説明

両開きカートン

【課題】 箱上面が観音開き形式に左右に大きく開くことができるとともに、互いに重なり合うかぶせ蓋形式の蓋体として機能して、再封緘可能なカートンを提供する。
【解決手段】 収納部10と、互いに重なり合う被せ蓋形式の蓋体として機能する上蓋部20及び下蓋部30とを備えた両開きカートンであって、上蓋部20の上天板23の一部先端領域にはミシン目線28で区画された封緘片27が連接され、封緘片27は下蓋部の下天板33に固着され、封緘片27を上天板23から切り離した後は、上蓋部20と下蓋部30はそれぞれ開口用折罫21,31を支点として前方と後方に開口する両開き形成の蓋体として機能することを特徴とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は開蓋時、上面が観音開き形式に両側に開封するカートン(紙箱)に関し、開蓋時に箱上面の開口面積を大きくすることができ内容物の取出しが簡易にできるとともに、再封緘可能なカートンとして継続使用ができるようにしたカートンに関する。
【0002】
【従来の技術】
開蓋をヒンジ蓋によって行うヒンジ蓋付きのカートンは、食品、雑貨その他多くの商品の包装分野で広く使用されている。
【0003】
このような形式の紙箱として例えば実公昭63−6017号公報に記載されているものがある。この従来の紙箱は、図7及び図8に示すように、前面壁部103の表面に前面覆装片110先端の貼着部(図面に散点模様で示している)を固着して角筒体を形成した後、その開放側面に端片107a、107b、107c、107dを位置せしめてその上に左右側壁部105a、105bを固着し、前面覆装片10の両端に付設された各翼片112を折り込んでから、その上に左右側壁片111a、111bを折り込んで固着しまたコーナー補強片115b、115cを左右側壁部105a、105bの対応する部位にそれぞれ固着してなるものである。
【0004】
【考案が解決しようとする問題点】
上記実公昭63−6017号考案では、開蓋時の内容物の取り出しに邪魔になるフラップ片を無くすことができるが、上面を観音開き形式にして開口面積を大きくすることが困難であった。
【0005】
本考案は、開蓋時の内容物の取り出しを考慮して、取り出しに邪魔になるフラップ片なしに箱上面が観音開き形式に左右に大きく開くことができるカートンを提供することを目的としている。
【0006】
また本考案は、前記ヒンジ蓋が、互いに重なり合うかぶせ蓋形式の蓋体として機能して、再封緘可能なカートンとして継続使用ができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく成された本考案を、その一実施形態例を示す図1乃至図3を用いて説明する。
【0008】
図示のように本考案は、前後、左右の側板(12,13,14a〜d)及び底板(11)により形成された収納部(10)と、互いに重なり合う被せ蓋形式の蓋体として機能する上蓋部(20)及び下蓋部(30)とを備えたカートンであって、 上蓋部(20)は、少なくとも、前側板(12)の上部に開口用折罫(21)
を介して連接する前板(22)と、該前板(22)の上部に連接する上天板(23)と、該前板(22)の両側部に連接する上側板(24)、及び該上天板(23)と該上側板(24)とを貼着する貼着片(25)により構成され、 下蓋部(30)は、少なくとも、後側板(13)の上部に開口用折罫(31)
を介して連接する後板(32)と、該後板(32)の上部に連接する下天板(33)と、該後板(32)の両側部に連接する下側板(34)、及び該下天板(33)と該下側板(34)とを貼着する貼着片(35)により構成され、 上天板(23)の一部先端領域にはミシン目線(28)で区画された封緘片(27)が連接され、該封緘片(27)は下蓋部の下天板(33)に固着され、該封緘片(27)を上天板(23)から切り離した後は、上蓋部(20)と下蓋部(30)はそれぞれ開口用折罫(21,31)を支点として前方と後方に開口する両開き形成の蓋体として機能することを特徴とする両開きカートンである。
【0009】
本考案の両開きカートンによれば、上蓋部(20)と下蓋部(30)は開口用折罫(21,31)を支点としてそれぞれ前後に大きく開くことができるため、収納部(10)に収納された内容物の取り出しが容易である。
【0010】
本考案の両開きカートンでは、上蓋部(20)の貼着片(25)に切欠溝(26)を形成し、下蓋部(30)の下天板(33)の先端には折罫(37)を介して係合片(36)を連接し、係合片(36)を切欠溝(26)に係合させることで、再封緘を可能ならしめるのが好ましい。かかる構成によれば、再封緘可能なカートンとして継続使用が可能である。
【0011】
【考案の実施の形態】
本考案の実施形態例を図面に基づいて具体的に説明するが、本考案はこれらの形態例に限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態例)
図1は本考案カートンの第1の実施形態例を示す組立完成図、図2は同じく開封状態を示した斜視図、図3は同じく展開図である。
【0013】
本考案のカートンは主に、商品等を収容する収納部10、上蓋部20及び下蓋部30で構成される。
【0014】
図3において、11は底板、12は前側板、13は後側板、14a,cは右側板、14b,dは左側板であり、これらが貼着片15を介して角筒状に連繋されて収納部10が形成される。
【0015】
前側板12の上部には、開口用折罫21を介して前板22が連接されており、この前板22の上部及び両側部にはそれぞれ上天板23及び上側板24が連接されている。前板22の両側部に連接されている上側板24は、ミシン目線29を介して右側板14a及び左側板14bにも連接されている。そして、上側板24に連接された貼着片25を介して上天板23と上側板24が貼着されて上蓋部20が形成される。
【0016】
また、上天板23の一部先端領域にはミシン目線28で区画された必要最小限の大きさの封緘片27が連接されている。また、貼着片25には所定形状に切り欠かれた切欠溝26が形成されている。
【0017】
後側板13の上部には、開口用折罫31を介して後板32が連接されており、この後板32の上部及び両側部にはそれぞれ下天板33及び下側板34が連接されている。後板32の両側部に連接されている下側板34は、ミシン目線38を介して右側板14c及び左側板14dにも連接されている。そして、下天板33に連接された貼着片35を介して下天板33と下側板34が貼着されて下蓋部30が形成される。
【0018】
また、下蓋部30の下天板33の先端には折罫37を介して所定形状の係合片36が連接されている。
【0019】
上記のように構成されているブランクシートより図1に示したカートンを組み立てるには、まず貼着片15を介して側板12,13,14a〜14d及び底板11を角筒状に連繋して収納部10を形成する。この時、側板14c,14dの外側に側板14a,14bが貼着される。次いで、筒状の収納部10に被包装物を収容する。次いで、貼着片35を介して下天板33と下側板34を連繋して下蓋部30を形成した後、貼着片25を介して上天板23と上側板24を連繋して上蓋部20を形成し、封緘片27の部分を下蓋部30の下天板33上面に固着して組立が完了する。尚、この組立状態において、下蓋部30の係合片36は下天板33上に折り込まれ、上蓋部20の切欠溝26の部分に係合するように収容される。
【0020】
上記のように組み立てたカートンを開封するには、まずミシン目線28で区画された封緘片27を上天板23から切離する。しかる後、上蓋部20を前方に折り曲げるようにすると、ミシン目線29が切り離され、上蓋部20は開口用折罫21を支点(回転軸)として前方に回転させることができる。また、下蓋部30も後方に折り曲げるようにすると、ミシン目線38が切り離され、下蓋部30は開口用折罫31を支点(回転軸)として後方に回転させることができる。即ち、図2に示すように上蓋部20と下蓋部30は両開き形成の蓋体として大きく開くことができ、収納部10に収納された内容物(不図示)の取り出しを簡単に行うことができる。
【0021】
尚、内容物取り出し後、カートンを再封緘する際は、上蓋部20と下蓋部30を前記開口用折罫21,31をヒンジとして開封時と反対方向に回転させることで閉鎖される。そして、上蓋部20の切欠溝26の部分に下蓋部30の係合片36を収容することで、カートンの再封緘が行え、継続使用することができる。
【0022】
また、本考案のカートンでは、開封時に上天板23から切り離される封緘片27は、上天板23の一部先端領域に必要最小限の大きさで設けられるため、上蓋部20は開封後も同じ奥行きを保持することができる。このため、上蓋部20と下蓋部30は開封後も互いに十分に重なり合う被せ蓋形式の蓋体として効果的に機能することができ、再封緘時の保管状態が極めて良好である。
【0023】
(第2の実施形態例)
本考案のカートンは、上面が観音開き形式に両側に大きく開封できることに加え、開封後も上蓋部と下蓋部の重なり状態をほぼ開封前の状態と同様に保持することができるため、特に内容物を指で摘んで取り出しにくく、また、上蓋部と下蓋部の十分な重なりを確保するのが難しい、収納部が断面偏平なカートンに適用した場合に大きな効果が期待される。
【0024】
図4はこのような断面偏平なカートンに本考案を適用した実施形態例を示す組立完成図、図5は同じく開封状態を示した斜視図、図6は同じく展開図である。
【0025】
本例のカートンの基本的な構成は図1乃至図3に示した先の例のカートンと同様であり、先の例と同一符号で示したものは同一である。
【0026】
図1乃至図3に示した例では収納部10は概ね正方形断面を有していたが、本例の収納部10は極めて断面偏平な形態を有している。このように断面偏平で奥行き(前後方向の幅)が狭い収納部10を有するカートンの場合、例えば図7及び図8に示したように平行な2条のミシン目線m1,m2で区画された帯状の切除部(ジッパー)113を介して封緘片を設け、このような帯状の切除部113を上天板と封緘片より切離して開封するといった従来の方法では、開封後の上蓋部の奥行きを十分に確保することができず、上蓋部20と下蓋部30が十分に重なり合う被せ蓋形式の蓋体として十分に機能させることができない。
【0027】
一方、本考案のように、開封時に上天板23から切り離される封緘片27を、上天板23の一部先端領域に設けることにより、上蓋部20の奥行きを、収納部10の奥行きとほぼ同寸法にまで確保することができる。このため、開封後も上蓋部20と下蓋部30は互いに十分に重なり合う被せ蓋形式の蓋体として効果的に機能させることができ、再封緘時の保管状態を良好に維持することができる。
【0028】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案のカートンは取り出しに邪魔になるフラップ片なしに箱上面が観音開き形式に左右に大きく開くことができ、開蓋時の内容物の取り出しが極めて容易である。また、上蓋部と下蓋部は互いに重なり合うかぶせ蓋形式の蓋体として機能するため、再封緘後にも良好な保管状態を維持することができる。また、開封時に上天板から切り離される部分を必要最小限にすることができるため、開封後の上蓋部の奥行きを、収納部の奥行きとほぼ同寸法に確保することができ、特に奥行きの狭いカートンにおいても再封緘後の保管状態を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1の実施形態例に係る両開きカートンの組立完成図である。
【図2】本考案の第1の実施形態例に係る両開きカートンの開封状態を示す斜視図である。
【図3】本考案の第1の実施形態例に係る両開きカートンの展開図である。
【図4】本考案の第2の実施形態例に係る両開きカートンの組立完成図である。
【図5】本考案の第2の実施形態例に係る両開きカートンの開封状態を示す斜視図である。
【図6】本考案の第2の実施形態例に係る両開きカートンの展開図である。
【図7】従来例のカートンの展開図である。
【図8】図7のカートンの組立途中の状態を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
10 収納部
11 底板
12 前側板
13 後側板
14a〜d 左右の側板
15 貼着片
20 上蓋部
21 開口用折罫
22 前板
23 上天板
24 上側板
25 貼着片
26 切欠溝
27 封緘片
28,29 ミシン目線
30 下蓋部
31 開口用折罫
32 後板
33 下天板
34 下側板
35 貼着片
36 係合片
37 折罫
38 ミシン目線

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 前後、左右の側板及び底板により形成された収納部と、互いに重なり合う被せ蓋形式の蓋体として機能する上蓋部及び下蓋部とを備えたカートンであって、上蓋部は、少なくとも、前側板の上部に開口用折罫を介して連接する前板と、該前板の上部に連接する上天板と、該前板の両側部に連接する上側板、及び該上天板と該上側板とを貼着する貼着片により構成され、下蓋部は、少なくとも、後側板の上部に開口用折罫を介して連接する後板と、該後板の上部に連接する下天板と、該後板の両側部に連接する下側板、及び該下天板と該下側板とを貼着する貼着片により構成され、上天板の一部先端領域にはミシン目線で区画された封緘片が連接され、該封緘片は下蓋部の下天板に固着され、該封緘片を上天板から切り離した後は、上蓋部と下蓋部はそれぞれ開口用折罫を支点として前方と後方に開口する両開き形式の蓋体として機能することを特徴とする両開きカートン。
【請求項2】 前記上蓋部の貼着片に切欠溝が形成されており、前記下蓋部の下天板の先端には折罫を介して係合片が連接されており、該係合片が該切欠溝に係合することで、再封緘を可能ならしめていることを特徴とする請求項1に記載の両開きカートン。

【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【登録番号】実用新案登録第3088431号(U3088431)
【登録日】平成14年6月26日(2002.6.26)
【発行日】平成14年9月13日(2002.9.13)
【考案の名称】両開きカートン
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−1162(U2002−1162)
【出願日】平成14年3月7日(2002.3.7)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)