説明

不織布取り出し具

【課題】ウェットティッシュ(登録商標)は、折り畳まれ密着して包装体に収容されているため引き出しづらく、また1枚の厚みの把握が困難なため、最上面の1枚だけでなく2枚目以降も取り出してしまう事があった。本発明は、ウェットティッシュを包装体から容易にかつ1枚だけ引き出すことが出来る取出し具を提供する。
【解決手段】合成樹脂シートなど、柔軟性を有する素材で形成された薄板状の基材2に、面ファスナー(登録商標)のフック1側を粘着材3または熱溶着等により取付ける。また、基材2と面ファスナーを貫通する穴4を単数もしくは複数設け、指を差し入れて面ファスナーを動かせるようにする。更に基材2の一部に粘着材3等を塗布し、ウェットティッシュ包装体の開閉蓋の裏面、または包装体に貼り付けられるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュなどの湿らせた不織布または繊維性素材の包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、不織布や繊維素材を蒸留水やアルコールなどの液体で湿らせたウェットティッシュは、軟質の合成樹脂シートなどを用いた包装体に収容されている。包装体には、収容されているウェットティッシュを取り出すための開口部が設けられている。また、ウェットティッシュの乾燥を防ぐため、繰り返して剥離と貼り付けが可能な開閉蓋が、開口部を覆うように貼り付けられている。ウェットティッシュを取り出すときには開閉蓋をめくり上げ、包装体の開口部から指先を使ってウェットティッシュを一枚一枚、つまみ出す方法がとられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
包装体の中で折り畳まれ収容されたウェットティッシュを引き出す際は、親指と人差し指などの爪先でウェットティッシュの一枚目をつまむ方法が取られるが、湿ったウェットティッシュは密着して折り畳まれているため、引き上げる際の摩擦力が大きく取り出しづらいという問題点があり、また、爪の先でつまむ際に一枚の厚みが把握しづらため、一枚だけが必要な時でも一枚目だけでなく二枚目以降もつまみ出されてしまい、不経済となるという問題点があった。
本発明は上記の問題点を解決し、最上面の一枚だけを容易に取り出すことができるようになされたウェットティッシュ等の不織布取り出し具である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような目的を達成するため本発明は、合成樹脂シートなど、柔軟性を有する素材で形成された薄板状の基材に、面ファスナーのフック面の裏面を粘着材または熱溶着等により取付ける。また、基材と面ファスナーを貫通する穴を単数もしくは複数設ける。この穴は指を差し入れて面ファスナーのフック面を動かすために用いられる。更に基材に、ウェットティッシュ包装体の開閉蓋の裏面または、包装体に基材を貼り付けて固定するための粘着材等を塗布する。本発明は、以上の構成よりなり、面ファスナーのフックがウェットティッシュなど不織布の繊維質に絡む性質を利用し、包装体に収容された最上面のウェットティッシュ1枚だけを取り出し易くする事ができるウェットティッシュ取り出し装置である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の基材に設けられた穴に指を差し入れて基材を動かす事により、基材に取付けられた面ファスナーのフックがウェットティッシュの最上面を摺動する。この時、ウェットティッシュの繊維質が面ファスナーのフックに絡み付き、更に基材を引き上げる事で最上面のウェットティッシュだけが浮き上がった状態となるため、一枚目だけをつまむ事ができ、確実でかつ容易なウェットティッシュの取り出しが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(イ)一般的なウェットティッシュ包装体の開口部よりも若干小さい面積、具体的には 長さ4cm〜7cm、幅2cm〜4cm程度の面ファスナーのフック面(1)の 裏面に、柔軟性を有する合成樹脂等で形成された、厚さ0.1mm〜0.3mm 程度のシート状の基材(2)を粘着材(3)もしくは熱溶着等により取付ける。
(ロ)基材(2)の面ファスナーのフック面(1)貼付け部分以外に、包装体(5)の 開閉蓋(6)もしくは、包装体(5)自体に基材(2)を固定するのに充分な面 積の粘着材(3)を塗布する。ここで用いる粘着材(3)は、表裏の両面に粘着 材を塗布したシートを用いても良い。基材(2)の幅は面ファスナーのフック面 (1)と同寸法もしくは同程度の幅とし、長さは6cm〜10cm、具体的には 、開閉蓋(6)または包装体(5)に基材(2)を固定するための粘着材塗布部 分と、面ファスナーのフック面(1)を取付ける部分の長さが確保できる8cm 程度が好ましい。
ただし、包装体には携帯型と据え置き型など異なるサイズのものが存在するため 、それぞれの開口部・包装体の大きさに合わせ基材(2)の大きさを設定して良 い。
図3は開閉蓋(6)の裏面に本発明を固定する場合で、図4は包装体(5)に本 発明を固定する場合を示している。
(ハ)基材(2)には更に面ファスナー(1)と基材(2)を貫通する穴(4)を、単 数もしくは複数設ける。この穴(4)は人差し指などの指を差し入れ、面ファス ナーのフック面(1)をウェットティッシュ(7)の表面上で摺動させる事を目 的としており、穴(4)の形状は円や半円、四角形や三角形など任意形状で良く 、指を差し入れて基材を動かし、また、引き上げる際に指を引っ掛ける事ができ る大きさ、形状とする。
本発明は以上の構成よりなる。
【0007】
本発明を使用する場合は包装体(5)の開閉蓋(6)をめくり、面ファスナーのフック面(1)を取付けた基材(2)を、包装体(5)に収容されたウェットティッシュ(7)の最上面に当接するように、図3に示した包装体(5)の開閉蓋(6)の裏面、もしくは、図4に示した包装体(5)の外装に固定し、開閉蓋(6)を元に戻す。ウェットティッシュ(7)を取り出す時は、開閉蓋(6)をめくり基材(2)の穴(4)に指先を差し込み、図3、および図4に記載した矢印方向に引き寄せる。これにより面ファスナーのフック(1)がウェットティッシュ(7)の最上面を摺動し、ウェットティッシュ(7)の繊維質が面ファスナーのフックに絡んだ状態となる。更に穴(4)に差し込んだ指で基材(2)を引き上げる事により、ウェットティッシュ(7)の最上面を浮き上がらせる事ができる。このようにして、ウェットティッシュ(7)が浮き上がり、指の腹で挟むことが容易となるため、最上面のウェットティッシュ(7)を取り出し易くすることができる。ここで、面ファスナーのフックはウェットティッシュなど不織布の繊維質に対し絡み易い性質を持つが、単にウェットティッシュの垂直方向から押し付けただけでは繊維はフックに多く引っ掛からないため、ウェットティッシュを引っ張り上げるほどの保持はできない。これに対して、本発明の構成である基材(2)上の穴(4)に指を差し入れ引き寄せた場合には面ファスナーのフックがウェットティッシュ最上面の表面を摺動するため繊維質に確実に絡み付き、ウェットティッシュを引き上げるのに充分な保持が可能となる。なお、コスト的には本発明の穴(4)が最良の形状であるが、この穴(4)と同等の機能を有する部材として、図10に示すつまみ(9)を、軟質の薄い合成樹脂シート等で形成し基材(2)に粘着材、もしくは熱溶着して取付けても良い。
【0008】
本発明のその他の実施例を、図を用いて示す。図5と図6は本発明における基材(2)と同様の形状を、包装体(5)によって形成する実施例である。包装体(5)の開口部に本発明と同様の形状を設け、包装体(5)の開口部の一部を覆うようにする。すなわち包装体(5)の開口部の縁の一部を開口に張り出させる。開口部に張り出した部分(8)でかつ、ウェットティッシュに接する面に、面ファスナーのフック面(1)の裏面を粘着材もしくは熱溶着等を用いて固定する。また、この開口部に張り出した部分(8)には本発明と同様に、包装体(5)と面ファスナーのフック面(1)を貫通する穴(4)を単数もしくは複数設ける。なお、本発明と同様に、穴の代わりにつまみを取付けてもよい。図5の例では開閉蓋(6)をめくる方向と同じ方向に面ファスナーのフック(1)を引き寄せる事ができ、図6の例では開閉蓋(6)をめくる方向と逆の方向に面ファスナーのフック(1)を引き寄せる事ができる。ウェットティッシュを取り出す場合は、開閉蓋(6)をめくり包装体の開口部に張り出した部分(8)に設けた穴(4)に指先を差し込み、図5、および図6に記載した矢印方向に引き寄せる。これによりウェットティッシュ(7)の繊維質が面ファスナーのフック(1)に引っ掛かり、更に張り出し部(8)を引き上げる事により、ウェットティッシュの最上面(7)が浮き上がる。ウェットティッシュが浮き上がる事で、指の腹で挟むことが容易となるため、ウェットティッシュを取り出し易くすることができる。
【0009】
更に本発明は、基材(2)を長く取り、また面ファスナーのフック(1)を摺動する別の方法として、厚さ1mm〜3mm程度の合成樹脂板により形成される保持板(10)を用いる事で、図7、図8に示すように包装体を収容するケース(11)にも適用する事ができる。ここで、基材(2)の幅は包装体の収容ケース(11)の開口部(12)の短辺の幅より1〜5mm狭い長さで、好ましくは幅2cm〜4cm、基材(2)の長さは収容ケース(11)に基材(2)を固定する長さと収容ケース(11)開口縁(12)から底面までの長さ、および保持板(10)を固定するための、のり代を合わせた10cm〜15cm程度が好ましい。図9はその適用の詳細を示す断面図である。収容ケース(11)の開口部(12)付近に本発明の基材(1)の一端を粘着材等により取付け、もう一端に面ファスナーのフック面(1)および保持板(10)を、粘着材もしくは熱溶着等により取付ける。ウェットティッシュ(7)を取り出す場合は収容ケース(11)の開閉蓋を開き、保持板(10)を指でつまんで動かす。こうする事で面ファスナーのフック(1)がウェットティッシュ(7)の表面上で摺動し、フックにウェットティッシュの繊維質が絡み保持される。更に図9に記載した矢印の方向に引き上げる事で、ウェットティッシュの最上面を収容ケースから引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】 本発明の斜視図
【図2】 〔図1〕のA線の断面図
【図3】 本発明をウェットティッシュ包装体に取付けた場合の斜視図
【図4】 本発明をウェットティッシュ包装体に取付けた場合の斜視図
【図5】 本発明を適用したウェットティッシュ包装体
【図6】 本発明を適用したウェットティッシュ包装体
【図7】 本発明を包装体の収容器に適用した場合を示す説明図(分解図)
【図8】 本発明を包装体の収容器に適用した場合を示す説明図(組立図)
【図9】 〔図9〕のB線の断面図
【図10】 本発明の、基材上の穴の代わりに他の部材を用いた場合の斜視図
【符号の説明】
【0011】
(1)面ファスナーのフック、(2)基材、(3)粘着材、(4)穴、(5)包装体、(6)包装体の開閉蓋、(7)ウェットティッシュ、(8)包装体の開口部の張り出し部(9)つまみ、(10)保持板、(11)包装体を収容するケース(12)包装体を収容するケースの開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性力を有する薄い合成樹脂シートにおいて、面ファスナーのフック面が取付けられ、また、ウェットティッシュ包装体または開閉蓋に固定するための粘着材が塗布されている事を特徴とする不織布取り出し具。
【請求項2】
指を差し入れる穴もしくは、つまみを有する請求項1の不織布取り出し具。
【請求項3】
請求項1および請求項2を具備するウェットティッシュ包装体。
【請求項4】
面ファスナーのフック面を動かすために指でつまむ保持板が取付けられた請求項1の不織布取出し具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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