説明

与信取引システム及びその方法

【課題】売り手の債権回収のタイミング及び買い手の債務弁済のタイミングの自由度を大幅に高めることで与信取引を活性させる新たな与信取引システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る与信取引システムは、ネットワークを通じて相互に通信が可能な与信会社サーバと買い手側顧客端末と売り手側顧客端末とを含み、与信会社サーバは、顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報や与信枠等を記憶した顧客与信情報データベースと、取引金額や決済予定日等を記憶した取引情報データベースと、買い手顧客端末からの売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みに対して、取引可否を判定する手段と、売り手側顧客端末からの取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日を含む割引保証料算出要求に応答して、売り手に請求する割引保証料を算出して送信する手段と、買い手に請求する追加保証料を算出して送信する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は与信会社によって付与された信用に基づいて商取引を行うための与信取引システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の引渡し時には代金の支払いを行なわず、その後の決済期日までに支払いを行なうことを可能にする与信取引が慣習的に行われており、与信取引に関連する種々のサービスが存在する。
【0003】
クレジットカードサービスにおいては、クレジットカード会社が所定の審査後に会員に対して所定の利用限度額を設定すると、会員はその利用限度額内においてカード加盟店で自由に商品を購入することができる。クレジットカード会社は、各商取引に対して一定の保証料を加盟店から受け取る代わりに加盟店への代金支払いを肩代わりするので、会員は毎月の決済期日までは商品の代金を支払う必要がない。決済期日において会員の銀行口座が残高不足の場合、クレジットカード会社は会員に対して代金支払いの督促を行うとともに、決済日からの日数に応じて所定の利息を請求する。延滞が長期にわたると取引停止処分となる。
【0004】
銀行等の金融機関による融資の場合、個人又は企業などの資金需要者は一定の審査を経た後に、金融機関から金銭の貸し出しを受けることができる。不動産や有価証券などの資産に担保を設定することを条件に融資が行われる場合もある。個人又は企業は借り受けた金銭を直近の事業運転資金や設備購入費用に充てることができ、返済は金融機関との契約で取り決めた期日に繰り延べることができる。金融機関は資金需要者の信用力や返済期間に応じて設定される利息を受け取ることができる。
【0005】
手形割引においては、割引者が銀行の場合と手形割引業者の場合でシステムが異なる。割引者が銀行の場合には、割引依頼人の信用力及び満期日までの日数に応じて割引料が設定されるが、割引者が手形割引業者の場合には、手形振出人の信用力及び満期日までの日数に応じて割引料が設定される。いずれの場合にも、割引依頼人にとっては直ちに現金化できるという利点がある。ただし、銀行は手形を割り引く際に使用する銀行取引約款書の第6条に買戻し特約を設けている。この約款の規定により、割引依頼人の信用状態が悪化した場合には、たとえ満期日前であったり手形の支払いが不確実になったといえなかったりしても、割引依頼人は割引手形を買い戻す義務が生じる。
【0006】
債権保証の場合、債権保証会社が一定の保証料を受け取る代わりに依頼人の売掛金等の債権を保証し、債務者が支払い不能になった場合でも依頼人は代金弁済を受けることができる。債権保証会社は債務者の信用力に応じて保証料を設定する。
【0007】
債権買取では、債権買取会社が一定の保証料を受け取る代わりに依頼人の売掛金等の債権を買い取るので、債権者は未回収リスクを回避できる。債権買取会社は債務者の信用力に応じて保証料を設定する。
【0008】
昨今では、コンピュータネットワーク技術の発達により、このような与信取引の円滑化や活性化を目的とした多数のビジネスモデルが提案されている。
【0009】
特開2007−52486号公報(特許文献1)では、主にクレジットカードを用いた商取引において、商品やサービスの購入者が保有する資産を活用し、購入者に付与された与信限度額を超える金額の商品やサービスの購入を可能とする情報処理装置を提案している。
【0010】
特開2002−7703号公報(特許文献2)では、インターネットを利用して、与信を伴う金融商品(リース、融資、割賦販売、保証等)の利用を希望する不特定多数の顧客の申し込みを受け付け、これらの申し込みに対して、顧客の格付け付与、顧客の希望する金融商品の値付及び与信の付与を自動的に行うとともに、その結果をインターネットを利用して、当該顧客に瞬時に回答できる金融取引システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−52486号公報
【特許文献2】特開2002−7703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これまで提案されてきたビジネスモデルは、コンピュータネットワークを活用して銀行の融資業務やクレジットカード会社の与信業務等の効率を上昇させるものではあるが、既存の与信取引の枠内を逸脱するものではない。そのため、債権回収や債務弁済のタイミングの自由度を高めることはなく、商取引を活性化させるにも限界があった。
【0013】
そこで、本発明は売り手の債権回収のタイミング及び買い手の債務弁済のタイミングの自由度を大幅に高めることで商取引を活性させる新たな与信取引システムを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、銀行による融資業務及び手形割引業務、クレジットカード会社による与信業務、債権保証会社の保証業務、債権買取会社の買取業務のそれぞれで部分的に行われてきたシステムを融合させることで、上記課題を解決することのできる画期的な与信取引システムが構築できることを見出した。
【0015】
本発明に係る与信取引システムは、与信会社に口座を持つ取引者同士の与信取引から生じた債権債務に関し、与信会社が実質的な手形割引人、有担保及び無担保貸付者の役割を担う事により、売り手の債権回収及び買い手の債務支払いのタイミングの自由度を大幅に高めることのできるシステムである。
【0016】
本システムによる与信取引の基本概念図を図1に示す。売り手が買い手に商品を販売する場合、本システムによれば、与信会社が債務者である買い手に代わって商品代金を売り手の希望日に売り手に支払う。この際、与信会社は買い手の信用力に応じて設定される所定の割引保証料(ここでは商品代金の3%)を売り手に請求する。一方、買い手は予定決済日(ここでは3カ月)までは商品代金の100%の金額を、予定決済日を超えた場合には買い手の信用力に応じて設定される所定の追加保証料を商品代金に加えた金額を支払う。予定決済日は、与信会社の設定する与信供与ラインの範囲内で、売り手と買い手が合意の元に自由に設定可能な期日である。
【0017】
従って、本発明は一側面において、
ネットワークを通じて相互に通信が可能な与信会社サーバと買い手側顧客端末と売り手側顧客端末とを含み、
1)与信会社サーバは、
・顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報、担保価値、担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高と、無担保枠についての取引期間別保証率情報と、有担保枠についての取引期間別保証率情報と、与信供与ラインとを含む顧客与信情報を、顧客識別情報と関連づけて検索可能に記憶した顧客与信情報データベース;
・買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン期日、取引のステータス、取引成立日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、決済状況、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を、取引識別情報と関連づけて検索可能に記憶した取引情報データベース;
・買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む買い手の顧客与信情報の検索要求に応答して、顧客与信情報データベースから検索要求内の検索条件に合致する顧客与信情報を取得し、当該情報を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する手段;
・買い手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みに対して、顧客与信情報データベースに記憶されている買い手の有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高に基づいて算出される残存与信枠と取引金額との比較から取引可否を判定し、取引可否を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する手段;
・上記取引が可能と判断された場合に、新たな取引識別情報を生成し、取引金額と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する有担保無担保枠の使用順位、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高とに基づいて、当該取引に適用される無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を算出し、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を含む取引情報を当該取引識別情報と関連づけて売り手の承諾待ちである旨と共に取引情報データベースに保存する手段;
・売り手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求に応答して、取引情報データベースから売り手の顧客識別情報に合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引を抽出し、取引識別情報と共に、買い手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;
・売り手側顧客端末からの取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日を含む割引保証料算出要求に応答して、売り手への代金支払い予定日と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報及び有担保枠についての取引期間別保証率情報と、取引情報データベースに保存されている予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額とに基づいて、売り手に請求する割引保証料を算出し、算出された割引保証料を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;
・売り手側顧客端末からの取引識別情報を含む取引承諾に応答して、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、当該取引識別情報と関連づけて与信供与ライン期日、売り手に請求する割引保証料、売り手への代金支払い予定日、及び取引成立日を未決済である旨と共に取引情報データベースに保存し、取引情報データベースに保存されている買い手側の顧客識別情報及び取引金額に基づいて、顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する手段;
・取引情報データベース上で未決済である旨が記憶されている取引につき、取引金額、取引成立日、予定決済日、与信供与ライン期日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報、及び有担保枠についての取引期間別保証率情報に基づいて、予定決済日を超えている場合の追加保証料、及び与信供与ライン期日を超えている場合の超過利息を定期的に算出し、これらを取引情報データベースに保存すると共に、算出された追加保証料及び超過利息に基づいて顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する手段;
・買い手のクレジットアカウント残高が更新された場合に、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高とに基づいて顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保設定状況を更新する手段;
・取引情報データベースに保存されている取引情報に基づいて、売り手への代金支払い予定日に、売り手に請求する割引保証料を取引金額から控除した金額を売り手側顧客からの現金の預かり資産、担保価値、及び有担保与信枠に加算することにより、顧客与信情報データベース内の売り手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とを更新する手段;
・買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求に応答して、取引情報データベースから買い手の顧客識別情報に合致する未決済の取引について、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;並びに
・買い手側顧客端末からの取引識別情報を含む決済要求に応答して、取引識別情報に合致する取引について、取引情報データベースに保存されている追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額を買い手からの現金の預かり資産、担保価値、有担保与信枠、及びクレジットアカウント残高から控除することにより、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とクレジットアカウント残高を更新し、取引識別情報と関連づけて決済済みである旨を取引情報データベースに保存する手段;
を備え、
2)買い手側顧客端末は、
・買い手の顧客与信情報の検索要求を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
・与信会社サーバから送信される顧客与信情報を受信し、画面に表示する手段;
・売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みを入力し、与信会社サーバに送信する手段;並びに
・与信会社サーバから送信される取引可否を受信し、画面に表示する手段;
・買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
・与信会社サーバから送信される未決済取引毎の追加保証料及び超過利息を含む取引情報を受信し、画面に表示する手段;
・取引識別情報を含む決済要求を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
を備え、
3)売り手側顧客端末は、
・売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
・与信会社サーバから送信される取引情報を受信し、画面に表示する手段;
・取引識別情報及び入金希望日(売り手への代金支払い予定日に相当)と共に割引保証料算出要求を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
・与信会社サーバから送信される取引毎に適用される割引保証料を受信し、画面に表示する手段;並びに
・取引識別情報を含む取引承諾を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
を備えた、
与信取引システムである。
【0018】
また、本発明は別の一側面において、
・顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報、担保価値、担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高と、無担保枠についての取引期間別保証率情報と、有担保枠についての取引期間別保証率情報と、与信供与ラインとを含む顧客与信情報を、顧客識別情報と関連づけて検索可能に記憶した顧客与信情報データベース;
・買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン期日、取引のステータス、取引成立日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、決済状況、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を、取引識別情報と関連づけて検索可能に記憶した取引情報データベース;
・買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む買い手の顧客与信情報の検索要求に応答して、顧客与信情報データベースから検索要求内の検索条件に合致する顧客与信情報を取得し、当該情報を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する手段;
・買い手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みに対して、顧客与信情報データベースに記憶されている買い手の有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高に基づいて算出される残存与信枠と取引金額との比較から取引可否を判定し、取引可否を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する手段;
・上記取引が可能と判断された場合に、新たな取引識別情報を生成し、取引金額と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する有担保無担保枠の使用順位、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高とに基づいて、当該取引に適用される無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を算出し、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を含む取引情報を当該取引識別情報と関連づけて売り手の承諾待ちである旨と共に取引情報データベースに保存する手段;
・売り手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求に応答して、取引情報データベースから売り手の顧客識別情報に合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引を抽出し、取引識別情報と共に、買い手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;
・売り手側顧客端末からの取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日を含む割引保証料算出要求に応答して、売り手への代金支払い予定日と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報及び有担保枠についての取引期間別保証率情報と、取引情報データベースに保存されている予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額とに基づいて、売り手に請求する割引保証料を算出し、算出された割引保証料を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;
・売り手側顧客端末からの取引識別情報を含む取引承諾に応答して、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、当該取引識別情報と関連づけて与信供与ライン期日、売り手に請求する割引保証料、売り手への代金支払い予定日、及び取引成立日を未決済である旨と共に取引情報データベースに保存し、取引情報データベースに保存されている買い手側の顧客識別情報及び取引金額に基づいて、顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する手段;
・取引情報データベース上で未決済である旨が記憶されている取引につき、取引金額、取引成立日、予定決済日、与信供与ライン期日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報、及び有担保枠についての取引期間別保証率情報に基づいて、予定決済日を超えている場合の追加保証料、及び与信供与ライン期日を超えている場合の超過利息を定期的に算出し、これらを取引情報データベースに保存すると共に、算出された追加保証料及び超過利息に基づいて顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する手段;
・買い手のクレジットアカウント残高が更新された場合に、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高とに基づいて顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保設定状況を更新する手段;
・取引情報データベースに保存されている取引情報に基づいて、売り手への代金支払い予定日に、売り手に請求する割引保証料を取引金額から控除した金額を売り手側顧客からの現金の預かり資産、担保価値、及び有担保与信枠に加算することにより、顧客与信情報データベース内の売り手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とを更新する手段;
・買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求に応答して、取引情報データベースから買い手の顧客識別情報に合致する未決済の取引について、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;並びに
・買い手側顧客端末からの取引識別情報を含む決済要求に応答して、取引識別情報に合致する取引について、取引情報データベースに保存されている追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額を買い手からの現金の預かり資産、担保価値、有担保与信枠、及びクレジットアカウント残高から控除することにより、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とクレジットアカウント残高を更新し、取引識別情報と関連づけて決済済みである旨を取引情報データベースに保存する手段;
を備えたサーバである。
【0019】
本発明は更に別の一側面において、
・顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報、担保価値、担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高と、無担保枠についての取引期間別保証率情報と、有担保枠についての取引期間別保証率情報と、与信供与ラインとを含む顧客与信情報を、顧客識別情報と関連づけて検索可能に記憶した顧客与信情報データベース;並びに
・買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン期日、取引のステータス、取引成立日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、決済状況、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を、取引識別情報と関連づけて検索可能に記憶した取引情報データベース;
をサーバに設け、
該サーバは、
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む買い手の顧客与信情報の検索要求に応答して、顧客与信情報データベースから検索要求内の検索条件に合致する顧客与信情報を取得し、当該情報を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みに対して、顧客与信情報データベースに記憶されている買い手の有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高に基づいて算出される残存与信枠と取引金額との比較から取引可否を判定し、取引可否を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信するステップ;
・上記取引が可能と判断された場合に、新たな取引識別情報を生成し、取引金額と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する有担保無担保枠の使用順位、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高とに基づいて、当該取引に適用される無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を算出し、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を含む取引情報を当該取引識別情報と関連づけて売り手の承諾待ちである旨と共に取引情報データベースに保存するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求に応答して、取引情報データベースから売り手の顧客識別情報に合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引を抽出し、取引識別情報と共に、買い手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日を含む割引保証料算出要求に応答して、売り手への代金支払い予定日と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報及び有担保枠についての取引期間別保証率情報と、取引情報データベースに保存されている予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額とに基づいて、売り手に請求する割引保証料を算出し、算出された割引保証料を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの取引識別情報を含む取引承諾に応答して、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、当該取引識別情報と関連づけて与信供与ライン期日、売り手に請求する割引保証料、売り手への代金支払い予定日、及び取引成立日を未決済である旨と共に取引情報データベースに保存し、取引情報データベースに保存されている買い手側の顧客識別情報及び取引金額に基づいて、顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新するステップ;
・取引情報データベース上で未決済である旨が記憶されている取引につき、取引金額、取引成立日、予定決済日、与信供与ライン期日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報、及び有担保枠についての取引期間別保証率情報に基づいて、予定決済日を超えている場合の追加保証料、及び与信供与ライン期日を超えている場合の超過利息を定期的に算出し、これらを取引情報データベースに保存すると共に、算出された追加保証料及び超過利息に基づいて顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新するステップ;
・買い手のクレジットアカウント残高が更新された場合に、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高とに基づいて顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保設定状況を更新するステップ;
・取引情報データベースに保存されている取引情報に基づいて、売り手への代金支払い予定日に、売り手に請求する割引保証料を取引金額から控除した金額を売り手側顧客からの現金の預かり資産、担保価値、及び有担保与信枠に加算することにより、顧客与信情報データベース内の売り手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とを更新するステップ;
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求に応答して、取引情報データベースから買い手の顧客識別情報に合致する未決済の取引について、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;並びに
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの取引識別情報を含む決済要求に応答して、取引識別情報に合致する取引について、取引情報データベースに保存されている追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額を買い手からの現金の預かり資産、担保価値、有担保与信枠、及びクレジットアカウント残高から控除することにより、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とクレジットアカウント残高を更新し、取引識別情報と関連づけて決済済みである旨を取引情報データベースに保存するステップ;
を実行することを含むネットワークを利用した与信取引のための方法である。
【0020】
本発明は更に別の一側面において、
・顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報、担保価値、担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高と、無担保枠についての取引期間別保証率情報と、有担保枠についての取引期間別保証率情報と、与信供与ラインとを含む顧客与信情報を、顧客識別情報と関連づけて検索可能に記憶した顧客与信情報データベース;並びに
・買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン期日、取引のステータス、取引成立日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、決済状況、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を、取引識別情報と関連づけて検索可能に記憶した取引情報データベース;
の検索条件を入力するための検索欄を顧客端末に送信するステップ、
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む買い手の顧客与信情報の検索要求に応答して、顧客与信情報データベースから検索要求内の検索条件に合致する顧客与信情報を取得し、当該情報を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みに対して、顧客与信情報データベースに記憶されている買い手の有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高に基づいて算出される残存与信枠と取引金額との比較から取引可否を判定し、取引可否を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信するステップ;
・上記取引が可能と判断された場合に、新たな取引識別情報を生成し、取引金額と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する有担保無担保枠の使用順位、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高とに基づいて、当該取引に適用される無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を算出し、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を含む取引情報を当該取引識別情報と関連づけて売り手の承諾待ちである旨と共に取引情報データベースに保存するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求に応答して、取引情報データベースから売り手の顧客識別情報に合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引を抽出し、取引識別情報と共に、買い手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日を含む割引保証料算出要求に応答して、売り手への代金支払い予定日と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報及び有担保枠についての取引期間別保証率情報と、取引情報データベースに保存されている予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額とに基づいて、売り手に請求する割引保証料を算出し、算出された割引保証料を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの取引識別情報を含む取引承諾に応答して、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、当該取引識別情報と関連づけて与信供与ライン期日、売り手に請求する割引保証料、売り手への代金支払い予定日、及び取引成立日を未決済である旨と共に取引情報データベースに保存し、取引情報データベースに保存されている買い手側の顧客識別情報及び取引金額に基づいて、顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新するステップ;
・取引情報データベース上で未決済である旨が記憶されている取引につき、取引金額、取引成立日、予定決済日、与信供与ライン期日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報、及び有担保枠についての取引期間別保証率情報に基づいて、予定決済日を超えている場合の追加保証料、及び与信供与ライン期日を超えている場合の超過利息を定期的に算出し、これらを取引情報データベースに保存すると共に、算出された追加保証料及び超過利息に基づいて顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新するステップ;
・買い手のクレジットアカウント残高が更新された場合に、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高とに基づいて顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保設定状況を更新するステップ;
・取引情報データベースに保存されている取引情報に基づいて、売り手への代金支払い予定日に、売り手に請求する割引保証料を取引金額から控除した金額を売り手側顧客からの現金の預かり資産、担保価値、及び有担保与信枠に加算することにより、顧客与信情報データベース内の売り手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とを更新するステップ;
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求に応答して、取引情報データベースから買い手の顧客識別情報に合致する未決済の取引について、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;並びに
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの取引識別情報を含む決済要求に応答して、取引識別情報に合致する取引について、取引情報データベースに保存されている追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額を買い手からの現金の預かり資産、担保価値、有担保与信枠、及びクレジットアカウント残高から控除することにより、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とクレジットアカウント残高を更新し、取引識別情報と関連づけて決済済みである旨を取引情報データベースに保存するステップ;
をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0021】
本発明は更に別の一側面において、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の与信取引システムによれば、売り手の債権回収のタイミング及び買い手の債務弁済のタイミングの自由度が高い。具体的には、売り手としては売掛債権をすぐに現金化することも、債権回収率を高めることを目的として予定決済日まで現金化を待つことも可能となる。また、買い手の信用力に応じた割引保証料さえ払えば、債権回収が確実に可能となるので、従前は取引が難しかった信用力の低い相手とも取引を安全に行うことが可能となる。
買い手としては追加保証料を支払えば債務を予定決済日までに返済する必要はなく、資金計画の柔軟性が高くなる。信用力が低い場合でも、担保さえ差し入れれば従来取引できなかった相手とも取引が可能となる。
また、与信会社の設定する与信供与ライン内であれば、予定決済日は売り手との合意により自由に設定できるため、この点においても利便性が高い。
与信会社としては、顧客同士が与信枠の範囲内で自由に取引を行わせることで、予定決済日までは売り手に対して手形割引的サービスを、買い手が予定決済日までに決済しないときは買い手に対して担保貸付(融資)的サービスを自動的に提供することができる。
このように、本発明の与信取引システムを利用することで商取引の活性化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本システムによる与信取引の基本概念図を示す。
【図2】本発明に係る与信取引システムの全体構成の例を示す。
【図3】本発明に係る与信会社サーバの機能ブロック図の例を示す。
【図4】顧客与信情報データベースの例を示す(顧客ID0001をもつ顧客が与信取引を行う直前の状態)。
【図5】顧客与信情報データベースの例を示す(顧客ID0001をもつ顧客が与信取引を行う直前の状態)。
【図6】顧客与信情報データベースの例を示す(顧客ID0001をもつ顧客が与信取引を行った直後の状態)。
【図7】顧客与信情報データベースの例を示す(顧客ID0001をもつ顧客が与信取引を行った直後の状態)。
【図8】取引情報データベースの例を示す(顧客ID0001が顧客ID0002と100万円の与信取引を行った直後の状態)。
【図9】取引成立から決済までの一連の流れを表す概念図である。
【図10】与信枠及び取引期間別保証率の設定手順の流れ、与信枠のイメージ、並びに取引期間別保証率のイメージを示す。
【図11】顧客の預け入れ資産、担保価値、与信枠及びクレジットアカウントの関係の説明図である。
【図12】買い手が与信会社に対して取引申し込みを行う段階の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】与信会社サーバから送信されてきた顧客与信情報(資産情報)の画面例を示す。
【図14】与信会社サーバから送信されてきた顧客与信情報(無担保枠の取引期間別保証率)の画面例を示す。
【図15】買い手が取引の詳細を入力するページの画面例を示す。
【図16】売り手の承諾を受けて取引が成立し、売り手に代金を支払うまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】売り手に請求する割引保証料を表示する画面例である。
【図18】買い手が取引の成否を確認するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】買い手が支払うべき追加保証料を確認し、決済を行うまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】与信会社サーバから送信されてきた未決済取引一覧の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る与信取引システムの実施形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0025】
<1.用語の定義>
サーバとはサーバ・コンピュータを意味し、1台又は複数台のコンピュータの協働により構成することができる。顧客端末はブラウザを搭載したパーソナルコンピュータにより実現できるが、それに限られるものではなく、携帯電話、モバイル及びPDAといった携帯型の端末、更にはデジタルテレビなどのコンピュータネットワークによる通信が可能な機器や装置類で構成することができる。サーバ及び顧客端末の基本的なハードウェア構成は共通しており、例えばCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するプログラム、プログラムやデータを一時的又は継続的に記憶するためのRAM(Random Access Memory)等のメモリ、ポート、記録媒体読取装置、入力装置、出力装置、及びハードディスクドライブ等の外部記憶装置を備えることができる。
【0026】
与信会社には、銀行、証券会社、クレジットカード会社、債権保証会社、債権買取会社、特別目的会社及び一般企業等、預かり資産、過去の支払い履歴、収入及び資産の状況(個人の場合)、企業業績(法人の場合)等を基に与信を供与できる全ての企業が含まれる。
【0027】
与信会社の顧客には個人及び法人が含まれる。本与信取引システムを利用する顧客同士は、共に同一の与信会社に取引のための口座を保有することになる。
【0028】
預かり資産には与信会社が顧客から預かった現金、有価証券、不動産等の資産が含まれる。
【0029】
クレジットアカウントは、与信会社の顧客が本システムによる与信取引を行った場合に、買い手側顧客が与信会社に対して負う債務を管理する口座であり、クレジットアカウントの残高は与信会社が各顧客に対して設定する与信枠を超える事ができない。
【0030】
取引期間別保証率情報は、与信会社が顧客の信用力、市中金利水準(TIBOR等)、取引手数料率等を考慮して定める、取引期間毎の保証率に関する情報であり、無担保枠と有担保枠に対してそれぞれ設定される。取引期間別保証率情報は取引期間と保証率の関係がテーブルの形態で保存されていてもよく、取引期間と保証率の関係を表す数式として保存されていてもよい。取引期間別保証率情報は各取引において定められる売り手に請求する割引保証料及び買い手に請求する追加保証料を計算するための基礎となる情報である。
【0031】
予定決済日とは、ある取引について買い手側顧客が与信会社に債務弁済を行う予定日であり、買い手と売り手の合意で自由に設定することができる。買い手は与信会社に対して、予定決済日までは取引金額の額面の100%の債務を負う事になるが、買い手は必ずしも予定決済日までに決済する必要はなく、予定決済日を超えた日数に相当する追加保証料を支払えば、決済のタイミングは買い手が自由に決める事ができる。但し、予定決済日は与信供与ライン期日を超える事はできない。
【0032】
与信供与ラインとは、与信会社が顧客に対して設定する与信の最長期間であり、各取引について取引成立日から買い手がペナルティの発生なく債務を弁済できるまでの期間である。与信供与ライン期日とは与信供与ライン内の最終日である。例えば、与信供与ラインが2年で、取引成立日が2010年1月1日であったならば、与信供与ライン期日は2012年1月1日である。買い手が与信供与ライン期日までに債務の弁済を行わない場合、期限を超過した日数に応じて、買い手は与信会社に対して所定の超過利息を支払う義務が生じる。
【0033】
顧客識別情報とは、各顧客を特定するための情報であり、識別番号(ID)、名前又は名称、住所、電話番号、ファックス番号、e−メールアドレス等が挙げられる。
【0034】
取引識別情報とは、各取引を特定するための情報であり、一般には番号や記号で構成される。
【0035】
取引のステータスには、売り手の承諾待ちである旨、取引が成立した旨、及び取引が不成立であった旨が含まれる。
【0036】
検索要求は、特定の情報をサーバに検索させる顧客端末からの指令であり、顧客端末の画面上に表示されている検索ボタンを押すことによって入力されるほか、ログインボタンやブラウザの更新ボタンを押すことによっても入力されるようにしてもよい。ログインボタンやブラウザの更新ボタンが検索要求を兼ねる場合、サーバは送信可能な情報を一括して送信することとなる。
【0037】
<2.システム構成>
図2に本発明に係る与信取引システムの一実施形態に係る全体構成を示す。図2に示すように、本システムは、与信会社サーバ11と、売り手側顧客端末12と、買い手側顧客端末13とを備え、売り手側顧客端末12及び買い手側顧客端末13は、インターネット、専用回線及び公衆網などのコンピュータネットワーク14を通じてサーバ11と相互通信可能に接続されている。
【0038】
与信会社サーバ11は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するプログラム、プログラムやデータを一時的又は継続的に記憶するためのRAM(Random Access Memory)等のメモリ、ポート、記録媒体読取装置、入力装置、出力装置、及びハードディスクドライブ等の記憶装置により、図3に示す機能ブロックを構成する。機能ブロックは、顧客与信情報データベース(DB)301、取引情報データベース(DB)302、フォームデータ格納部303、認証処理部311、与信情報検索部312、取引可否判定部313、取引情報生成部314、取引情報検索部315、割引保証料算出部316、取引承諾受信部317、追加保証料算出部318、担保設定更新部319、代金支払い部320、決済処理部321から構成される。
【0039】
顧客与信情報データベース301は、与信会社に口座を有する顧客の与信情報をデータベース化したものである。顧客与信情報データベース301には、顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報、担保価値、担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高と、無担保枠についての取引期間別保証率情報と、有担保枠についての取引期間別保証率情報と、与信供与ラインとを含む顧客与信情報を、顧客識別情報と関連づけて検索可能に記憶されている。預かり資産の口座情報には、与信会社が顧客から預かった各資産の時価が挙げられる。顧客与信情報データベース301には、顧客の格付けや残存与信枠が記憶されていてもよい。
【0040】
顧客与信情報データベース301の例を図4〜7に示す。図4及び図5は、顧客ID0001をもつ顧客が与信取引を行う直前の状態を表しており、図6及び図7は、当該顧客が100万円の与信取引を行った直後の状態を表している。図4及び図6から、与信取引前に0円であったクレジットアカウント残高が、与信取引後に1,000,000円に変化していることが分かる。図5及び図7に示すように、取引前後で担保設定状況も変化している。与信取引前には“アンロック”、すなわち担保にとられていない状態であった資産の一部が、取引金額に応じて与信取引後に“ロック”、すなわち担保にとられた状態に変化したことが分かる。
【0041】
この変化について詳しく説明する。図4に示すように、顧客は1,600,000円の与信枠を付与されており、このうち無担保与信枠が200,000円、有担保与信枠が1,400,000円である。有担保与信枠と無担保与信枠では無担保与信枠を優先使用する設定としている。有担保枠の差し入れ順位は図5に示すように設定している。ここで、1,000,000円の与信取引を行うと、優先的に200,000円の無担保与信枠が使用され、次に有担保与信枠のうち800,000円が使用される。このとき、担保価値の合計が800,000円に到達するまで有担保枠内の差し入れ順位に従って預かり資産に担保が設定されて“ロック”状態となる。図6に示すように、1,000,000円がクレジットアカウント残高として記録される。
【0042】
取引情報データベース302は、各取引に関する情報をデータベース化したものであり、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン期日、取引のステータス、取引成立日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、決済状況、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を、取引識別情報と関連づけて検索可能に記憶されている。取引情報データベース302には、取引識別情報と関連づけて取引内容が記憶されていてもよい。また、取引識別情報と関連づけて、買い手側からの代金支払いが与信供与ライン以前に支払われたか、与信供与ラインを超えてペナルティ(超過利息の発生)があったかの別が記憶されていてもよい。ペナルティがあったことは超過利息の金額が0を超えていることで判断することもできる。ペナルティの有無やその発生数を顧客与信情報データベース301内に買い手の顧客識別情報と関連づけて記憶させることもできる。
【0043】
取引情報データベース302の例を図8に示す。図8は、顧客ID0001が顧客ID0002と100万円の与信取引を行った直後の状態を表している。取引成立日の存在が取引成立を示すこととしても良い。売り手である顧客ID0002の承諾待ちであるときは「承諾待ち」、取引が拒否された時は「取引不成立」などの旨が記憶される。
【0044】
フォームデータ格納部303は、ウェブサイト上の各種のフォームデータを記憶する記憶部である。このフォームデータ格納部303には、口座開設申し込み、取引申し込みフォーム、取引承諾フォーム、未決済取引履歴照会フォームなどのWebサイトのHTMLデータが記憶されている。
【0045】
認証処理部311は、顧客端末(12、13)からのアクセス要求に基づいて、顧客識別情報及びパスワードを認証する。この処理は、認証処理部311が、顧客与信情報データベース301を参照して、入力された顧客識別情報及びパスワードが、顧客与信情報データベース301内に記憶されているデータと一致するか否かを判別することで行う。入力された顧客識別情報及びパスワードが、記憶されているデータと一致する場合には、取引者専用ページの画面データを送信する。一致しない場合には、エラーメッセージを送信する。
【0046】
与信情報検索部312は、顧客端末(12、13)からの顧客識別情報を検索条件として含む顧客与信情報の検索要求に基づいて、顧客与信情報データベース301から検索要求内の検索条件に合致する顧客与信情報を取得し、当該情報を表示可能な形態で顧客端末に送信する。例えば、顧客端末側の取引専用ページの画面上に表示されている所定の顧客与信情報(例:自己の口座情報や自己の顧客与信情報すべて)の検索ボタンを押すことで検索要求を実行することができる。また、アクセス要求を自己の顧客与信情報の全検索要求とみなして、取引者専用ページの画面データを送信する際に併せてIDの一致する顧客についての顧客与信情報すべてを一括して送信するようにすることができる。
【0047】
取引可否判定部313は、買い手側顧客端末13からの売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みに対して、買い手の顧客与信情報データベース301に記憶されている有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高に基づいて算出される残存与信枠と取引金額との比較から取引可否を判定し、取引可否を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する。また、予定決済日が与信供与ライン内である否かを取引可否の判断基準に追加することもできる。これは例えば取引可否判定部313が申し込み日を取引成立日と仮定して買い手に付与されている与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、これを予定決済日と比較することで行う。
【0048】
取引情報生成部314は、取引可否判定部313で取引が可能と判断された場合に、新たな取引識別情報を生成し、取引金額と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する有担保無担保枠の使用順位、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高とに基づいて、当該取引に適用される無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を算出し、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を含む取引情報を当該取引識別情報と関連づけて売り手の承諾待ちである旨と共に取引情報データベースに保存する。
【0049】
取引情報検索部315は、顧客端末(12、13)からの取引情報の検索要求に応答して、取引情報データベース301から検索要求内の検索条件に合致する取引情報(例:買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン期日、取引のステータス、取引成立日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、決済状況、追加保証料及び超過利息)を取得し、当該情報を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する。
【0050】
例えば、売り手側顧客端末12からの売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求に基づいて、取引情報データベース301から売り手の顧客識別情報に合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引情報を抽出し、取引識別情報と共に、買い手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信することができる。また、買い手側顧客端末13からの取引識別情報を検索条件として含む取引情報検索要求に基づいて、取引情報データベース301から取引識別情報に合致する取引情報を抽出し、その取引について取引成立の有無や、決済の状況を確認することができる。また、買い手側顧客端末13からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求に応答して、取引情報データベースから買い手の顧客識別情報に合致する未決済の取引について、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信することができる。
【0051】
割引保証料算出部316は、売り手側顧客端末12からの取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日を含む割引保証料算出要求に応答して、売り手への代金支払い予定日と、顧客与信情報データベース301に保存されている買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報及び有担保枠についての取引期間別保証率情報と、取引情報データベース302に当該取引識別情報と関連づけられて保存されている予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額とに基づいて、売り手に請求する割引保証料を算出し、算出された割引保証料を売り手側顧客端末12に対して表示可能な形態で送信する。算出された割引保証料は必要に応じて取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日と関連づけて一時記憶メモリに記憶させておくことができる。
【0052】
割引保証料の算出のより具体的な手順の例を図9を参照しながら説明する。
【0053】
割引保証料算出部316は、割引保証料算出要求を受信すると、与信会社サーバ11に内蔵されている時計を参照することで現在日時を取得し、割引保証料算出要求のあった日を取引成立日と仮定し、その日から数日間の猶予期間後の払い込み可能日を決定する。猶予期間は与信会社自体の資金繰りを考慮して事前に設定しておく期間であり、通常は2〜3日が設定される。猶予期間は0日とすることも可能である。
【0054】
割引保証料算出部316は、払い込み可能日と売り手への代金支払い予定日に基づいて、払い込み可能日から売り手への代金支払い日までの日数aを算出する。
無担保枠についての取引期間別保証率情報及び日数aから無担保枠についての日数aに対する保証率R’aを算出し、有担保枠についての取引期間別保証率情報及び日数aから有担保枠についての日数aに対する保証率R’’aを算出し、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額から算出される無担保枠と有担保枠の各使用比率(s及びt)を算出し、これにより両方の保証率の加重平均を算出すると、その値が当該取引に適用される日数aに対する保証率Raとなる。
【数1】

【0055】
また、払い込み可能日と予定決済日に基づいて、払い込み可能日から予定決済日までの日数dを算出する。同様にして、当該取引に適用される日数dに対する保証率Rdを算出する。
【0056】
売り手への代金支払日から予定決済日までの日数b(=d−a)に対する割引保証率Rbは以下のように計算される。
【数2】

この時、売り手が受け取る代金Y(円)は、取引金額X(円)を用いて、次式のように表される。
【数3】

したがって、(割引保証料)=X−Yと算出される。
【0057】
取引承諾受信部317は、売り手側顧客端末からの取引識別情報を含む取引承諾に応答して、顧客与信情報データベース301に保存されている買い手に関する与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、当該取引識別情報と関連づけて与信供与ライン期日、売り手に請求する割引保証料、売り手への代金支払い予定日、及び取引成立日を未決済である旨と共に取引情報データベースに保存し、取引情報データベース302に保存されている買い手側の顧客識別情報及び取引金額に基づいて、顧客与信情報データベース301内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する。
【0058】
与信供与ライン期日の算出の具体的な手順の例は以下である。取引承諾受信部317は、与信会社サーバ11に内蔵されている時計を参照することで現在日時を取得し、顧客与信情報データベース301に保存されている買い手に関する与信供与ラインを現在日時に加算することで与信供与ライン期日が算出される。
【0059】
追加保証料算出部318は、取引情報データベース302上で未決済である旨が記憶されている取引につき、取引金額、取引成立日、予定決済日、与信供与ライン期日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報、及び有担保枠についての取引期間別保証率情報に基づいて、予定決済日を超えている場合の追加保証料、及び与信供与ライン期日を超えている場合の超過利息を定期的に算出し、これらを取引情報データベース302に保存すると共に、算出された追加保証料及び超過利息に基づいて顧客与信情報データベース301内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する。
【0060】
算出された超過利息が0を超える場合、追加保証料算出部318は、ペナルティが発生した旨を顧客識別情報と関連づけて顧客与信情報データベース301に保存する。ペナルティが発生した旨は、超過利息とは別に、取引識別情報と関連づけて取引識別情報データベース302に保存することもできる。
【0061】
追加保証料の算出のより具体的な手順の例を再び図9を参照しながら説明する。追加保証料算出部318は、タイマー又はバッチ処理により予め設定してある期間毎(例:毎日決まった時刻)自動的に、取引情報データベース302上で未決済である旨が記憶されている取引を抽出する。
【0062】
追加保証料算出部318は各取引につき、取引成立日に基づいて予め設定されている猶予期間後の払い込み可能日を決定する。
【0063】
追加保証料算出部318は、払い込み可能日と予定決済日に基づいて、払い込み可能日から予定決済日までの日数dを算出する。また、払い込み可能日と現在日(実際の決済日)に基づいて、払い込み可能日から現在日までの日数eを算出する。e≦dであれば、追加保証料は0とする。e>dの場合、割引保証料算出部316で述べた手順と同様の手順により、当該取引に適用される日数dに対する保証率Rd及び日数eに対する保証率Reを算出する。ここで算出されるRdは必ずしも割引保証料算出部316で算出されたRdと同一とは限らない。取引成立後の買い手の与信状況の変化によって、無担保枠又は有担保枠の取引期間別保証率が変化している可能性があるからである。
【0064】
予定決済日から現実日までの日数c(=e−d)に応じた追加保証率Rcは以下のように計算される。
【数4】

【0065】
この時、買い手が支払う代金Z(円)は、取引金額X(円)を用いて、次式のように表される。
【数5】

したがって、(追加保証料)=Z−Xで表される。この追加保証料はこの日に買い手が決済したときに負担する追加保証料である。
【0066】
更に、追加保証料算出部318は、買い手が与信供与ライン期日までに決済しなかった場合に、与信供与ライン期日に取引金額にその日までの追加保証料を加算した金額を自動的に買い手の現金の資産口座から引き落とす。現金の残高が不足していた場合には、追加保証料算出部318は与信供与ライン期日からの経過日数に応じて与信会社で設定した所定の演算方法(例:年利15%等)で超過利息を算出する。
【0067】
担保設定更新部319は、買い手のクレジットアカウント残高が更新された場合に、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高とに基づいて顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保設定状況を更新する。
【0068】
担保設定状況は、例えば以下の基準で変更することができる。
【0069】
有担保無担保枠の使用順位設定において、有担保枠を使用順位1位に設定している場合にクレジットアカウント残高から既に担保に入っている資産の担保価値を差し引いた差額、無担保枠を使用順位1位に設定している場合にクレジットアカウント残高の無担保枠に対する超過額から既に担保に入っている資産の担保価値を差し引いた差額、が新規与信取引により発生する場合、もしくは資産口座から出金した時に資産口座残高が現金以外の預け入れ資産の担保価値合計額を下回った場合のその不足額、が発生する場合において、担保に入っていない預け入れ資産のうち、担保差し入れ順位の高い資産から順に、その担保価値合計額がその差額もしくは不足額を補うまで新たに自動的に担保に差し入れられる。
【0070】
一方、担保が解除されるのは、資産口座にある現金をクレジットアカウントに振り替えて与信供与ラインまでに債務の弁済(代金の支払い)を行った場合において、有担保枠の使用順位を1位に設定している場合にクレジットアカウント残高がその資産より担保差し入れ順位の高い資産の担保価値でまかなわれる場合、もしくは無担保枠を使用順位1位に設定している場合にクレジットアカウント残高が無担保枠を超過している金額をその資産より担保差し入れ順位の高い資産の担保価値でまかなわれる場合である。
【0071】
また、与信供与ラインまでに代金の支払いをクレジットアカウントへの口座振替で行わなかった場合、与信供与ラインの日に自動的に資産口座から現金が引き落とされ、それと同時にクレジットアカウント残高も減少するが、その結果、有担保枠の使用順を1位に設定している場合にクレジットアカウント残高がその資産より担保差し入れ順位の高い資産の担保価値でまかなわれる場合、もしくは無担保枠を使用順位1位に設定している場合にクレジットアカウント残高が無担保枠を超過している金額をその資産より担保差し入れ順位の高い資産の担保価値でまかなわれる場合、にその資産は担保から解除される。出金により資産口座残高が現金以外の預け入れ資産の担保価値合計額を下回っていた場合において、新たに入金を行い再び資産口座残高が、現金以外の預け入れ資産の担保価値合計額を上回った場合にも、担保は解除される。
【0072】
代金支払い部320は、取引情報データベース302に保存されている取引情報に基づいて、売り手への代金支払い予定日に、売り手に請求する割引保証料を取引金額から控除した金額を売り手側顧客からの現金の預かり資産、担保価値、及び有担保与信枠に加算することにより、顧客与信情報データベース301内の売り手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とを更新する。
【0073】
決済処理部321は、買い手側顧客端末からの取引識別情報を含む決済要求に応答して、取引識別情報に合致する取引について、取引情報データベースに保存されている追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額を買い手からの現金の預かり資産、担保価値、有担保与信枠、及びクレジットアカウント残高から控除することにより、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とクレジットアカウント残高を更新し、取引識別情報と関連づけて決済済みである旨を取引情報データベースに保存する。
また、時計を参照して決済が行われた日を与信供与ライン期日と比較し、与信供与ライン期日以前に支払われたか、与信供与ライン期日を超えている場合はその遅延期間を取引識別情報及び顧客識別情報と関連づけて顧客与信情報データベース301に保存することもできる。
買い手からの現金の預かり資産が、追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額に満たないために決済ができない場合は、決済処理部321は、残高不足である旨を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する。
【0074】
<3.与信取引方法>
次に、上述のシステムによる与信取引方法の一実施形態について説明する。
【0075】
3−1 口座開設
与信会社の顧客は、本システムによる与信取引を行う前提として、預かり資産口座とクレジットアカウントを開設する。例えば、顧客端末からネットワークを通じて与信会社サーバにアクセスし、個人の顧客にあっては個人情報、法人の顧客にあっては法人情報を入力し、口座開設申し込みを行う。口座開設申し込みを受け付けた与信会社サーバは、取引者に対して当該取引者専用ページにログインするためのID及びパスワードを発行する。顧客に取引のための専用カード(いわゆるキャッシュカード)を発行することもできる。
【0076】
与信会社からID、パスワード(PW)を取得した顧客はウェブサイト上の取引者専用ページにログインし、与信取引を行うために必要な情報を入力する。ここで入力する情報は、担保として預け入れる資産の詳細、収入及び資産の状況に関するデータ(個人の場合)、企業業績に関するデータ(法人の場合)等である。顧客は、上記入力情報を証明するために必要な書類や現金、その他本システムを利用するにあたり必要な書類を、郵送により又は店頭に持参して与信会社に提出する。現金は与信会社の銀行口座に振り込む、店頭に持参する、ATMを通じて入金するなどの手段で預けることができる。
【0077】
与信会社はウェブサイト上で入力された情報、提出された書類及び預かった現金を基に、与信枠の算出および取引期間別保証率の算出を行う。与信枠は有担保与信枠、無担保与信枠別に算出され、取引期間別保証率はそれぞれの枠に対して設定される。有担保与信枠は預かり資産の担保価値に等しく、預かり資産の時価に対して一定の掛け目(例、現金100%、有価証券80%、不動産70%等)を乗じて算出される。一方、無担保与信枠は、収入および資産の状況(個人の場合)、企業業績(法人の場合)等を基に、取引者の信用力に応じて設定される。取引期間別保証率は、取引者の信用力、市中金利水準(TIBOR等)、取引手数料率等を考慮して設定される。過去の支払い履歴がある場合はそれを考慮することもできる。与信枠及び取引期間別保証率の設定手順の流れ、与信枠のイメージ、並びに取引期間別保証率のイメージを図10に示す。
【0078】
上記の入力情報及び算定結果に基づき、与信会社サーバの顧客与信情報データベース301には、与信会社によりデータ入力手段を通じて、顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、クレジットアカウント残高(初期値は0)と、無担保枠についての取引期間別保証率と、有担保枠についての取引期間別保証率と、与信供与ラインとを含む顧客与信情報が顧客ID及びPWと関連付けて検索可能な状態で保存される。収入及び資産の状況に関するデータ(個人の場合)、企業業績に関するデータ(法人の場合)、過去の支払い履歴(ペナルティの有無やその発生回数など)等を顧客与信情報として顧客与信情報データベース301内に格納してもよい。
【0079】
与信会社サーバは、顧客端末からの顧客IDを含む顧客与信情報の検索要求に応答して、顧客与信情報データベース301から検索要求内の検索条件に合致する顧客与信情報を取得し、当該情報を表示可能な形態で顧客端末に送信する手段を備えている。
【0080】
顧客は与信会社サーバ内にある自己の顧客与信情報をウェブサイト上の取引者専用ページで確認し、預け入れ資産の担保差し入れ順位設定、有担保無担保枠の使用順位設定を行う。預け入れ資産の担保差し入れ順位設定とは、与信会社の顧客が買い手として有担保枠を使って取引を行った場合に、どの預け入れ資産を優先的に担保に差し入れるかを設定するものである。有担保無担保枠の使用順位設定とは、有担保と無担保のどちらの枠を優先的に使用するかの設定である。
【0081】
ここでの入力情報に基づき、与信会社サーバの顧客与信情報データベース301には更に、顧客からの預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況(初期値はすべてアンロック)と、有担保無担保枠の使用順位とを含む顧客与信情報が顧客ID及びPWと関連付けて検索可能な状態で格納される。
【0082】
その他、取引を開始するために必要な手続きを与信会社と取引者の間で完結する。例えば、本与信取引システムでは、クレジットアカウント残高と与信枠の状況により、預け入れ資産が自動的に担保に差し入れられたり解除されたりするため、取引者と与信会社の間の自動担保契約の締結が含まれる。
【0083】
以上の手続きを完了して、与信会社の顧客は本システムによる与信取引が可能となる。
【0084】
図11は、顧客の預け入れ資産、担保価値、与信枠及びクレジットアカウントの関係の説明図である。顧客の不動産100、有価証券50、現金30を与信会社が預かり資産として保有していた場合、預かり資産の時価に対して一定の掛け目(ここでは、現金100%、有価証券80%、不動産70%)を乗じることで不動産70、有価証券40、現金30の担保価値が算出される。この担保価値の合計140は有担保与信枠に等しい。更に、顧客が企業であればその業績を考慮し、無担保与信枠が設定される。これにより当該顧客は有担保与信枠140、無担保与信枠20の合計160の与信枠が付与される。その後、顧客が100の与信取引を行ったとすると、クレジットアカウント残高100が計上され、残存与信枠は60となる。このとき、顧客が無担保与信枠を優先使用する設定としていた場合は、無担保与信枠は20しかないため、残存与信枠はすべて有担保与信枠となる。
【0085】
3−2 与信取引の手順
次に、本発明に係る与信取引システムを用いて与信取引を行う方法の一実施形態について、フローチャートを参照しながら説明する。
【0086】
まず、図12を参照すると、図12には買い手が与信会社に対して取引申し込みを行う段階の処理の流れがフローチャートで記載されている。買い手は顧客端末13から所定のURLを入力して与信会社のサーバ11にアクセスし、ID及びパスワードを入力し、ログインボタンを押すと(S101)、与信会社サーバ11の認証処理部311は、顧客与信情報データベース301を参照して、入力されたID及びパスワードが、記憶されているデータと一致するか否かを判別する(S102)。判別の結果、入力されたID及びパスワードが一致しない場合には、認証処理部311はエラーメッセージを顧客端末13に送信する(S103)。一方、入力されたID及びパスワードが一致する場合には、ログインが成功した旨と共にフォームデータ格納部303に格納されている取引者専用ページの画面データを送信する(S104)。
【0087】
買い手は、自己の与信情報を入手するために、取引者専用ページ内に表示されている顧客与信情報照会のボタンを押す(S105)。与信情報検索部312は買い手のIDと合致する顧客与信情報を顧客与信情報データベース301から取得して、表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する(S106)。図13及び図14に、送信されてきた顧客与信情報の画面例を示す。図13では資産情報が、図14では無担保枠の取引期間別保証率が表示されている。買い手は、自身の与信情報を基に、与信取引を行うに十分な与信枠が残っていることを確認することができる。
【0088】
本実施形態では、自己の与信情報を入手するために、取引者専用ページ内に表示されている顧客与信情報照会のボタンを押すこととしているが、ログインした段階で自動的に与信情報検索部312が買い手のIDと合致する顧客与信情報を顧客与信情報データベース301から取得して、表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信することとしてもよい。
【0089】
次いで、買い手は取引者専用ページ内に表示されている取引申込のボタンを押すことで取引の詳細を入力するためのページに移動する。そこで、売り手のID、名称、取引金額、予定決済日及び取引内容を入力し、送信ボタンを押す(S107)。図15は、取引の詳細を入力するページの画面例である。
【0090】
取引申し込みを受信した与信会社サーバ11の取引可否判定部313は、買い手のIDを元に顧客与信情報データベース301に記憶されている買い手の顧客与信情報を参照し、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高に基づいて算出される残存与信枠と取引金額との比較から取引可否を判定し、取引可否を表示可能な形態で買い手側顧客端末13に送信する(S108)。
【0091】
取引可否判定部313で取引が可能と判断された場合には、取引情報生成部314は新たな取引番号を生成し、取引金額と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する有担保無担保枠の使用順位、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高とに基づいて、当該取引に適用される無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を算出し、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を含む取引情報を当該取引識別情報と関連づけて売り手の承諾待ちである旨と共に取引情報データベース302に保存する(S109)。
【0092】
次いで、図16を参照する。図16には、売り手の承諾を受けて取引が成立し、売り手に代金を支払うまでの処理の流れがフローチャートで記載されている。
【0093】
売り手は売り手側顧客端末12から買い手と同様の手順で取引専用ページにログインする(S201〜S204)。売り手は取引者専用ページ内に表示されている未承諾取引検索ボタンを押すと(S205)、与信会社サーバ11の取引情報検索部315は、売り手のIDを元に取引情報データベースから売り手のIDに合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引情報を抽出し、取引番号と共に、買い手の顧客与信情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末12に対して表示可能な形態で送信する(S206)。取引情報は取引番号毎のリスト形式で送信することができる。
【0094】
本実施形態では、未承諾取引を検索するのに未承諾取引検索ボタンを押すこととしているが、ログインした段階やブラウザの更新ボタンを押したときに、自動的に取引情報検索部315が売り手のIDに合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引情報を抽出し、取引番号と共に、買い手の顧客与信情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末12に対して表示可能な形態で送信してもよい。売り手の注意を促すようにアラートが画面に表示される機能を付けることもできる。
【0095】
売り手は与信会社から請求される割引保証料を確認するために、リスト表示されている取引情報に基づいて取引番号を入力又は選択するとともに、入金希望日(売り手への代金支払い予定日)を入力して割引保証料算出要求ボタンを押す(S207)と、割引保証料算出部316は、売り手への代金支払い予定日と、顧客与信情報データベース301に保存されている買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率及び有担保枠についての取引期間別保証率と、取引情報データベースに保存されている予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額とに基づいて、売り手に請求する割引保証料を算出し、算出された割引保証料を売り手側顧客端末12に対して表示可能な形態で送信する(S208)(図17)。後で取引情報データベース302に保存できるように、算出された割引保証料、予定決済日及び取引識別情報は与信会社サーバ11の一時記憶メモリに格納されてもよいし、取引承諾時に売り手側顧客端末12から送信させてもよい。
【0096】
売り手は送信された割引保証料に満足する場合には、取引承諾ボタンを押す(S209)。すると、取引承諾受信部317は、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、当該取引識別情報と関連づけて与信供与ライン期日、売り手に請求する割引保証料、売り手への代金支払い予定日、及び取引成立日を未決済である旨と共に取引情報データベース302に保存し、取引情報データベース302に保存されている買い手側の顧客識別情報及び取引金額に基づいて、顧客与信情報データベース301内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する。また、買い手のクレジットアカウント残高が更新されたことに伴って、担保設定更新部319は、顧客与信情報データベース301内の買い手の預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高とに基づいて顧客与信情報データベース301内の買い手の預かり資産についての担保設定状況を更新する(S210)。
【0097】
売り手は送信された割引保証料に満足せず、取引を辞退する場合には、取引拒否ボタンを押す(S211)。すると、取引承諾受信部317は、取引番号と関連づけて取引不成立であった旨を取引情報データベース302に書き込む(S212)。
【0098】
取引成立後、与信会社サーバ11の代金支払い部320は、取引情報データベース302に保存されている取引情報に基づいて、売り手への代金支払い予定日に、売り手に請求する割引保証料を取引金額から控除した金額を売り手側顧客からの現金の預かり資産、担保価値、及び有担保与信枠に加算することにより、顧客与信情報データベース301内の売り手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とを更新する(S213)。
【0099】
次いで、図18を参照する。図18には、買い手が取引の成否を確認するための処理の流れがフローチャートで記載されている。
【0100】
買い手は、先述した手順で取引専用ページにログインし(S301〜S304)、取引者専用ページ内に表示されている取引番号入力欄に取引成否を知りたい取引番号を入力して送信ボタンを押すと(S305)、取引情報検索部315は取引情報データベース302から取引番号に合致する取引情報(買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン、取引の成否、及び決済状況等)を取得し、当該情報を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する(S306)。
【0101】
本実施形態では、取引の成否を確認するのに買い手が取引情報を能動的に取得することとしているが、ログインした段階で自動的に取引情報検索部315が買い手のIDが含まれる取引情報(買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン、取引の成否、及び決済状況等)を抽出し、取引番号と共に、買い手側顧客端末13に対して表示可能な形態で送信してもよい。
【0102】
次いで、図19を参照する。図19には、買い手が支払うべき追加保証料を確認し、決済を行うまでの処理の流れがフローチャートで記載されている。
【0103】
取引成立後、買い手は、先述した手順で取引専用ページにログイン(S401〜S404)し、取引者専用ページ内に表示されている未決済取引照会ボタンを押すと(S405)、与信会社サーバの取引情報検索部315は、取引情報データベース302から買い手の顧客識別情報が含まれる未決済の取引情報を取得し、追加保証料算出部318が定期的に算出し、保存している追加保証料及び超過利息を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末13に対して表示可能な形態で送信する(S406)。ここで送信されてきた未決済取引一覧の画面の例を図20に示す。
【0104】
本実施形態では、未決済取引を確認するのに買い手が取引情報を能動的に取得することとしているが、ログインした段階で自動的に取引情報検索部315が取引情報データベース302から買い手の顧客識別情報が含まれる未決済の取引情報を取得し、追加保証料算出部318が定期的に算出し、保存している追加保証料及び超過利息を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末13に対して表示可能な形態で送信してもよい。
【0105】
買い手は、送信されてきた各未決済取引の追加保証料を確認した後に、決済を希望する取引について決済ボタンを押すと(S407)、与信会社サーバの決済処理部321は、特定された取引番号に合致する取引について追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額を現金の預かり資産、担保価値、有担保与信枠、及びクレジットアカウント残高から控除することにより、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とクレジットアカウント残高を更新し、取引識別情報と関連づけて決済済みである旨を取引情報データベースに保存する(S408)。
【0106】
このとき、決済が行われた日が与信供与ライン以前であるか、与信供与ラインを超えたかの別に顧客識別情報と関連づけて顧客与信情報データベース301に保存してもよい。データベース上へは、例えば、決済が行われた日が与信供与ライン以前であった取引の数と、決済が行われた日が与信供与ラインを超えた取引の数がそれぞれ記憶されるようにすることができる。
【0107】
3−3 与信会社サーバのその他の機能
以上、本発明に係る与信取引の実施形態について詳述してきたが、本発明は当該実施形態に限られるものではなく、本発明の範囲内で種々のバリエーションが考えられる。以下に、与信会社サーバ11が有することのできるその他の機能の例を示す。
【0108】
与信会社サーバ11は、買い手が与信供与ライン期日までに債務の弁済を行わない場合、一定の期間を経過後に担保にとってある預かり資産をもって債務の弁済に充てる機能を有していても良い。具体的には、与信会社サーバ11は与信供与ライン期日から一定期日が経過した取引を取引情報データベース302から抽出する。顧客与信情報データベース301に保存されている情報に基づき、預かり資産の担保価値を担保差し入れ順位に加算していき、その担保価値の総額が追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額に達するまで、買い手からの預かり資産から控除(没収)し、顧客与信情報データベース301内の買い手の預かり資産の口座情報、担保価値及び担保設定状況と、有担保与信枠とを更新する。そして、取引金額に追加保証料及び超過利息を加算した金額をクレジットアカウント残高から減額する。
【0109】
与信会社サーバ11は、顧客与信情報データベース301に与信情報を書き込み及び書き換える手段を有することができる。これにより、例えば顧客与信情報データベース301に保存されている与信枠及び取引期間別保証率は一定の期間ごとに又は随時に与信会社によって更新できるようになる。具体的には、与信会社は顧客与信情データベース301の顧客与信情報、その他の情報を基に、顧客の預かり資産の担保価値の再評価、収入及び資産の状況の確認(個人の場合)、企業業績の評価(法人の場合)、支払い履歴の評価を行い、有担保及び無担保の与信枠、与信供与ライン、更には取引期間別保証率の変更を行うことができる。特に、支払い履歴情報にペナルティがあった場合は、与信枠の大幅な減額、保証率の大幅な上昇につながる可能性がある。
【0110】
与信会社サーバ11はATMや店頭窓口等で顧客が与信会社に預け入れている現金を預け入れたり下ろしたりしたときに、その情報を別の端末からネットワークを通じて受信し、顧客与信情報データベース301内の現金の預け入れ資産の残高及び有担保与信枠に反映させる手段を有することもできる。
【0111】
与信会社顧客は以下のような口座に関する操作を随時ウェブサイト上で行うことができるようにしてもよい。入力した情報は口座開設での手順と同様に与信会社の確認を経た後に顧客与信情報データベースに反映される。
・与信会社顧客は資産口座に自由に現金、有価証券、不動産等の資産を随時預け入れる事ができ、与信枠を拡大する事ができる。
・与信会社顧客は資産口座から出金できるが、その限度額は与信枠とクレジットアカウントの残高の差額である。出金した場合、その金額分だけ与信枠が減少する事となる。その結果、資産口座残高が現金以外の預け入れ資産の担保価値合計額を下回った場合には、担保に入っていない預け入れ資産のうち、担保差し入れ順位の高い資産から順に、その担保価値合計額が不足額を補うまで新たに担保に差し入れられる。但し、既に全ての預け入れ資産が担保に入っている場合はこの限りではない。また、その不足額に対し、取引期間別保証率から算出される保証料が与信会社顧客に課される。
【0112】
与信会社顧客は、預け入れ資産のうち担保に入っている資産については資産口座から引き出す事ができない。担保に入っていない資産については、その担保価値が与信枠とクレジットアカウント残高の差額よりも小さい場合のみ引き出すことができる。但し、一定の条件を満たせば、担保に入っているかいないかに関係なく、資産口座から引き出す事ができる。一定の条件とは、その資産を担保価値金額以上の価格で売却し、その売却代金のうち、担保価値以上の金額分の現金を資産口座に預け入れるという条件である。
【0113】
与信会社顧客が与信取引の債権者となった場合、与信会社から現金が資産口座に振り込まれるが、必ずしもクレジットアカウントの債務と相殺する必要はない。
【符号の説明】
【0114】
11 サーバ
12 売り手側顧客端末
13 買い手側顧客端末
14 コンピュータネットワーク
301 顧客与信情報データベース(DB)
302 取引情報データベース(DB)
303 フォームデータ格納部
311 認証処理部
312 与信情報検索部
313 取引可否判定部
314 取引情報生成部
315 取引情報検索部
316 割引保証料算出部
317 取引承諾受信部
318 追加保証料算出部
319 担保設定更新部
320 代金支払い部
321 決済処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを通じて相互に通信が可能な与信会社サーバと買い手側顧客端末と売り手側顧客端末とを含み、
1)与信会社サーバは、
・顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報、担保価値、担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高と、無担保枠についての取引期間別保証率情報と、有担保枠についての取引期間別保証率情報と、与信供与ラインとを含む顧客与信情報を、顧客識別情報と関連づけて検索可能に記憶した顧客与信情報データベース;
・買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン期日、取引のステータス、取引成立日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、決済状況、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を、取引識別情報と関連づけて検索可能に記憶した取引情報データベース;
・買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む買い手の顧客与信情報の検索要求に応答して、顧客与信情報データベースから検索要求内の検索条件に合致する顧客与信情報を取得し、当該情報を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する手段;
・買い手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みに対して、顧客与信情報データベースに記憶されている買い手の有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高に基づいて算出される残存与信枠と取引金額との比較から取引可否を判定し、取引可否を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する手段;
・上記取引が可能と判断された場合に、新たな取引識別情報を生成し、取引金額と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する有担保無担保枠の使用順位、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高とに基づいて、当該取引に適用される無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を算出し、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を含む取引情報を当該取引識別情報と関連づけて売り手の承諾待ちである旨と共に取引情報データベースに保存する手段;
・売り手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求に応答して、取引情報データベースから売り手の顧客識別情報に合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引を抽出し、取引識別情報と共に、買い手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;
・売り手側顧客端末からの取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日を含む割引保証料算出要求に応答して、売り手への代金支払い予定日と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報及び有担保枠についての取引期間別保証率情報と、取引情報データベースに保存されている予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額とに基づいて、売り手に請求する割引保証料を算出し、算出された割引保証料を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;
・売り手側顧客端末からの取引識別情報を含む取引承諾に応答して、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、当該取引識別情報と関連づけて与信供与ライン期日、売り手に請求する割引保証料、売り手への代金支払い予定日、及び取引成立日を未決済である旨と共に取引情報データベースに保存し、取引情報データベースに保存されている買い手側の顧客識別情報及び取引金額に基づいて、顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する手段;
・取引情報データベース上で未決済である旨が記憶されている取引につき、取引金額、取引成立日、予定決済日、与信供与ライン期日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報及び有担保枠についての取引期間別保証率情報に基づいて、予定決済日を超えている場合の追加保証料、及び与信供与ライン期日を超えている場合の超過利息を定期的に算出し、これらを取引情報データベースに保存すると共に、算出された追加保証料及び超過利息に基づいて顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する手段;
・買い手のクレジットアカウント残高が更新された場合に、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高とに基づいて顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保設定状況を更新する手段;
・取引情報データベースに保存されている取引情報に基づいて、売り手への代金支払い予定日に、売り手に請求する割引保証料を取引金額から控除した金額を売り手側顧客からの現金の預かり資産、担保価値、及び有担保与信枠に加算することにより、顧客与信情報データベース内の売り手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とを更新する手段;
・買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求に応答して、取引情報データベースから買い手の顧客識別情報に合致する未決済の取引について、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;並びに
・買い手側顧客端末からの取引識別情報を含む決済要求に応答して、取引識別情報に合致する取引について、取引情報データベースに保存されている追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額を買い手からの現金の預かり資産、担保価値、有担保与信枠、及びクレジットアカウント残高から控除することにより、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とクレジットアカウント残高を更新し、取引識別情報と関連づけて決済済みである旨を取引情報データベースに保存する手段;
を備え、
2)買い手側顧客端末は、
・買い手の顧客与信情報の検索要求を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
・与信会社サーバから送信される顧客与信情報を受信し、画面に表示する手段;
・売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みを入力し、与信会社サーバに送信する手段;並びに
・与信会社サーバから送信される取引可否を受信し、画面に表示する手段;
・買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
・与信会社サーバから送信される未決済取引毎の追加保証料及び超過利息を含む取引情報を受信し、画面に表示する手段;
・取引識別情報を含む決済要求を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
を備え、
3)売り手側顧客端末は、
・売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
・与信会社サーバから送信される取引情報を受信し、画面に表示する手段;
・取引識別情報及び入金希望日(売り手への代金支払い予定日に相当)と共に割引保証料算出要求を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
・与信会社サーバから送信される取引毎に適用される割引保証料を受信し、画面に表示する手段;並びに
・取引識別情報を含む取引承諾を入力し、与信会社サーバに送信する手段;
を備えた、
与信取引システム。
【請求項2】
・顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報、担保価値、担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高と、無担保枠についての取引期間別保証率情報と、有担保枠についての取引期間別保証率情報と、与信供与ラインとを含む顧客与信情報を、顧客識別情報と関連づけて検索可能に記憶した顧客与信情報データベース;
・買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン期日、取引のステータス、取引成立日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、決済状況、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を、取引識別情報と関連づけて検索可能に記憶した取引情報データベース;
・買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む買い手の顧客与信情報の検索要求に応答して、顧客与信情報データベースから検索要求内の検索条件に合致する顧客与信情報を取得し、当該情報を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する手段;
・買い手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みに対して、顧客与信情報データベースに記憶されている買い手の有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高に基づいて算出される残存与信枠と取引金額との比較から取引可否を判定し、取引可否を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信する手段;
・上記取引が可能と判断された場合に、新たな取引識別情報を生成し、取引金額と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する有担保無担保枠の使用順位、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高とに基づいて、当該取引に適用される無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を算出し、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を含む取引情報を当該取引識別情報と関連づけて売り手の承諾待ちである旨と共に取引情報データベースに保存する手段;
・売り手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求に応答して、取引情報データベースから売り手の顧客識別情報に合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引を抽出し、取引識別情報と共に、買い手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;
・売り手側顧客端末からの取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日を含む割引保証料算出要求に応答して、売り手への代金支払い予定日と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報及び有担保枠についての取引期間別保証率情報と、取引情報データベースに保存されている予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額とに基づいて、売り手に請求する割引保証料を算出し、算出された割引保証料を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;
・売り手側顧客端末からの取引識別情報を含む取引承諾に応答して、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、当該取引識別情報と関連づけて与信供与ライン期日、売り手に請求する割引保証料、売り手への代金支払い予定日、及び取引成立日を未決済である旨と共に取引情報データベースに保存し、取引情報データベースに保存されている買い手側の顧客識別情報及び取引金額に基づいて、顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する手段;
・取引情報データベース上で未決済である旨が記憶されている取引につき、取引金額、取引成立日、予定決済日、与信供与ライン期日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報、及び有担保枠についての取引期間別保証率情報に基づいて、予定決済日を超えている場合の追加保証料、及び与信供与ライン期日を超えている場合の超過利息を定期的に算出し、これらを取引情報データベースに保存すると共に、算出された追加保証料及び超過利息に基づいて顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新する手段;
・買い手のクレジットアカウント残高が更新された場合に、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高とに基づいて顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保設定状況を更新する手段;
・取引情報データベースに保存されている取引情報に基づいて、売り手への代金支払い予定日に、売り手に請求する割引保証料を取引金額から控除した金額を売り手側顧客からの現金の預かり資産、担保価値、及び有担保与信枠に加算することにより、顧客与信情報データベース内の売り手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とを更新する手段;
・買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求に応答して、取引情報データベースから買い手の顧客識別情報に合致する未決済の取引について、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信する手段;並びに
・買い手側顧客端末からの取引識別情報を含む決済要求に応答して、取引識別情報に合致する取引について、取引情報データベースに保存されている追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額を買い手からの現金の預かり資産、担保価値、有担保与信枠、及びクレジットアカウント残高から控除することにより、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とクレジットアカウント残高を更新し、取引識別情報と関連づけて決済済みである旨を取引情報データベースに保存する手段;
を備えたサーバ。
【請求項3】
・顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報、担保価値、担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高と、無担保枠についての取引期間別保証率情報と、有担保枠についての取引期間別保証率情報と、与信供与ラインとを含む顧客与信情報を、顧客識別情報と関連づけて検索可能に記憶した顧客与信情報データベース;並びに
・買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン期日、取引のステータス、取引成立日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、決済状況、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を、取引識別情報と関連づけて検索可能に記憶した取引情報データベース;
をサーバに設け、
該サーバは、
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む買い手の顧客与信情報の検索要求に応答して、顧客与信情報データベースから検索要求内の検索条件に合致する顧客与信情報を取得し、当該情報を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みに対して、顧客与信情報データベースに記憶されている買い手の有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高に基づいて算出される残存与信枠と取引金額との比較から取引可否を判定し、取引可否を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信するステップ;
・上記取引が可能と判断された場合に、新たな取引識別情報を生成し、取引金額と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する有担保無担保枠の使用順位、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高とに基づいて、当該取引に適用される無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を算出し、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を含む取引情報を当該取引識別情報と関連づけて売り手の承諾待ちである旨と共に取引情報データベースに保存するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求に応答して、取引情報データベースから売り手の顧客識別情報に合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引を抽出し、取引識別情報と共に、買い手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日を含む割引保証料算出要求に応答して、売り手への代金支払い予定日と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報及び有担保枠についての取引期間別保証率情報と、取引情報データベースに保存されている予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額とに基づいて、売り手に請求する割引保証料を算出し、算出された割引保証料を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの取引識別情報を含む取引承諾に応答して、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、当該取引識別情報と関連づけて与信供与ライン期日、売り手に請求する割引保証料、売り手への代金支払い予定日、及び取引成立日を未決済である旨と共に取引情報データベースに保存し、取引情報データベースに保存されている買い手側の顧客識別情報及び取引金額に基づいて、顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新するステップ;
・取引情報データベース上で未決済である旨が記憶されている取引につき、取引金額、取引成立日、予定決済日、与信供与ライン期日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報、及び有担保枠についての取引期間別保証率情報に基づいて、予定決済日を超えている場合の追加保証料、及び与信供与ライン期日を超えている場合の超過利息を定期的に算出し、これらを取引情報データベースに保存すると共に、算出された追加保証料及び超過利息に基づいて顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新するステップ;
・買い手のクレジットアカウント残高が更新された場合に、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高とに基づいて顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保設定状況を更新するステップ;
・取引情報データベースに保存されている取引情報に基づいて、売り手への代金支払い予定日に、売り手に請求する割引保証料を取引金額から控除した金額を売り手側顧客からの現金の預かり資産、担保価値、及び有担保与信枠に加算することにより、顧客与信情報データベース内の売り手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とを更新するステップ;
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求に応答して、取引情報データベースから買い手の顧客識別情報に合致する未決済の取引について、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;並びに
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの取引識別情報を含む決済要求に応答して、取引識別情報に合致する取引について、取引情報データベースに保存されている追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額を買い手からの現金の預かり資産、担保価値、有担保与信枠、及びクレジットアカウント残高から控除することにより、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とクレジットアカウント残高を更新し、取引識別情報と関連づけて決済済みである旨を取引情報データベースに保存するステップ;
を実行することを含むネットワークを利用した与信取引のための方法。
【請求項4】
・顧客からの現金を含む預かり資産についての口座情報、担保価値、担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高と、無担保枠についての取引期間別保証率情報と、有担保枠についての取引期間別保証率情報と、与信供与ラインとを含む顧客与信情報を、顧客識別情報と関連づけて検索可能に記憶した顧客与信情報データベース;並びに
・買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、売り手への代金支払い予定日、売り手に請求する割引保証料、予定決済日、与信供与ライン期日、取引のステータス、取引成立日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、決済状況、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を、取引識別情報と関連づけて検索可能に記憶した取引情報データベース;
の検索条件を入力するための検索欄を顧客端末に送信するステップ、
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む買い手の顧客与信情報の検索要求に応答して、顧客与信情報データベースから検索要求内の検索条件に合致する顧客与信情報を取得し、当該情報を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引申し込みに対して、顧客与信情報データベースに記憶されている買い手の有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高に基づいて算出される残存与信枠と取引金額との比較から取引可否を判定し、取引可否を表示可能な形態で買い手側顧客端末に送信するステップ;
・上記取引が可能と判断された場合に、新たな取引識別情報を生成し、取引金額と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する有担保無担保枠の使用順位、有担保与信枠、無担保与信枠及びクレジットアカウント残高とに基づいて、当該取引に適用される無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を算出し、買い手の顧客識別情報、売り手の顧客識別情報、取引金額、予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額を含む取引情報を当該取引識別情報と関連づけて売り手の承諾待ちである旨と共に取引情報データベースに保存するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの売り手の顧客識別情報を検索条件として含む未承諾取引の検索要求に応答して、取引情報データベースから売り手の顧客識別情報に合致する売り手の承諾待ちの状態にある取引を抽出し、取引識別情報と共に、買い手の顧客識別情報、取引金額及び予定決済日を含む取引情報を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの取引識別情報及び売り手への代金支払い予定日を含む割引保証料算出要求に応答して、売り手への代金支払い予定日と、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報及び有担保枠についての取引期間別保証率情報と、取引情報データベースに保存されている予定決済日、無担保枠の使用額及び有担保枠の使用額とに基づいて、売り手に請求する割引保証料を算出し、算出された割引保証料を売り手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;
・ネットワークを通じて入力される売り手側顧客端末からの取引識別情報を含む取引承諾に応答して、顧客与信情報データベースに保存されている買い手に関する与信供与ラインに基づいて与信供与ライン期日を算出し、当該取引識別情報と関連づけて与信供与ライン期日、売り手に請求する割引保証料、売り手への代金支払い予定日、及び取引成立日を未決済である旨と共に取引情報データベースに保存し、取引情報データベースに保存されている買い手側の顧客識別情報及び取引金額に基づいて、顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新するステップ;
・取引情報データベース上で未決済である旨が記憶されている取引につき、取引金額、取引成立日、予定決済日、与信供与ライン期日、無担保枠の使用額、有担保枠の使用額、買い手に関する無担保枠についての取引期間別保証率情報、及び有担保枠についての取引期間別保証率情報に基づいて、予定決済日を超えている場合の追加保証料、及び与信供与ライン期日を超えている場合の超過利息を定期的に算出し、これらを取引情報データベースに保存すると共に、算出された追加保証料及び超過利息に基づいて顧客与信情報データベース内の買い手のクレジットアカウント残高を更新するステップ;
・買い手のクレジットアカウント残高が更新された場合に、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保差し入れ順位及び担保設定状況と、有担保与信枠と、無担保与信枠と、有担保無担保枠の使用順位と、クレジットアカウント残高とに基づいて顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての担保設定状況を更新するステップ;
・取引情報データベースに保存されている取引情報に基づいて、売り手への代金支払い予定日に、売り手に請求する割引保証料を取引金額から控除した金額を売り手側顧客からの現金の預かり資産、担保価値、及び有担保与信枠に加算することにより、顧客与信情報データベース内の売り手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とを更新するステップ;
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの買い手の顧客識別情報を検索条件として含む未決済取引検索要求に応答して、取引情報データベースから買い手の顧客識別情報に合致する未決済の取引について、追加保証料及び超過利息を含む取引情報を取引識別情報と関連付けて買い手側顧客端末に対して表示可能な形態で送信するステップ;並びに
・ネットワークを通じて入力される買い手側顧客端末からの取引識別情報を含む決済要求に応答して、取引識別情報に合致する取引について、取引情報データベースに保存されている追加保証料及び超過利息を取引金額に加算した金額を買い手からの現金の預かり資産、担保価値、有担保与信枠、及びクレジットアカウント残高から控除することにより、顧客与信情報データベース内の買い手の預かり資産についての口座情報及び担保価値と、有担保与信枠とクレジットアカウント残高を更新し、取引識別情報と関連づけて決済済みである旨を取引情報データベースに保存するステップ;
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−159225(P2011−159225A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22310(P2010−22310)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(508222346)株式会社シーエムディーラボ (4)