説明

不揮発性半導体記憶装置

【課題】 リーク電流が抑制され、安定した高速メモリ動作が可能な不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】
不揮発性半導体記憶装置101は、ビット線の夫々につき、選択ビット線と非選択ビット線の電位をメモリ動作を行うための規定の電位に固定するビット電圧調整回路25、及び、データ線の夫々につき、選択データ線と非選択データ線の電位をメモリ動作を行うための規定の電位に固定するデータ電圧調整回路27、28を設けてなる。各電圧調整回路25、27、28は夫々,演算増幅器とトランジスタを含み、当該演算増幅器の非反転入力端子にメモリ動作に必要な電圧が入力されるとともに、当該演算増幅器の反転入力端子はビット線あるいはデータ線へ接続されることで、当該ビット線あるいはデータ線の電位は当該演算増幅器の非反転入力端子の電位に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置に関し、より詳細には、不揮発性の可変抵抗素子を有する二端子型のメモリセルを行及び列方向に夫々複数、マトリクス状に配列し、同一行に属するメモリセルの一端同士を同一の行選択線に接続し、同一列に属するメモリセルの他端同士を同一の列選択線に接続してなるクロスポイント型のメモリセルアレイを有する不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリセルが記憶素子以外の選択用素子を備えず、記憶素子が直接、列選択線(以下、「データ線」と称す)と行選択線(以下、「ビット線」と称す)に接続してメモリセルアレイを形成するクロスポイントタイプの半導体記憶装置(以下、適宜、「クロスポイントメモリ」と称す)の開発が進んでいる。
【0003】
上記クロスポイントメモリでは、メモリセルアレイが簡略化でき、集積化に有利である一方、メモリセル毎に選択トランジスタを備えないため、特許文献1に記載されているとおり、読み出し時及び書き込み時に発生するリーク電流の制御が特に重要な課題となっている。
【0004】
ここで、リーク電流とは、メモリセルアレイ内の抵抗分布に依存して発生する、非選択のメモリセルを経由する回り込み電流を指す。以下に、リーク電流が発生する原因について、図17に示されるメモリセルアレイ90を参照して簡単に説明する。
【0005】
選択されたメモリセルM11に対して読み出しを行うため、例えば、選択されたメモリセルに接続するビット線B1に電圧Vread(選択ビット線電圧)を、非選択のメモリセルに接続するビット線B2,B3に電圧Vbias(非選択ビット線電圧)を印加し、各データ線D1〜D3に電圧Vbiasを印加する場合を考える。選択メモリセルの二端子間には電圧Vread−Vbiasが印加され、これにより選択されたメモリセルに接続するデータ線(選択データ線)D1に流れる電流量をセンスアンプで読み出す。しかしながら、上記選択データ線D1に流れる電流(図17の電流経路IA)は、選択メモリセルM11に流れる電流と、選択データ線D1と非選択のビット線B2,B3に接続する半選択のメモリセルM21,M31に流れる電流との和となる。以下、一方が選択で他方が非選択のビット線とデータ線に接続する非選択のメモリセルを「半選択メモリセル」と称する。
【0006】
今、選択データ線、及び非選択ビット線には、共にVbiasが印加されるため、選択データ線と非選択のビット線に接続するメモリセルには電流は原理的には流れない。ところが、上記選択メモリセルの選択データ線側の電圧は、データ線を駆動するドライバの抵抗と選択メモリセルの抵抗(更には、ビット線を駆動するドライバの抵抗)で分圧されるため、実際には選択メモリセルに記憶されている抵抗状態に依存してVbiasから変動することになる。同様に、非選択ビット線の電位もメモリセルに記憶されている抵抗状態に依存して変動する。
【0007】
これにより、選択データ線と非選択ビット線の間に電位差が生じるため、選択データ線D1から上記半選択メモリセルM21,M31を経由して非選択ビット線B2,B3へ、或いは、非選択ビット線B2,B3から半選択メモリセルM21,M31を経由して選択データ線D1へ流れ込むリーク電流が発生する。更に、非選択データ線と非選択ビット線の間に電位差が生じると、非選択ビット線から非選択データ線、或いは、非選択データ線から非選択ビット線へ流れ込む電流が発生する。このため、例えば、非選択データ線D2から非選択ビット線B2へ流れ込む電流が発生した場合、当該電流は非選択データ線D2から非選択メモリセルM22、非選択ビット線B2、及び、半選択メモリセルM21を経由して選択データ線D1へと流れ込む(図17の電流経路IB)ため、リーク電流増大の原因となる。この非選択ビット線と非選択データ線を介したリーク電流の増大は、アレイサイズが大規模になるほど、非選択線の数が増大するため顕著な問題となる。
【0008】
このリーク電流制御の従来例として、上記特許文献1に記載されている電圧抑制回路の回路構成を図18に示す。
【0009】
図18の電圧抑制回路91は一端をメモリセルアレイ90のデータ線またはビット線に、他端を電圧供給回路に接続する。トランジスタ92のオン抵抗はインバータ93の出力によって制御され、インバータ93の出力はデータ線またはビット線の信号レベルによって制御される。したがって、データ線またはビット線に供給される電圧は、インバータ93の反転レベルとトランジスタ92の閾値電圧によって調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−155846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の電圧抑制回路91でリーク電流の問題を解決しようとした場合、電圧抑制回路は電圧変動を感知してから電圧調整を行うという性質上、電圧変動が起こってから電圧調整までのわずかの時間にリーク(以下“初期リーク”と記載する)が発生してしまう。
【0012】
図18の例で説明すると、データ線またはビット線の電圧変動をインバータ93が感知して初めてトランジスタ92のゲートが開け閉めされる。データ線またはビット線の電圧が、既定値から実際に外れて初めてトランジスタ92が動作するため、インバータ93やトランジスタ92の能力によらず、予期しない初期リークが流れる瞬間が必ず存在してしまう。
【0013】
抵抗変化型メモリは大容量かつ数nsecの高速動作メモリとして実用化が期待されているところ、実用化レベルのアレイサイズや動作スピードにおいて、この初期リークは無視できない問題となる。
【0014】
本発明は上記初期リークの問題に対して提案するものであり、不揮発性の可変抵抗素子を備えたメモリセルアレイを有する不揮発性半導体記憶装置において、リーク電流が抑制された、安定した高速メモリ動作を実現することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、電気抵抗の変化により情報を記憶する不揮発性の可変抵抗素子を備えた二端子型のメモリセルを、互いに垂直な第1方向及び第2方向に夫々複数、マトリクス状に配列し、前記第1方向に延伸する複数のビット線と前記第2方向に延伸する複数のデータ線を備え、前記第1方向に同じ位置の前記メモリセルの一端同士を前記データ線に接続し、前記第2方向に同じ位置の前記メモリセルの他端同士を前記ビット線に接続してなる二次元メモリセルアレイを有する不揮発性半導体記憶装置であって、前記ビット線の夫々に対して、読み出し対象として選択された前記メモリセルの他端と接続する選択ビット線に所定の第1電圧を供給し、読み出し対象ではない非選択の前記メモリセルの他端と接続する非選択ビット線に所定の第2電圧を供給するビット線電圧供給回路と、読み出し対象として選択された前記メモリセルの一端と接続する選択データ線、及び、読み出し対象ではない非選択の前記メモリセルの一端と接続する非選択データ線の夫々に前記第2電圧を供給するデータ線電圧供給回路と、 読み出し時において、前記選択データ線に流れる電流を前記非選択データ線に流れる電流と分離して検知し、選択された前記メモリセルの電気抵抗状態を検知するセンス回路と、備え、前記データ線電圧供給回路は、前記データ線を格別に前記選択データ線または前記非選択データ線の何れかに設定するデータ線選択回路を備え、前記ビット線電圧供給回路は、前記ビット線を格別に前記選択ビット線または前記非選択ビット線の何れかに設定するビット線選択回路と、ビット線電圧調整回路とを備え、前記ビット線電圧調整回路は、第1の演算増幅器と、ゲート端子が前記第1の演算増幅器の出力端子と接続し、ドレイン端子が前記第1の演算増幅器の反転入力端子と接続し、ソース端子が所定の固定電位と接続するMOSトランジスタを備え、前記第1の演算増幅器の非反転入力端子に前記第1電圧または前記第2電圧の何れかが印加されることで、前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第1の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第1電圧または前記第2電圧の何れかに固定し、前記固定された電圧を、前記MOSトランジスタから、前記MOSトランジスタのドレイン端子と前記第1の演算増幅器の反転入力端子との接続ノードを介して前記ビット線に供給することを第1の特徴とする。
【0016】
上記第1の特徴の不揮発性半導体記憶装置は、更に、前記ビット線毎に、或いは、所定数の前記ビット線同士を選択素子を介して接続する前記ビット線群毎に、前記ビット線電圧調整回路を備え、前記ビット線が前記選択ビット線であるか、或いは、前記ビット線群に前記選択ビット線が含まれる場合、前記ビット線選択回路の出力に応じて、対応する前記ビット線電圧調整回路の前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第1の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第1電圧に固定し、前記ビット線が前記非選択ビット線であるか、或いは、前記ビット線群に属する前記ビット線の全てが前記非選択ビット線の場合、前記ビット線選択回路の出力に応じて、対応する前記ビット線電圧調整回路の前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第1の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定する構成とすることが好ましい。
【0017】
上記第1の特徴の不揮発性半導体記憶装置は、また、前記ビット線電圧供給回路は、前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第1の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定し、前記固定された前記第2電圧を、前記MOSトランジスタのドレイン端子と前記第1の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び前記ビット線選択回路を介して前記非選択ビット線に供給する第1の前記ビット線電圧調整回路を備える構成とすることも好ましい。
【0018】
上記第1の特徴の不揮発性半導体記憶装置は、また、前記ビット線電圧供給回路は、前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第1の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第1電圧に固定し、前記固定された前記第1電圧を、前記MOSトランジスタのドレイン端子と前記第1の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び前記ビット線選択回路を介して前記選択ビット線に供給する第2の前記ビット線電圧調整回路を備える構成とすることも好ましい。
【0019】
上記第1の特徴の不揮発性半導体記憶装置に依れば、ビット線の電位を規定の電位に固定するためのビット線電圧調整回路をビット線電圧供給回路内に設け、当該ビット線電圧調整回路はオペアンプ(演算増幅器)とトランジスタで構成されている。このような構成とすることで、オペアンプの増幅度が十分に大きい場合、オペアンプのバーチャルショートの効果により、オペアンプの反転入力端子と直接或いはビット線選択回路を介して間接に接続するビット線の電位は、ビット線に接続するメモリセルの抵抗値分布により影響を受けることなく、オペアンプの非反転入力端子の電位に固定される。オペアンプの非反転入力端子には、選択ビット線に対して第1電圧(Vread)、または非選択ビット線に対して第2電圧(Vbias)の何れかが印加されるため、選択ビット線の電位は第1電圧に、かつ、非選択ビット線の電位が第2電圧に、直ちに固定される。
【0020】
これにより、各ビット線に接続するメモリセルの可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず、選択ビット線または非選択ビット線に接続するメモリセルの可変抵抗素子の一端の電圧を直ちに、規定の電位に固定することができ、読み出し時の初期リークが可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず抑制される。また、予期しないビット線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【0021】
尚、上記のビット線電圧調整回路は、ビット線毎に、或いは所定数のビット線群毎に複数設け、夫々、選択ビット線に対して固定された第1電圧と、非選択ビット線に対して固定された第2電圧との何れかを、オペアンプの非反転入力端子に入力される電圧に応じて供給する構成としてもよいし、非選択ビット線の電位を第2電圧に固定するための第1のビット線電圧調整回路と、選択ビット線の電位を第1電圧に固定するための第2のビット線電圧調整回路を設け、ビット線選択回路を介して、何れかのビット線電圧調整回路により固定された電圧が供給される構成としてもよい。
【0022】
上記第1の特徴の不揮発性半導体記憶装置は、更に、前記データ線電圧供給回路は、第1データ線電圧調整回路を備え、前記第1データ線電圧調整回路は、第2の演算増幅器と、ゲート端子が前記第2の演算増幅器の出力端子と接続し、ドレイン端子が前記第2の演算増幅器の反転入力端子と接続し、ソース端子が所定の固定電位と接続する第2のMOSトランジスタを備え、前記第2の演算増幅器の非反転入力端子に前記第2電圧が印加されることで、前記第2の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第2の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定し、前記固定された前記第2電圧を、前記第2のMOSトランジスタから、前記第2のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第2の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び、前記データ線選択回路を介して前記非選択データ線に供給する構成とすることが好ましい。
【0023】
第1データ線調整回路を備えることで、上述のビット線電圧調整回路と同様に、オペアンプのバーチャルショートの効果により、オペアンプの反転入力端子とデータ線選択回路を介して接続する非選択データ線の電位は、データ線に接続するメモリセルの抵抗値分布により影響を受けることなく、オペアンプの非反転入力端子の電位に固定される。即ち、非選択データ線の電位は、直ちに第2電圧(Vbias)に固定される。
【0024】
これにより、各データ線に接続するメモリセルの可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず、非選択データ線に接続するメモリセルの可変抵抗素子の一端の電圧を直ちに、規定の第2電圧に固定することができ、読み出し時の初期リークが可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず抑制される。また、予期しない非選択データ線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【0025】
上記第1の特徴の不揮発性半導体記憶装置は、更に、前記選択データ線と少なくとも同数の前記センス回路を有し、前記データ線電圧供給回路は、前記選択データ線と少なくとも同数の第2データ線電圧調整回路を備え、前記第2データ線電圧調整回路の夫々は、第3の演算増幅器と、ゲート端子が前記第3の演算増幅器の出力端子と接続し、ドレイン端子が前記第3の演算増幅器の反転入力端子と接続し、ソース端子が所定の固定電位と接続する第3のMOSトランジスタを備え、前記第3の演算増幅器の非反転入力端子に前記第2電圧が印加されることで、前記第3の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第3の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定し、前記固定された前記第2電圧を、前記第3のMOSトランジスタから、前記第3のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第3の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び、前記データ線選択回路を介して前記選択データ線に各別に供給するとともに、前記第3のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第3の演算増幅器の反転入力端子との接続ノードを介して前記センス回路の入力側に各別に供給する構成とすることが好ましい。
【0026】
第2データ線電圧調整回路を備えることで、上述のビット線電圧調整回路および第1データ線電圧調整回路と同様に、オペアンプのバーチャルショートの効果により、オペアンプの反転入力端子とデータ線選択回路を介して接続する選択データ線の電位は、データ線に接続するメモリセルの抵抗値分布により影響を受けることなく、オペアンプの非反転入力端子の電位に固定される。即ち、選択データ線の電位は、直ちに第2電圧(Vbias)に固定される。個々の選択データ線には、夫々、センス回路がデータ線選択回路を介して各別に接続されており、選択データ線に流れる電流量を検出し、選択されたメモリセルの抵抗状態を読み出すことができる。
【0027】
これにより、各データ線に接続するメモリセルの可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず、選択データ線に接続するメモリセルの可変抵抗素子の一端の電圧を直ちに、規定の第2電圧に固定することができ、読み出し時の初期リークが可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず抑制される。また、予期しない選択データ線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【0028】
上記第1の特徴の不揮発性半導体記憶装置は、更に、前記ビット線電圧供給回路は、前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧である固定された前記第2電圧に代えて、前記第2の演算増幅器の反転入力端子の電圧である固定された前記第2電圧を直接或いは前記ビット線選択回路を介して前記非選択ビット線に供給するための回路を備えることが好ましい。
【0029】
上記回路を備えることで、非選択ビット線に供給される第2電圧を非選択データ線に供給される電圧に固定することができ、非選択ビット線に予期しないノイズが生じたとしても、非選択データ線と非選択ビット線の電位を等しくすることにより、読み出し時のリーク電流は更に抑制される。
【0030】
上記目的を達成するための本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、電気抵抗の変化により情報を記憶する不揮発性の可変抵抗素子を備えた二端子型のメモリセルを、互いに垂直な第1方向及び第2方向に夫々複数、マトリクス状に配列し、前記第1方向に延伸する複数のビット線と前記第2方向に延伸する複数のデータ線を備え、前記第1方向に同じ位置の前記メモリセルの一端同士を前記データ線に接続し、前記第2方向に同じ位置の前記メモリセルの他端同士を前記ビット線に接続してなる二次元メモリセルアレイを有する不揮発性半導体記憶装置であって、前記ビット線の夫々に対して、読み出し対象として選択された前記メモリセルの他端と接続する選択ビット線に所定の第1電圧を供給し、読み出し対象ではない非選択の前記メモリセルの他端と接続する非選択ビット線に所定の第2電圧を供給するビット線電圧供給回路と、読み出し対象として選択された前記メモリセルの一端と接続する選択データ線、及び、読み出し対象ではない非選択の前記メモリセルの一端と接続する非選択データ線の夫々に前記第2電圧を供給するデータ線電圧供給回路と、読み出し時において、前記選択データ線に流れる電流を前記非選択データ線に流れる電流と分離して検知し、選択された前記メモリセルの電気抵抗状態を検知するセンス回路と、を備え、前記ビット線電圧供給回路は、前記ビット線を格別に前記選択ビット線または前記非選択ビット線の何れかに設定するビット線選択回路を備え、前記データ線を格別に前記選択データ線または前記非選択データ線の何れかに設定するデータ線選択回路を備え、前記データ線電圧供給回路は、第1データ線電圧調整回路を備え、前記第1データ線電圧調整回路は、第2の演算増幅器と、ゲート端子が前記第2の演算増幅器の出力端子と接続し、ドレイン端子が前記第2の演算増幅器の反転入力端子と接続し、ソース端子が所定の固定電位と接続する第2のMOSトランジスタを備え、前記第2の演算増幅器の非反転入力端子に前記第2電圧が印加されることで、前記第2の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第2の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定し、前記固定された前記第2電圧を、前記第2のMOSトランジスタから、前記第2のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第2の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び、前記データ線選択回路を介して前記非選択データ線に供給することを第2の特徴とする。
【0031】
上記第2の特徴の不揮発性半導体記憶装置に依れば、非選択データ線の電位を規定の電位に固定するための第1データ線電圧調整回路をデータ線電圧供給回路内に設け、当該第1データ線電圧調整回路はオペアンプ(演算増幅器)とトランジスタで構成されている。このような構成とすることで、オペアンプの増幅度が十分に大きい場合、オペアンプのバーチャルショートの効果により、オペアンプの反転入力端子とデータ線選択回路を介して接続する非選択データ線の電位は、当該非選択データ線に接続するメモリセルの抵抗値分布により影響を受けることなく、オペアンプの非反転入力端子の電位に固定される。オペアンプの非反転入力端子には、非選択データ線に供給される第2電圧(Vbias)が供給されるため、非選択データ線の電位は第2電圧に、直ちに固定される。
【0032】
これにより、各データ線に接続するメモリセルの可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず、非選択データ線に接続するメモリセルの可変抵抗素子の一端の電圧を直ちに、規定の第2電圧に固定することができ、読み出し時の初期リークが可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず抑制される。また、予期しない非選択データ線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【0033】
上記第2の特徴の不揮発性半導体記憶装置は、更に、前記選択データ線と少なくとも同数の前記センス回路を有し、前記データ線電圧供給回路は、前記選択データ線と少なくとも同数の第2データ線電圧調整回路を備え、前記第2データ線電圧調整回路の夫々は、第3の演算増幅器と、ゲート端子が前記第3の演算増幅器の出力端子と接続し、ドレイン端子が前記第3の演算増幅器の反転入力端子と接続し、ソース端子が所定の固定電位と接続する第3のMOSトランジスタを備え、前記第3の演算増幅器の非反転入力端子に前記第2電圧が印加されることで、前記第3の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第3の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定し、前記固定された前記第2電圧を、前記第3のMOSトランジスタから、前記第3のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第3の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び、前記データ線選択回路を介して前記選択データ線に各別に供給するとともに、前記第3のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第3の演算増幅器の反転入力端子との接続ノードを介して前記センス回路の入力側に各別に供給する構成とすることが好ましい。
【0034】
第2データ線電圧調整回路を備えることで、上述の第1データ線電圧調整回路と同様、オペアンプのバーチャルショートの効果により、オペアンプの反転入力端子とデータ線選択回路を介して接続する選択データ線の電位は、データ線に接続するメモリセルの抵抗値分布により影響を受けることなく、オペアンプの非反転入力端子の電位に固定される。即ち、選択データ線の電位は、直ちに第2電圧(Vbias)に固定される。個々の選択データ線には、夫々、センス回路がデータ線選択回路を介して各別に接続されており、選択データ線に流れる電流量を検出し、選択されたメモリセルの抵抗状態を読み出すことができる。
【0035】
これにより、各データ線に接続するメモリセルの可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず、選択データ線に接続するメモリセルの可変抵抗素子の一端の電圧を直ちに、規定の第2電圧に固定することができ、読み出し時の初期リークが可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず抑制される。また、予期しない選択データ線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【0036】
上記第1又は第2の特徴の本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、更に、複数の前記二次元メモリセルアレイを前記第1方向と前記第2方向に垂直な第3方向に重ねて配置した三次元メモリセルアレイを有し、前記データ線は、前記第1方向に同じ位置の前記メモリセルの一端同士を前記第2方向及び前記第3方向に接続してなり、前記ビット線選択回路は、前記ビット線を選択するための選択トランジスタを、前記第2方向と前記第3方向に夫々複数二次元マトリクス状に、前記メモリセルの配置領域に対して前記第1方向に隣接して配置した選択トランジスタアレイを有し、前記第2方向または前記第3方向の何れか一方に同じ位置の前記ビット線は、夫々、対応する前記選択トランジスタを介して共通の第2ビット線と接続し、前記第2方向または前記第3方向の何れか他方に同じ位置の前記選択トランジスタの制御端子同士が、夫々、前記第2方向または前記第3方向の何れか一方に延伸するワード線と接続され、前記第2ビット線および前記ワード線により前記ビット線が選択され、前記第2ビット線を介して前記選択ビット線に前記第1電圧が、前記非選択ビット線に前記第2電圧が供給される構成とすることが好ましい。
【0037】
上記第1又は第2の特徴の本発明に係る不揮発性半導体記憶装置は、また、複数の前記二次元メモリセルアレイを前記第1方向と前記第2方向に垂直な第3方向に重ねて配置した三次元メモリセルアレイを有し、前記ビット線は、前記第2方向に同じ位置の前記メモリセルの他端同士を前記第1方向及び前記第3方向に接続してなり、前記データ線選択回路は、前記データ線を選択するための選択トランジスタを、前記第1方向と前記第3方向に夫々複数二次元マトリクス状に、前記メモリセルの配置領域に対して前記第2方向に隣接して配置した選択トランジスタアレイを有し、前記第1方向または前記第3方向の何れか一方に同じ位置の前記データ線は、夫々、対応する前記選択トランジスタを介して共通の第2データ線と接続し、前記第1方向または前記第3方向の何れか他方に同じ位置の前記選択トランジスタの制御端子同士が、夫々、前記第1方向または前記第3方向の何れか一方に延伸するワード線と接続され、前記第2データ線および前記ワード線により前記データ線が選択され、前記第2データ線を介して前記選択データ線および前記非選択データ線に前記第2電圧が供給される構成とすることが好ましい。
【0038】
このような構成とすることで、メモリセルが三次元的に配列されたメモリセルアレイにおいても、アレイ内のメモリセルの可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず、第2ビット線とデータ線、或いは、ビット線と第2データ線の電位を規定された電圧に、直ちに固定することができ、読み出し時の初期リークが可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず抑制される。また、予期しないビット線或いはデータ線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【発明の効果】
【0039】
従って、本発明に依れば、リーク電流が抑制された、安定した高速メモリ動作が可能な不揮発性半導体装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の概略構成を示す回路ブロック図。
【図2】可変抵抗素子を備えたメモリセルの構成例を示す図。
【図3】ビット線電圧調整回路の回路構成例を示す図。
【図4】演算増幅器(オペアンプ)の回路構成の一例を示す図。
【図5】切替回路の回路構成例を示す図。
【図6】切替回路の他の回路構成例を示す図。
【図7】第1データ線電圧調整回路の回路構成例を示す図。
【図8】第2データ線電圧調整回路の回路構成例を示す図。
【図9】選択回路の回路構成例を示す図。
【図10】本発明の第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の概略構成を示す回路ブロック図。
【図11】本発明の第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の概略構成を示す回路ブロック図。
【図12】選択トランジスタアレイの回路構成例を示す図。
【図13】三次元メモリセルアレイの構成例を示す断面構造図。
【図14】本発明の第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の概略構成を示す回路ブロック図。
【図15】本発明の別実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の概略構成を示す回路ブロック図。
【図16】本発明の別実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の概略構成を示す回路ブロック図。
【図17】従来構成の不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイの読み出し動作について説明するための図。
【図18】従来構成の不揮発性半導体記憶装置において、リーク電流を抑制するための電圧調整回路の回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
〈第1実施形態〉
以下において、本発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置(以降、適宜「本発明装置100」と称す)につき、図面を参照して説明する。図1は本発明装置100の概略構成を示す回路ブロック図である。本発明装置100は、メモリセルアレイ10、ビット線電圧供給回路15、データ線電圧供給回路16、及び、センス回路17を含んでなる。更に、ビット線供給回路15は、ビット線デコーダ21、ビット線電圧発生回路23、ビット線電圧調整回路25、及び、切替回路26で構成される。データ線供給回路16は、データ線デコーダ22、データ線電圧発生回路24、第1データ線電圧調整回路27、第2データ線電圧調整回路28、及び、選択回路29で構成される。
【0042】
メモリセルアレイ10が、電気抵抗の変化により情報を記憶する不揮発性の可変抵抗素子を備えた二端子型のメモリセルM11〜M33をマトリクス状に配列し、夫々のメモリセルの一端を第2方向(図1の縦方向)に延伸するデータ線D1〜D3と、他端を第1方向(図1の横方向)に延伸するビット線B1〜B3と接続することで構成されている。尚、メモリセルアレイ10は、ここでは、説明の都合上、簡単のため3×3のアレイを例示しているが、本発明はこの構成に限られるものではない。よりアレイサイズの大きな構成でも本発明は利用可能であり、また、よりアレイサイズが大きな構成に本発明を適用することで、より本発明の効果が増す。
【0043】
二端子型のメモリセルM11〜M33の構成例を図2に示す。図2(a)はメモリセルとして、可変抵抗素子11と電流制限素子としてのダイオード12を直列に接続した構成、図2(b)は可変抵抗素子11のみからなる構成である。図2(a)において、ダイオード12の代わりにバリスタ、或いはMIM(Metal Insulator Metal)素子等の非線形素子を用いてもよい。
【0044】
ビット線デコーダ21は、所定のメモリ動作の対象のメモリセルを第2方向(図1の縦方向)に選択し、選択されたメモリセルと接続するビット線(選択ビット線)に対して“1”、非選択のメモリセルと接続するビット線(非選択ビット線)に対して“0”となる信号を、ビット線電圧発生回路23或いは切替回路26に出力する。即ち、ビット線デコーダ21は、ビット線B1〜B3の夫々を、選択ビット線または非選択ビット線の何れかに設定するビット線選択回路としての役割を有している。ビット線電圧発生回路23は、ビット線デコーダ21からの当該出力信号を受け、ビット線B1〜B3の夫々につき、出力信号が“1”である選択ビット線に選択ビット線電圧を、出力信号が“0”である非選択ビット線には非選択ビット線電圧を供給し、切替回路26及びビット線電圧調整回路25を介して印加する。選択されたメモリセルの読み出しにおいて、ビット線電圧発生回路23は、選択ビット線に第1電圧Vread(例えば、0.5V)を、非選択ビット線に第2電圧Vbias(例えば、0V)を、ビット線B1〜B3の夫々に供給する。
【0045】
ビット線電圧調整回路25が、ビット線B1〜B3の夫々につき各別に設けられている。ビット線電圧調整回路25は、夫々、一端をビット線に接続し、もう一端を切替回路26を介してビット線電圧発生回路23に接続している。ビット線電圧調整回路25は各ビット線B1〜B3の電位を、ビット線電圧発生回路23から供給される第1電圧Vread、又は、ビット線電圧発生回路23若しくはデータ線電圧発生回路24から供給される第2電圧Vbiasの何れかに、直ちに固定する機能を有している。
【0046】
ビット線電圧調整回路25の回路構成例を図3に示す。ビット線電圧調整回路25は、演算増幅器(オペアンプ)31とMOSトランジスタ32とを備えてなり、MOSトランジスタ32のゲート端子はオペアンプ31の出力端子と、MOSトランジスタ32のドレイン端子はオペアンプ31の反転入力端子と接続している。また、MOSトランジスタ32のソース端子は電源電圧と接続している。更に、オペアンプ31の反転入力端子はビット線とも接続し、オペアンプ31の非反転入力端子は、切替回路26を介してビット線電圧供給回路23と接続している。ビット線電圧調整回路25は、MOSトランジスタ32から、MOSトランジスタ32のドレイン端子とオペアンプ31の反転入力端子との接続ノードを介して、ビット線にオペアンプ31の反転入力端子の電圧を供給する。
【0047】
このような構成とすることで、オペアンプ31の増幅度が十分に大きいとき、オペアンプのバーチャルショートの効果により、オペアンプ31の反転入力端子と接続するビット線の電位は、オペアンプ31の非反転入力端子の電位V1(図3参照)に等しくなる。当該オペアンプ31の非反転入力端子には第1電圧Vread又は第2電圧Vbiasの何れかが、ビット線電圧発生回路23及び切替回路26を介して印加されているから、オペアンプ31の反転入力端子と接続するビット線の電位は、Vread又はVbiasの何れかに直ちに固定され、ビット線に接続するメモリセルの抵抗値により影響を受けることはない。従って、ビット線の電位が可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず固定されるため、リーク電流を抑えることができる。更に、予期しないビット線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【0048】
オペアンプ31の具体的な回路構成の一例を図4に示す。Vinに非反転入力端子の電圧が、Vinに反転入力端子の電圧が入力され、Voutに増幅された電圧が出力される。尚、ソース端子がVddと接続するPMOSトランジスタは、電流制御用のトランジスタであり、ゲート端子を固定電圧に接続して使用される。しかしながら、オペアンプの回路構成は図4の構成に限られるものではない。
【0049】
切替回路26は、ビット線電圧発生回路23、後述する第1データ線電圧調整回路27、及び、ビット線電圧調整回路25と接続し、ビット線B1〜B3の夫々について、ビット線電圧発生回路23から第1電圧Vreadが供給される場合は、当該第1電圧Vreadを出力し、ビット線電圧発生回路23から第2電圧Vbiasが供給される場合は、データ線電圧発生回路24から第1データ線電圧調整回路27を介して供給される第2電圧Vbiasを出力し、ビット線電圧調整回路25のオペアンプ31の非反転入力端子の入力とする。切替回路26の回路構成例を図5に示す。図5の切替回路26は、2個のMOSトランジスタ37,38とインバータ39a,39b(39)からなる。
【0050】
図5(A)は第1電圧Vreadが第2電圧Vbiasよりも高電圧に設定されている場合の構成例であり、端子Bには第1データ線電圧調整回路27からの第2電圧Vbiasが入力されている。端子Aに第2電圧Vbiasよりも高電圧の第1電圧Vreadが入力されると、MOSトランジスタ37がオン、MOSトランジスタ38がオフとなり、端子Aの電圧がビット線電圧調整回路25に印加される。一方、端子Aに第2電圧Vbiasが入力されると、MOSトランジスタ37がオフ、MOSトランジスタ38がオンとなり、端子Bの第1データ線電圧調整回路27の電圧がビット線電圧調整回路25に印加される。
【0051】
図5(B)は第1電圧Vreadが第2電圧Vbiasよりも低電圧に設定されている場合の構成例であり、端子Bには第1データ線電圧調整回路27からの第2電圧Vbiasが入力されている。端子Aに第2電圧Vbiasよりも低電圧の第1電圧Vreadが入力されると、MOSトランジスタ37がオン、MOSトランジスタ38がオフとなり、端子Aの電圧がビット線電圧調整回路25に印加される。一方、端子Aに第2電圧Vbiasが入力されると、トランジスタ37がオフ、トランジスタ38がオンとなり、端子Bの第1データ線電圧調整回路27の電圧がビット線電圧調整回路25に印加される。
【0052】
また、切替回路26は、図5(A)に代えて、図6の回路構成を用いるのも好適である。この場合、MOSトランジスタ37の一端には、ビット線が選択か非選択かに依らず、常に第1電圧Vreadが入力される。一方、端子Aにはビット線デコーダ21からのHigh或いはLowレベルの信号が直接入力される。或いは、MOSトランジスタ37の一端には、ビット線電圧発生回路23から供給される第1電圧Vreadか第2電圧Vbiasの何れかがビット線が選択か非選択かに応じて入力される構成としてもよい。
【0053】
このような構成とすることで、非選択ビット線に予期しないノイズが生じたとしても、メモリセルが非選択の場合、非選択ビット線の電位を確実にデータ線と同電位(第2電圧Vbias)と等しくすることができ、非選択ビット線と非選択データ線を介したリーク電流の削減効果が更に増す。
【0054】
データ線デコーダ22は、所定のメモリ動作の対象のメモリセルを第1方向(図1の横方向)に選択し、選択されたメモリセルと接続するデータ線(選択データ線)に対して“1”、非選択のメモリセルと接続するデータ線(非選択データ線)に対して“0”となる信号を、後述する選択回路29に出力する。即ち、データ線デコーダ22は、後述する選択回路29と併せて、データ線D1〜D3の夫々を、選択データ線または非選択データ線の何れかに設定するデータ線選択回路としての役割を有している。選択されたメモリセルの読み出しにおいて、データ線電圧発生回路24は、選択データ線、非選択データ線共に第2電圧Vbiasを、データ線D1〜D3の夫々に供給する。
【0055】
第1データ線電圧調整回路27は、一端を第1データ線電圧発生回路24に接続し、他端をデータ線D1〜D3毎に設けられた個々の選択回路29に接続している。第1データ線電圧調整回路27は、選択回路29を介して、非選択データ線の電位を、データ線電圧供給回路24から供給される第2電圧Vbiasに、直ちに固定する機能を有している。
【0056】
第1データ線電圧調整回路27の回路構成例を図7に示す。第1データ線電圧調整回路27は、演算増幅器(オペアンプ)33とMOSトランジスタ34とを備えてなり、MOSトランジスタ34のゲート端子はオペアンプ33の出力端子と、MOSトランジスタ34のドレイン端子はオペアンプ33の反転入力端子と接続している。また、MOSトランジスタ34のソース端子は電源電圧と接続している。更に、オペアンプ33の反転入力端子は選択回路29を介してデータ線と接続し、オペアンプ33の非反転入力端子はデータ線電圧発生回路24と接続している。第1データ線電圧調整回路27は、トランジスタ34から、トランジスタ34のドレイン端子とオペアンプ33の反転入力端子との接続ノードを介して、非選択データ線にオペアンプ33の反転入力端子の電圧を供給する。更に、トランジスタ34のドレイン端子とオペアンプ33の反転入力端子との接続ノードの電圧は、切替回路26の入力にもなっている。
【0057】
このような構成とすることで、オペアンプ33の増幅度が十分に大きいとき、オペアンプのバーチャルショートの効果により、オペアンプ33の反転入力端子と接続する非選択データ線の電位は、オペアンプ33の非反転入力端子に入力される電位、即ち、データ線電圧発生回路24から供給される第2電圧Vbiasに直ちに固定され、当該データ線に接続するメモリセルの抵抗値により影響を受けることはない。従って、非選択データ線の電位が可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず固定されるため、リーク電流を抑えることができる。更に、予期しない非選択データ線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【0058】
第2データ線電圧調整回路28は、一端をデータ線電圧発生回路24に接続し、他端をデータ線D1〜D3毎に設けられた個々の選択回路29に接続している。第2データ線電圧調整回路28は、選択回路29を介して、選択データ線の電位を、データ線電圧供給回路24から供給される第2電圧Vbiasに、直ちに固定する機能を有している。第2データ線電圧調整回路28は、また、センス回路17と選択回路29を結ぶ配線(以下、適宜“センス線”と称す)の電圧を第2電圧Vbiasに固定する。
【0059】
第2データ線電圧調整回路28の回路構成例を図8に示す。第2データ線電圧調整回路28は、演算増幅器(オペアンプ)35とMOSトランジスタ36とを備えてなり、MOSトランジスタ36のゲート端子はオペアンプ35の出力端子と、MOSトランジスタ36のソース端子はオペアンプ35の反転入力端子と接続している。また、MOSトランジスタ36のドレイン端子は電源電圧と接続している。更に、オペアンプ35の反転入力端子はセンス回路17と、及び、選択回路29を介してデータ線と、並列に接続し、オペアンプ35の非反転入力端子はデータ線電圧発生回路24と接続している。第2データ線電圧調整回路28は、トランジスタ36から、トランジスタ36のドレイン端子とオペアンプ35の反転入力端子との接続ノードを介して、選択データ線にオペアンプ35の反転入力端子の電圧を供給する。
【0060】
このような構成とすることで、オペアンプ35の増幅度が十分に大きいとき、オペアンプのバーチャルショートの効果により、オペアンプ35の反転入力端子と接続する選択データ線の電位は、オペアンプ35の非反転入力端子に入力される電位、即ち、データ線電圧発生回路24から供給される第2電圧Vbiasに直ちに固定され、当該データ線に接続するメモリセルの抵抗値により影響を受けることはない。従って、選択データ線の電位が可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず固定されるため、リーク電流を抑えることができる。更に、予期しない選択データ線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【0061】
選択回路29は、データ線D1〜D3の夫々につき各別に設けられ、夫々、一のデータ線、第1データ線電圧調整回路27、及び、第2データ線電圧調整回路28と接続している。選択回路29は、自身と接続するデータ線が非選択データ線の場合は、データ線電圧発生回路24から供給され第1データ線電圧調整回路27を経由した第2電圧Vbiasを、或いは、自身と接続するデータ線が選択データ線の場合は、データ線電圧発生回路24から供給され第2データ線電圧調整回路28を経由した第2電圧Vbiasを、当該データ線に供給する。データ線に供給される第2電圧Vbiasの経由先が第1データ線電圧調整回路27又は第2データ線電圧調整回路28の何れかになるか、即ち、各データ線が非選択データ線か選択データ線の何れに該当するかは、データ線デコーダ22からの出力信号により決定される。
【0062】
選択回路29の回路構成例を図9に示す。選択回路29はトランジスタ41,42とインバータ43からなるスイッチであり、選択回路29は、データ線デコーダ22からの信号に応じて、データ線の接続先を第1データ線電圧調整回路27、或いは、第2データ線電圧調整回路28の何れかに切り替える。図9に示される例では、読み出し選択時、データ線デコーダ22からHigh(“1”)の信号を受け取ると、トランジスタ42がオンとなり、データ線が第2データ線電圧調整回路28に接続される。一方、読み出し非選択時にはLow(“0”)の信号を受け取ると、トランジスタ41がオンとなり、データ線は第1データ線電圧調整回路27へ接続される。何れの場合も、第1データ線電圧調整回路27、或いは、第2データ線電圧調整回路28の働きにより、データ線の電位は所定の第2電圧Vbiasに固定されている。
【0063】
センス回路17は、第2データ線電圧調整回路28と個々の選択回路29を接続する配線上に接続され、読み出し時において、選択データ線に流れる電流を非選択データ線に流れる電流と分離して検知し、選択された前記メモリセルの電気抵抗状態を検知する。本実施形態では、センス回路17は、電流の大小を判別する電流センス回路であることを想定している。
【0064】
以下に、図1においてメモリセルアレイ10の左上のメモリセルM11を選択した場合を例として、本発明装置100における選択メモリセルの読み出し動作の概要を説明する。
【0065】
ビット線デコーダ21により選択されたビット線B1と接続するビット線電圧調整回路25には、ビット線電圧発生回路23より第1電圧Vreadが印加され、非選択のビット線B2又はB3と接続するビット線電圧調整回路25には、切替回路26を介して、データ線電圧発生回路24からの第2電圧Vbiasが印加される。
【0066】
ビット線電圧調整回路25の働きにより、各ビット線と接続するメモリセルの可変抵抗素子の抵抗値分布に拘わらず、選択ビット線B1は直ちに第1電圧Vreadに固定され、非選択ビット線B2とB3は直ちに第2電圧Vbiasに固定される。
【0067】
一方、データ線デコーダ22により選択されたデータ線D1と接続する選択回路29は、当該選択データ線を第2データ線電圧調整回路28及びセンス回路17に接続させ、非選択のデータ線D2又はD3と接続する選択回路29は、当該非選択データ線を第1データ線電圧調整回路27に接続させる。
【0068】
第1データ線電圧調整回路27、及び、第2データ線電圧調整回路28には、データ線電圧発生回路24から第2電圧Vbiasが供給されており、これにより選択データ線および非選択データ線は、各データ線と接続するメモリセルの可変抵抗素子の抵抗値分布に拘わらず、直ちにVbiasに固定される。
【0069】
ここで、選択されたメモリセルM11の両端の電位について考えると、選択ビット線B1側のノード#Aの電位はビット線電圧調整回路25によってVreadに固定され、選択データ線D1側のノード#Bの電位は第2データ線電圧調整回路28によってVbiasに固定されている。
【0070】
同様に、選択ビット線B1と非選択データ線D2に接続する半選択のメモリセルM12の両端の電位について考えると、選択ビット線B1側のノード#Cの電位はビット線電圧調整回路25によってVreadに固定され、非選択データ線D2側のノード#Dの電位は第1データ線電圧調整回路27によってVbiasに固定されている。
【0071】
同様に、非選択ビット線B3と選択データ線D1に接続する半選択のメモリセルM31の両端の電位について考えると、非選択ビット線B3側のノード#Eの電位はビット線電圧調整回路25によってVbiasに固定され、選択データ線D1側のノード#Fの電位は第2データ線電圧調整回路28によってVbiasに固定されている。
【0072】
同様に、非選択ビット線B3と非選択データ線D2に接続する非選択のメモリセルM32の両端の電位について考えると、非選択ビット線B3側のノード#Gの電位はビット線電圧調整回路25によってVbiasに固定され、非選択データ線D2側のノード#Hの電位は第1データ線電圧調整回路27によってVbiasに固定されている。
【0073】
データ線およびビット線の配線抵抗がメモリセルの低抵抗状態の時の抵抗値よりも十分に小さい場合、ノード#A〜#Hの各電位は各電圧調整回路の非反転入力端子に印加されている電圧レベルに正確に保持される。これにより、読み出し時に発生するリーク電流を格段に抑えることができる。
【0074】
更に、ノード#A〜#Hの各電位は、各電圧調整回路の非反転入力端子に印加されている電圧レベルにのみ依存し、一定の所定の電圧に固定されるため、メモリセルアレイ10内のメモリセルの可変抵抗素子の抵抗値分布に依存しない。従って、メモリセルアレイ10内のメモリセルがいかなる抵抗値分布にある場合にも、初期リークを最小限に抑えることができる機構になっている。
【0075】
この結果、選択されたメモリセルM11には、メモリセルM11の抵抗状態に依らず、Vread−Vbiasの電圧が印加されるが、非選択ビット線の電位、選択データ線の電位、及び、非選択データ線の電位は、共に同電位に固定されているため、非選択ビット線と選択データ線に接続する半選択のメモリセルM21或いはM31を介したリーク電流は発生しない。メモリセルの抵抗値をRとすると、選択されたメモリセルM11には(Vread−Vbias)/Rの電流が流れ、この電流のみを選択データ線D1、選択回路29、及び、センス線を介してセンス回路17で検知し、メモリセルM11の抵抗状態が高抵抗状態であるか低抵抗状態であるかを読み出すことができる。
【0076】
尚、ビット線電圧調整回路のみを、或いは、第1データ線電圧調整回路のみを備えることでもリーク電流は低減され、本発明の効果が得られるが、本実施形態で説明した通り、各電圧調整回路を全て備えることで、より効果的にリーク電流を低減することができる。
【0077】
〈第2実施形態〉
上述の第1実施形態において、ビット線毎にビット線電圧調整回路を備え、ビット線に供給される電圧を第1電圧と第2電圧の何れかに固定する構成について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。図10は本発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置(以降、適宜「本発明装置101」と称す)の概略構成を示す回路ブロック図である。本発明装置101は、ビット線毎に選択回路29bを備え、ビット線デコーダ21からの信号に基づき、選択回路29bを介して各ビット線に供給される電圧を、ビット線が選択ビット線の場合第1電圧Vreadに、ビット線が非選択ビット線の場合第2電圧Vbiasに、切り替えて印加する構成である。言い換えると、本発明装置101は、本発明装置100におけるデータ線側のデータ線電圧供給回路16の回路構成を、ビット線側のビット線電圧供給回路15の回路構成に対しても採用したものである。
【0078】
ビット線電圧供給回路15は、ビット線デコーダ21、ビット線電圧発生回路23、第1のビット線電圧調整回路25a、第2のビット線電圧調整回路25b、及び、選択回路29bで構成される。
【0079】
ビット線デコーダ21は、所定のメモリ動作の対象のメモリセルを第2方向(図10の縦方向)に選択し、選択されたメモリセルと接続するビット線(選択ビット線)に対して“1”、非選択のメモリセルと接続するビット線(非選択ビット線)に対して“0”となる信号を、選択回路29bに出力する。即ち、ビット線デコーダ21は、選択回路29bと併せて、ビット線B1〜B3の夫々を、選択ビット線または非選択ビット線の何れかに設定するビット線選択回路としての役割を有している。
【0080】
ビット線電圧発生回路23は、選択されたメモリセルの読み出しにおいて、選択ビット線に第1電圧Vread(例えば、0.5V)を、非選択ビット線に第2電圧Vbias(例えば、0V)を、ビット線B1〜B3の夫々に供給する。ここで、非選択ビット線に供給する第2電圧Vbiasについては、データ線電圧発生回路24により生成され、第1データ線電圧調整回路27を介して固定された電圧を利用することができるため、ビット線電圧発生回路23は、選択ビット線に供給するための第1電圧Vreadを供給するだけでよい。
【0081】
第1のビット線電圧調整回路25aは、一端を第1データ線電圧調整回路27に接続し、他端をビット線B1〜B3毎に設けられた個々の選択回路29bに接続している。第1のビット線電圧調整回路25aの回路構成例は第1実施形態における図3と同様である。ただし、第1のビット線電圧調整回路25aでは、図3において、オペアンプ31の反転入力端子は選択回路29bを介してビット線と接続され、オペアンプ31の非反転入力端子は第1データ線電圧調整回路27のオペアンプ33の反転入力端子と接続されている(図8参照)。
【0082】
このような構成とすることで、オペアンプ31の増幅度が十分に大きいとき、オペアンプのバーチャルショートの効果により、オペアンプ31の反転入力端子と選択回路29bを介して接続する非選択ビット線の電位は、オペアンプ31の非反転入力端子に入力される電位、即ち、第2電圧Vbiasに直ちに固定され、当該ビット線に接続するメモリセルの抵抗値により影響を受けることはない。従って、非選択ビット線の電位が可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず固定されるため、リーク電流を抑えることができる。更に、予期しない非選択ビット線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【0083】
更に、第1データ線電圧調整回路27のオペアンプ33の反転入力端子の電圧がオペアンプ31の非反転入力端子に入力されることにより、非選択ビット線に予期しないノイズが生じたとしても、非選択ビット線の電位を確実にデータ線と同電位(第2電圧Vbias)と等しくすることができ、非選択ビット線と非選択データ線を介したリーク電流の増大を抑制することができる。
【0084】
第2のビット線電圧調整回路25bは、一端をビット線電圧発生回路23に接続し、他端をビット線B1〜B3毎に設けられた個々の選択回路29bに接続している。第1のビット線電圧調整回路25bの回路構成例は第1実施形態における図3と同様である。ただし、第2のビット線電圧調整回路25bでは、図3において、オペアンプ31の反転入力端子は選択回路29bを介してビット線と接続される。第2のビット線電圧調整回路25bは、選択回路29bを介して、選択ビット線の電位を、オペアンプのバーチャルショートの効果により、オペアンプ31の非反転入力端子の電圧である第1電圧Vreadに、直ちに固定する。この結果、選択ビット線の電位が可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず固定されるため、リーク電流を抑えることができる。更に、予期しない選択ビット線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待できる。
【0085】
選択回路29bは、ビット線B1〜B3の夫々につき各別に設けられ、夫々、一のビット線、第1のビット線電圧調整回路25a、及び、第2のビット線電圧調整回路25bと接続している。選択回路29bは、ビット線デコーダ21からの信号を受け、自身と接続するビット線が非選択ビット線の場合は、第1のビット線電圧調整回路25aを経由した第2電圧Vbiasを、或いは、自身と接続するビット線が選択ビット線の場合は、ビット線電圧発生回路23から供給され第2のビット線電圧調整回路25bを経由した第1電圧Vreadを、当該ビット線に供給する。ビット線に供給される電圧が、第1のビット線電圧調整回路25aを経由した第2電圧Vbias、又は、第2のビット線電圧調整回路25bを経由した第1電圧Vreadの何れかになるか、即ち、各ビット線が非選択ビット線か選択ビット線の何れに該当するかは、ビット線デコーダ21からの出力信号により決定される。
【0086】
データ線電圧供給回路16は、データ線デコーダ22、データ線電圧発生回路24、第1データ線電圧調整回路27、第2データ線電圧調整回路28、及び、選択回路29で構成される。データ線電圧供給回路16の各回路、並びに、センス回路17、及び、メモリセルアレイ10の構成については、第1実施形態における本発明装置100と同様であるので説明を割愛する。
【0087】
〈第3実施形態〉
以下において、本発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置(以降、適宜「本発明装置102」と称す)につき、図面を参照して説明する。図11は本発明装置102の概略構成を示す回路ブロック図である。本発明装置102は、本発明装置100では2次元的に配列されていたメモリセルを、更に3次元的に配列させたメモリセルアレイ50を備える。
【0088】
メモリセルアレイ50は、不揮発性の可変抵抗素子とダイオードからなる二端子型のメモリセルを第1方向(図11の縦方向)と第2方向(図11の横方向)にマトリクス状に配列させることで得られる第1実施形態におけるメモリセルアレイ10を、更に複数層、第3方向(図11の奥行き方向)に重ねて配列させた、メモリセルが三次元的に配列したメモリセルアレイである。各メモリセルの一端(ダイオード側)を第2方向と第3方向に平行で、第1方向に垂直な平面プレート状のデータ線D1〜Dnに接続し、他端(可変抵抗素子側)を第1方向に延伸するビット線B11〜B3mに接続してなる。このため、第1方向に同じ位置のメモリセルの一端同士は、第2方向及び第3方向に相互に接続され、同一の平面プレート状のデータ線に接続されている。当該データ線は、選択回路29を介して、第1データ線電圧調整回路27、第2データ線電圧調整回路28、及び、データ線デコーダ22と接続している。
【0089】
尚、図11では、図面が煩雑になるのを避けるため、複数層(ここでは、3層)の二次元メモリセルアレイ10のうち、最も手前にあるメモリセルアレイ10のみ表示し、奥にあるメモリセルアレイの図示は割愛している。
【0090】
第1方向に延伸するビット線は、夫々、メモリセルが配置される領域に対し第1方向に隣接して配置される選択トランジスタアレイ61内の個々の選択トランジスタと接続し、当該選択トランジスタを介して第2ビット線B1’〜B3’と接続している。図12に選択トランジスタアレイの回路構成例を示す。
【0091】
選択トランジスタアレイ61は、トランジスタ63が第2方向及び第3方向に夫々複数(図12ではm×n個)、二次元マトリクス上に配列されてなり、個々のトランジスタ63のソース端子が、夫々、第1方向に延伸するビット線B11〜B3mに格別に接続されている。また、第3方向に同じ位置のトランジスタ63のドレイン端子が、第2方向に延伸する共通の第2ビット線B1’〜B3’に接続されている。言い換えると、ビット線B11〜B3mは、夫々、対応する選択トランジスタアレイ61上のトランジスタを介して第2ビット線B1’〜B3’と各別に接続し、第3方向に同じ位置のビット線毎に第2方向に延伸する第2ビット線B1’〜B3’の何れかにまとめられている。第2ビット線B1’〜B3’はビット線電圧調整回路25、切替回路26、及び、ビット線電圧発生回路23を介してビット線デコーダ21と接続している。一方、個々のトランジスタ63のうち、第2方向に同じ位置のトランジスタのゲート端子同士が、夫々、第3方向に延伸するワード線W1〜Wmに各別に接続されている。ワード線W1〜Wmはワード線デコーダ62に接続される。即ち、本発明装置102は、ワード線W1〜Wmと第2ビット線B1’〜B3’によりビット線の選択を行う構成であり、ビット線デコーダ21と併せて、選択トランジスタアレイ61とワード線デコーダ62が、選択ビット線または非選択ビット線の何れかに設定するビット線選択回路としての役割を有している。
【0092】
本発明装置102は、データ線デコーダ22が三次元メモリセルアレイ50内の動作対象のメモリセルの第1方向の位置を選択し、ワード線デコーダ62が第2方向の位置を選択し、ビット線デコーダ21が第3方向の位置を選択して、選択されたビット線に第2ビット線を介して第1電圧Vread(例えば、0V)を、非選択のビット線に第2ビット線を介して第2電圧Vbias(例えば、0.5V)を、選択或いは非選択のデータ線に第2電圧Vbiasを、夫々印加することにより、選択されたメモリセルの読み出しを行うことができる。
【0093】
ビット線デコーダ21、データ線デコーダ22、ビット線電圧発生回路23、データ線電圧発生回路24、ビット線電圧調整回路25、切替回路26、第1データ線電圧調整回路27、第2データ線電圧調整回路28、選択回路29、及び、センス回路17の具体的な構成については、夫々、第1実施形態と同様であるので説明を割愛する。
【0094】
上記のメモリセルアレイ50は、層間絶縁膜とデータ線となるプレート電極層の多層構造を形成後、当該多層構造を貫通する複数の孔を穿ち、当該孔の内壁に可変抵抗体膜、及び可変抵抗素子の電極を堆積し、その後、ビット線となる金属材料で孔内を充填することにより形成できる。図13にメモリセルアレイ50の断面構造の一例を示す。図13はデータ線としてのプレート電極が4層に積層されたメモリセルアレイ50の例であり、図11の第3方向に垂直な面における断面構造図である。
【0095】
基板上に、例えばp型多結晶シリコン膜で形成されたプレート電極71が4層、層間絶縁膜72を介して第1方向に互いに分離されて積層されている。当該積層膜を貫通し、基板に達する深さの複数の貫通孔73が形成され、当該貫通孔73は、その内側壁が可変抵抗体74、及び第1電極75で覆われるとともに、ビット線となる金属膜76により充填されている。
【0096】
プレート電極71の可変抵抗体74側の端部には、貫通孔73からn型の不純物が拡散されてn型領域81が形成されており、これにより、プレート電極71の可変抵抗体74側の端部にPN接合によるダイオード12が形成されている。プレート電極71は、当該n型領域と接触する端部においてダイオード12のカソード電極を構成するとともに、可変抵抗素子の第2電極を兼ねている。可変抵抗体74を構成する金属酸化膜は第1方向に連続して形成されているが、初期化処理前は高抵抗状態であり、層間絶縁膜72と対向している部分は初期化されないため、可変抵抗素子11は第1方向に複数分離して形成されることになる。この結果、可変抵抗素子11、及び、ダイオード12からなるメモリセルMが、第1方向に複数分離して形成される。
【0097】
基板上には、ドレイン領域77、ソース領域78、チャネル領域79、及び、ゲート電極80からなるトランジスタ63が、二次元マトリクス状に配列して形成され、選択トランジスタアレイ62が形成されており、各トランジスタ63のソース領域78が、夫々、貫通孔73を充填する第1電極75及び金属膜(ビット線)76と各別に接続する。各トランジスタ63のドレイン拡散領域77は、夫々、貫通孔82を介して第2方向に延伸する第2ビット線83と接続する。また、第2方向に同じ位置のトランジスタ63のゲート電極80同士は相互に接続され、第3方向に延伸するワード線となって、ワード線デコーダ62に接続される。
【0098】
上記本発明装置102は、データ線と接続するダイオードを個々のメモリセルに備えることにより、選択データ線および非選択データ線を介したリーク電流が低減される上、更に、ビット線電圧調整回路25、第1データ線電圧調整回路27,第2データ線電圧調整回路28、及び、切替回路26の働きにより、ビット線およびデータ線の夫々に印加される電圧が、可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず、規定の電位に直ちに固定されるため、より効果的にリーク電流を抑えることができる。更に、予期しないデータ線およびビット線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待でき、かつ、大容量化が可能になる。
【0099】
〈第4実施形態〉
上記第3実施形態では、データ線が平面プレート状であり、ビット線が一次元の配線であり、ビット線側から読み出し用の第1電圧を印加して読み出しを行う構成について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。ビット線が平面プレート状であり、データ線が一次元の配線であり、平面プレート状のビット線側から読み出し用の第1電圧を印加して読み出しを行う構成も可能である。その場合の概略構成を示す回路ブロック図を図14に示す。
【0100】
図14に示される不揮発性半導体装置103(以下、適宜「本発明装置103」と称す)では、三次元メモリセルアレイ50aが、各メモリセルの一端(可変抵抗素子側)を第2方向(図14の縦方向)に延伸するデータ線D11〜D3mに接続し、各メモリセルの他端(ダイオード側)を第1方向(図14の横方向)と第3方向(図14の奥行き方向)に平行で、第2方向に垂直な平面プレート状のビット線B1〜Bnに接続してなる。このため、第2方向に同じ位置のメモリセルの他端同士は、第1方向及び第3方向に相互に接続され、同一の平面プレート状のビット線に接続されている。尚、図14では、図11と同様、図面が煩雑になるのを避けるため、複数層(ここでは、3層)の二次元メモリセルアレイ10のうち、最も手前にあるメモリセルアレイ10のみ表示し、奥にあるメモリセルアレイの図示は割愛している。
【0101】
第2方向に延伸するデータ線D11〜D3mは、夫々、メモリセルが配置される領域に対して第2方向に隣接して配置される選択トランジスタアレイ61aの個々の選択トランジスタ63と接続し、当該選択トランジスタを介して第2データ線D1’〜D3’と接続している。個々のトランジスタ63のうち、第1方向に同じ位置のトランジスタのゲート端子同士が、夫々、第3方向に延伸するワード線W1〜Wmに各別に接続された上、ワード線がワード線デコーダ62に接続される。
【0102】
選択トランジスタアレイ61aは、トランジスタ63が第1方向及び第3方向に夫々複数(m×n個)、二次元マトリクス上に配列されてなるが、具体的な回路構成は図12と同様であるので説明を割愛する。図12において、ビット線B11〜B3mをデータ線D11〜D3mに、第2ビット線B1’〜B3’を第2データ線D1’〜D3’に、夫々、読みかえればよい。
【0103】
本発明装置103は、ワード線W1〜Wmと第2データ線D1’〜D3’によりデータ線D11〜D3mの選択を行う構成であり、データ線デコーダ22、及び、選択回路29と併せて、選択トランジスタアレイ61aとワード線デコーダ62が、データ線を選択データ線または非選択データ線の何れかに設定するデータ線選択回路としての役割を有している。即ち、本発明装置103は、ワード線デコーダ62が三次元メモリセルアレイ50a内の動作対象のメモリセルの第1方向の位置を選択し、ビット線デコーダ21が第2方向の位置を選択し、データ線デコーダ22が第3方向の位置を選択して、選択されたビット線に第1電圧Vread(例えば、0.5V)を、非選択のビット線に第2電圧Vbias(例えば、0V)を、選択或いは非選択のデータ線に第2データ線を介して第2電圧Vbiasを、夫々印加することにより、選択されたメモリセルの読み出しを行うことができる。
【0104】
上記本発明装置103は、ビット線と接続するダイオードをメモリセルに備えることにより、選択ビット線および非選択ビット線を介したリーク電流が低減される上、更に、ビット線電圧調整回路25、第1データ線電圧調整回路27,第2データ線電圧調整回路28、及び、切替回路26の働きにより、ビット線およびデータ線の夫々に印加される電圧が、可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず、規定の電位に直ちに固定されるため、より効果的にリーク電流を抑えることができる。更に、予期しないデータ線およびビット線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待でき、かつ、大容量化が可能になる。
【0105】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施形態の一例である。本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0106】
以下に、別実施形態について説明する。
【0107】
〈1〉上記実施形態において、センス回路17は複数有していてもよい。その場合、各センス回路17を夫々別の選択ビット線に接続することで、同時に複数の選択されたメモリセルの読み出しを行うことができる。その場合、選択データ線と少なくとも同数の第2データ線電圧調整回路28を有し、夫々を、センス回路17の入力と各別に接続し、選択回路29を介して選択データ線と各別に接続することで、選択データ線の電位が固定された状態で読み出しを行うことができる。
【0108】
〈2〉上記第1実施形態は、ビット線電圧発生回路23とビット線電圧調整回路25の間に切替回路26を備え、第1データ線電圧調整回路27により固定された第2電圧Vbiasを、切替回路26、及び、ビット線電圧調整回路25を介して非選択ビット線に供給することで、非選択ビット線の電位を確実にデータ線と同じ第2電圧Vbiasに固定する構成であるが、非選択ビット線の電位変動がそれ程大きくないと想定される場合には、切替回路26を省略し、ビット線電圧発生回路23が発生した第1電圧Vread又は第2電圧Vbiasの何れかを直接、ビット線電圧調整回路のオペアンプ31の非反転入力端子に入力する構成としてもよい。
【0109】
〈3〉同様に、上記第2実施形態は、データ線電圧発生回路24が発生し、第1データ線電圧調整回路27により固定され、更に第1のビット線電圧調整回路25aにより固定された第2電圧Vbiasを非選択ビット線に供給する構成であるが、非選択ビット線の電位変動がそれ程大きくないと想定される場合には、第1データ線電圧調整回路27を介さず、ビット線電圧発生回路23が発生し、第1のビット線電圧調整回路により固定された第2電圧Vbiasを非選択ビット線に構成する構成としてもよい。
【0110】
〈4〉上記第2実施形態において、非選択ビット線には、第1データ線電圧調整回路27により固定され、更に第1のビット線電圧調整回路25aにより固定された第2電圧Vbiasが印加されているが、第1のビット線電圧調整回路25aを介さず、直接、第1データ線電圧調整回路により固定された電圧を選択回路29bの入力とすることも可能である。その場合、第1データ線電圧調整回路27が第1のビット線電圧調整回路25aを兼ねるとともに、第2電圧Vbiasを発生する機能については、データ線電圧発生回路24がビット線電圧発生回路23を兼ねることになる。
【0111】
〈5〉上記第3実施形態は、ビット線電圧供給回路15、データ線電圧供給回路16については第1実施形態に係る本発明装置100の回路構成を用い、三次元メモリセルアレイ50の読み出しを行う構成であるが、ビット線電圧供給回路15については第2実施形態の回路構成を用いることも可能である。図15は第2実施形態に係る本発明装置101に対し、三次元のメモリセルアレイ構成を採用した不揮発性半導体記憶装置104(以下、適宜「本発明装置104」と称す)の回路ブロック図である。図15に示される三次元メモリセルアレイ50は、第3実施形態と同様、各メモリセルの一端(ダイオード側)を第2方向と第3方向に並行で、第1方向に垂直な平面プレート状のデータ線D1〜Dnに接続し、他端(可変抵抗素子側)を第1方向に延伸するビット線B11〜B3mに接続してなる。各ビット線は選択トランジスタアレイ内の対応するトランジスタを介して第2ビット線と接続される。ビット線デコーダ21及び選択回路29bにより第2ビット線が選択される。
【0112】
同様に、上記第4実施形態において示した本発明装置103についても、ビット線電圧供給回路15については第2実施形態の回路構成を用いることも可能である。図16は第2実施形態に係る本発明装置101に対し、本発明装置103の三次元セルアレイ構成を採用した不揮発性半導体記憶装置105(本発明装置105)の回路ブロック図である。
【0113】
上記本発明装置104及び本発明装置105も、第1のビット線電圧調整回路25a、第2のビット線電圧調整回路25b、第1データ線電圧調整回路27、第2データ線電圧調整回路28、及び、選択回路29,29bの働きにより、ビット線およびデータ線の夫々に印加される電圧が、可変抵抗素子の抵抗値分布に依らず、規定の電位に直ちに固定されるため、リーク電流を抑えることができる。更に、予期しないデータ線およびビット線の電圧変動により可変抵抗素子の抵抗値が書き換えられてしまうことを防ぐことができるため、ディスターブが抑制され、読み出しマージンの向上が期待でき、かつ、大容量化が可能になる。
【0114】
〈6〉上記第3及び第4実施形態並びに別実施形態に係る本発明装置102〜105は、選択トランジスタアレイ内において、ワード線が第3方向に延伸し、第2ビット線あるいは第2データ線が第3方向に垂直な第1方向あるいは第2方向に延伸している構成であるが、第2ビット線あるいは第2データ線が第3方向に延伸し、ワード線を第3方向に垂直な第1方向あるいは第2方向に延伸する構成としても構わない。
【0115】
〈7〉上記第1乃至第4実施形態において、一の第1データ線電圧調整回路27、及び、一の第2データ線電圧調整回路28を備え、当該第1データ線電圧調整回路27が全ての非選択データ線の電位を第2電圧Vbiasに固定し、当該第2データ線電圧調整回路28が選択データ線の電位を第2電圧Vbiasに固定する場合の構成例を説明しているが、第1データ線電圧調整回路27、及び、第2データ線電圧調整回路28は、夫々、複数備えていてもよい。第1データ線電圧調整回路27が複数ある場合は、例えば、データ線を第1データ線電圧調整回路27の個数だけグループに分け、当該データ線のグループ毎に、対応する第1データ線電圧調整回路27が選択回路29を介して非選択データ線に固定された第2電圧を供給する構成とする。更に、第2データ線電圧調整回路28を複数備えることで、上述の通り、複数の選択データ線に対して対応する第2データ線電圧調整回路28により固定された第2電圧を各別に印加して、複数の選択メモリセルに対して同時に読み出しを行うことができる。これは、上記別実施形態に係る本発明装置104及び105についても同様である。尚、本発明装置103及び105の場合は、例えば、第2データ線を第1データ線電圧調整回路27の個数だけグループに分け、当該第2データ線のグループ毎に、対応する第1データ線電圧調整回路27が選択回路29b、及び、選択トランジスタアレイ61aを介して非選択データ線に固定された第2電圧を供給する構成とする。
【0116】
〈8〉同様に、上記第2実施形態において、一の第1のビット線電圧調整回路25a、及び、一の第2のビット線電圧調整回路25bを備え、当該第1のビット線電圧調整回路25aが全ての非選択ビット線の電位を第2電圧Vbiasに固定し、当該第2のビット線電圧調整回路25bが選択ビット線の電位を第1電圧Vreadに固定する場合の構成例を説明しているが、第1のビット線電圧調整回路25a、及び、第2のビット線電圧調整回路25bは、夫々、複数備えていてもよい。第1のビット線電圧調整回路25aが複数ある場合は、例えば、ビット線を第1のビット線電圧調整回路25aの個数だけグループに分け、当該ビット線のグループ毎に、対応する第1のビット線電圧調整回路25aが選択回路29bを介して非選択ビット線に固定された第2電圧を供給する構成とする。これは、上記別実施形態に係る本発明装置104、105についても同様である。尚、本発明装置104の場合は、例えば、第2ビット線を第1のビット線電圧調整回路25aの個数だけグループに分け、当該第2ビット線のグループ毎に、対応する第1データ線電圧調整回路25aが選択回路29b、及び、選択トランジスタアレイ61を介して非選択ビット線に固定された第2電圧を供給する構成とする。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置に利用可能であり、電気抵抗の変化により情報を記憶する不揮発性の可変抵抗素子を備える不揮発性半導体記憶装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0118】
10,90: メモリセルアレイ
11: 可変抵抗素子
12: 電流制限素子(ダイオード)
15: ビット線電圧供給回路
16: データ線電圧供給回路
17: センス回路
21: ビット線デコーダ
22: データ線デコーダ
23: ビット線電圧発生回路
24: データ線電圧発生回路
25: ビット線電圧調整回路
25a: 第1のビット線電圧調整回路
25b: 第2のビット線電圧調整回路
26: 切替回路
27: 第1データ線電圧調整回路
28: 第2データ線電圧調整回路
29,29b: 選択回路
31,33,35: 演算増幅器
32,34,36〜38,41,42,92: MOSトランジスタ
39,39a,39b,43,93: インバータ
50,50a: 三次元メモリセルアレイ
61,61a: 選択トランジスタアレイ
62: ワード線デコーダ
63: 選択トランジスタ
71: プレート電極
72: 層間絶縁膜
73,82: 貫通孔
74: 可変抵抗体
75: 第1電極
76: 金属膜(ビット線)
77: トランジスタのドレイン領域
78: トランジスタのソース領域
79: トランジスタのチャネル領域
80: ゲート電極
81: n型の不純物領域
83: 第2ビット線
91: 従来技術に係る電圧抑制回路
100〜105: 本発明に係る不揮発性半導体記憶装置
B1〜Bn,B11〜B3m: ビット線
B1’〜B3’:第2ビット線
D1〜Dn,D11〜D3m: データ線
D1’〜D3’: 第2データ線
IA,IB: 電流経路
M,M11〜M33: メモリセル
in,Vin,Vout:演算増幅器の各端子の電圧
W1〜Wm: ワード線
#A〜#I: メモリセルアレイ内のノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気抵抗の変化により情報を記憶する不揮発性の可変抵抗素子を備えた二端子型のメモリセルを、互いに垂直な第1方向及び第2方向に夫々複数、マトリクス状に配列し、前記第1方向に延伸する複数のビット線と前記第2方向に延伸する複数のデータ線を備え、前記第1方向に同じ位置の前記メモリセルの一端同士を前記データ線に接続し、前記第2方向に同じ位置の前記メモリセルの他端同士を前記ビット線に接続してなる二次元メモリセルアレイを有する不揮発性半導体記憶装置であって、
前記ビット線の夫々に対して、読み出し対象として選択された前記メモリセルの他端と接続する選択ビット線に所定の第1電圧を供給し、読み出し対象ではない非選択の前記メモリセルの他端と接続する非選択ビット線に所定の第2電圧を供給するビット線電圧供給回路と、
読み出し対象として選択された前記メモリセルの一端と接続する選択データ線、及び、読み出し対象ではない非選択の前記メモリセルの一端と接続する非選択データ線の夫々に前記第2電圧を供給するデータ線電圧供給回路と、
読み出し時において、前記選択データ線に流れる電流を前記非選択データ線に流れる電流と分離して検知し、選択された前記メモリセルの電気抵抗状態を検知するセンス回路と、を備え、
前記データ線電圧供給回路は、前記データ線を格別に前記選択データ線または前記非選択データ線の何れかに設定するデータ線選択回路を備え、
前記ビット線電圧供給回路は、前記ビット線を格別に前記選択ビット線または前記非選択ビット線の何れかに設定するビット線選択回路と、
ビット線電圧調整回路とを備え、
前記ビット線電圧調整回路は、第1の演算増幅器と、ゲート端子が前記第1の演算増幅器の出力端子と接続し、ドレイン端子が前記第1の演算増幅器の反転入力端子と接続し、ソース端子が所定の固定電位と接続するMOSトランジスタを備え、
前記第1の演算増幅器の非反転入力端子に前記第1電圧または前記第2電圧の何れかが印加されることで、前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第1の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第1電圧または前記第2電圧の何れかに固定し、
前記固定された電圧を、前記MOSトランジスタから、前記MOSトランジスタのドレイン端子と前記第1の演算増幅器の反転入力端子との接続ノードを介して前記ビット線に供給することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記ビット線毎に、或いは、所定数の前記ビット線同士を選択素子を介して接続する前記ビット線群毎に、前記ビット線電圧調整回路を備え、
前記ビット線が前記選択ビット線であるか、或いは、前記ビット線群に前記選択ビット線が含まれる場合、前記ビット線選択回路の出力に応じて、対応する前記ビット線電圧調整回路の前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第1の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第1電圧に固定し、
前記ビット線が前記非選択ビット線であるか、或いは、前記ビット線群に属する前記ビット線の全てが前記非選択ビット線の場合、前記ビット線選択回路の出力に応じて、対応する前記ビット線電圧調整回路の前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第1の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定することを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記ビット線電圧供給回路は、
前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第1の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定し、前記固定された前記第2電圧を、前記MOSトランジスタのドレイン端子と前記第1の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び前記ビット線選択回路を介して前記非選択ビット線に供給する第1の前記ビット線電圧調整回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記ビット線電圧供給回路は、
前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第1の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第1電圧に固定し、前記固定された前記第1電圧を、前記MOSトランジスタのドレイン端子と前記第1の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び前記ビット線選択回路を介して前記選択ビット線に供給する第2の前記ビット線電圧調整回路を備えることを特徴とする請求項3に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記データ線電圧供給回路は、第1データ線電圧調整回路を備え、
前記第1データ線電圧調整回路は、
第2の演算増幅器と、ゲート端子が前記第2の演算増幅器の出力端子と接続し、ドレイン端子が前記第2の演算増幅器の反転入力端子と接続し、ソース端子が所定の固定電位と接続する第2のMOSトランジスタを備え、
前記第2の演算増幅器の非反転入力端子に前記第2電圧が印加されることで、前記第2の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第2の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定し、
前記固定された前記第2電圧を、前記第2のMOSトランジスタから、前記第2のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第2の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び、前記データ線選択回路を介して前記非選択データ線に供給することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記選択データ線と少なくとも同数の前記センス回路を有し、
前記データ線電圧供給回路は、前記選択データ線と少なくとも同数の第2データ線電圧調整回路を備え、
前記第2データ線電圧調整回路の夫々は、
第3の演算増幅器と、ゲート端子が前記第3の演算増幅器の出力端子と接続し、ドレイン端子が前記第3の演算増幅器の反転入力端子と接続し、ソース端子が所定の固定電位と接続する第3のMOSトランジスタを備え、
前記第3の演算増幅器の非反転入力端子に前記第2電圧が印加されることで、前記第3の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第3の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定し、
前記固定された前記第2電圧を、前記第3のMOSトランジスタから、前記第3のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第3の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び、前記データ線選択回路を介して前記選択データ線に各別に供給するとともに、前記第3のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第3の演算増幅器の反転入力端子との接続ノードを介して前記センス回路の入力側に各別に供給することを特徴とする請求項5に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
前記ビット線電圧供給回路は、
前記第1の演算増幅器の反転入力端子の電圧である固定された前記第2電圧に代えて、前記第2の演算増幅器の反転入力端子の電圧である固定された前記第2電圧を直接或いは前記ビット線選択回路を介して前記非選択ビット線に供給するための回路を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】
電気抵抗の変化により情報を記憶する不揮発性の可変抵抗素子を備えた二端子型のメモリセルを、互いに垂直な第1方向及び第2方向に夫々複数、マトリクス状に配列し、前記第1方向に延伸する複数のビット線と前記第2方向に延伸する複数のデータ線を備え、前記第1方向に同じ位置の前記メモリセルの一端同士を前記データ線に接続し、前記第2方向に同じ位置の前記メモリセルの他端同士を前記ビット線に接続してなる二次元メモリセルアレイを有する不揮発性半導体記憶装置であって、
前記ビット線の夫々に対して、読み出し対象として選択された前記メモリセルの他端と接続する選択ビット線に所定の第1電圧を供給し、読み出し対象ではない非選択の前記メモリセルの他端と接続する非選択ビット線に所定の第2電圧を供給するビット線電圧供給回路と、
読み出し対象として選択された前記メモリセルの一端と接続する選択データ線、及び、読み出し対象ではない非選択の前記メモリセルの一端と接続する非選択データ線の夫々に前記第2電圧を供給するデータ線電圧供給回路と、
読み出し時において、前記選択データ線に流れる電流を前記非選択データ線に流れる電流と分離して検知し、選択された前記メモリセルの電気抵抗状態を検知するセンス回路と、を備え、
前記ビット線電圧供給回路は、前記ビット線を格別に前記選択ビット線または前記非選択ビット線の何れかに設定するビット線選択回路を備え、
前記データ線電圧供給回路は、前記データ線を格別に前記選択データ線または前記非選択データ線の何れかに設定するデータ線選択回路を備え、
前記データ線電圧供給回路は、第1データ線電圧調整回路を備え、
前記第1データ線電圧調整回路は、
第2の演算増幅器と、ゲート端子が前記第2の演算増幅器の出力端子と接続し、ドレイン端子が前記第2の演算増幅器の反転入力端子と接続し、ソース端子が所定の固定電位と接続する第2のMOSトランジスタを備え、
前記第2の演算増幅器の非反転入力端子に前記第2電圧が印加されることで、前記第2の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第2の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定し、
前記固定された前記第2電圧を、前記第2のMOSトランジスタから、前記第2のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第2の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び、前記データ線選択回路を介して前記非選択データ線に供給することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項9】
前記選択データ線と少なくとも同数の前記センス回路を有し、
前記データ線電圧供給回路は、前記選択データ線と少なくとも同数の第2データ線電圧調整回路を備え、
前記第2データ線電圧調整回路の夫々は、
第3の演算増幅器と、ゲート端子が前記第3の演算増幅器の出力端子と接続し、ドレイン端子が前記第3の演算増幅器の反転入力端子と接続し、ソース端子が所定の固定電位と接続する第3のMOSトランジスタを備え、
前記第3の演算増幅器の非反転入力端子に前記第2電圧が印加されることで、前記第3の演算増幅器の反転入力端子の電圧を前記第3の演算増幅器の非反転入力端子の電圧である前記第2電圧に固定し、
前記固定された前記第2電圧を、前記第3のMOSトランジスタから、前記第3のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第3の演算増幅器の反転入力端子との接続ノード、及び、前記データ線選択回路を介して前記選択データ線に各別に供給するとともに、前記第3のMOSトランジスタのドレイン端子と前記第3の演算増幅器の反転入力端子との接続ノードを介して前記センス回路の入力側に各別に供給することを特徴とする請求項8に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項10】
複数の前記二次元メモリセルアレイを前記第1方向と前記第2方向に垂直な第3方向に重ねて配置した三次元メモリセルアレイを有し、
前記データ線は、前記第1方向に同じ位置の前記メモリセルの一端同士を前記第2方向及び前記第3方向に接続してなり、
前記ビット線選択回路は、前記ビット線を選択するための選択トランジスタを、前記第2方向と前記第3方向に夫々複数二次元マトリクス状に、前記メモリセルの配置領域に対して前記第1方向に隣接して配置した選択トランジスタアレイを有し、
前記第2方向または前記第3方向の何れか一方に同じ位置の前記ビット線は、夫々、対応する前記選択トランジスタを介して共通の第2ビット線と接続し、
前記第2方向または前記第3方向の何れか他方に同じ位置の前記選択トランジスタの制御端子同士が、夫々、前記第2方向または前記第3方向の何れか一方に延伸するワード線と接続され、
前記第2ビット線および前記ワード線により前記ビット線が選択され、前記第2ビット線を介して前記選択ビット線に前記第1電圧が、前記非選択ビット線に前記第2電圧が供給されることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項11】
複数の前記二次元メモリセルアレイを前記第1方向と前記第2方向に垂直な第3方向に重ねて配置した三次元メモリセルアレイを有し、
前記ビット線は、前記第2方向に同じ位置の前記メモリセルの他端同士を前記第1方向及び前記第3方向に接続してなり、
前記データ線選択回路は、前記データ線を選択するための選択トランジスタを、前記第1方向と前記第3方向に夫々複数二次元マトリクス状に、前記メモリセルの配置領域に対して前記第2方向に隣接して配置した選択トランジスタアレイを有し、
前記第1方向または前記第3方向の何れか一方に同じ位置の前記データ線は、夫々、対応する前記選択トランジスタを介して共通の第2データ線と接続し、
前記第1方向または前記第3方向の何れか他方に同じ位置の前記選択トランジスタの制御端子同士が、夫々、前記第1方向または前記第3方向の何れか一方に延伸するワード線と接続され、
前記第2データ線および前記ワード線により前記データ線が選択され、前記第2データ線を介して前記選択データ線および前記非選択データ線に前記第2電圧が供給されることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−192371(P2011−192371A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60188(P2010−60188)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構の助成事業「遷移金属酸化物を用いた超大容量不揮発性メモリとその極微細加工プロセスに関する研究開発」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(504160781)国立大学法人金沢大学 (282)