説明

主タイヤ膨張装置の制御方法

【課題】 タイヤに設定される圧力を制御してタイヤの性能を向上させ、寿命を延ばすタイヤ圧制御方法の提供することにある。
【解決手段】 ある基準に合致した場合、プログラムされた要求圧設定PDを自動的に増加する主タイヤ膨張装置のタイヤ圧制御方法である。前記の基準は、収縮によって受け入れがたい水準までタイヤ温度が上昇する走行状態を指す。さらに、タイヤ20,22の負荷性能を大きくするためにこの状態でタイヤに空気を付加し、タイヤの温度を下げてタイヤの寿命を長くする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主タイヤ膨張装置(CTI装置またはCTIS)に関し、特にタイヤ性能を向上させ、タイヤ寿命を長くするために、主タイヤ膨張装置に設定される要求圧力を適切に制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】主タイヤ膨張装置は、米国特許第4,640,331号、第4,678,017号、第4,754,792号、第4,782,879号、第4,804,027号、第4,883,106号、第4,898,216号、第4,922,946号、第4,924,926号、第5,174,839号、第5,253,687号、第5,180,456号及び公開されたヨーロッパ特許出願第297,837号、第352,921号に見られ、これらにその装置の内容が言及されていることによってよく知られている。これらの装置の各々は、地形や自動車で運ぶ積荷によってタイヤの摩擦性能を動的に変えるため、運転手がタイヤの空気圧を遠隔的に変えられるようになっている。
【0003】これを達成するために、装置コントローラは、自動車が運転されている条件下での特定の「作動モード」又は設定にそれぞれ対応するタイヤ圧に関して予めプログラムされる。これらの圧力は、タイヤ製造業の推薦と予定の運搬荷重と走行速度を含む多数の要因に基づいて選択される。自動車が運転されるとき、運転手は、コントロールパネルによって現在の作動モードを指示して、CTISコントローラにそのモードに対応するプログラムされた圧力を選択させる。コントローラは、必要なときタイヤを自動的に膨張・収縮するように協働する装置の電気的に制御される空気圧部材に命令信号を送ることによって予めプログラムされた圧力を達成できる。
【0004】しかしながら、CTISのコントロールパネルから運転手が圧力をプログラムすることを可能にすることは、運転手が特定の荷重及び/又は走行速度にとってあまりにも低いタイヤ圧をプログラムすることにも当然遭遇するという可能性を生じる。もしプログラムされた圧力が、荷重、速度、道路条件にとってあまりに低い場合には、タイヤ内の空気の温度が非常に高い温度まで上昇し、タイヤの寿命を短くする。
【0005】従って、自動車の運転手が必要な操作を行えるようにしながらも、動作条件を最適化するために圧力のプログラムにおける計算ミス及び/又はエラーを報知する必要がある。
【0006】本発明のCTISのタイヤ圧制御は、ある条件に遭遇した場合、予めプログラムされたタイヤ圧を自動的に上昇させる適応性を有する制御方法を提供することによってそのニーズに答える。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記ニーズに答える本発明は、少なくとも1つの膨張可能なタイヤの流体圧を予測された要求圧設定PDで維持することが望ましい主タイヤ膨張装置の制御方法であって、前記タイヤの前記流体圧を測定して現在のタイヤ圧PCを得る段階と、前記現在のタイヤ圧が第1の予測量を越える場合に、第1の予定量で前記要求圧設定を上昇させる段階と、前記現在のタイヤ圧が前記第1の予測量を越えない場合に、前記要求圧設定に前記タイヤ圧を維持する段階と、を有する。
【0008】この方法において、前記現在のタイヤ圧が前記予測量を越える場合に、加圧流体を前記タイヤに加える段階を有する。
【0009】前記予測量は前記要求圧設定の百分率であり、前記百分率はほぼ115%であることが好ましい。
【0010】また、前記現在のタイヤ圧が第2の予測量を越える場合に、第2の予定量で前記要求圧設定を上昇させる段階を有する。
【0011】前記第2の予測量は、前記第1の予測量より大きいことを特徴とする。
【0012】前記第2の予定量は、前記第1の予定量より大きいことを特徴とする。
【0013】前記第2の予測量は前記要求圧設定の百分率であり、前記百分率は120%であることが好ましい。
【0014】前記現在のタイヤ圧が前記第2の予測量を越える場合に、加圧流体を前記タイヤに加える段階を有することを特徴とする。
【0015】前記現在のタイヤ圧が前記第1の予測量を越える場合に、加圧流体を前記タイヤに加える段階を有することを特徴とする。
【0016】前記現在のタイヤ圧が前記第2の予測量を越える場合に加圧流体を前記タイヤに加える第2の量は、前記現在のタイヤ圧が前記第1の予測量を越える場合に加圧流体を前記タイヤに加える第1の量より大きいことを特徴とする。
【0017】前記要求圧設定は圧力の範囲を有し、前記要求圧設定を越える前記第1の予測量は、前記要求圧設定の範囲にあることを特徴とする。
【0018】前記第1の予定量は前記要求圧設定によって変化したり、自動車の動作条件及び自動車が運んでいる負荷によって変化することを特徴とする。
【0019】さらに、少なくとも1つの膨張可能なタイヤの流体圧を予測された要求圧設定PDで維持することが望ましい主タイヤ膨張装置の制御方法であって、前記タイヤの前記流体圧を測定して現在のタイヤ圧PCを得る段階と、前記現在のタイヤ圧が予測量を越える場合に、前記タイヤに加圧流体を加える段階とを有することを特徴とする。
【0020】このような本発明は、タイヤ内に加圧された空気の温度に比例してタイヤ圧が上昇するという前提に基づいている。ある最大限の量の制限が与えられ適切に膨らんだタイヤの圧力が上昇した場合、それに応じて予めプログラムされた設定を調整することができる。
【0021】これを達成するために、与えられた作動モードのためにタイヤ圧を所定の範囲に維持するよう周期的な圧力チェックシーケンスをCTISが実行するとき、測定した圧力はそのモードのために予めプログラムされた要求圧の設定と比較される。もし、実際の圧力が少なくとも所定の量だけ要求圧の設定を越えるならば、コントローラは、追加的な圧力が熱を発生したと判断して、予めプログラムされた設定を上方に調整する。上方への調整の正確な値は変更でき、現在選択されている作動モードのような要因の数に依存してつくられる。さらに、タイヤ中の加圧された空気の温度を低下させることによりタイヤ負荷性能を直ぐに大きくするために、影響を受けたタイヤに空気を付加する。
【0022】圧力の熱上昇が表示されたとき予めプログラムされた設定を調整することによって、推薦された圧力でのタイヤの運転がより確実にすることができる。圧力を上昇させる重要な熱を有するタイヤに空気をさらに追加することは、タイヤの負荷能力を高め、それによって空気の温度を低下させ、タイヤの寿命を長くする。本発明のこれら及び他の利点は、添付図面を参照して行われた次の説明によって明らかになる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明のプログラム圧のオーバーライドルーチンを実施するCTISの一例の概要を示す。種々のタイプの主タイヤ膨張装置において、本ルーチンが実施できることはすぐに明らかになる。すなわち、自動車に組み込まれて設置されたCTIS10は、ボディ/シャシ取付部品12並びに車軸取付部品14を有する。車軸取付部品14は、右及び左のホイール組立体16及び18を有し、この右及び左のホイール組立体16及び18は、かじ又は非かじとり軸、駆動軸又は、非駆動軸及び/又はタンデム軸に取り付けられている。自動車はヘビーデューティ・トラックタイプ(heavy duty truck type)または特別のデューティタイプ(special duty type)が好ましいが、必ずしもそれである必要はなく、ホイール組立体16及び18は1つまたは2つのホイールのいずれかのタイプである。この実施形態において、CTIS10は、ホイール組立体16及び18のホイール24,26に取り付けられた膨張可能なタイヤの20,22の内部の20a,22aの膨張圧を測定し制御する。
【0025】CTIS10のシャシ取付部品12はマイクロプロセッサを基礎とした電子制御ユニット(ECU)28を有し、このECU28は、図2に示すような自動車の運転手のコントロールパネル29や、多数の追加的なセンサから受けた入力信号に基づいた電気制御信号を発生する。加圧流体源、好ましくは、自動車エンジンによって駆動されるエアコンプレッサ30は、空気タンクまたはウエットタンク32に直接加圧流体を供給する。ウエットタンク32は、中に圧力が蓄積され、水分が除去される、コンプレッサ30によって提供される圧縮空気用の貯蔵室として働く。ウエットタンク32からのきれいで乾燥した空気は、導管36を介して空気制御ユニット(PCU)34に、並びに導管40を介して自動車のブレーキ装置38に直接送られる。PCU34は、基本的にはECU28から受けられる命令信号に応答してCTIS10内の流れを制御するソレノイド制御マニホールドである。
【0026】空気マニホールド42は、車軸取付部品14にシャシ取付部材12を流体的に接続させており、空気マニホールド42には、圧力下に曝されてその圧力を示す電気信号を供給する圧力トランスジューサ44が取り付けられている。自動車速度センサ46は、ECU28に自動車速度情報を提供する。通常開(ノーマリ・オープン)の軸バルブ48は、空気マニホールド42と、右と左のタイヤ組立体16及び18の間に伸びる導管52中のT字形コネクタ50との間を流体的に接続する。別の案として、左右のタイヤ内部に別々にマニホールドを接続するために一対の軸バルブを設けてもよく、また他の車軸組立体のために軸バルブ53を多数追加してよい。バルブ48及び53は、空気マニホールド部分と一緒に分配マニホールド55を成す。
【0027】導管52は、回転シール組立体54,56を介してタイヤ内部20a,22aに流体的に連通し、各シール組立体は、非回転ポート54a,56aと回転ポート54b,56bとを有する。ここに使用するタイプの回転可能なシールの例は、米国特許第4,640,331号、第4,804,027号、第4,883,106号及び第5,174,839号の文献によって見ることができる。ホイールバルブ58,60の各々は、関連する回転シールを介して導管52と連通する入口ポート58a,60aと、関連するタイヤ内部にリリーフバルブ59,61を介して連通する出口ポート58b,60bとを有する。好ましくは、各ホイールバルブは、ECU28からの適切な換気命令に応答する換気口または大気開口部58c,60cに向けて、関連するタイヤ内部を換気するためのバルブ手段58d,60dを有する。大気開口部は、米国特許第4,678,017号、第4,782,879号、第4,922,946号、または第5,253,687号に示されるようにホイールバルブにあるか、または米国特許第4,640,331号に示すようにホイールバルブから離れた場所にある。
【0028】CTIS10が図1に示めされたアイドル状態にあるとき、ホイールバルブ58及び60がタイヤを一定の空気圧から開放することによってシールの寿命を延ばすために、膨張装置からタイヤを隔離することが好ましい。ホイールバルブ58,60は、バルブ入口の空気圧がほぼ大気圧であるとき、タイヤ内部20a,22aと、関連するバルブ入口(入口ポート)58a,60aと、大気開口部58c,60cとの間の空気の連通を停止する。バルブ入口58a,60aの空気圧が大気圧以上の予測された圧力であるとき、バルブ手段58d,60dはタイヤ内部と導管52との間の流体連通を可能にする。バルブ入口58a,60aの空気圧が大気圧未満の予測された圧力(真空)であるとき、タイヤ内部と大気開口部58c,60cとの間の流体連通が可能になる。しかしながら、別の案としては、バルブ入口の空気圧が大気圧にほぼ等しいときに閉じ、バルブ入口の空気圧が第1の予測された最小値以上であるときはタイヤを膨らませるために開き、そしてバルブ入口の空気圧が大気圧以上タイヤ圧以下の予測された圧力であるときは換気位置になるホイールバルブを備えていてもよい。
【0029】ECU28は、出力端子62に命令信号を送ることによってCTIS10の種々の空気部材を電気的に制御する。出力端子62は、導線64を介してコントロールパネル29(図2参照)に、導線66a,66b,66cを介して空気制御ユニット34に、導線68,70を介して軸バルブ48,53に電気的に接続される。出力信号は、入力端子72のECU28によって受けられた入力信号に応答して発生される。入力端子72は、導線74を介してコントロールパネル29(図2参照)から信号を、導線76を介して圧力トランスジューサ44からマニホールド圧力信号を、導線78を介して速度センサ46から自動車速度信号を、空気タンク32の圧力スイッチ82によって接続された導線80から空気源圧力信号をそれぞれ受ける。
【0030】図2に示す例示的な運転手制御パネル29は、軍用または商業用自動車に使用され、「ハイウェイ(HWY)」「オフハイウェイ(OFF HWY)」「エマージェンシー(EMER)」「ランフラット(RAN FLAT)」とそれぞれ明記された発光する種々の押しスイッチ29a,29b,29c,29dを有することが好ましい。またコントロールパネル29は、自動車が積荷を運んでいるかどうかをECU28に教示するためのスイッチ29eを有することが好ましい。もちろん、コントロールパネル29は、自動車の目的やタイプに従って構成されることが好ましく、しかも、現在のタイヤ圧、選択モードまたは種々の警告メッセージを表示する適当な手段として幾つかのスイッチを設けることができる。なお、このようなパネル29の詳細は米国特許第4,754,792号及び公開されたヨーロッパ特許出願第297,837号を参照することによって理解することができる。
【0031】コントロールパネル29のスイッチ29a乃至29eによって提供される情報は、そのスイッチ29a乃至29eより選択されて教示された作動モードに対応する所望の要求圧力PDの予定の範囲内に自動車のタイヤを維持するようにECU28を指示する。例えば、スイッチ29aの作動は第1のタイヤ圧に対応し、スイッチ29bの作動は第2のタイヤ圧に対応し、スイッチ29cの作動は第3のタイヤ圧に対応するといったようになるが、これらの圧力はスイッチ29eが自動車の負荷状態を教示するならば増大する。
【0032】空気圧制御ユニット34は、通常閉(ノーマリ・クローズ)の供給バルブ84と、通常開(ノーマリ・オープン)の制御バルブ86と、ウエットタンク32とベンチュリ92との間に接続された収縮バルブ90を含む真空発生器88とを有する。供給バルブ84は、導管36を介して空気源の正圧に流体的に接続された入口と、マニホールド42に接続された出口とを有する。制御バルブ86は、マニホールド42に接続された入口と、ベンチュリ92のスロートに開放している小さいオリフィス96に導管94を介して接続されている出口とを有する。
【0033】ベンチュリ92は、導線66cのECU28からの収縮信号に応答して大気圧に対して導管94に真空または負の空気圧を生じる。これはベンチュリを通って空気源から空気の流れを許容するためにソレノイドバルブ90を開放する。また導管94は、導管94中に正の空気圧を迅速に効かせるために一方向の換気バルブ98に接続されている。換気バルブ98は、導管94の負の空気圧に対して閉鎖位置に引かれ、導管94の正の空気圧に対して開放位置へ付勢力に抗して移動するバルブ部材100を有する。
【0034】前述したようにCTIS10は、運転手が圧力または作動モードを選択したことに基づいてECU28により予測された要求圧PDで又はその近傍で自動的にタイヤ圧を維持するように設計される。自動車の運転手は一般に、適切なコントロールパネルスイッチを作動するだけで、タイヤ摩擦力を向上させるためにタイヤ圧を増減させたり自動車の運搬能力を増加させたりするように装置に命令することができる。しかしながら、この装置は、自動車を速度センサ46によって監視しているとして、もし自動車の速度が、選択されたタイヤ圧のための予測された速度を越えるならば、運転手の選択モードを自動的に無効にし、タイヤ圧を増加する。CTIS10は、圧力スイッチ82によっても同様に無効にされ、圧力スイッチ82は、自動車のブレーキ装置38が完全に引かれない限り、CTIS10がウエットタンク32から空気を消費しないようにするために、スイッチ開で電気ブレーキ優先スイッチとして働く。
【0035】自動車の点火装置が励磁され、圧力スイッチ82が閉じたとき、ECU28は、車軸組立体の各々のタイヤの圧力チェックシーケンスを開始する。さらに、自動車の動作中、ECU28は、計算された要求圧を維持するために周期的な圧力チェックシーケンスを自動的に開始する。タイヤの圧力がタイヤの要求圧PD未満の予測量であることが分かったとき、タイヤまたはタイヤグループについて膨張シーケンスが開始される。
【0036】大きな最大限の摩擦が必要なとき、自動車の運転手は、コントロールパネル29上の適切なスイッチを押すことによってタイヤ圧を小さくすることを命令する。ECU28は、もしセンサ46によって教示された自動車速度が、選択された圧力を小さくするための予測量より大きければ、収縮シーケンスを開始する。大きな負荷または地形の変化によって運転手が高い要求圧に対応するスイッチを押したときは、同様にタイヤ膨張シーケンスが開始される。圧力チェックシーケンスは、所望の圧力に確実に到達するように膨張及び収縮モードの中間のある点で開始される。
【0037】CTIS10が膨張、収縮または圧力チェックを実行する状態でないステディ状態であるとき、バルブ84,86及び軸バルブ48,53は図1に示す位置にある。真空源のソレノイドバルブ90が閉じられることによって、マニホールド42、導管52、および各回転シール54,56は、制御バルブ86より真空発生器88及び換気バルブ98を通して大気に換気される。ホイールバルブ58,60は、この換気に応答して閉じられる。
【0038】例えば、ホイールバルブ58,60のバルブ手段を動かすのに十分な正の操作空気圧パルスを供給し、その入口と出口との間に流体連通を行うことができるようにするために、バルブ86及び53を閉鎖位置に励磁し、瞬間的にバルブ84を励磁することにより車軸取付部材14の一部であるタイヤの圧力チェックシーケンスが開始される。その後非励磁によってバルブ84を閉鎖する。バルブ84が閉じ、バルブ48,58,60が開くことによってマニホールド42と導管52の圧力はタイヤ圧にすぐに等しくなる。ECU28は、圧力トランスジューサ44からの信号よりこの圧力を読み、現在のタイヤ圧PCと要求圧PDとを比較し、要求されたとおり膨張/収縮シーケンスを開始する。さらに、もしシーケンスが要求されていないならば、制御バルブ86は、非励磁とされ、開放位置にもどり、それによって 真空発生器88と換気バルブ98を通して換気口にホイールバルブ組立体入口ポートを接続する。
【0039】このタイプの圧力チェックシーケンスは、ECU28が膨張または収縮シーケンスにあるときにPDに、または少なくともある予定範囲のPDに確実に到達するように開始される。同じ一般的なシーケンスは、PDのある予定範囲内にタイヤ圧が確実にありこと、並びに異常な状態を運転手に警告するために周期的にタイヤ圧をチェックするために使用されていた。
【0040】しかしながら、「膨張」または「収縮」モードに対抗するものとして「タイヤ圧メインテナンス」モードで圧力チェックを実行するとき、ECU28は、ある状態及び条件を計算するために異なるように制御することが好ましい。自動車は、与えられたモードで運転されている間、ゆっくりした漏れから生じる空気の損失及び走行条件の変化によってわずかなタイヤ圧の低下がある。これらの圧力低下に対しては、典型的にはタイヤにおける正しい走行圧を回復するために適切な膨張シーケンスによって対処する。
【0041】しかしながら、この逆に、典型的にはタイヤは空気を得ることがない。経時的なタイヤ圧の増加は、捕捉された空気の温度上昇によるものである。このような圧力は、正常であり、適切なタイヤ性能によって対応することができる。予期しない負荷及び速度においてタイヤ圧が適切な水準にあるようにプログラムされるとき、温度上昇から生じることが予期される圧力の増加は、予期できる範囲内にある。タイヤ圧が予期せぬ負荷及び速度にとってあまりにも低い値にプログラムされるならば、タイヤの温度及びその結果の圧力は予期できる範囲を越えた水準まで増加し、その結果タイヤの寿命を短くする。
【0042】従って、本発明は、あまりにも低いタイヤ圧がプログラムされていることを示す圧力増加を負荷及び速度が招くとき、プログラムされた要求圧設定PDを調整することによってタイヤ性能が低下する可能性を最小限にするように構成された制御法を提供する。
【0043】図3のフローチャートは、この要求圧の調整を容易にするために使用する本発明の適応性のあるプログラム圧設定制御方法を示す。このルーチンはECUによって実行されるソフトウエアによって行われることが好ましいが、これに代えて他の適当な方法でCTIS10によって実行することができる。それは、所望の要求圧PDを維持するときのみECU28によって実行し、膨張または収縮シーケンスのいずれの部分としては実行しないことが好ましい。
【0044】このルーチンは、ステップ200で開始され、このステップ200ではCTIS10はある予定範囲内に所望の要求圧PDを維持する。それを行う間では、圧力チェックシーケンスの中断が周期的に起こり、一つのタイヤ又はタイヤの組の現在のタイヤ圧PCがステップ202で測定され、この測定は、上述した方法または他の適当な方法に従って行われる。測定された現在の圧力PCはステップ204で要求圧PDと比較される。
【0045】従って、このルーチンは、適切に膨らんだタイヤにて、上昇された作動温度によるタイヤ圧の予期できる量を、予めプログラムされた要求圧PDを適切に変えるために使う。好ましい形態としては、圧力において15%乃至20%の上昇が用いられるが、この数字は、制御されるタイヤのタイプや特性並びに予期せぬ運搬負荷及び走行条件に依存して変化する。
【0046】本発明に示した実施例において、現在の圧力PCは、第1の予測量である、要求圧の115%(1.15×PD)と比較される。ステップ204で、もし圧力PCが要求圧の115%(1.15×PD)未満であると判断されれば、タイヤ圧は、ステップ200で適当な方法で維持される。要求圧以上の測定された圧力は、大部分が熱のせいでECU28によって無視される。この時に、対抗する収縮シーケンスを開始して要求圧の下まで現在の圧力を下げることによって、さらに膨張を小さくし、それに対応して温度が上昇する。
【0047】ステップ206において、PCがPDの115%以上であるならば、PCが、第2の予測量である、要求圧の120%(1.2×PD)と比較される。現在の圧力PCが、PDの115%と120%との間にある場合には、ステップ208で要求圧の設定が上昇する。そして、そのモードにてプログラムされた要求圧の設定PDは、同じ方法かまたはマニュアルで再びプログラムされて増加するまで新しく調整された水準のままでいる。従って、次の機会このモードが運転手により選択され、タイヤが調整されたPDの設定へ膨張または収縮される。図3に示す好ましい実施形態において、PDは第1の予定量として1psi(0.07kg/cm2)だけ上昇するが、この値は、現在の作動モード、アプリケーション、および制御されていタイヤの仕様によって変えることが好ましい。
【0048】さらに、熱のせいで圧力が上昇したときに追加的な空気がタイヤに付加されることによってタイヤの作動能力が向上し、タイヤ内の空気の温度が下降する。図3に示した実施例において、適当なフラグを設定することによって追加的な基礎が行われる。このフラッグがステップ210に設定されていないならば、圧力はステップ200で更新された要求圧の設定(この実施例においてはPD+1psi)のままとなる。付加する空気のフラグが設定されるならば、ステップ212で一定量の空気をタイヤに付加し、その後ステップ200にて維持される。付加される空気の量である、図3に示すXpsiは、多数の要因の内の1つの要因に基づいて設定することができる。
【0049】同様に、ステップ206で現在の圧力がPDの120%以上である場合には、ステップ214でPDは、好ましくはステップ208において付加される量(1psi)より大きい第2の予定量で上昇する。同様に、もしステップ216でフラグが設定されるならば、この条件はステップ210におけるフラッグの設定のために導かれるものと同じかまたは異なり、ステップ218で追加の空気が付加される。この方法において、圧力をプログラムする程度は、さらに大きく膨張するタイヤにおいてさらに大きい変化に調整することができるようにする。好ましくは、圧力の上昇は、製造者の推薦を含む種々の要因の関数として決定される。
【0050】しかしながら、別の案として、この装置は、要求圧の設定に永久的な調整を行うことなく、ある条件の下にタイヤに空気を付加するのみに構成することができる。これは、ある速度または負荷が、最初の要求圧の設定において特に計算された値を瞬間的にそしてしばしば越えさせる場合の条件において特に有利である。これを達成するルーチンを図4のフローチャートに示す。
【0051】図4に示すように、ECU28は、通常の方法においてステップ220で現在の要求圧の設定PDを維持する。ステップ222で周期的な圧力チェックシーケンスが実行され、ステップ222にて現在の圧力PCが得られる。現在の圧力はステップ224で予め設定された圧力と比較される。PCが第1の予測量未満、本実施例ではPD×115%未満であるとき、予め設定された要求圧が維持される。しかしながら、PCが第1の予測量を越えるときに、ステップ226で、PCは第2の予測量、本例ではPD×120%と比較される。
【0052】もしPCがこれらの予測された圧力の間にある場合、ステップ228では空気がタイヤに付加され、ステップ220で、予めプログラムされた要求圧の設定がそのまま維持される。PCが第2の予測された制限量を越える場合には、ステップ230において、異なる量の空気または空気圧が付加され、この第2の量は、大きく膨らんだタイヤの状況を考慮するために第1の量(ステップ228での付加量)より大きいことが好ましい。その後、再びステップ220でPDは通常のように維持される。
【0053】従って、本方法は、タイヤ圧の適応性のある制御を容易にし、運転手による設定が、与えられたモードでは負荷及び速度にとって余りに低い場合、タイヤ圧が与えられた条件の組にとって適切であるように保証することを助ける。しかしながら、本ルーチンは、能力を向上しタイヤの寿命を改善するためにタイヤ圧を最適化する広範な変更例を行うことができることは容易に理解できよう。例えば、要求圧より大きい現在値まで要求圧を増加させる量は、百分率以外の別個の値、つまり要求圧が現在の圧力までそのまま上昇される値である。同様に、このルーチンは大きな利得及びカットオフ量で実行し、要求圧の設定において増加し、追加的な空気圧の量は、各条件の組ごとに予め設定するか、リアルタイムで計算することができる。
【0054】これまでの説明は、本発明の例示的な実施例を示している。当業者は、このような説明、添付図面及び請求の範囲から、本発明の思想及び範囲から逸脱せずに変形、変更及び変形が行われることは容易に理解できよう。
【0055】
【発明の効果】本発明は、あまりにも低いタイヤ圧がプログラムされていることを示す圧力増加を負荷及び速度が招くとき、プログラムされた要求圧設定PDを調整することによってタイヤ性能が低下する可能性を最小限にする。そして、タイヤ圧の適応性のある制御を容易にし、運転手による設定が、与えられたモードでは負荷及び速度にとって余りに低い場合、タイヤ圧が与えられた条件の組にとって適切であるように保証することを助ける。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCTI装置の概略図である。
【図2】図1に示す装置の運転手コントロールパネルの概略図である。
【図3】本発明のプログラム圧オーバーライドルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図3に示したオーバーライドルーチンの他の実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 CTIS
12 ボディ/シャシ取付部品
14 車軸取付部品
16 右又は左のホイ−ル組立体
18 左又は右のホイ−ル組立体
20,22 タイヤ
20a,22a 内部
24,26 ホイ−ル
28 電子制御ユニット(ECU)
29 コントロ−ルパネル
30 空気コンプレッサ
32 ウエットタンク(空気タンク)
34 空気制御ユニット(PCU)
36,40,52,94 導管
38 ブレ−キ装置
42 空気マニホ−ルド
44 圧力トランスジュ−サ
46 自動車速度センサ
48,53 軸バルブ
54,56 回転シ−ル組立体
54a,56a 非回転ポ−ト
54b,56b 回転ポ−ト
55 配分マニホ−ルド
58,60 ホイ−ルバルブ
58a,60a 入口ポ−ト(バルブ入口)
58b,60b 出口ポ−ト(バルブ出口)
58c,60c 大気開口部
58d,60d バルブ手段
59,61 リリ−フバルブ
62 出力端子
64,66a,66b,66c,68,70,74,76,78,80 導線
72 入力端子
82 圧力スイッチ
84 供給バルブ
86 制御バルブ
88 真空発生装置
90 収縮バルブ
92 ベンチュリ
96 オリフィス
98 換気バルブ
100 バルブ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも1つの膨張可能なタイヤの流体圧を予測された要求圧設定PDで維持することが望ましい主タイヤ膨張装置の制御方法であって、前記タイヤの前記流体圧を測定して現在のタイヤ圧PCを得る段階と、前記現在のタイヤ圧が第1の予測量を越える場合に、第1の予定量で前記要求圧設定を上昇させる段階と、前記現在のタイヤ圧が前記第1の予測量を越えない場合に、前記要求圧設定に前記タイヤ圧を維持する段階と、を有することを特徴とする主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項2】 前記現在のタイヤ圧が前記予測量を越える場合に、加圧流体を前記タイヤに加える段階を有することを特徴とする請求項1に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項3】 前記予測量は前記要求圧設定の百分率であることを特徴とする請求項1に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項4】 前記百分率はほぼ115%であることを特徴とする請求項3に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項5】 前記現在のタイヤ圧が第2の予測量を越える場合に、第2の予定量で前記要求圧設定を上昇させる段階を有することを特徴とする請求項1に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項6】 前記第2の予測量は、前記第1の予測量より大きいことを特徴とする請求項5に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項7】 前記第2の予定量は、前記第1の予定量より大きいことを特徴とする請求項6に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項8】 前記第2の予測量は、前記要求圧設定の百分率であることを特徴とする請求項5に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項9】 前記百分率は120%であることを特徴とする請求項8に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項10】 前記現在のタイヤ圧が前記第2の予測量を越える場合に、加圧流体を前記タイヤに加える段階を有することを特徴とする請求項5に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項11】 前記現在のタイヤ圧が前記第1の予測量を越える場合に、加圧流体を前記タイヤに加える段階を有することを特徴とする請求項10に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項12】 前記現在のタイヤ圧が前記第2の予測量を越える場合に加圧流体を前記タイヤに加える第2の量は、前記現在のタイヤ圧が前記第1の予測量を越える場合に加圧流体を前記タイヤに加える第1の量より大きいことを特徴とする請求項11に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項13】 前記要求圧設定は圧力の範囲を有し、前記要求圧設定を越える前記第1の予測量は、前記要求圧設定の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項14】 前記第1の予定量は前記要求圧設定によって変化することを特徴とする請求項1に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項15】 前記第1の予定量は、自動車の動作条件及び自動車が運んでいる負荷によって変化することを特徴とする請求項1に記載の主タイヤ膨張装置の制御方法。
【請求項16】 少なくとも1つの膨張可能なタイヤの流体圧を予測された要求圧設定PDで維持することが望ましい主タイヤ膨張装置の制御方法であって、前記タイヤの前記流体圧を測定して現在のタイヤ圧PCを得る段階と、前記現在のタイヤ圧が予測量を越える場合に、前記タイヤに加圧流体を加える段階とを有することを特徴とする主タイヤ膨張装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平8−207520
【公開日】平成8年(1996)8月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−272933
【出願日】平成7年(1995)10月20日
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【住所又は居所原語表記】Eaton Center,Cleveland,Ohio 44114,U.S.A.