中間立坑接続方法
【課題】 人孔と既設管とを安全に接合でき、人孔が交通の妨げとなることがない中間立坑接続方法を提供する。
【解決手段】 地中に構築された既設管に対し地上から平面視ほぼ円形をなすケーシングを前記既設管の上部まで設置し、前記ケーシングの内部にその内径より小の外径のリングセグメントを設け、前記リングセグメントの下部にほぼ半円形をなす刃口セグメントが設けられ、この刃口セグメントは前記既設管の上部でなく側方位置に設けられ、前記刃口セグメントが設けられた前記リングセグメントを圧入して前記刃口セグメントを前記既設管の側方まで沈設後、前記ケーシングおよび刃口セグメントの内部空間と前記既設管の内部空間とを連通させ、前記既設管とを接続する構成とした。
【解決手段】 地中に構築された既設管に対し地上から平面視ほぼ円形をなすケーシングを前記既設管の上部まで設置し、前記ケーシングの内部にその内径より小の外径のリングセグメントを設け、前記リングセグメントの下部にほぼ半円形をなす刃口セグメントが設けられ、この刃口セグメントは前記既設管の上部でなく側方位置に設けられ、前記刃口セグメントが設けられた前記リングセグメントを圧入して前記刃口セグメントを前記既設管の側方まで沈設後、前記ケーシングおよび刃口セグメントの内部空間と前記既設管の内部空間とを連通させ、前記既設管とを接続する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シールド工法や掘進工法等により地中に予め構築された既設管に対し、地上から立坑を掘削し、人孔を構築して既設管と接続する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人孔を、地中に構築された下水道管のような既設の管渠(以下、既設管という)に対し接合するにあたり、従来では、まず地上側から中間立坑を構築し、この中間立坑よりシールド工法または掘進工法等により掘削機を掘進させながら既設管を構築した後、中間立坑の部分に人孔を構築し、人孔と既設管とを接合していた。
【0003】
また、地中に予め既設管を布設した後、中間立坑を築造して既設管と接合し、人孔を構築する方法としては、特開平10−140966(以下、先行例という)がある。
【特許文献1】特開平10−140966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、道路下に既設管を構築する場合、占有等の関係から車道中央下に位置させることが多いが、この場合に、既設管の中心と人孔の中心を合致させて人孔を構築してしまうと、点検時に人が人孔内に入り作業を行うときに、道路中央部に作業ヤードを設ける必要があり、交通の支障となる。
【0005】
これを解決するために、人孔の中心を既設管の中心からずらし、人孔の入口を歩道側に配置することが考えられる。
【0006】
しかし、人孔の中心と既設管の中心がズレているため、先行例では、既設管のほぼ真上から中間立坑を構築していくため、先行例における掘削装置および掘削方法は適用できない。
【0007】
そこで、付近に立坑を構築し、立坑より既設管へ横杭を掘って接続する。この場合、横杭部に地盤改良を行い、周辺地山を固めてから掘削し、人孔と接合するやり方がある。
【0008】
しかし、地盤改良だけでは地山が崩壊する恐れがあるため、安全性に問題があり、支保工が必要となり、コスト、工程が多く必要である、という課題があった。
【0009】
この発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、人孔と既設管とを安全に接合でき、人孔が交通の妨げとなることがない中間立坑接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、地中に構築された既設管(2)に対し地上から平面視ほぼ円形をなすケーシング(3)を前記既設管(2)の上部まで設置し、前記ケーシング(3)の内部にその内径より小の外径のリングセグメント(5)を設け、前記リングセグメント(5)の下部にほぼ半円形をなす刃口セグメント(6)が設けられ、この刃口セグメント(6)は前記既設管(2)の上部でなく側方位置に設けられ、前記刃口セグメント(6)が設けられた前記リングセグメント(5)を圧入して前記刃口セグメント(6)を前記既設管(2)の側方まで沈設後、前記ケーシング(3)および刃口セグメント(6)の内部空間と前記既設管(2)の内部空間とを連通させ、前記既設管(2)とを接続することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の中間立坑接続方法において、前記ケーシング(3)の下部外周ならびに前記刃口セグメント(6)の外周から底部および前記既設管(2)の下部にかけて地盤改良されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、既設管2の上部までほぼ円形をなすケーシング3を沈設し、ケーシング内部を介してほぼ半円形の刃口セグメント6を前記既設管2の側方まで沈設後、ケーシング3の下部外周や刃口セグメント外周や底部および既設管2の下部等を地盤改良したため、ケーシング3の浮き上がりを防止でき、かつ刃口セグメント6および既設管2部分を補強できるとともに止水でき、安全性を確保し得る。
また、ケーシング3の上部であって刃口セグメント6上方位置側に人孔Aを構築し、人孔Aと既設管2とを接続するようにしたため、既設管2が車道中央下であっても道路中央部に作業ヤードを設ける必要がなく、車両通行の妨げとなることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に沿って本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1〜図10は、本発明における中間立坑接続方法の施工手順を示す。
【0014】
図1において、1は地表面、2はシールド工法や掘進工法等により地中に予め構築された既設管、3はほぼ円筒状のケーシング、4はケーシング上外周部に設けられたフランジ状の反力架台受、5はケーシング3の内部に、ケーシング内径よりやや小さな外径をなし、内部において上下動自在に設けられたほぼ円筒状のリングセグメント、6はこのリングセグメント5の下部であって既設管2の占有範囲外、つまり既設管2の上方位置ではなく、側方にズレた位置に設けられた刃口セグメントで、その形状は平面視半円形をなしている。7は当初地上側であってリングセグメント5の上部に設けられたセグメント支圧材である。
【0015】
施工に当たり、地上の所定の位置、つまり既設管2のほぼ上方位置に、既設管2より大径のほぼ円筒状をなすケーシング3をセットする。この場合、ケーシング3は既設管2の真上の位置でなく、ケーシング3の中心線0に対し既設管2が側方にズレた位置になるように配置される。
【0016】
次に、ケーシング3を地中に沈設させながらケーシング内を水中掘削し、下方に埋設された既設管2を破壊しないよう余裕をもった深さまでケーシング3を圧入もしくは建て込みながら沈設した後、つまりケーシング3の下端が既設管2の上部に接触しない上方位置に達したら、ケーシング3の沈設作業を停止する。
【0017】
ついで、ケーシング3の内部にほぼ円筒状のリングセグメント5を設置する。このリングセグメント5は地上で組み立てられる。
【0018】
リングセグメント5の下部には刃口セグメント6が設置され、この刃口セグメント6は、断面ほぼ円形をなすリングセグメント5の一方の側のほぼ半円形の部分にほぼ半円形をなすよう設置される。リングセグメント5の他方の側のほぼ半円形部分の下方の位置に既設管2が位置している。
【0019】
図16(a)はリングセグメント5の部分平面図、(b)図はその内側から見た正面図を示す。5aはセグメントピースで、隣り合うセグメントピース5aを接続して組み立て、全体として平面視ほぼ円形に形成される。5bは接続用のボルト、5cは補強用のリブである。
【0020】
図17(a)は刃口セグメント6の部分平面図、(b)図はその内側から見た正面図で、6aはセグメントピースで、全体として平面視ほぼ半円形に組み立てられる。6bは接続用のボルト、6cは補強用のリブ、6dは下方に向かって先細形状をなす刃口である。
【0021】
図2は、図1の状態において、セグメント支圧材7を押圧して下動させ、リングセグメント5および刃口セグメント6を下方に圧入した状態を示す。
【0022】
図3ないし図5は上部に支圧材を順次継ぎ足しながら、ケーシング3内に刃口セグメント6、リングセグメント5を沈降させていく状態を示す。これらの図中で、8は、反力架台受4に支持された反力架台8である。
なお、図3、図4、図5および図6において、8aは圧入架台で、この上にジャッキ(図示せず)を設置し、反力架台8から反力をとり、リングセグメント5を圧入していく。
【0023】
刃口セグメント6の刃口6dが地山に到達したら、図6に示すように、上部に反力架台8を設置し、反力架台8を利用してジャッキ等の圧入手段により、セグメント支圧材7を押圧し、刃口セグメント6を既設管2の側方側に対向配置させ、かつリングセグメント5の下端が既設管2の上部に達するまで圧入、沈設する。リングセグメント5の圧入時は、必要に応じ図示しないジェット噴射用パイプを挿入し、ジェットを水平方向にふかす。
【0024】
図7は、反力架台8を除去し、セグメント支圧材7内に改良鞘管9を設置し、かつケーシング3内の底部に掘削によって生じた発生土を埋め戻しした状態を示す。10は埋め戻した土砂を示す。これはケーシング3の浮き上がりを防止するために行われるが、最終的には除去される。
改良鞘管9の先端部は、ケーシング3の下端より若干上(10〜30cm程度)に位置している。図では、分割されたケーシング3の長さが3mなので、その半分で1.5mのところまで埋め戻している。改良鞘管9の先端はケーシング3の下端より20〜30cm程度上のところまで位置している。したがって、改良鞘管9は土中に1.2m程埋まっていることになる。なお、改良鞘管9は、地盤改良が通常の薬注入の場合には不要である。
【0025】
次に、高圧噴射撹拌工法により改良鞘管9を介し地盤改良材のための注入管(図示せず)を刃口6d近辺まで挿入し、地盤改良材を刃口6dの下方部分に注入する。また、ケーシング3の下方外周側部にも、地上側からボーリングマシンで削孔し、注入管(図示せず)を挿入して、薬液を注入して地盤改良を行う。すなわち、図8に示すように、ケーシング3の底部側方の外周部分、刃口セグメント6の刃口6dの底部下方部分、既設管2の底部下方部分等を地盤改良する。aはケーシング底部側方の外周部分の地盤改良部分、bは刃口6dおよび既設管2の底部下方の地盤改良部分である。この際、必要に応じて既設管2の付近に補足注入を行う。補足注入部分は図12に示す。ケーシング3の底部外周部分の地盤改良はケーシング3の浮き上がり防止のため、底部はその部分の補強および止水のためである。
【0026】
その後、改良鞘管9を、図9に示すように、撤去する。セグメント支圧材7等も撤去し、掘削後、ポンプでケーシング3の内部の水を排出し、清掃する。
【0027】
そして、既設管2をハツリ、コンクリートを打設し、接合して一体化する。図10はその概略外観側面図を示す。
【0028】
なお、地盤改良工程は、例えばケーシング3を圧入してから適宜の段階で行ったり、あるいはケーシング圧入前に予め行っても良い。
【0029】
図11は、地表側から見たケーシング3の平面図を示す。11は左右にそれぞれ設けられた受桁、12はケーシング3の上部に設けられた路面覆工板を示す。
【0030】
図12は、図11中A−A線断面図、図13は図12中のB−B線断面図、図14は図12中C−C線断面図を示す。これらの図において、補足注入13は、ケーシング3の外側において地上側からボーリングマシンで削孔して注入管(図示せず)を挿入し、薬液を注入して構築する。
【0031】
図15は地表1から組立マンホール15を構築し、組立マンホール15を上部を撤去したケーシング3に接続し、路面覆工板に開口12aを設け、組立マンホール15とケーシング3、既設管2とを接合し連通させた状態を示す。基礎コンクリート14を打設後、既設管2の不要部分をハツリ、ケーシング3内に鉄筋、型枠を設置し、人孔Aの躯体コンクリートを打設する。頂版3a打設後、上部に組立マンホール15を設置し、人孔Aを完成後、埋め戻し、上部の一部のケーシング3を撤去して完成となる。なお、組立マンホール15の上部には作業員出入り用の開閉自在な蓋15aが設けられる。
また、既設管2の上部の一部にはハツリにより開口部2aが設けられ、ケーシング3の内部と連通される。なお、組立マンホール15およびケーシング3内には既設管2内に作業員が入ったり、既設管2に入った作業員が地上へ出るためのタラップ16が設けられる。
【0032】
この実施例では、既設管2の上部でなく、側方にズレた位置に組立マンホール15が位置しているため、車道中央下に既設管2が位置していても道路中央部に作業ヤードを設ける必要がなく、作業ヤードが交通の弊害となることを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る中間立坑接続方法の一実施例の施工状態を示す説明図。
【図2】同上の実施例において、次の施工状態を示す説明図。
【図3】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図4】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図5】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図6】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図7】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図8】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図9】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図10】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図11】構築した中間立坑を地上側から見た平面図。
【図12】図11中A−A線断面図。
【図13】図12中B−B線断面図。
【図14】図12中C−C線断面図。
【図15】人孔を有する中間立坑を既設管に接続した状態を示す概略縦断面図。
【図16】(a)はリングセグメントの部分平面図、(b)はそれを内側から見た内周面を示す。
【図17】(a)は刃口セグメントの部分平面図、(b)はそれを内側から見た内周面を示す。
【符号の説明】
【0034】
1 地表
2 既設管
3 ケーシング
4 反力架台受
5 リングセグメント
5a セグメントピース
5b 接続用ボルト
5c リブ
6 刃口セグメント
6a セグメントピース
6b 接続用ボルト
6c リブ
6d 刃口
7 セグメント支圧材
8 反力架台
9 改良鞘管
10 埋め戻した土砂
11 受桁
12 路面覆工板
13 補足注入
14 基礎コンクリート
15 組立マンホール
15a 開閉自在蓋
16 タラップ
A 人孔
【技術分野】
【0001】
この発明は、シールド工法や掘進工法等により地中に予め構築された既設管に対し、地上から立坑を掘削し、人孔を構築して既設管と接続する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人孔を、地中に構築された下水道管のような既設の管渠(以下、既設管という)に対し接合するにあたり、従来では、まず地上側から中間立坑を構築し、この中間立坑よりシールド工法または掘進工法等により掘削機を掘進させながら既設管を構築した後、中間立坑の部分に人孔を構築し、人孔と既設管とを接合していた。
【0003】
また、地中に予め既設管を布設した後、中間立坑を築造して既設管と接合し、人孔を構築する方法としては、特開平10−140966(以下、先行例という)がある。
【特許文献1】特開平10−140966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、道路下に既設管を構築する場合、占有等の関係から車道中央下に位置させることが多いが、この場合に、既設管の中心と人孔の中心を合致させて人孔を構築してしまうと、点検時に人が人孔内に入り作業を行うときに、道路中央部に作業ヤードを設ける必要があり、交通の支障となる。
【0005】
これを解決するために、人孔の中心を既設管の中心からずらし、人孔の入口を歩道側に配置することが考えられる。
【0006】
しかし、人孔の中心と既設管の中心がズレているため、先行例では、既設管のほぼ真上から中間立坑を構築していくため、先行例における掘削装置および掘削方法は適用できない。
【0007】
そこで、付近に立坑を構築し、立坑より既設管へ横杭を掘って接続する。この場合、横杭部に地盤改良を行い、周辺地山を固めてから掘削し、人孔と接合するやり方がある。
【0008】
しかし、地盤改良だけでは地山が崩壊する恐れがあるため、安全性に問題があり、支保工が必要となり、コスト、工程が多く必要である、という課題があった。
【0009】
この発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、人孔と既設管とを安全に接合でき、人孔が交通の妨げとなることがない中間立坑接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、地中に構築された既設管(2)に対し地上から平面視ほぼ円形をなすケーシング(3)を前記既設管(2)の上部まで設置し、前記ケーシング(3)の内部にその内径より小の外径のリングセグメント(5)を設け、前記リングセグメント(5)の下部にほぼ半円形をなす刃口セグメント(6)が設けられ、この刃口セグメント(6)は前記既設管(2)の上部でなく側方位置に設けられ、前記刃口セグメント(6)が設けられた前記リングセグメント(5)を圧入して前記刃口セグメント(6)を前記既設管(2)の側方まで沈設後、前記ケーシング(3)および刃口セグメント(6)の内部空間と前記既設管(2)の内部空間とを連通させ、前記既設管(2)とを接続することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の中間立坑接続方法において、前記ケーシング(3)の下部外周ならびに前記刃口セグメント(6)の外周から底部および前記既設管(2)の下部にかけて地盤改良されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、既設管2の上部までほぼ円形をなすケーシング3を沈設し、ケーシング内部を介してほぼ半円形の刃口セグメント6を前記既設管2の側方まで沈設後、ケーシング3の下部外周や刃口セグメント外周や底部および既設管2の下部等を地盤改良したため、ケーシング3の浮き上がりを防止でき、かつ刃口セグメント6および既設管2部分を補強できるとともに止水でき、安全性を確保し得る。
また、ケーシング3の上部であって刃口セグメント6上方位置側に人孔Aを構築し、人孔Aと既設管2とを接続するようにしたため、既設管2が車道中央下であっても道路中央部に作業ヤードを設ける必要がなく、車両通行の妨げとなることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に沿って本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1〜図10は、本発明における中間立坑接続方法の施工手順を示す。
【0014】
図1において、1は地表面、2はシールド工法や掘進工法等により地中に予め構築された既設管、3はほぼ円筒状のケーシング、4はケーシング上外周部に設けられたフランジ状の反力架台受、5はケーシング3の内部に、ケーシング内径よりやや小さな外径をなし、内部において上下動自在に設けられたほぼ円筒状のリングセグメント、6はこのリングセグメント5の下部であって既設管2の占有範囲外、つまり既設管2の上方位置ではなく、側方にズレた位置に設けられた刃口セグメントで、その形状は平面視半円形をなしている。7は当初地上側であってリングセグメント5の上部に設けられたセグメント支圧材である。
【0015】
施工に当たり、地上の所定の位置、つまり既設管2のほぼ上方位置に、既設管2より大径のほぼ円筒状をなすケーシング3をセットする。この場合、ケーシング3は既設管2の真上の位置でなく、ケーシング3の中心線0に対し既設管2が側方にズレた位置になるように配置される。
【0016】
次に、ケーシング3を地中に沈設させながらケーシング内を水中掘削し、下方に埋設された既設管2を破壊しないよう余裕をもった深さまでケーシング3を圧入もしくは建て込みながら沈設した後、つまりケーシング3の下端が既設管2の上部に接触しない上方位置に達したら、ケーシング3の沈設作業を停止する。
【0017】
ついで、ケーシング3の内部にほぼ円筒状のリングセグメント5を設置する。このリングセグメント5は地上で組み立てられる。
【0018】
リングセグメント5の下部には刃口セグメント6が設置され、この刃口セグメント6は、断面ほぼ円形をなすリングセグメント5の一方の側のほぼ半円形の部分にほぼ半円形をなすよう設置される。リングセグメント5の他方の側のほぼ半円形部分の下方の位置に既設管2が位置している。
【0019】
図16(a)はリングセグメント5の部分平面図、(b)図はその内側から見た正面図を示す。5aはセグメントピースで、隣り合うセグメントピース5aを接続して組み立て、全体として平面視ほぼ円形に形成される。5bは接続用のボルト、5cは補強用のリブである。
【0020】
図17(a)は刃口セグメント6の部分平面図、(b)図はその内側から見た正面図で、6aはセグメントピースで、全体として平面視ほぼ半円形に組み立てられる。6bは接続用のボルト、6cは補強用のリブ、6dは下方に向かって先細形状をなす刃口である。
【0021】
図2は、図1の状態において、セグメント支圧材7を押圧して下動させ、リングセグメント5および刃口セグメント6を下方に圧入した状態を示す。
【0022】
図3ないし図5は上部に支圧材を順次継ぎ足しながら、ケーシング3内に刃口セグメント6、リングセグメント5を沈降させていく状態を示す。これらの図中で、8は、反力架台受4に支持された反力架台8である。
なお、図3、図4、図5および図6において、8aは圧入架台で、この上にジャッキ(図示せず)を設置し、反力架台8から反力をとり、リングセグメント5を圧入していく。
【0023】
刃口セグメント6の刃口6dが地山に到達したら、図6に示すように、上部に反力架台8を設置し、反力架台8を利用してジャッキ等の圧入手段により、セグメント支圧材7を押圧し、刃口セグメント6を既設管2の側方側に対向配置させ、かつリングセグメント5の下端が既設管2の上部に達するまで圧入、沈設する。リングセグメント5の圧入時は、必要に応じ図示しないジェット噴射用パイプを挿入し、ジェットを水平方向にふかす。
【0024】
図7は、反力架台8を除去し、セグメント支圧材7内に改良鞘管9を設置し、かつケーシング3内の底部に掘削によって生じた発生土を埋め戻しした状態を示す。10は埋め戻した土砂を示す。これはケーシング3の浮き上がりを防止するために行われるが、最終的には除去される。
改良鞘管9の先端部は、ケーシング3の下端より若干上(10〜30cm程度)に位置している。図では、分割されたケーシング3の長さが3mなので、その半分で1.5mのところまで埋め戻している。改良鞘管9の先端はケーシング3の下端より20〜30cm程度上のところまで位置している。したがって、改良鞘管9は土中に1.2m程埋まっていることになる。なお、改良鞘管9は、地盤改良が通常の薬注入の場合には不要である。
【0025】
次に、高圧噴射撹拌工法により改良鞘管9を介し地盤改良材のための注入管(図示せず)を刃口6d近辺まで挿入し、地盤改良材を刃口6dの下方部分に注入する。また、ケーシング3の下方外周側部にも、地上側からボーリングマシンで削孔し、注入管(図示せず)を挿入して、薬液を注入して地盤改良を行う。すなわち、図8に示すように、ケーシング3の底部側方の外周部分、刃口セグメント6の刃口6dの底部下方部分、既設管2の底部下方部分等を地盤改良する。aはケーシング底部側方の外周部分の地盤改良部分、bは刃口6dおよび既設管2の底部下方の地盤改良部分である。この際、必要に応じて既設管2の付近に補足注入を行う。補足注入部分は図12に示す。ケーシング3の底部外周部分の地盤改良はケーシング3の浮き上がり防止のため、底部はその部分の補強および止水のためである。
【0026】
その後、改良鞘管9を、図9に示すように、撤去する。セグメント支圧材7等も撤去し、掘削後、ポンプでケーシング3の内部の水を排出し、清掃する。
【0027】
そして、既設管2をハツリ、コンクリートを打設し、接合して一体化する。図10はその概略外観側面図を示す。
【0028】
なお、地盤改良工程は、例えばケーシング3を圧入してから適宜の段階で行ったり、あるいはケーシング圧入前に予め行っても良い。
【0029】
図11は、地表側から見たケーシング3の平面図を示す。11は左右にそれぞれ設けられた受桁、12はケーシング3の上部に設けられた路面覆工板を示す。
【0030】
図12は、図11中A−A線断面図、図13は図12中のB−B線断面図、図14は図12中C−C線断面図を示す。これらの図において、補足注入13は、ケーシング3の外側において地上側からボーリングマシンで削孔して注入管(図示せず)を挿入し、薬液を注入して構築する。
【0031】
図15は地表1から組立マンホール15を構築し、組立マンホール15を上部を撤去したケーシング3に接続し、路面覆工板に開口12aを設け、組立マンホール15とケーシング3、既設管2とを接合し連通させた状態を示す。基礎コンクリート14を打設後、既設管2の不要部分をハツリ、ケーシング3内に鉄筋、型枠を設置し、人孔Aの躯体コンクリートを打設する。頂版3a打設後、上部に組立マンホール15を設置し、人孔Aを完成後、埋め戻し、上部の一部のケーシング3を撤去して完成となる。なお、組立マンホール15の上部には作業員出入り用の開閉自在な蓋15aが設けられる。
また、既設管2の上部の一部にはハツリにより開口部2aが設けられ、ケーシング3の内部と連通される。なお、組立マンホール15およびケーシング3内には既設管2内に作業員が入ったり、既設管2に入った作業員が地上へ出るためのタラップ16が設けられる。
【0032】
この実施例では、既設管2の上部でなく、側方にズレた位置に組立マンホール15が位置しているため、車道中央下に既設管2が位置していても道路中央部に作業ヤードを設ける必要がなく、作業ヤードが交通の弊害となることを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る中間立坑接続方法の一実施例の施工状態を示す説明図。
【図2】同上の実施例において、次の施工状態を示す説明図。
【図3】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図4】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図5】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図6】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図7】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図8】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図9】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図10】さらに次の施工状態を示す説明図。
【図11】構築した中間立坑を地上側から見た平面図。
【図12】図11中A−A線断面図。
【図13】図12中B−B線断面図。
【図14】図12中C−C線断面図。
【図15】人孔を有する中間立坑を既設管に接続した状態を示す概略縦断面図。
【図16】(a)はリングセグメントの部分平面図、(b)はそれを内側から見た内周面を示す。
【図17】(a)は刃口セグメントの部分平面図、(b)はそれを内側から見た内周面を示す。
【符号の説明】
【0034】
1 地表
2 既設管
3 ケーシング
4 反力架台受
5 リングセグメント
5a セグメントピース
5b 接続用ボルト
5c リブ
6 刃口セグメント
6a セグメントピース
6b 接続用ボルト
6c リブ
6d 刃口
7 セグメント支圧材
8 反力架台
9 改良鞘管
10 埋め戻した土砂
11 受桁
12 路面覆工板
13 補足注入
14 基礎コンクリート
15 組立マンホール
15a 開閉自在蓋
16 タラップ
A 人孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に構築された既設管(2)に対し地上から平面視ほぼ円形をなすケーシング(3)を前記既設管(2)の上部まで設置し、
前記ケーシング(3)の内部にその内径より小の外径のリングセグメント(5)を設け、
前記リングセグメント(5)の下部にほぼ半円形をなす刃口セグメント(6)が設けられ、この刃口セグメント(6)は前記既設管(2)の上部でなく側方位置に設けられ、
前記刃口セグメント(6)が設けられた前記リングセグメント(5)を圧入して前記刃口セグメント(6)を前記既設管(2)の側方まで沈設後、
前記ケーシング(3)および刃口セグメント(6)の内部空間と前記既設管(2)の内部空間とを連通させ、前記既設管(2)とを接続することを特徴とする中間立坑接続方法。
【請求項2】
請求項1記載の中間立坑接続方法において、前記ケーシング(3)の下部外周ならびに前記刃口セグメント(6)の外周から底部および前記既設管(2)の下部にかけて地盤改良されていることを特徴とする中間立坑接続方法。
【請求項1】
地中に構築された既設管(2)に対し地上から平面視ほぼ円形をなすケーシング(3)を前記既設管(2)の上部まで設置し、
前記ケーシング(3)の内部にその内径より小の外径のリングセグメント(5)を設け、
前記リングセグメント(5)の下部にほぼ半円形をなす刃口セグメント(6)が設けられ、この刃口セグメント(6)は前記既設管(2)の上部でなく側方位置に設けられ、
前記刃口セグメント(6)が設けられた前記リングセグメント(5)を圧入して前記刃口セグメント(6)を前記既設管(2)の側方まで沈設後、
前記ケーシング(3)および刃口セグメント(6)の内部空間と前記既設管(2)の内部空間とを連通させ、前記既設管(2)とを接続することを特徴とする中間立坑接続方法。
【請求項2】
請求項1記載の中間立坑接続方法において、前記ケーシング(3)の下部外周ならびに前記刃口セグメント(6)の外周から底部および前記既設管(2)の下部にかけて地盤改良されていることを特徴とする中間立坑接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−101083(P2010−101083A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274062(P2008−274062)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000207780)大豊建設株式会社 (77)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000207780)大豊建設株式会社 (77)
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