説明

中空状多孔質膜の製造装置

【課題】ノズル表面への結露・水滴付着を防止しつつ、膜形成性樹脂溶液の吐出温度、及び空走部の雰囲気露点を自由に設定でき、自由度の高い膜構造制御を可能とする中空状多孔質膜の製造装置を提供すること。
【解決手段】本発明の中空状多孔質膜の製造装置は、膜形成性樹脂溶液を賦型吐出する紡糸ノズル2と、紡糸ノズルから賦型吐出された膜形成性樹脂溶液が導入される第1の開口22と、水分を含んだ気体が導入される供給口26と、水分を含んだ気体と接触した膜形成性樹脂溶液が導出される第2の開口24とを備えた容器6と、凝固液14を収容し、気体と接触した膜形成性樹脂溶液が導入される凝固槽16と、紡糸ノズルと第1の開口との間に設けられ、第1の開口から流出した気体を吸引する気体吸引装置8を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空状多孔質膜の製造装置に関し、詳細には、乾湿式法によって中空状多孔質膜を製造する中空状多孔質膜の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、細長いチューブ状の多孔質膜である中空状多孔質膜が水処理分野で広く利用されてきている。このような中空状多孔質膜には、高い分離特性と、優れた透水性能が要求される。
【0003】
中空状多孔質膜の製造法としては、紡糸ノズルから中空状に賦形された膜形成性樹脂溶液を吐出させ、この膜形成性樹脂溶液を、水分を含んだ気体の中を通過させ、さらに凝固液に浸漬する乾湿式紡糸法が挙げられる。このような方法によって、表面が緻密な分画層であり、内部に向かって分画が粗くなる傾斜構造を有する中空状多孔質膜が製造できる。
【0004】
高い機械的強度を有する中空状多孔質膜、または大直径の中空状多孔質膜を製造する場合には、紡糸ノズルで中空状に賦形された膜形成性樹脂溶液を吐出して、中空状の補強支持体の外周面に塗布し、水分を含んだ気体が供給されている容器内(空走部)を通過させ、さらに凝固液に浸漬する方法が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−25067公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明では、紡糸ノズル表面への結露・水滴付着を防止して紡糸安定性を維持するために、膜形成性樹脂溶液の吐出温度と空走部の雰囲気の温度を、膜形成性樹脂溶液の吐出温度が空走部の雰囲気の露点以上の温度となるように設定している。
【0007】
しかしながら、膜形成性樹脂溶液の吐出温度、及び空走部の雰囲気の露点は膜構造制御に関わる重要な因子であるため、これらの温度条件を自由に設定できないと、中空状多孔質膜の製造における膜構造制御の自由度が低下し、より優れた性能、特性を有する中空状多孔質膜を製造することができなくなるという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、ノズル表面への結露・水滴付着を防止しつつ、膜形成性樹脂溶液の吐出温度、及び空走部の雰囲気露点を自由に設定でき、自由度の高い膜構造制御を可能とする中空状多孔質膜の製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
中空状多孔質膜の製造装置であって、
膜形成性樹脂溶液を賦型吐出する紡糸ノズルと、
前記紡糸ノズルから賦型吐出された前記膜形成性樹脂溶液が導入される第1の開口と、水分を含んだ気体が導入される供給口と、水分を含んだ気体と接触した前記膜形成性樹脂溶液が導出される第2の開口とを備えた容器と、
凝固液を収容し、前記気体と接触した膜形成性樹脂溶液が導入される凝固槽と、
前記紡糸ノズルと前記第1の開口との間に設けられ、前記第1の開口から流出した気体を吸引する気体吸引装置を、備えている、
ことを特徴とする中空状多孔質膜の製造装置が提供される。
【0010】
このような構成によれば、第1の開口から流出した水分を含んだ気体が、気体吸引装置よって吸引されるので、紡糸ノズルに達し、ノズル上に結露を生じさせること等が防止される。
【0011】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記紡糸ノズルが前記容器の上方に設けられ、前記第1の開口が前記容器の上面に設けられ、前記気体吸引装置が、前記紡糸ノズルと前記容器との間の空間の気体を吸引するよう構成されている。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記気体吸引装置は、吸引ノズルと、吸引装置と、前記吸引ノズルと吸引装置を連通するダクトと、を備えている。
【0013】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記吸引ダクトは、前記第1の開口から流出した気体が前記第1の開口から容器に導入される前記膜形成性樹脂溶液に対し軸対称方向に移動しながら吸引されるように、前記気体を吸引する。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記容器は、前記第1の開口と前記供給口との間に配置された円筒状の抵抗体を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ノズル表面への結露・水滴付着を防止しつつ、膜形成性樹脂溶液の吐出温度、及び空走部の雰囲気露点を自由に設定でき、より優れた透水特性を得るための膜構造制御を可能とする中空状多孔質膜の製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態の中空状多孔質の製造装置の構成を概略的に示す構成図である。
【図2】図1の製造装置の要部を概略的に示す正面図である。
【図3】図1の製造装置の要部の変形例を示す正面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部を示す正面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部の側面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部を示す正面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部の側面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部を示す正面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部の側面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部を示す正面図である。
【図11】本発明の第5の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部の側面図である。
【図12】本発明の第6の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部を示す正面図である。
【図13】本発明の第6の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部の側面図である。
【図14】本発明の第7の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部を示す正面図である。
【図15】本発明の第8の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。
以下の実施形態では、内部に強度支持体となる中空紐を有する中空状多孔質膜を製造する中空状多孔質膜の製造装置を例に本発明を説明するが、本発明は、このような中空状多孔質膜の製造に限定されるものではなく、強度支持体を有しない中空状多孔質膜を製造する中空状多孔質膜の製造装置にも適用可能である。
【0018】
内部に中空紐を有する中空状多孔質膜は、多孔質膜層が2層以上の複合多孔質膜層の場合、一般的に、紡糸ノズルから組成の異なった2種類の膜形成性樹脂溶液を吐出させ中空紐の外周面に塗布して中空状多孔質膜前駆体を形成する工程と、多孔質膜前駆体の膜形成性樹脂溶液を凝固させて2種類の多孔質膜層が積層された構造の中空状多孔質膜を得る工程と、中空状多孔質膜を洗浄する工程と、中空状多孔質膜を乾燥させる工程と、中空状多孔質膜を巻き取る工程とを経て製造される。
【0019】
本実施形態の製造装置は、中空状多孔質膜前駆体を形成する工程と、多孔質膜前駆体の膜形成性樹脂溶液を凝固させる工程とを行う装置である。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態の中空状多孔質の製造装置1の構成を概略的に示す構成図であり、図2は、本発明の要部、すなわち製造装置1の紡糸ノズル2から引き出された中空状多孔質膜前駆体4を気体と接触させる容器6、および気体吸引装置8の構成を概略的に示す正面図である。
【0021】
製造装置1は、膜形成性樹脂溶液10を吐出する紡糸ノズル2と、紡糸ノズル2に膜形成性樹脂溶液10を定量供給する装置12と、紡糸ノズル2から吐出された膜形成性樹脂溶液10が、内部で、水分を含んだ気体と接触する容器6と、気体と接触した膜形成性樹脂溶液10が内部で凝固液14と接触する凝固槽16と、備えている。
【0022】
中空状多孔質膜の製造装置1は、引出装置18によって一定の張力で供給される中空紐20の外周面に、紡糸ノズル2を通して、膜形成性樹脂溶液供給装置12から供給される2種類の膜形成性樹脂溶液10を塗布するように構成されている。
【0023】
そして、外周面に膜形成性樹脂溶液10が塗布された中空紐20、すなわち中空状多孔質膜前駆体4は、容器6の上面に設けられた開口(第1の開口)22を通して容器6内に導入され、容器6内で水分を含んだ気体(以下、供給気体と略す)24と接触させられる。
【0024】
供給気体は、供給口26を通して、容器6内に導入される。また、供給気体と接触した中空状多孔質膜前駆体4は、容器6の下面に設けられた開口(第2の開口)28を通して容器6外に送り出される。中空状多孔質膜前駆体4は容器6内を通過する間に供給気体から水分と熱を受け取ることになる。
【0025】
容器6は、供給口26と容器6の上下面に設けられた開口以外が閉鎖された円筒状の中空体であり、内部に供給される供給気体の温度が、外気等の影響を受けないようにするため、断熱構造を有することが好ましい。具体的には、外表面を断熱材で覆ったり、真空断熱構造としたり、ジャケット構造とし、ジャケット内に容器6に供給される供給気体と同じ温度の熱媒を循環させる構成が採られることが好ましい。
【0026】
凝固槽16は、収容した凝固液14内で、容器6内で供給気体と接触した中空状多孔質膜前駆体4を案内する回転ガイド30を備えている。さらに、凝固槽16の下流には、凝固槽16から膜形成性樹脂の凝固が終わった中空状多孔質膜前駆体4すなわち多孔質膜32を一定速度で引き出す引取装置34が設けられている。
【0027】
本実施形態の製造装置1は、さらに、容器6の上部の開口部22近傍、即ち紡糸ノズル2と開口部22との間に設けられ、開口部22からの流出した、供給気体を吸引するための気体吸引装置8を備えている(図2)。
【0028】
図2に示されているように、気体吸引装置8は、吸引ノズル36と、吸引ポンプ等の吸引装置38と、吸引ノズル36と吸引装置38を連通するダクト40とを備えている。吸引ノズル36は、その先端が紡糸ノズル2とその下方に配置された容器6の上部の開口部22との間の領域に開口するように配置されている。
【0029】
吸引装置38としては、気体を吸引することが可能な装置であれば特に限定はなく、例えば軸流ファン、シロッコファン、ターボファンといったファン類や、ターボブロア、ルーツブロアといったブロア類や、ターボポンプ、スクリューポンプ、ナッシュポンプ、噴射ポンプ(エジェクター)といったポンプ類を用いることができる。ダクト40と吸引装置38の間に設けたダンパーの制御、ファンやポンプを駆動するモーターの回転速度の制御等によって吸引量が調整される。
【0030】
吸引装置38を作動させることにより、容器6の上部の開口部22から漏れ出した供給気体24aが、吸引ノズル36を通して吸引され、この水分を含んだ気体が紡糸ノズル2に達することが防止される。
【0031】
中空状多孔質膜前駆体4が通過する開口である容器6の開口部22,28の直径は、供給口33からの供給気体の供給量、温度、多孔質膜前駆体4の直径に応じて適切な寸法を設定しなければならない。
【0032】
例えば、中空状多孔質膜前駆体4の直径に対し開口部22,28の直径が大きすぎると、開口部22,28と中空状多孔質膜前駆体4の隙間の気体通過抵抗が下がり、気体吸引装置8の吸引力によって、容器6内の供給気体24が引き出され易くなる。また、容器6の内部の供給気体24の温度が外気より高い場合、熱浮力によって供給気体24が上方の開口部22から流出し易くなる。
【0033】
上方の開口部22から供給気体24が多量に流出すると、開口部22から容器60に外気が浸入し、容器6内の供給気体24の温度、湿度が変動してしまい好ましくない。
【0034】
逆に、中空状多孔質膜前駆体4の直径に対し開口部22、28の直径が小さすぎると、搬送中の中空状多孔質膜前駆体4が開口部22、28の内周面に接触するという問題や、容器6に供給された供給気体24の開口部22からの流出流速が上がり、流出気体24が紡糸ノズル2の表面に到達するのを阻止するために必要な気体吸引装置8の吸引量が多くなるという問題がある。
【0035】
図3は、図1の製造装置の要部の変形例を示す正面図である。この構成は、容器6を、下面が凝固槽16内の凝固液14の水面より上方に位置するように配置し、容器6下面と凝固液14との間に隙間を設けた構成である。このような配置とすると凝固液14と容器6の底面での熱移動を抑制することができる。
【0036】
ここで、下方の開口部22から流出した流出気体24bが、ノズル2に到達しないような配慮が行われている場合には、上方の開口部22からの流出気体24の流出を抑えるため、上方の開口部22に対し下方の開口部28を大きく設定し、下方の開口部28からの流出気体24の流出を増大させることで、上方の開口部22からの流出気体24の流出を低下させることができる。
【0037】
下方の開口部28から流出した供給気体24が紡糸ノズル2に到達することを抑制する方法としては、例えば、容器6の下方の雰囲気を換気したり、容器6の下部の雰囲気を容器6の外周方向から吸引したり、上方の開口部22と同様に、下方の開口部28からの流出する供給気体24を、開口部28の近傍に設置した第2の気体吸引装置によって吸引する方法が上げられる。
【0038】
開口部の寸法、容器6への供給口26からの供給気体24の供給量、流出した供給気体24の気体吸引装置8による吸引条件の例としては、例えば、まず、開口部22、28と中空状多孔質膜前駆体4の隙間を、中空状多孔質膜前駆体4の走行や、流出気体24の流出する気流で多孔質膜前駆体4が大きな揺れを生じない範囲で小さく設定する、容器6の内部の供給気体24の温度が斑なく安定した状態で維持できる量の供給気体を供給口33から容器6に供給する、開口部22から流出した供給気体24が紡糸ノズル2へ到達しない吸引量で気体吸引装置8によって吸引する、気体吸引装置8に吸引される気流で中空状多孔質膜前駆体4が大きく揺れたり、開口部22、28の内周面に接触しないように、気体吸引装置8の吸引量を、中空状多孔質膜前駆体4の揺れや、開口部22、28との接触を回避可能な状態まで減少させ、その吸引量で上方の開口部22から流出する供給気体24が紡糸ノズル2に到達せず、流出したすべての供給気体が吸引装置8で吸引可能となるよう、開口部22、28の寸法を調整するといった方法が挙げられる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置50について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置50の要部を示す正面図であり、図5はその側面図である。
【0040】
この第2の実施形態の製造装置50は、気体吸引装置の吸引ノズルの形状が異なる点を除き、上記図3の実施形態と同一の構成を備えている。
【0041】
図5に示されているように、製造装置50の吸引ノズル52は、先端に、水平方向の細長い矩形の吸引口52aを備えて形状を有し、幅方向中央が、容器6の上方の開口部22と横方向に整列するように、配置されている。
このような構成によれば、容器6の上方の開口部22からの流出した気体24aが外気とともに吸引口52aから吸引される。
【0042】
次に、本発明の第3の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置60について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置60の要部を示す正面図であり、図7はその側面図である。
【0043】
この第3の実施形態の製造装置60も、気体吸引装置の吸引ノズルの形状が異なる点を除き、上記第2の実施形態と同一の構成を備えている。したがって、第2の製造装置50と同一の構成は、製造装置50と同一の符号を付す。
【0044】
図6及び図7に示されているように、第3の実施形態では、吸引ノズル62の先端部を矩形の筒状部64とし、この筒状部64の上板66および下板68に上下に整列した貫通孔66a、68aが形成されている。そして、上下に整列した貫通孔66a、68aを紡糸ノズル2から吐出された、中空状多孔質膜前駆体4が通過するように構成されている。下板68に形成された貫通孔68aの大きさは、容器6の上方の開口部22より大きいことが好ましい。
【0045】
このような構成では、吸引装置38を作動させることにより、下板68に形成された貫通孔68aを通して、開口部22からの流出した気体24aが外気とともに吸引ノズル62内に吸引される。
【0046】
次に、本発明の第4の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置70について説明する。
図8は、上記第4の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置の正面図であり、図9はその側面図である。
【0047】
中空状多孔質膜の製造装置70は、気体吸引装置の吸引ノズル62と容器6との間に断熱材72が配置されている点で、上記第3の実施形態と異なっている。
断熱材72は、容器6の上方の開口部22と同等以上の大きさの径の開口72aを備え、開口72aが容器6の上方の開口部22と同心となり、かつ吸引ノズル62と容器6の間の空間を充填するように配置されている。
【0048】
このような配置によれば、容器6の上方の開口部22からの流出した供給気体24は、断熱材72の開口72および吸引ノズル62の下板68の開口68aを通して吸引ノズル62に流入し、吸引ノズル62の下板66の開口66aおよび吸引ノズル62の先端開口から吸い込まれる外気とともに吸引されるため、流出した供給気体24の吸引効率が良くなる。
【0049】
次に、本発明の第5の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置80について説明する。
図10は、上記第5の実施形態の第2変形例の中空状多孔質膜の製造装置80の変形例の正面図であり、図11はその側面図である。
製造装置80は、図10および11に示されている製造装置の吸引ノズルの先端を閉鎖したものである。
【0050】
このような構造とすると、吸引時に、外気は、吸入ノズル82の上板の開口66aのみを通して吸引ノズル内に流入することになるので、吸引装置38の吸引量が少ない状態でも、開口66aからの外気の吸引流速を高く保つことができ、吸入ノズルの下板の開口68aから吸引ノズル40に流入した流出した供給気体24aが、上板の開口66aから紡糸ノズル2に向かって漏れ出すことを防止することができる。
【0051】
次に、本発明の第6の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置90について説明する。
図12は、本発明の第6の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置90の要部を示す正面図であり、図13はその側面図である。
【0052】
第6の実施形態の製造装置90は、気体吸引装置の吸引ノズルの構成が異なる点を除き、上記第5の実施形態80と同一の構成を備えている。したがって、第5の実施形態の製造装置と同一の構成は、製造装置と同一の符号を付す。
【0053】
図12及び図13に示されているように、第6の実施形態では、吸引ノズル92内に、2枚の円板、すなわち上部円板94と下部円板96が配置されている。上部円板94と下部円板96は、略同一形状を備えている。各円板94、96は、一方の面の中央部に截頭円錐形状の凹部94a、96aを備え、凹部の94a、96aの底に上部円板94、下部円板96を貫通する貫通孔94b、96bが、それぞれ設けられている。
【0054】
下部円板96は、凹部96aが下方に向く配向で貫通孔96bが断熱材72の開口72と整列する位置に、吸引ノズル92の下板98に取付けられている。
また、上部円板94は、凹部94aが下方に向く配向で貫通孔94bが下部円板96の貫通孔96bと上下に整列する位置で、吸引ノズル92の下板100に取付けられている。
【0055】
さらに、上部円板94の上側面と下部円板96の下側面との間には、間隙が設けられ、この間隙は、上部円板94と下部円板96との周縁部では、薄板状かつ環状間隙102とされている。環状間隙102の外周側の開口部は、リング状空間104に連通している。
【0056】
このような構成によれば、吸引装置38を作動させると、容器6の上方の開口部22から流出した供給気体24は、断熱材72の開口72、吸入ノズルの下板の開口100aおよび下部円板96の貫通孔96bを通して、上部円板94と下部円板96との間の空間に流入する。このとき、供給気体24は、中空状多孔質膜前駆体4に対し軸対称方向に移動しながら、上部円板94と下部円板96との間の空間に向けて吸引される。
【0057】
吸入ノズルに流入する供給気体24が、中空状多孔質膜前駆体4に対し軸対称方向に移動しながら吸引されるためには、下部円板96の貫通孔96aの周方向の吸引流速を均一にしなければならない。
【0058】
このため、本実施形態ではリング状空間104に吸引された気体が吸引口に向け流動する際の流動抵抗に対し、環状隙間102の間を気体が流動するための抵抗が数〜数十倍大きくなるよう、環状間隙102の隙間や幅が調整されている。
【0059】
もし、環状隙間102の間を気体が流動する抵抗が低いと、図12の吸引ノズル92の左についている吸引口(吸引装置38に繋がっている)から離れた環状間隙102の隙間(吸引口の対向方向)からリング状空間104に一定量の気体を吸引し、リング状空間104を流動し吸引口に移動させる吸引抵抗より、吸引口に近い環状間隙102の隙間から同量の気体を吸い込み吸引口に移動させる吸引抵抗のほうが低く、吸引口の吸引力(負圧)が同じ場合、供給口に近い環状間隙102の隙間のほうが吸引量が多くなり、吸引流速が上がってしまう。
【0060】
そこで、環状間隙102の隙間から気体を吸引するための流動抵抗を、吸引された気体がリング状空間104内を流動し吸引口に移動するための流動抵抗に対し数倍〜数重倍大きくし、吸引力によって環状間隙102の隙間からリング状空間104内に気体を吸引するための抵抗に対しリング状空間104を流動する流動抵抗比率を低下させることで、リング状空間104を流動する流動抵抗に起因する吸引口から離れた部位と近い部位の環状間隙102の隙間から吸引される気体の吸引流量斑(=吸引流速斑)を減少させる。
【0061】
リング状空間104内を気体が流動する抵抗に対し、吸引口41からリング状空間104に気体を吸引するための抵抗が大きい場合、リング状空間104の形状は円筒形状以外でもかまわないが、リング状空間104内を気体が流動する際の圧損、気流安定性等の点からは、リング状空間104は環状間隙102と同芯の円筒形状が好ましい。
【0062】
また、上述した環状間隙102のようなスリット構造以外で、リング状空間104に気体を吸引するための抵抗を付与する構成として、2本の外径の異なった管を用い、内径が容器の開口部以上の直管に、内径がその直管の外径より大きな直管を一定長挿入し、挿入した直管の内壁面と挿入された直管の端面外壁で形成された円筒空間をスリット部として、挿入した直管の端面外周の開口部を吸引口とし、直管の寸法、挿入長で圧損調整を行うといった構成を採用してもよい。
【0063】
次に、本発明の第7の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置110について説明する。図14は、本発明の第7の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置110の要部を示す正面図である。
【0064】
図14に示すように、第7の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置110では、吸引ノズル112の内部に円筒状の抵抗体112が挿入されている。円筒状の抵抗体112の上下端面は、吸引ノズル106の上下板の内側面に固定され、抵抗体112を構成する材料の種類や、抵抗体112の壁厚を適宜選定することによって、気体を吸引するための抵抗が調整されている。
【0065】
このような構造によれば、リング状空間114に気体を吸引するための抵抗付与機構を簡素にすることができる。円筒状の抵抗体112としては、多孔板やフィルターメッシュを筒状に加工した部材、円筒状に成型された多孔質体などが使用される。円筒状の多孔質体は、気体の通過抵抗の均一性の面から、継ぎ目がないように成形されていることが好ましい。
【0066】
また、円筒状の抵抗体112の内面の一部を、気体を通さない材料でマスキングすることで、気体が通過可能な抵抗体112上の領域の位置、形、面積を制御し、気体の通過抵抗を任意に調整することもできる。
【0067】
次に、本発明の第7の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置120について説明する。図15は、本発明の第7の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置120の要部を示す正面図である。
【0068】
図15に示されているように、第7の実施形態の中空状多孔質膜の製造装置120は、容器6内に円筒状の抵抗体122が挿入されている点が、図14に示された製造装置と異なっている。
【0069】
抵抗体122は、容器6の内部空間の高さと同じ高さを有し、上端が容器6の頂壁に下端が容器6の底壁に接続されている。また、抵抗体122の直径は、容器6の直径の1/2程度であり、容器6内で上下の開口部22、28と外周壁との間に位置するように配置されている。したがって、抵抗体122と供給気体の供給口26の間には、抵抗体122の周囲を覆うリング状空間124が形成されている。
【0070】
容器6に供給された供給気体が抵抗体122を通過する際に生じる圧損が、供給気体がリング状空間124を抵抗体122に向かって流動する際に生じる圧損に対し、数倍から数十倍大きくなるように設定することが好ましい。
このような構成とすると、容器6に供給口24から供給された供給気体は、供給口24に近い円筒状の抵抗体122から多く抵抗体122に流れ込むより、抵抗体122に沿ってリング状空間124内を周方向に流れるほうが全圧損が低くなるため、容器6内を通過する中空状多孔質膜前駆体4に対し、供給気体を周方向から均一に接触させることができる。
【0071】
リング状空間124内を気体が流動する抵抗に対し、円筒状の抵抗体122を気体が通過する抵抗が大きい場合、リング状空間124は円筒形状でなくても良いが、リング状空間124内を気体が流動する際の圧損、気流安定性等の点からは、円筒状の抵抗体122と同芯の円筒形状が好ましい。
【0072】
円筒状の抵抗体122を通過した供給気体が容器6内部を通過する中空状多孔質膜前駆体4に容器6の円周方向から高速で接触すると、中空状多孔質膜前駆体4の膜形成性樹脂溶液の形態や凝固状態に悪影響を及ぼす場合があるため、容器6に供給する供給気体の流量に応じて、円筒状の抵抗体122の供給気体が通過する面の面積、開孔率、内周面と容器6を通過する中空状多孔質膜前駆体4との距離を適切に設定することが好ましい。
【0073】
円筒状の抵抗体122としては、多孔板、平網、不織布、多孔質板などの材料を筒状に加工した物、ハニカム体、多孔質体などが挙げられる。円筒状の抵抗体122の素材を金属製とすると、非金属製の抵抗体に比べ熱伝導率が高く、気体が円筒状の抵抗体122を通過する際に気体間で熱交換が素早く行われ、円筒状の抵抗体122を通して中空状多孔質膜前駆体4側に流入する気体の温度の均一性を上げることができる。
【0074】
また、円筒状の抵抗体122は、継ぎ目、積層部を有しないものが好ましい。継ぎ目、積層部があると、継ぎ目や積層部のない部分とで気体の通過特性が異なり、円筒状の抵抗体122の内側で気体の流速に斑が生じるため、このような斑を防止するために、継ぎ目、積層部を有しない抵抗体122が好ましい。
【0075】
継ぎ目、積層部を有しない抵抗体の例としては、リング状ハニカム体、エッチングやレーザーなどで円筒体に微細孔を規則正しく開けた部材、繊維の筒状織編組体、樹脂や金属の粒子をバインダー等、あるいは素材自体を部分融着させた筒状成型体などが挙げられる。
【0076】
特に、金属粒子の筒状成型体は、熱伝導率が高く、粒子間の隙間が均一な三次元構造となり、円筒状の抵抗体122を気体が通過する際に生じる圧損の均一性、気体との接触面積が大きく熱交換面でも好ましい。金属粒子の筒状成型体は、成型する金属粒子の大きさや、成型条件、筒の肉厚によって、気体が通過する際の圧損値を広い範囲で調整することができる。金属粒子の筒状成型体の材質としては銅、真鋳、鉄系材料などが挙げられ、耐食性の面からステンレス材が好ましい。
【0077】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
上記第2ないし第7の実施形態では、吸引ノズルを断熱材を介して容器と密着配置した形態を例示しているが、吸引ノズルと容器の間に隙間を空けて配置することも可能である。
【実施例1】
【0078】
本発明を以下の実施例により具体的に説明する。
【0079】
〔実施例1〕
(製造装置)
中空状多孔質膜の製造装置として図1に示す構成の装置を用いた。
(容器仕様)
中空状多孔質膜前駆体と供給気体を接触させる容器としては、表−1に示す図2に例示した構造の容器Aと、図15に例示した容器の供給口と上下開口部間に円筒状の抵抗体を挿入した構造の容器Bを用いた。円筒状抵抗体としては表−2に示す仕様のSMC(株)製焼結金属エレメントESP−30−45−3−40(継目なし)を使用した。
【0080】
表−1

【0081】
表−2

【0082】
(吸引ノズル)
容器の上面の開口部から流出する気体を吸引するための吸引ノズルとしては、表−3に示す図12に例示したリング状スリットを有する吸引ノズルAと、図14に例示した吸引口と上下開口部間に円筒状の抵抗体を挿入した構造の吸引ノズルBを用いた。円筒状抵抗体としては表−4に示す仕様のSMC(株)製焼結金属エレメントESP−30−45−3−70(継目なし)を使用した。
【0083】
表−3

【0084】
表−4

【0085】
(気体供給装置A)
調圧気体を、マスフローコントローラーで流量制御し、温度制御された水がポンプ循環によってシャワーリングされている容器内に供給、循環水と同温度で飽和状態となった気体を、気体加熱器に供給、気体温度を上昇させ相対湿度制御を行う装置を用いた。
【0086】
(気体供給装置B)
ボイラーで発生させた水蒸気を、減圧弁で圧力調整し、蒸気中のミストを除去するミストセパレーターを通過させ、ニードルバルブで供給量を調整し容器に供給する機構を用いた。ニードルバルブでの蒸気供給量調整は、予めニードルバルブ開度を変更、ニードルバルブに接続された冷却容器に水蒸気を導き、冷却容器で冷却液化され流出する水の単位時間当たりの質量を測定、ニードルバルブ開度に対し単位時間当たりの流出水質量を飽和水蒸気化時の体積に換算し得た流量特性式を元に設定した。
【0087】
(吸引装置)
日本ピスコ(株)製の真空発生装置VRL−50−120812(吸い込みポートサイズ:φ12mm、エアー供給ポートサイズ:φ8mm、排気サイズ:φ12mm)を用いた。
【0088】
(吸引ダクト)
PFAチューブ:外径:12mm、内径:10mm、チューブ長:約3m
ディフューザー:内径:16mm−10mm、テーパ部長50mm(容器Aとの接続に使用)
を用いた。
【0089】
(中空紐)
強度支持体となる中空紐としては、ポリエステル繊維(繊度:420dtex、フィラメント数:180)を丸編機で編んだ後、200℃に加熱した金属ダイスで引き抜き、熱的特性、寸法安定性、機械特性を向上させた中空状編紐支持体(外径:約2.5mm、中空部径:約1.5mm、1周あたりの編目数:12個)を用いた。
【0090】
(膜形成樹脂溶液)
膜形成樹脂溶液としては、ポリフッ化ビニリデンA(アトフィナジャパン社製、商品名:カイナー301F)、ポリフッ化ビニリデンB(アトフィナジャパン社製、商品名:カイナー9000LD)、ポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名K−79)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと略す)を、表1に示す質量比となるように混合し、膜形成樹脂溶液Aおよび膜形成樹脂溶液Bを調製した。
【0091】
表−5

【0092】
(実施例1〜4)
中空紐を紡糸ノズルの中心穴へ供給し、温度制御された表−5に示す膜形成性樹脂溶液A、Bを、同温に温度制御された紡糸ノズルに供給し、紡糸ノズル内で膜形成性樹脂溶液Aが内層に膜形成性樹脂溶液Bが外層になるように同芯円2重構造に賦形し、紡糸ノズルから吐出された複合膜形成樹脂溶液を、紡糸ノズル直下で中空紐の表面に塗布し中空状膜中間体を形成し、容器に密着配置した吸引ノズルを経て、水分を含んだ供給気体が供給されている容器内を通過させ、複合膜形成樹脂溶液に気体から水分と熱を供給した後、凝固液が満たされた凝固浴に浸漬し、回転ガイドによって走行方向を変えて引取装置によって引き取り、洗浄、乾燥して中空状複合多孔質膜を得た。その製膜条件、及び容器、吸引ノズル構成を表−6に示す。
【0093】
表−6

【0094】
実施例1〜4のいずれにおいても、容器への供給気体を供給から2時間経過後も吸引ノズル上部の紡糸ノズル面の結露は認められず、安定した製膜状態を維持していた。
【0095】
(比較例1〜2)
表−7に示す条件で、実施例と同様な方法で形成した中空状膜中間体を、吸引装置を停止した状態の吸引ノズルを経て水分を含んだ供給気体が供給されている容器内を通過させ、複合膜形成樹脂溶液に気体から水分と熱を供給した後、凝固液が満たされた凝固浴に浸漬し、回転ガイドによって走行方向を変えて引取装置によって引き取り、洗浄、乾燥して中空状複合多孔質膜を得た。
【0096】
表−7

【0097】
比較例1、2のいずれにおいても、容器に供給気体を供給し始めて直ぐに吸引ノズル上での結露が目視で確認され、約5分後には吸引ノズル上部の紡糸ノズル面に液滴が形成された。そのまま運転を続けたところ、液滴が紡糸ノズルから吐出されている膜形成性樹脂溶液に接触した瞬間、膜形成性樹脂溶液の吐出挙動が変化、しばらくすると定常状態に戻ったが、不定期に液滴の膜形成性樹脂溶液への接触が生じた。
得られた複合多孔質膜において、膜形成性樹脂溶液に液滴が接触したと思われる部分では、他の部分に比べ膜表面形状、膜表面微細孔構造に異常が認められた。
【符号の説明】
【0098】
1:中空状多孔質の製造装置(第1実施形態)
2:紡糸ノズル
4:中空状多孔質膜前駆体
6:容器
8:気体吸引装置
14:凝固液
16:凝固槽
36:吸引ノズル
38:吸引装置
40:ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状多孔質膜の製造装置であって、
膜形成性樹脂溶液を賦型吐出する紡糸ノズルと、
前記紡糸ノズルから賦型吐出された前記膜形成性樹脂溶液が導入される第1の開口と、水分を含んだ気体が導入される供給口と、水分を含んだ気体と接触した前記膜形成性樹脂溶液が導出される第2の開口とを備えた容器と、
凝固液を収容し、前記気体と接触した膜形成性樹脂溶液が導入される凝固槽と、
前記紡糸ノズルと前記第1の開口との間に設けられ、前記第1の開口から流出した気体を吸引する気体吸引装置を、備えている、
ことを特徴とする中空状多孔質膜の製造装置。
【請求項2】
前記紡糸ノズルが前記容器の上方に設けられ、
前記第1の開口が前記容器の上面に設けられ、
前記気体吸引装置が、前記紡糸ノズルと前記容器との間の空間の気体を吸引するよう構成されている、
請求項1に記載の中空状多孔質膜の製造装置。
【請求項3】
前記気体吸引装置は、吸引ノズルと、吸引装置と、前記吸引ノズルと吸引装置を連通するダクトと、を備えている、
請求項1の中空状多孔質膜の製造装置。
【請求項4】
前記吸引ダクトは、前記第1の開口から流出した気体が前記第1の開口から容器に導入される前記膜形成性樹脂溶液に対し軸対称方向に移動しながら吸引されるように、前記気体を吸引する、
請求項3の中空状多孔質膜の製造装置。
【請求項5】
前記容器は、前記第1の開口と前記供給口との間に配置された円筒状の抵抗体を備えている、
請求項1ないし4のいずれかの中空状多孔質膜の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−110856(P2012−110856A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263332(P2010−263332)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】