説明

不燃材料の製造方法、及びその不燃材料

【課題】 結露水や雨水等で不燃化物質が溶出することがなく、また、有機溶媒を使用しない不燃材料の製造方法、及びその不燃材を提供すること。
【解決手段】 炭酸ガスと反応して水に対して難溶、又は不溶な不燃化物質を生じうる金属塩水溶液を可燃材料に含浸させた後、前記可燃材料を炭酸ガス雰囲気下に置いて該炭酸ガスと前記金属塩水溶液とを該可燃材料の内部、及び表面で反応させて該可燃材料の内部、及び表面に前記不燃化物質を生成させ、これによって不燃材料を製造すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可燃材料に所定の処理を施し不燃材料とする不燃材料の製造方法、及びその不燃材料に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、建築基準法では、例えば準防火地域に木造建築物を建てる場合等には、準耐火建築物とするために、主要構造部に不燃材料を使用する必要があり、これらの箇所に使用可能な材料が限定されている。そのため、屋根材としては、粘土瓦、コンクリート瓦、金属製瓦等の不燃材料が主として使用され、檜皮、萱、杉板等の可燃材料は、重要文化財に指定される等、特別な理由がない場合には使用することができないこととなっている。これらの問題を解決するため、以下のような不燃木材の製造方法が考案されている。
【0003】
この不燃木材の製造方法は、厚さ6〜30mmの木材板を乾燥させて含水率5重量%以下となした後、この木材板を液温40〜70℃の硼酸及び水溶性硼酸塩のうちのいずれか一方または双方と水溶性リン酸塩と少量の着色剤を含む耐火剤溶液中に減圧下に6〜72時間浸漬し、次いで前記木材板を耐火材溶液から取り出して常温で1〜30日間乾燥させ、さらに30〜80℃で5時間〜9日間乾燥させて、前記木材板を含水率18重量%以下となすものである(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−55271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような不燃木材は、木材を不燃とする物質として水溶性ホウ酸塩や、水溶性リン酸塩等を使用しているので、結露水や雨水等によって、容易にこれらの物質が木材から溶出し、不燃効果が著しく減少するという問題や、周囲を汚染するという問題がある。さらに、前述のように木材から溶出したリン酸やホウ酸が、接着剤の塗料に使用される成分と化学反応してこれらを剥離したり、また、変色を生じさせるという問題もある。また、木材を不燃木材とする際には、加工後の木材の乾燥を容易にし、また、耐火剤を容易に溶解させるため等に有機溶媒が使用されることが一般的であり、これにより、作業者の健康被害を始め、臭気対策、引火対策の措置を講じる必要があった。
【0006】
この発明は上記のような種々の課題を解決することを目的としてなされたものであって、結露水や雨水等で不燃化物質が溶出することがなく、また、有機溶媒を使用しない不燃材料の製造方法、及びその不燃材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の不燃材料の製造方法は、炭酸ガスと反応して水に対して難溶、又は不溶な不燃化物質を生じうる金属塩水溶液を可燃材料に含浸させた後、前記可燃材料を炭酸ガス雰囲気下に置いて該炭酸ガスと前記金属塩水溶液とを該可燃材料の内部、及び表面で反応させて該可燃材料の内部、及び表面に前記不燃化物質を生成させ、これによって不燃材料を製造することを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の不燃材料の製造方法は、耐圧の反応容器に可燃材料を入れて密閉してその内部を減圧した状態で、炭酸ガスと反応して水に対して難溶、又は不溶な不燃化物質を生じうる金属塩水溶液を前記反応容器に注入し、その後、前記反応容器内部を所定時間加圧して前記可燃材料に前記金属塩水溶液を含浸させた後、注入された余剰の前記金属塩水溶液を排出してから前記反応容器を密閉した後、炭酸ガスを前記反応容器に圧入し、該炭酸ガスと前記金属塩水溶液とを該可燃材料の内部、及び表面で所定時間反応させて該可燃材料の内部、及び表面に前記不燃化物質を生成させ、これによって不燃材料を製造することを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の不燃材料は、請求項1又は2のいずれか記載の不燃材料の製造方法で製造されたことを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の不燃材料は、前記不燃化物質の溶出を防止するための溶出防止剤が含浸されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の不燃材料は、撥水剤が含浸されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6記載の不燃材料は、紫外線遮蔽剤が含浸されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の不燃材料の製造方法によれば、可燃材料を不燃材料とするための不燃化物質を、炭酸ガスと、金属塩水溶液とから合成するため、有機溶媒を使用することがなく、作業者の健康や環境に悪影響を及ぼすことがないという利点がある。また、低沸点の有機溶媒を使用する場合と比較して大規模な廃棄設備を必要とすることもなく、周囲への臭気対策等を講じる必要もない。さらに、有機溶媒を使用することがないので、引火の危険性もなく、周囲の機器を防爆構造とする必要もない。
【0014】
そして、可燃材料を不燃材料とするための不燃化物質が、炭酸ガスと金属塩水溶液とから合成され、さらに当該不燃化物質は水に対して難溶、又は不溶であるので、製造された不燃材料が、結露水や雨水に晒されたとしても、可燃材料に含浸された当該不燃化物質がその外部に溶出せず、周囲を汚染することもない。また、前述のように可燃材料から不燃化物質が溶出することがないので、不燃性が低下することがないと共に、接着剤や塗料に使用される成分と化学反応してこれらを剥離したり、また、変色を生じさせるという問題が生じることがない。
【0015】
また、金属塩水溶液を予め可燃材料に含浸させてから、該可燃材料を炭酸ガス雰囲気下に置いて該炭酸ガスと前記金属塩水溶液とを該可燃材料の内部、及び表面で反応させている。そのため、可燃材料の内部深くに侵入した金属塩水溶液と、同様に該可燃材料の内部深くに侵入した炭酸ガスとが反応し、可燃材料の表面だけでなく内部深くにおいても不燃化物質が生成することで、不燃材料としての不燃効果を十分に発揮することができる。
【0016】
さらに、炭酸ガスを使用することにより、不燃材料を製造する際に発生する廃液の量を減少させることができるため、環境にもよいという利点がある。そして、炭酸ガスはリン酸水溶液と比較して安価であるので、不燃材料を製造する際の材料コストを削減することができる。さらに、炭酸ガスと金属塩水溶液とを反応させた際には、可燃材料の表面に不燃化材料が大量に析出することがないので、出荷時にこれを取り除く作業を行う必要がなく不燃材料の製造を容易に行うことができる。そして、製造された不燃材料は、その表面に残存する未反応物質が極めて少ないため、接着剤等を塗布した際にも載りがよく、剥がれることがない。
【0017】
請求項2記載の不燃材料の製造方法によれば、請求項1の効果に加えて反応容器内部を減圧してから金属塩水溶液を反応容器に注入し、これに可燃材料を浸漬させた後に反応容器内部を加圧しているので、より深く内部にまで一方の水溶液を含浸させることができる。その後、反応容器内部を密閉して炭酸ガスを圧入することにより、該反応容器内部の圧力も上昇し、該炭酸ガスも可燃材料の内部深くにまで含浸し、炭酸ガスと金属塩水溶液とが、可燃材料の表面、及び内部で反応し不燃化物質が合成されるので高い不燃性を発揮することができる。
【0018】
さらに、炭酸ガスを使用することにより、不燃材料を製造する際に発生する廃液の量を減少させることができるため、環境にもよいという利点がある。そして、炭酸ガスはリン酸水溶液と比較して安価であるので、不燃材料を製造する際の材料コストを削減することができる。さらに、炭酸ガスと金属塩水溶液とを反応させた際には、可燃材料の表面に不燃化材料が大量に析出することがないので、出荷時にこれを取り除く作業を行う必要がなく不燃材料の製造を容易に行うことができる。
【0019】
請求項3記載の不燃材料によれば、当該不燃材料が請求項1又は請求項2のいずれか記載の不燃材料の製造方法で製造されている。そのため、可燃材料を不燃材料とするための不燃化物質を、炭酸ガスと、金属塩水溶液とから合成するため、有機溶媒を使用することがなく、作業者の健康や環境に悪影響を及ぼすことがないという利点がある。
【0020】
そして、可燃材料を不燃材料とするための不燃化物質がその表面、及び内部にまで含浸し、さらに、水に対して難溶、又は不溶であるので、製造された不燃材料が、結露水や雨水に晒されたとしても、可燃材料に含浸された当該不燃化物質がその外部に溶出せず、周囲を汚染することもない。また、前述のように可燃材料から不燃化物質が溶出することがないので、不燃性が低下することがないと共に、接着剤や塗料に使用される成分と化学反応してこれらを剥離したり、また、変色を生じさせるという問題が生じることがない。
【0021】
請求項4記載の不燃材料によれば、前記不燃化物質の溶出を防止するための溶出防止剤が含浸されているので、含浸された不燃化物質が雨水や結露水等によって溶出することがない。
【0022】
請求項5記載の不燃材料によれば、撥水剤が含浸されているので、不燃材料に雨水や結露水等が含浸することがなく、不燃材料の表面、若しくは内部の不燃化物質が溶出することがない。
【0023】
請求項6記載の不燃材料によれば、紫外線遮蔽剤が含浸されているので、不燃材料を太陽からの紫外線を遮蔽することができ、屋外で使用した場合における当該不燃材料の耐候性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本実施形態に係る不燃材料1の製造方法は、図1に示すように、耐圧の反応容器2に可燃材料3を入れて密閉してその内部を減圧した状態で、炭酸ガスと反応して水に対して難溶、又は不溶な不燃化物質を生じうる金属塩水溶液を前記反応容器2に注入し、その後、前記反応容器2内部を所定時間加圧して前記可燃材料3に前記金属塩水溶液を含浸させた後、注入された余剰の前記金属塩水溶液を排出してから前記反応容器2を密閉した後、炭酸ガスを前記反応容器2に圧入し、該炭酸ガスと前記金属塩水溶液とを該可燃材料3の内部、及び表面で所定時間反応させて該可燃材料3の内部、及び表面に前記不燃化物質を生成させ、これによって不燃材料1を製造することを特徴とするものである。
【0025】
反応容器2は、金属塩水溶液との反応において、酸等の金属を腐食するような物質が生成することも考えられるので、当該反応容器2全体、及び、該反応容器2に炭酸ガスや金属塩水溶液を送るための配管4等や、これらを貯蔵する図外の容器等の不燃材料1を製造するために使用される器具は、耐腐食性のステンレス等で形成されていることが好ましい。
【0026】
また、反応容器2は、図1、図2に示すように、略円筒状に形成された縦長を示しており、側面を架台5に支持された可燃材料3等を入れる反応釜6と、該反応釜6の開口部7を閉鎖する蓋部材8を具備している。また、反応容器2内の気密性を確保するために反応釜6の縁部6aと蓋部材8の縁部8aとの間には、ゴム製のパッキン9が設けられている。反応釜6と蓋部材8とは、反応釜6の縁部6a、及び蓋部材8の縁部8aに形成された連結孔6b、8bにボルト10aとナット10bによって連結自在となっており、反応容器2内を加圧した際にも蓋部材8が開いたり、これらの隙間から空気が出入りすることがないようになっている。また、蓋部材8はその一部が反応釜6と連結部材11によって連結されており、図2に示すように、周知の動力源12によって連結部材11の軸部13を中心に水平方向に回転するようにして蓋部材8の開閉を行うことができる。尚、本実施形態の縦長の反応容器2に代えて横長の反応容器2を使用することができるのは勿論である。
【0027】
そして、反応釜6の下方の略中心部分には、出入孔14が形成されており、該出入孔14には金属塩水溶液等を貯蔵する図外の容器から反応容器2へこれらの水溶液を搬送するための配管4が連結されると共に、当該配管4における反応釜6の近傍にはバルブ15が設けられており、該反応釜6へ流入する水溶液の量を調節したり、水溶液を排出する際にも使用することができる。また、蓋部材8には反応容器2内部の圧力を検知するための圧力計16、反応釜6内の水溶液量を確認するためのレベルゲージ17、反応容器2内の圧力を制御するための圧力制御弁18等が適宜設けられている。尚、圧力制御弁18は図外の圧力調整装置と連結されており、反応容器2内を加圧、若しく減圧することができる。
【0028】
不燃材料1として処理される前記可燃材料3は、一般的に建築物を始めとする工業材料に汎用される材料を好適に使用することができ、例えば、椰子ガラ、しろ、麻等の繊維、藁、麦藁、葦、薄等の萱葺屋根に使用される植物、竹、さらには、杉、桐、松、楢、ブナ、檜及び桜等の木材、及びこれらの合板や、これらを縄状にした成型品等、そして、前述のものを材料とした紙を始め、その他にも合成樹脂等、その種類や形状を問わず用いることができる。そして、このような可燃材料3に不燃化物質を含浸させる際には、当該可燃材料3を予め乾燥させておくことで、該可燃材料3により多くの不燃化物質を含浸させることができる。また、可燃材料3として木材を使用する場合には、該木材を減圧下で加熱乾燥を行い、その含水率が例えば10%以下程度としておくことが好ましい。
【0029】
本実施形態において使用される前記金属塩水溶液は、水溶液を生成しうる程度に水への溶解性が高い市販の金属塩を水に溶解させたものであり、前記炭酸ガスと反応して水に対して難溶、又は不溶な不燃化物質を生じうる物質である。また、金属塩は、金属の塩化物、水酸化物、ケイ酸化物等であり、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、塩化バリウム、水酸化亜鉛、塩化亜鉛、ケイ酸ナトリウム等が使用でき、これ以外にも目的に応じて適宜他の金属塩を使用可能である。そして、5〜30重量%程度の水溶液に調製され使用される。
炭酸ガスは、ボンベ等に圧縮された周知のものを適宜使用することができる。
【0030】
予め乾燥された可燃材料3としての薄板状の木材(厚さ10mm、横200mm、縦1000mm)を、図3、図4に示すように、その開口部7から反応釜6に入れ、蓋部材8を連結部材11の軸部13を中心に回転させることで開口部7を閉鎖し、反応釜6の縁部6aと蓋部材8の縁部8aとをボルト10aやナット10bで連結し反応容器2内を密閉する。そして、図3に示すように、ケイ酸ナトリウム水溶液を木材全体が浸るくらいまで反応釜6内に注入する。この際には、1〜3時間かけて予め反応容器2内の圧力を0.01〜0.1気圧程度に減圧してからケイ酸ナトリウム水溶液を反応釜6内に注入する。そのため、反応容器2内に容易にケイ酸ナトリウム水溶液を注入することができ、また、木材内部への該ケイ酸ナトリウム水溶液の含浸も効率的に行うことができる。その後、反応容器2内を3〜10気圧程度に加圧し、1〜3時間かけて木材へのケイ酸ナトリウム水溶液の含浸をより促進させる。
【0031】
木材へのケイ酸ナトリウム水溶液の含浸は、本実施形態のように常温で行ってもよいが、温度が40〜70度程度のケイ酸ナトリウム水溶液を使用する、若しくは、含浸中のケイ酸ナトリウム水溶液の温度を40〜70度程度に保持することで、より含浸性を向上することができると共に、短時間で当該作業を行うことができる。また、含浸の時間は、木材の厚みや大きさ等によって適宜変更することができる。そして、木材にケイ酸ナトリウム水溶液を含浸させた後は、バルブ15を開き配管4から余剰の該ケイ酸ナトリウム水溶液を排出する。この際には、木材表面に過剰にケイ酸ナトリウム水溶液が付着している場合には適宜これを取除くことが好ましい。また、前述のように反応容器2内からケイ酸ナトリウムを完全に排除することは困難であるので、可燃材料3を予め別の内部容器に入れた状態でこれを反応容器2内に入れ、次工程に移る際に、他の内部容器と取り替えることで、最初の内部容器内に残存するケイ酸ナトリウムを完全に回収することができる。
【0032】
その後、反応容器2を密閉し、蓋部材8に設けられたガス流入孔19と連結された炭酸ガスのボンベ(不図示)の減圧弁を開き、当該反応容器2内に炭酸ガスを流入する。この際には、圧力制御弁18を開けた状態で炭酸ガスを10〜90秒程度、反応容器2内に流入し続け当該反応容器2内の空気を炭酸ガスと置換する。
【0033】
そして、圧力制御弁18を閉じて、減圧弁を調節して反応容器2内の圧力が3〜10気圧程度になるように炭酸ガスを反応容器2内に圧入してから、一旦炭酸ガスの圧入を停止する。その後、反応容器2内の圧力は、その内部の炭酸ガスがケイ酸ナトリウムとの反応により消費されて当該反応容器2内の圧力が前記圧力よりも減少する。この操作を3時間程度で2、3回繰り返すことにより前述のように炭酸ガスの圧入を停止した後、反応容器2内の圧力が減少せず一定になった時にケイ酸ナトリウムと炭酸ガスとの反応が終了したと判断する。そして、反応容器2内の圧力を常圧に戻してから蓋部材8を開放し、製造された不燃材料を取出し、これを適宜乾燥等させる。
【0034】
また、上述の方法以外にも、圧力制御弁18を閉じて、減圧弁を調節して反応容器2内の圧力が3〜10気圧程度になるように炭酸ガスを反応容器2内に1〜3時間程度、圧入し続けることにより、ケイ酸ナトリウムと炭酸ガスとを反応させてもよい。
【0035】
尚、前述のように製造された不燃材料には、不燃化物質の溶出を防止するための溶出防止剤や、撥水剤、紫外線遮蔽剤等を製造工程のいずれの段階においても含浸させてもよい。
【0036】
そして、ケイ酸ナトリウムと炭酸ガスとを別途反応させて不燃化物質を生成し、これを電動ミル等で粉砕した粉末を水に分散したものを木材等の可燃材料3に含浸させたり、該粉末を乾燥状態で合成樹脂等の可燃材料3に添加することもできる。使用する金属塩も水酸化バリウムに限定されず適宜その他の金属塩を使用することができる。又、本実施形態においては、薄板状の木材を使用したが、これに代えて、前述した他の可燃材料3を用いてもよく、また、木材の場合であっても他の形状や大きさの物を使用目的に応じて適宜変更することができる。
【0037】
そして、前述のように製造された不燃材料に、含浸された不燃化物質の溶出を防止するために、アクリル酸エステル等のアクリル系、シロキサン系、若しくはリグニンスルホン酸塩等のエマルジョンの溶出防止剤を不燃材料に含浸させてもよい。また、溶出防止剤は、前記水酸化バリウム水溶液等の水溶液と同時に可燃材料に含浸させたり、当該水酸化バリウム水溶液を含浸させた後、別途溶出防止剤を含浸させることができる。また、不燃化物質を粉砕して水に分散させる際には、この分散液と同時に溶出防止剤を可燃材料に含浸させることもできる。そして、その他にも、溶出防止剤と同様の方法で雨水や結露水等を撥水するためのアクリル系やシリコンオイル系の周知の撥水剤を適宜選択して可燃材料に含浸させることができる。尚、溶出防止剤と撥水剤は、これらを双方、若しくは、どちらか一方のみでも使用することができ、どちらか一方を使用すれば、不燃化物質の溶出を確実に防止できるが、これらを両方使用することでより確実に不燃化物質の溶出を防止することができる。さらに、不燃材料1を紫外線から保護し耐候性を向上させるシリコーン系やポリウレタン系等の周知の紫外線遮蔽剤を当該不燃材料1に含浸させてもよい。そして、溶出防止剤、撥水剤、紫外線遮蔽剤は不燃材料1の製造工程におけるいずれの段階で含浸させてもよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る不燃材料1は、建築物の施工に使用される木材等の用途だけでなく、家具等にも使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る反応容器の概略図
【図2】本発明の実施形態に反応容器の蓋部材を開放する状態を示す上視図
【符号の説明】
【0040】
1 不燃材料
2 反応容器
3 可燃材料
6 反応釜
8 蓋部材
11 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ガスと反応して水に対して難溶、又は不溶な不燃化物質を生じうる金属塩水溶液を可燃材料に含浸させた後、前記可燃材料を炭酸ガス雰囲気下に置いて該炭酸ガスと前記金属塩水溶液とを該可燃材料の内部、及び表面で反応させて該可燃材料の内部、及び表面に前記不燃化物質を生成させ、これによって不燃材料を製造することを特徴とする不燃材料の製造方法。
【請求項2】
耐圧の反応容器に可燃材料を入れて密閉してその内部を減圧した状態で、炭酸ガスと反応して水に対して難溶、又は不溶な不燃化物質を生じうる金属塩水溶液を前記反応容器に注入し、その後、前記反応容器内部を所定時間加圧して前記可燃材料に前記金属塩水溶液を含浸させた後、注入された余剰の前記金属塩水溶液を排出してから前記反応容器を密閉した後、炭酸ガスを前記反応容器に圧入し、該炭酸ガスと前記金属塩水溶液とを該可燃材料の内部、及び表面で所定時間反応させて該可燃材料の内部、及び表面に前記不燃化物質を生成させ、これによって不燃材料を製造することを特徴とする不燃材料の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか記載の不燃材料の製造方法で製造されたことを特徴とする不燃材料。
【請求項4】
前記不燃化物質の溶出を防止するための溶出防止剤が含浸されていることを特徴とする請求項3記載の不燃材料。
【請求項5】
撥水剤が含浸されていることを特徴とする請求項3又は4記載の不燃材料
【請求項6】
紫外線遮蔽剤が含浸されていることを特徴とする請求項3乃至5記載の不燃材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−101555(P2012−101555A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11286(P2012−11286)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【分割の表示】特願2008−228580(P2008−228580)の分割
【原出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(506250044)株式会社吉成産業 (4)
【Fターム(参考)】