不断流穿孔用の分岐装置
【課題】安価で、かつ、短い穿孔ストロークで、土被りが浅い場合にも工事を行い得る不断流穿孔用の分岐装置を提供する。
【解決手段】既設管1の周方向Rに分割された複数個の分割ケース21,22と、複数の分割ケース21,22のうちの第1分割ケース21に一体に形成され、既設管1の径方向Cに突出して分岐する分岐管部27とを有する密閉ケース20と、分割ケース20の内周面29と既設管1の外周面13との間において、既設管1の周方向Rに沿って回転することにより、分岐管部27の開口28を開閉する断面円弧状ないし円形の弁体5と、弁体5を回転させるための回転機構50とを備えている。
【解決手段】既設管1の周方向Rに分割された複数個の分割ケース21,22と、複数の分割ケース21,22のうちの第1分割ケース21に一体に形成され、既設管1の径方向Cに突出して分岐する分岐管部27とを有する密閉ケース20と、分割ケース20の内周面29と既設管1の外周面13との間において、既設管1の周方向Rに沿って回転することにより、分岐管部27の開口28を開閉する断面円弧状ないし円形の弁体5と、弁体5を回転させるための回転機構50とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道やガスなどの既設管から分岐を取り出すのに適した不断流穿孔用の分岐装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホールソーを備えた穿孔機を用いて不断水下で既設管の一部を穿孔する工法は周知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−321109(要約)
【0003】
この種の穿孔工事の基本的な手順等について簡単に説明する。
まず、図20Aに示すように、既設管1の一部を一対の分割ケース21,22からなる密閉ケース2で覆う。前記第1分割ケース21には仕切弁の弁体100が設けられている。その後、前記第1分割ケース21に穿孔機3を取り付ける。
【0004】
この状態で、図20Bのように、穿孔機3を運転し、主軸を回しながら先端のホールソー4で既設管1に円形の開孔11をあける。その後、図20Cのようにホールソー4を後退させた後、弁体100を閉弁する。こうして穿孔工事が終了した後に、穿孔機3を取り外し、第1分割ケース21に所定の分岐配管を連ね弁体100を開弁することで分岐工事が完了する。
【発明の開示】
【0005】
しかし、かかる従来の装置においては、上下動する弁体100を収容するための大きな弁箱が別途必要となる。そのため、コストアップを招く。
【0006】
また、弁体100が既設管1から離れたところで上下に移動するため、ホールソー4を進退させるストロークが長くなる。そのため、穿孔機3の大型化を招く。
【0007】
さらに、弁体100が上下動するため、弁の操作キャップ101の高さが高くなるので、必要となる土被りが深くなる。
【0008】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、安価で、かつ、短い穿孔ストロークで、土被りが浅い場合にも工事を行い得る不断流穿孔用の分岐装置を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、ホールソーを備えた穿孔機で、既設管の管壁の一部を穿孔して前記管壁に開孔を形成し、当該既設管に分岐配管を接続するのに適した不断流穿孔用の分岐装置であって、既設管の周方向に分割された複数個の分割ケースと、前記複数の分割ケースのうちの第1分割ケースに一体に形成され、既設管の径方向に突出して分岐する分岐管部とを有する密閉ケースと、前記分割ケースの内周面と既設管の外周面との間において、既設管の周方向に沿って回転することにより、前記分岐管部の分岐孔を開閉する横断面円弧状ないし円形の弁体と、前記第1分割ケースにおける内周面に形成され前記弁体が閉弁時に接触する弁座と、前記弁体を回転させるための回転機構とを備えている。
【0010】
本発明によれば、横断面円弧状ないし円形の弁体が密閉ケースと既設管との隙間を、既設管に沿って回転するから、弁箱や弁蓋などの弁体を収容する部分を別途設ける必要がない。そのため、装置が安価で小型になる。
また、円弧状の弁体は平板状の弁体に比べ曲げ強度も大きくなるので、弁体を薄くすることが可能となる。
また、前記弁体を収容する部分が不必要となったのに伴い、穿孔のストロークが短くなる。
更に、弁体が上下動するのではなく、既設管の外周面に沿って回転するから、弁の高さが低くなる。その結果、浅い土被りでも施工が可能となる。
【0011】
本発明の好的な実施例では、前記弁体は横断面円弧状で、前記開孔を覆いかつ前記分岐孔を閉塞した閉弁位置と前記開孔を覆わずに前記開孔と前記分岐孔とが連通した開弁位置との間を前記既設管の周方向に沿って往復移動可能であり、前記開弁位置から前記閉弁位置に前記弁体が回転移動するのに従い、前記弁体と前記弁座との前記既設管の径方向の距離が小さくなるように前記弁体および前記弁座が形成されている。
【0012】
この実施例の場合、前記弁体との前記弁座の接触面の曲率半径は、前記開弁位置から前記閉弁位置に前記弁体が近づくに従い連続的に、かつ、徐々に小さくなるように形成されるであろう。
【0013】
この実施例の場合、弁体を閉弁方向に回転させるのに従い弁体が弁座に圧接するので、閉弁時の水密性能が向上する。
【0014】
本発明の別の好的な実施例では、前記閉弁位置において、前記弁体が更に閉弁方向に進むに従い前記弁体が前記弁座に圧接するように前記弁体を前記径方向の外方に向って押す押圧部を有する。
この場合も、弁体が弁座に圧接するので、閉弁時の水密性能が向上する。
【0015】
本発明の更に別の好的な実施例では、前記弁体は前記既設管の外周面に沿って湾曲した凹面と、前記閉弁位置において前記分岐孔に対向する凸面とを備え、前記回転機構は、前記密閉ケースの外から回転操作される操作ギヤと、前記操作ギヤに歯合し、前記操作ギヤの回転で前記周方向に回転することにより弁体を開閉する従動ギヤとを備え、前記従動ギヤが前記弁体の前記凸面に形成され、前記凸面における前記弁座に接触する接触面が前記従動ギヤの表面よりも前記既設管の管径方向に突出している。
【0016】
この実施例の場合、弁体の接触面が従動ギヤの表面よりも径方向に突出しているので、従動ギヤの歯が水密を妨げるおそれがない。
【0017】
本発明において、前記回転機構は、前記密閉ケースの外から回転操作される操作ギヤと、前記操作ギヤに歯合し、前記操作ギヤの回転で前記周方向に回転することにより弁体を開閉する従動ギヤとを備えているのが好ましい。
【0018】
この場合、密閉ケースの外から操作ギヤを操作することにより弁体を回転させて開閉操作を行うことができる。
【0019】
本発明においては、前記分岐管部の軸線に直交する仮想平面に対して傾斜した傾斜面において、前記密閉ケースが2つの前記分割ケースに分割されていると共に、前記2つの分割ケースが結合部において互いに結合されており、このように傾斜面において密閉ケースが分割されていることで、前記第1分割ケースにおける前記分岐管部と前記結合部との間の距離は下部に比べ上部が広くなっており、前記上部に前記操作ギヤが配置されているのが好ましい。
【0020】
結合部を傾斜させたことで、操作ギヤを配置するスペースができ、このように操作ギヤを配置することにより、弁体を円周方向に短くすることができる。その結果、弁体の小型化が図られる。
【0021】
本発明においては、前記分岐管部を有しない第2分割ケースに前記操作ギヤが設けられていてもよい。
この場合、操作ギヤを第1分割ケースに設ける必要がないので、大きな口径の穿孔が可能となる。
【0022】
本発明においては、前記弁体の回転を案内する案内部が前記密閉ケースに設けられているのが好ましい。
このように、案内部を設けることにより、弁体の回転が安定する。
【0023】
本発明においては、前記操作ギヤは、軸線が既設管の概ね管径方向に設定されたウォームと、軸線が既設管の管軸方向に平行に設定されたウォームホイールとからなり、前記従動ギヤは前記弁体に形成され前記ウォームホイールに歯合するように設定してもよい。
かかる態様によれば、弁体が自重により回転するのを防止し得る。また、減速比が大きいので、弁を開閉する際に小さな操作力で開閉することが可能となる。
【0024】
本発明において、前記分岐管部を有する第1分割ケースには、前記分岐管部の分岐孔のまわりに沿って円周状のシール用のゴムリングが装着されているのが好ましい。
閉弁時にこのゴムリングに弁体が圧接することにより、シールがなされる。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1A〜図5Bは実施例1を示す。
分岐装置2:
図1Aに示す分岐装置2は、図3Aに示すように、ホールソー4を備えた穿孔機3で、管内に流体(たとえば、水等)が流れている状態で、既設管1の管壁12の一部を穿孔し、当該既設管1から分岐を取り出す不断流穿孔に用いるものである。
【0026】
図1Aに示すように、分岐装置2は、既設管1を囲繞する密閉ケース20を有している。前記密閉ケース20は、既設管1の周方向Rに分割された第1および第2分割ケース21,22と、第1分割ケース21に一体に形成され、既設管1の管径方向Cに突出して分岐する分岐管部27とを備えている。
【0027】
分割ケース21,22:
前記第1および第2分割ケース21,22は、分岐管部27の軸線27Lに略直交する仮想平面Hに沿って分割されている。分割ケース21,22は、既設管1に対して既設管1の管径方向Cの両側方から外嵌装着され、結合部25を組立ボルト61により締結されて、組み立てられる。
【0028】
各分割ケース21,22は、既設管1の外周面13に概ね沿って湾曲した内周面29を備えている。各分割ケース21,22の結合部25および内周面29における前記既設管1の管軸方向の両端部には、それぞれ、溝状のパッキン装着部24が形成されている。該パッキン装着部24には、ゴムパッキン26が装着され、既設管1と分岐装置2との間や、第1分割ケース21と第2分割ケース22との間がシールされる。
なお、前記組み立て時には、既設管1の管軸方向における分割ケース21,22の両端部がゴムパッキンを用いて既設管1の外周面13にそれぞれシールされる(図11D参照)。
【0029】
分岐管部27:
図2Aに示すように、前記分岐管部27のたとえばフランジのような継手部71には、穿孔機3が取り付けられる。ホールソー4が分岐管部27の分岐孔28を通って、既設管1の管径方向Cに向って送り込まれることで、図3Aに示すように、既設管1の管壁12が切削されて、図3Bに示すように、該既設管1に開孔11が穿孔される。なお、ホールソー4の回転中心には、該ホールソー4の位置決めを行うためのセンタードリル41が既設管1に向って突出して設けられている。
【0030】
弁体5:
図1Aに示すように、前記分割ケース21,22には、断面円弧状の弁体5が収容されている。前記弁体5は、分割ケース21,22の内周面29と既設管1の外周面13に沿って、かつ、既設管1の周方向Rに沿って回転することにより、前記分岐管部27の分岐孔28を開閉自在する。
両分割ケース21,22には、前記円弧状の弁体5の回転を案内する案内部55(図11D参照)が一体に設けられている。
【0031】
図1Bは図1Aの弁体5を展開して示す。つまり、図1Bでは、円弧状に曲成する前の平板状の弁体5を示している。
図1Bに示すように、弁体5の管軸方向Lの両端部には、従動ギヤ51がそれぞれ設けられている。一方、図1Aに示すように、第2分割ケース22の上部には、密閉ケース20の外から回転される操作ギヤ52が設けられている。前記従動ギヤ51は、操作ギヤ52に歯合し、該操作ギヤ52の回転で前記周方向Rに回転することにより弁体5を開閉する。したがって、作業者が操作ギヤ52を回転させて、弁体5を既設管1の周方向Rに沿って回転させることにより、該弁体5を図1Aに示す開弁位置と、図4Aに示す閉弁位置に回転移動させることが可能である。
よって、従動ギヤ51および操作ギヤ52は、弁体5を回転させるための回転機構50を構成している。
【0032】
分岐管部27を有する第1分割ケース21には、前記分岐管部27の分岐孔28の周りに沿って円周状にシール用のゴムリング(弁座の一例)56が装着されている。
弁体5が、図4Aに示す閉弁位置に回転移動されると、図1Bの網点で示す弁体5の第1接触面5fがゴムリング56の第2接触面56fに密着し、図4Aに示すように、前記分岐孔28が閉塞され、分割ケース21,22および弁体5によって既設管1の開口の周囲が密閉される。
【0033】
不断流穿孔方法:
まず、図1Aの既設管1内に流体が流れている状態で、該既設管1の外周面13を囲繞するように分岐装置2を取り付ける。この取り付け後、作業者は、組立ボルト61により両分割ケース21,22を組み立てる。なお、前記弁体5は、分岐管部27の分岐孔28を塞いだ閉弁位置に予め設定される。
その後、図2Aに示すように、開弁し、更に、作業者は、分岐管部27の継手部71に、穿孔機3の継手部31をボルト32を用いて取り付ける。こうして、分岐装置2は、既設管1の一部を気密状態で囲繞する。
【0034】
前記囲繞後、図2Bに示すように、ホールソー4を回転させながら既設管1に向って穿孔方向C1に移動させると、センタードリル41が既設管1の管壁12を切削し、該センタードリル41を中心に回転するホールソー4が既設管1に対して位置決めされて、図3Aに示すように、ホールソー4によって既設管1の管壁12の一部が切り取られ開孔11が形成される。
前記センタードリル41による穿孔後、図3Bに示すように、ホールソー4を退避方向C2に移動させる。
【0035】
その後、作業者が操作ギヤ52を回転させると、該操作ギヤ52に歯合する従動ギヤ51によって、弁体5が案内部55に案内されて、前記分岐孔28の閉弁方向R1に回転され、開弁位置の弁体5が、図4Aに示す閉弁位置に移動される。前記弁体5の閉弁位置への移動により、弁体5がゴムリング56の表面に密着し、分岐孔28が閉塞されて、分割ケース21,22および弁体5によって既設管1が気密状態で囲繞される。
【0036】
その後、ボルト32を取り外し、穿孔機3を退避方向C2に移動させて、図4Bに示すように、ホールソー4を分岐装置2から取り外す。
前記穿孔機3の取り外し後、図5Aに示すように、分岐配管80を分岐管部27に取り付ける。分岐配管80の継手部81をボルト82を用いて分岐管部27の継手部71に接続する。
【0037】
その後、作業者が操作ギヤ52を回転させて、図5Bに示す開弁位置まで弁体5を開弁方向R2に回転させることにより、既設管1に分岐配管80に向って分岐を接続する工事が完了する。
【0038】
なお、分割ケースは3以上に分割されていてもよい。
各分割ケースの結合部同士を互いに溶接して、分割ケースを組み立ててもよい。 さらに、弁体は、その断面が円形であってもよい。かかる場合には、該弁体に分岐孔28に対応する孔を形成する。
【実施例2】
【0039】
図6A〜図7は実施例2を示す。
図6Aおよび図6Bに示すように、分岐装置2Aの操作ギヤ52は第1分割ケース21の上部に設けられている。また、図7に示すように、従動ギヤ51は、弁体5の片側にのみ設けられている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【実施例3】
【0040】
図8A〜図9は実施例3を示す。
図8Aおよび図8Bに示すように、本実施例3の分岐装置2Bは、分岐管部27の軸線27Lに略直交する仮想平面Hの近傍において第1分割ケース21の上部25uに、操作ギヤ52および操作キャップ101が設けられている。そのため、分割ケース21,22は、分岐管部27の軸線27Lに直交する仮想平面Hに対して傾斜した傾斜面Sfにおいて分割されている。
このように前記傾斜面Sfにおいて密閉ケース20が分割されていることで、前記第1分割ケース21における分岐管部27と、前記結合部25との間の距離は、下部25dに比べ上部25uが広くなっている。そのため、前記操作ギヤ52および操作キャップ101は、前記広くなった第1分割ケース21の上部25uに設けられている。
一方、図9に示すように、従動ギヤ51は弁体5の片側のみに設けられている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例4】
【0041】
図10A〜図12は実施例4を示す。
図10Aおよび図10Bに示すように、本実施例4の分岐装置2Cは、前述の実施例3と同様に、分割ケース21,22が、操作ギヤ52および操作キャップ101が第1分割ケース21の上部25uに設けられていると共に、分岐管部27の軸線27Lに直交する仮想平面Hに対して傾斜した傾斜面Sfにおいて分割されている。
【0042】
図10Aに示すように、操作ギヤ52は、ウォーム52aおよびウォームホイール52bからなる、いわゆるヒンドレー・ウォームギヤ(ツヅミ型ウォームギヤ)で構成されている。前記ウォーム52aは、その軸線52cが既設管1の概ね管径方向C2に平行に設定されている。一方、図11Dに示すように、ウォームホイール52bは、その軸線52dが既設管1の管軸方向Lに平行に設定されている。
図10Aおよび図10Bに示すように、従動ギヤ51は、前記ウォームホイール52bに歯合している。
【0043】
一方、図11Bに示すように、前記従動ギヤ51は弁体5の概ね中央に設けられていると共に、図11A〜図11Cに示すように、弁体5の周囲には、図12Bの閉弁位置において、ゴムリング56(図11D)に密着する密着部57が形成されている。
したがって、作業者が操作キャップ101を回転させると、弁体5が、図12Aの開弁位置から図12Bに示す閉弁位置に回転され、図11Bの密着部57が図11Dのゴムパッキン56に密着し、図10Bに示す密閉ケース20内が密閉される。
一方、操作ギヤ52は、ウォーム52aおよびウォームホイール52bから構成されているので、減速比が大きくなるから、密閉ケース20内に大きな水圧が負荷されていても、弁を開弁する際に小さな操作力で開弁することが可能となる。
【0044】
なお、図11Dに示すように、ゴムパッキン26は、分割ケース21(22)の前記管軸方向Lの両端部において、二点鎖線で示す既設管1の外周面13に密着し、該既設管1の管周を覆うように形成されている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【実施例5】
【0045】
図13A〜図14Bは実施例5を示す。
図13Bの弁体5において、網点で示す第1接触面5fは、図14Bの閉弁時にゴムリング56に接触する。前記第1接触面5fは、従動ギヤ51を周囲から完全に取り囲むように無端状に設けられている。
【0046】
図13Aおよび図14Bに示すように、前記第1接触面5fは従動ギヤ51の表面よりも径方向の外方C2に向って突出している。図13Aの前記第1接触面5fにおける基部5f1は、従動ギヤ51に近接しており、一方、第1接触面5fにおける他部5f2は、C字状に形成されている。
【0047】
図13D、図14Aおよび図14Bに示すように、結合部25の分割ライン25Lは、上部の中心において屈曲している。これにより、回転機構50が第1分割ケース21に収容されることが可能となっている。
【実施例6】
【0048】
図15A〜図17Dは実施例6を示す。
図15Aの、前記弁体5は横断面円弧状で、前記開孔11を覆いかつ前記分岐孔28を閉塞した閉弁位置と、図15Bの前記開孔11を覆わずに前記開孔11と前記分岐孔28とが連通した開弁位置との間を前記既設管1の周方向に沿って往復移動可能である。
【0049】
前記開弁位置から図15Aの前記閉弁位置に前記弁体5が回転移動するのに従い、前記弁体5と前記弁座56との前記既設管1の径方向の距離が小さくなるように前記弁体5および前記弁座56が形成されている。すなわち、前記弁体5との前記弁座56の接触面56fの曲率半径r1は、前記開弁位置から前記閉弁位置に前記弁体が近づくに従い連続的に、かつ、徐々に小さくなるように形成されている。
【0050】
本実施例の場合、図16A、図17A〜図17Cに示す弁体5の第一接触面5fには、前記弁座56の接触面56fに接触してシールするゴムライニング(水密用の部材)5rが設けられている。前記ゴムライニング5rは、ゴムの加硫成形時に弁体5の金属部分に一体に形成されるのが好ましい。この場合、シール部材が剥がれ難い。
【0051】
また、前記ゴムライニング5rは、前記弁体5の金属部分の全体を覆ってもよい。この場合、弁体5の従動ギヤ51の部位も前記ゴムライニング5rにより覆われる。従動ギヤ51に塗装を施す場合、従動ギヤ51の表面の塗装が傷み易いのに対し、ゴムライニング5rは、傷みにくい。
【0052】
図15Aの前記閉弁位置において、前記弁体5が更に閉弁方向に進むに従い前記弁体5が前記弁座56に圧接するように前記弁体5を前記径方向の外方に向って押す押圧部59が第1分割ケース21に一体に形成されている。押圧部59は弁体5が閉弁方向にオーバーランするのを防止するストッパの役割を兼ねている。
【0053】
図16Aにおいて、前記弁体5は前記既設管1の外周面13に沿って湾曲した凹面5aと、前記閉弁位置において前記分岐孔28に対向する凸面5bとを備える。前記従動ギヤ51は前記弁体5の前記凸面5bに形成されている。前記凸面5bにおける前記弁座56に接触する接触面5fは前記従動ギヤ51の表面よりも前記既設管1の管径方向C1に突出している。
【0054】
図15Bに示すように、前記第1および第2分割ケース21,22の内周面29と前記既設管1の外周面13との間には、弁体5を収容する収容空間Sが設けられている。
前記密閉ケース20には、弁体5が開弁方向にオーバーランするのを防止するストッパを設けてもよい。
【実施例7】
【0055】
図18A〜図19Bは分岐装置2Dの実施例7を示す。
密閉ケース20は、既設管1の周方向に分割された複数個の分割ケース21,22と、前記複数の分割ケース21,22のうちの第1分割ケース21に一体に形成され、既設管1の径方向に突出して分岐する分岐管部27とを有する。
【0056】
弁体5Aは、前記第1分割ケース21の内周面29と既設管1の外周面13との間において、既設管1の管軸方向に沿ってスライド移動することにより、前記分岐管部27の分岐孔28を開閉すると共に前記分岐孔28が開口した開弁状態において前記既設管1に近接対面する。
弁座56Aは、前記第1分割ケース21における内周面29に形成され前記弁体5Aが閉弁時に接触する。
前記弁体5Aを移動させるための移動機構50Aが設けられている。
本実施例の場合、前記弁体5Aは前記管壁12に沿った横断面円弧状に形成されている。
【0057】
この実施例の場合、図18Aおよび図18Bの弁体5Aは管軸方向27Lにスライド移動して前記分岐孔28を開閉する。第1分割ケース21と既設管1との間には、開弁位置の弁体5Aを収容する収容空間Sが形成されている。
【0058】
なお、本発明において、本分岐装置の密閉ケースを弁挿入のための密閉ケースと一体に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の不断流穿孔用の分岐装置は、水道やガスなどの既設管から分岐を取り出すのに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1Aは本発明の実施例1にかかる分岐装置を示す概略断面図、図1Bは弁体を示す展開図である。
【図2】不断流穿孔方法を示す概略断面図である。
【図3】不断流穿孔方法を示す概略断面図である。
【図4】不断流穿孔方法を示す概略断面図である。
【図5】不断流穿孔方法を示す概略断面図である。
【図6】実施例2にかかる分岐装置を示す概略断面図である。
【図7】同弁体を示す概略展開図である。
【図8】実施例3にかかる分岐装置を示す概略断面図である。
【図9】同弁体を示す概略展開図である。
【図10】実施例4にかかる分岐装置を示す概略断面図である。
【図11】図11A〜図11Cは同弁体の展開図および断面図、図11Dは第1分割ケースを示す概略背面図である。
【図12】同分岐装置を示す概略断面図である。
【図13】図13A、図13Bおよび図13Cは、それぞれ、実施例5にかかる弁体を展開して示す側面図、正面図および底面図、図13Dは分岐装置の一部を断面した平面図である。
【図14】図14Aおよび図14Bは、それぞれ、実施例5の分岐装置の横断面図である。
【図15】図15Aおよび図15Bは、それぞれ、実施例6の分岐装置の横断面図である。
【図16】図16Aおよび図16Bは、それぞれ、実施例6の分岐装置の横断面図である。
【図17】図17A、図17Bおよび図17Cは、それぞれ、実施例6にかかる弁体を展開して示す側面図、正面図および底面図、図17Dは分岐装置の正面図である。
【図18】図18Aおよび図18Bは、それぞれ、実施例7にかかる分岐装置の縦断面図である。
【図19】図19Aおよび図19Bは、それぞれ、実施例7にかかる分岐装置の横断面図である。
【図20】従来の不断流穿孔方法を示す一部破断した概略側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1:既設管
2,2A,2B,2C:分岐装置
3:穿孔機
4:ホールソー
5:弁体
5f:第1接触面
11:開孔
12:管壁
13:既設管の外周面
20:密閉ケース
21:第1分割ケース
22:第2分割ケース
25:結合部
27:分岐管部
27L:分岐管部の軸線
28:分岐孔
29:分割ケースの内周面
50:回転機構
51:従動ギヤ
52:操作ギヤ
55:案内部
56:弁座
56f:第2接触面
C:既設管1の管径方向
H:仮想平面
R:既設管の周方向
Sf:傾斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道やガスなどの既設管から分岐を取り出すのに適した不断流穿孔用の分岐装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホールソーを備えた穿孔機を用いて不断水下で既設管の一部を穿孔する工法は周知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−321109(要約)
【0003】
この種の穿孔工事の基本的な手順等について簡単に説明する。
まず、図20Aに示すように、既設管1の一部を一対の分割ケース21,22からなる密閉ケース2で覆う。前記第1分割ケース21には仕切弁の弁体100が設けられている。その後、前記第1分割ケース21に穿孔機3を取り付ける。
【0004】
この状態で、図20Bのように、穿孔機3を運転し、主軸を回しながら先端のホールソー4で既設管1に円形の開孔11をあける。その後、図20Cのようにホールソー4を後退させた後、弁体100を閉弁する。こうして穿孔工事が終了した後に、穿孔機3を取り外し、第1分割ケース21に所定の分岐配管を連ね弁体100を開弁することで分岐工事が完了する。
【発明の開示】
【0005】
しかし、かかる従来の装置においては、上下動する弁体100を収容するための大きな弁箱が別途必要となる。そのため、コストアップを招く。
【0006】
また、弁体100が既設管1から離れたところで上下に移動するため、ホールソー4を進退させるストロークが長くなる。そのため、穿孔機3の大型化を招く。
【0007】
さらに、弁体100が上下動するため、弁の操作キャップ101の高さが高くなるので、必要となる土被りが深くなる。
【0008】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、安価で、かつ、短い穿孔ストロークで、土被りが浅い場合にも工事を行い得る不断流穿孔用の分岐装置を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、ホールソーを備えた穿孔機で、既設管の管壁の一部を穿孔して前記管壁に開孔を形成し、当該既設管に分岐配管を接続するのに適した不断流穿孔用の分岐装置であって、既設管の周方向に分割された複数個の分割ケースと、前記複数の分割ケースのうちの第1分割ケースに一体に形成され、既設管の径方向に突出して分岐する分岐管部とを有する密閉ケースと、前記分割ケースの内周面と既設管の外周面との間において、既設管の周方向に沿って回転することにより、前記分岐管部の分岐孔を開閉する横断面円弧状ないし円形の弁体と、前記第1分割ケースにおける内周面に形成され前記弁体が閉弁時に接触する弁座と、前記弁体を回転させるための回転機構とを備えている。
【0010】
本発明によれば、横断面円弧状ないし円形の弁体が密閉ケースと既設管との隙間を、既設管に沿って回転するから、弁箱や弁蓋などの弁体を収容する部分を別途設ける必要がない。そのため、装置が安価で小型になる。
また、円弧状の弁体は平板状の弁体に比べ曲げ強度も大きくなるので、弁体を薄くすることが可能となる。
また、前記弁体を収容する部分が不必要となったのに伴い、穿孔のストロークが短くなる。
更に、弁体が上下動するのではなく、既設管の外周面に沿って回転するから、弁の高さが低くなる。その結果、浅い土被りでも施工が可能となる。
【0011】
本発明の好的な実施例では、前記弁体は横断面円弧状で、前記開孔を覆いかつ前記分岐孔を閉塞した閉弁位置と前記開孔を覆わずに前記開孔と前記分岐孔とが連通した開弁位置との間を前記既設管の周方向に沿って往復移動可能であり、前記開弁位置から前記閉弁位置に前記弁体が回転移動するのに従い、前記弁体と前記弁座との前記既設管の径方向の距離が小さくなるように前記弁体および前記弁座が形成されている。
【0012】
この実施例の場合、前記弁体との前記弁座の接触面の曲率半径は、前記開弁位置から前記閉弁位置に前記弁体が近づくに従い連続的に、かつ、徐々に小さくなるように形成されるであろう。
【0013】
この実施例の場合、弁体を閉弁方向に回転させるのに従い弁体が弁座に圧接するので、閉弁時の水密性能が向上する。
【0014】
本発明の別の好的な実施例では、前記閉弁位置において、前記弁体が更に閉弁方向に進むに従い前記弁体が前記弁座に圧接するように前記弁体を前記径方向の外方に向って押す押圧部を有する。
この場合も、弁体が弁座に圧接するので、閉弁時の水密性能が向上する。
【0015】
本発明の更に別の好的な実施例では、前記弁体は前記既設管の外周面に沿って湾曲した凹面と、前記閉弁位置において前記分岐孔に対向する凸面とを備え、前記回転機構は、前記密閉ケースの外から回転操作される操作ギヤと、前記操作ギヤに歯合し、前記操作ギヤの回転で前記周方向に回転することにより弁体を開閉する従動ギヤとを備え、前記従動ギヤが前記弁体の前記凸面に形成され、前記凸面における前記弁座に接触する接触面が前記従動ギヤの表面よりも前記既設管の管径方向に突出している。
【0016】
この実施例の場合、弁体の接触面が従動ギヤの表面よりも径方向に突出しているので、従動ギヤの歯が水密を妨げるおそれがない。
【0017】
本発明において、前記回転機構は、前記密閉ケースの外から回転操作される操作ギヤと、前記操作ギヤに歯合し、前記操作ギヤの回転で前記周方向に回転することにより弁体を開閉する従動ギヤとを備えているのが好ましい。
【0018】
この場合、密閉ケースの外から操作ギヤを操作することにより弁体を回転させて開閉操作を行うことができる。
【0019】
本発明においては、前記分岐管部の軸線に直交する仮想平面に対して傾斜した傾斜面において、前記密閉ケースが2つの前記分割ケースに分割されていると共に、前記2つの分割ケースが結合部において互いに結合されており、このように傾斜面において密閉ケースが分割されていることで、前記第1分割ケースにおける前記分岐管部と前記結合部との間の距離は下部に比べ上部が広くなっており、前記上部に前記操作ギヤが配置されているのが好ましい。
【0020】
結合部を傾斜させたことで、操作ギヤを配置するスペースができ、このように操作ギヤを配置することにより、弁体を円周方向に短くすることができる。その結果、弁体の小型化が図られる。
【0021】
本発明においては、前記分岐管部を有しない第2分割ケースに前記操作ギヤが設けられていてもよい。
この場合、操作ギヤを第1分割ケースに設ける必要がないので、大きな口径の穿孔が可能となる。
【0022】
本発明においては、前記弁体の回転を案内する案内部が前記密閉ケースに設けられているのが好ましい。
このように、案内部を設けることにより、弁体の回転が安定する。
【0023】
本発明においては、前記操作ギヤは、軸線が既設管の概ね管径方向に設定されたウォームと、軸線が既設管の管軸方向に平行に設定されたウォームホイールとからなり、前記従動ギヤは前記弁体に形成され前記ウォームホイールに歯合するように設定してもよい。
かかる態様によれば、弁体が自重により回転するのを防止し得る。また、減速比が大きいので、弁を開閉する際に小さな操作力で開閉することが可能となる。
【0024】
本発明において、前記分岐管部を有する第1分割ケースには、前記分岐管部の分岐孔のまわりに沿って円周状のシール用のゴムリングが装着されているのが好ましい。
閉弁時にこのゴムリングに弁体が圧接することにより、シールがなされる。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1A〜図5Bは実施例1を示す。
分岐装置2:
図1Aに示す分岐装置2は、図3Aに示すように、ホールソー4を備えた穿孔機3で、管内に流体(たとえば、水等)が流れている状態で、既設管1の管壁12の一部を穿孔し、当該既設管1から分岐を取り出す不断流穿孔に用いるものである。
【0026】
図1Aに示すように、分岐装置2は、既設管1を囲繞する密閉ケース20を有している。前記密閉ケース20は、既設管1の周方向Rに分割された第1および第2分割ケース21,22と、第1分割ケース21に一体に形成され、既設管1の管径方向Cに突出して分岐する分岐管部27とを備えている。
【0027】
分割ケース21,22:
前記第1および第2分割ケース21,22は、分岐管部27の軸線27Lに略直交する仮想平面Hに沿って分割されている。分割ケース21,22は、既設管1に対して既設管1の管径方向Cの両側方から外嵌装着され、結合部25を組立ボルト61により締結されて、組み立てられる。
【0028】
各分割ケース21,22は、既設管1の外周面13に概ね沿って湾曲した内周面29を備えている。各分割ケース21,22の結合部25および内周面29における前記既設管1の管軸方向の両端部には、それぞれ、溝状のパッキン装着部24が形成されている。該パッキン装着部24には、ゴムパッキン26が装着され、既設管1と分岐装置2との間や、第1分割ケース21と第2分割ケース22との間がシールされる。
なお、前記組み立て時には、既設管1の管軸方向における分割ケース21,22の両端部がゴムパッキンを用いて既設管1の外周面13にそれぞれシールされる(図11D参照)。
【0029】
分岐管部27:
図2Aに示すように、前記分岐管部27のたとえばフランジのような継手部71には、穿孔機3が取り付けられる。ホールソー4が分岐管部27の分岐孔28を通って、既設管1の管径方向Cに向って送り込まれることで、図3Aに示すように、既設管1の管壁12が切削されて、図3Bに示すように、該既設管1に開孔11が穿孔される。なお、ホールソー4の回転中心には、該ホールソー4の位置決めを行うためのセンタードリル41が既設管1に向って突出して設けられている。
【0030】
弁体5:
図1Aに示すように、前記分割ケース21,22には、断面円弧状の弁体5が収容されている。前記弁体5は、分割ケース21,22の内周面29と既設管1の外周面13に沿って、かつ、既設管1の周方向Rに沿って回転することにより、前記分岐管部27の分岐孔28を開閉自在する。
両分割ケース21,22には、前記円弧状の弁体5の回転を案内する案内部55(図11D参照)が一体に設けられている。
【0031】
図1Bは図1Aの弁体5を展開して示す。つまり、図1Bでは、円弧状に曲成する前の平板状の弁体5を示している。
図1Bに示すように、弁体5の管軸方向Lの両端部には、従動ギヤ51がそれぞれ設けられている。一方、図1Aに示すように、第2分割ケース22の上部には、密閉ケース20の外から回転される操作ギヤ52が設けられている。前記従動ギヤ51は、操作ギヤ52に歯合し、該操作ギヤ52の回転で前記周方向Rに回転することにより弁体5を開閉する。したがって、作業者が操作ギヤ52を回転させて、弁体5を既設管1の周方向Rに沿って回転させることにより、該弁体5を図1Aに示す開弁位置と、図4Aに示す閉弁位置に回転移動させることが可能である。
よって、従動ギヤ51および操作ギヤ52は、弁体5を回転させるための回転機構50を構成している。
【0032】
分岐管部27を有する第1分割ケース21には、前記分岐管部27の分岐孔28の周りに沿って円周状にシール用のゴムリング(弁座の一例)56が装着されている。
弁体5が、図4Aに示す閉弁位置に回転移動されると、図1Bの網点で示す弁体5の第1接触面5fがゴムリング56の第2接触面56fに密着し、図4Aに示すように、前記分岐孔28が閉塞され、分割ケース21,22および弁体5によって既設管1の開口の周囲が密閉される。
【0033】
不断流穿孔方法:
まず、図1Aの既設管1内に流体が流れている状態で、該既設管1の外周面13を囲繞するように分岐装置2を取り付ける。この取り付け後、作業者は、組立ボルト61により両分割ケース21,22を組み立てる。なお、前記弁体5は、分岐管部27の分岐孔28を塞いだ閉弁位置に予め設定される。
その後、図2Aに示すように、開弁し、更に、作業者は、分岐管部27の継手部71に、穿孔機3の継手部31をボルト32を用いて取り付ける。こうして、分岐装置2は、既設管1の一部を気密状態で囲繞する。
【0034】
前記囲繞後、図2Bに示すように、ホールソー4を回転させながら既設管1に向って穿孔方向C1に移動させると、センタードリル41が既設管1の管壁12を切削し、該センタードリル41を中心に回転するホールソー4が既設管1に対して位置決めされて、図3Aに示すように、ホールソー4によって既設管1の管壁12の一部が切り取られ開孔11が形成される。
前記センタードリル41による穿孔後、図3Bに示すように、ホールソー4を退避方向C2に移動させる。
【0035】
その後、作業者が操作ギヤ52を回転させると、該操作ギヤ52に歯合する従動ギヤ51によって、弁体5が案内部55に案内されて、前記分岐孔28の閉弁方向R1に回転され、開弁位置の弁体5が、図4Aに示す閉弁位置に移動される。前記弁体5の閉弁位置への移動により、弁体5がゴムリング56の表面に密着し、分岐孔28が閉塞されて、分割ケース21,22および弁体5によって既設管1が気密状態で囲繞される。
【0036】
その後、ボルト32を取り外し、穿孔機3を退避方向C2に移動させて、図4Bに示すように、ホールソー4を分岐装置2から取り外す。
前記穿孔機3の取り外し後、図5Aに示すように、分岐配管80を分岐管部27に取り付ける。分岐配管80の継手部81をボルト82を用いて分岐管部27の継手部71に接続する。
【0037】
その後、作業者が操作ギヤ52を回転させて、図5Bに示す開弁位置まで弁体5を開弁方向R2に回転させることにより、既設管1に分岐配管80に向って分岐を接続する工事が完了する。
【0038】
なお、分割ケースは3以上に分割されていてもよい。
各分割ケースの結合部同士を互いに溶接して、分割ケースを組み立ててもよい。 さらに、弁体は、その断面が円形であってもよい。かかる場合には、該弁体に分岐孔28に対応する孔を形成する。
【実施例2】
【0039】
図6A〜図7は実施例2を示す。
図6Aおよび図6Bに示すように、分岐装置2Aの操作ギヤ52は第1分割ケース21の上部に設けられている。また、図7に示すように、従動ギヤ51は、弁体5の片側にのみ設けられている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【実施例3】
【0040】
図8A〜図9は実施例3を示す。
図8Aおよび図8Bに示すように、本実施例3の分岐装置2Bは、分岐管部27の軸線27Lに略直交する仮想平面Hの近傍において第1分割ケース21の上部25uに、操作ギヤ52および操作キャップ101が設けられている。そのため、分割ケース21,22は、分岐管部27の軸線27Lに直交する仮想平面Hに対して傾斜した傾斜面Sfにおいて分割されている。
このように前記傾斜面Sfにおいて密閉ケース20が分割されていることで、前記第1分割ケース21における分岐管部27と、前記結合部25との間の距離は、下部25dに比べ上部25uが広くなっている。そのため、前記操作ギヤ52および操作キャップ101は、前記広くなった第1分割ケース21の上部25uに設けられている。
一方、図9に示すように、従動ギヤ51は弁体5の片側のみに設けられている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例4】
【0041】
図10A〜図12は実施例4を示す。
図10Aおよび図10Bに示すように、本実施例4の分岐装置2Cは、前述の実施例3と同様に、分割ケース21,22が、操作ギヤ52および操作キャップ101が第1分割ケース21の上部25uに設けられていると共に、分岐管部27の軸線27Lに直交する仮想平面Hに対して傾斜した傾斜面Sfにおいて分割されている。
【0042】
図10Aに示すように、操作ギヤ52は、ウォーム52aおよびウォームホイール52bからなる、いわゆるヒンドレー・ウォームギヤ(ツヅミ型ウォームギヤ)で構成されている。前記ウォーム52aは、その軸線52cが既設管1の概ね管径方向C2に平行に設定されている。一方、図11Dに示すように、ウォームホイール52bは、その軸線52dが既設管1の管軸方向Lに平行に設定されている。
図10Aおよび図10Bに示すように、従動ギヤ51は、前記ウォームホイール52bに歯合している。
【0043】
一方、図11Bに示すように、前記従動ギヤ51は弁体5の概ね中央に設けられていると共に、図11A〜図11Cに示すように、弁体5の周囲には、図12Bの閉弁位置において、ゴムリング56(図11D)に密着する密着部57が形成されている。
したがって、作業者が操作キャップ101を回転させると、弁体5が、図12Aの開弁位置から図12Bに示す閉弁位置に回転され、図11Bの密着部57が図11Dのゴムパッキン56に密着し、図10Bに示す密閉ケース20内が密閉される。
一方、操作ギヤ52は、ウォーム52aおよびウォームホイール52bから構成されているので、減速比が大きくなるから、密閉ケース20内に大きな水圧が負荷されていても、弁を開弁する際に小さな操作力で開弁することが可能となる。
【0044】
なお、図11Dに示すように、ゴムパッキン26は、分割ケース21(22)の前記管軸方向Lの両端部において、二点鎖線で示す既設管1の外周面13に密着し、該既設管1の管周を覆うように形成されている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【実施例5】
【0045】
図13A〜図14Bは実施例5を示す。
図13Bの弁体5において、網点で示す第1接触面5fは、図14Bの閉弁時にゴムリング56に接触する。前記第1接触面5fは、従動ギヤ51を周囲から完全に取り囲むように無端状に設けられている。
【0046】
図13Aおよび図14Bに示すように、前記第1接触面5fは従動ギヤ51の表面よりも径方向の外方C2に向って突出している。図13Aの前記第1接触面5fにおける基部5f1は、従動ギヤ51に近接しており、一方、第1接触面5fにおける他部5f2は、C字状に形成されている。
【0047】
図13D、図14Aおよび図14Bに示すように、結合部25の分割ライン25Lは、上部の中心において屈曲している。これにより、回転機構50が第1分割ケース21に収容されることが可能となっている。
【実施例6】
【0048】
図15A〜図17Dは実施例6を示す。
図15Aの、前記弁体5は横断面円弧状で、前記開孔11を覆いかつ前記分岐孔28を閉塞した閉弁位置と、図15Bの前記開孔11を覆わずに前記開孔11と前記分岐孔28とが連通した開弁位置との間を前記既設管1の周方向に沿って往復移動可能である。
【0049】
前記開弁位置から図15Aの前記閉弁位置に前記弁体5が回転移動するのに従い、前記弁体5と前記弁座56との前記既設管1の径方向の距離が小さくなるように前記弁体5および前記弁座56が形成されている。すなわち、前記弁体5との前記弁座56の接触面56fの曲率半径r1は、前記開弁位置から前記閉弁位置に前記弁体が近づくに従い連続的に、かつ、徐々に小さくなるように形成されている。
【0050】
本実施例の場合、図16A、図17A〜図17Cに示す弁体5の第一接触面5fには、前記弁座56の接触面56fに接触してシールするゴムライニング(水密用の部材)5rが設けられている。前記ゴムライニング5rは、ゴムの加硫成形時に弁体5の金属部分に一体に形成されるのが好ましい。この場合、シール部材が剥がれ難い。
【0051】
また、前記ゴムライニング5rは、前記弁体5の金属部分の全体を覆ってもよい。この場合、弁体5の従動ギヤ51の部位も前記ゴムライニング5rにより覆われる。従動ギヤ51に塗装を施す場合、従動ギヤ51の表面の塗装が傷み易いのに対し、ゴムライニング5rは、傷みにくい。
【0052】
図15Aの前記閉弁位置において、前記弁体5が更に閉弁方向に進むに従い前記弁体5が前記弁座56に圧接するように前記弁体5を前記径方向の外方に向って押す押圧部59が第1分割ケース21に一体に形成されている。押圧部59は弁体5が閉弁方向にオーバーランするのを防止するストッパの役割を兼ねている。
【0053】
図16Aにおいて、前記弁体5は前記既設管1の外周面13に沿って湾曲した凹面5aと、前記閉弁位置において前記分岐孔28に対向する凸面5bとを備える。前記従動ギヤ51は前記弁体5の前記凸面5bに形成されている。前記凸面5bにおける前記弁座56に接触する接触面5fは前記従動ギヤ51の表面よりも前記既設管1の管径方向C1に突出している。
【0054】
図15Bに示すように、前記第1および第2分割ケース21,22の内周面29と前記既設管1の外周面13との間には、弁体5を収容する収容空間Sが設けられている。
前記密閉ケース20には、弁体5が開弁方向にオーバーランするのを防止するストッパを設けてもよい。
【実施例7】
【0055】
図18A〜図19Bは分岐装置2Dの実施例7を示す。
密閉ケース20は、既設管1の周方向に分割された複数個の分割ケース21,22と、前記複数の分割ケース21,22のうちの第1分割ケース21に一体に形成され、既設管1の径方向に突出して分岐する分岐管部27とを有する。
【0056】
弁体5Aは、前記第1分割ケース21の内周面29と既設管1の外周面13との間において、既設管1の管軸方向に沿ってスライド移動することにより、前記分岐管部27の分岐孔28を開閉すると共に前記分岐孔28が開口した開弁状態において前記既設管1に近接対面する。
弁座56Aは、前記第1分割ケース21における内周面29に形成され前記弁体5Aが閉弁時に接触する。
前記弁体5Aを移動させるための移動機構50Aが設けられている。
本実施例の場合、前記弁体5Aは前記管壁12に沿った横断面円弧状に形成されている。
【0057】
この実施例の場合、図18Aおよび図18Bの弁体5Aは管軸方向27Lにスライド移動して前記分岐孔28を開閉する。第1分割ケース21と既設管1との間には、開弁位置の弁体5Aを収容する収容空間Sが形成されている。
【0058】
なお、本発明において、本分岐装置の密閉ケースを弁挿入のための密閉ケースと一体に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の不断流穿孔用の分岐装置は、水道やガスなどの既設管から分岐を取り出すのに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1Aは本発明の実施例1にかかる分岐装置を示す概略断面図、図1Bは弁体を示す展開図である。
【図2】不断流穿孔方法を示す概略断面図である。
【図3】不断流穿孔方法を示す概略断面図である。
【図4】不断流穿孔方法を示す概略断面図である。
【図5】不断流穿孔方法を示す概略断面図である。
【図6】実施例2にかかる分岐装置を示す概略断面図である。
【図7】同弁体を示す概略展開図である。
【図8】実施例3にかかる分岐装置を示す概略断面図である。
【図9】同弁体を示す概略展開図である。
【図10】実施例4にかかる分岐装置を示す概略断面図である。
【図11】図11A〜図11Cは同弁体の展開図および断面図、図11Dは第1分割ケースを示す概略背面図である。
【図12】同分岐装置を示す概略断面図である。
【図13】図13A、図13Bおよび図13Cは、それぞれ、実施例5にかかる弁体を展開して示す側面図、正面図および底面図、図13Dは分岐装置の一部を断面した平面図である。
【図14】図14Aおよび図14Bは、それぞれ、実施例5の分岐装置の横断面図である。
【図15】図15Aおよび図15Bは、それぞれ、実施例6の分岐装置の横断面図である。
【図16】図16Aおよび図16Bは、それぞれ、実施例6の分岐装置の横断面図である。
【図17】図17A、図17Bおよび図17Cは、それぞれ、実施例6にかかる弁体を展開して示す側面図、正面図および底面図、図17Dは分岐装置の正面図である。
【図18】図18Aおよび図18Bは、それぞれ、実施例7にかかる分岐装置の縦断面図である。
【図19】図19Aおよび図19Bは、それぞれ、実施例7にかかる分岐装置の横断面図である。
【図20】従来の不断流穿孔方法を示す一部破断した概略側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1:既設管
2,2A,2B,2C:分岐装置
3:穿孔機
4:ホールソー
5:弁体
5f:第1接触面
11:開孔
12:管壁
13:既設管の外周面
20:密閉ケース
21:第1分割ケース
22:第2分割ケース
25:結合部
27:分岐管部
27L:分岐管部の軸線
28:分岐孔
29:分割ケースの内周面
50:回転機構
51:従動ギヤ
52:操作ギヤ
55:案内部
56:弁座
56f:第2接触面
C:既設管1の管径方向
H:仮想平面
R:既設管の周方向
Sf:傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホールソーを備えた穿孔機で、既設管の管壁の一部を穿孔して前記管壁に開孔を形成し、当該既設管に分岐配管を接続するのに適した不断流穿孔用の分岐装置であって、
既設管の周方向に分割された複数個の分割ケースと、前記複数の分割ケースのうちの第1分割ケースに一体に形成され、既設管の径方向に突出して分岐する分岐管部とを有する密閉ケースと、
前記分割ケースの内周面と既設管の外周面との間において、既設管の周方向に沿って回転することにより、前記分岐管部の分岐孔を開閉する横断面円弧状ないし円形の弁体と、 前記第1分割ケースにおける内周面に形成され前記弁体が閉弁時に接触する弁座と、
前記弁体を回転させるための回転機構とを備えた不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項2】
請求項1において、前記弁体は横断面円弧状で、前記開孔を覆いかつ前記分岐孔を閉塞した閉弁位置と前記開孔を覆わずに前記開孔と前記分岐孔とが連通した開弁位置との間を前記既設管の周方向に沿って往復移動可能であり、
前記開弁位置から前記閉弁位置に前記弁体が回転移動するのに従い、前記弁体と前記弁座との前記既設管の径方向の距離が小さくなるように前記弁体および前記弁座が形成されている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項3】
請求項2において、前記弁体との前記弁座の接触面の曲率半径は、前記開弁位置から前記閉弁位置に前記弁体が近づくに従い連続的に、かつ、徐々に小さくなるように形成されている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項4】
請求項1において、前記閉弁位置において、前記弁体が更に閉弁方向に進むに従い前記弁体が前記弁座に圧接するように前記弁体を前記径方向の外方に向って押す押圧部を有する不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項5】
請求項1において、前記弁体は前記既設管の外周面に沿って湾曲した凹面と、前記閉弁位置において前記分岐孔に対向する凸面とを備え、
前記回転機構は、前記密閉ケースの外から回転操作される操作ギヤと、前記操作ギヤに歯合し、前記操作ギヤの回転で前記周方向に回転することにより弁体を開閉する従動ギヤとを備え、
前記従動ギヤが前記弁体の前記凸面に形成され、
前記凸面における前記弁座に接触する接触面が前記従動ギヤの表面よりも前記既設管の管径方向に突出している不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項6】
請求項1において、前記弁体の弁座に接触する接触面には水密用の部材が設けられている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項7】
請求項1において、前記回転機構は、前記密閉ケースの外から回転操作される操作ギヤと、前記操作ギヤに歯合し、前記操作ギヤの回転で前記周方向に回転することにより弁体を開閉する従動ギヤとを備えた不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項8】
請求項7において、前記分岐管部の軸線に直交する仮想平面に対して傾斜した傾斜面において、前記密閉ケースが2つの前記分割ケースに分割されていると共に、前記2つの分割ケースが結合部において互いに結合されており、
このように傾斜面において密閉ケースが分割されていることで、前記第1分割ケースにおける前記分岐管部と前記結合部との間の距離は下部に比べ上部が広くなっており、
前記上部に前記操作ギヤが配置されている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項9】
請求項7において、前記分岐管部を有しない第2分割ケースに前記操作ギヤが設けられた不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項10】
請求項1において、前記弁体の回転を案内する案内部が前記密閉ケースに設けられている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項11】
請求項8において、前記操作ギヤは、軸線が既設管の概ね管径方向に設定されたウォームと、軸線が既設管の管軸方向に平行に設定されたウォームホイールとからなり、
前記従動ギヤは前記弁体に形成され前記ウォームホイールに歯合することを特徴とする不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項12】
請求項1において、前記分岐管部を有する第1分割ケースには、前記分岐管部の分岐孔のまわりに沿って無端状のシール用のゴムリングが装着されている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項13】
ホールソーを備えた穿孔機で、既設管の管壁の一部を穿孔して前記管壁に開孔を形成し、当該既設管に分岐配管を接続するのに適した不断流穿孔用の分岐装置であって、
既設管の周方向に分割された複数個の分割ケースと、前記複数の分割ケースのうちの第1分割ケースに一体に形成され、既設管の径方向に突出して分岐する分岐管部とを有する密閉ケースと、
前記分割ケースの内周面と既設管の外周面との間において、既設管の管軸方向に沿ってスライド移動することにより、前記分岐管部の分岐孔を開閉すると共に前記分岐孔が開口した開弁状態において前記既設管に近接対面する弁体と、
前記第1分割ケースにおける内周面に形成され前記弁体が閉弁時に接触する弁座と、
前記弁体を移動させるための移動機構とを備えた不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項14】
請求項13において、前記弁体が前記管壁に沿った横断面円弧状に形成されている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項1】
ホールソーを備えた穿孔機で、既設管の管壁の一部を穿孔して前記管壁に開孔を形成し、当該既設管に分岐配管を接続するのに適した不断流穿孔用の分岐装置であって、
既設管の周方向に分割された複数個の分割ケースと、前記複数の分割ケースのうちの第1分割ケースに一体に形成され、既設管の径方向に突出して分岐する分岐管部とを有する密閉ケースと、
前記分割ケースの内周面と既設管の外周面との間において、既設管の周方向に沿って回転することにより、前記分岐管部の分岐孔を開閉する横断面円弧状ないし円形の弁体と、 前記第1分割ケースにおける内周面に形成され前記弁体が閉弁時に接触する弁座と、
前記弁体を回転させるための回転機構とを備えた不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項2】
請求項1において、前記弁体は横断面円弧状で、前記開孔を覆いかつ前記分岐孔を閉塞した閉弁位置と前記開孔を覆わずに前記開孔と前記分岐孔とが連通した開弁位置との間を前記既設管の周方向に沿って往復移動可能であり、
前記開弁位置から前記閉弁位置に前記弁体が回転移動するのに従い、前記弁体と前記弁座との前記既設管の径方向の距離が小さくなるように前記弁体および前記弁座が形成されている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項3】
請求項2において、前記弁体との前記弁座の接触面の曲率半径は、前記開弁位置から前記閉弁位置に前記弁体が近づくに従い連続的に、かつ、徐々に小さくなるように形成されている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項4】
請求項1において、前記閉弁位置において、前記弁体が更に閉弁方向に進むに従い前記弁体が前記弁座に圧接するように前記弁体を前記径方向の外方に向って押す押圧部を有する不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項5】
請求項1において、前記弁体は前記既設管の外周面に沿って湾曲した凹面と、前記閉弁位置において前記分岐孔に対向する凸面とを備え、
前記回転機構は、前記密閉ケースの外から回転操作される操作ギヤと、前記操作ギヤに歯合し、前記操作ギヤの回転で前記周方向に回転することにより弁体を開閉する従動ギヤとを備え、
前記従動ギヤが前記弁体の前記凸面に形成され、
前記凸面における前記弁座に接触する接触面が前記従動ギヤの表面よりも前記既設管の管径方向に突出している不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項6】
請求項1において、前記弁体の弁座に接触する接触面には水密用の部材が設けられている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項7】
請求項1において、前記回転機構は、前記密閉ケースの外から回転操作される操作ギヤと、前記操作ギヤに歯合し、前記操作ギヤの回転で前記周方向に回転することにより弁体を開閉する従動ギヤとを備えた不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項8】
請求項7において、前記分岐管部の軸線に直交する仮想平面に対して傾斜した傾斜面において、前記密閉ケースが2つの前記分割ケースに分割されていると共に、前記2つの分割ケースが結合部において互いに結合されており、
このように傾斜面において密閉ケースが分割されていることで、前記第1分割ケースにおける前記分岐管部と前記結合部との間の距離は下部に比べ上部が広くなっており、
前記上部に前記操作ギヤが配置されている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項9】
請求項7において、前記分岐管部を有しない第2分割ケースに前記操作ギヤが設けられた不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項10】
請求項1において、前記弁体の回転を案内する案内部が前記密閉ケースに設けられている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項11】
請求項8において、前記操作ギヤは、軸線が既設管の概ね管径方向に設定されたウォームと、軸線が既設管の管軸方向に平行に設定されたウォームホイールとからなり、
前記従動ギヤは前記弁体に形成され前記ウォームホイールに歯合することを特徴とする不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項12】
請求項1において、前記分岐管部を有する第1分割ケースには、前記分岐管部の分岐孔のまわりに沿って無端状のシール用のゴムリングが装着されている不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項13】
ホールソーを備えた穿孔機で、既設管の管壁の一部を穿孔して前記管壁に開孔を形成し、当該既設管に分岐配管を接続するのに適した不断流穿孔用の分岐装置であって、
既設管の周方向に分割された複数個の分割ケースと、前記複数の分割ケースのうちの第1分割ケースに一体に形成され、既設管の径方向に突出して分岐する分岐管部とを有する密閉ケースと、
前記分割ケースの内周面と既設管の外周面との間において、既設管の管軸方向に沿ってスライド移動することにより、前記分岐管部の分岐孔を開閉すると共に前記分岐孔が開口した開弁状態において前記既設管に近接対面する弁体と、
前記第1分割ケースにおける内周面に形成され前記弁体が閉弁時に接触する弁座と、
前記弁体を移動させるための移動機構とを備えた不断流穿孔用の分岐装置。
【請求項14】
請求項13において、前記弁体が前記管壁に沿った横断面円弧状に形成されている不断流穿孔用の分岐装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−116929(P2010−116929A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163937(P2007−163937)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(507208831)
【氏名又は名称原語表記】Kim Jaehyun
【住所又は居所原語表記】Hyun dai apartment 803−202ho Jayang3−dong,Gwangjin−gu,Seoul,Republic of Korea
【出願人】(399130348)株式会社水研 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(507208831)
【氏名又は名称原語表記】Kim Jaehyun
【住所又は居所原語表記】Hyun dai apartment 803−202ho Jayang3−dong,Gwangjin−gu,Seoul,Republic of Korea
【出願人】(399130348)株式会社水研 (19)
【Fターム(参考)】
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