説明

中空金属物品を成形する方法及び装置

【課題】圧力ラム成形手順などのダイ内の中空金属物品のハイドロホーミング法における成形プロセスのコンピュータ制御の向上を達成する。
【解決手段】有限要素解析を利用して、成形操作を最適化し最小限壁厚や最大限歪み率などの選択された変数に欠陥限界を適用する圧力時間履歴を確立するプロセスをモデル化し、成形操作を制御するコンピュータ320にこの圧力時間履歴を伝送することによって、受け容れ可能な製品特性を保証して欠陥を回避しつつ、成形プロセスのサイクル時間を減少させる。熱電対及び/又は連続センサがダイ10壁の中に組み込まれ、コンピュータに接続されてダイからプロセス制御への能動的なフィードバックを与えることで達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部流体圧力を利用して中空金属物品を形成し、ダイスキャビティに対して中空金属予備的形成品、即ちワークピースを拡張する方法及び装置に関し、特に、圧力ラム形成方法及び装置などに関する。就中、本発明は、非対称特性を伴う瓶形状などの、輪郭形状を有するアルミ二ウムや他の中空金属物品を形成する方法及び装置に関する。例示の目的のために、本明細書では金属容器を形成することを特に引用しているが、より広範な本発明はそのことに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
メタルカンは周知であり、ビバレッジ用に広く利用されている。今日、ビバレッジカン本体は、ワンピースの“延伸された”本体であっても、(頂部及び底部で別個の閉じ部材を伴う)両端で開口する本体であっても、概略、簡素な直立の円筒側壁を有する。美的観点、消費者アピール及び/又は製品識別などの理由のために、金属ビバレッジ容器の側壁及び/又は底部に別のより複雑な形状を与えることが所望されることがあり、特に、普通の円筒カン形状ではなくボトル形状を金属容器に与えることが所望されることがある。しかしながら、従来のカン生成工程では、そのような構成の実現を達成できない。
【0003】
(2002年10月31日の出願10/284912から2003年5月8日米国2003/0084694号として公開された)Kevinらによる2004年10月12日発行の米国特許第6802196号(特許文献1)は、開示の全体が参照されて本明細書に援用されるが、金属ワークピースをビン形状又は他の複雑形状に形成する有用で実効的な方法及び装置を示すのであり、該方法及び装置は、放射状に対称性のない輪郭形状を形成でき獲得可能なデザインの種類を増やせる方法及び装置を含む。
【0004】
特に、米国特許第6802196号(特許文献1)は、設定形状及び横寸法の容器などの中空金属物品を形成する方法を開示する。該方法は先ず、形状及び横寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれるダイキャビティ内に閉じた端部を有する中空金属プリフォームを配置する工程であって、パンチをキャビティの一端部に配置しキャビティ内に移動可能とし、プリフォームの閉じた端部をパンチに概略直面させる位置関係で配置し少なくともプリフォームの一つをダイ壁から内側に最初隔てて位置させる工程を含む。次に、上記方法は、プリフォームに正味の内部流体圧力を受けさせプリフォームを外へ拡張してダイ壁と十分に接触させ、これによりプリフォームに設定形状及び横寸法を与え、プリフォームの閉じた端部に対して上記のキャビティの一端部に向けられた力を流体圧力により加える工程を含む。更に、上記方法は、プリフォームが拡張を始める前でも後でもよいがプリフォームの拡張が終わる前に、パンチをキャビティの中に移動し流体圧力により作用される力の方向とは逆の方向にプリフォームの閉じた端部を向けて配置し、プリフォームの閉じた端部を変形する工程を含む。十分な力をパンチに加えプリフォームを移動して変形できるラムによって、パンチの移動は実効的なものとなる。この方法は、圧力ラム形成手順と称される。なぜなら容器は、加えられる内部流体圧力とラムによるパンチの移動との両方によって、形成される。本明細書で用いる“正味内部流体圧力”という用語は、プリフォーム壁における正の内部−外部の圧力差異を意味する。
【0005】
パンチは起伏のある(例えば、半球形の)表面を有し、プリフォームの閉じた端部は起伏のある表面に沿うように変形される。ダイキャビティは長軸を有し、プリフォームは長軸を備えキャビティ内部に実質的に同軸状に配置され、パンチはキャビティの長軸に沿って移動可能となる。ダイ壁が、形成された中空金属物品を取り外すために分割可能である(ダイキャビティ周辺回りで2つ若しくはそれ以上の噛み合うセグメントからなる)スプリットダイを含むならば、設定形状はキャビティの長軸に関して非対称であってもよく、即ち、PRFフォーミングは非対称プロフィール(例えば、底部の基部や容器側面の螺旋状リブ)を生成できる。
【0006】
パンチは、流体圧力によりプリフォームの軸長を限定するために、流体圧力が加えられる前に、プリフォームの閉じた端部に当初近接して若しくは接触して設けられるのが好ましい。プリフォームの拡張下方部位がダイ壁に接触した後にパンチの移動が開始されてもよい。
【0007】
特に、形成される中空金属物品がボトル形状容器などである場合、プリフォームは、閉じた端部の反対側に開いた端部を有する細長の当初概略円筒ワークピース好ましい。それは、ボトル形状のネック部位と概略直径が等しくてもよく、単一圧力形成操作で画定された形状にまで拡張可能である十分な成形性を有してもよい。もしそのような成形性を欠くならば、最初に触れたダイキャビティより小さいダイキャビティ内にワークピースを設置する準備ステップと、内部で内部流体圧力にワークピースをさらし、画定された形状及び側面寸法より小さい中間のサイズ及び形状にまでワークピースを拡張する準備ステップが、上述のPRF方法の前に為される。一方、細長の当初概略円筒ワークピースがボトル形状のネック部位より当初直径にて大きいならば、ボトル形状容器を形成する方法は、PRF手順の実施の後に、開いた端部の近傍のワークピースに、減少直径のネック部位を形成するネッキング動作を受けさせるステップを含んでもよく、そうすると、プリフォームのネック領域の直径は、拡張段階の前に適用されるダイネッキング手順を利用して、減少され得る。
【0008】
プリフォームを内部流体圧力にさらすステップの間、プリフォーム内部の流体圧力は、
(i)プリフォームの拡張が始まる前に第1のピークにまで上昇する段階、
(ii)拡張が開始して最小値まで下降する段階、
(iii)プリフォームがダイ壁と意図的であるが完全なものではない接触を為すまで拡張が進展する中間値まで授受に上昇する段階、及び、
(iv)プリフォームの拡張の完成の間に中間圧力から上昇する段階
からなる連続の段階で変化する。この圧力段階のシーケンスに言及すると、本発明の好適な実施形態にてプリフォームの閉じた端部を移動して変形するパンチの移動の開始は、段階(iii)の終わりで実質的に発生する。
【0009】
通常、内部流体圧力が加えられると、プリフォームがダイ壁と接触するにつれてプリフォームの閉じた端部が細長の概略半球体の構成をとる。そしてパンチの移動の開始は、プリフォームの閉じた端部がこの構成をとるときに実質的に発生する。
【0010】
プリフォームを内部流体圧力にさらすステップは、内部ポジティブ流体圧力及び外部ポジティブ流体圧力をキャビティ内のプリフォームに同時に加える工程を含んでもよく、このとき、内部ポジティブ流体圧力は外部ポジティブ流体圧力より高い。内部及び外部圧力は、2つの独立に制御可能である圧力システムにより夫々与えられる。プリフォーム内の歪み率は、内部ポジティブ流体圧力と外部ポジティブ流体圧力との差異を変動させるために、プリフォームが同時にさらされる内部及び外部ポジティブ流体圧力を独立して制御することにより制御される。このように、歪み率のより正確な制御が達成され得る。更に、増大した流体静力学的圧力は、部材のマイクロ構造と関連する損傷(空隙)の有害な効果を減少し得る。
【0011】
プリフォーム内の温度勾配を誘発するように、プリフォームの拡張の間に熱が加えられてもよい。パンチにヒータを加えることによって、温度勾配は、プリフォーム内で底から上方へ誘発される。プリフォーム内で頂部から下方への温度勾配を誘発する独立のヒータが、ダイの頂部に加えられてもよい。更なるヒータが、ダイキャビティの側壁に設けられてもよい。
【0012】
拡張フェーズの開始の前にプリフォームの底部とパンチを接触させ、拡張フェーズの間ずっとパンチにより軸方向の負荷を加えることも、有用である。拡張フェーズの間ずっとプリフォームの閉じた端部にパンチが軸方向の負荷を加えるこの手順により、拡張フェーズの完了まで、プリフォームの閉じた端部の移動及び変形が為されないことが好ましい。
【0013】
プリフォームの内部とプリフォームの外部のキャビティと夫々に、別途のチャネルを介して、気体を与えることによって、内部及び外部ポジティブ流体圧力が加えられてもよい。ダイ構造の上方及び下方部位内に夫々組み込まれた加熱部品の複数のグループにより、プリフォーム内の温度勾配を制御する独立の温度制御下で、熱が加えられるのが好ましい。更に、又は、一方で、プリフォームと実質同軸状態でプリフォーム内部に配置された加熱部品により、プリフォームに熱が加えられてもよい。更に、パンチを加熱することにより、プリフォームに熱が加えられてもよい。
【0014】
更に、設定形状のネック部位が、形成される物品にねじクロージャを締めるためのねじ山即ち突起、及び/又は、ネックリングを含む場合、ダイ壁は、プリフォームの拡張の間にねじをプリフォームに与えるための、内部に形成されるねじ即ち突起を伴うネック部位を有してもよい。
【0015】
従来、圧力ラム形成操作では、顧客の要求を満たすために容器などの物品につき信頼できる生成に重きが置かれ、(欠陥を回避する観点から)“安全”であり結果として相対的に長いサイクル時間となる圧力を利用した。本明細書で用いられるように、“欠陥”は、プリフォームの製造における瑕疵、及び/又は合金の成形性に対する固有の限界から生じる、生成された物品のピンホールやスプリットなどの構造上のきずを意味する。
【特許文献1】米国特許第6802196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、製造の経済性のために、受容可能な成形特性を達成し特に生成される物品の欠陥を回避しつつも、PRFプロセスのサイクル時間(一つの容器若しくは他の物品を成形する時間)を減少させることが望まれている。より一般的にいうと、PRFプロセスなどの複雑な成形プロセスにつきコンピュータ制御の向上を達成することが、望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の形態にて、本発明は方法の提示を意図する。即ち、ワークピースの欠陥を回避しつつ、ワークピースが拡張してダイの物品形状画定壁に接触するように正味内部流体圧力にワークピースをさらすことによって、当初の中空金属プリフォームからダイ内の中空金属物品にワークピースを成形するためのプロセスに対する圧力時間履歴を最適化するコンピュータ実装プログラムの一部としてコンピュータシステムにより実施される方法であって、
温度及びプリフォーム材料特性及び寸法を含む、プロセスパラメータのセットを選択するステップ、
上記パラメータのセットから、ワークピースが欠陥無いようにさらされる圧力時間条件を限界付ける少なくとも一つの欠陥基準を決定するステップ、及び、
選択したパラメータのセット及び決定した欠陥基準に基づいて、複数の種々の圧力時間条件(P、t)の各々につき、ワークピースに関する有限要素解析を繰り返して実施し、プロセスのための圧力時間境界条件(P、t)を決定するステップ
を含み、
圧力時間条件の各々の値は、正味内部流体圧力値(P)、及び正味内部流体圧力の上述値がワークピースに加えられる時間間隔(t)を含むことを特徴とする方法である。
【0018】
欠陥基準が、最小限の壁厚さ、歪み、及び歪み率からなるグループから選択されてもよい。
【0019】
(P、t)を決定するステップが、
時間間隔を選択すること、及び、
複数の種々の圧力条件の各々につき、ワークピースに関する有限要素解析を繰り返して実施し、ワークピースが欠陥無いように上記時間間隔でさらされ得る最大限の正味内部流体圧力値を境界条件として決定すること
を含んでもよい。
【0020】
更に、方法は、
プロセスパラメータの上記第1のセットに対応するが、上記第1の圧力時間境界条件(Pb1、tb1)への従属によりワークピースにかけられる変形によって修正されるプロセスパラメータの第2のセットを決定するステップ、及び、
プロセスパラメータの上記第2のセットから、少なくとも一つの第2の欠陥基準を決定し、更に、パラメータの第2のセット及び決定された第2の欠陥基準に基づいて繰り返して実施された有限要素解析により、プロセスのための第2の圧力時間境界条件(Pb2、tb2)を決定するステップ
を含んでもよい。
【0021】
これらステップが繰り返され、複数n個(n≧3)の圧力時間境界条件を決定し、
3≦i≦nである個々の整数iに対して、プロセスパラメータのi番目のセットは、プロセスパラメータの(i−1)番目のセットに対応するが、(i−1)番目の圧力時間境界条件(Pb1−1、tb1−1)への従属によりワークピースにかけられる変形によって修正され、
i番目の欠陥基準はプロセスパラメータのi番目のセットから決定され、
i番目の圧力時間境界条件(Pb1、tb1)は、パラメータのi番目のセット及び決定されたi番目の欠陥基準に基づいて繰り返して実施された有限要素解析により決定され、
従って、上記プロセスのための最適化圧力時間履歴を全体で構成する圧力時間境界条件のn個の連続セット({Pb1、tb1},...{Pbn、tbn})を決定してもよい。
【0022】
後者の方法では、圧力時間境界条件の少なくとも一つのセットが、予め選択された時間値(t)に対する複数の圧力値(P)の各々につき繰り返して実施された有限要素解析により決定されてもよい。他方で、圧力時間境界条件の少なくとも一つのセットが、予め選択された圧力値(P)に対する複数の時間値(t)の各々につき繰り返して実施された有限要素解析により決定されてもよい。
【0023】
更なる形態では、本発明はプロセスに関する。即ち、画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形するプロセスであって、
形状及び側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれたダイキャビティ内に、閉じた端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、プリフォームの閉じた端部がキャビティの一つの端部に対向する関係で配置され、プリフォームの少なくとも一部がダイ壁から内側に当初間隔をあけられるステップ、及び、
コンピュータの制御の下で、プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の画定された形状及び側面寸法を与え、キャビティの上記一つの端部に向かう上記流体圧力作用力を上記の閉じた端部に与えるステップ
を含み、
更に、
上記コンピュータに対して、上述のように決定される上記プロセスのための最適化圧力時間履歴を供給するステップ、及び、
上記最適化圧力時間履歴を構成する圧力時間境界条件のn個の連続セット({Pb1、tb1},...{Pbn、tbn})の夫々に対応する圧力時間条件のn個の連続セットに、プリフォームをさらすステップ
を含み、
更に、
連続して減少する正味内部流体圧力値を夫々有する、圧力時間条件の連続セット(P、t)に、プリフォームをさらし、圧力時間条件の上記連続セットがプロセスのための所定の境界条件の範囲内であるステップ
を含む。
【0024】
更に、本発明はPRFプロセスに関する。即ち、画定された形状及び側面寸法の中空金属物品(例えば、金属容器)を成形するプロセスであって、
形状及び側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれたダイキャビティ内に、閉じた端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、パンチがキャビティの一つの端部に配置されてキャビティ内に移動自在であり、プリフォームの閉じた端部がパンチに近接して対向する関係で配置され、プリフォームの少なくとも一部がダイ壁から内側に当初間隔をあけられるステップ、及び、
コンピュータの制御の下で、プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の画定された形状及び側面寸法を与え、上記流体圧力が、上記の閉じた端部において、キャビティの上記一つの端部に向かって、力をはたらかせるステップ、及び、
パンチをキャビティ内に移動し、プリフォームへの流体圧力により作用する力の方向と反対の方向でプリフォームの閉じた端部に係合して該端部を動かすステップ
を含み、
更に、
上記コンピュータに対して、上述の方法により上記プロセスのために決定される圧力時間境界条件を供給するステップ、及び、
これらの圧力時間境界条件に対応する圧力時間条件に、プリフォームをさらすステップ
を含むことを特徴とするプロセスである。
【0025】
特に、PRFプロセスは、
ワークピースが欠陥無いようにさらされる圧力時間条件を限界付ける欠陥基準(例えば、歪み率の限界値)を、上記プリフォームに対して決定するステップ、
プリフォームに関する有限要素解析を繰り返して実施することによって、正味内部流体圧力の初期値、上記初期値がプリフォームに適用される初期時間間隔、上記初期時間間隔に続く複数の後続の時間間隔、及び、上記複数の後続の時間間隔に夫々プリフォームに適用される正味内部流体圧力の対応の複数の連続下方値を含むプリフォームのための圧力時間履歴を展開するステップであって、内部流体圧力値及び時間間隔の期間が上記圧力時間履歴の全体に渡って欠陥基準を超えることが決して無いステップ、
上記コンピュータに対して、上記圧力時間履歴を供給するステップ、及び、
上記圧力時間履歴に、プリフォームをさらすことによって、プリフォームを正味内部流体圧力にさらすステップ
を含んでもよい。
【0026】
本発明に係るPRFプロセスは、
ダイ壁内の所定の位置でプリフォームの接触を感知する、及び/又は、プロセス実施の間にプリフォームがさらされる温度条件を感知するステップ、
感知した情報をコンピュータに供給するステップを含み、
プロセスのコンピュータ制御は供給された情報に応答するものであってもよい。
【0027】
更に、本発明は装置の提示を意図する。即ち、閉じた端部を有する中空金属プリフォームから、画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形する装置であって、
プリフォームの少なくとも一部をダイ壁から内側に当初間隔を開けて配置し、プリフォームの閉じた端部をキャビティの一つの端部に対向させ、上記キャビティが上記形状及び側面寸法を画定するダイ壁を有し、内部でプリフォームを受けるダイキャビティを設けるダイ構造、
キャビティの一つの端部に配置され、キャビティ内部で受けられるプリフォームの閉じた端部が近接して対向する関係に位置するようにキャビティ内へ移動自在であるパンチ、
キャビティ内部でプリフォームを正味内部流体圧力にさらしてプリフォームを外側へ拡張しダイ壁と完全に接触させ、これによりプリフォームに上記の画定された形状及び側面寸法を与え、上記流体圧力が上記閉じた端部においてキャビティの上記一つの端部に向けられて、力をはたらかせる流体圧力供給部、及び、
流体圧力の供給とパンチの移動のうち少なくとも一つを制御するコンピュータ
を含み、
更に、
ダイ壁内の位置に配置されダイ壁とプリフォームの接触を感知し、感知された接触を示す情報をコンピュータに供給する少なくとも一つのセンサであって、プロセスのコンピュータ制御は供給された接触情報に応答するものであるセンサ
を含むことを特徴とする装置である。
【0028】
上記センサが、ダイ壁にてさらされる導電体を含み、
プリフォームがダイ壁に接触するとき、接触情報が上記コンピュータに供給されるように、上記導電体が上記コンピュータに接続してもよい。
【0029】
上記の装置は、プロセス実施の間にプリフォームがさらされる温度条件を感知しコンピュータに感知した温度条件を示す情報を供給する少なくとも一つのセンサを更に含み、プロセスのコンピュータ制御は供給された温度情報に応答するものであってもよい。
【0030】
本発明の別の形態に係る画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形するプロセスは、
形状及び側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれたダイキャビティ内に、片方が閉じられている向かい合う端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、キャビティが軸と、プリフォームの閉じられた端部に対向する閉じた内側端部とを有し、プリフォームの少なくとも一部が当初ダイ壁から内側に間隔をあけて配置され、ラムが閉じた内側端部に向かってキャビティ軸方向で移動自在でありプリフォームの他の端部にキャビティの閉じた端部に向かう方向へ力をはたらかせるステップ、
プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の画定された形状及び側面寸法をプリフォームに与え、キャビティの上記一つの端部に向かう上記流体圧力作用力を上記の閉じた端部に与えるステップ、及び、
ラムを移動し、プリフォームの上記他の端部をダイキャビティの閉じた端部に向かって動かすステップ
を含んでもよい。
このプロセスでは、ダイ壁が、
キャビティの上記閉じた端部近傍の固定部位と、
固定のダイ壁部位及び移動自在のダイ壁部位が接触する限界位置とは、固定のダイ壁部位及び移動自在のダイ壁部位が離れて配置する初期位置から、ラムによりキャビティの閉じた端部に向かって移動するように構成される、ダイキャビティ軸方向に滑動自在の移動自在部位を含み、
ラムを移動するステップにより、ダイ壁の移動自在部位がラムと共に上記初期位置から上記限界位置まで移動することが、好ましい。
【0031】
キャビティの閉じた端部が、キャビティ内へ移動自在のパンチにより閉じられていてもよい。パンチはPRFプロセス全体に渡って固定され続けてもよい。
他方で、プリフォームの閉じた端部がパンチと近接して対向する関係に配置され、
プロセスが、パンチをキャビティ内に移動し、プリフォームへの流体圧力により作用する力の方向と反対の方向でプリフォームの閉じた端部に係合して該端部を動かし、プリフォームの閉じた端部を変形するステップを含んでもよい。
【0032】
プリフォームを正味内部流体圧力にさらすステップに加えて、ラムの移動は、通常コンピュータ制御される。プロセスは、ダイ壁内の所定の位置でのプリフォームの接触を感知し感知された接触を示す情報をコンピュータに供給するステップを含み、ラムの移動のコンピュータ制御が供給される接触情報に応答するものであってもよく、及び/又は、
上記コンピュータに対して、上述の方法により上記プロセスのために決定される圧力時間境界条件を供給するステップ、及び、
上述の方法により決定される圧力時間境界条件に対応する圧力時間条件に、プリフォームをさらすステップ
を含んでもよい。
【0033】
この形態においても、本発明は装置に関する。即ち、一方が閉じている向かい合う端部を有する中空金属プリフォームから、画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形する装置であって、
プリフォームの少なくとも一部をダイ壁から内側に当初間隔を開けて配置し、プリフォームの閉じた端部を、キャビティの閉じられた一つの端部に対向させ、内部でプリフォームを受けるための、軸と、上記形状及び側面寸法を画定するダイ壁とを有するダイキャビティを設けるダイ構造、
閉じた内側端部に向かってキャビティの軸方向に移動自在であり、キャビティの閉じた内側端部に向かう方向にプリフォームの別の端部に力をはたらかせるように配置されたラム、及び、
キャビティ内部でプリフォームを内部流体圧力にさらしてプリフォームを外側へ拡張しダイ壁と完全に接触させ、これによりプリフォームに上記の画定された形状及び側面寸法を与え、上記流体圧力が、上記の閉じたプリフォームの端部において、キャビティの上記一つの端部に向けられて力をはたらかせる流体圧力供給部
を含むことを特徴とする装置である。
【0034】
ダイ壁が、
キャビティの上記閉じた端部近傍の固定部位と、
固定のダイ壁部位及び移動自在のダイ壁部位が接触する限界位置とは、固定のダイ壁部位及び移動自在のダイ壁部位が離れて配置する初期位置から、ラムによりダイキャビティの閉じた端部に向かって移動するように構成される、ダイキャビティ軸方向に滑動自在の移動自在部位を含み、
ラムを移動するステップにより、ダイ壁の移動自在部位がラムと共に上記初期位置から上記限界位置まで移動する
ことが好ましい。
上記ダイ構造が、
ダイ壁の上記移動自在部位を滑動自在に受け、固定ダイ壁部位によりキャビティの閉じた端部から間隔をあけられて配置される拡張凹み部を含むことが好ましい。
【0035】
装置は、ダイキャビティの上記の閉じた端部をふさぐパンチも含んでもよい。パンチが、キャビティ内に移動自在であり、プリフォームへの流体圧力により作用する力の方向と反対の方向でプリフォームの閉じた端部に係合して該端部を動かすものであってもよい。更に、ラムの移動がコンピュータにより制御される場合、装置は、ダイ壁内の所定の位置にてプリフォームの接触を感知し、感知された接触を示す情報をコンピュータに供給するセンサを、含んでもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面を参照しつつ以下に記述する詳細な説明から、明白である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(本発明を実施するための最良の形態)
(圧力−ラム−成形)
本発明の新規性の説明を進めるために、前述の米国特許第6802196号で従前開示された圧力−ラム−成形方法及び装置を、係属中の出願の方法及び装置を示す図1−16を参照して、最初に記述する。
【0038】
特に、係属中の出願の方法及び装置は、ハイドロ(液体や気体の、内部流体圧力)とパンチ成形、即ちPRF手順との組み合わせを利用する、線対称である必要のない(容器の形状上の軸に関する放射状対象である)凹凸状形状を有するアルミニウム容器を成形する方法として、記述される。PRF製造プロセスは2つの明確な段階を有しており、プリフォームの作成と、これに続く最終の容器の中へのプリフォームの成形である。完全な成形の経路のための幾つかのオプションが係属中の出願に記述される。適切な選択は利用するアルミニウムシートの成形性により決定される。
【0039】
再結晶化され若しくは再生されたマイクロ構造を有し、例えば0.25mm〜1.5mmの範囲の規格寸法を伴うアルミニウムシート(本明細書では、“アルミニウム”の用語は純粋なアルミニウム金属だけでなくアルミニウムベースの合金も意味する。)から、プリフォームは形成される(PRF成形は、スチールなどの他の材料から中空金属物品を形づくるのにも利用され得る)。プリフォームは、例えば、ドロー・リドロープロセス若しくはバック押し出しにより、形成され得る端部の閉じたシリンダである。プリフォームの直径は、所望の容器製品の最小限直径と最大限直径の間となる。後続の成形操作の前に、ねじやまがプリフォーム上に形成されてもよい。プリフォームの閉じた端部のプロフィールは、最終製品の底部プロフィールの形成で役立つように設計されてもよい。
【0040】
図1に示すように、本発明の方法のためのツーリングアセンブリは、軸方向が鉛直なボトル形状を画定するプロフィールキャビティ11を伴うスプリットダイ10、容器の底部のために要請されるプロフィール(例えば、例示のように、成形される容器の底部にドーム形状を与えるための凸状ドームプロフィール)を有するパンチ12、及び、パンチに付随するラム14を含む。図1では、スプリットダイの2つの半分部分のうちの一つのみが示され、他の半分部分は例示のダイの半分部分のミラーイメージである。2つの半分部分は、ダイキャビティ11の壁により画定されるボトル形状の幾何学上の軸を含む平面で合わさることは、明白である。
【0041】
(キャビティのボトル形状のネック部に対応する)ダイキャビティ11の上方開口端部11aの、ダイキャビティ11の最小直径は、クリアランス(隙間)のための遊びを伴ってキャビティ内に配置されるプリフォームの外側直径(図2A参照)に等しい。プリフォームは、最初パンチ12の僅か上に配置され、開口端部11aにて内部加圧をさせるための概略描写の圧力フィッティング16を有する。加圧は、例えば、プリフォームの上方開口端部内に形成されるねじやまに対するカップリングによって、若しくは、プリフォームの開口端部の中にチューブを挿入しスプリットダイによるシールを形成することによって、又は、他の圧力フィッティングによって、達成され得る。
【0042】
加圧ステップは、プリフォームをキャビティ内部で拡張させプリフォームの壁部をキャビティ画定ダイ壁まで実質的に完全に押しやり、拡張したプリフォームにキャビティの形状及び横寸法を与えるのに十分な、圧力にて水や空気などの流体を、中空プリフォームの内部に注入するステップを含む。一般的に言って、利用される流体は圧縮性でも非圧縮性でもよく、質量、流量、体積又は圧力のいずれもが、プリフォーム壁がさらされる圧力を制御するように制御される。流体を選択する際、成形操作で利用される温度状況を考慮に入れることが必要である。例えば、水がその流体であるのならば、温度は100°Cより低くなければならないし、より高い温度が要求されるならば、その流体は空気などの気体であるか、成形操作の温度で沸騰しない液体であるべきである。
【0043】
加圧ステップの結果として、ダイ壁に成形された具体的なレリーフ特性が、結果物たる容器の表面の逆ミラーイメージ成形で再生される。生成される容器のそのような特性、若しくは全体形状が線対称でなくとも、スプリットダイを使用するがゆえに、容器は困難なくツーリングから取り外される。
【0044】
図2A及び図2Bに例示される特定の構成では、プリフォーム18は、閉じた底部20及び開口上方端部22を伴う中空円筒アルミニウムワークピースであり、該ワークピースは成形されるボトル形状のネックの外側直径に等しい外側直径を有し、PRF操作の成形歪みは、(温度及び変形率に依存する)プリフォームの成形性により設定される境界の範囲内である。プリフォームがこの成形性特性を有するので、ダイキャビティ11の形状は最終製品に対して要求されるように正確に作成され、製品は単回のPRF操作で作成され得る。ラム14のモーションと内部加圧の率は、成形操作の歪みを最小限にして容器の所望の形状を作成するようなものである。内部圧力によるプリフォームの拡張からネック及び側壁特性が先ず生成され、底部の形状は、ラムとパンチ12のモーション、及び、プリフォームの閉じた端部20に対向するパンチ表面のプロフィールにより、先ず画定される。
【0045】
内部流体圧力の加圧と、ラム及びパンチの操作(ダイキャビティの中への移行)との正確な同期は、PRF方法の実施において重要である。図3は、流量により制御される、空気圧による図2A及び図2Bの成形操作を示すコンピュータ生成のシミュレートデータ(一連の有限要素解析アウトプット)のプロットを示す。特に、グラフは、関連する圧力とラム時系列を示す。図3から明らかなように、プリフォーム内部の流体圧力は、以下の連続する段階で発生する。
(i)プリフォームの拡張の開始前の第1のピーク24への上昇段階。
(ii)拡張が開始して最小限値26までの下降段階。
(iii)プリフォームが広がるがダイ壁との完全な接触には到らない状態にまで、拡張が進むに連れて、中間値28まで徐々に上昇する段階。
(iv)プリフォームの拡張の完了の間に、中間値から(30にて)より急速に上昇する段階。
この一連の圧力段階を参照すると、プリフォームの閉じた端部を変位して変形するためのパンチの移行の開始は、(32にて)実質的にステージ(iii)の終わりにて生じる。時間、圧力、及びラムの変位の単位は、グラフ上に示される。(コンピュータ生成のシミュレーションにおける)プリフォームへの図3に示す操作の効果は、図3のx軸に示される時間0.0秒、0.096秒、0.134秒、及び0.21秒に対する図6A、図6B、図6C及び図6Dで、示される。
【0046】
中空プリフォームへの内部流体圧力の注入の端緒では、パンチ12は、供給される内部圧力の影響下でプリフォームの軸方向の伸びを限定するように、(図示するような、ツーリングの軸鉛直方向を仮定して)プリフォームの閉じた端部の下方に非常に近接した(例えば、接触する)関係で配置される。プリフォームの拡張が実質的に完全とはいえない程度に到達したに過ぎない場合、ラム14はパンチを上方に強制的に移行するように動作し、プリフォームの閉じた端部の金属部を上方に移動し閉じた端部をパンチ表面のプロフィールの中へと変形し、内部圧力によるプリフォームの横拡張を完了させる。これら記載した実施形態では、閉じたプリフォーム端部を上方に移動しても、ラムがパンチを上方に駆動し始めるときに既に発生しているプリフォーム拡張の範囲によっては、ダイに対するプリフォームの上方の移動は生じることが無く、また(ラムの時期尚早の情報操作により生じ得るような)プリフォームの側壁をゆがめてしまうことも無い。
【0047】
上述の係属中の出願のPRF方法の第2の実施形態は、図4A−図4Dに例示される。この実施形態では、図2A及び図2Bのように、円筒プリフォーム38は、最終製品の最小限直径(ネック)に等しい初期の外側直径を有する。しかしながら、この実施形態では、PRF操作の成形歪みはプリフォームの成形限界を超えることが、想定されている。この場合、2つの一連の圧力形成操作が要求される。第1のもの(図4A、図4B)はラムを必要とせず、単一のスプリットダイ40内部でプリフォームを内部加圧によってより大きい直径のワークピース38aにまで拡張するに過ぎない。第2のものは、PRF手順(図4C、図4D)であり、ダイ40内で最初拡張されたワークピースで始まり、ボトル形状キャビティ44を伴うスプリットダイ42と、ラム48で駆動されるパンチ46とを利用し、即ち、内部圧力とラムのモーションとを利用し、ボトルの側壁プロフィール及びプロフィールに関する全ての特徴を含む最終の所望のボトル形状を生成する。これら全ての特徴は主としてパンチ46の作用により生成される。
【0048】
第3の実施形態は、図5A及び図5Bに示される。この実施形態では、この実施形態では、プリフォーム50は、最終のボトル形状の容器の所望の最小限の外側直径(通常はネック直径)より大きい初期の外側直径を伴って、形成される。プリフォームのこの選択は、成形前操作の成形限界の考慮の結果であってもよく、PRF操作における歪みを減少するように選択されるものであってもよい。結果として、最終の製品の製造は、プリフォームの直径方向の拡張と圧縮の両方を含まねばならず、このことはPRF装置のみで成し遂げられ得るものでもない。単一のPRF操作(図5A、スプリットダイ52及びラム駆動パンチ54を利用する)が、(図2A及び図2Bの実施形態のように)壁及び凹部プロフィールを成形するのに利用され、スピン成形若しくは他のネッキング操作が容器のネックを形付けるのに要求される。図5Bに示されるように、利用可能であるスピン成形手順の一つのタイプは、米国特許第6442988号に示されるものであり、その開示内容全体はここに参照の上で本明細書に援用されるのであるが、スピン成形ディスク56の複数のタンデムセットと、ボトルネック60を形付けるテーパー形状のマンドレル58を利用する。
【0049】
上述のPRF手順の実施では、PRF歪みが大きくてもよい。従って合金構成物は、所望の製品特性及び拡張成形性の組み合わせをもたらすように、選択され若しくは調整される。さらに良い成形性が要求されるならば、温度の増加がより良い成形性を与えるので、後で記載するように成形温度が調整されるのが好ましい。よって、PRF操作は高い温度でされる必要があってもよいし、及び/又は、プリフォームは、成形性を増加するために再生アニールを要求するようにしてもよい。
【0050】
(図2A及び図2Bのように)ラム駆動パンチ12をダイキャビティ11の中に移動させプリフォーム18の閉じた端部20を移動し変形することの重要性は、図6A−図6Dと共に考察して(上述のように)図3の参照により更に説明可能である。図6A−図6Dでは、点線はダイキャビティ11の鉛直プロフィールを表し、内部圧力の開始後の複数回のドームプロフィールのパンチ12の(ミリメートルの)移動は、上記点線の右手側のスケールにより表される。
【0051】
ラムは、アルミニウムボトルの成形において2つの機能を果たす。それは軸方向のテンソル歪みを限定し、容器の底部の形状を成形する。最初に、ラム駆動パンチ12はプリフォーム18の底部に非常に近接して、若しくは僅かに接触して保持される(図6A)。このことは、内部加圧の結果として別途生じ得るプリフォーム壁の軸方向の伸張を最小限とするように機能する。従って、内部圧力が増すにつれて、プリフォームの側壁は拡張し、酷く伸びることなくダイの内側に接触する。これらの記載の形態では、通常プリフォームの中央領域が最初拡張する。この拡張の領域は下方にも上方にもプリフォームの長手に沿って成長し、ある時点でプリフォームの底部は、ダイキャビティの半径に概略等しい半球の半径を伴う、略半球形状となる(図6B)。ラムがパンチ12を上方に駆動するように作動しなければならないのは、この時点若しくはこの時点の直前である。ラムのノーズのプロフィール(即ち、パンチ表面プロフィール)は容器の底部のプロフィールを完全に画定する。内部流体圧力により、ダイキャビティ壁に押し当てられてプリフォームのモールドが完成されると(図6B、図6C、及び図6Dのボトル肩部及びネック参照)、欠陥を導いてしまうと考えられる過剰なテンソル歪みを生じることなく所望のプロフィールを生成するように(図6D)、内部圧力と合わせてラムのモーションにより、パンチ表面のプロフィールへプリフォームの底部が押し付けられる。ラムの上方のモーションは、圧縮力をプリフォームの半球領域に加え、加圧操作により生じる一般的な歪みを減少させ、部材を放射外方向に逃がしパンチノーズのプロフィールを満たす助けとなる。
【0052】
内部加圧の率に対して、ラムモーションがあまりに早く加えられると、圧縮軸方向の力のためにプリフォームはゆがんで折り重なりがちになる。加えるのが遅くなりすぎると、部材は欠陥を生じてしまう軸方向の過剰な歪みを被ることになる。従って、成形操作の成功のためには、内部加圧の率とラム及びパンチノーズのモーションとの調整が要求される。プロセスの有限要素解析(FEA)によって、必要なタイミングが最もうまく取られる。図3はFEAの結果に基づく。
【0053】
正の(即ち、大気圧を超える)流体圧力は、ダイキャビティ内部のプリフォーム外面に加えられないとして、これまでPRF方法を説明し、図3に示してきた。この場合、キャビティ内のプリフォームへの外からの圧力は、実質的に周囲の大気圧となる。プリフォームが拡張するとき、キャビティ内の空気は、(プリフォームの外面とダイ壁との間の容積が徐々に減少することにより)排出のために設けられダイキャビティとダイの外部との間で連絡する適切な排出開口部、若しくは通路を介して、外へ駆り出される。
【0054】
例として、特にアルミニウム容器について言うと、正の外部圧力を加えることが無い場合、プリフォームが成形上変形すること(流れること)を開始すると、圧力−ラム−成形操作のプロセス温度(約300°C)でのアルミニウム合金の低い若しくはゼロの加工硬化のために、プリフォームの歪み率が非常に速くなり事実上制御不能になる。
【0055】
即ち、その温度では、アルミニウム合金の加工硬化率は事実上ゼロであり、延性(即ち、成形限界)は、歪み率の増加と共に、減少する。従って、成形操作の歪み率が増加しアルミニウムの延性が減少するので、所望の最終形状の容器製品を作成できなくなってしまう。
【0056】
PRF方法の更に重要な特性に従って、プリフォームの内部に正の流体圧力を加えるのと同時に、正の流体圧力がキャビティ内のプリフォームの外面に加えられる。これらの外側と内側の正の流体圧力は、夫々2つの独立に制御される圧力システムにより与えられる。外部の正の流体圧力は、ダイと拡張プリフォームとの間の容積で正の圧力を維持するように、正の流体圧力の独立制御自在の源を前述の排出開口部若しくは通路に繋げることによって、供給されても良い。
【0057】
図7及び図8は、正の外部圧力制御を伴って、及び伴わないで、容器を圧力ラム成形するための、時間に対する圧力、及び時間に対する歪みを比較する(本明細書で“歪み”という用語は、外の力により本体に生じる単位長さあたりの伸びである)。図7のライン101は、図3の線で示された“圧力”に対応し、この場合プリフォームに作用する外部の正の流体圧力はない。図8のライン103は、FEAにより決定される一つの特定の位置(要素)に対する結果としての歪みを示す。この場合歪みは瞬発的であることは明白であり、非常に高い歪み率と非常に短い時間を与えてダイ壁と接触するプリフォームを拡張する。対照的に、図7のライン105、107、及び109は、外部の圧力と内部の圧力の両方が制御されるとき、即ち、独立して制御される外部と内部の正の流体圧力がダイキャビティ内のプリフォームに同時に加えられるときの、内部の正の流体圧力、外部の正の流体圧力、及び両者の差異を夫々示す。プリフォームの拡張を実効あらしめるのに必要な正味の正の内部−外部圧力差が存在するように、内部圧力は外部圧力よりも高い。図8のライン111は、ライン105、107、109で示される独立制御内部−外部圧力状況に対するフープ歪み(拡張時のプリフォームの回りの水平面で生じる歪み)を示す。ライン111により示されるフープ歪みは、ライン103と同じ最終値に到達するが、より長い時間より低い歪み率であることがわかる。図8のライン115は軸方向歪み(プリフォームが長くなる際に鉛直方向に生じる歪み)を示す。
【0058】
ダイキャビティのプリフォームへ作用する独立制御可能な内部及び外部の正の流体圧力を同時に与え、この内部及び外部圧力の間の際を変動させることによって、成形操作は完全に制御状態にあり、非常に高く制御不可能な歪み率を回避する。プリフォームの延性、及び操作の成形限界は、2つの理由のために、増大する。第1に、成形操作の歪み率を減少させると、アルミニウム合金の本来の延性を増大させる。第2に、外部の正の圧力を加えると、拡張するプリフォームの壁内の静力学的ストレスが減少する(更に、潜在的には負にもなり得る)。このことにより、金属の微小空洞及び金属間粒子に関連する損傷の有害効果を減少できる。本明細書の“静力学ストレス”という用語は、x、y、及びz方向の3つの法線応力の算術平均のことである。
【0059】
ここに記載する特性は、成形操作の歪み率を制御できることにより及び成形の間に金属の静力学ストレスを減らすことにより、ボトル形状などのアルミニウム容器をうまく作成する圧力ラム成形操作の能力を、向上させる。
【0060】
圧力差の選択は、プリフォームが形成される金属の材料特性に基づく。特に、金属の降伏ストレス及び加工硬化率が考慮されなければならない。プリフォームが可塑的に(即ち、非弾力的に)流れるためには、圧力差は、プリフォームの実効的な(ミーゼス)ストレスが降伏ストレスを超えるようなものでなければならない。正の加工硬化率であるならば、降伏ストレスを超えて(圧力から)固定して加えられる有効ストレスにより、金属は変形し、加えられる有効ストレスに等しいストレスレベルとなる。この時点で変形率ゼロに近づく。非常に低い若しくはゼロの加工硬化率の場合、金属は高い歪み率で変形し、モールド(ダイ)の壁に接触していくか若しくは破砕が生じるか、に到る。PRFプロセスのために予定された高温では、アルミニウム合金の加工硬化率はゼロにまで下がる。
【0061】
内部及び外部圧力の両方を供給する用途に適切な気体の例には、特段の限定はなく、窒素、空気及びアルゴン、更にこれらの気体の任意の混合物を含む。
【0062】
どの時点であっても、プリフォームの壁のどの点であっても、塑性のある歪み率は、瞬間の有効ストレスにのみ依存するのであり、該有効ストレスは圧力差にのみ依存する。外部圧力の選択は、プリフォームの壁の有効ストレスに、従って歪み率に、到達して制御するという包括的な原理により、内部圧力に依存する。
【0063】
図9は、成形プロセスで利用可能な別の制御メカニズムを示す。有限要素シミュレーションが、プロセスを最適化するのに利用されている。図9において、ライン120はプリフォームへ作用する内部圧力(Pin)を示し、ライン122はプリフォームに作用する外部圧力(Pout)を示し、ライン124は圧力差異(Pdiff=Pin−Pout)を示す.この図は、一つの制御方法からの圧力履歴を示す。この場合、内部キャビティの流体マスは一定に保たれ、(プリフォームの外の)外部キャビティの圧力は直線的に減少している。歪み率依存材料特性も、シミュレーション内に含まれる。この後者の制御メカニズムは、より単純なプロセスとなるので、現下好ましいといえる。
【0064】
図10は、温度勾配をプリフォームに誘導する加熱が、プリフォームに加えられるPRF方法に関する。図10に示されるように、パンチ12はプリフォーム18の底部と接触しており、パンチ12は加熱要素19を含む。これは底部から上方にプリフォームを加熱し、プリフォームを拡張させ、内部圧力が増えると底部から上方に成長させる。
【0065】
図11は拡張プロセスを表すグラフを示す。グラフの一つのラインは、ラム/パンチの移動を示し、他方はラム/パンチへの負荷における変動を示しており、いずれも時間の関数である。第3のラインは、プリフォームの内部圧力を示す。
【0066】
ポイントAではラムは約22.7kgの圧縮負荷を予め課されており、ポイントBではプリフォームは内部を加圧され1.14MPのレベルで保持されている。例示の手順では、ラムの位置はポイントBとCの間に配置され、68kgの圧縮ラム負荷を維持した。(ポイントCからDへの)ラム位置のインクリメントの後、ラム負荷がもはや迅速には下がらなかったとき、ラムの傾斜は約25mmの移動と約454kgの負荷まで(ポイントE)、続けられた。ポイントDからポイントEまでラムの傾斜の間、容器の底部プロフィールは、ポイントEが容器の成形の完了を表すように、プリフォームの拡張と同時に、成形された。
【0067】
図11のグラフが階段状の手順を示しているが、一つの円滑な操作で、例えば手順のコンピュータ化された制御を利用することにより、プリフォームを拡張し成形することも、可能である。この手順の利点は、誘導される温度勾配により、ラムとパンチが上方に動くにつれて底部から頂部まで拡張が徐々に進行する、ということである。プリフォームの全体長に渡って拡張が実質同時に発生する前述の方法と比べて、この技術は成形性の改良の減少に繋がることが、示されている。
【0068】
図10はパンチ12内部のみにある加熱要素を示しているが、成形の助けとなる別の加熱ゾーンを設けることが可能である。例えば、ダイキャビティの側壁内部に更なる独立の加熱要素を設けるだけでなく、プリフォームの頂部回りに更なる独立のヒータを設けることもできる。これら領域の各々での温度を独立して操作することにより、種々の容器の設計のための最適な拡張の履歴が開発される。
【0069】
図12は、平坦なディスクからのプリフォームの製造における一般的なシーケンスを示す。標準のドロー・リドロー技術がアルミニウムシート70において用いられており、該アルミニウムシート70は最初、中空の閉じた端部のシリンダ71に引かれ、該シリンダ71は直径がより小さく側壁がより長い第2のシリンダ72に再び引かれる。シリンダ72は再び引かれてシリンダ73を成形し、該シリンダ73は再び引かれてシリンダ74を成形する。シリンダ74は長細構成を有する。
【0070】
金属容器を成形するPRF方法の実施形態を実施するための、係属中の出願のPRF装置の形態が、図13−図16に示される。この装置は、軸方向が鉛直方向であるボトル形状を画定するプロフィールキャビティ211を伴うスプリットダイ210、(非対称であってもよい)所望の容器底部構成を与えるように輪郭されたパンチ212、パンチを動かすための後方ラム214、及び、図13に示すようなキャビティ内部にプリフォームが挿入されたときの金属(例えばアルミニウム)容器プリフォーム218とダイキャビティとの開口上方端部をシールするためのシールラム216を、含む。他の付属部品及び手段は以下に示す。
【0071】
図13−図16の装置のスプリットダイでは、相互交換可能な第1の挿入物219、及び第2のプロフィール区分若しくは挿入部221、223は、スプリット主要ダイ部材210で受けられるスプリット挿入ホルダ225の内側表面上に、適合する。これらの区分はステンシルとして機能し、成形される際に金属容器に装飾やエンボスを加えるためのレリーフパターン(本明細書では“レリーフ”という用語はポジとネガの両方のレリーフを称するものとする。)を形成された内側表面を有する。各々の挿入物219、221、223はそれ自身、分割した挿入物であり、2つの独立のスプリット挿入物ホルダ半分部分225a、225bの中に夫々適合する2つの独立ピース(219a、219b;221a、221b;223a、223b)で形成される。2つの独立のスプリット挿入物ホルダ半分部分225a、225bは夫々、2つの分割した主要ダイ部材半分部分210a、210bの軸方向が鉛直方向である対向する半円柱チャネル内で受けられる。
【0072】
気体はプリフォームの内部と外部の両方の加圧のための2つの独立チャネルを介してダイに供給される。ダイキャビティの内側とプリフォームの外側への気体の供給は、ダイ構造210及び挿入ホルダ225内のはめ合いポートを介して為されてもよく、該はめ合いポートからは(例えば)挿入物219、221、223を介してキャビティ内部に到る開口部若しくはチャネルが存在する。その開口部若しくはチャネルは成形される容器上に表面特性を形成し、従って、控えめに、例えば、容器表面設計の一部を構成するように、配置され構成される。独立の温度制御の下にある2つのグループの加熱要素227、229が、ダイの上方及び下方部位に夫々組み込まれ、操作の間温度勾配を制御する。加熱要素231は、プリフォームと同軸の状態で、プリフォーム内部に設けられる。この加熱要素は、プリフォームを拡張するためにプリフォームの内側に供給される気体を予熱する必要を無視できる。(パンチを加熱する手段として機能する)別の加熱要素233が後方ラム214に対して設けられ、このとき、器具の近接部位に配置される水力学負荷セルの過熱を回避する温度隔離リング235を伴う。
【0073】
図13−図16の装置の先述の特性により、ダイ変更、エネルギコストの減少、及び生産率の向上などが、迅速に向上し得ることになる。構成及び操作の経済性のためには、設けられ利用される過熱要素は、同軸要素231及び後方ラム要素233のみであることが望ましい。
【0074】
図13−図16の装置内に更に例示するように、(ねじクロージャキャップの付属を可能にする)ねじやま若しくはラグ、及び/又は、ネックリングが、製造率を向上させる目的で、独立のネック生成ステップではなく、PRF手順の間に容器のネック部位で且つPRF手順自信の一部として、成形されてもよい。このことは、(ダイキャビティのネック領域内で)プリフォームが拡張する際にねじ若しくはラグレリーフパターンがそこに加えられるように、成形される容器のネックに対応して、スプリットダイの内側表面部位のネガのねじ若しくはラグパターンを形成することによって、為され得る。このねじ成形操作のために、プリフォーム(若しくは少なくともネック部位)は、最終の成形容器のネックより直径が小さくなるように、寸法取りされる。
【0075】
特に図14−図16を参照すると、挿入物ホルダは、軸方向が鉛直方向であり概略半円柱の内側面を夫々有する2つのミラーイメージ半分部分225a、225bで構成される。第1の挿入物219と2つの第2の分割挿入物221、223は、ダイキャビティの軸に沿って隣接し縦並びして配置され、個々の第2の挿入物の個々の半分部分は、挿入物ホルダの2つの半分部分が対向した関係で合わせられるときに個々の分割挿入物の2つの半分部分が相互に対向して一致するように、分割挿入物ホルダの一つの半分部分に適合する。第1と第2の挿入物は、それらの水平方向の縁241,243,245で相互にはまり合い、分割挿入物ホルダの半分部分の内側表面内に形成される棚部247などの特徴部と相互に適合する外側表面を有する。更に、挿入物は、成形される容器の形状を画定するダイ壁全体を構成する。
【0076】
第1のプロフィール挿入物半分部分219a、219bの各々は、ボトル形状などの、所望の容器形状の、ネックを含む、上方部位の半分部分を画定する内側表面を有する。図13にて237で示されているように、(例示の形態の中の)この第1の分割挿入物の個々の半分部分のネック成形表面は、成形する容器のネックにキャップと係合するねじやまを与えるためのねじやまが、輪郭されている。第1の分割挿入物の内側表面の残余部は、滑らかな表面の容器を生成するように滑らかであってもよく、所望の表面粗さ若しくは繰り返しパターンを伴う容器を生成するように凹凸あるものであってもよい。
【0077】
2つの第2のプロフィール挿入物221、223のいずれか若しくは両方の一つ若しくは両方の半分部分は、成形される容器の表面にポジの及び/又はネガのレリーフパターン、デザイン、シンボル及び/又はレタリングを設けるように構成された内側面を有してもよい。対応する様々なデザイン若しくは表面を備えた成形される金属容器の製造で利用するために、複数セットの相互交換可能な挿入物が、例えば、相互に異なる表面特徴を備えることが好ましい。挿入物ホルダから挿入物の一つのセットを外し相互交換可能な挿入物の別のセットを補充することによって、ツーリングの変更は、非常に迅速に且つ簡易に為され得る。
【0078】
スプリットダイの対向する部品のシールは、ガスケット及びリングの必要を無くす精密な機械化によって、完遂される。
【0079】
図示される装置では、スプリットダイ部材210は、12のロッドヒータ249により加熱され、該ロッドヒータ249の各々はダイセットの鉛直方向高さの半分であり、夫々頂部から底部へ大アセンブリ内に鉛直方向に挿入される。ダイ内の温度勾配を制御できる複数の独立の温度制御システム(図示せず)によって、上方及び下方の2つのゾーンで加熱制御が為される。
【0080】
ダイキャビティ内部におけるプリフォームの内部加圧及び外部加圧のための気体は、2つのコンポーネント圧力抑制ブロック(スプリットダイ部材210)内の2つの分離チャネルを通過することによって、予熱されてもよい。外部加圧のためのチャネルはダイキャビティの中に排出し、内部加圧のためのチャネルはシールラム216を介してプリフォームの内部に排出する。該シールラム216に対し、シールラム気体ポート250を介して気体が供給される。
【0081】
加熱要素231は、シールラムに付属する加熱ロッド若しくは差し込みピンであり、プリフォームと同軸状で配置され、PRF手順の実施のためにシールラムが完全な下方配置にあるときには、プリフォームの開口上方端部を介してプリフォーム底部近くまでプリフォーム内で下方に延在する。要素231はそれ自身の分離温度制御システム(図示せず)を有する。プリフォーム自身に限って高温である必要があるので、この構成では、予熱が回避可能であり、気体予熱器具を省くことができ、更に少なくともダイ要素を予熱する必要がほとんど無い。後方ラムと同様に、シールラムには、近傍の水圧機械及び負荷セルの過熱を防ぐためのセラミック温度分離リング253が備わる。
【0082】
図13及び図16に示すように、装置には更に、水圧シールラムアダプタ255及び水圧後方ラムアダプタ257、分離リングシールラムアダプタ259、シールラムリング261、及び、スプリットメインダイ部材210の半分部分の各々のための上方及び下方圧力抑制端部キャップ263が設けられる。
【0083】
ラムを動かす水圧装置の別手段として、カムシステムが利用可能である。
【0084】
[プロセス最適化及びコンピュータ制御]
上述のタイプの及び前記係属中の出願における圧力ラム成形プロセス及び装置と共に利用されるのであるが、第1の実施形態に係る本発明は、成形プロセスの境界条件及びコンピュータ制御の最適化のための方法に関する。PRF及び従来のハイドロホーミング操作では、プリフォームを所望の形状に拡張するための、圧力とツーリングのモーションとの動作の組み合わせが要求される。現在の技術では、圧力時間履歴及びツーリングの機械的動作は特定された上で、全てのそのような操作はコンピュータ制御される。
【0085】
プロセス(サイクル)時間を最小限にして所望の製品特性を保証することには、プロセスの最適化が要求される。現下、ハイドロホーミング若しくはPRFタイプの操作のための境界条件P(t)は、実験と経験により決定される。この条件が最小限のサイクルタイムで製品を製造するのに最適であるという保証はない。
【0086】
本発明は、有限要素解析(FEA)によりプロセスのための境界条件を最適化すること、及び、研究室や現場の機械の制御ロジックにFEAからのアウトプット(特に、圧力時間履歴)を移転することを含む。より一般的にいうと、本発明は、機械を制御するために移転された分析からのアウトプットにより、プロセスを最適化するFEAを利用する。
【0087】
この第1の実施形態に係る本発明は、最適圧力時間履歴を確定すること、及び、プロセス制御コンピュータにツーリングからのフィードバックを与えることに関する。即ち、所与の危機的状況は超えられていないことを保証する圧力時間履歴の設定により、且つ、成形プロセスのコンピュータ制御へダイ壁センサによる“リアルタイム”のフィードバック
を与えることにより、本発明は、PRFなどのハイドロホーミング操作でのプロセス変数の最適設定をもたらすものである。
【0088】
従って、本実施形態では、概略、PRFプロセスのサイクルタイムを減少し、一方で条件に合った製品特性を保証し欠陥を回避する方法が提示される。“有限要素モデリング”、つまり、成形操作を最適化する圧力時間履歴を確立し、最小限の壁厚さや最大限の歪み率などの選択された変数に欠陥限界を適用するプロセスにより、このことが為される。即ち、有限要素解析(FEA)を利用して、PRF装置などの機械の制御部に移転され得る最適圧力時間履歴を設定し、更に、熱電対及び/又は連続セミナをダイ壁の中に組み込み、それらをフィードバックループを介して成形プロセスを制御するコンピュータシステムに接続しダイセットからPRFプロセスのコンピュータ制御部への能動的なフィードバックをもうけることにより、上記の方法が為される。
【0089】
有限要素モデリングには、塑性変形に関する温度及び歪み率の依存性を高信頼度で予測する材料構成方程式を有する成形プロセスの有限要素解析が要求される。成形操作を最適化する圧力時間履歴を設定するために有限要素解析が為される。このために、欠陥基準の設定が特定されなければならない。この基準の例には、最小限壁厚さ、最大限歪み成分及び最大限歪み率が含まれ、これら値を超えるとワークピース欠陥が生じ得る。ダイ壁内に埋め込まれる(熱電対及び連続の)能動プローブは、成形操作の状他に関してコンピュータ制御回路にフィードバックを為す。
【0090】
上述のように、PRFプロセスは、巻きシートから容器を生成するための、内部圧力とラムのモーションとの組み合わせを利用して、シートから容器を成形する。それは2ステッププロセスである。第1に、従来の打ち抜き、若しくは深絞り技術を利用してプリフォームがシートから作成される。第2に、プリフォームは高温で内部圧力にさらされダイセットの中に拡張するように強いられる。スプリットダイ及び着脱自在ラム若しくはパンチは、拡張するプリフォームを含み、ダイセットへの拡張後所望の形状をプリフォームに与える。内部圧力及びラムのモーションにより、プリフォームはラムのプロフィールに渡って流れるように強いられる。
【0091】
PRF操作では、プリフォームは内部圧力によりダイの中に拡張するように強いられるので、ラムは最初“ブローアウト”タイプの欠陥を回避する。次に、ラムは製品の最終形状を仕上げる。従って、成形される容器の底部の詳細を成形するためにいつラムを“押す”べきか知ることが重要である。
【0092】
内部圧力のコントロールは、“ブローアウト”欠陥を回避するために、更にサイクル時間を最小限にするために、重要な変数であり、両方の目的は、2つのプロセスの商業的利用にとって決定的なことである。ラムを動かしてダイセットをいつ閉じるのか知ることも重要である。この発明は、操作の圧力時間履歴を最適化するコンピュータFEAシミュレーションの利用を介して、更にダイ壁上への所与の配置後拡張プリフォームが動くときを検出する新しいセンサの導入を介して、圧力を制御しラム動作の時機を合わせることを目的とする。
【0093】
PRFプロセスを制御するのに利用されるコントロールソフトウエアにより、オペレータは、PRFプロセスの間の内部圧力(及び選択的に外部圧力)とラム位置の両方に対して“ランプする”又は“保持する”多数のステップを結合することができる。拡張する容器の壁内のストレスは、プリフォームが拡張するにつれて(固定の内部圧力に対して)急速に増加する。従って、壁内の歪み率は、内部圧力、拡張されたプリフォームの“直径”、及び温度に依存する。プリフォームの延性、若しくはその代わりの欠陥歪みは、歪み率及び温度に敏感に依存する。従って、PRFプロセスの間常に最大限歪み率の制御は重要である。プリフォームが欠陥無くダイ壁に到達できるようにプリフォームの延性を維持しつつ、プリフォームの拡張率を最大化するように圧力をコントロールすることによってのみ、最適化(最小限)サイクル時間が到達され得る。
【0094】
欠陥の基準として歪み率を利用することに関していうと、欠陥が発生しないように、プリフォームの個々の配置にて、歪み率を十分低く維持しつつ、プロセス(サイクル)タイムを最小限にする圧力プロフィールを決定することを、PRFプロセス最適化は含む。歪み率は、温度及び圧力に依存するのみならず、拡張の程度即ち壁薄さにも依存する。予め設定された時間依存圧力プロフィールを境界条件として課すことができ、プリフォーム拡張をプリフォーム内の所与の温度プロフィールに対して計算できる、従来のFEAとは異なり、PRFプロセス最適化では、温度及び歪み率依存の延性の制約(及び欠陥)の範囲内でPRF操作を仕上げるための最小限時間を与える圧力時間履歴の計算が、要求される。
【0095】
即ち、PRFのための、最小限時間で製品を生成する境界条件を計算するために、欠陥無く最小限時間で製品を成形する内部圧力時間履歴を知ることが必要である。そうするために、温度及び歪み率の関数としての限界の歪みが分かっていると仮定することが、必要である。温度及び歪み率の関数としてのテンソルテストデータにより、第1の見積もりがなされ得る。PRFプロセスは楕円バルジ及び平面歪み応力テストテストによりシミュレートされ得る歪み経路を有するので、(高温における)楕円バルジ及び平面歪み応力テストはよりよいテストである。第1の良好な近似に対して、このことは、プロセスはププリフォームがダイ内に拡張する際にリフォームの壁の個々の位置における所与の最大限歪み率を超えてはならないことを意味するに過ぎない。従って、目的を達成する圧力時間履歴を設定することが必要である。
【0096】
解決すべき課題は、欠陥無く、常時プロセスルートに沿って、加圧できる最大限圧力を決定することである。この分析のアウトプットは、時間、所与のプロセス温度及び材料特性の関数としての、内部圧力のプロフィールである(プリフォームが作成される材料の塑性の、温度及び歪み率への依存性がわからなければ、分析は殆ど若しくは全く役立たない。)
【0097】
所与の値を超過して塑性歪み率を生じない圧力時間履歴を設定することが目的であるので、開始から終了まで時間における10のインクリメントを選択し、以下のように個々のインクリメントに対して圧力を計算してもよい。個々のインクリメントにおいて、欠陥を生じないで加圧され得る最大限圧力を計算する。そのようにするためには、個々のインクリメントで圧力を増加させて、一連の従来の有限要素解析を行うことが必要である。欠陥が生じる前の、そのようにして得られる最大限の圧力は、圧力時間プロット一つの点となる。このステップからの金属の変形メッシュ及び“状態変数”は、次のステップの初期状態となり、その初期状態は圧力状態のセットを課して限界(欠陥)歪みを決定する。この手順により、プロセスを最適化しサイクル時間を最小限にする圧力−時間のプロットが得られる。このP(t)カーブは、実際のPRFプロセスに加えられ得る。図17は、最適化方法の概念のフローチャートである。
【0098】
図18Aは、一つの要素が内部圧力及びラム力の作用の下で放射外方向に動く際の、その要素の周方向歪み及び厚み歪みの発生を、プロットしたものである。その要素の塑性歪みは図18Bに示される。(水平ラインで示される)決定的な歪み率を超えるとき欠陥が発生すると仮定すると、“欠陥”は約18.6秒で発生するであろうことが明白である。
【0099】
FEAでは、個々の時間のインクリメントにおいて、全要素に関して、欠陥がいつ発生するかを判断するサーチがある。そのようなポイントを見つける際に、プロセスの2若しくは3インクリメント分戻り、新しい、開始プロセス時間の“状態”から、より低圧でのプロセスのFEAを再開する。格納された値は後で実際のプロセスのコントロールに利用される。
【0100】
シートの変形抵抗の温度及び歪み率感度、並びに、適切な温度、歪み率及び歪み経路における限界を成形する実験的評価を捕獲する適切な構成方程式が、重要である。
【0101】
ダイ壁への拡張を生じる圧力が加えられる前にプリフォームに課される温度勾配により、プロセスがプリフォームの高温の端部から低温の端部まで(若しくは、賦課される勾配に依存する所望のパターンにて)進展することが確保される。本発明の更なる特徴として、ダイの壁内に埋め込まれる連続プローブは前進するインタフェースを追跡できる。このプローブの例が、符号300を付されて、図19、図20、及び図21に示される。プローブは、細いワイヤ301で形成され、セラミックシール剤302及びセラミックチューブ303で同心状に囲まれ、最終のPRF容器の壁上ではその存在が分からないようにダイ壁304を通して配置される。接触フロントの前進に関する情報は、PRFプロセスのコンピュータ制御への更なるインプットとして利用可能である。例えば、プロセスを制御するソフトウエアでの予めの定義だけでなく動作中のインプットにも応じて、プロセス変数に関する決定が為され得る。
【0102】
所与の製品形状に対する、PRFプロセスを最適化する有限要素解析では、一連の分析が要求される。第1の分析では、変形されないプリフォームに対して加えられ得る最初の圧力が確立される。第2の後続の分析は、欠陥の基準の範囲内に留まりつつ、全プロセス時間を最小限にする圧力時間履歴を定義することである。最大限の歪み率が“欠陥”を規定すると仮定すれば、プリフォームの加圧若しくは拡張の間にて、拡張するプリフォームの任意の位置の歪み率が所与の臨界値を超えると、欠陥が発生する。温度及び歪み経路の関数として欠陥を確立し得る応力、バルジ、若しくは他の機械的テスト技術から、臨界の歪み率が決定され得る。第1の分析は、例えば1秒に渡って、連続してより高い圧力、例えば臨界歪み率の90%に達するまで、プリフォームに圧力ランプ負荷状況を加えるのみである。この圧力値、P1は、最小限の時間で製品を製造するマルチステップFEAプロセスの第1のステップの負荷状況となる。残余の分析は、次へのインプットとなるものからの形状及び“状態”アウトプットを伴う一連の“ジョブ”により、計算される。圧力境界条件は、例えば、個々の連続ジョブに対して、10%減少され、分析は繰り返される。このようにして、決定的な歪み率には(従って欠陥も)成形操作の間に到達することはないことを保証する圧力−プロセス時間のプロットが得られる。
【0103】
概略、リポートのためのロジック及びFEAアウトプットは以下のようになる。
【0104】
初期ステップ:(変形のない)プリフォームに加えられ得る最大限の圧力を決定する。最大限許容され得る歪み率(例えば、0.1秒−1)に達するまで、圧力を傾斜させる。第1の、一定圧力の、ステップのためのストレスを設定するように、戻る。
【0105】
次の後続のステップ:(a)圧力を加える。
(b)プリフォーム拡張の際、歪み率(欠陥基準)をモニタする。臨界状況を設定する。
(c)圧力を減らす。
(d)aに戻る。
【0106】
(現下約20秒から例えば約4秒への)サイクル時間を減少する特定の最適化/制御技術は、欠陥限界の直下のポイントまで先ず歪みが増加され次に低値まで戻されるシーケンスの繰り返しの迅速なシリーズを設けることを含む。このことにより、歪み率カーブは鋸歯パターンとなる。現下、低率の一定圧力はプリフォームを拡張するのに利用される。
【0107】
この圧力時間履歴を開発する分析手順を更に例示するにあたり、0.2s−1以上の歪み率は特定ワークピースでスプリット(欠陥)を生じると仮定する。臨界値を下回りつつ歪み率を最大限にするため、少なくとも一つ要素に対する臨界歪み率が超えられる圧力に達するまで、所与の時間インクリメント及び圧力の漸進性インクリメントを与えて、プリフォームへの有限要素解析を繰り返して行う。圧力値を減少し、臨界歪み率が再び超えられるまで、時間インクリメントに対して第2の低圧で有限要素解析が継続される。これらステップが繰り返され、初期の寸法からダイ壁までプリフォームを拡張する完全な圧力時間履歴が開発される。
【0108】
FEAにより開発されるこの圧力時間履歴の一つの例が、図22に示され、対応する歪み率履歴が図23に示される。図22は、本発明に係る変動圧力モデルを、従来用いられた一定圧力モデルと比較する。変動圧力モデルでは、プリフォーム内の正味内部流体圧力は、第1の秒で0から200psiまで増加し、約4秒間200psiで保持される。この時間のインクリメントの間、任意の要素の最大限の歪み率(図23)は最初、0.14s−1未満で急増し、プリフォームが拡張を始めるにつれて下落し、4秒の終わりあたりで0.2s−1の限界値にまで上昇する。圧力は、夫々約10psiの6段階で減少し、個々の段階でごく短時間保持される。個々の圧力の減少と共に最大限の歪み率は突然下落するが直後に限界値にまで迅速に上昇する。しかしながら、圧力が連続して下落することで、最大限の歪み率が限界値を超えることが回避される。約6秒後、約140psiの圧力で、ワークピースはダイ壁に到達する。
【0109】
対照的に、一定圧力モデルでは、圧力の初期増加は、1秒で140psiに到るものに過ぎず、ワークピースが約18秒後にダイ壁に到達するまで、圧力は(過度の歪み率を回避するため)そのレベルで保持される。その場合でも、図23は、ワークピースがダイ壁に到達したときに一定圧力モデルに対する最大限歪み率は限界値を僅かに超えることを示す。
【0110】
変動圧力モデルにより設定されるサイクル時間の大きな減少は、圧力−時間条件の階段状の変動により可能となる非常に大きな初期の及び後続の(減少すらする)圧力に起因する。また、圧力が繰り返して減少することで、図23の鋸歯パターンで示されるように、最大限の歪み率が限界値を超えることが回避される。
【0111】
変動圧力モデルが250psiの初期ピーク圧力に到達する、別の例が、図24(圧力−時間)及び図25(最大限歪み率−時間)で示される。ワークピースが4秒でのみダイ壁に到達するという事実で明白なようにサイクル時間は更に減少するが、結果は同様である。同じ一定圧力モデルが比較のために図24及び図25に含まれている。
【0112】
図26A、図26B、図26C、及び図26Dは、有限要素解析による図22及び図23の変動圧力モデルの展開における4つの反復法を示す。図26Aの第1の反復法は、第1の(最も高い)圧力の最大限歪み率の到達を示す。他のものは、第3、第5、第4の時間のインクリメントを示し、最後のものはワークピースがダイ壁に到達するものである。
【0113】
図27は、圧力−ラム−成形プロセスの制御部に適用され、圧力−時間履歴を最適化し、例えば、サイクル時間を減少若しくは最小限にして生産速度を増大させる、本発明の実施形態を示す概略図である。図27では、ダイ10、パンチ12、ラム14、及び圧力調整部16は、図1−図2Bで示されるものであり、図2Aのプリフォーム18などのプリフォーム(図27では示されない)を容器に成形するためのものである。コンピュータ320は、調整部16を介してダイ内部のプリフォームへの内部流体圧力の供給を制御し、それに加えて、パンチを動作するラム14の並進と、例えば上述のように図10に係る成形の際の選択した又は所定の温度条件にプリフォームをさらすというダイ及び/又はラムパンチアセンブリ内の一つ又は複数の加熱部品の操作とを、制御する。温度情報は、ダイ内部、及び/又はラム若しくはパンチ内部の一つ又はそれ以上の熱電対(図示せず)から、ライン322に示されるように、コンピュータに転送される。
【0114】
(図27には示されないが、図19−図21に示すプローブ300と同じタイプの)連続プローブは、ダイ内に配置され、ダイ壁にてさらされ、324で示されるようにコンピュータに接続される。ダイ内部の拡張プリフォームがプローブの位置のダイ壁に到達すると、コンピュータには、プリフォームが、さらされたプローブの位置のダイ壁に到達したことが、信号として伝えられる。プロセス操作のコンピュータ制御は情報に応答し、これにより熱電対及び/又は連続プローブから受信する。
【0115】
コンピュータは、所定の最適化圧力時間履歴に従って、供給された正味内部流体圧力を制御する。プリフォーム構成、寸法、及び材料特性、更に加えて、プリフォームに適用される温度条件及び成形される容器の設定形状と寸法などの、選択されたパラメータから、(例えば、歪み率などの限界値などの)欠陥の基準が決定される。これは、もしこの値を超えれば作成された物品にピンホールやスプリットなどの欠陥を生じるというものである。更に、上記パラメータから、反復有限要素解析が実施され、欠陥基準がその範囲内では超えられることがない境界圧力時間条件を定義する最適化圧力時間履歴332を展開し、従ってこのことにより、圧力ラム成形プロセス全体に渡って、プリフォーム内のいずれの位置若しくは要素であっても、欠陥が発生することがない。この圧力時間履歴は、図22若しくは図24に示すタイプのものであってもよい。これはコンピュータ320の制御ロジック部に供給され、その内容に従ってプロセス内の圧力条件を制御する。
【0116】
つまり、圧力ラム成形プロセスの開始時には、プリフォームを図2Aのようにダイ内に配置して初期のパンチ位置及び熱条件を確立し、コンピュータはプリフォーム内部の正味内部流体圧力を初期の最大限の値にまで(通常、1秒で)素早く増大させ、そして所定の相対的に短い時間その値で保持させる。その間、(プリフォーム内のいずれの位置若しくは要素でも)最大限の塑性歪み率は先ず限界値(欠陥基準)未満の値まで上昇し、プリフォームが拡張し始まるにつれて下降し、更に再び限界値に接近するべく上昇する。歪み率が限界値を超えないうちに、コンピュータは圧力を幾分低いレベルにまで減少させ、そのレベルで1秒間保持する。歪み率は圧力の減少により落ちるが、もう一度限界値に接近するべく上昇する。コンピュータは、更に圧力を更に減少し、そして圧力の連続のデクリメント、及び歪み率の上昇を限定するのに十分短い圧力保持間隔により、供給された圧力時間履歴に全て従って、欠陥無くしかし十分短いサイクル時間で、圧力ラム成形を完成する。
【0117】
個々の容器形状及び合金に対して最小限のサイクル時間を与える最適化圧力時間履歴が存在する。上述の圧力ラム成形の全ての実施形態及びその改良形態、更に他の実施形態にて、本発明のプロセスは利用可能である。内部圧力及び外部圧力の両方がプリフォームに加えられ、独立して制御される場合、コンピュータは、上述のように反復有限要素解析により展開される供給圧力時間履歴に従って、両方の圧力を制御する。より広い形態では、本発明は、従来のハイドロホーミングも含む他の圧力成形手順にも適用されうる。
【0118】
能動的シールラム圧力ラム成形
図28、図29、及び図30は、図13と同様に図であるが、相応に簡素化しており、本発明の更なる実施形態に係る改良されたPRFプロセス及び装置の形態を示している。この改良されたプロセス及び装置では、(他の観点では図13のシールラム216に対応する)上方シールラム416がPRFプロセスの間移動自在であり、一方で、底部パンチ412及び底部ラム414は静止している。別の形態では、ラム414、416は成形の間に同時の動作を行い、更に別の形態では、底部パンチ及びラムはすっかり省かれ、ダイキャビティの底部は静止ダイの底部位により閉じられる。上方シールラム416は、成形プロセスの間に主要ダイ構造425内の拡張凹み部420内部で(ダイキャビティ軸に沿う方向で)滑動する上方移動自在ダイ部位419に固定され、且つこれにより移動自在である。プリフォーム421及びシールラム416は、移動自在ダイ419により堅固に保持される。
【0119】
例示の装置では、凹み部420の下方の、ダイ構造の下方部位の内部壁425aは、静止パンチ−ラム412−414により設定される閉じられたキャビティに隣接するダイキャビティ411を画定するダイ壁の固定下方部位を構成し、移動自在ダイ壁419の側面内部壁419aはキャビティ画定ダイ壁の移動自在の上方部位を構成する。ダイは、上述の装置の場合のように、通常分割ダイであり、又分割ダイであるのが好ましい。シールラムは、プリフォーム421の内部に延在するヒータ差し込み部431を坦持してもよい。このとき、気体、若しくは正味内部流体圧力を与える他の流体が、シールラム部位を介してプリフォーム内部に注入される。
【0120】
図13の装置に対して、ヒータ構成が記載される図28−図30の形態では、プリフォームの拡張は(加熱され静止するラム構造412−414に接触する)底部で始まり、プリフォームを保持するシールラム−移動自在ダイアセンブリ416−419が凹み部位の下方肩部420aにより丁度停止されるときに完了する。上述のタイプの接触プローブ300は、ダイ壁430上の選択された配置で拡張プリフォームの接触を感知し、アセンブリの最終の動作及び成形プロセスの完了を調整する。
【0121】
このプロセスは、金属シートから形ある容器を成形する前述の同時係属出願に記載するPRFプロセスの代替手段として、利用可能である。基本原理では、そこに記載される立証されたPRF技術と概略同様であるが、要求される温度勾配及び下方ラム414とシールラム416の動作の点で、異なる。従来のPRFでは、下方ラムは、“破裂”欠陥を回避し所望の底部プロフィールを与えるように動作する。図28−図30の形態では、下方ラム416は固定され且つ受動的であり、上方シールラム416は、破裂欠陥を回避するために下方ラムパンチ412との接触を維持することを含む、全ての制御機能を行う。
【0122】
図28−図30のプロセス及び装置は、ツーリング、特にシーリングラムの動作に対する固定限界(特に、肩部420aにより画定される限界)を与え、これにより、従来のPRFプロセス内のラムの位置に関連する不確実性を除去する。上記プロセス及び装置により更に、壁センサは拡張プリフォームの位置を検出し(コンピュータ制御部により)動作するダイの最終位置への動きを誘発できる。正味内部流体圧力の制御は、図17−図27に係る上述の本発明によって、為され得る。
【0123】
図28は、初期の状態を示しており、プリフォーム421は下方ラムパンチ412上に位置し、移動自在ダイ419及びシールラム416はそれらの最も高い位置にある。内部圧力がシールラムを介してプリフォームに加えられると、プロセスが開始する。それと同時に、シールラム416及び移動自在ダイ419は、軸方向の負荷をプリフォームに接して維持しつつ、予めプログラムされた速度で下方に移動し始める。
【0124】
図29は、完了までの工程の約75%のプロセスを示す。シールラム及び関連する移動自在ダイは下方に移動しており、プリフォームは内部圧力により拡張している。プリフォームの温度が底部でより高いので、拡張プロセスはそこから始まりダイ壁の上方に進展する。図29に示す段階では、プローブは拡張プリフォームの通過を未だ検出していない。
【0125】
図30は、最終位置及び完全に成形されたボトルを示す。拡張プリフォームが接触プローブ300上を通過しているので、プローブは、移動ダイ419に対して最終位置に迅速に移動することを伝えるべく利用される制御コンピュータへの信号を送る。
【0126】
製品特性の向上
上述の図4A−図4Dに係る同時係属出願の2ステップ成形プロセスでは、プリフォームは先ず静止のダイ内で部分的に拡張し、最終の成形は、移動自在のラムにより第2のモールド内で行うPRFプロセスとなる。
【0127】
一方、少なくとも好適な例として、その2ステッププロセスは上記手順の逆で行われてもよい。即ち、PRFプロセスが第1のステップとして実施され、最終の成形が静止のモールド内で実施されてもよい。第1のステップが高温で行われ、第2のステップが、容器の壁内の歪み硬化を誘発する室温で行われる場合に、このことは特にうまく機能する。また、容器若しくは成形される他の中空金属物品、及び、プリフォームを作るのに利用される合金に依存するが、第2のステップが移動自在ラムを利用してもよい。
【0128】
本発明の別の実施形態では、プリフォームはAlMgSi合金などの析出硬化合金から形成され、PRFサイクルの単一のステップのみ受け、後で側壁は自然の若しくは人工の時効硬化により強化される。
【0129】
即ち、成形処理直後では、容器などの圧力ラム成形物品の機械的特性は、(王冠閉鎖部を形成できることに関する)軸方向の負荷に関して、若しくは(内部圧力に関する)ドーム反転に関して、不十分であることがある。この状態を調整するために、容器は先ずPRFプロセスにより高温で部分的に成形され、続いて最終の所望の形状に室温で拡張され、できれば再び高温操作に係るラムを要求してもよい。このように、低温作用状態が金属内に形成されると強化が非常に増す。
【0130】
また、限界延伸比の変化に適応するプリフォーム製造プロセスによって、プリフォームとして析出硬化金属を利用してもよい。PRFプロセスは現行の方式で非常に進展する。PRFプロセスの温度では、溶質は完全に固溶体である。PRFプロセス後の冷却で、いくらかの析出が発生し容器の強度が増加する。析出の動力学に依存するが、室温での自然時効、若しくは適度な高温での強制時効により、PRF製品のより高い強度及び改良特性が達成され得る。MgSi析出を生成するMg−Siアルミニウム合金は、PRF適用のための合金の典型例である。
【0131】
本発明は、特に本明細書で上述のように示した手順及び実施形態に限定されず、添付の請求項の範囲内で別途実施され得る、ということが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】例示の形態における米国特許第6802196号の方法を実施する型押しの単純化した相当の概略斜視図である。
【図2A】米国特許第6802196号の方法の第1の実施形態の実施における連続する段階の図1と同様の図である。
【図2B】米国特許第6802196号の方法の第1の実施形態の実施における連続段階の図1と同様の図である。
【図3】時間の関数としての内部圧力及びラム移動のグラフである。流体媒体として空気を利用する。プリフォームを内部流体圧力にさらすステップと米国特許第6802196号の方法におけるパンチを移動するステップとの間の時間関係を示す。
【図4A】米国特許第6802196号の方法の第2の実施形態の実施における連続する段階の図1と同様の図である。
【図4B】米国特許第6802196号の方法の第2の実施形態の実施における連続する段階の図1と同様の図である。
【図4C】米国特許第6802196号の方法の第2の実施形態の実施における連続する段階の図1と同様の図である。
【図4D】米国特許第6802196号の方法の第2の実施形態の実施における連続する段階の図1と同様の図である。
【図5A】図1と同様の図であって、スピン成形の単純化した相当の概略斜視図であり、米国特許第6802196号の方法の第3の実施形態の実施における連続する段階を示す。
【図5B】図1と同様の図であって、スピン成形の単純化した相当の概略斜視図であり、米国特許第6802196号の方法の第3の実施形態の実施における連続する段階を示す。
【図6A】米国特許台6802196号の方法における連続する段階のコンピュータ生成の概略正面図である。
【図6B】米国特許台6802196号の方法における連続する段階のコンピュータ生成の概略正面図である。
【図6C】米国特許台6802196号の方法における連続する段階のコンピュータ生成の概略正面図である。
【図6D】米国特許台6802196号の方法における連続する段階のコンピュータ生成の概略正面図である。
【図7】(任意の時間単位を利用する)時間に対する圧力変化のグラフであり、制御自在の内部及び外部正流体圧力をダイキャビティ内のプリフォームに独立して同時に加えるときの特性を示し、更に、それと共に外部正圧力が無い場合の内部圧力変化を比較する。
【図8】時間に対する歪み変化のグラフであり、有限要素解析から導出されており、図7と比較して2つの異なる圧力状況での一つの特定の位置(要素)に対する歪みを示す。
【図9】内部及び外部正流体圧力をダイキャビティ内のプリフォームに同時に加える際の成形プロセスで利用され得る特定の制御メカニズムを示す、図7と同様にグラフである。
【図10】加熱されたパンチを利用する拡張するプリフォームの概略例示図である。
【図11】パンチへの負荷、内部圧力、及びプリフォームの拡張の間のパンチの移動を示すグラフである。
【図12】平坦ディスクからのプリフォーム生成における段階を示す斜視図である。
【図13】米国特許第6802196号の方法を実施する際に利用する米国特許第6802196号の装置の例示の形態の正面断面図である。
【図14】図13の装置の一部分解斜視図である。
【図15A】図13及び図14の装置のスプリットダイの半分の斜視図であり、分解図のスプリットダイの半分のスプリット挿入物を示す。
【図15B】図13及び図14の装置のスプリットダイの半分の斜視図であり、スプリット挿入物ホルダを示す。
【図15C】図13及び図14の装置のスプリットダイの半分の斜視図であり、組み合わされた関係における挿入物とホルダを示す。
【図16】図13及び図14の装置の完全分解斜視図である。
【図17】PRFプロセスなどのための圧力−時間履歴を最適化する本発明の方法の実施形態を示す概念的フローチャートである。
【図18A】内部圧力及びラム力の作用の下で一つの要素が放射外側方向に動く際の、圧力ラム成形を受けるワークピースの有限要素解析における、要素の周縁歪み及び厚さ歪みの変化のグラフである。
【図18B】同じ要素に対する塑性歪み率のグラフである。
【図19】本発明に係る一つの例示の連続プローブの配置を示すPRFダイの部分図である。
【図20】ダイに搭載される図19の連続プローブの拡大部分断面正面図である。
【図21】図19の連続プローブの拡大断面図である。
【図22】本発明に係る圧力時系列の第1の変動圧力モデルを示すグラフであり、時間に対して圧力がプロットされており、比較のために一定圧力も示す。
【図23】図22の変動の及び一定の圧力モデルの歪み率履歴のグラフである。
【図24】本発明に係る圧力時系列の第2の変動圧力モデルを示すグラフであり、時間に対して圧力がプロットされており、比較のために一定圧力も示す。
【図25】図24の変動の及び一定の圧力モデルの歪み率履歴のグラフである。
【図26A】図22の変動圧力モデルの有限要素モデリングの漸進的反復法におけるワークピース及びダイのコンピュータ生成の概略正面図である。
【図26B】図22の変動圧力モデルの有限要素モデリングの漸進的反復法におけるワークピース及びダイのコンピュータ生成の概略正面図である。
【図26C】図22の変動圧力モデルの有限要素モデリングの漸進的反復法におけるワークピース及びダイのコンピュータ生成の概略正面図である。
【図26D】図22の変動圧力モデルの有限要素モデリングの漸進的反復法におけるワークピース及びダイのコンピュータ生成の概略正面図である。
【図27】本発明を実施するPRFプロセスの例示の簡易図である。
【図28】本発明に係る改良PRFプロセスの実施を示す、図13と同様であるが相応に単純化した正面断面図である。
【図29】本発明に係る改良PRFプロセスの実施を示す、図13と同様であるが相応に単純化した正面断面図である。
【図30】本発明に係る改良PRFプロセスの実施を示す、図13と同様であるが相応に単純化した正面断面図である。
【符号の説明】
【0133】
10・・・スプリットダイ、11・・・ダイキャビティ、12・・・パンチ、14・・・ラム、18・・・プリフォーム、20・・・閉じた底部、22・・・開口上方端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースの欠陥を回避しつつ、ワークピースが拡張してダイの物品形状画定壁に接触するように正味内部流体圧力にワークピースをさらすことによって、当初の中空金属プリフォームからダイ内の中空金属物品にワークピースを成形するためのプロセスに対する圧力時間履歴を最適化するコンピュータ実装プログラムの一部としてコンピュータシステムにより実施される方法であって、
(a)温度及びプリフォーム材料特性及び寸法を含む、プロセスパラメータのセットを選択するステップ、
(b)上記パラメータのセットから、ワークピースが欠陥無いようにさらされる圧力時間条件を限界付ける少なくとも一つの欠陥基準を決定するステップ、及び、
(c)選択したパラメータのセット及び決定した欠陥基準に基づいて、複数の種々の圧力時間条件(P、t)の各々につき、ワークピースに関する有限要素解析を繰り返して実施し、プロセスのための圧力時間境界条件(P、t)を決定するステップ
を含み、
圧力時間条件の各々の値は、正味内部流体圧力値(P)、及び正味内部流体圧力の上述値がワークピースに加えられる時間間隔(t)を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
上記欠陥基準が、最小限の壁厚さ、歪み、及び歪み率からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)が、
時間間隔を選択すること、及び、
複数の種々の圧力条件の各々につき、ワークピースに関する有限要素解析を繰り返して実施し、ワークピースが欠陥無いように上記時間間隔でさらされ得る最大限の正味内部流体圧力値を境界条件として決定すること
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ワークピースの欠陥を回避しつつ、ワークピースが拡張してダイの物品形状画定壁に接触するように正味内部流体圧力にワークピースをさらすことによって、当初の中空金属プリフォームからダイ内の中空金属物品にワークピースを成形するためのプロセスに対する圧力時間履歴を最適化するコンピュータ実装プログラムの一部としてコンピュータシステムにより実施される方法であって、
(a)温度及びプリフォーム材料特性及び寸法を含む、プロセスパラメータの第1のセットを選択するステップ、
(b)上記パラメータの第1のセットから、ワークピースが欠陥無いようにさらされる圧力時間条件を限界付ける少なくとも一つの第1の欠陥基準を決定するステップ、
(c)選択したパラメータの第1のセット及び決定した第1の欠陥基準に基づいて、複数の種々の圧力時間条件(P、t)の各々につき、ワークピースに関する有限要素解析を繰り返して実施し、プロセスのための第1の圧力時間境界条件(Pb1、tb1)を決定するステップ、
(d)プロセスパラメータの上記第1のセットに対応するが、上記第1の圧力時間境界条件(Pb1、tb1)への従属によりワークピースにかけられる変形によって修正されるプロセスパラメータの第2のセットを決定するステップ、及び、
(e)ステップ(b)及びステップ(c)を繰り返し、プロセスパラメータの上記第2のセットから少なくとも一つの第2の欠陥基準を決定し、更に、パラメータの第2のセット及び決定された第2の欠陥基準に基づいて繰り返して実施された有限要素解析により、プロセスのための第2の圧力時間境界条件(Pb2、tb2)を決定するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
ステップ(d)とステップ(e)を繰り返し、複数n個(n≧3)の圧力時間境界条件を決定するステップを含み、
3≦i≦nである個々の整数iに対して、プロセスパラメータのi番目のセットは、プロセスパラメータの(i−1)番目のセットに対応するが、(i−1)番目の圧力時間境界条件(Pb1−1、tb1−1)への従属によりワークピースにかけられる変形によって修正され、
i番目の欠陥基準はプロセスパラメータのi番目のセットから決定され、
i番目の圧力時間境界条件(Pb1、tb1)は、パラメータのi番目のセット及び決定されたi番目の欠陥基準に基づいて繰り返して実施された有限要素解析により決定され、
従って、上記プロセスのための最適化圧力時間履歴を全体で構成する圧力時間境界条件のn個の連続セット({Pb1、tb1},...{Pbn、tbn})を決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
圧力時間境界条件の少なくとも一つのセットが、予め選択された時間値(t)に対する複数の圧力値(P)の各々につき繰り返して実施された有限要素解析により決定されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
圧力時間境界条件の少なくとも一つのセットが、予め選択された圧力値(P)に対する複数の時間値(t)の各々につき繰り返して実施された有限要素解析により決定されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形するプロセスであって、
(a)形状及び側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれたダイキャビティ内に、閉じた端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、プリフォームの閉じた端部がキャビティの一つの端部に対向する関係で配置され、プリフォームの少なくとも一部がダイ壁から内側に当初間隔をあけられるステップ、及び、
(b)コンピュータの制御の下で、プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の画定された形状及び側面寸法を与え、キャビティの上記一つの端部に向かう上記流体圧力作用力を上記の閉じた端部に与えるステップ
を含み、
更に、
(c)上記コンピュータに対して、請求項5の方法により決定される上記プロセスのための最適化圧力時間履歴を供給するステップ、及び、
(d)請求項5の方法により決定される上記最適化圧力時間履歴を構成する圧力時間境界条件のn個の連続セット({Pb1、tb1},...{Pbn、tbn})の夫々に対応する圧力時間条件のn個の連続セットに、プリフォームをさらすことによって、ステップ(b)を実施するステップ
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項9】
画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形するプロセスであって、
(a)形状及び側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれたダイキャビティ内に、閉じた端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、プリフォームの閉じた端部がキャビティの一つの端部に対向する関係で配置され、プリフォームの少なくとも一部がダイ壁から内側に当初間隔をあけられるステップ、及び、
(b)プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の画定された形状及び側面寸法を与え、キャビティの上記一つの端部に向かう上記流体圧力作用力を上記の閉じた端部に与えるステップ
を含み、
更に、
(c)連続して減少する正味内部流体圧力値を夫々有する、圧力時間条件の連続セット(P、t)に、プリフォームをさらすことによって、ステップ(b)を実施するステップであって、圧力時間条件の上記連続セットがプロセスのための所定の境界条件の範囲内であるステップ
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項10】
画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形するプロセスであって、
(a)形状及び側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれたダイキャビティ内に、閉じた端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、パンチがキャビティの一つの端部に配置されてキャビティ内に移動自在であり、プリフォームの閉じた端部がパンチに近接して対向する関係で配置され、プリフォームの少なくとも一部がダイ壁から内側に当初間隔をあけられるステップ、
(b)コンピュータの制御の下で、プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の画定された形状及び側面寸法を与え、上記流体圧力が、上記の閉じた端部において、キャビティの上記一つの端部に向かって、力をはたらかせるステップ、及び、
(c)パンチをキャビティ内に移動し、プリフォームへの流体圧力により作用する力の方向と反対の方向でプリフォームの閉じた端部に係合して該端部を動かすステップ
を含み、
更に、
(d)上記コンピュータに対して、請求項1の方法により上記プロセスのために決定される圧力時間境界条件を供給するステップ、及び、
(e)請求項1の方法により決定される圧力時間境界条件に対応する圧力時間条件に、プリフォームをさらすことによって、ステップ(b)を実施するステップ
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項11】
ダイ壁内の所定の位置でプリフォームの接触を感知するステップと、感知した接触を示す情報をコンピュータに供給するステップを更に含み、
プロセスのコンピュータ制御は供給された接触情報に応答するものであることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
プロセス実施の間にプリフォームがさらされる温度条件を感知するステップと、感知した温度条件を示す情報をコンピュータに供給するステップを更に含み、
プロセスのコンピュータ制御は供給された温度情報に応答するものであることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
上記中空金属物品は金属容器であることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
【請求項14】
画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形するプロセスであって、
(a)形状及び側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれたダイキャビティ内に、閉じた端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、パンチがキャビティの一つの端部に配置されてキャビティ内に移動自在であり、プリフォームの閉じた端部がパンチに近接して対向する関係で配置され、プリフォームの少なくとも一部がダイ壁から内側に当初間隔をあけられるステップ、
(b)コンピュータの制御の下で、プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の画定された形状及び側面寸法を与え、キャビティの上記一つの端部に向かう上記流体圧力作用力を上記の閉じた端部に与えるステップ、及び、
(c)パンチをキャビティ内に移動し、プリフォームへの流体圧力により作用する力の方向と反対の方向でプリフォームの閉じた端部に係合して該端部を動かすステップ
を含み、
更に、
(d)ワークピースが欠陥無いようにさらされる圧力時間条件を限界付ける欠陥基準を、上記プリフォームに対して決定するステップ、
(e)プリフォームに関する有限要素解析を繰り返して実施することによって、正味内部流体圧力の初期値、上記初期値がプリフォームに適用される初期時間間隔、上記初期時間間隔に続く複数の後続の時間間隔、及び、上記複数の後続の時間間隔に夫々プリフォームに適用される正味内部流体圧力の対応の複数の連続下方値を含むプリフォームのための圧力時間履歴を展開するステップであって、内部流体圧力値及び時間間隔の期間が上記圧力時間履歴の全体に渡って欠陥基準を超えることが決して無いステップ、
(f)上記コンピュータに対して、上記圧力時間履歴を供給するステップ、及び、
(g)上記圧力時間履歴に、プリフォームをさらすことによって、ステップ(b)を実施するステップ
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項15】
上記欠陥基準は歪み率の限界値であることを特徴とする請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
閉じた端部を有する中空金属プリフォームから、画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形する装置であって、
(a)プリフォームの少なくとも一部をダイ壁から内側に当初間隔を開けて配置し、プリフォームの閉じた端部をキャビティの一つの端部に対向させ、上記キャビティが上記形状及び側面寸法を画定するダイ壁を有し、内部でプリフォームを受けるダイキャビティを設けるダイ構造、
(b)キャビティの一つの端部に配置され、キャビティ内部で受けられるプリフォームの閉じた端部が近接して対向する関係に位置するようにキャビティ内へ移動自在であるパンチ、
(c)キャビティ内部でプリフォームを正味内部流体圧力にさらしてプリフォームを外側へ拡張しダイ壁と完全に接触させ、これによりプリフォームに上記の画定された形状及び側面寸法を与え、上記流体圧力が上記閉じた端部においてキャビティの上記一つの端部に向けられて、力をはたらかせる流体圧力供給部、及び、
(d)流体圧力の供給とパンチの移動のうち少なくとも一つを制御するコンピュータ
を含み、
更に、
(e)ダイ壁内の位置に配置されダイ壁とプリフォームの接触を感知し、感知された接触を示す情報をコンピュータに供給する少なくとも一つのセンサであって、プロセスのコンピュータ制御は供給された接触情報に応答するものであるセンサ
を含むことを特徴とする装置。
【請求項17】
上記センサがダイ壁にてさらされる導電体を含み、
プリフォームがダイ壁に接触するとき、電気回路が閉じられ接触情報が上記コンピュータに供給されるように、上記導電体が上記コンピュータに接続することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
プロセス実施の間にプリフォームがさらされる温度条件を感知しコンピュータに感知した温度条件を示す情報を供給する少なくとも一つのセンサを更に含み、プロセスのコンピュータ制御は供給された温度情報に応答するものであることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形するプロセスであって、
(a)形状及び側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれたダイキャビティ内に、片方が閉じられている向かい合う端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、キャビティが軸と、プリフォームの閉じられた端部に対向する閉じた内側端部とを有し、プリフォームの少なくとも一部が当初ダイ壁から内側に間隔をあけて配置され、ラムが閉じた内側端部に向かってキャビティ軸方向で移動自在でありプリフォームの他の端部にキャビティの閉じた端部に向かう方向へ力をはたらかせるステップ、
(b)プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の画定された形状及び側面寸法をプリフォームに与え、キャビティの上記一つの端部に向かう上記流体圧力作用力を上記の閉じた端部に与えるステップ、及び、
(c)ラムを移動し、プリフォームの上記他の端部をダイキャビティの閉じた端部に向かって動かすステップ
を含むプロセス。
【請求項20】
ダイ壁が、
キャビティの上記閉じた端部近傍の固定部位と、
固定のダイ壁部位及び移動自在のダイ壁部位が接触する限界位置とは、固定のダイ壁部位及び移動自在のダイ壁部位が離れて配置する初期位置から、ラムによりダイキャビティの閉じた端部に向かって移動するように構成される、ダイキャビティ軸方向に滑動自在の移動自在部位を含み、
ラムを移動するステップ(c)により、ダイ壁の移動自在部位がラムと共に上記初期位置から上記限界位置まで移動する
ことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項21】
ダイキャビティの閉じた端部が、キャビティ内へ移動自在のパンチにより閉じられていることを特徴とする請求項19に記載のプロセス。
【請求項22】
プリフォームの閉じた端部がパンチと近接して対向する関係に配置され、
更に、
パンチをキャビティ内に移動し、プリフォームへの流体圧力により作用する力の方向と反対の方向でプリフォームの閉じた端部に係合して該端部を動かし、プリフォームの閉じた端部を変形するステップ
を含むことを特徴とする請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
ラムの移動がコンピュータ制御の下にあり、
ダイ壁内の所定の位置でのプリフォームの接触を感知し感知された接触を示す情報をコンピュータに供給するステップを、更に含み、
ラムの移動のコンピュータ制御が供給される接触情報に応答するものであることを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項24】
画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形するプロセスであって、
(a)形状及び側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれたダイキャビティ内に、片方が閉じられている向かい合う端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、キャビティが軸と、プリフォームの閉じられた端部に対向する閉じた内側端部とを有し、プリフォームの少なくとも一部が当初ダイ壁から内側に間隔をあけて配置され、ラムが閉じた内側端部に向かってキャビティ軸方向で移動自在でありプリフォームの他の端部にキャビティの閉じた内側端部に向かう方向へ力をはたらかせるステップ、
(b)コンピュータの制御の下で、プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の画定された形状及び側面寸法をプリフォームに与え、キャビティの上記一つの端部に向かう上記流体圧力作用力を上記の閉じた端部に与えるステップ、
(c)ラムを移動し、プリフォームの上記他の端部をダイキャビティの閉じた端部に向かって動かすステップ、
(d)上記コンピュータに対して、請求項1の方法により上記プロセスのために決定される圧力時間境界条件を供給するステップ、及び、
(e)請求項1の方法により決定される圧力時間境界条件に対応する圧力時間条件に、プリフォームをさらすことによって、ステップ(b)を実施するステップ
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項25】
一方が閉じている向かい合う端部を有する中空金属プリフォームから、画定された形状及び側面寸法の中空金属物品を成形する装置であって、
(a)プリフォームの少なくとも一部をダイ壁から内側に当初間隔を開けて配置し、プリフォームの閉じた端部を、キャビティの閉じられた一つの端部に対向させ、内部でプリフォームを受けるための、軸と、上記形状及び側面寸法を画定するダイ壁とを有するダイキャビティを設けるダイ構造、
(b)閉じた内側端部に向かってキャビティの軸方向に移動自在であり、キャビティの閉じた内側端部に向かう方向にプリフォームの別の端部に力をはたらかせるように配置されたラム、及び、
(c)キャビティ内部でプリフォームを内部流体圧力にさらしてプリフォームを外側へ拡張しダイ壁と完全に接触させ、これによりプリフォームに上記の画定された形状及び側面寸法を与え、上記流体圧力が、上記の閉じたプリフォームの端部において、キャビティの上記一つの端部に向けられて力をはたらかせる流体圧力供給部
を含むことを特徴とする装置。
【請求項26】
ダイ壁が、
キャビティの上記閉じた端部近傍の固定部位と、
固定のダイ壁部位及び移動自在のダイ壁部位が接触する限界位置とは、固定のダイ壁部位及び移動自在のダイ壁部位が離れて配置する初期位置から、ラムによりダイキャビティの閉じた端部に向かって移動するように構成される、ダイキャビティ軸方向に滑動自在の移動自在部位を含み、
ラムを移動するステップ(c)により、ダイ壁の移動自在部位がラムと共に上記初期位置から上記限界位置まで移動する
ことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
上記ダイ構造が、
ダイ壁の上記移動自在部位を滑動自在に受け、固定ダイ壁部位によりキャビティの閉じた端部から間隔をあけられて配置される拡張凹み部を含むことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
ダイキャビティの上記の閉じた端部をふさぐパンチを、更に含む請求項26に記載の装置。
【請求項29】
パンチが、キャビティ内に移動自在であり、プリフォームへの流体圧力により作用する力の方向と反対の方向でプリフォームの閉じた端部に係合して該端部を動かすことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
ラムの移動を制御するコンピュータ、及び、
ダイ壁内の所定の位置にてプリフォームの接触を感知し、感知された接触を示す情報をコンピュータに供給するセンサ
を、更に含む請求項26に記載の装置。
【請求項31】
画定された形状及び画定された最終の側面寸法の中空金属物品を成形するプロセスであって、
(a)第1の形状及び、上記の画定された最終の側面寸法より小さい第1の側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれた第1のダイキャビティ内に、閉じた端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、パンチがキャビティの一つの端部に配置されてキャビティ内に移動自在であり、プリフォームの閉じた端部がパンチに近接して対向する関係で配置され、プリフォームの少なくとも一部がダイ壁から内側に当初間隔をあけられるステップ、及び、
(b)プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の第1の画定された形状及び第1の側面寸法を与え、上記流体圧力が、上記の閉じた端部において、キャビティの上記一つの端部に向かって、力をはたらかせるステップ、及び、
(c)パンチをキャビティ内に移動し、プリフォームへの流体圧力により作用する力の方向と反対の方向でプリフォームの閉じた端部に係合して該端部を動かし、このことにより上記第1の形状及び第1の側面寸法を有し且つ閉じた端部を有するワークピースに上記プリフォームを成形するステップ
を含み、
更に、
(d)その後ワークピースを上記最終の形状及び最終の側面寸法を画定する第2のダイキャビティ内に配置し、内部のワークピースを正味内部流体圧力にさらして上記最終の形状及び最終の側面寸法にまでワークピースを拡張するステップ
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項32】
上記第2のダイキャビティが静止ダイ内で成形されることを特徴とする請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
上記第2のダイキャビティには、キャビティの一つの端部に配置され且つキャビティ内に移動自在であるパンチが設けられ、
ステップ(d)は更に、
上記パンチと近接して対向する位置関係となるようにワークピースの閉じた端部を配置し、上記パンチをキャビティ内に移動してワークピースへの流体圧力により作用する力の方向と反対の方向でワークピースの閉じた端部に係合して該端部を動かし、このことにより上記最終の形状及び最終の側面寸法を有する物品に上記ワークピースを成形するステップを含むことを特徴とする請求項31に記載のプロセス。
【請求項34】
画定された形状及び画定された最終の側面寸法の中空金属物品を成形するプロセスであって、
(a)第1の形状及び、上記の画定された最終の側面寸法より小さい第1の側面寸法を画定するダイ壁により側面を囲まれた第1のダイキャビティ内に、閉じた端部を有する中空金属プリフォームを配置するステップであって、パンチがキャビティの一つの端部に配置されてキャビティ内に移動自在であり、プリフォームの閉じた端部がパンチに近接して対向する関係で配置され、プリフォームの少なくとも一部がダイ壁から内側に当初間隔をあけられるステップ、及び、
(b)プリフォームを正味内部流体圧力にさらしプリフォームを外側へ拡張しダイ壁に完全に接触させ、このことにより上記の第1の画定された形状及び第1の側面寸法を与え、上記流体圧力が、上記の閉じた端部において、キャビティの上記一つの端部に向かって、力をはたらかせるステップ、及び、
(c)パンチをキャビティ内に移動し、プリフォームへの流体圧力により作用する力の方向と反対の方向でプリフォームの閉じた端部に係合して該端部を動かし、このことにより上記第1の形状及び第1の側面寸法を有し且つ閉じた端部を有するワークピースに上記プリフォームを成形するステップ
を含み、
更に、
(d)上記ワークピースが析出硬化合金で形成される
ことを特徴とするプロセス。
【請求項35】
上記合金が、Al−Mg−Si合金であることを特徴とする請求項34に記載のプロセス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−177793(P2011−177793A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−82722(P2011−82722)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【分割の表示】特願2007−511814(P2007−511814)の分割
【原出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(506110243)ノベリス・インコーポレイテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.