説明

両親媒性ブロックコポリマーを含有する生体医用器具

【課題】眼に潤いを与え、表面付着耐性を与えるために表面処理を用いる必要のないレンズ組成を見出すこと。
【解決手段】本発明は、両親媒性ブロックコポリマーを含む湿潤性生体医用器具に関する。両親媒性ブロックコポリマーは、植え込み可能な器具、眼科用器具、および一実施態様におけるコンタクトレンズなどの生体医用適用のための内部湿潤剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、両親媒性ブロックコポリマーを含有するシリコーンヒドロゲル、ならびにそれらの製造方法および使用方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
コンタクトレンズは少なくとも1950年代以来、視力改善のために市販されて来た。初期のコンタクトレンズは硬質素材で製造され、それ自体使用者に不快感を伴うものであった。最近のレンズでは、よりソフトな素材、一般にヒドロゲル、特にシリコーンヒドロゲルで製造されたものが開発されている。シリコーンヒドロゲルは水で膨潤したポリマーネットワークであり、高い酸素透過性と、親水性ではなく、より疎水性の高い表面を有する。
【0003】
他にも、親水性コーティングを施すことによって、より親水性の高いシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作製する試みがなされている。例えば、シリコーンヒドロゲルレンズは、レンズにプラズマコーティングを施し、そのレンズを反応性親水性ポリマーで処理することによって、眼球表面とより適合性の高いものとすることができることが開示されている。
【0004】
シリコーンヒドロゲル反応混合物へのPVPおよびポリ−2−エチル−2−オキサゾリンなどの内部親水性湿潤剤、ならびに重合可能な界面活性剤の配合も開示されている。
【0005】
高分子量親水性ポリマーはシリコーンヒドロゲルレンズにおいて内部湿潤剤(IWA)として用いられているが、このようなポリマーは、シリコーンを含有する反応混合物においては可溶化が困難である場合がある。これらの湿潤剤を可溶化するためには、相溶化成分を使用しなければならない。これらの相溶化成分は別工程で調製した後にシリコーンヒドロゲル組成の残りの成分と混合しなければならない。この添加工程(または複数工程)はこれらのレンズの生産にかかるコストも時間も増長する。
【0006】
よって、眼に潤いを与え、表面付着耐性を与えるために表面処理を用いる必要のないレンズ組成を見出すことが有利である。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明は、生体医用器具において用いるための両親媒性ブロックコポリマーに関する。
【0008】
本発明はさらに、少なくとも一種類のシロキサン成分と、少なくとも一種類の両親媒性ブロックコポリマーと、相溶化成分と、を含む湿潤性シリコーンヒドロゲルに関する。
【0009】
本発明はさらに、シリコーン含有成分と、相溶化成分と、コンタクトレンズに湿潤性表面を提供するのに十分な量の両親媒性ブロックコポリマーと、を含む、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関する。
【0010】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、生体医用器具において用いるための両親媒性ブロックコポリマー、およびシリコーン含有成分と両親媒性ブロックコポリマーと相溶化成分との混合物から形成された生体医用器具を含み、それらからなり、また、それらから本質的になる。
【0011】
生体医用器具、特に眼科用器具は、表面改良なしで、シリコーンヒドロゲル組成中に有効量の両親媒性ブロックコポリマーと相溶化成分を含めることによって製造され得ることが見出された。
【0012】
本明細書において「生体医用器具」とは、哺乳類組織内もしくは組織上または体液中、好ましくはヒト組織内もしくは組織上または体液中で用いるために設計される任意の物品である。これらの器具の例としては、限定されるものではないが、 カテーテル、インプラント、ステント、ならびに眼内レンズおよびコンタクトレンズなどの眼科用器具が挙げられる。好ましい生体医用器具は眼科用器具、特にコンタクトレンズ、最も特には、シリコーンヒドロゲルからなるコンタクトレンズである。
【0013】
本明細書において「レンズ」および「眼科用器具」とは、眼内または眼上に留まる器具を指す。これらの器具は視力矯正、創傷治癒、薬剤送達、診断機能または美容整形もしくは美容効果、またはこれらの特性の組合せを提供し得る。レンズとは、限定されるものではないが、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内インサート、および光学インサートが含まれる。
【0014】
本明細書において「モノマー」とは、少なくとも一種類の重合可能な基を含有し、ゲル浸透クロマトグラフィーにより屈折率検出を用いて測定した際に約2000ダルトン(約3.32×10-21g)未満の平均分子量を有する化合物である。よって、モノマーはダイマーを、場合によってはオリゴマーを含み、1を超えるモノマー単位からなるオリゴマーも含む。
【0015】
本明細書において「表面改良なしで」とは、本発明の器具の外表面が、器具の湿潤性を改良するために別に処理されないことを意味する。本発明のために先立ち得る処理としては、プラズマ処理、表面グラフト、コーティングなどが含まれる。しかしながら、限定されるものではないが、抗菌コーティングなど、湿潤性の改良以外の特性を提供するコーティングは、本発明の器具にも施される場合がある。
【0016】
本明細書では様々な分子量範囲が開示される。分離した分子構造を有する化合物については、本明細書で報告される分子量は分子式に基づいて算出し、gm/molで報告される。ポリマーについては、分子量(重量平均)はゲル浸透クロマトグラフィー屈折率検出により測定され、ダルトンで報告されるか、またはジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons Inc.)より出版の「高分子科学工学百科事典」Nービニルアミドポリマー、第二版、第17巻(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, N-Vinyl Amide Polymers, Second edition, Vol 17)、第198〜第257ページに記載されているような動粘度測定によって測定され、K値で報告される。
【0017】
本明細書において「ブロックコポリマー」とは、より小さな繰り返し単位からなる、連続的に並んだ部分またはブロックを有するコポリマーを表すために用いられる。本明細書において両親媒性ブロックコポリマーは、シリコーンブロックと非シリコーンブロックを含む。これらのブロックコポリマーは、次の構造:二つのブロックセグメントを含むA−B構造:三つのブロックセグメントを含むA−B−A、および複数のブロックを含む−(A−B)n−(ここで、nは2以上の整数である)によって表すことができる。
【0018】
セグメントAとBは、非加水分解性の結合によって互いに結合されている。非加水分解性の結合は、例えばpH約6〜約8の間での通常の水性または溶媒加水分解反応によっては有意に切断されない共有結合である。非加水分解性の特定の結合は当業者に公知であり、アミド結合、エステル結合、エーテル結合などがある。
【0019】
両親媒性セグメントコポリマーにおけるセグメントAとBの間の非加水分解性結合は、好適な親水性モノマーを、適宜官能基化された疎水性マクロ開始剤の存在下で、親水性モノマー単位のブロックが疎水性マクロ開始剤の官能基化側から成長するように重合させることによって形成されることができる。好適なマクロ開始剤としては、熱的または光化学的に活性化可能なラジカル開始剤群が挙げられる。この開始剤群は、疎水性マクロ開始剤の末端基と、両親媒性ブロックコポリマーを調製するための共重合の際に成長セグメントを形成する最初の親水性モノマーとの間に非加水分解性の共有結合を提供するように、疎水性マクロ開始剤と結合される。
【0020】
また、例えば、最初の親水性セグメントAを、予め形成された疎水性セグメントB上で成長させた後に、最初に形成されたセグメントAの末端に親水性セグメントA’が付加されるように、共重合に際にモノマーを変更することもできる。同様に、同時に二つ以上の親水性モノマーを用いることにより、予め形成された疎水性セグメントB上に親水性セグメントAA’を成長させることもできる。
【0021】
よって、一実施態様において、両親媒性ブロックコポリマーは、一つの親水性セグメントAと、一つの疎水性セグメントB(A−B型、二ブロック)と、からなってもよいし、または一つの疎水性セグメントBと、その末端に結合した二つの親水性セグメントA(A−B−A型、三ブロック)と、からなってもよい。もう一つの実施態様では、両親媒性ブロックコポリマーは、二つ以上の親水性モノマーからなる一つの親水性セグメントAA’と、一つの疎水性セグメントB(AA’−B型、二ブロック)と、からなってもよいし、または一つの疎水性セグメントBと、その末端に結合した二つの親水性セグメントAA’(AA’−B−AA’、三ブロック)と、からなってもよい。
【0022】
さらに、両親媒性ブロックコポリマーは実質的に非重合性である。本明細書において、実質的に非重合性とは、両親媒性ブロックコポリマーが他の重合可能な成分と重合される場合に、両親媒性ブロックコポリマーがヒドロゲル配合物に、そのヒドロゲルとの有意な共有結合なく配合されることを意味する。有意な共有結合がないとは、低レベルの共有結合は存在し得るが、そのヒドロゲルマトリックス内における両親媒性ブロックコポリマーの保持は副次的なものであることを意味する。副次的共有結合が存在したとしても、それ自体、ヒドロゲルマトリックス内に両親媒性ブロックコポリマーを保持するには十分なものではない。その代わりに、このヒドロゲルに関連する主要な大きな両親媒性ブロックコポリマー保持作用は捕捉である。両親媒性ブロックコポリマーがヒドロゲルマトリックス内に物理的に保持される場合、本明細書によれば「捕捉される」という。この捕捉は、ヒドロゲルポリマーマトリックス内に両親媒性ブロックコポリマーのポリマー鎖が巻き込まれることによって起こる。しかし、ファンデルワールス力、双極子−双極子相互作用、静電気的引力、および水素結合も程度は低いがこの捕捉に寄与し得る。
【0023】
疎水性セグメントBを構成するポリマーは通常、約500〜約50,000の範囲、好ましくは、約800〜約30,000の範囲、より好ましくは、約1,000〜20,000の範囲、最も好ましくは、約2,000〜約12,000の範囲の数平均分子量Mnを有する。開始疎水性セグメントB上で共重合される一以上のセグメントAまたはAA’の長さは、その共重合に添加される親水性モノマーの量を制御することによって容易に制御することができる。このようにして、セグメントの大きさおよびそれらの比率は容易に制御することができる。親水性モノマーの重合が完了した後、得られた両親媒性ブロックコポリマーは、両親媒性コポリマーが、シリコーンヒドロゲル配合物に配合した際に硬化シリコーンヒドロゲルの湿潤性を高めるに十分な重量平均分子量を有する。両親媒性コポリマーの好適な重量平均分子量は、約100,000ダルトン(約1.66×10-19g)より大きく、より好ましくは、約100,000〜約2,000,000ダルトン(約1.66×10-19〜約3.32×10-18g)の間、いっそうより好ましくは、約140,000〜約1,000,000ダルトン(約2.33×10-19〜約1.66×10-18g)の間、最も好ましくは、約180,000〜約500,000ダルトン(約2.99×10-19〜約8.30×10-19g)の間である(全て重量平均分子量)。
【0024】
両親媒性ブロックコポリマーの好適な量としては、約2〜約15重量%、より好ましくは、約4〜約15重量%、最も好ましくは、約5〜約12重量%(全て、全反応性成分の総重量に対して)を含む。
【0025】
両親媒性ブロックコポリマーは、例えば、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)と4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)誘導体との段階成長重合から生じる生成物のような、ポリシロキサンから誘導される疎水性セグメントを含む。
【0026】
好適なポリシロキサンは、一つ以上の反応性基を有するシリコーン化合物から形成され得るブロックを含む。このようなシリコーン化合物の例としては、末端反応基を有する直鎖ポリジメチルシロキサンが挙げられる。有用であり得る反応性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロシリル基、ビニルシリル基、イソシアナト基、アゾ基、酸ハロゲン化物基、シラノール基、およびアルコキシシリル基が挙げられる。これらのシリコーン基は主鎖内にあっても、主鎖に付属していてもよい。これらのシリコーン化合物はそれ自体、オクタメチルシクロテトラシロキサン;1,3−ビス−アミノプロピルテトラメチルジシロキサン;1,3−ビス−ヒドロキシプロピルテトラメチルジシロキサン;ジクロロジメチルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸);トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート;1,3−ビス−ビニルテトラメチルジシロキサン;3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン;ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート;およびメチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチルシラン;モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(monomethacryloxypropyl terminated mono-n-butyl terminated polydimethylsiloxane);3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)ウィリル]プロピルビニルカルバメート(3- [tris(trimethylsiloxy)wilyl] propyl vinyl carbamate);トリメチルシリルエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルメチルビニルカーボネート;および2−プロペン酸、2−メチル−2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(2-propenoic acid, 2-methyl-2- hydroxy-3- [3-[l,3,3,3-tetramethyl-l- [trimethylsilyl)oxy]disiloxanyl]propoxy] propyl ester)、ならびにそれらの組合せなどの出発材料から、縮合、開環平衡重合、またはビニル重合をはじめとする当業者に公知のいくつかの方法によって形成され得る。
【0027】
得られる疎水性セグメント(マクロアゾ開始剤または疎水性マクロアゾ開始剤とも呼ばれる)の一例を式Iに示す。
【化1】

【0028】
適当な反応条件下で、疎水性マクロアゾ開始剤は熱的または光分解的に切断され、親水性モノマーと反応して所望の両親媒性ブロックコポリマーを形成し得るフリーラジカル種を生成することができる。
【0029】
前記疎水性セグメントは約1〜約20重量%、好ましくは、約2〜約15重量%の両親媒性ブロックコポリマーを含む。
【0030】
前記両親媒性ブロックコポリマーはまた、親水性セグメントも含む。親水性セグメントの例としては、限定されるものではないが、ポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、および官能基化されたポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、例えば、ポリ(ビニルピロリジノン)(PVP)、イオン性ポリマー、親水性ポリアクリレート、それらの組合せなどから誘導されるセグメントが挙げられる。好適なイオン性ポリマーの例としては、限定されるものではないが、ポリ(アクリル酸)およびポリ(メタクリル酸)が挙げられる。好適な親水性ポリアクリレートの例としては、限定されるものではないが、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、例えば、ポリHEMAおよびその類似体が挙げられる。
【0031】
例えば、式Iのマクロアゾ開始剤を用いてNVPの重合を開始することにより、式IIおよび式IIIの両親媒性A−BおよびA−B−Aブロックコポリマーが形成される。
【化2】

【0032】
当業者ならば、前記構造の親水性セグメントの分子量が、マクロアゾ開始剤の存在量、反応温度、および親水性モノマー濃度などの反応パラメーターに応じて異なることを認識するであろう。
【0033】
好ましい親水性セグメントは、主鎖または側基にN基を含むセグメントである。親水性セグメントとしては、限定されるものではないが、ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、およびポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリ−N−ビニル−N−メチルアセトアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、それらの混合物およびコポリマーから誘導されるセグメントが挙げられる。好ましいポリマーとしては、ポリ−N−ビニルピロリドン(PVP)、ポリ−N,N−メタクリルアミド、ポリ−N−ビニル−N−メチルアセトアミド、およびそれらの組合せを含む親水性ポリマーが特に好ましい。
【0034】
明示されている両親媒性ブロックコポリマーの他に、シリコーンヒドロゲル配合物に加えられた際に両親媒性ブロックコポリマーが(a)反応混合物から実質的に相分離せず、かつ、(b)得られる硬化ポリマーに湿潤性を付与する限り、どんな両親媒性ブロックコポリマーでも本発明に有用であると考えられる。いくつかの実施態様では、両親媒性ブロックコポリマーが処理温度において希釈剤に可溶であることが好ましい。
【0035】
両親媒性ブロックコポリマーに加えて、本発明のヒドロゲルは、一種類以上のシリコーン含有成分と、任意に一種類以上の親水性成分をさらに含む。本発明のポリマーを製造するために用いられるこれらのシリコーン含有成分および親水性成分は、先行技術においてシリコーンヒドロゲルを製造するために用いられる既知成分のいずれであってもよい。これらのシリコーン含有成分と親水性成分という用語は相互に排他的なものではなく、つまり、シリコーン含有成分が親水基を有する場合も、親水性成分がシリコーン基を有する場合もあるので、シリコーン含有成分がある程度親水性である場合もあり、親水性成分がシリコーンをいくらか含む場合もある。
【0036】
さらに、シリコーン含有成分および親水性成分は、重合の前に反応させてプレポリマーを形成し、その後、このプレポリマーを希釈剤の存在下で重合させ、本発明のポリマーを形成することができる。プレポリマーまたはマクロマーが用いられる場合、少なくとも一種類のシリコーン含有モノマーと少なくとも一種類の親水性モノマーとを希釈剤の存在下で重合させるのが好ましい(該シリコーン含有モノマーと親水性モノマーが異なる場合)。「シリコーン含有成分」および「親水性成分」は、モノマー、マクロモノマーおよびプレポリマーを含む。
【0037】
シリコーン含有成分は、モノマー、マクロマーまたはプレポリマー中に少なくとも一個の[−Si−O−Si]基を含む成分である。好ましくは、Siおよび結合したOがシリコーン含有成分中に、シリコーン含有成分の総分子量の20重量%を超える、より好ましくは、30重量%を超える量で存在する。有用なシリコーン含有成分は好ましくは、アクリル酸官能基、メタクリル酸官能基、アクリルアミド官能基、メタクリルアミド官能基、N−ビニルラクタム官能基、N−ビニルアミド官能基、およびスチリル官能基などの重合可能な官能基を含む。本発明において有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号;同第4,136,250号;同第4,153,641号;同第4,740,533号;同第5,034,461号、および同第5,070,215号、ならびに欧州特許第080539号に見られる。本明細書に引用された特許は全て、参照して本明細書にそのまま組み入れられる。これらの参照文献はオレフィン系シリコーン含有成分の多くの例を開示している。
【0038】
好適なシリコーン含有モノマーのさらなる例として、下式:
【化3】

[式中、
ZはHまたは低級アルキル、好ましくは、Hまたはメチルを表し;
XはOまたはNR4を表し;
各R4は独立に水素またはメチルを表し、
1〜R3は各々独立に低級アルキル基またはフェニル基を表し、
jは1または3〜10である]
で表されるポリシロキサニルアルキルアクリル酸(メタクリル酸)モノマー(polysiloxanylalkyl(meth)acrylic monomers)がある。
【0039】
これらのポリシロキサニルアルキルアクリル酸(メタクリル酸)モノマーの例としては、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、およびメチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチルシランが挙げられる。メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランが最も好ましい。
【0040】
一つの好ましいシリコーン含有成分種が、式V:
【化4】

[式中、
Aはそれぞれ独立に、アクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルもしくはアミド、またはアルキル基もしくはアリール基などの活性化不飽和基を表し(ただし、少なくとも一個のAはラジカル重合を受け得る活性化不飽和基を含む);
5、R6、R7、およびR8は各々独立に、炭素原子間にエーテル結合を有し得る1〜18個の炭素原子を有する、一価炭化水素基またはハロゲン置換一価炭化水素基からなる群から選択され;
9は、1〜22個の炭素原子を有する二価炭化水素基を表し、
mは0または1以上、好ましくは5〜400、より好ましくは、10〜300の整数である]
で表されるポリ(オルガノシロキサン)プレポリマーである。一つの具体的な例が、α,ω−ビスメタクリルオキシプロピルポリ−ジメチルシロキサンである。もう一つの好ましい例が、mPDMS(モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン)である。
【0041】
もう一つの有用なシリコーン含有成分種として、下式:
【化5】

[式中、
YはO、SまたはNHを表し;
Siはシリコーン含有有機基を表し;
Rは水素または低級アルキル、好ましくは、Hまたはメチルを表し;
dは1、2、3または4であり;
qは0または1である]
のシリコーン含有ビニルカーボネートモノマーまたはビニルカルバメートモノマーがある。好適なシリコーン含有有機基RSiとしては次のものがある。
【化6】

[式中、
pは1〜6であるか、または、
1〜6個の炭素原子を有するアルキル基またはフルオロアルキル基を表し;
eは1〜200であり;
qは1、2、3または4であり;
sは0、1、2、3、4または5である。]
【0042】
シリコーン含有ビニルカーボネートモノマーまたはビニルカルバメートモノマーとしては具体的には、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−イシロキサン3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシシラン];3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)ウィリル]プロピルビニルカルバメート;トリメチルシリルエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、および
【化7】

が挙げられる。
【0043】
もう一つのシリコーン含有成分種としては、下式:
式VII〜IX
****G)α ***1
E(****A)α ****1;または
E(****G)α ****1
[式中、
Dは、6〜30個の炭素原子を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカルまたはアルキルアリールジラジカルを表し;
Gは、1〜40個の炭素原子を有し、主鎖にエーテル結合、チオ結合またはアミン結合を含み得る、アルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカルまたはアルキルアリールジラジカルを表し;
*はウレタン結合またはウレイド結合を表し;
aは少なくとも1であり;
Aは式:
【化8】

{式中、
11は独立に、炭素原子間にエーテル結合を含み得る1〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはフルオロ置換アルキル基を表し;
rは少なくとも1であり;
pは400〜10,000の部分分子量を示し;
EおよびE1は各々独立に、式:
【化9】

(式中、
12は水素またはメチルであり;
13は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、または−CO−Y−R15基であり、ここで、Yは−O−、Y−S−または−NH−であり;
14は1〜12個の炭素原子を有する二価基であり;
Xは−CO−または−OCO−を表し;
Zは−O−または−NH−を表し;
Arは6〜30個の炭素原子を有する芳香族基を表し;
aは0〜6であり;
bは0または1であり;
eは0または1であり;
cは0または1である)
で表される重合可能な不飽和有機基を表す}
の二価重合基を表す]
の化合物が挙げられる。
【0044】
好ましいシリコーン含有成分は下式:
【化10】

で示され、式中、
16は、イソホロンジイソシアネートのジラジカルなど、イソシアネート基の除去後のジイソシアネートのジラジカルである。もう一つの好ましいシリコーン含有マクロマーとして、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート、およびイソシアナトエチルメタクリレートの反応によって形成される式X(式中、x+yは10〜30の範囲の数である)の化合物がある。
【化11】

【0045】
本発明において用いるのに好適な他のシリコーン含有成分としては、マクロマー含有ポリシロキサン基、ポリアルキレンエーテル基、ジイソシアネート基、ポリフッ化炭化水素基、ポリフッ化エーテル基、および多糖基など、国際公開第96/31792号に開示されているものが挙げられる。米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号、および同第5,539,016号には、末端ジフルオロ置換された炭素原子に結合した水素原子を有する極性フッ化グラフトまたは側基を有するポリシロキサンが記載されている。このようなポリシロキサンもまた、本発明においてシリコーンモノマーとして使用することができる。
【0046】
これらのヒドロゲルは、残りの反応性成分と組み合わせた際に、得られるレンズに少なくとも約20%、好ましくは、少なくとも約25%の水分含量を与え得る親水性成分などの親水性成分をさらに含んでもよい。存在する場合、好適な親水性成分は、約60重量%まで、好ましくは、約10〜約60重量%の間、より好ましくは、約15〜約50重量%の間、いっそうより好ましくは、約20〜約40重量%の間(全て、全反応性成分の重量に対する)の量で存在し得る。本発明のポリマーを製造するために用い得る親水性モノマーは、少なくとも一個の重合可能な二重結合と少なくとも一個の親水性官能基を有する。重合可能な二重結合を有する官能基の例としては、アクリル二重結合、メタクリル二重結合、アクリルアミド二重結合、メタクリルアミド二重結合、フマル二重結合、マレイン二重結合、スチリル二重結合、イソプロペニルフェニル二重結合、O−ビニルカーボネート二重結合、O−ビニルカルバミン酸二重結合、アリル二重結合、O−ビニルアセチル二重結合、N−ビニルラクタム二重結合、およびN−ビニルアミド二重結合が挙げられる。このような親水性モノマーはそれ自体架橋剤として使用され得る。「アクリル型」または「アクリル含有」モノマーとは、
アクリル基(CR’Η=CRCOX)
を含有するモノマーであり、ここで、
RはHまたはCH3であり、
R’はH、アルキルまたはカルボニルであり、
XはOまたはNであり、
これらのモノマーは、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、およびそれらの混合物など、容易に重合することも知られている。
【0047】
本発明のヒドロゲルに配合され得る親水性ビニル含有モノマーとしては、N−ビニルラクタム(例えば、N−ビニルピロリドン(NVP))、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N−カルボキシ−β−アラニンN−ビニルエステルなどのモノマーが挙げられ、NVPが好ましい。
【0048】
本発明において使用され得る他の親水性モノマーとしては、重合可能な二重結合を含む官能基で置換された一個以上の末端ヒドロキシル基を有するポリオキシエチレンポリオールがある。例としては、重合可能な二重結合を含む官能基で置換された一個以上の末端ヒドロキシル基を有するポリエチレングリコールが挙げられる。また、例として、カルバメート基またはエステル基などの架橋部分を介してポリエチレンポリオールと結合された一個以上の重合可能な末端オレフィン基を有するポリエチレンポリオールを生成するために、イソシアナトエチルメタクリレート(「IEM」)、無水メタクリル酸、メタクリロイルクロリド、ビニルベンゾイルクロリドなどのような末端キャップ1モル当量以上と反応させたポリエチレングリコールが挙げられる。
【0049】
なおさらなる例としては、米国特許第5,070,215号に開示されている親水性ビニルカーボネートモノマーまたはビニルカルバメートモノマー、米国特許第4,910,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマー、および2−エチル−2−オキサゾリンなどの親水性オキサゾリンモノマーが挙げられる。他の好適な親水性モノマーも当業者には明らかである。
【0050】
本発明のポリマーに配合され得るより好ましい親水性モノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン(NVP)、およびポリエチレングリコールモノメタクリレートなどの親水性モノマーが挙げられる。
【0051】
最も好ましい親水性モノマーとしては、DMA、NVP、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
本発明の両親媒性ブロックコポリマーがシリコーンヒドロゲル配合物に配合される場合、本発明の両親媒性ブロックコポリマーの相溶化を助けるための少なくとも一種類のヒドロキシル含有成分とシリコーン含有成分とを含むようにするのが望ましいことがある。本発明のポリマーを製造するために使用され得るヒドロキシル含有成分は、少なくとも一個の重合可能な二重結合と少なくとも一個の親水性官能基とを有する。重合可能な二重結合の例としては、アクリル二重結合、メタクリル二重結合、アクリルアミド二重結合、メタクリルアミド二重結合、フマル二重結合、マレイン二重結合、スチリル二重結合、イソプロペニルフェニル二重結合、O−ビニルカーボネート二重結合、O−ビニルカルバメート二重結合、アリル二重結合、O−ビニルアセチル二重結合、N−ビニルラクタム二重結合、およびN−ビニルアミド二重結合が挙げられる。ヒドロキシル含有成分はまた、架橋剤としても働き得る。さらに、ヒドロキシル含有成分はヒドロキシル基も含む。このヒドロキシル基は第一級、第二級または第三級アルコール基であってよく、アルキル基またはアリール基上に位置してよい。使用可能なヒドロキシル含有モノマーの例としては、限定されるものではないが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、2−ヒドロキシエチルビニルカーボネート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート、ヒドロキシオクチルメタクリレート、ならびに米国特許第5,006,622号、同第5,070,215号、同第5,256,751号、および同第5,311,223号に開示されているような他のヒドロキシル官能性モノマーが挙げられる。好ましいヒドロキシル含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、およびシリコーン官能基またはシロキサン官能基を含むヒドロキシル官能性モノマー、例えば、国際公開第03/022321号に開示されているヒドロキシル官能基化シリコーン含有モノマー、および国際公開第03/022322号に開示されているような、少なくとも一個の活性水素と少なくとも一個のシロキサン基とを含む相溶化成分(この開示は参照により本明細書に組み入れられる)が挙げられる。具体例としては、2−プロペン酸、2−メチル−2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル((3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシランとも呼ぶことができる)、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、N−2−メタクリルオキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリルカルバメート、およびN,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン、およびそれらの混合物が挙げられる。2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン)、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、およびそれらの混合物が好ましい。
【0053】
相溶化成分が使用される場合、ポリマー配合物中の相溶化成分の有効量は約5%(反応性成分の総重量に対する重量%)〜約90%、好ましくは、約10%〜約80%、最も好ましくは、約20%〜約50%を含む。
【0054】
あるいは、両親媒性ブロックコポリマーは親水性ヒドロゲル中に含まれてもよい。一般に、これらのヒドロゲルは前記に挙げた親水性モノマーから製造される。市販のヒドロゲル配合物としては、限定されるものではないが、エタフィルコン(etafilcon)、ポリマコン(polymacon)、ビフィルコン(vifilcon)、ゲンフィルコン(genfilcon)A、およびレネフィルコン(lenefilcon)Aが挙げられる。
【0055】
一般に、反応性成分は希釈剤に混合され、反応混合物が形成される。好適な希釈剤は当技術分野で公知である。シリコーンヒドロゲル反応混合物のために好適な希釈剤種としては、エーテル類、エステル類、アルカン類、ハロゲン化アルキル類、シラン類、アミド類、アルコール類、およびそれらの組合せが挙げられる。アミド類およびアルコール類は好ましい希釈剤であり、2〜20個の炭素有するアルコール類、また、第一級アミンと8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸から誘導された10〜20個の炭素原子を有するアミドが好ましい。いくつかの実施態様では、第一級アルコールおよび第三級アルコールが好ましい。好ましい種としては、5〜20個の炭素を有するアルコール、および10〜20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。
【0056】
使用可能な具体的な希釈剤としては、1−エトキシ−2−プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−オクタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、3−メチル−3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、2−エチル−1−ブタノール、SiGMAアセテート、1−tert−ブトキシ−2−プロパノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、tert−ブトキシエタノール、2−オクチル−1−ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、およびそれらの混合物等が挙げられる。
【0057】
好ましい希釈剤としては、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−ドデカノール、1−デカノール、1−オクタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−ペンタノール、t−アミルアルコール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、エタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−オクチル−1−ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、それらの混合物などが挙げられる。
【0058】
より好ましい希釈剤としては、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−ドデカノール、1−デカノール、1−オクタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、1−ドデカノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、tert−アミルアルコール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−オクチル−1−ドデカノール、およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0059】
非シリコーン含有反応混合物のために好適な希釈剤としては、グリセリン、エチレングリコール、エタノール、メタノール、酢酸エチル、塩化メチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、低分子量PVP(限定されるものではないが、二価アルコールのホウ酸エステルをはじめ、米国特許第4,018,853号、同第4,680,336号、および同第5,039,459号に開示されているものなど)、およびそれらの組合せなどが挙げられる。
【0060】
希釈剤の混合物を用いてもよい。希釈剤は反応混合物全成分の総重量の約50%までの量で使用され得る。より好ましくは、希釈剤は反応混合物全成分の総重量の約45%未満の量、より好ましくは、約15〜約40%の間の量で使用される。
【0061】
もう一つの実施態様では、希釈剤は反応性基を持たない低分子量親水性ポリマーを含む。希釈剤はまた、離型剤などの付加的成分を含んでもよい。好適な離型剤は水溶性であって、レンズの離型(deblocking)を助ける。
【0062】
エチレングリコールジメタクリレート(「EGDMA」)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(「TMPTMA」)、グリセロールトリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート(なお、このポリエチレングリコールは好ましくは、例えば約5000までの分子量を有する)、ならびに他のポリアクリレートエステルおよびポリメタクリレートエステル(例えば、二つ以上の末端メタクリレート部分を含む前記の末端キャップポリオキシエチレンポリオール)などの一種類以上の架橋剤を反応混合物に加えてもよい。架橋剤は通常の量、例えば、反応混合物中の反応性成分100グラムについて約0.000415〜約0.0156モルの量で使用される。(この反応性成分は、反応混合物中でポリマー構造の一部とならない希釈剤および任意の付加的処理助剤以外のもの全てである。)あるいは、親水性モノマーおよび/またはシリコーン含有モノマーが架橋剤として働く場合には、反応混合物への架橋剤の添加は任意である。架橋剤として働き得るので、存在する場合に反応混合物へさらなる架橋剤を添加する必要のない親水性モノマーの例としては、二個以上の末端メタクリレート部分を含む前記のポリオキシエチレンポリオールが挙げられる。
【0063】
架橋剤として働き得るので、存在する場合に反応混合物へさらなる架橋モノマーを添加する必要のないシリコーン含有モノマーの例としては、α、ω−ビスメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0064】
反応混合物は、限定されるものではないが、UV吸収剤、医薬、抗菌化合物、反応性着色剤、色素、共重合可能な染色剤および非重合性染色剤、離型剤、ならびにそれらの組合せなどの付加的成分を含んでもよい。
【0065】
重合触媒または開始剤は反応混合物に含まれるのが好ましい。重合開始剤としては、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル(isopropyl percarbonate)、アゾビスイソブチロニトリルなどのような、適度な高温でフリーラジカルを生じる化合物、芳香族α−ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、および第三級アミンとジケトンなどの光開始剤系、およびそれらの混合物などが挙げられる。光開始剤の例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド、および2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエーテル、ならびにカンファーキノンと4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチルの組合せが挙げられる。市販の可視光開始剤系としては、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(全て、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)製)、およびLucirin TPO開始剤(BASFから入手可能)が挙げられる。市販のUV光開始剤としては、Darocur 1173およびDarocur 2959(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社)が挙げられる。使用可能なこれら、および他の光開始剤は、参照により本明細書に組み入れられる、ジェイ・ブイ・クリヴェロおよびケー・ダイエットライカー(J.V. Crivello & K. Dietliker)による「第3巻 フリーラジカルカチオン光重合およびアニオン光重合のための光開始剤(Volume III, Photoinitiators for Free Radical Cationic & Aninonic Photopolymerization)」第2版、ジー・ブラッドリー(G. Bradley)編、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(ニューヨーク)1998年、に開示されている。開始剤は、反応混合物中、反応混合物の光重合を開始させるのに有効な量、例えば、反応性モノマー100重量部につき約0.1〜約2重量部の量で使用される。反応混合物の重合は、使用する重合開始剤に応じて熱または可視光もしくはUV光または他の手段を適宜選択して開始させることができる。あるいは、開始は、光開始剤を用いずに、例えば、電子ビームを用いて行うこともできる。しかし、光開始剤が使用される場合、好ましい開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))などのビスアシルホスフィンオキシド、または1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組合せがあり、好ましい重合開始法は可視光である。ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))が最も好ましい。
【0066】
本発明はさらに、各々が少なくとも一種類の両親媒性ブロックコポリマーを含み、下記に示す配合(全ての数値の前には「約」という語がつく)から形成される、シリコーンヒドロゲル、生体医用器具、眼科用器具、およびコンタクトレンズをさらに含み、それらからなり、また、それらから本質的になる。
【表1】

【0067】
本発明の反応混合物は、振盪または攪拌などの当業者に公知のいずれかの方法によって形成することができ、既知の方法によってポリマー製品または器具を形成するために使用することができる。
【0068】
例えば、本発明の生体医用器具は、反応性成分および希釈剤と重合開始剤とを混合し、適当な条件によって硬化させ、次に旋盤、切断などによって適当な形状に形成することができる生成物とすることにより、製造することができる。あるいは、反応混合物を金型に入れた後、硬化させて適当な物品とすることもできる。
【0069】
回転鋳造および静鋳造を含む様々な方法が、コンタクトレンズの製造において前記反応混合物を処理加工するために知られている。回転鋳造法は米国特許第3,408,429号および同第3,660,545号に開示されており、静鋳造法は米国特許第4,113,224号および同第4,197,266号に開示されている。本発明のポリマーを含むコンタクトレンズを製造するための好ましい方法はシリコーンヒドロゲルの注形によるものであり、経済的であり、かつ、含水レンズの最終形状において厳密な制御が可能である。この方法では、反応混合物は最終的な目的のシリコーンヒドロゲル、すなわち、水膨潤ポリマーの形状を有する金型に入れられ、その反応混合物はモノマーが重合する条件にさらされ、それにより、最終的な目的生成物の形状のポリマー/希釈剤混合物が製造される。次に、このポリマー/希釈剤混合物は希釈剤を除去するために溶媒で処理され、最終的には希釈剤は水に置き換わり、最初に注形されたポリマー/希釈剤物品のサイズおよび形状とほとんど同様の最終サイズおよび形状を有するシリコーンヒドロゲルが製造される。この方法はコンタクトレンズの形成に使用することができ、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,495,313号、同第4,680,336号、同第4,889,664号、および同第5,039,459号にさらに記載されている。
【0070】
本発明の生体医用器具、特に眼科用レンズは、これらの器具を特に有用なものとするバランスのとれた特性を備えている。このような特性としては、透明性、含水率、酸素透過性、および接触角が挙げられる。
【0071】
もう一つの実施態様では、両親媒性ブロックコポリマーが離型助剤として使用されてもよい。コンタクトレンズなどの生体医用器具の製造において、レンズが硬化された後はレンズが金型から取り出されるのが好ましい。シリコーン成分がレンズ配合物中に使用される場合、仕上がったレンズは「粘着性」である場合があってレンズ型からの離型が困難である場合がある。レンズは有機溶媒などの溶媒を用いて離型する(金型片側部分またはレンズを支持する手段から取り出す)ことができる。しかしながら、本発明の一実施態様では、少なくとも一種類の両親媒性ブロックコポリマーが反応混合物に添加され、反応混合物が所望の物品に形成され、硬化され、少量の両親媒性ブロックコポリマー、を含む、それから本質的になる、また、それからなる、水溶液、または水中で離型される。この実施態様において使用される両親媒性コポリマーの好適な分子量は、約40,000ダルトン(約6.64×10-20g)未満、好ましくは、約20,000ダルトン(約3.32×10-20g)未満のものを含む。この実施態様では、両親媒性ブロックコポリマーは、反応性成分の総重量に対して約20重量%までの量、より好ましくは、約5〜約20重量%の間の量で使用され得る。
【0072】
本発明を説明するため、以下の実施例を示す。これらの実施例は本発明を限定するものではない。これらの実施例は単に本発明を実施する方法の提案を意味するに過ぎない。コンタクトレンズに関する知識ならびに他の専門知識をもってすれば、本発明を実施する他の方法を見出せるであろう。しかしながら、それらの方法も本発明の範囲内にあるものとする。
【0073】
〔実施例〕
以下の実施例においては次の省略形が用いられる。
SiGMA 2−プロペン酸、2−メチル−2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル
DMA N,N−ジメチルアクリルアミド
HEMA 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
mPDMS 800〜1000MW(Mn)モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン
Norbloc 2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリルイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール
CGI 1850 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドの1:1(重量)ブレンド
CGI 819 2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド
HMWHC 高分子量親水性コポリマー、約97.5/2.5 ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)−コ−(9−ビニルカルバゾール)を含むUV蛍光コポリマー
LMWHC 低分子量親水性コポリマー、約99/1 ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)−コ−(9−ビニルカルバゾール)を含むUV蛍光コポリマー
ABC 両親媒性ブロックコポリマー、ポリシロキサン系疎水性セグメントとポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)親水性セグメントを含む
IPA イソプロピルアルコール
D3O 3,7−ジメチル−3−オクタノール
TEGDMA テトラ(エチレングリコール)ジメタクリレート
EGDMA エチレングリコールジメタクリレート
MMA メチルメタクリレート
THF テトラヒドロフラン
ジオキサン 1,4−ジオキサン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMAc N,N−ジメチルアセトアミド
PVP low ポリ(N−ビニルピロリドン)、〜2500MW
【0074】
実施例1 9−ビニルカルバゾール(0.79g、4.1mmol)(ウィスコンシン州ミルウォーキー所在のアルドリッチ社(Aldrich))、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物(0.16g、0.46mmol)(ミズーリ州セントルイス所在のワコウ・ケミカルズUSA(Wako Chemicals USA))、および新たに蒸留したN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)(15.1g、136mmol)を、磁気攪拌装置と窒素流入口を備えた250mL容の丸底フラスコに加えた。メチルアルコール(19.2g)および蒸留水(23.4g)を反応混合物に加えた。この混合物を凍結−吸気−解凍サイクル(freeze-pump-thaw cycle)3回で脱気した後、周囲温度まで温めた。反応混合物を60℃で16時間加熱した後、溶媒としてアセトンを用いて3回沈殿させ、Mn、Mw、および多分散性の値がそれぞれ166,000、420,000、および2.6である白色ポリマーを得た。分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、ポリ(2−ビニルピリジン)標品と移動相としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いて測定した。1H NMR (D2O): δ= 7.0-8.2 (bm, 8H, カルバゾール芳香族H)、3.4-3.8 (bm, 1H, -CH2CH-), 2.8-3.3 (bm, 2H, -C[O]NCH2-), 2.0-2.4 (bm, 2H, -C[O]CH2-), 1.8-2.0 (bm, 2H, -CH2CH2CH2-), 1.4-1.7 (bm, 2H, -CH2CH-)。
【0075】
実施例2
9−ビニルカルバゾール(ウィスコンシン州ミルウォーキー所在のアルドリッチ社)(1.9g、9.6mmol)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物(ミズーリ州セントルイス所在のワコウ・ケミカルズUSA)(0.56g、1.4mmol)、および新たに蒸留したN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)(52.8g、475mmol)を、磁気攪拌装置と窒素流入口を備えた1L容の丸底フラスコに加えた。メチルアルコール(231.4g)を反応混合物に加えた。この混合物を凍結−吸気−解凍サイクル3回で脱気した後、周囲温度まで温めた。反応混合物を60℃で4時間加熱した後、ジイソプロピルエーテル中で沈殿させること(3回)により単離し、ポリ(2−ビニルピリジン)標品と移動相としてヘキサフルオロイソプロパノールを用い、Mn、Mw、および多分散性の値がそれぞれ30,000、110,000、および3.7である白色ポリマーを得た。
【0076】
実施例3
N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)(ウィスコンシン州ミルウォーキー所在のアルドリッチ社)(38.6g、347mmol)、9−ビニルカルバゾール(ウィスコンシン州ミルウォーキー所在のアルドリッチ社)(0.68g、3.5mmol)、VPS−0501 PDMS(5,000MW)マクロ開始剤(ミズーリ州セントルイス所在のワコウ・ケミカルズUSA)(1.9g、0.38mmol)、1,4−ジオキサン(70.3g)、および1−オクタノール(30.8g)を、磁気攪拌装置と窒素流入口を備えた500mL容の丸底フラスコに加えた。反応混合物に凍結−吸気−解凍サイクル3回を施した後、70℃で21時間加熱した。この反応中に透明な反応混合物に若干の曇りが生じた。ジイソプロピルエーテル中で沈殿させること(3回)によってポリマーを単離し、ポリ(2−ビニルピリジン)標品と移動相としてヘキサフルオロイソプロパノールを用い、Mn、Mw、および多分散性の値がそれぞれ56,000、186,000、および3.3である白色固体33.4g(85%)を得た。
【0077】
実施例4
NVP(73.4g、661mmol)、9−ビニルカルバゾール(1.3g、6.68mmol)、VPS−1001 PDMS(10,000MW)マクロ開始剤(ミズーリ州セントルイス所在のワコウ・ケミカルズUSA)(1.9g、0.19mmol)、1,4−ジオキサン(94g)、および2−プロパノール(105g)を、磁気攪拌装置と窒素流入口を備えた500mL容の丸底フラスコに加えた。反応混合物に凍結−吸気−解凍サイクル3回を施した後、60℃で48時間加熱した。この反応中に透明な反応混合物は若干の曇りを生じた。t−ブチルメチルエーテル中で沈殿させること(3回)によってポリマーを単離し、ポリ(2−ビニルピリジン)標品と移動相としてヘキサフルオロイソプロパノールを用い、Mn、Mw、および多分散性の値がそれぞれ48,000、179,000、および3.7である白色固体として、4.5重量%の10,000MWポリシロキサンブロックを含むカルバゾール標識PVP−ポリシロキサン両親媒性ブロックコポリマー62.3g(83%)を得た。
【0078】
実施例5: 9重量%10,000MWポリシロキサンブロックを含むカルバゾール標識PVP−ポリシロキサン両親媒性ブロックコポリマーの合成
NVP(44.8g、403mmol)、9−ビニルカルバゾール(0.79g、4.1 mmol)、VPS−1001 PDMS(10,000MW)マクロ開始剤(4.4g、0.44mmol)、1−オクタノール(116g)、および1,4−ジオキサン(40.8g)を、磁気攪拌装置と窒素流入口を備えた500mL容の丸底フラスコに加えた。反応混合物に凍結−吸気−解凍サイクル3回を施した後、60℃で20時間加熱した。この反応中に透明な反応混合物は若干の曇りを生じた。ジイソプロピルエーテル中で沈殿させること(3回)によってポリマーを単離し、ポリ(2−ビニルピリジン)標品と移動相としてヘキサフルオロイソプロパノールを用い、Mn、Mw、および多分散性の値がそれぞれ26,000、73,000、および2.8である白色固体35.6g(78%)を得た。
【0079】
実施例6: 9重量%の5,000MWポリシロキサンブロックを含むカルバゾール標識PVP−ポリシロキサン両親媒性ブロックコポリマーの合成
NVP(102.7g、924.1mmol)、9−ビニルカルバゾール(1.76g、9.11mmol)、VPS−0501 PDMS(5000MW)マクロ開始剤(10.6g、2.12mmol)、t−アミルアルコール(135.2g)、および2−プロパノール(149g)を、磁気攪拌装置と窒素流入口を備えた1L容の丸底フラスコに加えた。反応混合物に凍結−吸気−解凍サイクル3回を施した後、60℃で21時間加熱した。この反応中に透明な反応混合物は若干の曇りを生じた。50/50 t−ブチルメチルエーテル/ヘキサン中で沈殿させること(3回)によってポリマーを単離し、ポリ(2−ビニルピリジン)標品と移動相としてヘキサフルオロイソプロパノールを用い、Mn、Mw、および多分散性の値がそれぞれ22,500、81,000、および3.6である白色固体82.5g(79%)を得た。
【0080】
実施例7
表2に一覧化された反応成分と希釈剤(t−アミルアルコール)を攪拌、振盪、回転させながら、23℃で少なくとも約3時間、全ての成分が溶解するまで混合した。表2の反応性成分は全反応性成分の重量%で示され、希釈剤および低分子量PVP(PVP low)は反応混合物の重量%で示されている。
【0081】
これらの反応性成分をおよそ15分間窒素でパージした。およそ40〜50μLの反応配合物をピペットで清浄なポリプロピレン製凹型金型片側部分に移し、対応するポリプロピレン製凸型金型片側部分で蓋をした。これらの金型片側部分に加圧し、混合物を55℃で約12分間、可視光(0.8〜5mW/cm2、Philips TL 20W/03T蛍光灯を使用、International Light線量計/光度計で測定)の存在下で硬化させた。金型を室温まで放冷した。上の金型片側部分を取り外し、ピンセットを用いてレンズを静かに取り出した。レンズの重量を測定し、平均重量を記録した。次に、レンズを30分間、60%の2−プロパノール水溶液100mL中で洗浄し、未反応のモノマーと希釈剤を除去し、両親媒性ブロックコポリマーの放出を測定するために、15〜300時間、ジャーローラーで周囲温度にて回転させることにより、100%の2−プロパノール中に抽出した。
【0082】
両親媒性ブロックコポリマー(ABC)を少量(〜1モル%)の蛍光ビニルモノマーの存在下で合成した。光硬化条件(例えば、光度および熱など)が蛍光団の蛍光放出に影響を及ぼすかどうかを調べるために、まず、蛍光プローブと蛍光標識両親媒性ブロックコポリマーを試験した。次に、得られた蛍光標識両親媒性ブロックコポリマーを反応性成分および希釈剤と混合してコンタクトレンズを作製した。蛍光カルバゾール基で標識された両親媒性ブロックコポリマーの放出を前記抽出媒から、島津RF5301−PC分光蛍光計(励起λ=343nm、放射λ=348nm、スリット幅=3nm)を用いて測定した。両親媒性ブロックコポリマー標品の標準較正曲線を用いて、レンズからの両親媒性ブロックコポリマー放出量との相関を得た。対照として、実施例1の高分子量親水性コポリマー(HMWHC)と実施例2の低分子量親水性コポリマー(LMWHC)を記載のように蛍光標識し、対照として用いた。レンズ組成、内部湿潤剤の分子量、および50〜100時間後に抽出された内部湿潤剤の量を表3に示す。
【表2】

【表3】

【0083】
実施例7A〜7Fの結果は、反応混合物成分とそれらの量が実質的に可変であることを示す。表2から全てのレンズは低い曇りを示した。よって、他の成分と組み合わせたSiGMAは、両親媒性ブロックコポリマーの相溶化に有効である。
【0084】
実施例3〜6で合成された両親媒性ブロックコポリマー(ABC)の分子量は、実施例2の低分子量ポリマー(LMWHC)よりも大きく、実施例1の高分子量対照(HMWHC)よりも小さかった。表3のデータは、コンタクトレンズに配合する場合の両親媒性ブロックコポリマーには、約100,000を超える分子量が好ましいことを示す。
【0085】
実施例8
NVP(50.2g、452 mmol)、VPS−1001 PDMS(10,000MW)マクロ開始剤(1.3g、0.13mmol)、1,4−ジオキサン(64g)、および2−プロパノール(70g)を、磁気攪拌装置と窒素流入口を備えた500mL容の丸底フラスコに加えた。反応混合物に凍結−吸気−解凍サイクル3回を施した後、60℃で8時間加熱した。この反応中に透明な反応混合物は若干の曇りを生じた。ジイソプロピルエーテル中で沈殿させること(3回)によってポリマーを単離し、ポリ(2−ビニルピリジン)標品と移動相としてヘキサフルオロイソプロパノールを用い、Mn、Mw、および多分散性の値がそれぞれ50,000、191,000、および3.8である白色固体として、44.7g(89%)のPVP−ポリシロキサン両親媒性ブロックコポリマー(4.5重量%の10,000MWポリシロキサンブロック)を得た。
【0086】
実施例9
NVP(40.0g、360mmol)、VPS−0501 PDMS(5,000MW)マクロ開始剤(1.9g、0.38mmol)、1,4−ジオキサン(100g)、および1−オクタノール(44g)を、磁気攪拌装置と窒素流入口を備えた500mL容の丸底フラスコに加えた。反応混合物に凍結−吸気−解凍サイクル3回施した後、60℃で9時間加熱した。この反応中に透明な反応混合物は若干の曇りを生じた。ジイソプロピルエーテル中で沈殿させること(3回)によってポリマーを単離し、ポリ(2−ビニルピリジン)標品と移動相としてヘキサフルオロイソプロパノールを用い、Mn、Mw、および多分散性の値がそれぞれ47,000、185,000、および3.9である白色固体として、34g(85%)のPVP−ポリシロキサン両親媒性ブロックコポリマー(4.5重量%の5,000MWポリシロキサンブロック)を得た。
【0087】
実施例10:
実施例9から得られた両親媒性ブロックコポリマー(蛍光団を含まない)を含有するレンズを実施例7に記載のように製造した(実験C)。硬化強度、温度、および時間をそれぞれ4.0mW/cm2、55℃、および12分に維持した。曇りの少ないレンズが認められた。
【0088】
〔実施の態様〕
本発明の実施態様は以下の通りである。
(1)シリコーンヒドロゲルにおいて、
少なくとも一種類のシリコーン含有成分、少なくとも一種類の両親媒性ブロックコポリマー、および少なくとも一種類の親水性成分、を含む反応混合物の反応生成物、
を含む、ヒドロゲル。
(2)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
約1%〜約15%の両親媒性ブロックコポリマーを含む、ヒドロゲル。
(3)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
約3%〜約15%の両親媒性ブロックコポリマーを含む、ヒドロゲル。
(4)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
約5%〜約12%の両親媒性ブロックコポリマーを含む、ヒドロゲル。
(5)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性ブロックコポリマーの重量平均分子量は、少なくとも約100,000である、ヒドロゲル。
【0089】
(6)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性ブロックコポリマーの重量平均分子量は、約100,000〜約2,000,000の間である、ヒドロゲル。
(7)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性ブロックコポリマーの重量平均分子量は、約140,000〜約1,000,000の間である、ヒドロゲル。
(8)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性コポリマーは、約1〜約20重量%の疎水性セグメント、および約80〜約99重量%の親水性セグメントを含む、ヒドロゲル。
(9)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性コポリマーは、約2〜約15重量%の疎水性セグメント、および約85〜約98重量%の親水性セグメントを含む、ヒドロゲル。
(10)実施態様8に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性セグメントは、ポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、および官能基化されたポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、イオン性ポリマー、親水性ポリアクリレート、親水性ポリメタクリレート、ならびにそれらの組合せおよびコポリマーからなる群から選択される親水性ポリマーから誘導される、ヒドロゲル。
【0090】
(11)実施態様8に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性セグメントは、ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、およびポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリ−N−ビニル−N−メチルアセトアミド(poly-N-vinly-N-methylacetamide)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、それらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される親水性ポリマーから誘導される、ヒドロゲル。
(12)実施態様8に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性セグメントは、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N,N−メタクリルアミド、ポリ−N−ビニル−N−メチルアセトアミド、ならびにそれらの組合せおよびコポリマーからなる群から選択される親水性ポリマーから誘導される、ヒドロゲル。
(13)実施態様8に記載のヒドロゲルにおいて、
前記疎水性セグメントは、末端反応基を有する直鎖ポリジメチルシロキサンからなる群から選択される疎水性ポリマーから誘導される、ヒドロゲル。
(14)実施態様8に記載のヒドロゲルにおいて、
前記疎水性セグメントは、オクタメチルシクロテトラシロキサン;1,3−ビス−アミノプロピルテトラメチルジシロキサン;1,3−ビス−ヒドロキシプロピルテトラメチルジシロキサン;ジクロロジメチルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸);トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート;1,3−ビス−ビニルテトラメチルジシロキサン;3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン;ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート;およびメチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチルシラン;モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)ウィリル]プロピルビニルカルバメート;トリメチルシリルエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルメチルビニルカーボネート;および2−プロペン酸、2−メチル−2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル、ならびにそれらの組合せからなる群から選択されるモノマーから形成される疎水性ポリマーから誘導される、ヒドロゲル。
(15)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性ブロックコポリマーは、ポリ−N−ビニルピロリドンセグメント、およびポリ(ジメチルシロキサン)セグメントから誘導される、ヒドロゲル。
【0091】
(16)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記シリコーン含有成分は、全反応成分に対して約5%〜約75%の間の量で存在する、ヒドロゲル。
(17)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記シリコーン含有成分は、全反応成分に対して約10%〜約50%の間の量で存在する、ヒドロゲル。
(18)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類のシリコーン含有成分は、シリコーン含有モノマー、シリコーン含有マクロマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロゲル。
(19)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類のシリコーン含有成分は、ポリシロキシアルキルアクリル酸(メタクリル酸)モノマー、ポリ(オルガノシロキサン)プレポリマー、シリコーン含有ビニルカーボネートモノマー、シリコーン含有ビニルカルバメートモノマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロキシ。
【0092】
(20)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類のシリコーン含有成分は、α,ω−ビスメタクリルオキシプロピルポリ−ジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ヒドロゲル。
(21)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性成分は、アクリル酸含有モノマー、親水性ビニル含有モノマー、親水性ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマー、ポリオキシエチレンポリオール、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ヒドロゲル。
(22)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性成分は、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N−カルボキシ−β−アラニンN−ビニルエステル、反応性ポリエチレンポリオール、親水性ビニルカーボネート(ydrophilic vinyl carbonates)、ビニルカルバメートモノマー、親水性オキサゾロンモノマー、親水性オキサゾリンモノマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ヒドロゲル。
(23)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性成分は、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ヒドロゲル。
(24)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性成分は、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロゲル。
(25)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類の親水性成分は、約0〜約70重量%の量で存在する、ヒドロゲル。
【0093】
(26)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類の親水性成分は、約5〜約60重量%の量で存在する、ヒドロゲル。
(27)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類の親水性成分は、約10〜50重量%の量で存在する、ヒドロゲル。
(28)実施態様1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記反応混合物は任意に、少なくとも一種類の相溶化成分を約0〜約90重量%の間の量でさらに含む、ヒドロゲル。
(29)実施態様28に記載のヒドロゲルにおいて、
前記相溶化成分は、少なくとも一種類のヒドロキシル含有モノマーまたはマクロマーを含む、ヒドロゲル。
(30)実施態様28に記載のヒドロゲルにおいて、
前記相溶化成分は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、2−ヒドロキシエチルビニルカーボネート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート、ヒドロキシオクチルメタクリレート、シリコーンまたはシロキサン官能基を含むヒドロキシル官能性モノマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも一種類のヒドロキシル含有モノマーを含む、ヒドロゲル。
(31)実施態様28に記載のヒドロゲルにおいて、
前記相溶化成分は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−プロペン酸、2−メチル−2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル((3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン)とも呼ぶことができる)、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、N−2−メタクリルオキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリルカルバメート、およびN,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一種類のヒドロキシル含有モノマーを含む、ヒドロゲル。
(32)実施態様28に記載のヒドロゲルにおいて、
前記相溶化成分は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン)、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一種類のヒドロキシル含有モノマーを含む、ヒドロゲル。
(33)生体医用器具において、
実施態様1に記載のヒドロゲルを含む、
生体医用器具。
(34)眼科用器具において、
実施態様1に記載のヒドロゲルを含む、
眼科用器具。
(35)コンタクトレンズにおいて、
実施態様1に記載のヒドロゲルを含む、
コンタクトレンズ。
【0094】
(36)方法において、
(a)低分子量両親媒性ポリマー、ならびに少なくとも一種類のシリコーン含有成分、および少なくとも一種類の親水性成分を含む反応性成分を混合する工程と、
(b)工程(a)の生成物を金型内で硬化させて生体医用器具を形成する工程と、
(c)前記金型から前記眼科用器具を離型する工程と、
を含む、方法。
(37)実施態様36に記載の方法において、
前記生体医用器具は、眼科用器具を含む、方法。
(38)実施態様36に記載の方法において、
前記眼科用器具は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである、方法。
(39)実施態様36に記載の方法において、
前記低分子量両親媒性ポリマーの数平均分子量は、約40,000ダルトン未満(約6.64×10-20g)である、方法。
(40)実施態様36に記載の方法において、
前記低分子量両親媒性ポリマーは、前記反応性成分の総重量に対して約20重量%までの量で存在する、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンヒドロゲルにおいて、
少なくとも一種類のシリコーン含有成分、少なくとも一種類の両親媒性ブロックコポリマー、および少なくとも一種類の親水性成分、を含む反応混合物の反応生成物、
を含む、ヒドロゲル。
【請求項2】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
約1%〜約15%の両親媒性ブロックコポリマーを含む、ヒドロゲル。
【請求項3】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
約3%〜約15%の両親媒性ブロックコポリマーを含む、ヒドロゲル。
【請求項4】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
約5%〜約12%の両親媒性ブロックコポリマーを含む、ヒドロゲル。
【請求項5】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性ブロックコポリマーの重量平均分子量は、少なくとも約100,000である、ヒドロゲル。
【請求項6】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性ブロックコポリマーの重量平均分子量は、約100,000〜約2,000,000の間である、ヒドロゲル。
【請求項7】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性ブロックコポリマーの重量平均分子量は、約140,000〜約1,000,000の間である、ヒドロゲル。
【請求項8】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性コポリマーは、約1〜約20重量%の疎水性セグメント、および約80〜約99重量%の親水性セグメントを含む、ヒドロゲル。
【請求項9】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性コポリマーは、約2〜約15重量%の疎水性セグメント、および約85〜約98重量%の親水性セグメントを含む、ヒドロゲル。
【請求項10】
請求項8に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性セグメントは、ポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、および官能基化されたポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、イオン性ポリマー、親水性ポリアクリレート、親水性ポリメタクリレート、ならびにそれらの組合せおよびコポリマーからなる群から選択される親水性ポリマーから誘導される、ヒドロゲル。
【請求項11】
請求項8に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性セグメントは、ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、およびポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリ−N−ビニル−N−メチルアセトアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、それらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される親水性ポリマーから誘導される、ヒドロゲル。
【請求項12】
請求項8に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性セグメントは、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N,N−メタクリルアミド、ポリ−N−ビニル−N−メチルアセトアミド、ならびにそれらの組合せおよびコポリマーからなる群から選択される親水性ポリマーから誘導される、ヒドロゲル。
【請求項13】
請求項8に記載のヒドロゲルにおいて、
前記疎水性セグメントは、末端反応基を有する直鎖ポリジメチルシロキサンからなる群から選択される疎水性ポリマーから誘導される、ヒドロゲル。
【請求項14】
請求項8に記載のヒドロゲルにおいて、
前記疎水性セグメントは、オクタメチルシクロテトラシロキサン;1,3−ビス−アミノプロピルテトラメチルジシロキサン;1,3−ビス−ヒドロキシプロピルテトラメチルジシロキサン;ジクロロジメチルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸);トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート;1,3−ビス−ビニルテトラメチルジシロキサン;3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン;ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート;およびメチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチルシラン;モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)ウィリル]プロピルビニルカルバメート;トリメチルシリルエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルメチルビニルカーボネート;および2−プロペン酸、2−メチル−2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル、ならびにそれらの組合せからなる群から選択されるモノマーから形成される疎水性ポリマーから誘導される、ヒドロゲル。
【請求項15】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記両親媒性ブロックコポリマーは、ポリ−N−ビニルピロリドンセグメント、およびポリ(ジメチルシロキサン)セグメントから誘導される、ヒドロゲル。
【請求項16】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記シリコーン含有成分は、全反応成分に対して約5%〜約75%の間の量で存在する、ヒドロゲル。
【請求項17】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記シリコーン含有成分は、全反応成分に対して約10%〜約50%の間の量で存在する、ヒドロゲル。
【請求項18】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類のシリコーン含有成分は、シリコーン含有モノマー、シリコーン含有マクロマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロゲル。
【請求項19】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類のシリコーン含有成分は、ポリシロキシアルキルアクリル酸(メタクリル酸)モノマー、ポリ(オルガノシロキサン)プレポリマー、シリコーン含有ビニルカーボネートモノマー、シリコーン含有ビニルカルバメートモノマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロキシ。
【請求項20】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類のシリコーン含有成分は、α,ω−ビスメタクリルオキシプロピルポリ−ジメチルシロキサン、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ヒドロゲル。
【請求項21】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性成分は、アクリル酸含有モノマー、親水性ビニル含有モノマー、親水性ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマー、ポリオキシエチレンポリオール、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ヒドロゲル。
【請求項22】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性成分は、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N−カルボキシ−β−アラニンN−ビニルエステル、反応性ポリエチレンポリオール、親水性ビニルカーボネート、ビニルカルバメートモノマー、親水性オキサゾロンモノマー、親水性オキサゾリンモノマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ヒドロゲル。
【請求項23】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性成分は、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ヒドロゲル。
【請求項24】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記親水性成分は、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、ヒドロゲル。
【請求項25】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類の親水性成分は、約0〜約70重量%の量で存在する、ヒドロゲル。
【請求項26】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類の親水性成分は、約5〜約60重量%の量で存在する、ヒドロゲル。
【請求項27】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記少なくとも一種類の親水性成分は、約10〜50重量%の量で存在する、ヒドロゲル。
【請求項28】
請求項1に記載のヒドロゲルにおいて、
前記反応混合物は任意に、少なくとも一種類の相溶化成分を約0〜約90重量%の間の量でさらに含む、ヒドロゲル。
【請求項29】
請求項28に記載のヒドロゲルにおいて、
前記相溶化成分は、少なくとも一種類のヒドロキシル含有モノマーまたはマクロマーを含む、ヒドロゲル。
【請求項30】
請求項28に記載のヒドロゲルにおいて、
前記相溶化成分は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、2−ヒドロキシエチルビニルカーボネート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート、ヒドロキシオクチルメタクリレート、シリコーンまたはシロキサン官能基を含むヒドロキシル官能性モノマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも一種類のヒドロキシル含有モノマーを含む、ヒドロゲル。
【請求項31】
請求項28に記載のヒドロゲルにおいて、
前記相溶化成分は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−プロペン酸、2−メチル−2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル((3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン)とも呼ぶことができる)、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、N−2−メタクリルオキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリルカルバメート、およびN,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一種類のヒドロキシル含有モノマーを含む、ヒドロゲル。
【請求項32】
請求項28に記載のヒドロゲルにおいて、
前記相溶化成分は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン)、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一種類のヒドロキシル含有モノマーを含む、ヒドロゲル。
【請求項33】
生体医用器具において、
請求項1に記載のヒドロゲルを含む、
生体医用器具。
【請求項34】
眼科用器具において、
請求項1に記載のヒドロゲルを含む、
眼科用器具。
【請求項35】
コンタクトレンズにおいて、
請求項1に記載のヒドロゲルを含む、
コンタクトレンズ。
【請求項36】
方法において、
(a)低分子量両親媒性ポリマー、ならびに少なくとも一種類のシリコーン含有成分、および少なくとも一種類の親水性成分を含む反応性成分を混合する工程と、
(b)工程(a)の生成物を金型内で硬化させて生体医用器具を形成する工程と、
(c)前記金型から前記眼科用器具を離型する工程と、
を含む、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、
前記生体医用器具は、眼科用器具を含む、方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法において、
前記眼科用器具は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである、方法。
【請求項39】
請求項36に記載の方法において、
前記低分子量両親媒性ポリマーの数平均分子量は、約40,000ダルトン(約6.64×10-20g)未満である、方法。
【請求項40】
請求項36に記載の方法において、
前記低分子量両親媒性ポリマーは、前記反応性成分の総重量に対して約20重量%までの量で存在する、方法。

【公表番号】特表2008−514800(P2008−514800A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534792(P2007−534792)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/035152
【国際公開番号】WO2006/039467
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(500092561)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (153)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway−Suite 100, Jacksonville, Florida 32256, U.S.A.
【Fターム(参考)】