説明

中継装置

【課題】建物の室内において電気機器及び空調機器の設置位置を変更する場合、その設置位置に合わせて電気配線の接続部の指向方向や配管の取出し方向を容易に変更することができる中継装置を提供する。
【解決手段】建物の設置面21に固定される台座22と、その台座22上に設置された回転支持台30とにより、中継装置を構成する。回転支持台30には、電気配線の接続部39を支持するとともに、配管の通過部41を設ける。回転支持台30を台座22に対して設置面21と平行な面内において位置調節可能に載置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の室内の空調機器に対する冷温水配管及び電気機器に対する電気配線を中継するための中継装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の配管または配線の中継のための構成としては、例えば特許文献1及び特許文献2に開示される構成が提案されている。
特許文献1に記載の従来構成においては、建物の床下のスラブ上に平板状の台座が固定され、その台座上の支軸には上面を開放した函体が取り付けられている。函体の上部外周にはフランジ状の床受座が突設され、函体の上端部が床材の開口に嵌挿された状態で、この床受座が床材の下面に当接される。函体内には電気コンセントなどが設けられている。函体の上面開放部には蓋パネルが着脱可能に取り付けられている。
【0003】
また、特許文献2に記載の従来構成においては、建物の床下や壁にボックス本体が埋め込まれ、そのボックス本体の内部は仕切板によって第1室と第2室とに二分割されている。第1室の上部開口縁には蓋板が開閉可能に取り付けられ、その蓋板の裏側には複数の電気コンセントが設けられている。第2室内には厨房家具などの機器から延びる給水管、給湯管、ガス管などを接続するための給水コンセント、給湯コンセント、ガスコンセントなどが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭64−7641号公報
【特許文献2】実開平6−48332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、これらの従来構成においては、電気コンセントを収容した函体またはボックス本体が建物の床下などに固定状態で取り付けられている。このため、建物の室内において、例えば、部屋の模様替えに伴う電気機器や室内空調機器の配置替えのためにそれらの機器の設置位置を変更する場合、その設置位置に合わせて電気コンセントの指向方向や空調機器に接続される冷温水配管の取出し方向を変更することができない。従って、従来構成においては、室内における電気配線や冷温水配管の取り回しを適切に行うことができないという問題があった。なお、特許文献2においては、電気コンセントが使用位置と格納位置との間において回転できるようになっているが、使用位置における指向方向は変更できない。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、建物の室内において電気機器や室内空調機器の設置位置を変更する場合、その設置位置に合わせて電気配線や冷温水配管の取り回しを適切に行なうことができる中継装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は、建物の設置面に固定される支持台を有し、その支持台には電気配線の接続部を支持するための回転支持部を設けるとともに、配管の通過部を形成し、前記回転支持部を前記設置面に対してその設置面と平行な面内において位置調節可能にして、前記接続部の指向方向を変更できるように構成したことを特徴とする。
【0008】
従って、この発明の中継装置においては、建物の室内で空調機器などの機器の設置位置を変更する場合、回転支持台を台座に対して、設置面と平行な面内において位置調節することにより、冷温水配管の床下から床上への取出しや電気配線の接続部の指向方向を機器の設置位置に合わせて容易に変更することができる。
【0009】
前記の構成において、前記支持台を、建物の設置面に固定される台座と、その台座上に設置され、電気配線の接続部を支持する回転支持台とにより構成し、前記回転支持台を前記台座に対して前記設置面と平行な面内において位置調節可能にすることが好ましい。
【0010】
前記の構成において、前記配管の通過部を前記台座及び回転支持台に形成するとよい。このようにすれば、床下の配管の床上への取出しを容易に行なうことができる。
前記の構成において、前記台座は、前記回転支持台を載置する載置部と、脚部と、その脚部の下端に位置する固定部とを有し、その固定部が建物の設置面に固定されることが望ましい。
【0011】
前記の構成において、前記台座は、板金よりなり、その展開形状が四角形であるとよい。
前記の構成において、前記電気配線の接続部は、給電用のコンセントと、信号線用のコネクタとよりなることが好ましい。
【0012】
前記の構成において、前記回転支持台は、1つの軸線を中心に回転されることにより位置調節されるように構成され、前記配管の通過部は、前記軸線を中心にした円形の領域の複数箇所に形成されたことが好ましい。
【0013】
前記の構成において、前記台座と電気配線の接続部との間には、接続部の高さを調節するための高さ調節手段を設けるとよい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明によれば、建物の室内において室内空調機器や電気機器の設置位置を変更する場合、その設置位置に合わせて電気配線の接続部の指向方向や冷温水配管の床下から床上への取出し方向を容易に変更することができて、電気機器に対する電気配線や室内空調機器に対する冷温水配管の取り回しを適切に行うことができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の中継装置を示す断面図。
【図2】カプラを分離した状態を示す一部断面図。
【図3】図1の中継装置の分解斜視図。
【図4】床面の開口部の蓋の構造を示す斜視図。
【図5】第2実施形態の中継装置を示す断面図。
【図6】図5の中継装置の分解斜視図。
【図7】第3実施形態の中継装置を示す断面図。
【図8】図7の中継装置の分解斜視図。
【図9】第4実施形態を示す中継装置の分解斜視図。
【図10】第5実施形態の中継装置における回転支持台の平面図。
【図11】第6実施形態の中継装置における回転支持台の平面図。
【図12】第7実施形態の中継装置における回転支持台の平面図。
【図13】第8実施形態の中継装置における台座の斜視図。
【図14】図13の台座の製造過程を説明する板材の平面図。
【図15】第9実施形態の中継装置を示す断面図。
【図16】図15の中継装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した中継装置の第1実施形態を、図1〜図4に従って説明する。
【0017】
図1及び図3に示すように、中継装置は、建物において床下のスラブよりなる設置面21に設置される支持台20を備え、この支持台20は、台座22と、回転支持部としての回転支持台30とを備えている。また、台座22は、前記設置面21に固定されている。この台座22は板金により形成されている。台座22は、平面正八角形状の載置部22cと、その載置部22cのひとつおきの辺から下方へ向かって折り曲げられた4つの脚部22bと、その脚部22bの下端から外方へ折り曲げられた固定部22aとから構成されている。台座22の載置部22cには台座22の外形形状と相似の透孔24が形成されている。
【0018】
前記台座22の各固定部22aには、ボルト挿通孔25がそれぞれ形成されている。台座22の各脚部22bには、複数(実施形態では3つ)の高さ調節手段としての第1ネジ孔26が上下方向に間隔をおいて形成されている。台座22の載置部22cには、複数(実施形態では8つ)の第2ネジ孔27が平面正八角形状の各辺と対応する位置に形成されている。これらの第1ネジ孔26及び第2ネジ孔27は、図1の1点鎖線の円内に例示するように、バーリング加工された部分のタップ穴によって形成されている。そして、前記設置面21上に植設されて上方へ突設された複数のボルト28に対して各固定部22aのボルト挿通孔25が挿通された状態で、各ボルト28にナット29が螺合されることにより、台座22が設置面21上に固定される。
【0019】
前記台座22の載置部22cには、前記回転支持台30が設置面21と平行な面内において回転位置変更可能に載置されている。この回転支持台30は板金により形成されている。回転支持台30は、平面正八角形状の支持部30dと、その支持部30dのひとつおきの辺から下方へ向かって折り曲げられた脚部30cと、その脚部30cの下端から外側に折り曲げられ、台座22の載置部22cに固定される固定部30bと、その固定部30bから下方へ向かって折り曲げられた位置決め部30aとから構成されている。
【0020】
前記回転支持台30の各位置決め部30aには、台座22における各脚部22b上の複数の第1ネジ孔26のいずれかに対して合致可能な第1ネジ挿通孔31が形成されている。回転支持台30の各固定部30bには、台座22における載置部22c上のひとつおきの第2ネジ孔27に対して合致可能な第2ネジ挿通孔32が形成されている。
【0021】
そして、前記回転支持台30を台座22に対して高さ調節することにより、回転支持台30の第1ネジ挿通孔31が台座22の第1ネジ孔26のひとつに対して択一的に合致される。この状態で、合致した第1ネジ挿通孔31を通して第1ネジ孔26に高さ調節手段としての蝶ネジ35が螺合されることにより、回転支持台30が台座22に対して所要の高さ位置に位置決めされている。従って、回転支持台30の位置決め部30aが台座22の脚部22bと対応する位置に配置された状態で、回転支持台30を、台座22に対して台座22の第1ネジ孔26の数に相当する3つの高さ位置のいずれかに調節して位置決め固定することができる。
【0022】
また、回転支持台30を台座22に対して台座22の中心の仮想の垂直な回転軸線Lを中心に回転することにより、回転支持台30の第2ネジ挿通孔32が台座22の第2ネジ孔27に対して選択的に合致される。この状態で、蝶ネジ38が、第2ネジ挿通孔32を通して第2ネジ孔27に螺合されることにより、回転支持台30が台座22に対して任意の回転位置に固定されている。従って、回転支持台30を台座22に対して、台座22の第2ネジ孔27の各位置に相当する8つの位置に回転して固定することができる。ただし、回転支持台30の上下位置を調節するための第1ネジ孔26は4箇所に形成されているため、回転支持台30の上下位置調節はこの4箇所で行なわれる。
【0023】
前記回転支持台30における支持部30dの上面には、電気配線の接続部39がブラケット40を介して外側上方に向かって傾斜した状態で支持されている。ブラケット40は支持部30dに溶着されている。この電気配線の接続部39には、商用電力供給用のコンセント39aと、信号線,例えばLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)などの信号線ケーブル用のコネクタ39bとが設けられている。設置面21上には給電線及び信号線よりなる電気配線としての床下配線45が延長配置され、その床下配線45が台座22の開口23、透孔24及び回転支持台30に形成した配線通過孔37を通して、前記接続部39のコンセント39a及びコネクタ39bに電気接続されている。
【0024】
回転支持台30の支持部30dには、配管の通過部41が前記垂直な回転軸線Lを中心にした環状の領域に沿うとともに複数箇所で円弧溝状に延びるように形成されている。
図1に示すように、前記建物の設置面21上には一対の冷温水の床下配管(以下、単に床下配管という)42が開口23を通るように延長状態で配置され、その各床下配管42の一部を構成する一対のエルボ42aが台座22内において固定座43を介して設置面21上に固定されている。従って、前記開口23は床下配管42の通過部を構成する。各エルボ42aの立ち上がり端部には、カプラ片44a,44bよりなり、冷温水配管の一部を構成する止水機能付きカプラ44が接続され、このカプラ44は台座22の透孔24を介して回転支持台30の配管通過部41内に挿通されている。
【0025】
前記建物において設置面21の上方に間隔をおいて配置された室内の床板46には円形の開口47が形成されている。開口47には円環状の開口枠46aが固定されている。この開口枠46a内には開口蓋52がその外周の取付枠48において嵌着され、その取付枠48内には蓋板49がヒンジ部49aによって開閉回転可能に取り付けられている。蓋板49のヒンジ部49aと反対側の周縁には、配線挿通部50a及び配管挿通部50bを有する補助蓋50がヒンジ部50dを介して開閉回転可能に取り付けられている。配線挿通部50a及び配管挿通部50bの内側上面にはスポンジよりなる閉鎖材50cが貼り付けられている。
【0026】
そして、前記室内の任意の位置に設置された電気機器から延びる給電線や信号線などの電気配線としての床上配線61が、補助蓋50の配線挿通部50aに挿通されて床板46の下方に導かれる。この状態で、床上配線61の端部に設けられたプラグ62(信号線のプラグは図示していない)が回転支持台30上の接続部39のコンセント39a及びコネクタ39bに着脱可能に接続される。また、室内の任意の位置に設置された空調機器から延びる床上配管51が、補助蓋50の配管挿通部50bに挿通されて床板46の下方に導かれる。この状態で、床上配管51の端部が回転支持台30の配管通過部41に挿通配置されたカプラ44に対して着脱可能に接続される。なお、カプラ44のカプラ片44a,44bはそれらの内部に分離時に閉鎖される止水機能付き弁(図示しない)を備え、図2に示す分離時にカプラ片44a,44bから漏水が生じないようになっている。
【0027】
次に、前記のように構成された中継装置の機能を説明する。
さて、通常の状態においては、補助蓋50が室内の電気機器及び空調機器の方を向くように蓋板49の位置が設定され、床上配線61及び床上配管51が電気機器及び空調機器に向かって延びる。
【0028】
この状態で、室内の電気機器及び空調機器の設置位置を変更する場合には、蓋板49を開放させ、この状態で、開口47を介して手作業で電気機器から延びる給電線や信号線などの床上配線61のプラグ62を回転支持台30上の接続部39のコンセント39a及びコネクタ39bから取り外す。それとともに、図2に示すように、室内の空調機器から延びる床上配管51側のカプラ片44bを、床下配管42側のカプラ片44aから取り外してカプラ44を分離する。次いで、床板46の開口47の開口枠46a内において図示しないネジを外すことにより蓋板49の固定を解除して、その蓋板49の向きを変更し、補助蓋50を位置変更された電気機器及び空調機器の方向に指向させ、その位置で前記ネジを締めて蓋板49を固定する。
【0029】
その後、回転支持台30の各蝶ネジ35,38を外して、回転支持台30を台座22に対する固定状態から解除する。この状態で、回転支持台30を台座22に対して垂直な回転軸線Lを中心に回転させて、回転支持台30上の電気配線の接続部39が床板46上における機器の設置位置側,すなわち補助蓋50側を指向するように位置調節する。このとき、カプラ44は、定位置を保持するが、配管の通過部41内における相対位置が変更される。
【0030】
次いで、回転支持台30の位置決め部30aを台座22の脚部22bと対応配置させ、第1ネジ挿通孔31に蝶ネジ35を挿通して、各脚部22b上の任意の高さ位置の第1ネジ孔26に対して蝶ネジ35を螺合する。この螺合により、回転支持台30を台座22に対して高さ調節して、任意の高さ位置に位置決めすることができる。そして、この位置調節状態で、回転支持台30の各固定部30b上において、第2ネジ孔27に対して蝶ネジ38を螺合することにより、回転支持台30が台座22に対して所定の調節位置に固定される。
【0031】
この状態で、電気機器から延びる床上配線61のプラグ62などを、回転支持台30上の接続部39のコンセント39a及びコネクタ39bに接続し直す。このとき、接続部39が電気機器の設置位置に指向するように位置調節されているため、接続部39に対する床上配線61のプラグ62等の接続を無理なく簡単に行うことができる。また、空調機器から延びる床上配管51側のカプラ片44bを、回転支持台30の床下配管42側のカプラ片44aに接続する。この場合、前記台座22に対する回転支持台30の位置調節時に、カプラ44が、回転支持台30上の通過部41に挿通された状態で、定位置に保持されているため、カプラ44の結合作業を容易に行うことができる。
【0032】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この中継装置においては、建物の室内で空調機器や電気機器の設置位置を変更する場合には、回転支持台30を台座22に対して、設置面21と平行な面内において回転方向に位置調節することにより、電気配線の接続部39の指向方向を機器の設置位置に合わせて変更することができる。一方、空調機器に接続される配管のカプラ44は、回転支持台30の通過部41内を相対移動して、定位置を保持する。このため、床板46上に引き出される床上配管51は捩れたり、潰れたりすることなく、取出し方向を変更できる。よって、位置が変更された電気機器の床上配線61や空調機器の床上配管51を床上に無理なく引き出して中継装置の接続部39に対して簡単に接続することができる。
【0033】
(2) この中継装置においては、台座22に対して回転支持台30を移動させても、空調機器に対する床下配管42及びカプラ44は、前記のように定位置に保持されている。このため、カプラ44における床上配管51の接続を容易に行うことができるばかりでなく、床板46と回転支持台30との間に適当な空間を確保しておくことにより、床上配管51に無理な力が作用することを防止できて、床上配管51が屈曲したり、大きく捩れたりすることを防止できる。
【0034】
(3) この中継装置においては、前記台座22に脚部22bが設けられるとともに、脚部22b間に開口23が形成されている。従って、開口23を通して床下配管42や床下配線45を台座22と干渉することなく、建物の設置面21に沿って無理なく延長できる。
【0035】
(4) この中継装置においては、台座22の第1ネジ孔26を選択することにより、回転支持台30の高さを調節できる。このため、接続部39の高さを適正に設定できて、プラグ62やカプラ44の接続などを容易に行なうことができる。
【0036】
(5) この中継装置においては、前記電気配線の接続部39が、給電用のコンセント39aと、信号線用のコネクタ39bとより構成されている。このため、給電用の配線と信号線用の配線とを1箇所の接続部39においてコンパクトにまとめることができる。
【0037】
(6) この中継装置においては、前記回転支持台30が、1つの軸線Lを中心に回転されることにより位置調節されるように構成され、前記配管の通過部41が、軸線Lを中心にした円形の領域の複数箇所に形成されている。このため、台座22に対する回転支持台30の位置を配管のカプラ44に邪魔されることなく、容易に変更することができる。
【0038】
(7) この中継装置においては、台座22及び回転支持台30が板金を折り曲げて構成されている。従って、部品点数が少なく、加工も容易であるため、製造コストを抑えることができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した中継装置の第2実施形態を説明する。この第2実施形態以降の各実施形態及び変更例においては、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
この第2実施形態では、図5及び図6に示すように、カプラ44の通過部41が複数の長孔を環状領域において列設して構成されたものである。
また、設置面21上における回転支持台30の回転軸線Lの位置において設置面21に支持軸53が立設されている。台座22の載置部22cの透孔24内には架設部54が形成され、その架設部54の中央部には支持軸53を挿通させるための挿通孔55が形成されている。回転支持台30の支持部30dの中心には、支持軸53を挿通させるための挿通孔56が形成されている。そして、支持軸53が台座22及び回転支持台30の挿通孔55,56が挿通された状態で、回転支持台30が台座22に対して支持軸53を中心に回転可能に支持されている。なお、支持軸53の先端ネジ部にナット57が螺合されているが、このネジ部やナット57は必ずしも必要ではない。
【0041】
従って、この第2実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)〜(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(8) この中継装置においては、回転支持台30が支持軸53を中心に回転されるため、台座22に対する回転支持台30の回転による位置調節をさらに容易に行うことができる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した中継装置の第3実施形態を説明する。
この第3実施形態においては、図7及び図8に示すように、台座22が平面円形状をなし、円環状の載置部22cと、円筒状の脚部22bと、載置部22cと同様な円環状の固定部22aとから構成されている。台座22の固定部22aの180度離れた2箇所には各一対のボルト挿通孔25が形成されるとともに、載置部22cには多数の第2ネジ孔27が同一円周上で所定角度間隔おきに形成されている。そして、台座22の固定部22aの下面に固定座58がボルト挿通孔25に挿通した複数のボルト28及びナット29により平行状態で固定され、この固定座58が図示しないボルトなどの固定手段により建物の設置面21に固定されている。
【0043】
また、この実施形態では、回転支持台30が、円板状の支持部30dと、その支持部30dの外周縁から下方へ折り曲げられた円筒状の脚部30cと、その脚部30cから外側に折り曲げられた円環状の固定部30bと、その固定部30bから下方へ折り曲げられた円筒部30eとから構成されている。固定部30bの両側部には、台座22の載置部22c上の第2ネジ孔27に択一的に合致可能な一対の第2ネジ挿通孔32が形成されている。
【0044】
そして、回転支持台30の固定部30b上の第2ネジ挿通孔32が台座22の載置部22c上の所要の第2ネジ孔27に合致された状態で、ネジ挿通孔32を介して蝶ネジ38が第2ネジ孔27に螺合される。このため、回転支持台30が台座22に対して載置部22c上における第2ネジ孔27の配列角度ピッチに相当する細かい角度間隔で位置調節可能に固定される。なお、この実施形態においては、回転支持台30の上下位置を決めるための台座22のネジ孔26及び蝶ネジ35が設けられおらず、前記蝶ネジ38には台座22と回転支持台30との間に位置するスペーサ59が装着される。従って、スペーサ59として、その厚さが異なるものと交換すれば、回転支持台30の上下位置を調節できる。
【0045】
従って、この第3実施形態によれば、前記第1実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(9) この中継装置においては、台座22及び回転支持台30が円環状に形成され、台座22の載置部22cに多数の第2ネジ孔27が同一円周上で所定角度間隔おきに形成されている。このため、回転支持台30を台座22に対して細かい角度間隔で位置調節することができる。
【0046】
(第4実施形態)
次に、この発明を具体化した中継装置の第4実施形態を説明する。
この第4実施形態においては、図9に示すように、台座22が長四角形の板金を折り曲げるとともに、載置部22cの中央に透孔24を形成して構成されている。従って、第1ネジ孔26を有する脚部22bは2箇所に形成される。
【0047】
このため、この実施形態においては、回転支持台30の第1ネジ挿通孔31と、台座22の第1ネジ孔26とを通る蝶ネジ35による回転支持台30の高さ調節は2箇所で行なわれる。
【0048】
そして、この実施形態によれば、以下の効果がある。
(10) この中継装置においては、台座22が単純形状である長四角形の板金によって構成されているため、製造コストを抑制できる。
【0049】
(第5実施形態)
次に、この発明を具体化した中継装置の第5実施形態を説明する。
この第5実施形態においては、図10に示すように、回転支持台30の配管通過部41が2つの円の一部を重ねた形状に形成されている。
【0050】
この第4実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様な効果を得ることができる。
(第6実施形態)
次に、この発明を具体化した中継装置の第6実施形態を説明する。
【0051】
この第6実施形態においては、図11に示すように、回転支持台30の配管通過部41が円形をなすとともに、円形の領域に沿って所定角度間隔おきに複数形成されている。
従って、この第6実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様な効果を得ることができる。
【0052】
(第7実施形態)
次に、この発明を具体化した中継装置の第7実施形態を説明する。
この第7実施形態においては、図12に示すように、1つの大径円形状の配管通過部41が回転支持台30の支持部30dの中心部に形成されている。
【0053】
従って、この第7実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(11) この中継装置によれば、配管通過部41を1箇所に設ければよいため、製造コストを低減できる。
【0054】
(第8実施形態)
次に、この発明を具体化した中継装置の第8実施形態を説明する。
この第8実施形態においては、図13及び図14に示すように、台座22の展開形状が四角形となるように板金によって構成されている。載置部22cに透孔24が打ち抜き形成されている。そして、図14に示すように、板材60の四隅部を第1折曲線60aに沿って谷折りすることにより、三角形状の固定部22aが形成されている。また、板材60の四隅部を第1折曲線60aから所定間隔をおいた第2折曲線60bに沿って山折りすることにより、台形状の脚部22bが形成されている。その結果、残りの部分に正八角形状の載置部22cが形成される。
【0055】
従って、この第8実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(12) この中継装置においては、前記台座22が板金よりなり、その展開形状が四角形となるように構成されている。このため、台座22の打ち抜きや折り曲げ加工を簡単に行なうことができて、製造コストを低減できる。
【0056】
(第9実施形態)
次に、この発明を具体化した中継装置の第9実施形態を説明する。
この第9実施形態においては、図15及び図16に示すように、支持台20として、台座22と回転支持台30との2部材を用いた前記各実施形態の構成とは異なり、支持台20がひとつの部材によって構成されている。この支持台20は、支持部30dを有するとともに、その外周縁に脚部22bを有し、脚部22bの下端には固定部22aを有するとともに、固定部22aにはボルト挿通孔25が形成されている。そして、支持台20は、設置面21上のボルト28に固定部22aのボルト挿通孔25において固定される。このため、接続部39の指向方向を変更する場合は、ボルト挿通孔25とボルト28との関係を入れ換えることにより、支持台の20の向きを変更する。
【0057】
従って、この第9実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
(13) この中継装置においては、支持台20が台座22及び回転支持台30の機能を兼ねるひとつの部材によって構成されているため、部品点数が少なくなり、構成が簡単になる。
【0058】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記各実施形態の構成を適宜に組み合わせること。例えば、前記第3実施形態において、第2実施形態と同様に、回転支持台30の回転中心を設定する支持軸53を設けること。
【0059】
・ 前記第1〜第8実施形態において、台座22の第2ネジ孔27,回転支持台30の第2ネジ挿通孔32,蝶ネジ38などを省略すること。
・ 前記第1〜第8実施形態において、蝶ネジ38を単純なピンに変更すること。すなわち、台座22及び回転支持台30の一方にピンを他方にそのピンが挿入される孔を設けること。
【0060】
・ 台座22,回転支持台30及び第9実施形態における支持台20の平面形状を三角形,五角形,六角形,楕円形などの形状に適宜に変更すること。
【符号の説明】
【0061】
20…支持台、21…設置面、22…台座、22a…固定部、22b…脚部、22c…載置部、28…ボルト、29…ナット、30…回転支持台、30a…位置決め部、30b…固定部、30c…脚部、30d…支持部、35…蝶ネジ、38…蝶ネジ、39…接続部、39a…コンセント、39b…コネクタ、41…通過部、42…床下配管、45…床下配線、46…床板、51…床上配管、53…支持軸、61…床上配線、L…軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の設置面に固定される支持台を有し、その支持台には電気配線の接続部を支持するための回転支持部を設けるとともに、配管の通過部を形成し、前記回転支持部を前記設置面に対してその設置面と平行な面内において位置調節可能にして、前記接続部の指向方向を変更できるように構成したことを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記支持台を、
建物の設置面に固定される台座と、
その台座上に設置され電気配線の接続部を支持する回転支持台とにより構成し、
前記回転支持台を前記台座に対して、前記設置面と平行な面内において位置調節可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記配管の通過部を前記台座及び回転支持台に形成したことを特徴とする請求項2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記台座は、前記回転支持台を載置する載置部と、脚部と、その脚部の下端に位置する固定部とを有し、その固定部が建物の設置面に固定されることを特徴とする請求項2または3に記載の中継装置。
【請求項5】
前記台座は、板金よりなり、その展開形状が四角形であることを特徴とする請求項4に記載の中継装置。
【請求項6】
前記電気配線の接続部は、給電用のコンセントと、信号線用のコネクタとよりなることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の中継装置。
【請求項7】
前記回転支持台は、1つの軸線を中心に回転されることにより位置調節されるように構成され、前記配管の通過部は、前記軸線を中心にした円形の領域の複数箇所に形成されたことを特徴とする請求項2〜6のうちのいずれか一項に記載の中継装置。
【請求項8】
前記台座と電気配線の接続部との間には、接続部の高さを調節するための高さ調節手段を設けたことを特徴とする請求項2〜7のうちのいずれか一項に記載の中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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