説明

乾式冷間等方圧加圧装置の成形型搬送装置

【課題】乾式冷間等方圧加圧装置で用いる成形型を保持して周移動させるターンテーブルを備えた成形型搬送装置において、乾式冷間等方圧加圧装置による稼働効率、すなわち成形品の生産能率を低下させることなく、成形型の交換を容易且つ迅速に行えるようにする。
【解決手段】本発明の成形型搬送装置1には、ターンテーブル3に隣接する乾式冷間等方圧加圧装置2に対してターンテーブル3に保持された成形型6を装填及び排出する出し入れステーション10と、出し入れステーション10とは異なる位置でターンテーブル3に保持された成形型6をテーブル外へ移載する移載ステーション11と、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式冷間等方圧加圧装置で好適に使用することができる成形型搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乾式冷間等方圧加圧装置 (以下、「乾式CIP装置」と言う) は、粉末状の成形材料が充填された成形型(筒形のゴム型)を圧力容器内で加圧して、成形型内で、型内形状に即した成形品を製造するものある。この乾式CIP装置で用いる成形型は、多くの場合、縦型の筒形に形成されたゴム筒と、このゴム筒の上下両端部を塞ぐ上下の蓋(材質は金属製の場合とゴム製の場合がある)とを有しており、これらゴム筒と上下の蓋とで囲まれる型内部の円柱状空間に成形材料を充填する構成となっている。
【0003】
従って、乾式CIP装置から加圧後の成形型を排出した後には、この成形型を分解して円柱形等に形成された成形品を取り出し、また空になった型内部へ改めて成形材料を充填しつつ、成形型を組み立て直すという手順が必要である。
ところで、この種の乾式CIP装置に隣接させてターンテーブルを設置し、このターンテーブルに成形型を保持させて間欠回転させながら、回転停止中のターンテーブルと乾式CIP装置との間で、乾式CIP装置に対する成形型の装填と排出とを自動的に行えるように構成した装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
ターンテーブル上に保持された成形型は、ターンテーブルの回転によって当該ターンテーブルの外周部に沿った周移動をすることになる。そのうえで、この装置では、乾式CIP装置とは異なる位置には、ターンテーブルの回転停止時において当該ターンテーブル上に保持された成形型から成形品を取り出す取出ステーションや、空になった成形型に成形材料を充填する充填ステーションが設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−205694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
成形品の仕様(サイズや形状等)を変更する場合、成形型の検査・メンテナンス、成形型破損時の入れ替えをする場合などに、現状の成形型をターンテーブル上で他の成形型と交換する必要が生じる。しかしながら、成形型が大型化した場合など、交換作業に要する作業時間が長くなると、成形型の交換作業がターンテーブルの停止時間内に収まらないことになる。殊に、交換作業を頻繁に行う場合などではターンテーブルの累積停止時間も長くなるから、必然としてターンテーブルの回転サイクルを遅く(長く)しなければならなかったり、成形型の交換作業のためだけにターンテーブルを停止させる必要が生じたりする。
【0007】
これらのことから、乾式CIP装置による稼働効率にも効率低下の悪影響が派生し、結果として成形品の生産能率が大幅に低下するということがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、乾式冷間等方圧加圧装置による稼働効率、ひいては成形品の生産能率を低下させることなく、成形型の交換を容易且つ迅速に行えるようにした乾式冷間等方圧加圧装置の成形型搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る乾式冷間等方圧加圧装置の成形型搬送装置は、乾式冷間等方圧加圧装置で用いる成形型を保持して周移動させるターンテーブルを備えた成形型搬送装置において、前記ターンテーブルに隣接する乾式冷間等方圧加圧装置に対して前記ターンテーブルに保持された成形型を装填及び排出する出し入れステーションと、前記出し入れステーションとは異なる位置で前記ターンテーブルに保持された成形型をテーブル外へ移載する
移載ステーションと、が設けられていることを特徴とする。
【0009】
前記移載ステーションには、前記ターンテーブルから移載された成形型を回収する回収ラインが接続されたものとするのが好適である。
前記回収ラインには、当該回収ライン上の成形型から成形品を取り出す成形品取出ステーションが設けられたものとすることができる。
前記出し入れステーションとは異なる位置には、前記ターンテーブルに保持された成形型に対して成形材料を充填する充填ステーションが設けられており、前記出し入れステーションと充填ステーションとの間に、前記移載ステーションが設けられたものとすることができる。
【0010】
前記回収ラインには、待機中の成形型を保持する保持ラインが接続されており、前記移載ステーションは、前記ターンテーブルから前記回収ラインへ回収した成形型に代えて前記保持ラインに保持された成形型をターンテーブルへ送り出し可能に構成されたものとすることができる。
前記保持ラインは、前記回収ラインに対して成形型を循環移動可能なように閉ループ状に接続されたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る乾式冷間等方圧加圧装置の成形型搬送装置では、乾式冷間等方圧加圧装置による稼働効率、ひいては成形品の生産能率を低下させることなく、成形型の交換を容易且つ迅速に行える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る成形型搬送装置の第1実施形態を模式的に示した平面図である。
【図2】第1実施形態の成形型搬送装置における動作状況を模式的に示した平面図である。
【図3】第1実施形態の成形型搬送装置における別の使用例を模式的に示した平面図である。
【図4】本発明に係る成形型搬送装置の第2実施形態を模式的に示した平面図である。
【図5】本発明に係る成形型搬送装置の第3実施形態を模式的に示した平面図である。
【図6】本発明に係る成形型搬送装置の第4実施形態を模式的に示した平面図である。
【図7】本発明に係る成形型搬送装置の第4実施形態を模式的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1乃至図3は、本発明に係る成形型搬送装置の第1実施形態を示している。
この成形型搬送装置1は、乾式CIP装置2(乾式冷間等方圧加圧装置)に隣接して設置されるターンテーブル3を備えたものである。
【0014】
ターンテーブル3は、平面形状が円形状又は多角形状等に形成された回転板を、板面中心を垂直に貫通する軸回りに回転可能に構成したものである。この回転軸が上下方向を向くようにターンテーブル3が配設される。ターンテーブル3の回転方向は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、図1のターンテーブル3は、反時計回りに回るものとする。
【0015】
このターンテーブル3には、外周部に沿った配置で周方向に一定間隔をおいて複数の保持部5が設けられている。これら各保持部5によって、乾式CIP装置2で用いる成形型6を保持することができるようになっている。
保持部5は、例えば成形型6を立てた状態のまま(縦型にしたまま)その下面を吸引しつつ支持したり、位置決め(回り止め等)を可能なように形成した嵌合凹部に嵌め入れた
り、或いは外周面を機構的に把持したりするといった構造を単一的又は複合的に採用してある。この構成により、保持部5では、保持状態として成形型6を不動にでき、また保持部5に対する成形型6の着脱(保持と取り出し)が可能となっているものである。
【0016】
本実施形態では、ターンテーブル3に対して4つの保持部5が回転軸まわりに90°間隔で設けられたものとしてある。そのため、ターンテーブル3は、各保持部5を乾式CIP装置2に最も近接した位置(乾式CIP装置2に対して成形型6の装填と排出とを行う位置)で停止させることができるように、90°ごとの間欠回転をするものとなっている。
【0017】
なお、成形型6は、縦型の筒形に形成されたゴム筒と、このゴム筒の上下両端部を塞ぐ上下の蓋とを有しており、これらゴム筒と上下の蓋とで囲まれる型内部の円柱状空間に成形材料を充填する構成である。図1では、上部の蓋を省略して示してあり、成形材料Mがゴム筒内に充填された様子と、この成形材料Mを加圧成形して円柱状等とされた成形品Sがゴム筒内に収められている様子と、成形品Sを取り出してゴム筒内が「空」になった様子とを判別可能としてある。
【0018】
成形型6には、製造する成形品Sに基づいて、仕様の異なる種々様々のものが準備されている。例えば、ゴム筒における内径や筒軸方向の長さ、筒内の開口形状(断面形状)、更には上下の蓋おいてゴム筒内へ向けられる面やゴム筒の内周面の表面性状及び凹凸の有無などについて異なる成形型6が準備されている。また、製造する成形品Sを中空体(円筒形など)にする場合では、ゴム筒内に上下の蓋間をわたるように中子型を設ける構造の成形型6もある。
【0019】
ターンテーブル3に対しては、当該ターンテーブル3の外周部を取り囲む配置(ターンテーブル3を反時計回り)で、出し入れステーション10と、移載ステーション11と、充填ステーション12とが設けられている。
出し入れステーション10は、ターンテーブル3が乾式CIP装置2に最も近接している位置で、これらターンテーブル3と乾式CIP装置2との間を繋ぐように配置されている。これに対し、移載ステーション11及び充填ステーション12は、出し入れステーション10とは異なる位置に設けられている。これら各ステーション10〜12は、ターンテーブル3の回転方向(図1の反時計回り方向)に沿って、出し入れステーション10、移載ステーション11、充填ステーション12の順番で並んでいる。
【0020】
なお、前記したように、本実施形態ではターンテーブル3に対して4つの保持部5が90°間隔で設けられ、ターンテーブル3は、各保持部5を、乾式CIP装置2に最も近接した位置で停止させるように間欠回転される。そのため、ターンテーブル3の回転方向において、出し入れステーション10と移載ステーション11との間、及び、移載ステーション11と充填ステーション12との間も、90°間隔となっている。また、充填ステーション12と出し入れステーション10との中間となる角度位置(両ステーション12,10から共に90°の均等位置)には、予備ステーション13を設けてある。
【0021】
すなわち、ターンテーブル3は、保持部5で保持した成形型6をこれら各ステーション10〜13の間で順番に移動させ、また保持部5で保持した成形型6を各ステーション10〜13に個別に対応させて停止させることができる。
出し入れステーション10では、ターンテーブル3に保持された成形型6を当該ターンテーブル3の保持部5から取り出して乾式CIP装置2に装填したり(図1の動作a)、乾式CIP装置2に装填されている成形型6を当該乾式CIP装置2から排出してターンテーブル3の保持部5へ保持させたり(図1の動作b)することができるようになっている。
【0022】
移載ステーション11は、ターンテーブル3の回転方向において、出し入れステーション10と充填ステーション12との間で、ターンテーブル3の保持部5に保持された成形型6をテーブル外へ移載したり(図1の動作c)、テーブル外へ移載した成形型6又はこの成形型6とは異なる他の成形型6をターンテーブル3の保持部5へ保持させたり(図1の動作d)することができるようになっている。
【0023】
この移載ステーション11が成形型6をテーブル外へ移載した位置に、回収ライン17
が接続されている。言い換えれば、前記した移載ステーション11は、ターンテーブル3と回収ライン17との間を繋ぐように配置されている。
回収ライン17は、ターンテーブル3から移載された成形型6を回収することができるように構成されたもので、回収できる成形型6の個数は特に限定されていない。すなわち、1個の成形型6を回収するだけの長さを有したテーブル状の構成としてもよいし、複数個の成形型6を回収できるように、上面(成形型6を支持する面)を長く又は縦横に広くさせたテーブル状の構成としてもよい。
【0024】
回収ライン17において、上面を長い構成とする場合ではベルトコンベアやローラコンベア等の駆動型又は非駆動型の搬送機構を採用することが可能である。このように回収ライン17に搬送機構を装備させることで、ターンテーブル3から回収した成形型6を、ターンテーブル3から遠ざける方向へ順送り状に搬送することができる。当然に、逆方向(すなわち、ターンテーブル3へ近づける方向)へ搬送することもできるようになる。
【0025】
このような回収ライン17には、成形品取出ステーション18を設けることができる。またこの回収ライン17には、待機中の成形型6を保持する保持ライン19を接続することができる。
成形品取出ステーション18は、回収ライン17上の成形型6から成形品Sを取り出すことができるようにしたものである。この成形品取出ステーション18では、成形型6を、ゴム筒とこのゴム筒から少なくとも上部の蓋とに分解する作業、及び分解後の上部の蓋をゴム筒に戻すための組み立て作業をも行えるように構成することもできる。
【0026】
保持ライン19は、ターンテーブル3と乾式CIP装置2との間で運用されている成形型6とは異なる、他の成形型6を保持して待機させておくところである。とはいえ、この保持ライン19によって保持、待機させておく成形型6は、ターンテーブル3と乾式CIP装置2との間で運用している成形型6と同種のもの(すなわち、検査やメンテナンス又は破損時などに入れ替えるためのスペアとする成形型)でもよい。勿論、仕様の異なる成形型6(次ロットなどのために準備した別種の成形型)とすることも可能である。
【0027】
この保持ライン19は、回収ライン17の搬送途中から分岐させるように接続してもよいし、回収ライン17の搬送終端部に直線的又は屈曲させて接続してもよい。本実施形態では、回収ライン17の搬送途中から、この回収ライン17と直交状に交差するようにして接続させてある。
なお、回収ライン17に対してその搬送途中に保持ライン19を分岐接続させている関係で、回収ライン17での成形型保持数を保持ライン19と同等にするのが好ましいとされる。しかし、回収ライン17による成形型6の保持位置が、ターンテーブル3からあまりにも遠ざかることは作業効率や占有面積の問題があって回避したい要請がある。そこで、本実施形態では回収ライン17全体をL型に屈曲させて、この回収ライン17が、保持ライン19の分岐接続を行わせる通路部分17aと、保持ライン19と並行する保持部分17bとを有する構成とさせてある。
【0028】
このような保持ライン19を備えるため、前記した移載ステーション11は、ターンテーブル3から回収ライン17へ成形型6を移載(回収)する動作をしたときには、この回収した成形型6に代えて、保持ライン19に保持された待機中の成形型6をターンテーブル3へ送り出すように構成されたものとしてある。
一方、ターンテーブル3において設けられている充填ステーション12は、ターンテーブル3に保持された成形型6に対し、粉末状の成形材料Mを充填するところである。この充填ステーション12では、成形型6を、ゴム筒とこのゴム筒から少なくとも上部の蓋とに分解する作業、及び分解後の上部の蓋をゴム筒に戻すための組み立て作業をも行えるように構成することもできる。
【0029】
次に、前記構成の成形型搬送装置1について、その動作状況を説明する。
まず、ターンテーブル3によって保持される成形型6について、入れ替えを行わない標準時の運転状況(以下、標準運転パターン)を説明する。
図2(a)に示すように、乾式CIP装置2がその装置内において成形型6を加圧するための1サイクル動作を行うごとに、出し入れステーション10がターンテーブル3と乾
式CIP装置2との間で成形型6の排出(動作b)と装填(動作a)とを1セット動作として実施する。
【0030】
出し入れステーション10が1セット動作を実施中、ターンテーブル3は停止しており、出し入れステーション10が1セット動作を終えると、ターンテーブル3は1ピッチの間欠回転を行うようになる。このターンテーブル3の間欠回転に伴い、ターンテーブル3の各保持部5に保持された成形型6は、順次、各ステーション10〜13間を移動する。
ターンテーブル3の間欠回転により、乾式CIP装置2から排出された成形型6、すなわち、ゴム筒内に成形品Sが収められた成形型6(A−1)は、移載ステーション11に対応して停止する。そこで移載ステーション11はターンテーブル3から成形型6(A−1)を取り出し、この成形型6(A−1)を回収ライン17の通路部分17aへ移載させる。
【0031】
回収ライン17は、装備する搬送機構によって成形型6(A−1)を成形品取出ステーション18へと送り込む。この成形品取出ステーション18では、成形型6(A−1)が分解されて(ゴム筒から上部の蓋が外されて)、型内の成形品Sが取り出される。
その後、空とされた成形型6(A−1)は一旦、組み立てられ(上部の蓋がゴム筒上に戻され)、成形品取出ステーション18から回収ライン17の通路部分17aを逆向きに搬送される。その後、成形型6(A−1)が回収ライン17におけるターンテーブル3の近接位置まで搬送されると、移載ステーション11がこの成形型6(A−1)をターンテーブル3へ送り返すようにする。
【0032】
このような一連の動作を経て、ターンテーブル3は次の間欠回転を行う。このターンテーブル3による次の間欠回転により、回収ライン17からターンテーブル3へ送り返された成形型6(A−1)が、次の充填ステーション12へ向けて移動され、停止するようになる。そこで、この充填ステーション12により、成形型6(A−1)が再び分解されて(ゴム筒から上部の蓋が外されて)、型内へ成形材料Mが充填されるようになる。
【0033】
なお、ターンテーブル3が前記した次の間欠回転を行う時点では、ターンテーブル3上の次位の成形型(A−2)に対し、出し入れステーション10による乾式CIP装置2への装填と、乾式CIP装置2による1サイクル動作と、出し入れステーション10による乾式CIP装置2からの排出とが終わっている。
そのため、ターンテーブル3が前記した次の間欠回転を行うとき(成形型6(A−1)を充填ステーション12へ移動させるとき)には、次位の成形型(A−2)が乾式CIP装置2から移載ステーション11へ向けて移動され、停止するようになる。
【0034】
以降、これら一連の動作が繰り返されるようになる。
このような標準運転パターンとは異なり、成形品Sの仕様(サイズや形状等)を変更する場合や、成形型6の検査、メンテナンス又は破損時の入れ替えをするに際して、ターンテーブル3の成形型6を入れ替えるには、次のような交換運転パターンを実行する。
なお、この交換運転パターンでも、移載ステーション11がターンテーブル3から成形型6(A−1)を取り出し、この成形型6(A−1)を回収ライン17を介して成形品取出ステーション18へ送り込み、この成形品取出ステーション18において成形型6(A−1)の分解、成形品Sの取り出し、組み立てを行うところまでは、前記した標準運転パターンの場合と同じように進行させる。
【0035】
この後、交換運転パターンでは、図2(b)に示すように、成形型6(A−1)は、成形品取出ステーション18から回収ライン17の通路部分17aではなく、保持部分17bへと搬送して、この保持部分17bで保持させるようにする。
そして、保持ライン19からは、待機中の成形型6(B−1)が回収ライン17の通路部分17aを経て、移載ステーション11へ向けて送り込まれる。そこで移載ステーション11は、保持ライン19から送り込まれた成形型6(B−1)をターンテーブル3へと移載する。
【0036】
移載ステーション11が、成形型6(B−1)をターンテーブル3へと移載する時期は、当該移載ステーション11がターンテーブル3から成形型6(A−1)を取り出した直後の可及的速やかな時点、とするのが好ましい(成形品取出ステーション18が成形型6
(A−1)の分解、成形品Sの取り出し、組み立てを行っているときとすればよい)。
本実施形態では、ターンテーブル3に保持部5が設けられる間隔が90°であり、またターンテーブル3が90°おきに間欠回転するものであるため、ターンテーブル3が4回の間欠回転を行った段階で、ターンテーブル3上に保持される成形型6は、当初の(A−1〜A−4)から(B−1〜B−4)に全て入れ替わることになる。
【0037】
なお、移載ステーション11がターンテーブル3から回収ライン17へ成形型6(A−1など)を回収するごとに、常に、この成形型6(A−1)と保持ライン19で待機させた成形型6(B−1など)とを1対1対応で入れ替えるように動作させることは、限定されない。すなわち、検査、メンテナンス、破損後の交換などが必要とされる成形型6(A−1など)についてのみ、他の成形型6(B−1など)と入れ替えるようにしてもよい。
【0038】
以上詳説したところから明らかなように、本発明に係る成形型搬送装置1では、ターンテーブル3の停止時間をわざわざ長くしなくとも、ターンテーブル3に対する成形型6の交換作業を迅速且つ確実に行えるものである。すなわち、ターンテーブル3の回転サイクルや乾式CIP装置2の動作サイクルを遅く(長く)する必要がなく、成形型6の交換作業のためだけにターンテーブル3を停止させる必要も生じない。そのため、乾式CIP装置2による稼働効率、ひいては成形品Sの生産能率が低下することがないものである。換言すれば、乾式CIP装置2が有する成形品Sの生産能率を最大限に活かすことができる。
【0039】
本第実施形態では、回収ライン17に対して成形品取出ステーション18を設けているので、回収ライン17上の成形型保持数を多くすることができる。そのため、成形型6の分解や成形品Sの取り出し、更には成形型6の組み立てなどに時間を要するような場合であっても、回収ライン17上に保持させた別の成形型6をターンテーブル3へと送り出すことで、ターンテーブル3の回転サイクルや乾式CIP装置2の動作サイクルを遅く(長く)しないように対処できる。
【0040】
それ故、成形品Sの生産能率が低下することは決してない。例えば、成形品Sを円柱形や円筒形にする場合では、ゴム筒の内周面に対して成形品Sが密着し、離型させにくい場合も生じるが、このような場合に、回収ライン17を設けていることが顕著な有益性をもたらすものとなる。
また、回収ライン17と共に保持ライン19をも有した構成にすることで、異なる成形型6との入れ替えを行う場合にも同様な有益性(成形品Sの生産能率が低下しないという作用効果)が得られるものである。
【0041】
なお、成形品取出ステーション18を回収ライン17の通路部分17aと保持部分17bとの屈曲部へ設けることは、限定されるものではない。例えば、図3に示すように、回収ライン17の保持部分17bに対して、その終端位置に、回収ライン17から成形型6を取り出すための成形型排出ステーション20を設けると共に、この成形型排出ステーション20と併設させるように成形品取出ステーション18を設けるようにしてもよい。
[第2実施形態]
図4は、本発明に係る成形型搬送装置1の第2実施形態を示している。
【0042】
この第2実施形態では、ターンテーブル3に対して、当該ターンテーブル3の外周部を取り囲む配置で、出し入れステーション10と、成形品取出ステーション18と、移載ステーション11と、充填ステーション12とが設けられている。
すなわち、ターンテーブル3の回転方向(図4の反時計回り方向)において、出し入れステーション10と移載ステーション11との間に成形品取出ステーション18が設けられている点で、第1実施形態と異なっている。またこれに伴い、ターンテーブル3の回転方向において、充填ステーション12と出し入れステーション10とが隣接関係とされ、予備ステーション13が省略されている点も、第1実施形態と異なるところである。
【0043】
なお、出し入れステーション10、成形品取出ステーション18、移載ステーション11、充填ステーション12の各ステーションにおける構成、及びその動作状況などは第1実施形態と略同じである。また、移載ステーション11に対して回収ライン17が接続され、この回収ライン17に保持ライン19が接続されている点、及びそれらの動作状況に
ついても、第1実施形態と略同様である。
【0044】
第2実施形態でも、成形品取出ステーション18が成形品Sの取り出し動作を行っている間に、移載ステーション11の動作(成形型6の交換)を行えるものである点で、ターンテーブル3の回転サイクルや乾式CIP装置2の動作サイクルを遅く(長く)する必要がなく、成形型6の交換作業のためだけに、ターンテーブル3を停止させる必要も生じないという利点が得られる。そのため、乾式CIP装置2による稼働効率、ひいては成形品Sの生産能率が低下することがないものである。
[第3実施形態]
図5は、本発明に係る成形型搬送装置1の第3実施形態を示している。
【0045】
この第3実施形態では、ターンテーブル3に対する各ステーション10〜13の配置は基本的に第1実施形態と同じである。第1実施形態と異なるところは、保持ライン19が、回収ライン17に対して閉ループ状に接続されている点にある。
このような構成であるため、回収ライン17では、保持ライン19を利用しつつ成形型6を循環移動させることができる。すなわち、回収ライン17及び保持ライン19において、同種の成形型6を保持させておきながら、定期的な検査やメンテナンス、場合によっては破損した成形型6の交換などを行えるものとなっている。そのため、成形型6のコンディション悪化を原因とした乾式CIP装置2での停止(稼働効率の低下)や、成形材料Mの歩留まり率低下などを防止できる利点がある。
[第4実施形態]
図6、図7は、本発明に係る成形型搬送装置1の第4実施形態を示している。
【0046】
この第4実施形態では、ターンテーブル3に対して、当該ターンテーブル3の外周部を取り囲む配置で、出し入れステーション10と、移載ステーション11と、充填ステーション12とが設けられている。
すなわち、予備ステーション13が省略されている(ターンテーブル3を取り囲むステーション数が必要最小限の3ステーションとなっている)点で、第1実施形態と異なるところである。
【0047】
第4実施形態では、ターンテーブル3のまわりに設けるステーション数が3ステーションに抑えられていることで、ターンテーブル3の間欠回転を120°間隔で行うことになり、それだけサイクルタイムを短縮できる利点がある。当然に、ステーション数を少なく抑えていることに伴って、構造上、制御上の簡素化も図れる利点もある。
なお、第4実施形態におけるその他の構成(回収ライン17や保持ライン19の構成)や作用効果は第1実施形態と略同じであり、同様の作用をするものに同じ符号を付することでここでの詳説は省略する。
【0048】
ところで、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、乾式CIP装置2の構成は何ら限定されるものではない。
また、ターンテーブル3に関しては、例えば、ターンテーブル3自体を非回転としておき、ターンテーブル3の中心に設けた回転軸を中心として、ターンテーブル3の上部でスターホイルを間欠回転可能に設ける構成などを採用可能である。
【0049】
成形型6の構成は何ら限定されるものではない。型内形状(即ち、製造する成形品Sの外形状)は、例えば平面断面形状が楕円や長円形など、円柱形や円筒形以外の形状となるようにしてもよい。また、成型品Sとして、軸方向長さが短い盤体形状や、球体形状などを形成できるような型内形状としてもよい。
移載ステーション11において行う成形型6の交換では、成形型6をそのまま交換する場合に限らず、成形型6の一部(上部の蓋、ゴム筒、下部の蓋のうちいずれかとする場合など)を交換するような装置構成又は作業内容としてもよい。
【0050】
出し入れステーション10、移載ステーション11、充填ステーション12、成形品取出ステーション18、成形型排出ステーション20は、駆動源を備えた装置として構成させてもよいし、作業者により行う人為的な作業ステーションとして構成させてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 成形型搬送装置
2 乾式CIP装置
3 ターンテーブル
5 保持部
6 成形型
10 出し入れステーション
11 移載ステーション
12 充填ステーション
13 予備ステーション
17 回収ライン
17a 通路部分
17b 保持部分
18 成形品取出ステーション
19 保持ライン
20 成形型排出ステーション
S 成形品
M 成形材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式冷間等方圧加圧装置で用いる成形型を保持して周移動させるターンテーブルを備えた成形型搬送装置において、
前記ターンテーブルに隣接する乾式冷間等方圧加圧装置に対して前記ターンテーブルに保持された成形型を装填及び排出する出し入れステーションと、前記出し入れステーションとは異なる位置で前記ターンテーブルに保持された成形型をテーブル外へ移載する移載ステーションと、が設けられていることを特徴とする乾式冷間等方圧加圧装置の成形型搬送装置。
【請求項2】
前記移載ステーションには、前記ターンテーブルから移載された成形型を回収する回収ラインが接続されていることを特徴とする請求項1に記載の乾式冷間等方圧加圧装置の成形型搬送装置。
【請求項3】
前記回収ラインには、当該回収ライン上の成形型から成形品を取り出す成形品取出ステーションが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の乾式冷間等方圧加圧装置の成形型搬送装置。
【請求項4】
前記出し入れステーションとは異なる位置には、前記ターンテーブルに保持された成形型に対して成形材料を充填する充填ステーションが設けられており、
前記出し入れステーションと充填ステーションとの間に、前記移載ステーションが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乾式冷間等方圧加圧装置の成形型搬送装置。
【請求項5】
前記回収ラインには、待機中の成形型を保持する保持ラインが接続されており、
前記移載ステーションは、前記ターンテーブルから前記回収ラインへ回収した成形型に代えて前記保持ラインに保持された成形型をターンテーブルへ送り出し可能に構成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の乾式冷間等方圧加圧装置の成形型搬送装置。
【請求項6】
前記保持ラインは、前記回収ラインに対して成形型を循環移動可能なように閉ループ状に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の乾式冷間等方圧加圧装置の成形型搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−111598(P2013−111598A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259032(P2011−259032)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)