説明

乳房用皮膚外用貼付剤

【課題】 本発明は、乳房の大きさ及び形状に合うように円錐状に容易に変形させることができ且つ膏体層を汚染することなく乳房上に貼着させることができる乳房用皮膚外用貼付剤を提供する。
【解決手段】 本発明の乳房用皮膚外用貼付剤は、乳頭を挿通させるための挿通孔が中央部に形成されたドーナツ状の支持体の裏面に膏体層が積層一体化されていると共に、上記支持体の一部に該支持体の外周縁から上記挿通孔に連通した切欠き部が形成されてあり、この切欠き部を介して対向した端縁間を狭めることによって円錐形状に変形可能に構成されてなる乳房用皮膚外用貼付剤であって、上記支持体の外周縁における切欠き部の両側近傍部の夫々に舌片形状の突起部が突設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳房に貼着して用いられる乳房用皮膚外用貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、女性の乳房の美肌や、乳房への薬効成分の適用を目的として各種剤形の化粧品、医薬品及び医薬部外品が提供されており、これらの多くは液剤や軟膏・クリーム形態である。
【0003】
ところが、液剤は、使用時に取り扱いにくいという問題を有し、軟膏・クリーム形態のものは、使用後に指先を洗浄する必要があると共に、塗布後もべたつき、着衣に移行して着衣を汚染する虞れがあるといった問題点を有していた。
【0004】
一方、貼付剤は、上記の如き問題は発生せず、有効成分を長時間に亘って閉塞的に皮膚に適用することができる。しかしながら、貼付剤は、液剤や軟膏・クリーム形態のものとは異なり、一定の形状を有している一方、女性の乳房は、円錐形状であって人によって大きさ及び形状を異にすることから、様々な大きさ及び形状を有する女性の乳房に安定的に密着させることができないといった問題点を有していた。
【0005】
この問題を解決するために、貼付剤自体に伸縮性及び柔軟性を付与し、或いは、貼付剤の形状を予め乳房の形状に合致した形状としておくことが考えられる。しかしながら、貼付剤自体に伸縮性及び柔軟性を付与すると、貼付剤が軟弱となって腰が失われ、その結果、使用時に貼付剤が不測に折れ曲がり、貼付剤の膏体層同士がくっついてしまい、貼付剤が使用できなくなる事態が発生するといった問題点を生じた。
【0006】
又、貼付剤の形状を予め乳房の形状に合致した形状とする場合には、貼付剤の製造工程が煩雑となり、或いは、貼付剤が嵩高くなって、貼付剤の製造効率や輸送効率が低下すると共に、個々人毎に微妙に異なる乳房の大きさや形状に円滑に対応することができず、貼付剤を乳房に安定的に密着させた状態に貼付させることができないといった問題点を有していた。
【0007】
上記問題点に鑑みて、特許文献1には、フィルム状ないしシート状の支持体にはその片側面に、水分を含有する粘着剤層を積層した外皮貼着型の貼付剤において、前記支持体はその形状がドーナツ状であって、一条のスリットから半ドーナツ形の範囲になるように切り線乃至切り欠きが形成されていることを特徴とする外用貼付剤が提案されている。
【0008】
しかしながら、上記外用貼付剤は、支持体の中心部に、乳頭を挿通させるための挿通孔を形成している上に、支持体は、柔軟なフィルム又はシートから形成されていることから、極めて腰が弱いものであり、使用時に、膏体層上の剥離紙を剥離する際に支持体が捻じれてしまって膏体層同士がひっついてしまい、乳房上の所望位置への貼付はおろか、乳房上に貼付することさえもできないといった問題点を有していた。
【0009】
しかも、上記外用貼付剤の膏体層上から剥離紙を剥離した後に、貼付剤を指先で把持しなければならず、外用貼付剤の膏体層が指先で汚染され、有効成分を皮膚に効果的に適用することができないといった問題点も生じていた。
【特許文献1】特開平5−200105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、乳房の大きさ及び形状に合うように円錐状に容易に変形させることができ且つ膏体層を汚染することなく乳房上に貼着させることができる乳房用皮膚外用貼付剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の乳房用皮膚外用貼付剤は、乳頭を挿通させるための挿通孔が中央部に形成されたドーナツ状の支持体の裏面に膏体層が積層一体化されていると共に、上記支持体の一部に該支持体の外周縁から上記挿通孔に連通した切欠き部が形成されてあり、この切欠き部を介して対向した端縁間を狭めることによって円錐形状に変形可能に構成されてなる乳房用皮膚外用貼付剤であって、上記支持体の外周縁における切欠き部の両側近傍部の夫々に舌片形状の突起部が突設されていることを特徴とする。
【0012】
そして、上記乳房用皮膚外用貼付剤において、突起部が支持体の上半部に突設されていることを特徴とする。
【0013】
又、上記乳房用皮膚外用貼付剤において、JIS L1096の8.19.1に記載のA法(45°カンチレバー法)に準拠して測定した剛軟度が15〜100mmであることを特徴とする。
【0014】
更に、上記乳房用皮膚外用貼付剤において、ドーナツ状の支持体に挿通孔及び切欠き部が左右対称に形成されており、挿通孔の周縁に接し且つ突起部の突出基端のうちの下側突出基端を通る直線が支持体の外周縁と交差する点と、上記突起部の下側突出基端とが対称軸を中心にして互いに反対側に位置していると共に、突起部の突出基端のうちの下側突出基端が支持体の上半部に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の乳房用皮膚外用貼付剤は、乳頭を挿通させるための挿通孔が中央部に形成されたドーナツ状の支持体の裏面に膏体層が積層一体化されていると共に、上記支持体の一部に該支持体の外周縁から上記挿通孔に連通した切欠き部が形成されてあり、この切欠き部を介して対向した端縁間を狭めることによって円錐形状に変形可能に構成されてなる乳房用皮膚外用貼付剤であって、上記支持体の外周縁における切欠き部の両側近傍部の夫々に舌片形状の突起部が突設されていることを特徴とするので、突起部を把持することによって、乳房用皮膚外用貼付剤を折れ曲がることなく安定的に支持することができる。そして、乳房用皮膚外用貼付剤の突起部を把持して突起部同士を互いに近接させ、これら突起部に加えた力を乳房用皮膚外用貼付剤全体に確実に伝達させて乳房用皮膚外用貼付剤を折れ曲がることなく所望大きさの円錐形状に円滑に変形させることができる。
【0016】
しかも、乳房用皮膚外用貼付剤を円錐形状に変形させるに際して突起部を把持しており、膏体層を汚染することなく乳房用皮膚外用貼付剤を円錐形状に変形させることができ、膏体層中の有効成分を乳房に効果的に適用することができる。
【0017】
更に、上記乳房用皮膚外用貼付剤において、突起部が支持体の上半部に突設されている場合には、突起部に加えた力を乳房用皮膚外用貼付剤全体に更に確実に伝達させて乳房用皮膚外用貼付剤を所望大きさの円錐形状により円滑に変形させることができる。
【0018】
又、上記乳房用皮膚外用貼付剤において、JIS L1096の8.19.1に記載のA法(45°カンチレバー法)に準拠して測定した剛軟度が15〜100mmである場合には、乳房用皮膚外用貼付剤を円錐形状に更に円滑に変形させることができる。
【0019】
そして、上記乳房用皮膚外用貼付剤において、ドーナツ状の支持体に挿通孔及び切欠き部が左右対称に形成されており、挿通孔の周縁に接し且つ突起部の突出基端のうちの下側突出基端を通る直線が支持体の外周縁と交差する点と、上記突起部の下側突出基端とが対称軸を中心にして互いに反対側に位置していると共に、突起部の突出基端のうちの下側突出基端が支持体の上半部に位置している場合には、突起部を把持することによって、乳房用皮膚外用貼付剤を折れ曲がらせることなく更に安定的に支持することができると共に、突起部に加えた力を乳房用皮膚外用貼付剤全体に更に確実に伝達させて乳房用皮膚外用貼付剤を折れ曲がることなく所望大きさの円錐形状に円滑に変形させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の乳房用皮膚外用貼付剤の一例を図面を参照しながら説明する。乳房用皮膚外用貼付剤Aの支持体1は、図1に示したように、柔軟性を有する一定厚みの平面真円形状のシートの中央部に、乳頭を挿通させるための平面真円形状の挿通孔2を該シートの表裏面間に亘って貫通した状態に貫設することによってドーナツ形状に形成されてなる。なお、シートの中心1aと、挿通孔の中心2aとが合致するように構成されている。
【0021】
上記支持体1を構成するシートとしては、柔軟性を有しておれば、従来から貼付剤に用いられているものを用いることができ、レーヨン、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリル系繊維などの合成樹脂繊維からなる織布や不織布、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの合成樹脂からなるシート或いはフィルム、アルミニウムなどの金属箔、これらを積層一体化してなる複合シートなどが挙げられる。
【0022】
更に、上記ドーナツ形状の支持体1の一部をその内外方向の全幅に亘って、即ち、挿通孔2の周縁から支持体1の外周縁に至るまで切除することによって、上記支持体1の外周縁から上記挿通孔2に連通し且つ支持体1の外周縁から挿通孔2側に向けて徐々に幅狭くなった平面扇形状の切欠き部3が形成されている。そして、この切欠き部3は、支持体1の中心1aを通る対称軸Lを中心にして線対称となるように構成されている。
【0023】
そして、上記支持体1の外周縁における切欠き部3の両側近傍部の夫々に、舌片形状の突起部4、4が上記対称軸Lを中心にして左右対称に突設されている。この突起部4、4は、切欠き部3の両側近傍部に突設されていることから、突起部4、4を指先で把持して互いに近接させて生じる変形力を乳房用皮膚外用貼付剤A全体に伝達させて乳房用皮膚外用貼付剤Aを所望高さを有する円錐形状に円滑に変形させることができる。
【0024】
しかも、突起部4、4は、切欠き部3の両側近傍部に突設されていることから、この突起部4、4を指先で把持して乳房用皮膚外用貼付剤Aを支持した場合、乳房用皮膚外用貼付剤の切欠き部3を介して対向する端縁部11、11が不測に折れ曲がるのを防止しながら、乳房用皮膚外用貼付剤Aを全体的に折れ曲がることなく安定的に支持することができる。
【0025】
更に、上記突起部4の好ましい突設形態としては、挿通孔2の周縁に接し且つ突起部4の突出基端のうちの下側突出基端41を通る直線Mが支持体1の外周縁と交差する点Yと、上記突起部4の下側突出基端41とが対称軸Lを中心にして互いに反対側に位置していると共に、突起部4の下側突出基端41が支持体1の上半部、具体的には、支持体1の中心1aを通る水平線Nよりも上方に位置していることが好ましい。
【0026】
このように突起部4を支持体1の外周縁に突設することによって、突起部4、4を指先で把持して互いに近接させ或いは離間させる方向に変位させた際に生じる変形力を支持体1全体に更に確実に伝達させて支持体1を所望高さを有する円錐形状に更に円滑に変形させることができる。
【0027】
又、図2に示したように、上記支持体1の裏面には膏体層5が全面的に積層一体化されており、この膏体層5上には剥離可能に剥離紙6が積層一体化されている。この膏体層5は、従来から貼付剤の膏体層として用いられている粘着性材料が用いられる。このような粘着性材料としては、特に限定されず、アクリル系粘着剤、ゴム又はシリコンなどが挙げられる。なお、支持体1に突設された突起部4、4には、膏体層5が積層一体化されていても積層されていなくてもよい。
【0028】
更に、上記膏体層5には、ビタミンE、ビタミンC又はその誘導体などのビタミン類などの有効成分や、薬剤が添加され、その他に、上記膏体層5には、ロジンエステルなどの粘着物性を調節するための添加物や、ミリスチン酸イソプロピルなどの、有効成分や薬剤の吸収性を高めるための吸収促進剤が適宜、必要に応じて添加されてもよい。
【0029】
そして、乳房用皮膚外用貼付剤AにおけるJIS L1096の8.19.1に記載のA法(45°カンチレー法)に準拠して測定した剛軟度は、小さいと、支持体の腰が弱くなり過ぎて取り扱い性が低下することがある一方、大きいと、乳房用皮膚外用貼付剤を乳房上に安定的に密着した状態に貼付することができないことがあるので、15〜100mmが好ましい。
【0030】
次に、上記乳房用皮膚外用貼付剤の使用要領について説明する。先ず、乳房用皮膚外用貼付剤Aの突起部4、4を指先で把持しながら、乳房用皮膚外用貼付剤Aの剥離紙6を全て剥離、除去して膏体層5を全面的に露出させる。
【0031】
この際、乳房用皮膚外用貼付剤Aにおける切欠き部3の近傍部に突設した突起部4、4を指先で把持していることから、最も変形が生じ易い、切欠き部3を介して対向した端縁部11、11の変形を確実に防止して、乳房用皮膚外用貼付剤Aが折れ曲がらないようにしており、乳房用皮膚外用貼付剤Aの膏体層5上から剥離紙6を剥離する際に、乳房用皮膚外用貼付剤Aが不測に折れ曲がって膏体層5同士がひっついてしまうといった事態は発生せず、乳房用皮膚外用貼付剤Aから剥離紙6を円滑に剥離、除去して膏体層5を全面的に露出させることができる。
【0032】
続いて、図3に示したように、乳房用皮膚外用貼付剤Aの突起部4、4を互いに近接させて、切欠き部3を介して対向した端縁31、31間の距離を調整して、乳房用皮膚外用貼付剤Aを、所望高さを有する円錐状に変形させる。そして、図4に示したように、円錐形状に変形させた乳房用皮膚外用貼付剤Aをその挿通孔2に乳頭を挿通させた状態に膏体層5によって乳房上に貼着させて膏体層5中の有効成分や薬剤を乳房に適用することができる。
【0033】
この際、乳房用皮膚外用貼付剤Aの突起部4、4は、切欠き部3の両側近傍部に突設されており、切欠き部3を介して対向した端縁31、31間の距離を調節するために突起部4、4に加えられる力を、乳房用皮膚外用貼付剤A全体に伝達させて、乳房用皮膚外用貼付剤Aを不測に折れ曲がらせることなく自分の乳房の形状及び大きさに合った円錐形状に円滑に変形させることができる。
【0034】
しかも、乳房用皮膚外用貼付剤Aを円錐形状に変形させるにあたって、乳房用皮膚外用貼付剤Aの突起部4、4を把持していることから、乳房上に貼着させる膏体層5が指先によって汚染されておらず、清潔な状態の膏体層5を乳房上に貼着させて乳房に有効成分や薬剤を効果的に適用させることができる。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
粘着剤A(積水化学工業社製、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体(医薬品添加物規格収載品))を乾燥重量として74重量部、ビタミンC(日光ケミカルズ社製 テトラヘキシルデカン酸アスコルビル)5重量部、ビタミンE(和光純薬社製 酢酸トコフェノール)1重量部及び流動パラフィン(日興製薬社製)20重量部を汎用の混合機を用いて均一に混合して塗工液を作製した。
【0036】
次に、一面が離型処理された剥離紙6の離型処理面に、上記塗工液を乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して塗工層を形成した後、この塗工層を80℃で10分間に亘って乾燥させて膏体層5を作製し、剥離紙6上に膏体層5が積層一体化されてなる膏体シートを得た。
【0037】
そして、レーヨン及びポリオレフィン繊維からなる不織布(大和紡績社製 JIS L1096に準拠した剛軟度:15mm、坪量:20g/m)の一面に、上記膏体シートをその膏体層5が不織布側となるように積層一体化させて積層シートを作製し、この積層シートから乳房用皮膚外用貼付剤Aを打ち抜いて製造した。なお、乳房用皮膚外用貼付剤Aは、対称軸Lを中心にして左右対称であった。
【0038】
乳房用皮膚外用貼付剤Aは、図5に示したように、乳頭を挿通させるための平面真円形状の挿通孔2が中央部に形成されたドーナツ状の不織布からなる支持体1の裏面に膏体層5が積層一体化されていると共に、上記支持体1の一部に該支持体1の外周縁から上記挿通孔2に連通した切欠き部3が形成されており、上記支持体1の外周縁における切欠き部3の両側近傍部の夫々には半円形状の突起部4、4が突設されていた。なお、支持体1の中心1aと、挿通孔2の中心2aとは合致していた。
【0039】
又、上記支持体1はその外径が60mmであると共に、上記挿通孔2の直径は17mmであった。上記切欠き部3の両端縁31、31と挿通孔2の中心2a(支持体1の中心1a)とを結んで得られる二つの直線のなす角度αは40°であった。突起部4の下側突出基端41と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と対称軸Lとがなす角度βは63°で、且つ、突起部4の上側突出基端42と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度βは38°であった。挿通孔2の周縁に接し且つ突起部4の下側突出基端41を通る直線が支持体の外周縁と交差する点Yと、上記突起部4の下側突出基端41とが対称軸Lを中心にして互いに反対側に位置しており、点Yと挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度γは30°であった。
【0040】
(実施例2)
支持体1を構成している不織布として、レーヨン及びポリオレフィン繊維からなる不織布(日本バイリーン社製 JIS L1096に準拠した剛軟度:24mm、坪量:32g/m)を用いたこと以外は実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤Aを作製した。
【0041】
(実施例3)
支持体1を構成している不織布として、レーヨン及びポリオレフィン繊維からなる不織布(日本バイリーン社製 JIS L1096に準拠した剛軟度:55mm、坪量:50g/m)を用いたこと以外は実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤Aを作製した。
【0042】
(実施例4)
支持体1を構成している不織布として、レーヨン及びポリオレフィン繊維からなる不織布(日本バイリーン社製 JIS L1096に準拠した剛軟度:93mm、坪量:80g/m)を用いたこと以外は実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤Aを作製した。
【0043】
(実施例5)
支持体1を構成している不織布として、レーヨン及びポリオレフィン繊維からなる不織布(日本バイリーン社製 JIS L1096に準拠した剛軟度:102mm、坪量:100g/m)を用いたこと以外は実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤Aを作製した。
【0044】
(実施例6)
乾燥後の厚みが120μmとなるように塗工液を剥離紙の離型処理面に塗工して塗工層を形成したこと以外は、実施例5と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤Aを作製した。
【0045】
(実施例7)
突起部4の下側突出基端41と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度βを38°に、且つ、突起部4の上側突出基端42と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度βを13°とし、挿通孔2の周縁に接し且つ突起部4の下側突出基端41を通る直線が支持体の外周縁と交差する点Yと、上記突起部4の下側突出基端41とが対称軸Lを中心にして互いに反対側に位置し、点Yと挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度γを5°となるように打ち抜いたこと以外は、実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤を得た。
【0046】
(実施例8)
突起部4の下側突出基端41と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度βを85°に、且つ、突起部4の上側突出基端42と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度βを60°とし、挿通孔2の周縁に接し且つ突起部4の下側突出基端41を通る直線が支持体の外周縁と交差する点Yと、上記突起部4の下側突出基端41とが対称軸Lを中心にして互いに反対側に位置し、点Yと挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度γを52°となるように打ち抜いたこと以外は、実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤を得た。
【0047】
(実施例9)
上記挿通孔2の直径を8mmとし、突起部4の下側突出基端41と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度βを88°に、且つ、突起部4の上側突出基端42と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度βを63°とし、挿通孔2の周縁に接し且つ突起部4の下側突出基端41を通る直線が支持体の外周縁と交差する点Yと、上記突起部4の下側突出基端41とが対称軸Lを中心にして互いに反対側に位置し、点Yと挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度γを73°となるように打ち抜いたこと以外は、実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤を得た。
【0048】
(実施例10)
挿通孔2の直径を26mmとし、切欠き部3の両端縁31、31と挿通孔2の中心2a(支持体1の中心1a)とを結んで得られる二つの直線のなす角度αを26°とし、突起部4の下側突出基端41と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度βを33°に、且つ、突起部4の上側突出基端42と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度βを13°とし、挿通孔2の周縁に接し且つ突起部4の下側突出基端41を通る直線が支持体の外周縁と交差する点Yと、上記突起部4の下側突出基端41とが対称軸Lを中心にして互いに反対側に位置し、点Yと挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度γを0°となるように打ち抜いたこと以外は、実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤を得た。
【0049】
(実施例11)
粘着剤B(日本アクリル社製 商品名「プライマルN−580NF」、メタクリル酸−アクリル酸n−ブチル共重合体を主成分とするアクリル系エマルジョン粘着剤)を乾燥重量として83重量部、ビタミンC(日光ケミカルズ社製 テトラヘキシルデカン酸アスコルビル)3重量部、ビタミンE(和光純薬社製 酢酸トコフェノール)1重量部及び流動パラフィン(日興製薬社製)13重量部を汎用の混合機を用いて均一に混合して塗工液を作製したこと以外は、実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤を得た。
【0050】
(実施例12)
突起部4の上側突出基端42と挿通孔2の中心2aとを結ぶ直線と、対称軸Lとがなす角度βを15°としたこと以外は、実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤を得た。
【0051】
(実施例13)
乾燥後の厚みが200μmとなるように塗工液を剥離紙の離型処理面に塗工して塗工層を形成したこと以外は実施例1と同様にして乳房用皮膚外用貼付剤を得た。
【0052】
得られた乳房用皮膚外用貼付剤における、JIS L1096の8.19.1に記載のA法(45°カンチレバー法)に準拠して測定した剛軟度及び取扱性を下記に示した要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0053】
(取扱性)
乳房用皮膚外用貼付剤Aの両突起部4、4を指先で把持し、両突起部4、4を互いに近接する方向に変位させることによって乳房用皮膚外用貼付剤Aを円錐状に変形させた際における乳房用皮膚外用貼付剤Aの変形させ易さを下記基準に基づいて判断した。10人の者が上記要領で評価し、10人の者の評価点数の合計を取扱性とした。なお、実施例2〜8,11〜13では10人全ての者が10点を付けた。実施例1では8人が10点をつけたが、2人が5点を付けた。実施例9,10では9人が10点をつけたが、1人が5点を付けた。
【0054】
10点・・・乳房用皮膚外用貼付剤を極めて容易に円錐形状に変形できた。
5点・・・乳房用皮膚外用貼付剤を容易に円錐形状に変形できた。
0点・・・乳房用皮膚外用貼付剤を円錐形状に変形するには困難を伴った。
【0055】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の乳房用皮膚外用貼付剤を示した平面図である。
【図2】図1の乳房用皮膚外用貼付剤を示した断面図である。
【図3】図1の乳房用皮膚外用貼付剤の円錐形状に変形させた状態を示した斜視図である。
【図4】図1の乳房用皮膚外用貼付剤の使用状態を示した斜視図である。
【図5】本発明の乳房用皮膚外用貼付剤を示した平面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 支持体
2 挿通孔
3 切欠き部
4 突起部
41 下側突出基端
42 上側突出基端
5 膏体層
6 剥離紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳頭を挿通させるための挿通孔が中央部に形成されたドーナツ状の支持体の裏面に膏体層が積層一体化されていると共に、上記支持体の一部に該支持体の外周縁から上記挿通孔に連通した切欠き部が形成されてあり、この切欠き部を介して対向した端縁間を狭めることによって円錐形状に変形可能に構成されてなる乳房用皮膚外用貼付剤であって、上記支持体の外周縁における切欠き部の両側近傍部の夫々に舌片形状の突起部が突設されていることを特徴とする乳房用皮膚外用貼付剤。
【請求項2】
突起部が支持体の上半部に突設されていることを特徴とする請求項1に記載の乳房用皮膚外用貼付剤。
【請求項3】
JIS L1096の8.19.1に記載のA法(45°カンチレバー法)に準拠して測定した剛軟度が15〜100mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乳房用皮膚外用貼付剤。
【請求項4】
ドーナツ状の支持体に挿通孔及び切欠き部が左右対称に形成されており、挿通孔の周縁に接し且つ突起部の突出基端のうちの下側突出基端を通る直線が支持体の外周縁と交差する点と、上記突起部の下側突出基端とが対称軸を中心にして互いに反対側に位置していると共に、突起部の突出基端のうちの下側突出基端が支持体の上半部に位置していることを特徴とする請求項1に記載の乳房用皮膚外用貼付剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−37562(P2007−37562A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221729(P2005−221729)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】