説明

乳幼児用身長計

【課題】 乳幼児の頭頂部を保護し、また移動板をスムーズに摺動できるようにする。
【解決手段】 固定板3の内向面にクッション板3aを取り付ける。垂直板4および掴み片6の各底面にすべり材8を取り付けて台板1の上面に当接する。すべり材8の表面を移動板7の摺動方向と平行な凹凸形状にする。摺動手段として台板1の両側縁を断面凸弧状に形成するとともに、断面凸弧状の両側縁に略点接触する断面凹弧部5a、5aを両側板5、5に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保育所等で乳幼児の身長を計測する身長計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から図5、6で示すように台板1の側縁に沿い、しかも台板1上面に目盛2を設け、また台板1の一端に固定板3を立設し、さらに垂直板4の両端に固定した側板5、5を台板1の両側縁に沿って摺動自在に設けるとともに、垂直板4の中央に掴み片6を後向きに固定して移動板7を形成し、しかも垂直板4および掴み片6の各底面と台板1の上面とに間隙gを設けた乳幼児用身長計が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】なし。
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】なし。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例は全体が木製であり、乳幼児を仰向けにして台板1上にねかせた場合、頭頂部が固定板3に直接当接、場合によっては必要以上に圧接することがあり、乳幼児にとって固すぎて不都合である。
【0006】
また移動板7をスムーズに摺動させるべく前記間隙gを設けたものの、図6で示すように台板1の両側縁を断面台形にし、これに側板5を嵌合しているため、移動板7の重量を台形上斜面10、10で受けてしまい、接触摩擦が大きく、移動板7の摺動性が良好ではない。
【0007】
本発明は前記不都合を解消し、乳幼児の頭頂部を保護し、また移動板をスムーズに摺動できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、台板の側縁に沿い、しかも前記台板上面に目盛を設け、また前記台板の一端に固定板を立設し、さらに垂直板の両端に固定した側板を前記台板の両側縁に沿って摺動自在に設けるとともに、前記垂直板の中央に掴み片を後向きに固定して移動板を形成し、しかも前記垂直板および前記掴み片の各底面と前記台板の上面とに間隙を設けた乳幼児用身長計において、前記固定板の内向面にクッション板を取り付け、前記垂直板および前記掴み片の各底面にすべり材を取り付けて前記台板の上面に当接し、前記すべり材の表面を前記移動板の摺動方向と平行な凹凸形状にし、また前記摺動手段として前記台板の両側縁を断面凸弧状に形成するとともに、前記断面凸弧状の両側縁に略点接触する断面凹弧部を前記両側板に形成することを特徴とするものである。
【0009】
第2の本発明は、前記第1の本発明の手段に加え、すべり材が垂直板の底面の左右近傍および掴み片の底面の外端近傍に位置することを特徴とするものである。
【0010】
第3の本発明は、前記第1または2の本発明の手段に加え、すべり材が表面すべり特性を有する合成樹脂材の裏面に粘着剤を塗布したテープの断片であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
第1の本発明によれば、乳幼児の頭頂部はクッション板に当接し、強く接触することがなく安全である。
【0012】
また移動板の重量を摺動方向と平行な凹凸形状のすべり材を介して台板が受け、しかも断面凸弧状に形成した台板の両側縁に、略点接触する断面凹弧部を有する両側板が摺動するので接触摩擦が小さく、スムーズに摺動し、迅速かつ容易に計測することができる。
【0013】
第2の本発明によれば、第1の本発明の効果に加え、すべり材が仮想三角形の頂点に位置し、安定性が良好である。
【0014】
第3の本発明によれば、第1の本発明の効果に加え、断片を貼着するだけで、極めて容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の斜視図である。
【図2】移動板と台板のA−A断面図である。
【図3】同上の部分拡大図である。
【図4】移動板の底面図である。
【図5】従来例の斜視図である。
【図6】従来の移動板と台板のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
台板1、固定板3、移動板7、台板1の足片11、11・・・、台板1他端上に固着する細長板12を木例えば木質繊維を原料とする成型板、より具体的にはMDF合板(中質繊維板)で形成する。撓むことなく、正確に計測でき、また極めて安価に得ることができるからである。
【0017】
台板1の両側縁を図2で示すように断面凸弧状に形成する。一方の側縁に沿い、しかも台板1上に嵌合溝13を形成し、この嵌合溝13に粘着剤15を介して合成樹脂製の目盛2を貼着する。
【0018】
台板1の一端に固定板3を立設する。図1のように台板1の一端と固定板3の内向面を雌雄嵌合しても、これに螺子止めしてもよく、いずれにしても前記両部品を固定結合すればよい。
【0019】
固定板3の内向面にクッション板3a、例えばEVA樹脂発砲体からなる薄板状のクッション板3aを貼着する。柔軟性、軽量性および耐久性の点ですぐれているからである。
【0020】
台板1の他端上に細長板12を台板1長手方向に対し直角方向に固定する。後述の移動板7の抜け止めである。
【0021】
台板1の長手方向に対して直角方向に位置する垂直板4の両端に側板5、5を固定する。固定手段は図1のように雌雄嵌合しても、これに螺子止めしてもよく、いずれにしても前記両部品を固定結合すればよい。
【0022】
各側板5の下方で、かつ台板1の各側縁に対向する位置に、台板1の断面凸弧状の側縁に略点接触する断面凹弧部5aを形成し、また垂直板4の中央に掴み片6を後方に向けて固定して移動板7を形成し、この掴み片6と垂直板4の各底面とが台板1に当接しないように図2で示す間隙gをおいて台板1に移動板7を摺動自在に取り付ける。
【0023】
垂直板4および掴み片6の各底面にすべり材8を取り付け、すべり材8を台板1の上面に当接する。このすべり材8は表面すべり特性を有する合成樹脂材8a、例えばフッ素樹脂(登録商標:テフロン)等の滑り性に優れたシート状の合成樹脂材の表面に凹凸形状を有し、裏面に粘着剤8bを塗布し、粘着剤8に図示を省略した剥離紙を剥離可能に被着したテープの断片からなるもので、3個の断片の剥離紙を剥離し、図3、4で示すように垂直板4の底面の左右近傍および掴み片6の底面の外端近傍、つまり図4の仮想三角形の各頂点位置に貼着し、しかも前記合成樹脂材8aの表面を台板1の長手方向と平行な凹凸形状に形成する。なお符号11は台板1に固着した足片で、接床して台板1を水平に保持する。
【0024】
次に本実施の形態の使用法を説明すれば、図1の仮想線で示すように乳幼児を台板1上に仰向けにしてねかせ、乳幼児の頭頂点をクッション板3aにつけ、両膝をかるく台板1に押さえて下肢を伸長させ、掴み片6を掴んで移動板7を摺動し、乳幼児の足裏に垂直板4を当てて目盛を視認して計測する。
【0025】
このとき移動板7の重量は3個の断片からなるすべり材8を介して台板1にかかり、しかもすべり材8の表面は前記合成樹脂材8aの表面を移動板7の摺動方向と平行な凹凸形状に形成してあり、接触面積が少なく、また台板1の各側縁と各側板5の断面凹弧部5aとは断面略点接触しているので、こちらも接触面積が少なく、移動板7はスムーズに摺動する。
【0026】
なお移動板7は上方に抜けなければよく、前記凹凸の略点接触で充分であり、試作品により確認できたものである。
【符号の説明】
【0027】
1 台板
2 目盛
3 固定板
3a クッション板
4 垂直板
5 側板
5a 断面凹弧部
6 掴み片
7 移動板
8 すべり材
8a 合成樹脂材
8b 粘着剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
台板の側縁に沿い、しかも前記台板上面に目盛を設け、また前記台板の一端に固定板を立設し、さらに垂直板の両端に固定した側板を前記台板の両側縁に沿って摺動自在に設けるとともに、前記垂直板の中央に掴み片を後向きに固定して移動板を形成し、しかも前記垂直板および前記掴み片の各底面と前記台板の上面とに間隙を設けた乳幼児用身長計において、前記固定板の内向面にクッション板を取り付け、前記垂直板および前記掴み片の各底面にすべり材を取り付けて前記台板の上面に当接し、前記すべり材の表面を前記移動板の摺動方向と平行な凹凸形状にし、また前記摺動手段として前記台板の両側縁を断面凸弧状に形成するとともに、前記断面凸弧状の両側縁に略点接触する断面凹弧部を前記両側板に形成することを特徴とする乳幼児用身長計。
【請求項2】
すべり材が垂直板の底面の左右近傍および掴み片の底面の外端近傍に位置することを特徴とする請求項1の乳幼児用身長計。
【請求項3】
すべり材が表面すべり特性を有する合成樹脂材の裏面に粘着剤を塗布したテープの断片であることを特徴とする請求項1または2の乳幼児用身長計。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−62284(P2011−62284A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214241(P2009−214241)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(591060625)マスセット株式会社 (16)
【Fターム(参考)】