説明

乗り物のためのランプ

本発明は、明暗の境界線を持つ光ビームを生成する第1の白熱フィラメントであって、この目的のために、発せられた光を所与の角度範囲に制限する遮蔽キャップに関連付けられている第1の白熱フィラメントを少なくとも有する自動車のためのランプに関する。前記遮蔽キャップ4は、前記明暗の境界線より上方に光ビームを生成する少なくとも1つの開口を有しており、少なくとも前記光ビームの前記開口を通過する部分が、色フィルタを通過しない及び/又は色フィルタを通過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、明暗の境界線(light/dark cutoff line)を持つ光のビーム生成するための第1の白熱フィラメントであって、発せられる前記光をこのために所与の角度範囲に制限する遮蔽キャップに関連付けられている第1の白熱フィラメントを少なくとも有する自動車のためのランプに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、自動車のメインヘッドランプのためのランプであって、これらのうちの一方が遮蔽キャップを有することなく製造されており、ハイビームが生成するのを可能にしている2つの白熱フィラメントを備えているランプに関する。他方の前記白熱フィラメントは、ロービームが生成されるのを可能にするように、遮蔽キャップを有している。
【背景技術】
【0003】
この種のランプは、特に、「H4」ランプ(又は「HS1」ランプ)と称されている種類の規格化されているランプであり得る。この種のランプは、現在、ハイビーム/ロービームのヘッドランプにおいて膨大な数で使用されている。
【0004】
幾つかの国においては、この効果に対する規格の結果として、白昼においてさえも、当該乗り物が、自身のライトをオンにしている場合にのみに動かされるべきであることが、道路の使用者に規制されている又は望ましい。
【0005】
オートバイの場合、このことは、既に広い実情であり、車の場合、増大している実情である。結果として、オートバイの場合にこの習慣が導入された最初の理由が、打ち消されている。改善された視認性に関心をもたれている限り、白昼においてさえも、オートバイが自動車とは著しく異なるのではないからである。
【0006】
再び、改善された視認性が達成されるのを可能にするために、現在のところ、複数の取り得る解決策がある。公共の道路上の通行車に承認されるために、これらの解決策は、特に、関連する欧州の法律、規則及び規制、並びにアメリカ合衆国の法律、規則及び規制を遵守する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、付加的な照明要素の取り付けのような、解決策の全ては、付加的な空間を必要とし、付加的な費用を含む。更に、付加的なエネルギが、付加的な照明要素に電力を供給するのに利用可能にされなければならない。他の規則的な要件は、現在、道路上に既にあるオートバイ又はむしろオートバイのヘッドランプシステムの高価な後付けである。
【0008】
特に、如何なる主要な技術的な変化が前記ランプになされる必要性も伴うことなく頭上領域の照明が改善される要求が、存在する。
【0009】
本発明の目的は、上述の不利な点を克服すると共に道路上の安全性を改善する助けになるランプを提供することにある。道路上のこの向上された安全性に関して特徴的なのは、近付いてくる通行車の改善された信号効果及び/又はドライバ又はライダのための頭上領域の改善された照明である。当該ランプは、技術的な観点において、産業上の大量生産にとっても容易なものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、添付の請求項1に記載のフィーチャによって達成される。本発明に重要なのは、この場合、前記遮蔽キャップが、前記明暗の境界線の上方に光ビームを生成するための少なくとも1つの開口を有しており、少なくとも前記開口を通過するこの光ビームの部分が色フィルタを通過しない及び/又は色フィルタを介して通過することである。
【0011】
本発明に重要なフィーチャは、互いに組み合わせて及び互いに別個にの、両方において請求されているものである。
【0012】
驚くべき簡単な仕方で、この態様において達成されるのは、昼光におけるオートバイのための著しい視覚的特殊性である。しかしながら、本解決策は、オートバイに限定されるものではなく、例えば、車及びトラックの乗客のためにも、便利に使用されることができる。
【0013】
このことは、前記開口及び前記色フィルタを介して近付いてくる通行車の視界に入る種々の色の光ビームによって、第一の場所において、達成される。(複数の)前記開口のサイズ変更及び対応する色フィルタの色は、関連する欧州の法律、規則及び規制、並びにアメリカ合衆国の法律、規則及び規制が、各々の場合において遵守される仕方で、選択される。
【0014】
更に、代替的なもの又は組み合わせとして、色フィルタと組み合わされない1つ以上の開口の使用によって、前記近付いてくる通行車の短期間の、規定された「閃光」が、前記近付いてくる通行車によって占有される道路の空間に前記開口を介して進行する光ビームによって実施される。
【0015】
この場合、(複数の)前記開口のサイズ変更は、関連する欧州の法律、規則及び規制、並びにアメリカ合衆国の法律、規則及び規制が、各々の場合において遵守される仕方で、実施される。このことは、昼光及び暗闇の両方における運転に関する。
【0016】
添付請求項の対象は、本発明の有利な実施例である。
【0017】
前記色フィルタは、少なくとも90%の光吸収容量を持つことが好ましい。
【0018】
前記開口の輪郭は、前記遮蔽キャップの輪郭に組み込まれることも好ましい。前記開口の輪郭は、この場合において、概ね細長い穴の形状(approximately slotted form)であってもよく、前記開口の長手方向の軸を前記ランプの長手方向の軸にほぼ平行に又は垂直に配されている。このことは、このような開口を持つ遮蔽キャップの製造が技術的観点において容易になることを可能にする。
【0019】
前記光ビームの強度は、前記開口の幅によって設定されることができ、当該乗り物の前の光の縞の距離は、ロービームフィラメントに対する前記開口の位置によって設定されることができる。
【0020】
非常に広い開口(>1.5mm)は、あまり明確に規定されていない光の縞を作り、非常に狭い開口は、近付いてくる通行車に対する視認性を低下させる。
【0021】
第1の用途に関して、前記開口は、前記光ビームの前記明暗の境界線よりも上方の道路の空間に入る部分であって、この際に、色フィルタを通過しない及び/又は色フィルタを通過する部分が、近付いてくる通行車の目線の領域に向けられるように、配されるのが好ましい。この装置によって達成されることができるのは、近付いてくる通行車に対する特別な信号効果である。
【0022】
この第1の用途に関して、前記色フィルタが黄色フィルタであり、従って、更に、目をくらます又はまぶしい効果を減少するのが、好ましい。なぜなら、黄色い光は、この点において、特に適切であるからである。
【0023】
第2の用途に関して、前記開口は、前記光ビームの前記明暗の境界線よりも上方の道路の空間に入る部分であって、この際に、色フィルタを通過しない及び/又は好ましくは青色フィルタである色フィルタを通過する部分が、頭上の交通標識の領域及び路上の標識の位置に向けられるように配されるのが、好ましい。このことは、例えば、この範囲内で交通標識及び路上の標識が道路の空間内に配されている約12°から138°までの角度の扇形のような、所定の角度の扇形が、まぶしさの領域、即ち前記明暗の境界線よりも上方であり、目線よりも上方の領域において、青色フィルタリングされた光によって照明されることを可能にする。
【0024】
このことは、近付いてくる通行車の目をくらませることなく、達成される。青色光による照明は、ドライバに対して、頭上の領域における物体の視認性を大幅に向上するので、一般的に、この場合において好適である。
【0025】
前記頭上の領域とは、道路のレベルよりも、ほぼ少なくとも1.8m高く位置している領域である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】双フィラメントのハロゲン白熱ランプの第1の実施例の側部からの概略図である。
【図2】ロービームに作用する場合の、図1に示した双フィラメントのハロゲン白熱ランプからの光の分布のパターンの概略図である。
【図3】双フィラメントハロゲン白熱ランプの第2の実施例の側部からの概略図である。
【図4】ロービームに作用する場合の、図3に示した双フィラメントハロゲン白熱ランプからの光の分布のパターンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のこれら及び他の見地は、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではないが、以下に記載される実施例を参照して明らかになり説明されるであろう。
【0028】
図1において側部からの概略図で示されている本発明の第1の好適な実施例は、自動車のメインのヘッドランプにおける使用のための双フィラメントのハロゲン白熱ランプである。
【0029】
このランプは、(図1に一点鎖線で示されている)当該ランプの長手方向の軸にほぼ平行である通常の仕方で配されている2つの白熱フィラメント2、3を含んでいるほぼ円筒状ガラスのランプエンベロープ1を有している。ロービーム光を生成するのに使用される白熱フィラメント2は、既知のやり方で、放射光を所定の角度範囲に制限する遮蔽キャップ4を有している。
【0030】
2つの白熱フィラメント2、3を適所に保持すると共に、これらに電力を供給するために使用されているのは、ランプエンベロープ1のピンチシールの領域から突き出している3つの電力供給手段である。遮蔽キャップ4は、部分的に、白熱フィラメント2を覆っている。
【0031】
遮蔽キャップ4の輪郭に組み込まれている(そうでない場合、構成において通常である)のは、開口5である。開口5の輪郭は、概ね細長い穴の形状であり、即ち、約0.5mmの幅及び約2.5mmの長さを有する、ほぼ長方形のものである。前記ランプが見られた場合、開口5は、倒立の(inverted)燃焼位置に対して90°に位置されている、即ち自身の長手方向の軸が、当該ランプの長手方向の軸にほぼ垂直であるように位置されている。開口5は、ほぼ中央に、かつ、白熱フィラメント2の中央領域に対向して位置されている。白熱フィラメント2は、約5mmの長さであり、直径が約1.3mmである。
【0032】
図2は、ロービームに作用する場合の、図1に示されている双フィラメントのハロゲン白熱ランプからの光の分布のパターンの概略図である。示されているのは、1つの平面上に突き出している道路の空間の模式的表現である。
【0033】
図1に示されているように、前記遮蔽キャップ内における、開口5は、道路空間に進行する前記ヘッドランプからの前記光ビーム内に、図に示されている光の分布のパターンを生成することができる。開口5は、この場合において、ピンホールカメラのように振る舞い、前記ロービームのフィラメント、即ち白熱フィラメント2が、細長い穴の開口5によって(実線によって図2内に表されているように)明暗の境界線Dに沿ってマッピングされている。(従来の遮蔽キャップ、即ち本発明による開口を持っていないものとの違いを明確にするために、従来の遮蔽キャップの明暗の境界線Eが、図2において破線で示されている。)近付いてくるドライバ又はライダ(前記近付いてくる通行車)の目は、斜め上方に延在している(図2において一点鎖線で示されている)目線Fに沿って移動する。
【0034】
本発明によるランプを有する乗り物の約30m、60m及び80m前方に位置されている3つの位置A、B及びCにおいて、近付いてくるドライバ又はライダの目は、それぞれの距離に到達すると、本発明によるランプからの光ビームを伝って進行し、各点において、露光の短い期間及び低い強度(2,000cd未満)により、まぶしさ又は目がくらむ効果を生じることなく、路上の安全性に逆の効果を与えることのない短期間の光の閃光を経験する。
【0035】
この光ビームの強度は、前記開口の幅によって設定されることができ、乗り物の前方において照明されている縞の距離は、前記ロービームフィラメントに対する前記開口の位置を介して設定されることができる。
【0036】
非常に幅広い開口(>1.5mm)は、互いに同化する鋭くない照明された縞を生成し、非常に狭い開口は、互いから鮮明に離れた照明された縞を生成するが、近付いてくる通行車に対する視認性は、光の低い強度のため、かなり減少されている。
【0037】
図3において側部からの概略図において示されている本発明の第2の好適な実施例は、双フィラメントのハロゲン白熱ランプである。前記遮蔽キャップにおける開口及び青色フィルタリングコーティングを除いて、当該ランプは、図1に示されているランプと構造が類似している。青色フィルタリングコーティング7は、ランプエンベロープ1の外側に配されている。開口6は、前記光ビームの前記明暗の境界線より上方の道路空間に入る部分であって、この際に色フィルタ7を通過する部分が、前記頭上の交通標識の領域及び道路標識の位置に向けられるように、配される。
【0038】
開口6、又はむしろこの開口の長手方向の軸は、(一点鎖線として図3に示されているように)白熱フィラメント2の長手方向の軸にほぼ平行に遮蔽キャップ4内に延在している。自身の長手方向の軸に対して、開口6は、約2.3mmの長さで、約2mmの幅である。ロービームに作用する場合、開口6は、前記ランプからのヘッドランプのビーム内に、図4に示される光の分布のパターンを生成する。前記まぶしさの領域において、即ち前記明暗の境界線より上方で、(一点鎖線として図4に示されている)目線Fより上方において、道路空間が、約12°から138°の角度の扇形にわたって青色フィルタリングされた光によって照明される。頭上の交通標識及び道路標識が典型的に位置されるのは、この交通の領域なのである。青色フィルタリングコーティング7の光透過性は、この場合において、約5%である。
【0039】
図4は、ロービームに作用する場合の、図3に示されている双フィラメントのハロゲン白熱ランプからの光分布のパターンの概略図である。示されているのは、道路空間の概略図である。
【0040】
まぶしい領域G、即ち(図4に破線で示されている)明暗の境界線Eより上方であり、かつ、(図4に一点鎖線で示されている)目線Gより上方の三角形の角度範囲として示されている領域において、道路空間は、(図4に模式的に示されているのみであり、厳密には示されていないが)約12°乃至138°で延在している角度の扇形にわたって、青色フィルタリングされた光によって照明されている。
【0041】
このことは、所謂頭上領域、即ち少なくとも道路のレベルよりも約1.8m上方の領域における物体が、より満足のいくように照明されることを可能にする。このことは、近付いてくる通行車が目をくらまされることなく、達成される。青色光による照明は、前記頭上領域における物体のドライバに対する視認性を大幅に向上させるので、一般的に、この場合において好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明暗の境界線を持つ光のビームを生成する第1の白熱フィラメントであって、この目的のために、発せられた前記光を所与の角度範囲に制限する遮蔽キャップに関連付けられている第1の白熱フィラメントを少なくとも有する自動車のためのランプであって、
− 前記遮蔽キャップは、前記明暗の境界線より上方に光のビームを生成するための少なくとも1つの開口を有しており、
− 少なくとも前記光のビームの前記開口を通過する部分が、色フィルタを通過しない及び/又は色フィルタを通過する、
ことを特徴とする、自動車のためのランプ。
【請求項2】
前記色フィルタは、少なくとも90%の光吸収容量を有していることを特徴とする、請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記色フィルタが前記ランプエンベロープ上に配されていることを特徴とする、請求項1に記載のランプ。
【請求項4】
前記開口の輪郭が、前記遮蔽キャップの輪郭に組み込まれていることを特徴とする、請求項1に記載のランプ。
【請求項5】
前記開口の輪郭は、細長い穴の形状であり、前記開口の長手方向の軸は、前記ランプの長手方向の軸にほぼ平行又は垂直に配されていることを特徴とする、請求項1に記載のランプ。
【請求項6】
前記開口は、前記光のビームの明暗の境界線よりも上方の道路空間に入る部分であって、この際に、色フィルタを通過しない及び/又は色フィルタを通過する部分が、近付いてくる通行車の目線の領域に向けられるように、配されることを特徴とする、請求項1に記載のランプ。
【請求項7】
前記色フィルタは、黄色フィルタであることを特徴とする、請求項6に記載のランプ。
【請求項8】
前記開口は、前記光のビームの明暗の境界線よりも上方の道路空間に入る部分であって、この際に、色フィルタを通過しない及び/又は色フィルタを通過する部分が、頭上の交通標識の領域及び道路標識の位置に向けられるように、配されることを特徴とする、請求項1に記載のランプ。
【請求項9】
前記色フィルタが青色フィルタであることを特徴とする、請求項8に記載のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−509708(P2010−509708A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527941(P2009−527941)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053638
【国際公開番号】WO2008/032258
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)