説明

乾燥自由流動性ハイドロフォビン調製物を製造する方法

噴霧装置内で場合により添加剤を含んでいてもよいハイドロフォビン水溶液を噴霧及び乾燥させることによる、乾燥した自由流動性の安定なハイドロフォビン調製物を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧装置内でハイドロフォビン水溶液を噴霧することによる、乾燥した自由流動性の安定なハイドロフォビン調製物を製造するための改善された方法に関する。本発明は、さらに、これらのハイドロフォビン調製物を含んでいる、上記方法で製造されたハイドロフォビン調製物にも関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロフォビンは、通常、水溶液として単離される。この形態においては、ハイドロフォビンは、その活性を失うか、又は、微生物によって分解され、貯蔵及び輸送を可能とするには大きな費用が必要である。従って、ハイドロフォビンをその特異的な効果を失う可能性が最も低い濃縮された形態で含んでいるハイドロフォビンの乾燥調製物を製造することが望ましい。さらに、これらの調製物は、粒径が50〜600μmの充分に処理された表面を有する粒子で構成されているべきであり、それによって、その後の加工産業において、これらの生成物と別の物質の均質な混合又は良好な適用性が保証される。
【0003】
酵素を含んでいる水性媒体から水を除去するためのさまざまな噴霧方法が存在している。
【0004】
米国特許明細書第4,617,272号においては、酵素を含んでいる媒体を、流動床内で加熱された不活性粒子の上に噴霧している。
【0005】
適切な不活性粒子として、ポリオレフィン類、ポリカーボネート類、ポリメチルメタクリレート類又はポリスチレンが挙げられている。
【0006】
上記方法の1つの不利益は、これらの不活性粒子を用いて製造された乾燥酵素粉末は食品産業及び動物飼料産業では使用できないということである。
【0007】
経済特許第DD-263790号に記載されている別の方法では、流動床造粒機内に配置された担体物質の上にプロテアーゼ水溶液を噴霧することによって、凝乳プロテアーゼ製品を製造している。担体物質として、脱脂粉乳及び/又はデキストリン含有物質が記述されている。
【0008】
得られた製品は良好な酵素安定性及び流動性を示し、且つ、使用される担体物質は生理学的に適合性であるが、上記方法は、酵素固体に基づいて最大10倍の量の担体物質を用いなければならないという不都合がある。
【0009】
EP-522269には、噴霧装置内で酵素水溶液(該酵素水溶液は、適切な場合には、添加剤を含んでいる)を噴霧することによる、安定な乾燥自由流動性酵素調製物の製造方法が記載されており、該方法では、酵素溶液を、0〜50℃で、疎水性シリカ及び/又は高級脂肪酸金属塩からなる5〜60重量%(該溶液の酵素固体含有量を基準とする)の噴霧助剤を補助的に用いて噴霧し、そのようにして得られた噴霧助剤を含んでいる粒子を乾燥させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、ハイドロフォビン水溶液をその後の加工産業において使用できる安定な乾燥ハイドロフォビン調製物に変換することを可能とする方法を提案することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ハイドロフォビン水溶液(該ハイドロフォビン水溶液は、適切な場合には、添加剤を含んでいる)を、1種類以上の糖アルコールからなる5〜200重量%(該溶液のハイドロフォビン固体含有量を基準とする)の噴霧助剤を補助的に用いて噴霧し、そのようにして得られた噴霧助剤を含んでいる粒子を乾燥させた場合、最初に定義されている方法によって特に際めて適切なハイドロフォビン調製物がもたらされるということが分かった。
【0012】
ハイドロフォビンは、約100AAからなる低分子タンパク質であり、糸状菌に特徴的であって、他の生物には存在しない。最近、ストレプトマイセス・コエリコロル(Streptomyces coelicolor)においてハイドロフォビン様タンパク質が発見された。そのハイドロフォビン様タンパク質は、「チャプリン(chaplins)」と称され、同様に、高い界面活性特性を有している。水/空気の境界において、チャプリンは、凝集してアミロイド様原繊維をもたらす(Classen et al. 2003 Genes Dev 1714-1726; Elliot et al. 2003, Genes Dev. 17, 1727-1740)。
【0013】
ハイドロフォビンは、菌類のさまざまな組織構造(例えば、気中菌糸、胞子、子実体)の表面上に、水不溶性形態で分布している。ハイドロフォビンに対する遺伝子は、子嚢菌類、不完全菌類及び担子菌類から単離することができた。例えば、スエヒロタケ(Schizophyllum commune)、ウシグソヒトヨタケ(Coprinus cinereus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)などのように、2以上のハイドロフォビン遺伝子を有している菌もある。異なったハイドロフォビンは、明らかに、菌成長の異なった段階に関与している。ここで、そのようなハイドロフォビンは、おそらく、異なった機能に関与している(van Wetter et al., 2000, Mol. Microbiol., 36, 201-210; Kershaw et al. 1998, Fungal Genet. Biol, 1998, 23, 18-33)。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1のタンパク質ゲル:4〜12%のBis-Tris ゲル/MES バッファー;左:マンニトールを含んでいるハイドロフォビンAの噴霧乾燥後;右:マーカー:予め染色しておいた SDS-Page 標準、適用/スロット:15μg Pr。
【図2】実施例2のタンパク質ゲル。
【図3】実施例6のタンパク質ゲル:4〜12%のBis-Tris ゲル/MES バッファー;左:マーカー:予め染色しておいた SDS-Page 標準、適用/スロット:15μg Pr;右:助剤を含まないハイドロフォビンAの噴霧乾燥後。
【図4】実施例7のタンパク質ゲル:4〜12%のBis-Tris ゲル/MES バッファー;左:マーカー:予め染色しておいた SDS-Page 標準、適用/スロット:15μg Pr;中央/右:助剤を含まないハイドロフォビンBの噴霧乾燥後。
【図5】実施例8のタンパク質ゲル:4〜12%のBis-Tris ゲル/MES バッファー;左:マーカー:予め染色しておいた SDS-Page 標準、適用/スロット:15μg Pr;残り:助剤を含まないハイドロフォビンAの噴霧造粒後の parDS 1-7。
【図6】実施例9のタンパク質ゲル:4〜12%のBis-Tris ゲル/MES バッファー;左:マーカー:予め染色しておいた SDS-Page 標準、適用/スロット:15μg Pr;右:助剤を含まないハイドロフォビンBの噴霧造粒後のサンプル10。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の方法にとって特に極めて適しているハイドロフォビンは、ガラス表面にコーティングされた後で接触角が少なくとも20°変化する、一般構造式(I)
【化1】

【0016】
[式中、Xは、20種類の天然アミノ酸(Phe、Leu、Ser、Tyr、Cys、Trp、Pro、His、Gln、Arg、Ile Met、Thr、Asn、Lys、Val、Ala、Asp、Glu、Gly)のいずれかであることができ、Xの横についている添え字は、アミノ酸の数を表しており、ここで、添え字n及びmは、0〜500(好ましくは、15〜300)の数であり、pは、1〜250(好ましくは、1〜100)の数であり、Cは、システイン、アラニン、セリン、グリシン、メチオニン又はトレオニンであり、その際、Cで示されている基のうちの少なくとも4は、システインである;但し、Xn又はXm又はXpと短縮して書かれているペプチド配列のうちの少なくとも1は、天然ではハイドロフォビンには連結していない少なくとも20のアミノ酸の長さを有するペプチド配列である]
で表されるポリペプチドである。
【0017】
C1〜C8で示されているアミノ酸は、好ましくは、システインである。しかしながら、それらは空間的に同様に充填できる別のアミノ酸(好ましくは、アラニン、セリン、トレオニン、メチオニン又はグリシン)で置き換えることも可能である。しかしながら、位置C1〜C8のうちの少なくとも4、好ましくは、少なくとも5、特に好ましくは、少なくとも6、特に、少なくとも7は、システインで構成されるべきである。システインは、本発明によるタンパク質の中で還元された形態で存在してもよく、又は、互いにジスルフィド架橋を形成してよい。C-C架橋、特に、少なくとも1(好ましくは2、特に好ましくは3、極めて特に好ましくは4)の分子内ジスルフィド架橋を有するC-C架橋を分子内で形成しているのが特に好ましい。上記のようにシステインを空間的に同様に充填できる別のアミノ酸と交換する場合、そのようなC位置は、互いに分子内ジスルフィド架橋を形成し得る対で交換されるのが有利である。
【0018】
Xとして示されている位置に置いて、システイン、セリン、アラニン、グリシン、メチオニン又はトレオニンも使用される場合、上記一般式の個々のC位置の番号付けは、それに応じて変えることができる。
【0019】
特に有利なポリペプチドは、ガラス表面にコーティングされた後で接触角が少なくとも20°変化する、一般式(II)
【化2】

【0020】
[式中、Xは、20種類の天然アミノ酸(Phe、Leu、Ser、Tyr、Cys、Trp、Pro、His、Gln、Arg、Ile Met、Thr、Asn、Lys、Val、Ala、Asp、Glu、Gly)のいずれかであることができ、Xの横についている添え字は、アミノ酸の数を表しており、ここで、添え字n及びmは、2〜300の数であり、Cは、システイン、アラニン、セリン、グリシン、メチオニン又はトレオニンであり、その際、Cで示されている基のうちの少なくとも4は、システインである;但し、Xn又はXmと短縮して書かれているペプチド配列のうちの少なくとも1は、天然ではハイドロフォビンには連結しない少なくとも35のアミノ酸の長さを有するペプチド配列である]
で表されるポリペプチドである。
【0021】
ここで、ハイドロフォビンの起源は、何の役割も果たさない。例えば、ハイドロフォビンは、例えば、微生物(例えば、細菌類、酵母菌類及び菌類など)から単離することができる。本発明によれば、特に、遺伝子組換え生物を用いて得られたハイドロフォビンが適している。
【0022】
ハイドロフォビン水溶液に添加することが可能な適切な添加剤は、好ましくは生理学的に許容される、慣習的な物質である。
【0023】
そのようなものとしては、多糖類、例えば、さまざまな起源を有するセルロース化合物、ペクチン類及びデンプン類、膜形成性コロイド類、例えば、ゼラチン、カゼイン若しくはアルブミン、単糖類若しくは二糖類、例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース若しくはスクロース、又は、植物性産物、例えば、小麦粗挽きふすま若しくは大豆粉などがある。
【0024】
さらに、使用可能な添加剤は、無機材料、例えば、炭酸カルシウム、粘土質土壌、様々な形態の沈殿シリカ及び沈殿ケイ酸塩又は無機シリカ及び無機ケイ酸塩などであり、さらに、動物起源の産物、例えば、卵殻粉なども添加可能な添加剤である。さらに、乳化剤、酸化防止剤又は防腐剤などのさらなる添加剤も使用することができる。
【0025】
使用する添加剤の量は、ハイドロフォビン固体に基づいて、通常、5〜200重量%、好ましくは、20〜200重量%である。
【0026】
本発明の方法は、以下のように実施することができる:
噴霧助剤を、空気又は不活性ガスと一緒に、噴霧によって噴霧装置(好ましくは、噴霧塔)の中に導入する。噴霧助剤の導入は、便宜上、霧化ユニットの上方で行う。適切な噴霧塔は、当業者には既知の全ての形状のものである(例えば、「K. Masters, Spray Drying Handbook, ISBN 0-582-06266-7」を参照されたい)。
【0027】
ハイドロフォビン水溶液は、噴霧助剤を含んでいる噴霧空間内に、圧力をかけてノズルを通して導入することができる。しかしながら、ハイドロフォビン水溶液を急速回転している霧化ディスクの上に流すことも可能である。霧化ユニットの設計は、生成物に対して決定的な影響を及ぼすことはない。当業者には既知のさらなる霧化装置を使用することも可能である(例えば、「Arthur H. Levebvre, Atomization and Sprays, ISBN 0-89116-603-3」を参照されたい)。
【0028】
形をなす噴霧コーンは、多数の小さな液滴を含んでおり、その液滴が、次に、水を除去することによって乾燥ハイドロフォビン調製物に変換される。この乾燥は、便宜上、噴霧の直後に実施する。この目的のためには、蒸発による乾燥が適切であり、その蒸発による乾燥の間に、予め加熱されている空気流又は不活性ガス流の助けを借りて、当該液滴から水が除去される。
【0029】
上記乾燥に関しては、霧化ユニットの下に配置されているか又は霧化ユニットの近くに配置されている流動床を用いるのが特に好ましい。その流動床を噴霧塔に組み込まれた部分として作動させてもよく(例えば、Niro の「FSD Technology」、又は、Anhydro の「SBD Technology」)、又は、当業者には流動床噴霧造粒として知られている乾燥技術(これは、例えば、書籍("Wirbelschicht-Spruhgranulation [Fluidized-bed spray granulation]", ISBN 3-540-66985-x)の中で Hans Uhlemann 及び Lothar Morl によって説明されている)を使用する。
【0030】
酸化に対して特に感受性が高いハイドロフォビンの場合、噴霧及び乾燥に際して、窒素などの不活性ガスを使用するのが好ましい。
【0031】
上記方法を用いて調製されたハイドロフォビン調製物は、安定性が優れていること及び残留水分含量が低いことを特徴とする。残留している水分は、カールフィッシャー滴定(Karl-Fischer tritration)で測定して、固体物質を基準として10%未満であり、好ましくは、7%未満である。残留水分含量が5%未満であることが特に好ましい。
【0032】
レーザー回折を用いて測定される平均粒径は、10μm〜3mmの範囲内である。好ましくは、平均粒径は、100μm〜1mmの範囲内である。特に、粒径が50μm未満の粒子のフラクションは、制限されるべきである。それは、粒径が50μm未満の微細なフラクションが取扱中に望ましくない粉塵を形成する傾向を有するからである。50μm未満の粒子のフラクションが5質量%未満である固体が特に好ましい。
【0033】
該乾燥ハイドロフォビン調製物のかさ密度は、50〜1200kg/m3の範囲内にある。噴霧塔内での噴霧乾燥法については、80〜400kg/m3のかさ密度が好ましく、特に好ましくは、100〜300kg/m3である。流動床噴霧造粒に際しては、500〜1000kg/m3のかさ密度が好ましく、特に好ましくは、600〜800kg/m3である。
【0034】
霧化対象の溶液の温度は、通常、0〜150℃であるべきである。加熱することによって容易に不活性化されるハイドロフォビンの場合、0〜80℃の温度を用いるのが好ましく、熱安定性のハイドロフォビンの場合は、20〜100℃の温度を使用するのが好ましい。
【0035】
適切な噴霧助剤は、糖アルコールである。特に適切な糖アルコールは、ソルビトール、マンニトール及びイノシトールである。さらに、セルロース、デンプン及びコーンスターチも、乾燥助剤として適している。
【0036】
噴霧助剤の重量は、ハイドロフォビン固体に基づいて、5〜200重量%であり、好ましくは、20〜200重量%、特に好ましくは、70〜130重量%である。
【0037】
上記噴霧助剤を噴霧帯域に直接導入することによって、粒子の機械的応力(例えば、担体充填流動床(carrier-filled fluidized bed)に起因する機械的応力)は大幅に回避される。
【0038】
本発明のハイドロフォビン調製物は、噴霧助剤を使用しなくても、首尾よく調製することができる。
【0039】
本発明の新規方法について、下記実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0040】
一般項目
名称
ハイドロフォビンA: YaaD-DewA-His6
ハイドロフォビンB: 40 AA YaaD-DewA-His6
乾燥物質含有量: DS [重量%]
活性試験
タンパク質活性を評価するために、再溶解させた噴霧乾燥ハイドロフォビン融合タンパク質又は噴霧造粒ハイドロフォビン融合タンパク質のコーティング特性を使用する。コーティング特性の評価は、それぞれ、親水性表面又は疎水性表面のモデルとして、好ましくは、ガラス又はテフロンの上で行う。
【0041】
コーティングについての標準的な実験
ガラス
・ ハイドロフォビンの濃度:50 mg/L;
・ ガラスプレートを10mM Tris(pH8)中で一晩インキュベーション(温度:80℃);
・ コーティング後、脱塩水中で洗浄;
・ 次いで、インキュベーション 10分間/80℃/1% SDS;
・ 脱塩水中で洗浄。
【0042】
テフロン
・ 濃度:50 mg/L;
・ テフロンプレートを10mM Tris(pH8)中で一晩インキュベーション(温度:80℃);
・ コーティング後、脱塩水中で洗浄;
・ インキュベーション 10分間/80℃/0.1% Tween 20;
・ 脱塩水中で洗浄;
・ 次いで、インキュベーション 10分間/80℃/1% SDS;
・ 脱塩水中で洗浄。
【0043】
サンプルは、空気中で乾燥させ、水1滴(5μL)の接触角(度)を測定した。例えば、以下の値が得られた:
【表1】

【0044】
発酵及び後処理
2つのサイドシケインを有する1000mL容のエーレンマイヤーフラスコ内で、200mLの複合培地に、LB-Amp プレート(100μg/mLアンピシリン)から YaaD-DewA-His6 又は 40 AA YaaD-DewA-His6 を発現しているE.coli株を接種する(=第1前培養)。その株を、OD600nmが約3.5になるまで、d0=2.5cmの200rpmの振盪機上で37℃でインキュベートする。その後、シケインを有する1000mL容の4つのさらなるエーレンマイヤーフラスコ(いずれの場合にも、200mLの複合培地を有している)に、それぞれ、1mLの第1前培養を用いて接種し、振盪キャビネット(d0=2.5cm、n=200rpm)内で37℃でインキュベートする(=第2前培養)。OD600nmが6を超えたら直ぐに、この第2振盪培養から、複合培地で満たされている前発酵槽(prefermenter)に接種する。OD600nmが9を超えるか又はOTR=80mmol/(l*h)に達した後、主発酵槽に接種する。その主培養を、極めて少量の複合成分を含んでいる無機培地内でフェドバッチ法で実施する。OD600nmが70を超えた時点で、細胞を50μmのIPTGで誘導する。4〜20時間の誘導時間が経過した後、発酵を終了させ、容器の内容物を4℃に冷却する。発酵終了後、例えばプレートセパレーター(例えば、ノズルセパレーター)を用いることによって又は精密濾過によって、細胞を発酵ブロスから分離させ、脱塩水に再度懸濁させる。プレートセパレーターを用いることによって又は精密濾過によってもう1度分離させた後、再度再懸濁させた細胞を、2000barの圧力差で高圧ホモジナイザーを用いて破壊する。そのホモジネートを、プレートセパレーター(例えば、ノズルセパレーター)を用いて分離させ、数回洗浄する。得られた濃厚物をpH12.5に調節する。約15分間経過した後、pHを9まで低下させる。中和されたハイドロフォビン含有溶液を、管状遠心分離器にかけて固体を分離する。SDS-PAGE 分析によれば、最終の遠心分離後、ハイドロフォビンは上清中に存在している。この上清を、以下では「ハイドロフォビン水溶液」と称する。ハイドロフォビン水溶液の乾燥物質含有量は、通常、2〜4重量%である。ELISAを用いて求められたハイドロフォビン濃度は、この段階では、典型的には、4〜35g/Lの範囲内にある。
【0045】
実施例1
3.4重量%の固形分を有する866kgのハイドロフォビンA水溶液に、28.6kgのマンニトールを撹拌しながら入れる。その溶液を、Gerig Gr.0 型ツインマテリアルノズルを用いて、41kg/hの噴霧速度で1200kg/hの窒素の中に並流的に噴霧する。噴霧塔は、800mmの直径及び12mの高さを有している。ここで、乾燥ガスの入り口温度は161度である。乾燥ガスの出口温度は80度である。フィルターにおいて付着物が生じ、31.7kgの乾燥物質が回収される。6.1kgの乾燥物質を噴霧塔から取り除く。再溶解させたハイドロフォビン含有乾燥物質について活性試験で得られた接触角を表1に記載する。再溶解させた乾燥物質のタンパク質ゲルを図1に示す。
【0046】
実施例2
2.4重量%の固形分及び4.5g/Lのハイドロフォビン濃度を有する109kgのハイドロフォビンB水溶液に、2.4kgのマンニトールを撹拌しながら入れる。その溶液を、3mm Niro ツインマテリアルノズルを用いて、12.8kg/hの噴霧速度で450kg/hの窒素の中に並流的に噴霧する。噴霧塔(製造会社 Niro)は、1200mmの直径及び2650mmの円柱高さを有している。円錐の断面の高さは600mmである。乾燥ガスの入り口温度は163度である。乾燥ガスの出口温度は79度である。サイクロン排出において4.1kgの乾燥物質が回収される。下流のフィルター排出において0.73kgの乾燥物質が回収される。再溶解させたハイドロフォビン含有乾燥物質について活性試験で得られた接触角を表2に記載する。再溶解させた乾燥物質のタンパク質ゲルを図2に示す。
【0047】
実施例3
3.4重量%の固形分及び31g/Lのハイドロフォビン含有量を有する155kgのハイドロフォビンA水溶液に、5.4kgの硫酸ナトリウムを撹拌しながら入れる。その溶液を、3mm Niro ツインマテリアルノズルを通して、12.2kg/hの噴霧速度で450kg/hの窒素の中に並流的に噴霧する。噴霧塔(製造会社 NIRO)は、1200mmの直径及び2650mmの円柱高さを有している。円錐の断面の高さは600mmである。乾燥ガスの入り口温度は165度である。乾燥ガスの出口温度は84度である。サイクロン排出において5.5kgの乾燥物質が回収される。
【0048】
実施例4
20g/Lの乾燥物質含有量を有する2LのハイドロフォビンB水溶液に、40gの硫酸ナトリウムを撹拌しながら入れる。その溶液を、乾燥ガスとして窒素を用いる Buchi 実験室用噴霧乾燥機の中で乾燥させる。ガスの入り口温度は160度である。ガスの出口温度は80度である。サイクロン排出において40gが回収される。再溶解させた乾燥物質について得られた接触角を表3に記載する。
【0049】
実施例5
20g/Lの乾燥物質含有量を有する2LのハイドロフォビンB水溶液に、40gのマルトデキストリンを撹拌しながら入れる。その溶液を、乾燥ガスとして窒素を用いる Buchi 実験室用噴霧乾燥機の中で乾燥させる。ガスの入り口温度は160度である。ガスの出口温度は80度である。サイクロン排出において39gが回収される。再溶解させた乾燥物質について得られた接触角を表4に記載する。
【0050】
実施例6
240kgのハイドロフォビンA水溶液(TS=3.4重量%、ハイドロフォビン濃度 31g/L)を濃縮する。これにより、13重量%の固形分及び117g/Lのハイドロフォビン含有量を有する65kgのハイドロフォビンA水溶液が得られる。その濃厚溶液を、3mm Niro ツインマテリアルノズルを通して、13.7kg/hの噴霧速度で450kg/hの窒素の中に噴霧する。噴霧塔(製造会社 NIRO)は、1200mmの直径及び2650mmの円柱高さを有している。円錐の断面の高さは600mmである。乾燥ガスの入り口温度は165度である。乾燥ガスの出口温度は84度である。サイクロン排出において6.1kgの乾燥物質が回収される。再溶解させたハイドロフォビン含有乾燥物質について活性試験で得られた接触角を表5に記載する。再溶解させた乾燥物質のタンパク質ゲルを図3に示す。
【0051】
実施例7
894kgのハイドロフォビンB水溶液(TS=2.4重量%、ハイドロフォビン濃度 6.3g/L)を濃縮する。これにより、226kgの濃厚なハイドロフォビンB水溶液(TS=9.7重量%、ハイドロフォビン濃度 35.4g/L)が得られる。9.6%の固形分(ハイドロフォビン含有量 約35.4g/L)を有する75kgのその濃厚なハイドロフォビンB水溶液を、直径2mmのシングルマテリアルノズル(Niro)を用いて、13.6kg/hの噴霧速度で25度の温度で450kg/hの窒素の中に並流的に噴霧する。噴霧塔(製造会社 NIRO)は、1200mmの直径及び2650mmの円柱高さを有している。円錐の断面の高さは600mmである。ここで、乾燥ガスの入り口温度は168度である。乾燥ガスの出口温度は84度である。サイクロンにおいて5kgの生成物が回収され、フィルターにおいて1.2kgの生成物が回収される。噴霧乾燥された物質のかさ密度は、100kg/m3である。得られた物質の純度(ここで、該純度は、総タンパク質濃度に対するハイドロフォビンの百分率(%)として定義される)は、45%である。再溶解させたハイドロフォビン含有乾燥物質について活性試験で得られた接触角を表6に記載する。再溶解させた乾燥物質のタンパク質ゲルを図4に示す。
【0052】
実施例8
921kgのハイドロフォビンA水溶液(TS=2.3重量%、ハイドロフォビン濃度 18g/L)を濃縮する。これにより、241kgの濃厚なハイドロフォビンA水溶液(TS=9.6重量%、ハイドロフォビン濃度 98.3g/L)が得られる。その濃厚なハイドロフォビンA水溶液を、最初に乾燥ハイドロフォビンAを充填した噴霧流動床(d=150mm、A=0.177m2)に導入する。直径2mmの2-マテリアルノズルを通して、濃厚なハイドロフォビンA水溶液を噴霧する。
【0053】
パート1:実施例4で得られた2kgのハイドロフォビンAを最初に導入する。濃厚ハイドロフォビンA水溶液(=フィード1)の噴霧速度を、1.8kg/h;2.5kg/h;3.3kg/hの段階で増大させる。生成物の噴霧速度3.3kg/hでのガス入り口温度は138度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、75m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は69度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。5.9kgのフィード1から、0.44kgの乾燥物質が得られる(サンプル1、図5)。
【0054】
パート2:パート1からの流動床内に残留している乾燥物質(1.5kg、初期充填物の粒径 <1.25mm)に、濃厚ハイドロフォビンA水溶液(=フィード2)を3.2kg/hの噴霧速度で噴霧する。平均ガス入り口温度は126度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、102m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は67度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。21.3kgのフィード2から、1.6kgの乾燥物質が得られる(サンプル2、図5)。
【0055】
パート3:パート2からの流動床内に残留している乾燥物質(1.3kg)に、濃厚ハイドロフォビンA水溶液(=フィード3)を3.6kg/hの噴霧速度で噴霧する。平均ガス入り口温度は143度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、102m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は67度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。21.6kgのフィード3から、1.6kgの乾燥物質が得られる(サンプル3、図5)。
【0056】
パート4:流動床内に残留しているパート3からの乾燥物質(1.9kg、初期充填物の粒径 <1.6mm)に、濃厚ハイドロフォビンA水溶液(=フィード4)を4.1kg/hの噴霧速度で噴霧する。平均ガス入り口温度は147度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、100m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は66度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。24.6kgのフィード4から、1.9kgの乾燥物質が得られる(サンプル4、図5)。
【0057】
パート5:流動床内に残留しているパート4からの乾燥物質(1.3kg、初期充填物の粒径 <1.4mm)に、濃厚ハイドロフォビンA水溶液(=フィード5)を4kg/hの噴霧速度で噴霧する。平均ガス入り口温度は146度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、99m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は67度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。23kgのフィード5から、1.7kgの乾燥物質が得られる(サンプル5、図5)。
【0058】
パート6:流動床内に残留しているパート5からの乾燥物質(1.1kg、初期充填物の粒径 <1.25mm)に、濃厚ハイドロフォビンA水溶液(=フィード6)を3.5kg/hの噴霧速度で噴霧する。平均ガス入り口温度は142度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、101m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は71度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。26.8kgのフィード6から、2kgの乾燥物質が得られる(サンプル6、図5)。有用なフラクションのかさ密度は0.65kg/Lである。
【0059】
パート7:流動床内に残留しているパート6からの乾燥物質(1.2kg、初期充填物の粒径 <1.25mm)に、濃厚ハイドロフォビンA水溶液(=フィード7)を3.7kg/hの噴霧速度で噴霧する。平均ガス入り口温度は141度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、99m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は72度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。22.7kgのフィード7から、1.7kgの乾燥物質が得られる(サンプル7、図5)。有用なフラクションのかさ密度は0.65kg/Lである。0.2〜0.72mmの粒径のフラクションは、98.9%である。
【0060】
この実施例では、粗粒切断機の使用に加えて、ローラーミル又はグラインダーなども粗物質を粉砕するのに適している。
【0061】
再溶解させたハイドロフォビン含有乾燥物質について活性試験で得られた接触角を表7に記載する。再溶解させた乾燥物質のタンパク質ゲルを図5に示す。
【0062】
実施例9
894kgのハイドロフォビンB水溶液(DS=2.4重量%、ハイドロフォビン濃度 6.3g/L)を濃縮する。226kgの濃厚なハイドロフォビンB水溶液(DS=9.7重量%、ハイドロフォビン濃度 35.4g/L)が得られる。
【0063】
パート1:実施例5と類似した噴霧乾燥で得られた1kgのハイドロフォビンB含有乾燥物質を最初に導入する。ガス入り口温度は141度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、49m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は69度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。5kgのフィード1から、0.46kgの乾燥物質が得られる。
【0064】
パート2:流動床内に残留しているパート1からの乾燥物質(0.87kg、粒径 <0.8mm)に、濃厚ハイドロフォビンB水溶液(=フィード2)を3.8kg/hの噴霧速度で噴霧する。ガス入り口温度は139度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、99m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は67度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。22.8kgのフィード2から、2.1kgの乾燥物質が得られる。0.4mm未満のフラクションは、約80%である。
【0065】
パート3:流動床内に残留しているパート2からの乾燥物質(0.87kg、粒径 <0.8mm)に、濃厚ハイドロフォビンB水溶液(=フィード3)を3.8kg/hの噴霧速度で噴霧する。ガス入り口温度は140度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、102m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は69度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。30.1kgのフィード3から、2.78kgの乾燥物質が得られる。0.4〜0.8mmのフラクションは、80%である。
【0066】
パート4:流動床内に残留しているパート3からの乾燥物質(1.1kg、粒径 <0.8mm)に、濃厚ハイドロフォビンB水溶液(=フィード4)を3.5kg/hの噴霧速度で噴霧する。ガス入り口温度は142度であり、伴う乾燥ガス流(空気)は、96m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は72度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で相応に粉砕することによって制御する。25.9kgのフィード4から、2.4kgの乾燥物質が得られる。0.4〜0.8mmのフラクションは、約80%を占める。
【0067】
パート5:流動床内に残留しているパート4からの乾燥物質(1.1kg、粒径 <0.8mm)に、濃厚ハイドロフォビンB水溶液(=フィード5)を3.4kg/hの噴霧速度で噴霧する。ガス入り口温度は139度であり、伴う乾燥ガス流(窒素)は、99m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は72度である。26.6kgのフィード5から、2.5kgの乾燥物質が得られる。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。0.2〜0.8mmのフラクションは、約98%を占める。
【0068】
パート6:流動床内に残留しているパート5からの乾燥物質(1.1kg、粒径 <0.8mm)に、濃厚ハイドロフォビンB水溶液(=フィード6)を3.4kg/hの噴霧速度で噴霧する。ガス入り口温度は142度であり、伴う乾燥ガス流(窒素)は、98m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は72度である。25.4kgのフィード6から、2.4kgの乾燥物質が得られる。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。0.2〜0.8mmのフラクションは、91〜95%を占める。当該サンプルのかさ密度は、0.57kg/Lである。
【0069】
パート7:流動床内に残留しているパート6からの乾燥物質(1.4kg、粒径 <0.8mm)に、濃厚ハイドロフォビンB水溶液(=フィード7)を3.4kg/hの噴霧速度で噴霧する。ガス入り口温度は140度であり、伴う乾燥ガス流(窒素)は、100m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は72度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。18.4kgのフィード7から、1.8kgの乾燥物質が得られる。0.2〜0.4mmのフラクションは、>0.64kg/Lである。
【0070】
パート8:流動床内に残留しているパート7からの乾燥物質(1.2kg、粒径 <0.8mm)に、濃厚ハイドロフォビンB水溶液(=フィード8)を3〜2.5kg/hの噴霧速度で噴霧する。ガス入り口温度は120度であり、伴う乾燥ガス流(窒素)は、100m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は67度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。21.5kgのフィード8から、2.1kgの乾燥物質が得られる(図6)。0.2〜0.4mmのフラクションの割合は、>70.5%である。
【0071】
パート9:流動床内に残留しているパート8からの乾燥物質(1.2kg、粒径 <0.8mm)に、濃厚ハイドロフォビンB水溶液(=フィード3)を4.1〜4.4kg/hの噴霧速度で噴霧する。ガス入り口温度は163度であり、伴う乾燥ガス流(窒素)は、97m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は77度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。29.6kgのフィード9から、2.8kgの乾燥物質が得られる。0.2〜0.4mmのフラクションの割合は、14.8%である。
【0072】
パート10:パート9で粉砕した1.3kgの粗物質を細粒(初期充填物の粒径 <0.8mm)と一緒に最初に導入する。濃厚ハイドロフォビンB水溶液(=フィード10)の噴霧速度は、4.9〜5.1kg/hの間で変える。ガス入り口温度は181度であり、伴う乾燥ガス流(窒素)は、95m3/hである。噴霧流動床の低部における平均生成物出口温度は82度である。顆粒は、排出スクリューを介して連続的に排出される。その粒径は、排出されたものをふるい分けし、粗物質を粗粒切断機内で適切に粉砕することによって制御する。43.1kgのフィード10から、4.1kgの乾燥物質が得られる(サンプル10、図6)。0.2〜0.4mmのフラクションの割合は、12.6%である。
【0073】
最終サンプル(パート10)のハイドロフォビン含有乾燥物質を再溶解させ、その再溶解させたハイドロフォビン含有乾燥物質について活性試験で得られた接触角を表8に記載する。再溶解させた乾燥物質のタンパク質ゲルを図6に示す。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由流動性の安定な乾燥ハイドロフォビン調製物を製造する方法であって、噴霧装置内で、ハイドロフォビン溶液(該ハイドロフォビン溶液は、適切な場合には、添加剤を含んでいる)を噴霧及び乾燥させることによる、前記方法。
【請求項2】
前記ハイドロフォビン溶液を5〜200重量%(該溶液のハイドロフォビン固体含有量を基準とする)の有機又は無機の噴霧助剤を補助的に用いて噴霧し、そのようにして得られた噴霧助剤を含んでいる粒子を乾燥させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
噴霧装置に加えて流動床も使用する、顆粒の形態にあるハイドロフォビン調製物を製造するための、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
噴霧助剤として1種類以上の糖アルコール、セルロース又はデンプンを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
噴霧助剤としてマンニトールを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記噴霧を120〜200℃の入り口空気温度で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記噴霧を50〜120℃の出口空気温度で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に従って得られる、自由流動性の安定な乾燥ハイドロフォビン調製物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−500043(P2010−500043A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524167(P2009−524167)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058103
【国際公開番号】WO2008/019965
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】