説明

両扉式密閉容器の扉機構

【課題】 1つの駆動モータで前面扉と後面扉とを開閉できる両扉式密閉容器の扉機構を得る。
【解決手段】 前面開口部と後面開口部とを有する容器本体が、駆動モータとこれに回転駆動される駆動スプロケットとこれに噛み合って駆動されるチエーンとにより上下方向に移動する前面扉と後面扉とで開閉される両扉式密閉容器の扉機構であって、前面扉4と後面扉5とを容器本体3の頂部側で相互に共通のチエーン19で連結し、容器本体3の頂部側に共通のチエーン19をガイドする前面扉側ガイド体20と後面扉側ガイド体21とを前面扉1と後面扉2とに対応して設け、前面扉側ガイド体20と後面扉側ガイド体21との間に共通のチエーン19に噛み合う駆動スプロケット23を介して共通のチエーン19を駆動する共通の駆動モータ24を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの扉を有する両扉式密閉容器の扉機構に関するものであり、主として、滅菌器、真空冷却器、レトルト装置などの圧力がかかる密閉容器に用いられる。
【背景技術】
【0002】
上記のような用途に使用される密閉容器として、容器本体の前後に開口部を有して、これら開口部をスライドして移動する前面扉と後面扉とで開閉し、前後の開口部から物品を出し入れする両扉式密閉容器がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の両扉式密閉容器は、例えば図7,8に示すように、前面開口部1と後面開口部2とを有する容器本体3の、前面開口部1と後面開口部2に対応して前面扉4と後面扉5とが設置されている。この前面扉4と後面扉5とは可撓性を有する構造となっており、前面開口部1と後面開口部2の側で容器本体3の左右に容器本体3の頂部に渡してそれぞれ取り付けられたガイド部6でガイドされ、上下方向に移動して前面開口部1と後面開口部2を開閉するようになっている。
【0004】
前記の前面扉4と後面扉5の両側には、それぞれチエーン7,8が移動方向に沿って取り付けられている。各チエーンは、容器本体3の頂部側に設けた前面扉側駆動スプロケット9と後面扉側駆動スプロケット10とに噛み合わされており、前面扉側駆動スプロケット9は前面扉側駆動モータ11により、また後面扉側駆動スプロケット10は後面扉側駆動モータ12によりそれぞれ回転駆動されるようになっている。
そして、前面開口部1と後面開口部2の開閉にあっては、前面開口部1の開閉は前面扉側駆動モータ11を駆動して前面扉4を上下へスライド移動させることにより、また後面開口部2の開閉は後面扉側駆動モータ12を駆動して後面扉5を上下方へ移動させることにより行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−101123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の両扉式密閉容器では、前面扉側駆動モータ11と後面扉側駆動モータ12との2つの駆動モータと、それぞれの駆動モータ11,12の制御回路を用意しなければならないのでコスト高になり、また、2つの駆動モータ11,12を設置するためのスペースの確保を必要とするといった問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、1つの駆動モータで前面扉と後面扉とを開閉できる両扉式密閉容器の扉機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、前面開口部と後面開口部とを有する容器本体が、駆動モータとこれに回転駆動される駆動スプロケットとこれに噛み合って駆動されるチエーンとにより上下方向に移動する前面扉と後面扉とで開閉される両扉式密閉容器の扉機構であって、前記前面扉と前記後面扉とが前記容器本体の頂部側で相互に共通のチエーンで連結され、前記容器本体の頂部側には前記共通のチエーンをガイドする前面扉側ガイド体と後面扉側ガイド体とが前記前面扉と前記後面扉とに対応して設けられ、前記前面扉側ガイド体と前記後面扉側ガイド体との間には前記共通のチエーンに噛み合う駆動スプロケットを介して前記共通のチエーンを駆動する共通の駆動モータが設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記駆動スプロケットには、前記共通のチエーンが前記駆動スプロケットから外れないようにする押さえ部材が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の、前記容器本体には、前記前面開口部と前記後面開口部を閉塞する位置にある前記前面扉と前記後面扉に係止して前記前面扉と前記後面扉とを当該位置に保持する係止部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の両扉式密閉容器の扉機構によれば、前面扉と後面扉とが容器本体の頂部側で相互に共通のチエーンで連結され、容器本体の頂部側には共通のチエーンをガイドする前面扉側ガイド体と後面扉側ガイド体とが前面扉と後面扉とに対応して設けられ、前面扉側ガイド体と後面扉側ガイド体との間には共通のチエーンに噛み合う駆動スプロケットを介して共通のチエーンを駆動する共通の駆動モータが設けられているので、前面扉と後面扉とが下方向に移動しており容器本体の前面開口部と後面開口部のいずれもが閉塞にある状態から、共通の駆動モータにより駆動スプロケットを一方向に回転させ、前面扉或いは後面扉のいずれか一方、例えば、前面扉と連結している側の共通のチエーンを後面扉側へ引っ張る方向に駆動すると、前面扉が引き上げられて上方に移動し前面開口部が開口し、そして、駆動スプロケットにより引っ張られた共通のチエーンは駆動スプロケットと後面扉側ガイド体との間で弛んだ状態で保持される。
【0012】
また、この状態から共通の駆動モータにより駆動スプロケットを他方向に回転させ、後面扉と連結している側の共通のチエーンを前面扉側に引っ張る方向に駆動すると、先ず駆動スプロケットと後面扉側ガイド体との間で弛んでいた共通のチエーンの弛みが徐々に解消され前記引き上げられていた前面扉が下方に移動し前面開口部を閉塞する。そして、更に後面扉と連結している側のチエーンを前面扉側へ引っ張る方向に駆動すると、後面扉が引き上げられて上方に移動し前記後面開口部が開口し、そして、駆動スプロケットにより引っ張られた共通のチエーンは駆動スプロケットと前面扉側ガイド体との間で弛んだ状態で保持される。
このように、1つの共通の駆動モータで前面扉と後面扉とを開閉することができるのでコストを低減することができ、また、省スペース化を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の両扉式密閉容器の扉機構によれば、請求項1に記載の、駆動スプロケットには、共通のチエーンが駆動スプロケットから外れないようにする押さえ部材が設けられているので、共通のチエーンが駆動スプロケットから外れるのを防止することができる。
【0014】
請求項3に記載の両扉式密閉容器の扉機構によれば、請求項1または2に記載の、容器本体には、前面開口部と後面開口部を閉塞する位置にある前面扉と前記後面扉に係止して前面扉と後面扉とを当該位置に保持する係止部が設けられているので、前面開口部或いは後面開口部の一方を開口するために前面扉或いは後面扉の一方を上方へ移動させることにより、他方の前面扉或いは後面扉と連結しているチエーンが弛んでも、前面開口部或いは後面開口部を閉塞している他方の前面扉或いは後面扉が自重により下がるといったことが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る両扉式密閉容器の扉機構の第一実施例を示す一部省略縦断側面図である。
【図2】図1の両扉式密閉容器の扉機構前面扉と後面扉を下降位置で保持する係止部と、係止部に係止する係止受け部を示す説明図である。
【図3】図1の両扉式密閉容器の扉機構の要部を示す概略説明図である。
【図4】図1の両扉式密閉容器の扉機構の要部の他例を示す概略説明図である。
【図5】図1の両扉式密閉容器の扉機構の動作状態を示す説明図である。
【図6】本発明に係る両扉式密閉容器の扉機構の第二実施例を示す一部省略縦断側面図である。
【図7】従来の両扉式密閉容器の扉機構を示す一部切り欠き正面図である。
【図8】図7の両扉式密閉容器の扉機構を示す一部省略縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る両扉式密閉容器の扉機構を実施するための形態の一例を図面を参照して詳細に説明する。なお、前述した従来例と対応する部分は、同一符号を付けて示している。
【0017】
図1乃至図5は本発明に係る両扉式密閉容器の扉機構の第一実施例を示したもので、図1は本例の両扉式密閉容器の扉機構を示す一部省略縦断側面図、図2は本例の両扉式密閉容器の扉機構前面扉と後面扉を下降位置で保持する係止部と、係止部に係止する係止受け部を示す説明図、図3は本例の両扉式密閉容器の扉機構の要部を示す概略説明図、図4は本例の両扉式密閉容器の扉機構の要部の他例を示す概略説明図、図5は本例の両扉式密閉容器の扉機構の動作状態を示す説明図である。
【0018】
本例の両扉式密閉容器の扉機構は、図1に示すように、前面開口部1と後面開口部2とを有する容器本体3の、前面開口部1と後面開口部2に対応して前面扉4と後面扉5とが設置されている。前面扉4と後面扉5は前面開口部1と後面開口部2の側で容器本体3の左右に容器本体3の頂部に渡してそれぞれ取り付けられたガイド部6で上下方向に移動可能に支持され、上方に移動し前面開口部1と後面開口部2を開口し、自重で下方に移動して前面開口部1と後面開口部2を閉塞するようになっている。
【0019】
前記したガイド部6は、前面扉4をガイドする前面扉ガイド部6Aと後面扉5をガイドする後面扉ガイド部6Bが容器本体3の頂部で連結した構成となっており、該ガイド部6には、上方へ移動させた前面扉4と後面扉5を収納する収納部6a、6bが形成されている。この収納部6a、6bは、収納された前面扉4と後面扉5が自重により下方に移動するような構造となっており、前面扉4と後面扉5は後述する共通のチエーンで引っ張られてガイド部6でガイドされて上方に移動し、共通のチエーンによる引っ張りの解消によりガイド部6でガイドされて自重で下方に移動するようになっている。
【0020】
この前面扉4と後面扉5とは可撓性を有する構造となっており、例えば、ステンレス等の金属製の可撓性を有する薄板部材13と、薄板部材13の表面に溶接等で薄板部材13を横切る向きで隣接して並設されたステンレス等の金属製の多数の梁部材14とで構成されている。
【0021】
また、前面開口部1と後面開口部2の各周囲の容器本体3における前面扉4と後面扉5との対向面には、それぞれ周方向にパッキン溝15,16が設けられ、各パッキン溝15,16にはそれぞれパッキン17,18が嵌め込まれている。そして、前面扉4と後面扉5とにより前面開口部1と後面開口部2を開閉する際には、前面開口部1と後面開口部2と対向する位置へ移動した前面扉4と後面扉5に対し、パッキン溝15,16内の底部側に空気等の流体を送り込み加圧してパッキン17,18を押し出しガイド部6により支持されている前面扉4と後面扉5の薄板部材13の裏面に押し当てて密着させることにより前面開口部1と後面開口部2とを密閉し、また、パッキン溝15,16内の底部側を吸引して負圧としパッキン溝15,16内にパッキン17,18を後退させることによりパッキン17,18の薄板部材13への密着状態を解くようになっている。
【0022】
また、前面開口部1、後面開口部2の閉塞位置における前面扉4、後面扉5の固定にあっては、前面扉4、後面扉5が前面開口部1、後面開口部2と対向する位置へ移動して前面開口部1、後面開口部2を閉塞する適正閉塞位置に達したとき、これを適正停止位置検出手段(図示せず。)で検出して前面扉4、後面扉5を当該位置で停止させ、停止した前面扉4、後面扉5にパッキン17,18を押し当てて密着するとともに前面扉4、後面扉5を適正閉塞位置に固定するようになっている。
【0023】
前記の前面扉4と後面扉5とは、容器本体3の頂部側で相互に共通のチエーン19で連結されている。本例では、共通のチエーン19の両端部は、前面扉4と後面扉5の両側面に沿って取り付けられている。
【0024】
さらに、容器本体3の頂部側には共通のチエーン19に共通のチエーン19をガイドする前面扉側ガイド体20と後面扉側ガイド体21とが前面扉4と後面扉5とに対応して設けられている。この前面扉側ガイド体20と後面扉側ガイド体21はガイド部6を構成する前面扉ガイド部6Aと後面扉ガイド部6Bにおけるコーナー部位にそれぞれ設けられている。
【0025】
前面扉側ガイド体20と後面扉側ガイド体21は、共通のチエーン19を円滑にガイドできるものであれば特に限定されるものではない。本例では共通のチエーン19を係合するU溝を有するローラが使用されているが、スプロケットを使用することもでき、或いは共通のチエーン19を円滑にガイドできるレールを使用することもできる。
特に、前面扉側ガイド体20と後面扉側ガイド体21がスプロケットであると、スプロケットの回転軸に減速器等の制動機構を備えさせておくことにより、万が一共通のチエーン19が切断したとき、前面扉4や後面扉5が自重により急速で落下することを防止でき、安全性が図れる。この場合、、前面扉側ガイド体20と後面扉側ガイド体21となるスプロケットは開閉のために上下移動する前面扉4や後面扉5から外れない位置に設けられていることを要する。
【0026】
また、前記の前面扉側ガイド体20と後面扉側ガイド体21がローラやレールである場合、前面扉側ガイド体20と後面扉側ガイド体21とは別に、前面扉4や後面扉5の急落防止手段として、図4に示すように、開閉のために上下移動する前面扉4や後面扉5から外れない位置に前面扉4と後面扉5の両側面に沿って取り付けられている共通のチエーン19と噛み合う減速器等の制動機構を備えた落下制動用スプロケット22を設けておくこともできる。
【0027】
前面扉側ガイド体20と後面扉側ガイド体21との間には、共通のチエーン19に噛み合う駆動スプロケット23を介してこれを駆動する共通の駆動モータ24が設けられている。前記のようにして前面扉4と後面扉5に連結され、前面扉側ガイド体20、後面扉側ガイド体21、駆動スプロケット23に噛み合う共通のチエーン19は、少なくとも前面扉4と後面扉5の双方が下方に移動して同時に前面開口部1と後面開口部2とを閉塞できる長さに設定されている。駆動スプロット23には、共通のチエーン19が駆動スプロケット23から外れないようにする押さえ部材25が設けられている。
【0028】
また、前面扉側ガイド体20と駆動スプロケット23との間および後面扉側ガイド体21と駆動スプロケット23との間には共通のチエーン19を弛ませる前面扉側チエーン弛み空間26と後面扉側チエーン弛み空間27とが設けられている。
【0029】
また、前記のように、前面開口部1、後面開口部2の閉塞位置における前面扉4、後面扉5の固定は、前面開口部1、後面開口部2を閉塞する適正閉塞位置に達した前面扉4、後面扉5にパッキン17,18を押し当てて固定するようになっているが、パッキン17,18の押圧力が低下した場合に前面扉4、後面扉5が適正閉塞位置よりも下降する危険性を回避するために、本例では、容器本体3に、前面開口部1と後面開口部2を閉塞する位置にある前面扉4、後面扉5が下降しようとしたときに係止してその下降を阻止する係止部28が設けられている。この係止部28は、容器本体3の前面開口部1と後面開口部2の各前面の下部に突出させて設け、前面扉4と後面扉5の左右側に設けた係止受け部29に係止して前面扉4と後面扉5の下降を阻止するようになっている。
【0030】
前記の係止部28は、容器本体3の前面開口部1と後面開口部2の各前面の下部から突出した状態に設けてもよく、或いは前面扉4と後面扉5が下方に移動して前面開口部1と後面開口部2を閉塞する位置に達したとき、これをセンサでキャッチし係止部28を突出させるように設けてもよい。
【0031】
なお、係止部28を設ける箇所は必ずしも容器本体3の前面開口部1と後面開口部2の各前面の下部でなくてもよく、前面開口部1と後面開口部2を閉塞する位置にある前面扉4と後面扉5に係止して前面扉4と後面扉5とを当該位置に保持できる位置に設けられていればよい。
【0032】
次に、本例の両扉式密閉容器の扉機構の動作を図1及び図5にて説明する。
図1では、容器本体3の前面開口部1と後面開口部2とは、前面扉4と後面扉5で閉じた状態になっている。すなわち、前面扉4と後面扉5とは前面開口部1と後面開口部2と対向する位置にあり、前面開口部1と後面開口部2のそれぞれ周方向に設けられたパッキン溝15,16内の底部側に空気等の流体が送り込まれて押し出されたパッキン17,18がガイド部により支持されている前面扉4と後面扉5の薄板部材13の裏面に密着し前面開口部1と後面開口部2とが密閉した状態にある。
【0033】
この状態から、例えば、図5に示すように、前面開口部1を開口する場合には、先ず、前面開口部1側にあるパッキン溝15内の底部側を吸引して負圧としパッキン溝15内にパッキン17を後退させることにより前面扉4の薄板部材13の裏面に対するパッキン17の密着状態を解いた上で、共通の駆動モータ24により駆動スプロケット23を時計回りに回転させると、駆動スプロケット23により共通のチエーン19が引っ張られ前面扉4が引き上げられて上方に移動しガイド部6を構成する前面扉ガイド部6Aの収納部6aに収納されて前面開口部1が開口し、そして、駆動スプロケット23により引っ張られ駆動スプロケット23を通り過ぎた共通のチエーン19は、駆動スプロケット23と後面扉側ガイド体21との間に設けられた後面扉側チエーン弛み空間27で弛んだ状態で保持される。
【0034】
このとき、後面扉5は後面開口部2の周方向に設けられたパッキン溝16内の底部側に送り込まれた空気等の流体により押し出されたパッキン18の押し当てによる密着により後面開口部2に保持されるが、パッキン18の押し当てが弱く後面扉5の重量を支えられないような場合でも、容器本体3に設けられている係止部28に後面扉5の左右側に設けた係止受け部29が係止して後面扉5の下降が阻止されるので、後面扉5の自重による下降が防止される。
【0035】
前記のようにして開口した前面開口部1を閉塞する場合には、共通の駆動モータ24により駆動スプロケット23を反時計回りに回転させると、駆動スプロケット23と後面扉側ガイド体21との間に設けられた後面扉側チエーン弛み空間27で弛んでいた共通のチエーン19が駆動スプロケット23により繰り出され、上方に移動し前面扉ガイド部6Aの収納部6aに収納されていた前面扉4が自重により下方に移動し前面開口部1と対向する位置へ達する。前面扉4が前面開口部1と対向する位置へ達したら、パッキン溝15内の底部側に空気等の流体を送り込み加圧してパッキン17を押し出し前面扉4の薄板部材13の裏面に押し当てて密着させ前面開口部1を密閉する。すなわち、図1の状態となる。
【0036】
次に、後面開口部2を開口する場合には図示しないが、前面開口部1を開口させる場合と同様に、先ず、後面開口部2側にあるパッキン溝16内の底部側を吸引して負圧とし後面扉5の薄板部材13の裏面に対するパッキン18の密着状態を解いた上で、共通の駆動モータ24により駆動スプロケット23を反時計回りに回転させると、駆動スプロケット23により共通のチエーン19が引っ張られ後面扉5が引き上げられて上方に移動し後面開口部2が開口し、そして、駆動スプロケット23により引っ張られ駆動スプロケット23を通り過ぎた共通のチエーン19は、駆動スプロケット23と前面扉側ガイド体20との間に設けられた後面扉側チエーン弛み空間26で弛んだ状態で保持される。
【0037】
このとき、前面扉4は前面開口部2の周方向に設けられたパッキン溝15内の底部側に送り込まれた空気等の流体により押し出されたパッキン17の押し当てによる密着により前面開口部1に保持されるが、パッキン17の押し当てが弱く前面扉4の重量を支えられないような場合でも、容器本体3に設けられている係止部28に前面扉4の左右側に設けた係止受け部29が係止して前面扉4の下降が阻止されるので、前面扉4の自重による下降が防止される。
【0038】
図6は本発明に係る両扉式密閉容器の扉機構の第二実施例を示す一部省略縦断側面図である。
本例の両扉式密閉容器の扉機構では、第一実施例と同様に、前記の前面扉4と後面扉5とは、容器本体3の頂部側で相互に共通のチエーン19で連結されている。本例では、共通のチエーン19の両端部は、前面扉4と後面扉5の上端部にそれぞれ取り付けられている。その他の構成は、前述した図1の例と同様になっているので、第一実施例を援用する。
【符号の説明】
【0039】
1 前面開口部
2 後面開口部
3 容器本体
4 前面扉
5 後面扉
6 ガイド部
6A 前面扉ガイド部
6B 後面扉ガイド部
6a,6b 収納部
13 薄板部材
14 梁部材
15,16 パッキン溝
17,18 パッキン
19 共通のチエーン
20 前面扉側ガイド体
21 後面扉側ガイド体
22 落下制動用スプロケット
23 駆動スプロケット
24 共通の駆動モータ
25 押さえ部材
26 前面扉側チエーン弛み空間
27 後面扉側チエーン弛み空間
28 係止部
29 係止受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口部と後面開口部とを有する容器本体が、駆動モータとこれに回転駆動される駆動スプロケットとこれに噛み合って駆動されるチエーンとにより上下方向に移動する前面扉と後面扉とで開閉される両扉式密閉容器の扉機構であって、
前記前面扉と前記後面扉とが前記容器本体の頂部側で相互に共通のチエーンで連結され、前記容器本体の頂部側には前記共通のチエーンをガイドする前面扉側ガイド体と後面扉側ガイド体とが前記前面扉と前記後面扉とに対応して設けられ、前記前面扉側ガイド体と前記後面扉側ガイド体との間には前記共通のチエーンに噛み合う駆動スプロケットを介して前記共通のチエーンを駆動する共通の駆動モータが設けられていることを特徴とする両扉式密閉容器の扉機構。
【請求項2】
前記駆動スプロケットには、前記共通のチエーンが前記駆動スプロケットから外れないようにする押さえ部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の両扉式密閉容器の扉機構。
【請求項3】
前記容器本体には、前記前面開口部と前記後面開口部を閉塞する位置にある前記前面扉と前記後面扉に係止して前記前面扉と前記後面扉とを当該位置に保持する係止部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の両扉式密閉容器の扉機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−31902(P2011−31902A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177663(P2009−177663)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】