乗用作業機
【課題】給油タンクを前押え操作具によって燃料タンクの近傍において支持し、給油作業を行い易くすることができる乗用作業機を提供する。
【解決手段】走行機体3の前部に燃料タンク12及び操縦部9を備え、前端部に地上操縦用の前押え操作具2を立設した乗用作業機であって、前記前押え操作具2を燃料タンク12に給油をする給油タンク15を載置支持する給油タンクステーとした。また前押え操作具2は、延長させて使用する延長姿勢と、走行時の短縮姿勢と、給油時に給油タンク15を支持する給油姿勢とに切換自在に構成する。
【解決手段】走行機体3の前部に燃料タンク12及び操縦部9を備え、前端部に地上操縦用の前押え操作具2を立設した乗用作業機であって、前記前押え操作具2を燃料タンク12に給油をする給油タンク15を載置支持する給油タンクステーとした。また前押え操作具2は、延長させて使用する延長姿勢と、走行時の短縮姿勢と、給油時に給油タンク15を支持する給油姿勢とに切換自在に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植機やトラクタ等の乗用作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植付装置を備えた移植機を圃場への出し入れするための畦越え移動、或いはトラックなどの荷台に積み降ろしをする等、走行機体が前後に傾斜して搭乗運転が困難な場合には、特許文献1で示されるように走行機体の前部に立設した前押え操作具(押し下げ操作アーム)を、作業者が地上に降りて前押え操作して機体を操縦することができる。
この移植機の前押え操作具は、下部を支点としボンネットに近接させた格納姿勢から、前方に回動させて突出する作用姿勢とに切換自在に構成されている。
【特許文献1】特許第3488187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1で示される移植機は、前押え操作具を格納姿勢において比較的小さいスペースで格納することができ、作用姿勢においては操作アームの先端部と前輪の軸心との距離を長くし機体に与える回動モーメントを大きくし、前押え操作を行い易くする等の利点がある。然し、この移植機において一般的には、エンジンの上方に設置される燃料タンクに給油する際には、ボンネットの前方に立設する前押え操作具が長いと給油タンクの持ち上げ保持を妨げ給油作業の邪魔になる等の欠点がある。そこで作業者は給油タンクをハンドルの上に載せた不安定な状態で給油作業を行ったりする等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明の乗用作業機は、第1に、走行機体3の前部に燃料タンク12及び操縦部9を備え、前端部に地上操縦用の前押え操作具2を立設した乗用作業機において、前記前押え操作具2を燃料タンク12に給油をする給油タンク15を載置支持する給油タンクステーとしたことを特徴としている。
【0005】
第2に、前押え操作具2を、地上操縦用の前押え操作具として延長させて使用する延長姿勢と、走行時に前方視界を妨げない短縮姿勢と、給油時に給油タンク15を支持する給油姿勢とに切換自在に構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明による乗用作業機は次のような効果を奏する。走行機体の前部に立設される地上操縦用の前押え操作具を、給油タンクを載置支持する給油タンクステーとした構成にすることにより、給油タンクを燃料タンクの近傍において、前押え操作具によって給油姿勢に簡単に支持することができると共に、給油作業を楽な姿勢で能率よく行うことができる。
【0007】
前押え操作具を延長姿勢と短縮姿勢と給油姿勢とに切換自在に構成したことにより、延長姿勢において前押え操作具の上端と前輪との距離をより大きくすることができるので、押し下げ操作により機体前部の浮き上がりを比較的小さな操作力で抑制し、畦越え移動等の作業をスムーズに行うことができる。また延長姿勢にある前押え操作具は、走行時に短縮姿勢にすることにより前方視界を妨げない。また給油姿勢では給油時に給油タンクを安定よく簡単に支持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。符号1は乗用作業機の一例として示す移植機であり、機体の前部に後述するように給油タンクを支持することができる前押え操作具2を備えている。この移植機1は図1,図2に示すように、前輪1aと後輪1bを左右に有する走行機体3に、前側からエンジン5を搭載してボンネット6で覆い、その後方にハンドル7及び座席8等からなる操縦部9を配置し、機体後部に構成される3点リンク方式の昇降機構10に植付装置11を装着し、苗の植付作業を行うことができる。
【0009】
上記移植機1は、ボンネット6の後方上方でハンドル7の前方直下部に燃料タンク12を設置し、ボンネット6の両側に操縦部フロア13に連なる前部ステップ14を形成している。
【0010】
図1〜図4を参照し上記前押え操作具2の第1実施形態について説明する。この前押え操作具2は走行機体3の前部に取付固定される下部ステー17と、該下部ステー17に姿勢切換機構19を介して連結される上部ステー20とからなる。これにより前押え操作具2は姿勢切換機構19を介し、図1の実線で示す下部ステー17の上部に対し上部ステー20を後方に姿勢変更させて給油タンク15を載置支持する給油姿勢と、下部ステー17の延長線上に上部ステー20を位置させた延長姿勢と、上部ステー20を折畳んだ状態の短縮姿勢との3態様姿勢の切換を簡単に行う構成としている。
【0011】
即ち、図示例の前押え操作具2は、左右の下部ステー17の下部を走行機体3の前部フレームに突設される左右の取付ブラケット21に取付固定して立設し、且つ左右の下部ステー17は中途部を横枠17aで連結し、上部に連結軸22を挿入した剛性を有する枠体構造にしている。そして、U字状に形成した上部ステー20は両端を連結軸22に回動自在に挿入し、姿勢切換機構19を介して姿勢切換自在に取付支持している。
【0012】
上記姿勢切換機構19は図4に示すように、上部ステー20の左側端に連結軸22に挿入する支持板23を設け、支持板23には前記3態様姿勢の位置決めをする3個の支持孔25を各対応する位置に連結軸22から同半径で穿設し、且つ3個の支持孔25に択一的に挿入する切換ピン26を、下部ステー17の上端に形成した横孔27にスライド自在に挿入支持する構成としている。
【0013】
これにより姿勢切換機構19は切換ピン26を給油姿勢位置の支持孔25に挿入すると、両者の系合により上部ステー20を図1,図4で示すように給油姿勢に位置決め支持することができる。
このとき上部ステー20の先端はハンドル9上に接当させるようすると、下部ステー17とハンドル9とで水平状に両持ち支持された上部ステー20の上に、重量のある給油タンク15を前押え操作具2の構造を大型化することなく簡潔で廉価な構成によって安定よく支持することができる。
【0014】
以上のように構成される前押え操作具2を備えた移植機1は、上部ステー20を短縮姿勢にすると、上部ステー20は連結軸22を支点に前方に回動して下部ステー17内に折畳んだ格納状態にすることができるので、作業者の前方視界を妨げることなく走行及び植付作業を行い易くすることができる。そして、畦越え移動やトラック荷台の積み降ろし等で、走行機体3が前後に傾斜して搭乗運転が困難な場合には、作業者は地上に降りて前押え操作具2を押し下げ操作し機体前部に下向きの荷重をかけることで、機体前部の浮き上がりを比較的に小さな操作力で抑制するが、押し下げ操作力が不足する場合、又はより小さな操作力で前上がりを押えたい場合には、短縮姿勢にある姿勢切換機構19の切換ピン26を操作し上部ステー20を延長姿勢に固定する。
【0015】
これにより前押え操作具2は下部ステー17に対し上部ステー20を直線状に延長させた延長姿勢とし、上部ステー20の上端と前輪1aとの距離を大きくすることができるので、上部ステー20の上端を押し下げ操作し下向き荷重をかけると、機体前部の浮き上がりを比較的に小さな操作力で抑制し、畦越え移動及びトラック荷台の積み降ろし作業をスムーズに行うことができる。
【0016】
そして、燃料タンク12に給油を行うとき、延長姿勢又は短縮姿勢にある前押え操作具2を姿勢切換機構19の切換ピン26を操作し延長姿勢位置の支持孔25に切換挿入すると、上部ステー20は図4で示す給油姿勢に位置決め支持することができる。この状態で上部ステー20は下部ステー17とハンドル9に支持されるので、前押え操作具2を給油タンク15を支持する給油タンクステーとして利用しながら、給油タンク15を安定よく支持することができ、支持された給油タンク15から給油ポンプ16を使用し、蓋を取り外した状態の給油口から燃料を燃料タンク12内に簡単に供給することができ、作業者は給油ポンプ16のセット及び給油作業を楽な姿勢で能率よく行うことができる。
【0017】
次に図5〜図13を参照し前押え操作具2の各実施形態について説明する。尚、上記実施形態のものと同様な構成及び作用については説明を省略する。
先ず図5〜図7で示す第2実施形態に関る前押え操作具2は、走行機体3の前部に立設する下部ステー17の上部に、上部ステー20を連結軸22によって回動自在に連結している。また姿勢切換機構19は上部ステー20の中途部に切換支持片30を回動自在に枢支し、その下端を図5で示す実線の給油姿勢位置31と延長姿勢位置32と短縮姿勢位置33とに、例えば抜き差し自在な系合ピン(切換ピン)によって択一的に連結する構成としている。
【0018】
この実施形態による前押え操作具2は、給油姿勢において下部ステー17の給油姿勢位置31に連結される切換支持片30が、上部ステー20を下方から筋交い状に支持するので、給油タンク15の載置支持をハンドル9を使用することなく安定よく行うことができる。また上部ステー20は切換支持片30の下端を延長姿勢位置32と短縮姿勢位置33とに連結するだけで、前押え操作具2を延長姿勢と短縮姿勢とに簡単に切換ることができる。尚、3態様姿勢の姿勢切換手段は上記のような構成に限ることなく、例えば上部ステー20に対し下部ステー17をスライド自在に支持した状態で、該上部ステー20を延長姿勢と短縮姿勢と給油姿勢に切換支持する構成にすることもできる。
【0019】
次に前押え操作具2の第3実施形態について図8〜図10を参照し説明する。この前押え操作具2は、走行機体3の前部に突設される左右の取付ブラケット21にL字状のステー17,17を取手部を形成するように対向させて回動自在に軸支し、互いの中途部を連結部材35によって連結している。また姿勢切換機構19はステー17を取付ブラケット21に挿入した連結軸22に回動自在に設け、系合ピンとを択一的に連結することによって、給油姿勢位置36と起立姿勢位置37とに切換可能に構成にしている。
【0020】
この構成により前押え操作具2は、連結軸22を支点として起立姿勢位置37に姿勢変更すると、図8の点線で示す起立姿勢(作用姿勢)に固定されて前押え操作具2として使用することができる。また前押え操作具2は給油姿勢位置36に姿勢変更すると実線で示す略水平状態となり、この上に給油タンク15を安定よく載置支持することができ、給油タンク15を燃料タンク12の近傍に支持し給油作業を能率よく楽に行うことができる。
【0021】
次に前押え操作具2の第4実施形態について図11〜図13を参照し説明する。この前押え操作具2は、走行機体3の前部に突設される左右の取付ブラケット21に、逆U字状のステーの両端を取付固定している。そして、前押え操作具2はハンドル9の高さと略同じにしており、これにより前押え操作具2とハンドル9とに給油タンク載置用のタンク載台39を橋渡し状に載せ掛けることができ、該タンク載台39は水平姿勢となって給油タンク15を安定よく載置することができる構成にしている。
【0022】
従って、この実施形態による前押え操作具2を備えた移植機1は、タンク載台39を外した状態において従来のものと同様に前押え操作具2として随時使用することができると共に、給油作業を行う際にはタンク載台39を前押え操作具2とハンドル9にセットするだけの操作で、該タンク載台39に給油タンク15を安定よく支持し給油作業を行い易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係わる前押え操作具の第1実施形態の構成、及び給油作業を示す乗用作業機の全体側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の正面図である。
【図4】図1の姿勢切換機構の斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る前押え操作具を備えた移植機の要部の構成を示す側面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図5の正面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る前押え操作具を備えた移植機の要部の構成を示す側面図である。
【図9】図8の平面図である。
【図10】図8の正面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る前押え操作具を備えた移植機の要部の構成を示す側面図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】図11の正面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 移植機(乗用作業機)
2 前押え操作具
3 走行機体
6 ボンネット
9 操縦部
12 燃料タンク
15 給油タンク
17 下部ステー
19 姿勢切換機構
20 上部ステー
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植機やトラクタ等の乗用作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植付装置を備えた移植機を圃場への出し入れするための畦越え移動、或いはトラックなどの荷台に積み降ろしをする等、走行機体が前後に傾斜して搭乗運転が困難な場合には、特許文献1で示されるように走行機体の前部に立設した前押え操作具(押し下げ操作アーム)を、作業者が地上に降りて前押え操作して機体を操縦することができる。
この移植機の前押え操作具は、下部を支点としボンネットに近接させた格納姿勢から、前方に回動させて突出する作用姿勢とに切換自在に構成されている。
【特許文献1】特許第3488187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1で示される移植機は、前押え操作具を格納姿勢において比較的小さいスペースで格納することができ、作用姿勢においては操作アームの先端部と前輪の軸心との距離を長くし機体に与える回動モーメントを大きくし、前押え操作を行い易くする等の利点がある。然し、この移植機において一般的には、エンジンの上方に設置される燃料タンクに給油する際には、ボンネットの前方に立設する前押え操作具が長いと給油タンクの持ち上げ保持を妨げ給油作業の邪魔になる等の欠点がある。そこで作業者は給油タンクをハンドルの上に載せた不安定な状態で給油作業を行ったりする等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明の乗用作業機は、第1に、走行機体3の前部に燃料タンク12及び操縦部9を備え、前端部に地上操縦用の前押え操作具2を立設した乗用作業機において、前記前押え操作具2を燃料タンク12に給油をする給油タンク15を載置支持する給油タンクステーとしたことを特徴としている。
【0005】
第2に、前押え操作具2を、地上操縦用の前押え操作具として延長させて使用する延長姿勢と、走行時に前方視界を妨げない短縮姿勢と、給油時に給油タンク15を支持する給油姿勢とに切換自在に構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明による乗用作業機は次のような効果を奏する。走行機体の前部に立設される地上操縦用の前押え操作具を、給油タンクを載置支持する給油タンクステーとした構成にすることにより、給油タンクを燃料タンクの近傍において、前押え操作具によって給油姿勢に簡単に支持することができると共に、給油作業を楽な姿勢で能率よく行うことができる。
【0007】
前押え操作具を延長姿勢と短縮姿勢と給油姿勢とに切換自在に構成したことにより、延長姿勢において前押え操作具の上端と前輪との距離をより大きくすることができるので、押し下げ操作により機体前部の浮き上がりを比較的小さな操作力で抑制し、畦越え移動等の作業をスムーズに行うことができる。また延長姿勢にある前押え操作具は、走行時に短縮姿勢にすることにより前方視界を妨げない。また給油姿勢では給油時に給油タンクを安定よく簡単に支持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。符号1は乗用作業機の一例として示す移植機であり、機体の前部に後述するように給油タンクを支持することができる前押え操作具2を備えている。この移植機1は図1,図2に示すように、前輪1aと後輪1bを左右に有する走行機体3に、前側からエンジン5を搭載してボンネット6で覆い、その後方にハンドル7及び座席8等からなる操縦部9を配置し、機体後部に構成される3点リンク方式の昇降機構10に植付装置11を装着し、苗の植付作業を行うことができる。
【0009】
上記移植機1は、ボンネット6の後方上方でハンドル7の前方直下部に燃料タンク12を設置し、ボンネット6の両側に操縦部フロア13に連なる前部ステップ14を形成している。
【0010】
図1〜図4を参照し上記前押え操作具2の第1実施形態について説明する。この前押え操作具2は走行機体3の前部に取付固定される下部ステー17と、該下部ステー17に姿勢切換機構19を介して連結される上部ステー20とからなる。これにより前押え操作具2は姿勢切換機構19を介し、図1の実線で示す下部ステー17の上部に対し上部ステー20を後方に姿勢変更させて給油タンク15を載置支持する給油姿勢と、下部ステー17の延長線上に上部ステー20を位置させた延長姿勢と、上部ステー20を折畳んだ状態の短縮姿勢との3態様姿勢の切換を簡単に行う構成としている。
【0011】
即ち、図示例の前押え操作具2は、左右の下部ステー17の下部を走行機体3の前部フレームに突設される左右の取付ブラケット21に取付固定して立設し、且つ左右の下部ステー17は中途部を横枠17aで連結し、上部に連結軸22を挿入した剛性を有する枠体構造にしている。そして、U字状に形成した上部ステー20は両端を連結軸22に回動自在に挿入し、姿勢切換機構19を介して姿勢切換自在に取付支持している。
【0012】
上記姿勢切換機構19は図4に示すように、上部ステー20の左側端に連結軸22に挿入する支持板23を設け、支持板23には前記3態様姿勢の位置決めをする3個の支持孔25を各対応する位置に連結軸22から同半径で穿設し、且つ3個の支持孔25に択一的に挿入する切換ピン26を、下部ステー17の上端に形成した横孔27にスライド自在に挿入支持する構成としている。
【0013】
これにより姿勢切換機構19は切換ピン26を給油姿勢位置の支持孔25に挿入すると、両者の系合により上部ステー20を図1,図4で示すように給油姿勢に位置決め支持することができる。
このとき上部ステー20の先端はハンドル9上に接当させるようすると、下部ステー17とハンドル9とで水平状に両持ち支持された上部ステー20の上に、重量のある給油タンク15を前押え操作具2の構造を大型化することなく簡潔で廉価な構成によって安定よく支持することができる。
【0014】
以上のように構成される前押え操作具2を備えた移植機1は、上部ステー20を短縮姿勢にすると、上部ステー20は連結軸22を支点に前方に回動して下部ステー17内に折畳んだ格納状態にすることができるので、作業者の前方視界を妨げることなく走行及び植付作業を行い易くすることができる。そして、畦越え移動やトラック荷台の積み降ろし等で、走行機体3が前後に傾斜して搭乗運転が困難な場合には、作業者は地上に降りて前押え操作具2を押し下げ操作し機体前部に下向きの荷重をかけることで、機体前部の浮き上がりを比較的に小さな操作力で抑制するが、押し下げ操作力が不足する場合、又はより小さな操作力で前上がりを押えたい場合には、短縮姿勢にある姿勢切換機構19の切換ピン26を操作し上部ステー20を延長姿勢に固定する。
【0015】
これにより前押え操作具2は下部ステー17に対し上部ステー20を直線状に延長させた延長姿勢とし、上部ステー20の上端と前輪1aとの距離を大きくすることができるので、上部ステー20の上端を押し下げ操作し下向き荷重をかけると、機体前部の浮き上がりを比較的に小さな操作力で抑制し、畦越え移動及びトラック荷台の積み降ろし作業をスムーズに行うことができる。
【0016】
そして、燃料タンク12に給油を行うとき、延長姿勢又は短縮姿勢にある前押え操作具2を姿勢切換機構19の切換ピン26を操作し延長姿勢位置の支持孔25に切換挿入すると、上部ステー20は図4で示す給油姿勢に位置決め支持することができる。この状態で上部ステー20は下部ステー17とハンドル9に支持されるので、前押え操作具2を給油タンク15を支持する給油タンクステーとして利用しながら、給油タンク15を安定よく支持することができ、支持された給油タンク15から給油ポンプ16を使用し、蓋を取り外した状態の給油口から燃料を燃料タンク12内に簡単に供給することができ、作業者は給油ポンプ16のセット及び給油作業を楽な姿勢で能率よく行うことができる。
【0017】
次に図5〜図13を参照し前押え操作具2の各実施形態について説明する。尚、上記実施形態のものと同様な構成及び作用については説明を省略する。
先ず図5〜図7で示す第2実施形態に関る前押え操作具2は、走行機体3の前部に立設する下部ステー17の上部に、上部ステー20を連結軸22によって回動自在に連結している。また姿勢切換機構19は上部ステー20の中途部に切換支持片30を回動自在に枢支し、その下端を図5で示す実線の給油姿勢位置31と延長姿勢位置32と短縮姿勢位置33とに、例えば抜き差し自在な系合ピン(切換ピン)によって択一的に連結する構成としている。
【0018】
この実施形態による前押え操作具2は、給油姿勢において下部ステー17の給油姿勢位置31に連結される切換支持片30が、上部ステー20を下方から筋交い状に支持するので、給油タンク15の載置支持をハンドル9を使用することなく安定よく行うことができる。また上部ステー20は切換支持片30の下端を延長姿勢位置32と短縮姿勢位置33とに連結するだけで、前押え操作具2を延長姿勢と短縮姿勢とに簡単に切換ることができる。尚、3態様姿勢の姿勢切換手段は上記のような構成に限ることなく、例えば上部ステー20に対し下部ステー17をスライド自在に支持した状態で、該上部ステー20を延長姿勢と短縮姿勢と給油姿勢に切換支持する構成にすることもできる。
【0019】
次に前押え操作具2の第3実施形態について図8〜図10を参照し説明する。この前押え操作具2は、走行機体3の前部に突設される左右の取付ブラケット21にL字状のステー17,17を取手部を形成するように対向させて回動自在に軸支し、互いの中途部を連結部材35によって連結している。また姿勢切換機構19はステー17を取付ブラケット21に挿入した連結軸22に回動自在に設け、系合ピンとを択一的に連結することによって、給油姿勢位置36と起立姿勢位置37とに切換可能に構成にしている。
【0020】
この構成により前押え操作具2は、連結軸22を支点として起立姿勢位置37に姿勢変更すると、図8の点線で示す起立姿勢(作用姿勢)に固定されて前押え操作具2として使用することができる。また前押え操作具2は給油姿勢位置36に姿勢変更すると実線で示す略水平状態となり、この上に給油タンク15を安定よく載置支持することができ、給油タンク15を燃料タンク12の近傍に支持し給油作業を能率よく楽に行うことができる。
【0021】
次に前押え操作具2の第4実施形態について図11〜図13を参照し説明する。この前押え操作具2は、走行機体3の前部に突設される左右の取付ブラケット21に、逆U字状のステーの両端を取付固定している。そして、前押え操作具2はハンドル9の高さと略同じにしており、これにより前押え操作具2とハンドル9とに給油タンク載置用のタンク載台39を橋渡し状に載せ掛けることができ、該タンク載台39は水平姿勢となって給油タンク15を安定よく載置することができる構成にしている。
【0022】
従って、この実施形態による前押え操作具2を備えた移植機1は、タンク載台39を外した状態において従来のものと同様に前押え操作具2として随時使用することができると共に、給油作業を行う際にはタンク載台39を前押え操作具2とハンドル9にセットするだけの操作で、該タンク載台39に給油タンク15を安定よく支持し給油作業を行い易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係わる前押え操作具の第1実施形態の構成、及び給油作業を示す乗用作業機の全体側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の正面図である。
【図4】図1の姿勢切換機構の斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る前押え操作具を備えた移植機の要部の構成を示す側面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図5の正面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る前押え操作具を備えた移植機の要部の構成を示す側面図である。
【図9】図8の平面図である。
【図10】図8の正面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る前押え操作具を備えた移植機の要部の構成を示す側面図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】図11の正面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 移植機(乗用作業機)
2 前押え操作具
3 走行機体
6 ボンネット
9 操縦部
12 燃料タンク
15 給油タンク
17 下部ステー
19 姿勢切換機構
20 上部ステー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体3の前部に燃料タンク12及び操縦部9を備え、前端部に地上操縦用の前押え操作具2を立設した乗用作業機において、前記前押え操作具2を燃料タンク12に給油をする給油タンク15を載置支持する給油タンクステーとしたことを特徴する乗用作業機。
【請求項2】
前押え操作具2を、地上操縦用の前押え操作具として延長させて使用する延長姿勢と、走行時に前方視界を妨げない短縮姿勢と、給油時に給油タンク15を支持する給油姿勢とに切換自在に構成した請求項1記載の乗用作業機。
【請求項1】
走行機体3の前部に燃料タンク12及び操縦部9を備え、前端部に地上操縦用の前押え操作具2を立設した乗用作業機において、前記前押え操作具2を燃料タンク12に給油をする給油タンク15を載置支持する給油タンクステーとしたことを特徴する乗用作業機。
【請求項2】
前押え操作具2を、地上操縦用の前押え操作具として延長させて使用する延長姿勢と、走行時に前方視界を妨げない短縮姿勢と、給油時に給油タンク15を支持する給油姿勢とに切換自在に構成した請求項1記載の乗用作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−141983(P2008−141983A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330819(P2006−330819)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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