部614を設けてもよい。更に、顎パッド596の内部に複数の壁を設けて別々の空洞部612を形成することにより、顎パッド596に多数の空洞部612を設けてもよい。前記別々の空洞部612又は領域を顎パッド596の内部の他の部分から完全に分離するか又は接続することができる。顎パッド596の壁は、使用者の顎に対する緩衝型の支持体となる。
【0121】
本発明の原理による患者界面装置組立体650の第23の実施の形態を図61に示す。患者界面装置組立体650は、患者回路20の端部に設けられ導管654に連結される患者界面材652を備える。患者界面材652は、緩衝体を備え、フェースプレート(表面カバー)、即ち、緩衝体を支持する剛性部材又は半剛性部材を備えてもよい。導管654は、エルボ、ボール及びソケット又は何らかの適切な接続部材を介して患者回路20に連結される比較的剛性のある導管である。使用者の顎を覆う顎支持組立体656を介して患者に取り付けられる導管654は、ヘッドギア658により頭部の周囲に接続される。
【0122】
患者界面材652は、接続部材660を使用して、ヘッドギア658にも連結される。図示の実施の形態では、接続部材660は、患者界面材652に設けられるスロット(図示せず)を通るストラップである。ストラップの長さ方向に沿う選択された位置で自由端に取り付られるフック−ループファスナ又は何らかの適切な固定手段を設けることにより、ストラップの長さを調節できる。勿論、本発明は、ヘッドギア658に患者界面材652を連結する何らかの適切な機構を使用できることを企図する。例示的な実施の形態では、例えば、患者界面材652に設けられる連結部材のスロットからストラップを抜くことにより、ヘッドギア658から患者界面材652を取り外すことができる。
【0123】
本発明は、患者界面材652を使用者の適切な位置に配置しながら、患者界面材652から導管654を取り外せるように、患者界面材652と導管654とを着脱可能であることも企図する。着脱機能を達成するために、導管654の末端部に迅速脱着機構662が設けられる。迅速脱着機構662は、患者界面材652に導管654の端部を着脱可能に接続できる何らかの器具、組立体又は装置である。例えば、図23に示す迅速脱着機構は、この目的に使用される。図61に示す実施の形態では、手動で患者界面材652から導管654を取り外すか又は患者界面材652に導管654を固定する一対のタブ(爪)664を備える。接続するとき、導管654に形成される内部空洞を患者界面材65又はその2内部に流体接続できることは、明らかである。
【0124】
患者界面装置組立体650の他の特徴は、矢印666により示すように、顎支持組立体656に対して導管654の位置を調節する機能である。本発明での調節機能は、異なるサイズの患者に対応して、顎支持組立体656の顎対応部668と患者界面材652との間の導管654の長さを制御し調節することができる。図61に示す患者界面装置組立体650は、この長さ調節を可能にする調節機構668を備える。例示的な図示の実施の形態では、調節組立体(調節機構)668は、導管654及び可動部材672にねじ山670を備える。可動部材672は、ねじ山670に係合するねじ山(図示せず)を備え、導管654の周囲で可動部材672を回転すると、可動部材672は、導管654の上方又は下方に移動する。これにより、可動部材672と固定機構674との間の長さを連続的な不特定多数の位置に調節できる。図示の実施の形態では、固定機構674は、可動部材672に摩擦係合する一対のアームを備え、固定機構674に可動部材672を選択的に取り付けることができる。
【0125】
固定機構674と可動部材672とを互いに固定して、2つの部材が相対的に移動しないように、係合を固定することもでき、可動部材672を固定機構674に固定しても、顎支持組立体656に対して固定部材674(及び導管654)を回転して相対的に移動することができる。可動部材672及び固定機構674に球関節構造を設ける構造は、この後者の機能を達成する1つの例示的な方法である。
【0126】
図61に示す患者界面装置組立体650は、クイック・リリース(迅速解放)機構662及び調節機構668を設けることにより、患者に顎支持組立体656及び患者界面材652を装着した状態で、導管654を患者から取り外すことができる。これは、例えば、夜中に手洗所を使用する際に、患者自身で圧力支援装置から迅速かつ容易に離間できる機能を患者に与え、患者界面装置組立体650の調節可能などの部材も変更せずに、患者自身で圧力支援装置に再接続できる。
【0127】
本発明の原理による患者界面装置組立体700の第24の実施の形態を図62に示す。患者界面装置組立体700は、導管704に連結される患者界面材702を備える。導管704は、何れかの前記技術を含む何らかの従来の連結技術を使用して、患者回路(図示せず)の端部に連結される。患者界面材702は、緩衝体を備え、フェースプレート、即ち、緩衝体を支持する剛性又は半剛性部材を備えてもよい。比較的剛性を有する導管である導管704は、ヘッドギア708を通じて頭部の周囲に接続されかつ使用者の顎を覆う顎支持組立体706を介して患者に取り付けられる。
【0128】
図示の実施の形態では、患者界面装置組立体700は、顎支持組立体706/ヘッドギア708に患者界面材702を接続する接続部材710を備える。しかしながら、接続部材710が任意部品であることは、理解されよう。接続部材710を省略すれば、患者界面材702は、導管704により患者の気道に保持される。図示の実施の形態では、接続部材710は、患者の各側部の顎支持組立体706/ヘッドギア708に接続されかつ患者界面材702のスロットを通る長さ調節可能な帯紐(ストラップ)である。顎支持組立体706/ヘッドギア708に患者界面材702を固定する何らかの装置は、取り外し可能に接続されかつ/又は調節可能に接続されることは、理解されよう。
【0129】
顎支持組立体706に導管704を接続する調節機構712を更に備える患者界面装置組立体700は、矢印714で示すように、多数の不連続の分離位置にわたり顎支持組立体706に対して導管704を移動する機能を有する。例示的な図示の実施の形態では、調節組立体(調節機構)712は、導管704に形成されるスロット716と、スロット716に係合する係合部材718とを備える。スロット716及び係合部材718は、多くの異なる構造の何れか1つを有することができ、その一例のみを図62に示す。本実施の形態では、導管704の各側部にスロット716が設けられ、導管704の各側部で顎支持組立体706に配置された係合部材718は、スロット716を介して導管704を把持する。何らかの適切なリリース機構を使用して、導管704に係合する関係に係合部材718を維持することができる。図62は、調節組立体712の一部分を示し、調節組立体712の他の部分は、導管704の他方側にあることに留意すべきである。
【0130】
調節機構712を通じて顎支持組立体706から導管708を分離することにより、顎支持組立体706及びヘッドギア708を患者に取り付けたまま、患者界面装置組立体700から患者界面材702及び導管704を容易かつ迅速に取り外すことができる。同様に、患者界面装置組立体700の調節可能などの部材も変更せずに、顎支持組立体706に容易に患者界面材702及び導管704を再び取り付けることもでき、使用者が装着するときに、患者界面装置組立体700を再調整する必要がない。
【0131】
本発明の前記実施の形態では、顎支持組立体706に選択的に導管704を取り付ける技術を数種類のみ記載した。本発明がこの機能を達成する他の技術を企図することは、理解すべきである。固定して、即ち、移動させずに又は調節可能に、顎支持組立体706に導管704を取り付けることができる。例えば、ラチェット若しくは図62に示す機構を使用して不連続な分離位置で段階的に調節するか、又は摺動する摩擦固定装置(図40、図41)若しくはネジ切りされたスクリュー(図61)を使用して連続に変化する不特定多数の位置に顎支持組立体706に対する導管704の位置を調節することができる。本発明は、導管704を顎支持組立体706から取り外し、所望の位置に移動し、顎支持組立体706に再び取り付け、かつフック−ループファスナにより新たな位置に保持するように、接着型の取付機構としてフックループを使用することも企図する。
【0132】
本発明の患者界面装置組立体の前記実施の形態では、顎支持組立体に取り付けられかつ患者の表面に接触するパッドを簡潔に述べた。本額支持組立体及び顎支持組立体に何らかの従来のパッドを取り付けることを本発明が企図することは、理解されよう。例えば、本発明の用途に適切な様々な形の患者に接触するパッドは、米国仮特許出願10/884,060号(米国公開2005−0011522号)に記載され、その内容は、本願明細書の一部を構成する。しかしながら、他のパッド及びパッドに使用する材料(例えば、ゲル、発泡体、シリコーン及び布)を本発明の患者界面装置に使用できることは、当業者に明らかである。
【0133】
本明細書では、幾つかの異なる実施の形態の緩衝体及びマスクを述べたが、本発明の患者界面装置の用途に適切な密封体及びマスクの全てを本明細書に網羅したものでないことも理解できよう。逆に、殆ど全ての構造又は寸法でもマスク殻を形成できるが、本発明の患者界面装置にそのマスク殻を使用できることは、当業者に認識されよう。同様に、多数の緩衝体又は複数のフラップを緩衝体に設けてもよく、患者界面材と患者との間に密封接触を与える限り、ほぼあらゆる構造及び寸法に緩衝体を形成することができる。
【0134】
現在最も実用的かつ好適と思われる実施の形態を図示して詳述したが、前記記載は単に説明の便宜に過ぎず、本発明を開示する実施の形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内に該当すると共に特許請求の範囲と同趣旨の変更態様及び同等の装置を包含すること意図する。例えば、何れかの実施の形態の1つ又は2つ以上の特徴を何れかの他の実施の形態の1つ又は2つ以上の特徴に可能な範囲内で組み合わせることができることを本発明が企図することは、理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の原理による患者界面装置組立体に接続された気体搬送システムを略示する患者界面装置組立体の第1の実施の形態の正面図
【図2】図1に示す患者界面装置組立体の側面図
【図3】図1に示す患者界面装置組立体の斜視図
【図4】図1に示す患者界面装置組立体の断面図
【図5】図2の断面図
【図6】図4の回転式連結装置の拡大断面図
【図7】本発明の原理による患者界面装置組立体の第2の実施の形態の正面図
【図8】図7に示す患者界面装置組立体の側面図
【図9A】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図9B】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図10A】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図10B】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図11A】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図11B】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図12A】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図12B】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図13A】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図13B】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図14A】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図14B】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図15A】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図15B】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図16A】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図16B】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図17A】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図17B】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図18A】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図18B】本発明の原理による患者界面装置組立体の患者界面材部分の種々の実施の形態を示す斜視図
【図19】本発明の原理による患者界面装置組立体の第3の実施の形態を示す正面斜視図
【図20】図19に示す患者界面装置組立体の背面斜視図
【図21】図19に示す患者界面装置組立体の分解斜視図
【図22】患者界面装置組立体の一部の組立法を示す図1の患者界面装置組立体の更なる分解斜視図
【図23】図19に示す患者界面装置組立体に接続する患者回路の拡大分解斜視図
【図24】患者界面材、即ち、図19に示す患者界面装置組立体の患者接触部の分解斜視図
【図25】図19に示す患者接触部の断面斜視図
【図26】図19に示す患者界面装置組立体に接続する患者界面材及び接続管の分解斜視図
【図27】図19に示す患者界面装置組立体への使用に適する患者界面材の別の実施の形態の背面斜視図
【図28A】図27に示す患者界面材の異なる断面斜視図
【図28B】図27に示す患者界面材の異なる断面斜視図
【図29】図27に示す患者界面材の分解斜視図
【図30】本発明の原理による患者界面装置組立体の第4の実施の形態を示す正面斜視図
【図31】図30に示す患者界面装置組立体の分解斜視図
【図32】本発明の原理による患者界面装置組立体の第5の実施の形態を示す正面斜視図
【図33】患者に取り付けた図32に示す患者界面装置組立体の側面図
【図34】患者に装着する本発明の原理による患者界面装置組立体の第6の実施の形態を示す正面斜視図
【図35】本発明の原理による患者界面装置組立体の第7の実施の形態を示す正面斜視図
【図36】図35に示す患者界面装置組立体の顎支持部の正面斜視図
【図37】本発明の原理による患者界面装置組立体の第8の実施の形態を示す正面斜視図
【図38】本発明の原理による患者界面装置組立体の第9の実施の形態を示す正面図
【図39】図38に示す患者界面装置組立体の側面図
【図40】本発明の原理による患者界面装置組立体の第10の実施の形態を示す正面図
【図41】図40に示す患者界面装置組立体の側面図
【図42】本発明の原理による患者界面装置組立体の第11の実施の形態を示す側面図
【図43】本発明の原理による患者界面装置組立体の第12の実施の形態を示す正面図
【図44】図43に示す患者界面装置組立体の側面図
【図45】本発明の原理による患者界面装置組立体の第13の実施の形態を示す正面図
【図46】図45に示す患者界面装置組立体の側面図
【図47】本発明の原理による患者界面装置組立体の第14の実施の形態を示す正面図
【図48】図47に示す患者界面装置組立体の側面図
【図49】本発明の原理による患者界面装置組立体の第15の実施の形態を示す側面図
【図50】本発明の原理による患者界面装置組立体の第16の実施の形態を示す側面図
【図51】本発明の原理による患者界面装置組立体の第17の実施の形態を示す正面図
【図52】図51に示す患者界面装置組立体の側面図
【図53】本発明の原理による患者界面装置組立体の第18の実施の形態を示す側面図
【図54】本発明の原理による患者界面装置組立体の第19の実施の形態を示す側面図
【図55】本発明の原理による患者界面装置組立体の第20の実施の形態を示す正面図
【図56】図55に示す患者界面装置組立体の側面図
【図57】本発明の原理による患者界面装置組立体の第21の実施の形態を示す正面図
【図58】図57に示す患者界面装置組立体の側面図
【図59】本発明の原理による患者界面装置組立体の第22の実施の形態を示す側面斜視図
【図60】図59に示す患者界面装置組立体の背面図
【図61】本発明の原理による患者界面装置組立体の第23の実施の形態を示す側面斜視図
【図62】本発明の原理による患者界面装置組立体の第24の実施の形態を示す側面斜視図
【符号の説明】
【0136】
(12)・・患者界面材、 (14)・・顎支持体、 (20)・・導管(患者回路)、 (22)・・連結部材、 (42)・・鼻孔部材、 (48)・・鼻マスク、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者界面材と、
患者界面材に連結されかつ患者界面材から患者の下顎の下の位置に延伸する顎支持体とを備えることを特徴とする患者界面装置組立体。
【請求項2】
顎支持体に動作連結されかつ患者が装着する患者界面装置組立体に応答して患者の頭部の一部を覆うヘッドギア組立体を更に備える請求項1に記載の患者界面装置組立体。
【請求項3】
顎支持体上に配置されかつ顎支持体に回転可能に患者回路を連結する患者回路連結口を更に備える請求項1に記載の患者界面装置組立体。
【請求項4】
患者界面材は、鼻孔部材又は鼻マスクである請求項1に記載の患者界面装置組立体。
【請求項5】
顎支持体から選択的に患者界面材を取り外しできる請求項1に記載の患者界面装置組立体。
【請求項6】
顎支持体は、支持部材と、支持部材に連結される導管とを備え、
患者界面材は、導管に連結される請求項1に記載の患者界面装置組立体。
【請求項7】
患者界面材と顎支持体とを連結する連結部材を更に備える請求項1に記載の患者界面装置組立体。
【請求項8】
連結部材は、顎支持体に対して多数の分離位置の間で患者界面装置組立体を移動できるラチェット型連結部である請求項7に記載の患者界面装置組立体。
【請求項9】
患者界面材及び顎支持体に動作可能に連結される導管を更に備える請求項1に記載の患者界面装置組立体。
【請求項10】
顎支持体は、患者界面材に動作可能に連結される顎支持アームと、顎支持アームに取り付けられる顎支持ブランケットとを備える請求項1に記載の患者界面装置組立体。
【請求項11】
顎支持組立体は、顎支持ブランケットと患者界面材との相対的な位置を調節する調節組立体を更に備える請求項10に記載の患者界面装置組立体。
【請求項12】
顎支持ブランケットに取り付けられる顎パッドを更に備える請求項10に記載の患者界面装置組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【公表番号】特表2007−520321(P2007−520321A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552217(P2006−552217)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/003270
【国際公開番号】WO2005/076874
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)