説明

乳化重合凝集法トナー組成物

【課題】本発明は、帯電性が改良されたトナー組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1種の低分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の高分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の結晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種のワックス、少なくとも1種の殺生物剤、および少なくとも1種の着色剤を含むトナー組成物であって、約100℃〜約125℃の最低定着温度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、少なくとも1種の低分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の高分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の殺生物剤、少なくとも1種の結晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種のワックスおよび少なくとも1種の着色剤を含むトナー組成物について記載している。
【背景技術】
【0002】
非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を用いて作製されたトナーは、帯電特性が良好ではない場合があり、これは結晶性樹脂成分が合一の際に表面に移動することによるものでありうる。したがって、改良されたトナーが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,370,963号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、帯電性が改良されたトナー組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも1種の低分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の高分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の結晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種のワックス、少なくとも1種の殺生物剤、および少なくとも1種の着色剤を含むトナー組成物であって、少なくとも1種の低分子量非晶性ポリエステル樹脂が約25〜約50重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の高分子量非晶性ポリエステル樹脂が約25〜約50重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の結晶性ポリエステル樹脂が1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種のワックスが1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の殺生物剤が950ppm〜約1000ppmの濃度でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の着色剤が1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、約100℃〜約125℃の最低定着温度(minimum fusing temperature)を有する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
該トナー組成物は、少なくとも1種の低分子量の線状非晶性ポリエステル樹脂を含む。多数の源から入手可能な低分子量非晶性ポリエステル樹脂は、様々な融点、例えば、約30℃〜約120℃、約75℃〜約115℃、約100℃〜約110℃、および約104℃〜約110℃などを有することができる。本明細書で使用する場合、低分子量非晶性ポリエステル樹脂は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したところ、例えば、約1000〜約10000、約2000〜約8000、約3000〜約8000、および約4000〜約6000などの数平均分子量(M)を有する。該樹脂の重量平均分子量(M)は、標準ポリスチレンを使用してGPCで求めたところ、50000以下、例えば、約2000〜約50000、約3000〜約40000、約10000〜約30000および約18000〜約21000である。結晶性樹脂の分子量分布(M/M)は、例えば、約2〜約6、より具体的には、約2〜約4である。低分子量非晶性ポリエステル樹脂は、約8〜約20mg KOH/g、約8〜約16mg KOH/gおよび約9〜約14mg KOH/gの酸価を有してもよい。
【0007】
線状非晶性ポリエステル樹脂の例としては、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA co−フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA co−フマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールA co−フマレート)、ポリ(co−プロポキシル化ビスフェノールA co−エトキシル化ビスフェノールA co−フマレート)、ポリ(1,2−プロピレン フマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA co−マレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA co−マレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールA co−マレエート)、ポリ(co−プロポキシル化ビスフェノールA co−エトキシル化ビスフェノールA co−マレエート)、ポリ(1,2−プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA co−イタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA co−イタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールA co−イタコネート)、ポリ(co−プロポキシル化ビスフェノールA co−エトキシル化ビスフェノールA co−イタコネート)、ポリ(1,2−プロピレンイタコネート)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0008】
各実施形態において、好適な線状非晶性ポリエステル樹脂は、以下の式
【化1】

(式中、mは約5〜約1000でもよい)を有するポリ(プロポキシル化ビスフェノールA co−フマレート)樹脂でもよい。
【0009】
各実施形態において、低分子量非晶性ポリエステル樹脂は、飽和または不飽和非晶性ポリエステル樹脂でもよい。本開示の方法および粒子のために選択される飽和および不飽和非晶性ポリエステル樹脂の例示例としては、ポリエチレン−テレフタレート、ポリプロピレン−テレフタレート、ポリブチレン−テレフタレート、ポリペンチレン−テレフタレート、ポリヘキサレン−テレフタレート、ポリヘプタデン−テレフタレート、ポリオクタレン−テレフタレート、ポリエチレン−イソフタレート、ポリプロピレン−イソフタレート、ポリブチレン−イソフタレート、ポリペンチレン−イソフタレート、ポリヘキサレン−イソフタレート、ポリヘプタデン−イソフタレート、ポリオクタレン−イソフタレート、ポリエチレン−セバケート、ポリプロピレンセバケート、ポリブチレン−セバケート、ポリエチレン−アジペート、ポリプロピレン−アジペート、ポリブチレン−アジペート、ポリペンチレン−アジペート、ポリヘキサレン−アジペート、ポリヘプタデン−アジペート、ポリオクタレン−アジペート、ポリエチレン−グルタレート、ポリプロピレン−グルタレート、ポリブチレン−グルタレート、ポリペンチレン−グルタレート、ポリヘキサレン−グルタレート、ポリヘプタデン−グルタレート、ポリオクタレン−グルタレートポリエチレン−ピメレート、ポリプロピレン−ピメレート、ポリブチレン−ピメレート、ポリペンチレン−ピメレート、ポリヘキサレン−ピメレート、ポリヘプタデン−ピメレート、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA−フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA−スクシネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA−アジペート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA−グルタレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA−イソフタレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールA−ドデセニルスクシネート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−スクシネート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−アジペート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−グルタレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−イソフタレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルスクシネート)、およびそれらの組合せなどの様々な非晶性ポリエステルのいずれかが挙げられる。
【0010】
多数の源から入手可能な線状または分岐状の低分子量非晶性樹脂は、示差走査熱量測定法(DSC)で測定したところ、様々なオンセットガラス転移温度(Tg)、例えば、約40℃〜約80℃、約50℃〜約70℃、および約58℃〜約62℃などを有することができる。
【0011】
低分子量非晶性ポリエステル樹脂は分岐状樹脂でもよい。本明細書で使用する場合、「分岐状」または「分岐」という用語は、分岐状樹脂および/または架橋性樹脂を含む。選択される分岐剤量は、例えば、該樹脂の約0.1〜約5モルパーセントである。
【0012】
本開示のトナー粒子中の低分子量非晶性ポリエステル樹脂の量は、コア中、シェル中またはその両方であれ、25〜約50重量パーセントの量で存在し得る(すなわち、外部の添加剤および水を除いたトナー粒子)。
【0013】
各実施形態において、該トナー組成物は、少なくとも1種の結晶性樹脂を含む。本明細書で使用する場合、「結晶性」とは三次元秩序を有するポリエステルを指す。
【0014】
各実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂は、飽和結晶性ポリエステル樹脂または不飽和結晶性ポリエステル樹脂である。
【0015】
結晶性ポリエステル樹脂は、様々な融点、例えば、約30℃〜約120℃、約50℃〜約90℃などを有してもよい。該結晶性樹脂は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したところ、例えば、約1000〜約50000、約2000〜約25000、約3000〜約15000、および約6000〜約12000などの数平均分子量(M)を有してもよい。該樹脂の重量平均分子量(M)は、標準ポリスチレンを使用してGPCで求めたところ、50000以下、例えば、約2000〜約50000、約3000〜約40000、約10000〜約30000および約21000〜約24000である。該結晶性樹脂の分子量分布(M/M)は、例えば、約2〜約6、より具体的には、約2〜約4である。結晶性ポリエステル樹脂は、約2〜約20mg KOH/g、約5〜約15mg KOH/gおよび約8〜約13mg KOH/gの酸価を有してもよい。酸価(または中和価)は、1グラムの結晶性ポリエステル樹脂を中和するのに必要とされるカリウム水酸化物(KOH)のミリグラム単位の質量である。
【0016】
結晶性ポリエステル樹脂の例示例としては、ポリ(エチレン−アジペート)、ポリ(プロピレン−アジペート)、ポリ(ブチレン−アジペート)、ポリ(ペンチレン−アジペート)、ポリ(ヘキシレン−アジペート)、ポリ(オクチレン−アジペート)、ポリ(エチレン−スクシネート)、ポリ(プロピレン−スクシネート)、ポリ(ブチレン−スクシネート)、ポリ(ペンチレン−スクシネート)、ポリ(ヘキシレン−スクシネート)、ポリ(オクチレン−スクシネート)、ポリ(エチレン−セバケート)、ポリ(プロピレン−セバケート)、ポリ(ブチレン−セバケート)、ポリ(ペンチレン−セバケート)、ポリ(ヘキシレン−セバケート)、ポリ(オクチレン−セバケート)、ポリ(ノニレン−セバケート)、ポリ(デシレン−セバケート)、ポリ(ウンデシレン−セバケート)、ポリ(ドデシレン−セバケート)、ポリ(エチレン−ドデカンジオエート)、ポリ(プロピレン−ドデカンジオエート)、ポリ(ブチレン−ドデカンジオエート)、ポリ(ペンチレン−ドデカンジオエート)、ポリ(ヘキシレン−ドデカンジオエート)、ポリ(オクチレン−ドデカンジオエート)、ポリ(ノニレン−ドデカンジオエート)、ポリ(デシレン−ドデカンジオエート)、ポリ(ウンデシレン−ドデカンジオエート)、ポリ(ドデシレン−ドデカンジオエート)、ポリ(エチレン−フマレート)、ポリ(プロピレン−フマレート)、ポリ(ブチレン−フマレート)、ポリ(ペンチレン−フマレート)、ポリ(ヘキシレン−フマレート)、ポリ(オクチレン−フマレート)、ポリ(ノニレン−フマレート)、ポリ(デシレン−フマレート)、コポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(プロピレン−アジペート)、コポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(ブチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(オクチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(プロピレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ブチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(オクチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(エチレン−スクシネート)、コポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(プロピレン−スクシネート)、コポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(ブチレン−スクシネート)、コポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−スクシネート)、コポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−スクシネート)、コポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(オクチレン−スクシネート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(エチレン−セバケート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(プロピレン−セバケート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ブチレン−セバケート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−セバケート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−セバケート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(オクチレン−セバケート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(プロピレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ブチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−アジペート)、コポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−アジペート)およびそれらの組合せなどの様々な結晶性ポリエステルのいずれかを挙げ得る。
【0017】
好適な結晶性ポリエステル樹脂としては、米国特許第7329476号および米国特許出願公開第2006/0216626号、同第2008/0107990号、同第2008/0236446号および同第2009/0047593号に開示されているものが挙げられる。各実施形態において、好適な結晶性樹脂としては、エチレングリコールまたはノナンジオールおよび以下の式
【化2】

(式中、bは5〜2000であり、dは5〜2000である)を有するドデカン二酸とフマル酸コモノマーとの混合物からなる樹脂を挙げ得る。
【0018】
本開示のトナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂の量は、コア中、シェル中またはその両方であれ、該トナー粒子の1〜約15重量パーセントの量で存在し得る(すなわち、外部の添加剤および水を除いたトナー粒子)。
【0019】
各実施形態において、上記樹脂は、少なくとも1種の高分子量の分岐状または架橋性の非晶性ポリエステル樹脂と組み合わせてもよい。この高分子量樹脂としては、例えば、分岐状の非晶性樹脂もしくは非晶性ポリエステル、架橋性の非晶性樹脂もしくは非晶性ポリエステル、またはそれらの混合物、あるいは架橋に付された非架橋性の非晶性ポリエステル樹脂を挙げ得る。
【0020】
本明細書で使用する場合、高分子量非晶性ポリエステル樹脂は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したところ、例えば、約1000〜約10000、約2000〜約8000、約3000〜約8000、および約6000〜約8000などの数平均分子量(M)を有してもよい。該樹脂の重量平均分子量(M)は、標準ポリスチレンを使用してGPCで求めたところ、55000超、例えば、約55000〜約150000、約50000〜約100000、約63000〜約94000および約68000〜約85000である。多分散指数(PD)は、標準ポリスチレン対照樹脂に対してGPCで測定したところ、約4以上、例えば、約4超など、各実施形態において約4〜約20、他の実施形態において約6〜約10、および約6〜約8である。PD指数は、重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)の比である。低分子量非晶性ポリエステル樹脂は、約8〜約20mg KOH/g、約8〜約16mg KOH/gおよび約11〜約15mg KOH/gの酸価を有してもよい。多数の源から入手可能な高分子量非晶性ポリエステル樹脂は、様々な融点、例えば、約30℃〜約140℃、約75℃〜約130℃、約100℃〜約125℃、および約115℃〜約121℃などを有することができる。
【0021】
多数の源から入手可能な高分子量非晶性樹脂は、示差走査熱量測定法(DSC)で測定したところ、様々なオンセットガラス転移温度(Tg)、例えば、約40℃〜約80℃、約50℃〜約70℃、および約54℃〜約68℃などを有することができる。各実施形態において、線状および分岐状の非晶性ポリエステル樹脂は、飽和または不飽和樹脂でもよい。
【0022】
各実施形態において、架橋ポリエステル樹脂は、ラジカル重合条件下で反応することができる不飽和部位を含有する線状非晶性ポリエステル樹脂から作製し得る。そのような樹脂の例としては、米国特許第5227460号、同第5376494号、同第5480756号、同第5500324号、同第5601960号、同第5629121号、同第5650484号、同第5750909号、同第6326119号、同第6358657号、同第6359105号、および同第6593053号に開示されているものが挙げられる。各実施形態において、好適なポリエステルはポリ(プロポキシル化ビスフェノールA co−フマル酸)である。
【0023】
各実施形態において、架橋性の分岐状ポリエステルは、高分子量非晶性ポリエステル樹脂として利用し得る。そのようなポリエステル樹脂は、2つ以上のヒドロキシルを有する少なくとも1つのポリオール基もしくはそれらのエステル、少なくとも1種の脂肪族もしくは芳香族の多官能性酸もしくはそれらのエステル、または少なくとも3つの官能基を有するそれらの混合物、および場合により少なくとも1種の長鎖脂肪族カルボン酸もしくはそれらのエステル、または芳香族モノカルボン酸もしくはそれらのエステル、またはそれらの混合物を含む少なくとも2種のプレゲル組成物から形成し得る。そのようなポリエステルおよびその合成方法の例としては、米国特許第6592913号に開示されているものが挙げられる。
【0024】
各実施形態において、高分子量非晶性ポリエステル樹脂の代わりの架橋性の分岐状ポリエステルとしては、ジメチルテレフタレート、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、およびペンタエリスリトールの反応から得られたものを挙げ得る。
【0025】
本開示のトナー粒子中の高分子量非晶性ポリエステル樹脂の量は、コア中、シェル中、またはその両方であれ、該トナーの約25%〜約50重量%でもよい(すなわち、外部の添加剤および水を除いたトナー粒子)。
【0026】
結晶性樹脂対低分子量非晶性樹脂対高分子量非晶性ポリエステル樹脂の比は、約1:1:98〜約98:1:1〜約1:98:1の範囲であることができる。
【0027】
該トナー組成物は、少なくとも1種の殺生物剤も含み得る。上記のものなどのポリエステル樹脂は約7〜8のpHを有し、それにより、これらの樹脂は、細菌/カビの攻撃および様々な形態の生体誘発分解を受けやすい。該トナー組成物における少なくとも1種の殺生物剤の含有は、殺生物剤の不存在下で発生し得る、上記ポリエステル樹脂の分子量における20%超の分解潜在力を低減または排除するように作用し、ポリエステルラテックスおよびトナーの保存寿命を増大させ、したがってより低い最低固定温度(minimum fixing temperature:MFT)およびより幅の広い定着ラチチュードを達成し得る。殺生物剤は、950ppm〜約1000の量で存在し得る。
【0028】
各実施形態において、本明細書に記載のトナー組成物は着色剤も含む。着色剤がインク担体中に溶解または分散することができるならば、該トナー組成物において、染料、顔料、それらの混合物等を含めた任意の所望のまたは効果的な着色剤を採用することができる。インク担体中に分散または溶解することができ、他のインク成分と相溶性であるならば、任意の染料または顔料を選択し得る。
【0029】
本開示のトナー粒子中の着色剤の量は、コア中、シェル中、またはその両方であれ、該トナーの1%〜約15重量%でもよい(すなわち、外部の添加剤および水を除いたトナー粒子)。
【0030】
該トナーは、任意の好適な表面添加剤も含み得る。表面添加剤の例は、ジメチルシロキサンでコーティングされた疎水性シリカからなる表面処理ヒュームドシリカである。一般に、シリカは、トナー流、トライボ強化、混合制御、改善された現像および転写安定性、およびより高いトナーブロッキング温度のために、該トナー表面に塗布される。TiOは、改善された相対湿度(RH)安定性、トライボ制御および改善された現像および転写安定性のために塗布される。好適なSiOおよびTiOの例は、DTMS(デシルトリメトキシシラン)またはHMDS(ヘキサメチルジシラザン)を含めた化合物で表面処理されたものである。
【0031】
トナー粒子形成時に、ワックスも該ポリエステル樹脂(複数可)および着色剤と組み合わせ得る。含まれる場合、ワックスは、コア中、シェル中のいずれかまたはその両方中に、例えば、該トナー粒子の約1重量パーセント〜約15重量パーセント、各実施形態において、該トナー粒子の約5重量パーセント〜約15重量パーセントおよび約5〜約15重量パーセントの量で存在し得る。
【0032】
選択し得るワックスとしては、例えば、約500〜約20000、各実施形態において約1000〜約10000の重量平均分子量を有するワックスが挙げられる。使用し得るワックスとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブテンワックスなどのポリオレフィン、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木蝋、およびホホバ油などの植物系ワックス、動物系ワックス、ミネラル系ワックスおよび石油系ワックス、高級脂肪酸および高級アルコールから得られたエステルワックス、高級脂肪酸および一価または多価低級アルコールから得られたエステルワックス、高級脂肪酸および多価アルコール多量体から得られたエステルワックス、ソルビタン高級脂肪酸エステルワックス、ならびにコレステロール高級脂肪酸エステルワックスが挙げられる。
【0033】
各実施形態において、本明細書に記載のトナー粒子は、例えば、低分子量非晶性ポリエステル樹脂、高分子量非晶性ポリエステル樹脂および/または結晶性ポリエステル樹脂が上記不飽和部分を含む場合、紫外線への曝露時に硬化できてもよい。そのような実施形態において、該トナーは、好適な光開始剤、トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド、アゾ化合物、アントラキノンおよび置換アントラキノン、アセトフェノン、チオキサントン、ケタール、アシルホスフィン、ならびにそれらの混合物をさらに含み得る。
【0034】
各実施形態において、該トナー組成物は、約0.5〜約15wt%の光開始剤を含有し得る。
【0035】
本開示のトナー粒子は、場合により、該トナー粒子を担体粒子と混合することにより、現像剤組成物中に配合することができる。そのような担体粒子の例示例としては、鉄、鉄合金、スチール、ニッケル、(ストロンチウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛等を組み込んだフェライトを含めた)鉄フェライト、磁鉄鉱等が挙げられる。他の担体は、米国特許第4937166号および同第4935326号に開示されている。
【0036】
ポリエステル樹脂(複数可)を有するトナー粒子の製造用の樹脂エマルションを生成する方法の一例は、米国特許第7029817号に開示されている。乳化重合凝集法トナー分散液は、米国特許出願公開第2006/0223934号に開示されている溶融混合法、および米国特許出願公開第2008/0236446号に記載されている転相法を含めた他の方法により生成し得るが、これらに限定されない。
【0037】
各実施形態において、トナー組成物は、以下に記載の転相乳化(PIE)または溶媒フラッシュ法などの知られている乳化重合凝集法のいずれかにより調製し得る。PIE法は、着色剤、殺生物剤および任意の他の所望のまたは必要とされる添加剤、ならびに低分子量非晶性ポリエステル樹脂、高分子量ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含むエマルションの混合物を凝集させるステップ、次いで、凝集混合物を融合(coalescing)させるステップを含む。本明細書で「プレトナー混合物」と呼ぶこの組成物は、結晶性ポリエステル樹脂および高分子量および低分子量非晶性ポリエステル樹脂を好適な溶媒中に溶解することにより調製し得る。各実施形態において、該樹脂エマルションは、ポリエステル樹脂を溶媒中に溶解することにより調製される。
【0038】
場合により、該樹脂(複数可)にさらなる安定化をもたらすために、界面活性剤などのさらなる安定剤を水性エマルション媒体に添加してもよい。1種、2種、またはそれ以上の界面活性剤を利用し得る。界面活性剤は、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤から選択し得る。アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤は、「イオン性界面活性剤」という用語により包含される。各実施形態において、アニオン性および非イオン性界面活性剤の使用は、凝固剤の存在下で凝集プロセスを安定化させるのをさらに促進することができ、それがなければ凝集不安定性につながる恐れがある。
【0039】
各実施形態において、該トナー組成物の約0.01%〜約5重量%の量で存在するように界面活性剤を利用し得る。
【0040】
安定剤(複数可)の添加後、得られた混合物を任意の所望の時間混合または均質化することができる。さらに、各実施形態において、プレトナー混合物を場合により均質化してもよい。
【0041】
凝集の完了後、該トナー粒子上にシェルをコーティングしてもよい。ワックスおよび着色剤などのさらなる成分もシェル中に含んでもよい。
【0042】
各実施形態において、シェルを形成するのに利用し得る樹脂としては上記高分子量樹脂が挙げられ、および/またはコアとして使用するための上記非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0043】
したがって、該方法は、着色剤、殺生物剤およびワックス、ならびに場合により他の添加剤の存在下で、結晶性ポリエステル樹脂、低分子量非晶性ポリエステル樹脂、高分子量非晶性ポリエステル樹脂をまとめてブレンドするステップ、ブレンドを室温から約60℃まで加熱するステップを必要とする。約6ミクロン〜約12ミクロンの平均寸法を有し、その結果FPIA SYSMEX分析器で測定したところ約115〜約130の形状係数を有する凝集粒子を生成するために、温度を65℃までゆっくりと上昇させ、そこで約3時間〜約9時間保持してもよい。
【0044】
凝集後、凝集体を融合してもよい。融合は、結晶性および/または非晶性ポリエステル樹脂のTを約5℃〜約20℃上回る温度まで凝集混合物を加熱することにより達成し得る。
【0045】
さらに、融合の間、すべての未反応の凝固剤を除去するために、有機または無機錯化剤(金属イオン封鎖剤)を該トナー組成物に添加してもよい。融合後、混合物を室温まで冷却してもよい。冷却後、トナー粒子の混合物を水で洗浄し、次いで、乾燥させてもよい。凝集および融合すると、各実施形態のトナー粒子は約1〜約15ミクロンの平均粒径を有する。本開示のトナー粒子は、体積の上限幾何標準偏差(GSD)が約1.15〜約1.30の範囲であるような寸法も有することができる。
【0046】
形状係数も、最適な機械の性能を達成することができるトナーに付随する制御プロセスパラメーターである。該トナー粒子は、約105〜約170、約110〜約160などの形状係数を有することができる。SEMにより該トナーの形状係数分析結果を求めるのに走査型電子顕微鏡法(SEM)が使用され、画像分析(IA)が試験される。平均粒子形状は、以下の形状係数(SF1a)式:SF1a=100.pi.d/(4A)(式中、Aは粒子の面積であり、dはその長軸である)を採用することにより数量化される。完全に円形または球形の粒子は、正確に100の形状係数を有する。形状係数SF1aは、形状がより不規則または細長くなり、より大きい表面積を有するにつれて増大する。形状係数SFの測定に加えて、粒子の円形度を測定するための別の測定法が常用されている。使用される機器はSysmex製のFPIA−2100である。完全に円形の球体については、円形度は1.000である。該トナー粒子は、約0.920〜0.990の円形度を有することができる。画像形成プロセスにおいて、画像形成装置は、一般に元の画像の複写である印刷物を形成するのに使用される。導電層上に光伝導絶縁層を含む画像形成装置の画像形成部材(例えば、光伝導部材)は、最初に光伝導絶縁層の表面を均一に静電的に帯電させることにより画像を形成する。次いで、該部材は、光伝導絶縁層の照射領域内の電荷を選択的に散逸させ、一方で非照射領域内に静電潜像を残す活性化電磁放射のパターンに曝される。次いで、この静電潜像は、可視画像を形成するために、該トナー粒子を、例えば現像剤組成物から光伝導絶縁層の表面上へ堆積させることにより、現像し得る。
【0047】
本明細書で使用する場合、以下の特性は以下の通り定義する。
【0048】
最低固定温度(minimum fixing temperature:MFT)は、例えば、折り目試験により求めた、受像基材に対するトナーの許容可能な付着が発生する最低温度(トナー折り目とも呼ばれる)である。例えば、MFT測定値を得るのに使用される折り目試験は、特定の温度で定着した画像を折り畳む(folding)こと、および折り畳んだ部分(fold)全体に基準分銅を転動させることを伴う。次いで、折り畳んだ画像を広げ、顕微鏡下で分析し、折り畳んだ部分に現れる折り目の数に基づいた数値等級を評価する。最低定着温度((minimum fusing temperature)ほとんど折り目を示さない)が得られるまでこの手順を様々な温度で繰り返す。
【0049】
各実施形態において、該トナー組成物中のトナー粒子のMFTは、約100℃〜約125℃、約110℃〜約125℃、115℃〜約125℃および約120℃〜約125℃でもよい。
【0050】
剥離力を以下の通り評価した。各々が1cmの距離で隔てられた2つの5センチメートル(cm)×4cmのベタ領域の矩形からなる多数の未定着のトナー画像を、50と55グラム/平方メートルの間の紙重量を有する紙シート上に現像した。未定着の画像は、例えば、定着器が取り外された卓上電子写真複写機または印刷機を使用して上記画像を複写または印刷することにより生成することができる。さらに、該卓上複写機または印刷機用の電子写真現像剤を、剥離力について評価するトナー粒子、および好適な電子写真担体からなる現像剤と取り替えた。1.25ミリグラム/平方センチメートルの単位面積当たりのトナー質量でトナー画像を生成した。次いで、未定着の画像と接触する熱ロールの表面に極めて近接してストリッパーフィンガーを備え、その結果、ストリッパーフィンガーが、紙シートが定着ニップを出るときに紙シートに接触し、2つの矩形のトナー画像の間の1cmの間隙に沿って通過する2つのロール定着器システムに、未定着のトナー画像を有する紙シートを1枚ずつ通過させた。ストリッパーフィンガーは、熱ロールから定着トナー画像が剥離されるときの定着トナー画像と熱ロールの間の付着力の尺度である、紙シートが定着ニップを出るときに紙シートによりストリッパーフィンガーにかけられる力を測定する歪みゲージを備える。トナー画像が定着器を通過する間にストリッパーフィンガーにかかる最大力は剥離力として記録する。剥離力は、約140℃と180℃の間の定着温度について測定する。25グラム重量未満の最大剥離力を許容可能であると見なす。
【0051】
印刷光沢(Gardner光沢単位または「ggu」)を、約120℃〜約210℃の定着ロール温度範囲で定着したトナー画像について、75℃BYK Gardner光沢計を使用して測定した(試料の光沢はトナー、単位面積当たりのトナー質量、紙基材、定着ロール、および定着ロール温度次第である)。
【0052】
各実施形態において、本開示のトナーは、約25×10より高い重量平均分子量を有するラテックス、例えば、33×10〜35×10の重量平均分子量を有する主流のEAラテックスを含む配合から調製された先行技術のEAトナーより、概して少なくとも約8光沢単位高い、一般に少なくとも約12光沢単位高い、より一般に少なくとも約15光沢単位高い光沢を有する定着画像を生成し得る。
【0053】
光沢とは、鏡面(正)反射の相対量および性質について記載するのに使用される主観的な用語である。シーン、像鮮明光沢等などの様々なタイプの光沢が、しばしば任意に区別される。光沢度は、同じ幾何条件下での標準表面のそれに対する正反射の量の相対的な数値でもよい。試験片の光沢は観察の角度で大きく変動する恐れがあるため、その測定のために、法線に対して20度、60度、75度、および85度の角度に統一した。85度の角度で測定した光沢は、一般にシーンと呼ばれる。
【0054】
各実施形態において、光沢単位とは、75度の測定角度に設定したGardner光沢測定装置を使用して定着画像を測定することにより得られた数値を指す。
【0055】
特定の実施形態において、該トナーは、少油量ベルト定着器サブシステム、または電子写真装置において現在使用されているフリーベルトニップ定着器(FBNF)などのオイルレス定着器デザインのいずれかの、2つの異なるベルト定着器デザイン上で得られる高光沢画像を生成することができる。
【0056】
電子写真トナー組成物の別の重要な性質は、紙への定着性である。省エネルギー対策、および電子写真定着器などの電子写真エンジンに課されたより厳密なエネルギー特性が原因で、電力消費量を低減させ、定着器システムの寿命を長くすることを可能にするように、トナーの紙への定着温度を低減させなければならない圧力がある。
【0057】
接触定着器、すなわち、紙および画像と接触している定着器については、トナーは、定着ローラー上に実質的に転写またはオフセットすべきではなく、ホットまたはコールドオフセット温度と呼ばれる。トナーが支持体に付着する最低温度はコールドオフセット温度(COT)と呼ばれ、トナーが定着部材に付着しない最高温度はホットオフセット温度(HOT)と呼ばれる。定着器温度がHOTを上回る場合、溶融トナーの一部が定着の間に定着部材に付着し、現像画像を含有する後続の基材に転写され、例えば、ぼやけた画像を生じる。この望ましくない現象は、オフセット現象として知られている。
【0058】
各実施形態において、該トナー組成物のホットオフセット温度は、約215℃超、例えば、約215℃〜約250℃、約215℃〜約240℃、約220℃〜約240℃および約220℃〜約225℃などである。さらに、該トナー組成物のコールドオフセット温度は、約130℃未満、例えば、約100℃〜約130℃、約110℃〜約130℃、約120℃〜約130℃および約125℃〜約130℃などである。
【0059】
トナーの別の望ましい特性は、定着ロールからの紙画像の十分な離型である。含油定着ロールについては、トナーはワックスを含有してはならない。しかし、定着器(通常ハードロール)上に油を含まない定着器については、トナーは、通常、離型および剥離性をもたらすためにワックスのような潤滑剤を含有する。したがって、接触定着用途用のトナー特性は、定着ラチチュード、すなわち、最低固定温度(minimum fixing temperature:MFT)とホットオフセット温度の間の温度差が、約50℃〜約100℃、約75℃〜約100℃、約80℃〜約100℃および約90℃〜約95℃であるべきであることである。
【実施例】
【0060】
トナー実施例A〜Bおよび比較例A〜Bにおけるトナー粒子の評価については、AゾーンおよびCゾーンの両方で終夜、トナーを標準的35ミクロンXerox DocuColor 2240担体で5%TC(トナー濃度)に調節することにより親電荷を測定し、その後、Turbulaミキサーでの2分または60分の混合後、電荷評価を行った。湿度感受性はEAトナーの重要な帯電性である。一方は低湿度ゾーン(Cゾーンとしても知られている)であり、他方は高湿度ゾーン(Aゾーンとしても知られている)である2つの環境チャンバで帯電性能を試験した。Cゾーンは、10℃の作動温度で15%相対湿度(RH)を有しており、Aゾーンは、28℃の作動温度で85%相対湿度を有していた。電荷の量は、チャージスペクトログラフ法(CSG)の画像分析を介して測定した値である。一般にフェムトクーロン/ミクロン(mm)単位の、CおよびAゾーンにおけるトナー電荷対直径比(q/d)を、知られている標準的チャージスペクトログラフで測定した。さらに、μC/g単位のトライボブローオフQ/m値も、Barbetta Boxによりブローオフ法を使用して測定した。規定量のトナーを担体とブレンドする。ブレンドは、4オンスガラスジャーにおいてペイントシェーカーにより実施する。トナーおよび担体成分のブレンドは、トナー粒子が負に帯電し担体粒子が正に帯電する相互作用をもたらす。得られた混合物の試料をRobot Cageに入れて秤量する。機器用空気および真空源を介して、担体が遮蔽Robot Cageにより保持されている間に、トナーを担体から除去する。担体上の残留電荷を電位計によりクーロンで検出する(トライボに関する)。残留電荷およびブローオフされたトナーの重量は、トライボを計算するのに使用することができる。ブローオフされたトナーおよび保持された担体の重量を使用して、トナー濃度を計算することができる。
【0061】
転相乳化(PIE)法を介して、以下の配合、10/5.0/1.25/84%/30(樹脂/メチルエチルケトン(MEK)/イソプロピルアルコール(IPA)、アンモニア/脱イオン水を使用して、ラテックスA、非晶性ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−co−フマル酸)樹脂ラテックスの樹脂分散液を調製した。反応器を60℃のジャケット設定値で加熱した。投入口を通して、脱泡剤、TEGO FOAMEX830(約700ppm)を反応器に徐々に添加した。反応器が58℃の温度に達すると、真空蒸留を開始した。36分後、反応器は74水銀ミリメートルの圧力に達した。次いで、ラテックスAの樹脂分散液を急速に蒸留し、それにより反応器の温度が約45℃から低減した。所望の残留溶媒の量(<100ppm)に達するための時間の合計は約14〜16時間であった。次いで、1000ppmのPROXEL GXL殺生物剤を樹脂分散液に添加した。乾燥後、ラテックスAは、19.8KpseのMw、4.9KpseのMn、Tm115.7℃および59.2℃のTg、ならびに170nmの平均粒径D50および0.1の幅を有していた。
【0062】
転相乳化(PIE)法を介して、以下の配合、10/6.0/1.35/75%/30(樹脂/メチルエチルケトン(MEK)/イソプロピルアルコール(IPA)、アンモニア/脱イオン水を使用して、ラテックスB、非晶性ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−co−フマル酸)樹脂ラテックスの樹脂分散液を調製した。反応器を60℃のジャケット設定値で加熱した。投入口を通して、脱泡剤、Tego Foamex830(約700ppm)を反応器に徐々に添加した。反応器が56.4℃の温度に達すると、真空蒸留を開始した。45分後、反応器は116水銀ミリメートルの圧力に達した。次いで、ラテックスBの樹脂分散液を急速に蒸留し、それにより反応器の温度が約44.5℃から低減した。所望の残留溶媒の量(<100ppm)に達するための時間の合計は約14〜16時間であった。次いで、1000百万分率(ppm)のPROXEL GXL殺生物剤を樹脂分散液に添加した。乾燥後、ラテックスBは、93.9KpseのMw、6.3KpseのMn、Tm128.6℃および56.1℃のTg、ならびに170nmの平均粒径D50および0.1の幅を有していた。
【0063】
供給ホッパーおよび液体注入口を備えるZSK−53押出機を約95度の方向に向け、水酸化ナトリウム、DOWFAX 2A1および結晶性ポリエステル樹脂(ポリ(ドデカン二酸−co−ノナンジオール)の混合物を供給した。膜ポンプを使用して、80℃まで加熱した水を1.0kg/minの供給量で該押出機の第1の注入口に供給し、そこで混合物の乳化を開始した。ポリエステル樹脂エマルションは、それぞれ58nmおよび67nmの数および体積平均粒径を有していた。次いで、1000ppmのPROXEL GXL殺生物剤を樹脂分散液に添加した。乾燥後、ラテックスの分子性質は、23.9KpseのMwおよび11.1KpseのMnであり、ポリエステルラテックスは、160nmの平均粒径D50を有していた。
【0064】
6000ガロンの反応器において、14部のラテックスA(固形分35重量パーセントおよび1000ppmのPROXEL GXL)14部ラテックスB(固形分35重量パーセントおよび1000ppmのPROXEL GXL)4.7部ラテックスC(固形分30重量パーセントおよび1000ppmのPROXEL GXL)5.8部IGIワックス、(固形分30重量パーセント)、6.7部シアン15:3顔料(固形分17重量パーセント)、0.3部DOWFAX界面活性剤および47部の脱イオン水を組み合わせた。硝酸(HNO)の0.3M溶液を使用して混合物のpHを約3.2に調整した。次に、Cavitronローター/ステーターホモジナイザーを2000RPMで使用して均質化した、1.0部の10重量パーセント硫酸アルミニウム(Al(SO)溶液を5分間にわたって添加した。次いで、反応器を約50RPMまで撹拌し、約48℃まで加熱してトナー粒子を凝集させた。
【0065】
トナー粒子の寸法が約5.0μmであると測定された場合、トナー粒子上にシェルをコーティングした。シェル混合物は、7.6部のラテックスA、7.6部のラテックスB、0.1部のDOWFAX界面活性剤および100部の脱イオン水からなっていた。反応器を50℃まで加熱した後、トナー粒子の寸法を5.8μmまで低減し、4%水酸化ナトリウム溶液を使用して溶液のpHを5.0に調整した。次いで、反応器RPMを約45RPMまで低下させ、その後、0.7部のエチレンジアミン四酢酸(g)VERSENE100を添加した。トナー粒子溶液のpHを7.5に一定に調整および保持した後、トナー粒子溶液を85℃の融合温度まで加熱した。トナー粒子溶液が融合温度に達すると、pHを7.3の値まで低下させて、トナーの球状化(融合)を可能にした。約1.5〜3.0時間後、トナー粒子は約0.964の所望の円形度を有しており、熱交換器を使用して45℃未満の温度まで急冷した。冷却時に、トナーを洗浄してすべての残留界面活性剤および/またはすべての残留イオンを除去する温度にし、乾燥させて1.2重量パーセント未満の含水率にした。
【0066】
6000ガロンの反応器において、13.5部のラテックスA(固形分35重量パーセントおよび1000ppmのPROXEL GXL)13.5部ラテックスB(固形分35重量パーセントおよび1000ppmのPROXEL GXL)4.7部ラテックスC(固形分30重量パーセントおよび1000ppmのPROXEL GXL)5.7部IGIワックス、(固形分30重量パーセント)、6.7部PY74イエロー顔料(固形分19重量パーセント)、0.3部DOWFAX界面活性剤および47部の脱イオン水を組み合わせた。硝酸(HNO)の0.3M溶液を使用して混合物のpHを約3.2に調整した。次に、Cavitronローター/ステーターホモジナイザーを2000RPMで使用して均質化した、1.0部の10重量パーセント硫酸アルミニウム(Al(SO)溶液を5分間にわたって添加した。次いで、反応器を約50RPMまで撹拌し、約48℃まで加熱してトナー粒子を凝集させた。
【0067】
トナー粒子の寸法が約5.0μmであると測定された場合、トナー粒子上にシェルをコーティングした。シェル混合物は、7.6部のラテックスA、7.6部のラテックスB、0.1部のDOWFAX界面活性剤および100部の脱イオン水からなっていた。反応器を50℃まで加熱した後、トナー粒子の寸法を5.8μmまで低減し、4%水酸化ナトリウム溶液を使用して溶液のpHを5.0に調整した。次いで、反応器RPMを約45RPMまで低下させ、その後、0.7部のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)VERSENE100を添加した。トナー粒子溶液のpHを7.5に一定に調整および保持した後、トナー粒子溶液を85℃の融合温度まで加熱した。トナー粒子溶液が融合温度に達すると、pHを7.3の値まで低下させて、トナーの球状化(融合)を可能にした。約1.5〜3.0時間後、トナー粒子は、約0.964の所望の円形度を有しており、熱交換器を使用して45℃未満の温度まで急冷した。冷却時に、トナーを洗浄してすべての残留界面活性剤および/またはすべての残留イオンを除去する温度にし、乾燥させて1.2重量パーセント未満の含水率にした。
【0068】
トナー比較例Aがいかなる殺生物剤も含有しないこと以外は、トナー実施例Aと全く同じ成分を使用して全く同じ方法で比較トナー実施例Aを調製した。
【0069】
トナー比較例Bがいかなる殺生物剤も含有しないこと以外は、トナー実施例Bと全く同じ成分を使用して全く同じ方法で比較トナー実施例Bを調製した。
【0070】
XEROX Pinot 700 Digital Color Pressを使用して、トナー実施例A〜Bおよびトナー比較例A〜Bのトナーを評価した。各トナーは、光沢、最低固定温度((minimum fixing temperature)または折り目)、コールドオフセット性能、およびホットオフセット性能を評価するために、Color Xpressions(90gsm)紙上に220mm/s(34msニップ滞留時間、オイルレス)で定着させた。定着ロールの温度は、光沢および折り目測定についてコールドオフセットからホットオフセット(最大で210℃)まで変動させた。各トナーの定着性能を表1に列挙する。
【0071】
【表1】

【0072】
トナー実施例Aおよびトナー実施例Bに関する帯電性も評価した。トナー実施例Aおよびトナー実施例Bの両方が、十分な帯電性を示した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の低分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の高分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の結晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種のワックス、少なくとも1種の殺生物剤、および少なくとも1種の着色剤を含むトナー組成物であって、
少なくとも1種の低分子量非晶性ポリエステル樹脂が約25〜約50重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の高分子量非晶性ポリエステル樹脂が約25〜約50重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の結晶性ポリエステル樹脂が1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種のワックスが1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の殺生物剤が950ppm〜約1000ppmの濃度でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の着色剤が1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、
約100℃〜約125℃の最低定着温度を有する
ことを特徴とするトナー組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の低分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の高分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の結晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種のワックス、少なくとも1種の殺生物剤、および少なくとも1種の着色剤を含むトナー組成物であって、
少なくとも1種の低分子量非晶性ポリエステル樹脂が約25〜約50重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の高分子量非晶性ポリエステル樹脂が約25〜約50重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の結晶性ポリエステル樹脂が1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種のワックスが1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の殺生物剤が950ppm〜約1000ppmの濃度でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の着色剤が1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、
約100℃〜約125℃の最低定着温度を有し、
約215℃〜約250℃のホットオフセット温度を有する
ことを特徴とするトナー組成物。
【請求項3】
トナー組成物を含む現像システム、および定着部材を含む画像形成装置であって、
トナー組成物が、少なくとも1種の低分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の高分子量非晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種の結晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1種のワックス、少なくとも1種の殺生物剤、および少なくとも1種の着色剤からなり、
少なくとも1種の低分子量非晶性ポリエステル樹脂が約25〜約50重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の高分子量非晶性ポリエステル樹脂が約25〜約50重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の結晶性ポリエステル樹脂が1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種のワックスが1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の殺生物剤が950ppm〜約1000ppmの濃度でトナー組成物中に存在し、少なくとも1種の着色剤が1〜約15重量パーセントの量でトナー組成物中に存在し、
約100℃〜約125℃の最低定着温度を有し、
定着部材が基材およびフルオロポリマーを含む外層を含む
ことを特徴とする画像形成装置。

【公開番号】特開2011−81378(P2011−81378A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224514(P2010−224514)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】