説明

両眼用目視装置

本発明は、両眼用目視装置(1)に関する。両眼用目視装置には、第1水平ライン(4,5)及び第1水平ラインに対して垂直な第2のライン(6,7)を有する各接眼レンズが設けられる。2つのラインの交差部は、各接眼レンズの視野(8,9)の略中心に位置する。該両眼用目視装置は、特に使用者の運動中に、又は使用者によって特定のスポーツの練習中に、周囲空間の3次元認識を有することを容易にさせるように意図される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両眼用目視装置に関し、各接眼レンズには、垂直なラインが設けられ、特に、移動する、又は特定のスポーツを練習する場合に、その使用者が3次元的な周囲空間を把握することを容易にさせるように設計される、両眼用目視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、一定の光学収差に補正するように意図された三角形状の断面の垂直バーから形成される光学グリッドを提案する。
【0003】
特許文献2は、純粋な感美の理由で、2つのレンズの表面で、一種のベールを生成するレンズのグリッドが設けられた表面を有している眼鏡を提案する。
【0004】
特許文献3は、目の特定の進展特性が測定されることを可能にしている平行な水平ライン、又は垂直ライン、又はグリッド、又は同心円が設けられたコンタクトレンズを提案する。
【0005】
習いたてのドライバーが、達成されるべき目標に焦点を合わせる代わりに、避けられるべき、その周りを移動されるべき、又は追い越されるべき障害物に焦点を合わせがちであり、その結果、障害物によって引き付けられ、習いたてのドライバーが障害物に対して方向付けられることは、周知である。同様に、綱渡り芸人は、彼の足の端部又は空間ではなく、到達されるべき目標、すなわち、ロープの端部を見なければならない。そのスキーの端部を見るスキーヤーは、自分のスキーを案内することができず、バランスを失う、又は直進するであろう。
【0006】
習得した後でさえ、完全な傾きを構成していることからほど遠い上述した例において、いくつかの状況において、悪い姿勢を有する傾向がある。例えば、自動車を運転する間、頭部を湾曲するように傾け、それは、妨げる動きの効果を有する。
【0007】
それらの観察を持って、発明者は、正しい姿勢を採用することによって、周囲空間が3次元的に把握されることを可能にする、両眼の視覚の正しい使用を可能にする手段を見つけるために試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第32 02 000号明細書
【特許文献2】日本国特許第59 000 130号明細書
【特許文献3】米国特許第4 309 085号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
驚くほど単純である、本発明の主題は、その使用者が、永久に周囲空間のこの理解を有することを手助けする一方、成し遂げられるべき目標に焦点を合わせることを手助けする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による両眼用目視装置は、各接眼レンズには、1つの第1水平ライン及び1つの第1水平ラインに垂直な第2ラインが設けられ、それによって、それら2つの単一のラインの交差ポイントは、各接眼レンズの視野の略中央に位置された可視点によってマーク付けされることを特徴とする。
【0011】
視野の中央で水平ラインに対して垂直な(縦の)ラインは、使用者の移動速度に関連して観察されるように、正しい頭部の回転度合いを使用者に与える。水平ライン(水平方向)は、安定した位置を示す。調整は、左目を閉じることによって実行される。2つのラインの交差によって形成された十字部は、右目の視野の中央に配置されなければならない。逆もまた同様に実行される。
【0012】
両眼用目視装置を正しく使用することによって、すなわち、水平ラインを水平方向に保ちながら見ることによって、人の正しい姿勢が得られる。人は、空間を3次元的に把握し、これは、使用者が使用者の様々な動作を正しく予測することを可能にする。それ故に、例えば、地面でトレーニングワーク中に、騎乗者は、馬の全体、特に単に前足ではなく馬の4つの脚の視界を有し、又は四足の機能の移行と共通点がある全ての視野を有し、そのため、我々の脳が我々の運動中に設計されない、又は我々の脳が我々の運動中に失う。彼の命令及び動作は、素早い動作と連結したストレスなしで冷静に実行され、例えば、馬の前方で障害物を適切に取り除くことである。騎乗者及び馬の両方は、冷静に動作し、騎乗者及び馬は、ほとんど疲れることなく、設定された目的を成し遂げる。状況は、実時間で経験され、運動のシーケンスは、得られるべき結果のちょうど前に分析せず、実時間で経験された状況の発展の実際の現実性に関連して分解される。結果の視覚において誇張される、又はいっそう調整される運動にしばしば変換する。自動車を運転している間中及び湾曲に入る間中に、傾いている身体及び頭部が空間ビジョンを変形させ、方向又は速度を補正することは、必要である。
【0013】
一の実施形態によれば、前記ラインは、約0.25mmの厚さを有する。
【0014】
好ましい実施形態によれば、前記両眼用目視装置は、眼鏡、ヘルメットのバイザー、自動車の前面ガラス、一対のコンタクトレンズ、又はレンズなしのフレームである。
【0015】
一の実施形態によれば、前記ラインは、不透明、半透明、又は発光塗料であるライン、色付き透明材料の2つの色の間のボーダー、又は、前記材料に前記ラインを印刷すること、又は掘り込むことによってマークされる。発光塗料は、特に、夜間視界又は乏しい光の場合のために有益である。
【0016】
他の実施形態によれば、前記ラインは、ワイヤー、ライトビーム、又はそれらの位置が調整されることを可能にする手段である。それらの手段は、コンタクトレンズに適用可能ではない。
【0017】
一の実施形態によれば、水平ラインに対して垂直な2つのラインは、両眼用目視装置の縁部に延在する。
【0018】
他の実施形態によれば、水平ラインに対して垂直な2つのラインは、両眼用目視装置の下縁部から延在することができ、水平ラインとのそれらの交差後に停止することができる
【0019】
代替的に、水平ラインに対して垂直な2つのラインは、両眼用目視装置の上縁部から延在することができ、水平ラインとのそれらの交差後に停止することができる。
【0020】
両眼用目視装置が一対のコンタクトレンズである場合に、前記レンズは、前記コンタクトレンズを構成する2つのレイヤーの間に挿入されることができる。
【0021】
発明者は、眼鏡の外側に亘って、ワイヤーを引張ることによって、この装置の効果を観察した。
【0022】
本発明は、添付された図面の補助で、より詳細に記述されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一の実施形態における眼鏡を示す図である。
【図2】他の実施形態における眼鏡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、水平(水平線方向)ライン4及び5と、水平ライン4及び5に対して垂直な2つのライン6及び7とが設けられたレンズ2及び3を備える眼鏡1を示す。垂直ラインと水平ラインとの交差21及び22は、視野の略中央に位置し、鎖線8及び9によって本明細書に図示される。それらのラインが視野を邪魔することなく可視するために、それらのラインは、約0.25mmの厚さを有する。それらのラインは、印刷することによって、又は彫りこむことによって、又はガラス部分の間の色と異なる色を使用することによって、形成されることができる。それらのラインはまた、ワイヤーが取り付ける又は取り外されることを可能にしている、又は使用者の視野に関連してラインの位置でさえ調節されることを可能にしている単純な取付手段で、付着した要素、例えば、ワイヤー又は同様のものであることができる。これは、使用者が同一の方法、目に非常に近接するいくつかの位置、及び目からさらに離れる他の位置で着用しないのである。
【0025】
同一のものは、ヘルメットのバイザー又は自動車のフロントガラスに適用されることができる。重要なことは、それらの厚さ及び色彩を通じて、ラインが使用者の視覚を妨げないことである。
【0026】
以前に説明したように、この水平ラインを水平方向に保つことによって、両眼の視野を有する使用者は、3次元的な分析を達成する。該3次元的な分析は、実時間で経験された状況の発展の実際の現実性に関連して、得られるべき結果又は結果の視覚における調整された移動に関連せず、分解された運動のシーケンスに転換する。視野の中央で、水平ラインに対して垂直なラインは、使用者の移動速度に関連して観察されるべき頭部の回転の正しい程度を使用者に与える。水平ライン(水平方向)は、安定した位置を示す。我々の脳によって影を付けられた部分の判断は、ルート(corridor)をマークする。ルートは、例えば、湾曲の強制的な通過を示す。調節は、左目を閉じることによって実施され、2つのラインの交差によって形成される交点は、右目の視野の中央に配置されなければならない。逆もまた同様に実施される。
【0027】
図1の両眼用目視装置と図2の両眼用目視装置との間の差異は、図1において、垂直ライン8及び9は、水平ライン4及び5との交差23、24を越えて、約1cmだけ通過するのに対して、垂直ライン18及び19が眼鏡10の下縁部から上縁部まで延在する事実である。この差異は別として、図2の参照符号10〜15、18、及び19として言及される構成要素は、図1の1〜5、8、及び9として記載される構成要素に対応する。
【0028】
いくつかの用途において、特にゴルフの練習において、水平ラインに対して垂直なラインが上縁部で開始し、交差後に停止しなければならないという状態になる。
【0029】
コンタクトレンズには、ワイヤー又はライトビームが設けられるのでなく、それらのラインが設けられて使用されることもできる。
【0030】
ライトビームに関しては、視野を横切る2つのダイオード(LED)を使用することは、可能である。それらのダイオードのための電力供給は、バッテリーによって提供されることができる。使用者の視野にライトビームを整合させるための2つのライトビームの交差ポイントを調整することを可能にすることが所望される場合、ダイオードは、例えば、ダイオードを移動させることを可能にするスライド部に取り付けられることができる。
【0031】
フレーム又はコンタクトレンズに取り付けられたレンズの場合において、それらは、任意の視力矯正なしのレンズ、又は、色付き又は色付きではない医学的に規定された視力矯正のレンズである。
【0032】
レンズなしのフレームは、使用者によって直接的に着用されて、又は太陽から保護するために、又は視力矯正のために、使用者によって常に着用されるフレームに取り付けられるように使用されることができる。
【0033】
フレーム及び任意的なレンズは、任意の慣習的に使用された材料から形成されることができる。
【0034】
夜間視界システムにも、本発明によるラインがレンズに直接的に、又は適合されたフレームを介して配置される状態である、接眼レンズを提供することによって、本発明による装置が設けられることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 両眼目視装置
2 レンズ
3 レンズ
4 水平ライン
5 水平ライン
6 垂直ライン
7 垂直ライン
8 鎖線(視野の略中央)
9 鎖線(視野の略中央)
10 眼鏡
11 レンズ
12 レンズ
13 水平ライン
14 水平ライン
15 鎖線
18 垂直ライン
19 垂直ライン
21 交差
22 交差
23 交差
24 交差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各接眼レンズ(2,3;12,13)には、垂直なラインが設けられている両眼用目視装置(1,10)において、
前記各接眼レンズ(2,3;12,13)には、1つの第1の水平ライン(4,14)及び前記第1の水平ライン(4,14)に対して垂直な1つのライン(6,16)が設けられ、
それら2つの単一のラインの交差のポイントは、各接眼レンズの視野(8,9;18,19)の略中央で位置される可視ポイント(12,22;23,24)によってマークされること特徴とする両眼用目視装置。
【請求項2】
前記ライン(4,5,6,7;14,15,16,17)が約0,25mmの厚さを有していることを特徴とする請求項1に記載の両眼用目視装置。
【請求項3】
前記両眼用目視装置は、眼鏡、又はヘルメットのバイザー、又は自動車のフロントガラス、又は一対のコンタクトレンズ、又はレンズなしのフレームであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の両眼用目視装置。
【請求項4】
前記ラインは、不透明であり、又は半透明であり、発光塗料とされる、又は色付きの透明な材料の2つの色の間の境界線とされる、又は前記材料に前記ラインを印刷される、又は彫り込まれる、ラインによってマークされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の両眼用目視装置。
【請求項5】
前記ラインは、ワイヤー、又はライドビーム、及びコンタクトレンズを除いて、視野に関連してそれらの位置が調節されることを可能にする手段によってマークされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の両眼用目視装置。
【請求項6】
前記水平ライン(14,15)に対して垂直な前記2つのライン(16,17)は、前記両眼用目視装置の縁部まで延在することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の両眼用目視装置。
【請求項7】
前記水平ライン(4,5)に対して垂直な前記2つのライン(6,7)は、前記両眼用目視装置の下部縁部から延在し、前記水平ラインとの交差(23,24)後に、停止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の両眼用目視装置。
【請求項8】
前記水平ラインに対して垂直な前記2つのラインは、前記両眼用目視装置の上部縁部から延在し、前記水平ラインとのその交差後に、停止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の両眼用目視装置。
【請求項9】
前記両眼用目視装置は、2つのコンタクトレンズを備え、前記ラインは、前記コンタクトレンズを構成する2つのレイヤーの間に挿入されることを特徴とする請求項1、2、4、6、7、及び8のいずれか一項に記載の両眼用目視装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−510537(P2010−510537A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536809(P2009−536809)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003391
【国際公開番号】WO2008/059334
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(509137917)
【Fターム(参考)】