説明

乳幼児保育用寝具

【課題】授乳などのスキンシップが快適に行える距離と位置関係とが保持できるとともに、親子の体格差によって寝具が偏ってしまうのを防止する。
【解決手段】 面状をなす大掛布団と、大掛布団に隣接され、大掛布団よりも面積の小さい小掛布団と、大掛布団の、小掛布団が隣接される側端部に設けられる第1の連結部と、小掛布団の、第1の連結部に対応する側端部に設けられ、第1の連結部に連結可能な第1の連結部と、小掛布団の下方において、小掛布団に着脱可能に敷設される小敷布団と、小敷布団のいずれかの側端部を、小掛布団の、大掛布団が隣接される側端部に着脱可能に係止する敷布団係止部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児の保育などに利用可能な寝具であって、授乳などのスキンシップが快適に行える距離と位置関係とが保持できるとともに、親子の体格差によって寝具が偏ってしまうのを防止できる乳幼児保育用寝具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、乳幼児の保育のための寝具が種々開発されており、乳幼児とその両親とが添い寝できるような寝具も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示された発明によれば、第1の布団カバーの一端に、第2の布団カバーを係止することにより、就寝中に二組の布団の間に隙間ができるのを防止し、乳幼児が布団から離脱してしまうのを回避することができる。
【特許文献1】特開平9−299210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、乳幼児を寝かしつける際には、単に親子が添い寝するだけでなく、衣類を直してやったり、温度調整をしたり、授乳をしたり等スキンシップが必要となることから、親と子との間でスキンシップが可能な距離と位置関係とが保たれている必要がある。
【0004】
しかしながら、親と子とでは、体重・身長などが顕著に相違することから、上述した特許文献1のように、単に第1の布団カバーと第2の布団カバーとを連結したのみでは、親側と子側とでバランスが取れず、布団が親側に偏ってしまい、結果的に、乳幼児が布団から離脱してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、乳幼児の保育などに利用可能な寝具であって、授乳などのスキンシップが快適に行える距離と位置関係とが保持できるとともに、親子の体格差によって寝具が偏ってしまうのを防止することができる乳幼児保育用寝具を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、面状をなす大掛布団と、大掛布団に隣接され、大掛布団よりも面積の小さい小掛布団と、大掛布団の、小掛布団が隣接される側端部に設けられる第1の連結部と、小掛布団の、第1の連結部に対応する側端部に設けられ、第1の連結部に連結可能な第2の連結部と、小掛布団の下方において、小掛布団に着脱可能に敷設される小敷布団と、小敷布団のいずれかの側端部を、小掛布団の、大掛布団が隣接される側端部に着脱可能に係止する敷布団係止部とを備える。
【0007】
このような本発明によれば、親側と子側とでバランスが取りづらく、親側に偏ってしまう場合であっても、子側では、掛布団となる小掛布団にさらに小敷布団が係止されているため、乳幼児が布団から離脱することがない。また、小敷布団を小掛布団から、大掛布団が隣接される側で着脱自在となっていることから、必要に応じて、小敷布団を小掛布団から全部又は部分的に分離させることができ、大掛布団と小掛布団とを連通させることができる。これにより、親子が添い寝する際、小掛布団を大掛布団内にいる母親の胸元位置に係止することができ、温度調節や授乳をする等、スキンシップのために快適な距離と位置関係、及び空間を保持することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明の構造によれば、乳幼児の保育などに利用可能な寝具であって、温度調節や授乳などのスキンシップが快適に行える距離と位置関係とが保持できるとともに、親子の体格差によって寝具が偏ってしまう場合でも、乳幼児が布団から離脱してしまうのを防止することができる。
【0009】
また、適度な距離と空間が保持されることにより、寝袋構造内への空気の流通経路を形成でき、乳幼児の安全な呼吸ルートを確保することができる。さらには、大掛布団と小掛布団とを連結することで、掛布団の親側への多少の偏りは許容されるため、母親の寝冷えを防止することもできる。
【0010】
さらに、各布団を適宜分離することができるため、乳幼児が使用する小掛布団や小敷布団のみを洗濯することができ衛生的にも有利であり、また、洗濯の頻度が高い小掛布団や小敷布団のみを買い足すことができるなど、販売戦略的にも多様性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(乳幼児保育用寝具の構成)
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る乳幼児保育用寝具の概略構成を示す外観図である。図2は、小掛布団及び小敷布団のみを拡大して示す外観図であり、図3は、図1の上面図である。
【0012】
図1〜3に示すように、本実施形態に係る乳幼児保育用寝具は、小掛布団2と、これに隣接される左右一対の大掛布団1a及び1bと、小掛布団2の下に敷設される小敷布団4とから概略構成される。
【0013】
大掛布団1a及び1bは、一組の面状をなす大型の布部材であり、例えば、母親Aや父親Bが使用する。一方、小掛布団2は、一組の大掛布団1a又は1bに隣接配置され、大掛布団1a又は1bよりも面積の小さい小型の布部材であり、乳幼児Cが使用する。これらの各掛布団の上端部には、襟カバー3が面ファスナーなどにより着脱自在に取り付けられている。
【0014】
大掛布団1a及び1bの、小掛布団2が隣接される側端部には、第1の連結部であるボタンホックベルト11a及び11bがそれぞれ逢着され、小掛布団2の両側部には、ボタンホックベルト11a及び11bに連結可能な第2の連結部であるボタンホックベルト21a及び21bが逢着されている。これらのボタンホックベルト11a及び11bと、21a及び21bとは、図5(側面図)に示すように、一方のボタンホックベルトの裏面と、他方のボタンホックベルトの表面を重ね合わせて、各ボタンの位置を合わせて嵌め込むことにより、相互に連結される。なお、上記第1及び第2の連結部としては、本実施形態のボタンホックベルトに替えて、面ファスナーなど、連結位置を自由に調整できるような手段であれば、種々選択して採用することができる。
【0015】
そして、上記ボタンホックベルト11a及び11bと、21a及び21bとにより、各掛布団1a、1b及び2は、図4に示すように、適宜、様々な態様で連結及び分離をすることができる。例えば、同図(a)に示すように、小掛布団2を中央に配置し、これの両側に大掛布団1a及び1bを隣接配置させてもよく、同図(c)及び(d)に示すように、小掛布団2に隣接させて、これの一方側に大掛布団1a又は1bのいずれかを配置させてもよい。また、同図(b)に示すように、小掛布団2を除いて、大掛布団1aと1bとを直接連結することもできる。
【0016】
特に、大掛布団1a又は1bと、小掛布団2との連結位置は、小掛布団2の大掛布団1a又は1bに対して前後(図4中の矢印方向)に移動させることが可能であり、子供の成長に合わせて母親A等に対する子供の相対位置を調整することができる。これによって、授乳が必要な時期では、図4に示すように、大掛布団と小掛布団との間に段差を設けるように連結することで、乳幼児の頭部を母親の胸元に位置させることができる。
【0017】
小敷布団4は、小掛布団2の下方において、小掛布団2に着脱可能に敷設される小型の布部材である。この小敷布団4としては、例えばマットレスのような厚みと弾力のある素材を用いることが好ましい。この小敷布団4の両側端部には、図2に拡大して示すように、その長手方向に沿って、係止部としてのファスナー41a及び41bが設けられている。このファスナー41a及び41bは、小敷布団4のいずれかの側端部を、小掛布団2の、大掛布団1a又は1bが隣接される側端部に着脱可能に係止する手段である。具体的にこのファスナー41a及び41bは、小掛布団2の両側端下面(裏面)に設けられた係止部であるファスナー23a又は23bに係止される。
【0018】
これらのファスナー41a及び41b、23a又は23bは、本実施形態では、内側及び外側の両方から着脱及び開閉が自在なファスナーを採用しており、このファスナーによって、小掛布団2の下方に小敷布団4を係止することによって、いわゆる寝袋のような構造とすることができる。なお、これらのファスナー41a及び41b、23a又は23bとしては、例えば、上記ファスナーの他、面ファスナー、スナップボタン等のボタン、或いはホックなどの手段を採用することができる。
【0019】
特に、ファスナー23a及び23bは、図5からも判るように、小掛布団2の裏面側端部において、ボタンホックベルト21a及び21bよりも、内方に位置されており、ボタンホックベルト21a及び21bがファスナー23a及び23bよりも外方に突出するように構成されている。このため、ボタンホックベルト21a及び21bを、大掛布団1a又は1bのボタンホックベルト11a又は11bに連結した状態であっても、掛布団の下方(裏面)において、ファスナー23a及び23bのファスナー41a及び41bに対する連結・解除を行うことができる。特に、本実施形態では、ファスナー23a及び23b、41a及び41bが、内外から部分的に開閉できるファスナーであるため、掛布団を掛けた状態で、隣接された小掛布団2及び小敷布団4による寝袋構造を開閉することができる。
【0020】
(本実施形態による作用・効果)
このような本実施形態によれば、例えば、図6(a)に示すように、就寝時に、母親が一般の敷布団5で大掛布団1aを掛けるような場合に、大掛布団1aと小掛布団2とを、ボタンホックベルト11a及び21aにより連結することで、仮に掛布団が親側に偏ってしまうようなときであっても、子側では、小掛布団2とこれに係止された小敷布団4による寝袋構造によって、乳幼児が布団から離脱することがない。
【0021】
また、小掛布団2の側部において、ファスナー23a及び41aの開閉によって、小敷布団4が小掛布団2から部分的に着脱自在となっていることから、同図(b)に示すように、掛布団を掛けた状態で、必要に応じ、小敷布団を小掛布団から全部又は部分的に分離させることにより、大掛布団1aと小掛布団2とを連通させる空間を形成することができる。
【0022】
これらの結果、本実施形態によれば、母子が添い寝する際、スキンシップのために快適な距離と位置関係、及び空間を保持することができる。例えば、小掛布団2を大掛布団1a内にいる母親の胸元位置に係止することにより、母親は寝たままで、温度調節や授乳をすることができ、また、適度な距離と空間が保持されることにより、寝袋構造内への空気の流通経路を形成でき、乳幼児の安全な呼吸ルートを確保することができる。さらには、大掛布団1aと小掛布団2とを連結することで、掛布団の親側への多少の偏りは許容されるため、母親の寝冷えを防止することもできる。
【0023】
また、各布団を適宜分離することができるため、乳幼児が使用する小掛布団2や小敷布団4のみを洗濯することができ衛生的にも有利であり、また、洗濯の頻度が高い小掛布団2や小敷布団4のみを買い足すことができるなど、販売戦略的にも多様性を高めることができる。
【0024】
(変更例)
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
【0025】
上記実施形態では、大掛布団1a又は1bを布団としてこれにボタンホックベルト11a及び11bを逢着した例を説明したが、例えば、図7に示すように、大掛布団1a又は1bを、袋状に縫製された布団カバー10a及び10bと、この布団カバー10a及び10b内に布団6を収納するように構成してもよい。この場合には、ボタンホックベルト11a及び11bは、布団カバー10a及び10bに逢着され、布団カバー10a及び10b(及びボタンホックベルト11a及び11b)を介して、内部の布団6が小掛布団2に連結されることとなる。
【0026】
この変更例によれば、内部の布団6としては、一般で販売されている掛布団を利用することができるため、ユーザーの好みに適応させることができるとともに、布団カバー10aや10bのみの洗濯が可能となるため、衛生上も有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態に係る乳幼児保育用寝具の概略構成を示す外観図である。
【図2】実施形態に係る小掛布団及び小敷布団のみを拡大して示す外観図である。
【図3】図1の上面図である。
【図4】実施形態に係る乳幼児保育用寝具の連結態様を示す説明図である。
【図5】図1の側面図である。
【図6】実施形態に係る乳幼児保育用寝具の使用態様を示す説明図である。
【図7】変更例に係る乳幼児保育用寝具の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0028】
A…母親
B…父親
C…乳幼児
1a,1b…大掛布団
2…小掛布団
3…襟カバー
4…小敷布団
5…敷布団
6…布団
10a,10b…布団カバー
11a,11b…ボタンホックベルト(大掛布団側)
21a,21b…ボタンホックベルト(小掛布団側)
23a,23b…ファスナー(小掛布団側)
41a,41b…ファスナー(小敷布団側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状をなす大掛布団と、
前記大掛布団に隣接され、該大掛布団よりも面積の小さい小掛布団と、
前記大掛布団の、前記小掛布団が隣接される側端部に設けられる第1の連結部と、
前記小掛布団の、前記第1の連結部に対応する側端部に設けられ、該第1の連結部に連結可能な第2の連結部と、
前記小掛布団の下方において、該小掛布団に着脱可能に敷設される小敷布団と、
前記小敷布団のいずれかの側端部を、前記小掛布団の、前記大掛布団が隣接される側端部に着脱可能に係止する敷布団係止部と
を備えることを特徴とする乳幼児保育用寝具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−261736(P2009−261736A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116439(P2008−116439)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(508128451)株式会社 クレビア (1)
【出願人】(508128509)
【Fターム(参考)】