事業報告形式定義情報編集装置
【課題】複数の親子関係定義情報を含む事業報告形式定義情報の編集を容易にするための技術を提供する。
【解決手段】事業報告に用いる項目間の親子関係を定義する親子関係定義情報を複数含み、当該事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を編集する事業報告形式定義情報編集装置100を提供する。事業報告形式定義情報編集装置100は、第1の親子関係定義情報に対して追加すべき親子関係を指定する追加指示情報に基づき、第1の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係を追加するとともに、第1の親子関係定義情報とは異なる第2の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係に対応する親子関係を追加する追加部118を備えている。
【解決手段】事業報告に用いる項目間の親子関係を定義する親子関係定義情報を複数含み、当該事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を編集する事業報告形式定義情報編集装置100を提供する。事業報告形式定義情報編集装置100は、第1の親子関係定義情報に対して追加すべき親子関係を指定する追加指示情報に基づき、第1の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係を追加するとともに、第1の親子関係定義情報とは異なる第2の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係に対応する親子関係を追加する追加部118を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を編集する技術に関するものであり、特に、事業報告に用いる勘定科目間の親子関係を定義する親子関係定義文書を複数含む事業報告形式定義情報を編集する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、事業報告を電子化するための技術として、XBRL(非特許文献1参照)が注目されている。XBRLは、財務情報の作成、流通、利用等を容易にするための技術であり、例えば、金融庁の提供するEDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)において、財務諸表を記載する形式として採用されている(非特許文献2参照)。
【0003】
XBRLとは、拡張可能な事業報告用の言語(eXtensible Bussiness Reporting Language)の略称であり、以下のような構造を有している。
【0004】
まず、XBRLでは、事業報告(例えば、財務諸表)の形式を定義するタクソノミと、タクソノミにより定義された形式に従ってデータが入力されたインスタンス文書が存在する。これらの文書は、XML形式によって記載される。
【0005】
タクソノミには、報告の語彙を定義する文書としてタクソノミスキーマが含まれている。タクソノミスキーマは、XMLスキーマ形式で記載されており、インスタンス文書を構成する要素の種類を、事業報告の語彙に含まれる項目(例えば、財務諸表における勘定科目)に対応するように規定する。
【0006】
タクソノミには、また、名称リンクベースおよび参照リンクベースが含まれる。名称リンクベースは、各項目の名称を定義するものであり、名称としては、例えば、標準ラベル、冗長ラベル、それらの各国語による表記等が含まれる。参照リンクベースは、各項目が基づく法律等を示すものである。
【0007】
タクソノミには、さらに、表示リンクベース、計算リンクベースおよび定義リンクベースが含まれる。これらは、それぞれ、上記各項目の表示上の親子関係、計算上の親子関係または概念上の親子関係を定義する文書である。表示上の親子関係とは、表をディスプレイ等に表示するとき、または紙上に印刷するときの階層構造を示す。表示リンクベースにはまた、そのような階層構造のほかに、表示または印刷する際の順番を規定するための各項目についての表示順序を示す情報が定義されている。計算上の親子関係とは、表を用いて計算する際の階層構造を示す。計算リンクベースはまた、そのような階層構造における計算上の重み付けを示す情報が定義されている。概念定義上の親子関係とは、各項目の概念定義上の階層構造である。
【0008】
このようなXBRLのタクソノミは、語彙を定義する文書と、語彙に含まれる項目についての付加的な情報および項目間の親子関係を定義する文書とが分離されているために、拡張、修正等が容易である。XBRLを利用した技術として、例えば、特許文献1から9がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−134864号公報(平成20年6月12日公開)
【特許文献2】特開2007−164591号公報(平成19年6月28日公開)
【特許文献3】特開2006−163876号公報(平成18年6月22日公開)
【特許文献4】特開2006−155136号公報(平成18年6月15日公開)
【特許文献5】特開2006−65382号公報(平成18年3月9日公開)
【特許文献6】特開2005−242855号公報(平成17年9月8日公開)
【特許文献7】特開2005−216000号公報(平成17年8月11日公開)
【特許文献8】特開2003−316765号公報(平成15年11月7日公開)
【特許文献9】特表2008−515061号公報(平成20年5月8日公開)
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】http://www.xbrl.org/Specification/XBRL-RECOMMENDATION-2003-12-31+Corrected-Errata-2008-07-02.htm(平成21年4月28日検索)
【非特許文献2】https://info.edinet-fsa.go.jp/E01EW/BLMainController.jsp(平成21年4月28日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のXBRLのような事業報告形式定義情報、すなわち、事業報告に用いられる項目間の親子関係を定義する親子関係定義情報を複数含む事業報告形式定義情報を編集する場合、新しい親子関係を追加するためには、複数の親子関係定義情報ごとに似たような操作を繰り返して行う必要があり、煩雑である。これは、特許文献1〜9に記載の技術においても同様である。そのため、上記のような事業報告形式定義情報の編集を容易にする技術が求められている。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複数の親子関係定義情報を含む事業報告形式定義情報の編集を容易にするための技術を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る事業報告形式定義情報編集装置は、上記課題を解決するために、事業報告に用いられる項目間の親子関係を定義する親子関係定義情報を複数含み、当該事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を編集する事業報告形式定義情報編集装置であって、第1の親子関係定義情報に対して追加すべき親子関係を指定する追加指示情報に基づき、第1の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係を追加するとともに、第1の親子関係定義情報とは異なる第2の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係に対応する親子関係を追加する追加手段を備えていることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、第1の親子関係定義情報に対する親子関係の追加指示に基づいて、他の親子関係定義情報に親子関係を追加するため、親子関係定義情報ごとに追加すべき親子関係を指定する必要がなく、複数の親子関係定義情報を含む事業報告形式定義情報を容易に編集することができる。
【0015】
なお、第1の親子関係定義情報と、第2の親子関係定義情報との差異は、それぞれが定義する親子関係の種類、それぞれが用いられる事業報告が属する年度等様々な場合がある。また、追加手段は、上記追加すべき親子関係に対応する親子関係を、追加指示情報に含まれる情報に応じた様々な方法によって導き出す。
【0016】
上記事業報告形式定義情報編集装置では、上記事業報告形式定義情報は、上記事業報告に用いられる項目間の表示上の親子関係を定義する表示親子関係定義情報、上記事業報告に用いられる項目間の計算上の親子関係を定義する計算親子関係定義情報、および上記事業報告に用いられる項目間の概念定義上の親子関係を定義する定義親子関係定義情報を含んでいることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、上記事業報告形式定義情報は、表示親子関係定義情報、計算親子関係定義情報、および定義親子関係定義情報を含んでいるので、XBRLのタクソノミのように、事業報告の形式を定義するために好適に用いることができる。よって、そのような事業報告形式定義情報を容易に編集する上記事業報告形式定義情報編集装置は有用である。
【0018】
上記事業報告形式定義情報編集装置では、上記追加指示情報は、基準項目および追加項目を指定する情報を含み、第1の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を上記追加すべき親子関係として指定するものであり、上記追加手段は、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、上記追加指示情報には、基準項目を指定する情報が含まれている。この基準項目は、上記追加すべき親子関係が追加される前の第1の親子関係定義情報において、上記追加すべき親子関係において親となる勘定項目の、子として定義されている項目であり、上記追加すべき親子関係が追加された後の第1の親子関係定義情報において、追加項目と兄弟関係(同じ親を有する項目)となるべきものである。そして、このような基準項目に基づいて第2の親子関係定義情報へ追加する親子関係を決めることにより、第1の親子関係定義情報と、第2の親子関係定義情報とにおいて定義される親子関係の差異を吸収して適切に第2の親子関係定義情報への親子関係の追加を行うことができる。これは、同じ事業報告に用いる項目の親子関係、特に、表示上の親子関係、計算上の親子関係、および概念定義上の親子関係においては、それぞれの親子関係が異なる場合であっても、兄弟関係は同一である場合が多いという本発明者らが独自に見出した知見に基づくものである。
【0020】
以上のように、上記構成では、第1の親子関係定義情報に追加すべき第1の親子関係を指定する追加指示情報において、単純に追加すべき親子関係の親と子とを指定するのではなく、あえて上記追加すべき親子関係が追加される前の第1の親子関係定義情報において上記追加すべき親子関係の親の子として定義されている項目を指定し、この項目に基づいて、第2の親子関係定義情報に追加すべき親子関係を導くことにより、適切な親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することができる。
【0021】
上記事業報告形式定義情報編集装置では、第1の親子関係定義情報は、上記表示親子関係定義情報であり、第2の親子関係定義情報は、上記計算親子関係定義情報であり、上記追加手段は、上記基準項目が、他の項目の合計を示す合計項目であるか否かを判定する合計項目判定手段を備え、上記合計項目判定手段が上記基準項目は合計項目でないと判定した場合に、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加し、上記合計項目判定手段が上記基準項目は合計項目であると判定した場合に、上記基準項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、上記基準項目が合計項目であるか否かを判定し、判定結果に応じた親子関係を第2の親子関係定義情報に追加するため、より適切な適切な親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することができる。上記の構成は、本発明者らが独自に見出した知見である、合計項目では表示親子関係定義情報と計算親子関係定義情報との間で兄弟関係が異なること、および、基準項目が合計項目であった場合に、追加すべき親子関係として適切なのは、基準項目を親とし、追加項目を子とする親子関係であることに基づくものである。
【0023】
上記事業報告形式定義情報編集装置では、第1の親子関係定義情報は、上記表示親子関係定義情報であり、第2の親子関係定義情報は、上記計算親子関係定義情報であり、上記追加手段は、上記定義親子関係定義情報に、総額を示す項目を親とし、純額を示す項目を子とする総額純額間の親子関係であって、上記基準項目が親となる総額純額間の親子関係が定義されているか否かを判定する総額項目判定手段を備え、上記総額項目判定手段が上記定義親子関係定義情報に上記総額純額間の親子関係が定義されていないと判定した場合に、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加し、上記総額項目判定手段が上記定義親子関係定義情報に上記総額純額間の親子関係が定義されていると判定した場合に、上記計算親子関係定義情報において上記基準項目の親の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、定義親子関係定義情報を用いて上記基準項目が総額を示しているか否かを判定して、その判定結果に応じた親子関係を第2の親子関係定義情報に追加するため、より適切な適切な親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することができる。上記の構成は、本発明者らが独自に見出した知見および独自の発想である、総額を示す項目では、表示親子関係定義情報と計算親子関係定義情報との間で兄弟関係が異なること、定義親子関係定義情報を用いることにより総額を示す項目か否かを判定し得ること、および、基準項目が総額を示す項目であった場合に追加すべき親子関係として適切なのは、総額を示す基準項目の親の親を親とし、追加項目を子とする親子関係であることに基づくものである。
【0025】
本発明に係る事業報告形式定義情報編集システムは、上記事業報告形式定義情報編集装置と、当該事業報告形式定義情報編集装置に対して上記追加指示情報を送信する端末とを備えていることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、ウェブ型のアプリケーションとして本発明に係る事業報告形式定義情報編集システムを構築することができる。なお、本発明は、ウェブ型のアプリケーションに限定されるものではなく、上記事業報告形式定義情報編集装置をスタンドアロンで用いる場合も包含するものである。
【0027】
上記事業報告形式定義情報編集システムでは、上記端末は、第1の親子関係定義情報によって定義された親子関係を表現する画像を表示する表示手段と、第1の親子関係定義情報に追加すべき親子関係の入力を受け付ける入力手段とを備えていることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、上記端末が、上記表示手段と上記入力手段とを備えているために、ユーザーはインタラクティブな様式で追加すべき親子関係を入力することができるので、ユーザーはさらに容易に追加指示を入力することができる。
【0029】
また、本発明に係る装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータに上記の各装置の機能を実現させるプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、一つの親子関係定義情報に対する親子関係の追加指示に基づいて、他の親子関係定義情報に親子関係を追加するため、親子関係定義情報ごとに追加すべき親子関係を指定する必要がなく、複数の親子関係定義情報を含む事業報告形式定義情報を容易に編集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る事業報告形式定義情報編集システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る事業報告形式定義情報編集システムの動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る第2の親子関係定義情報に追加すべき親子関係の生成工程の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る第2の親子関係定義情報に追加すべき親子関係の生成工程の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図11】総額純額間の表示上および計算上の親子関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る第1の実施形態について、図1〜図10を参照して以下に説明する。
【0033】
(事業報告形式定義情報編集システム1の構成)
まず、本実施形態に係る事業報告形式定義情報編集システム1について、図1を参照にして以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る事業報告形式定義情報編集システム1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、事業報告形式定義情報編集システム1は、事業報告形式定義情報編集装置100および端末10を備えている。両者は、通信ネットワーク3を介して互い接続され、データおよび情報をやり取りする。
【0034】
(端末10)
端末10は、表示部(表示手段)12および入力部(入力手段)14を備えており、ユーザーとの間でのインタラクティブな応答を実施する。端末10はまた、通信部16および主制御部18を備えている。主制御部18は、表示制御部30、入力制御部32、および通信制御部34を備えている。各部材の詳細については後述する。
【0035】
(事業報告形式定義情報編集装置100)
事業報告形式定義情報編集装置100は、通信部102、および主制御部104を備えている。主制御部104は、通信制御部110、編集制御部112、構造化文書処理部114、事業報告形式定義情報記憶部116、追加部(追加手段)118および削除部120を備えている。追加部118は、合計項目判定部(合計項目判定手段)130、および総額項目判定部(総額項目判定手段)132を備えている。各部材の詳細については後述する。
【0036】
(事業報告形式定義情報編集システム1の概要)
事業報告形式定義情報編集システム1は、事業報告形式定義情報に含まれる第1の親子関係定義情報に追加すべき親子関係を示す入力を受け付け、追加指示情報50を生成し、事業報告形式定義情報編集装置100に送信する。事業報告形式定義情報編集装置100は、受信した追加指示情報50に基づき、第1の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係を追加するとともに、当該追加すべき親子関係に対応する、第2の親子関係定義情報に追加すべき親子関係を第2の親子関係定義情報に追加する。これにより、一つの親子関係定義情報に親子関係を追加する入力に基づいて、複数の親子関係定義情報に対して親子関係を追加することができる。
【0037】
なお、事業報告形式定義情報編集システム1は、このように、少なくとも、親子関係定義情報に親子関係を追加するものであればよく、事業報告形式定義情報の全体について編集するものでなくともよい。
【0038】
(事業報告形式定義情報編集処理の一例)
事業報告形式定義情報編集システム1における事業報告形式定義情報編集処理の一例について、図2を参照して以下に説明する。図2は、事業報告形式定義情報編集システム1の動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0039】
図2に示すように、事業報告形式定義情報編集装置100が起動すると、主制御部104の構造化文書処理部114が、予め構造化文書処理部114に入力されているか、事業報告形式定義情報記憶部116に予め記憶されている構造化文書を解析して、親子関係定義情報を生成し、事業報告形式定義情報記憶部116に記憶する(ステップS30)。
【0040】
(親子関係定義情報)
ここで、親子関係定義情報について詳細に説明する。本明細書において、親子関係定義情報とは、事業報告に用いられる項目(例えば、勘定科目)間の親子関係を定義する情報であって、事業報告形式定義情報に複数含まれるものである。なお、本明細書において「親子関係」とは、項目同士のリンクを示すものである。上記リンクは全体として木構造を構成する場合が多いため、便宜的に、木構造の根に向かう方向を「親」と呼ぶが、あくまでも便宜上の名称であり、他の名称であってもよい。また、各項目には自らを他の項目から識別するための識別子が関連付けられている。これにより、事業報告形式定義情報編集装置100は、上記識別子に基づいて、異なる親子関係定義情報間において、対応する項目を見出すことができる。さらに、各項目の名称に関する情報(名称、名前空間等)が関連付けられていてもよい。
【0041】
事業報告形式定義情報とは、事業報告の形式を定義する情報を指し、例えば、事業報告の雛形を提供するものである。本明細書において、事業報告とは、企業等の財務情報および企業等が行った経済活動に関する情報を記述するものを指し、例えば、財務諸表等の財務報告、残高情報、在庫情報ならびに仕入情報、注文情報、請求情報、出荷送品情報等の具体的な情報およびそれらに基づく仕訳情報等が挙げられる。財務諸表とは、企業等の財務状態および経営成績を開示する書類であり、例えば、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)、株主資本等変動計算書(S/S)が挙げられる。財務諸表には、副次的な情報(例えば、財務諸表注記等の定量または定性的な情報)が含まれてもよい。また、単一企業についての個別財務諸表であってもよいし、企業グループについての連結財務諸表であってもよい。なお、四半期決算、中間決算等における財務諸表も含まれる。
【0042】
以下では、編集対象の事業報告形式定義情報として、EDINETタクソノミ(非特許文献2)を参考のために用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、同様の会計基準(わが国における会計基準はもちろん、他国の会計基準も含む)に従う事業報告形式定義情報に対して、本発明に係る事業報告形式定義情報編集システムに好適に使用し得ることを容易に理解する。
【0043】
本実施形態において、親子関係定義情報は、図5〜10に示すような事業報告に用いられる項目をノードとする木構造データである。このようなデータが項目間の親子関係を定義することを当業者は容易に理解する。例えば、図5は、親子関係を追加する前(〔挿入前〕)の第1の親子関係定義情報(〔表示リンク〕)および第2の親子関係定義情報(〔計算リンク〕)、ならびに、親子関係を追加した後(〔挿入後〕)の第2の親子関係定義情報(〔計算リンク〕)の部分を示すものであるが、それぞれが木構造を有する情報であることは明らかであり、例えば、〔挿入後〕の〔計算リンク〕には、「流動資産合計」を親とし、「現金および預金」、「ユーザー科目」、および「たな卸資産」のそれぞれを子とする親子関係が定義されている。
【0044】
なお、親子関係定義情報は、木構造データに限定されず、項目間の親子関係を取得し得る形態のデータであればよい。例えば、上述したように、本実施形態に係る事業報告形式定義情報編集装置100では、構造化文書を解析して親子関係定義情報を含む事業報告形式定義情報を生成するが、この構造化文書をそのまま事業報告形式定義情報として用いてもよい。その場合は構造化文書処理部114は不要となる。例えば、XBRLのタクソノミのような事業報告の形式を定義する情報を表現した構造化文書であれば、容易に、項目間の親子関係を取得し得ることを当業者は容易に理解する。
【0045】
ここで、親子関係定義情報には、図5〜10に示すように、いくつかの種類が存在する。例えば、勘定科目間の表示上の親子関係を定義する表示親子関係定義情報(図5〜10に示す〔表示リンク〕)、勘定科目間の計算上の親子関係を定義する計算親子関係定義情報(図5〜10に示す〔計算リンク〕)、勘定科目間の概念定義上の親子関係を定義する定義親子関係定義情報(図5〜10に示す〔定義リンク〕)が挙げられる。
【0046】
表示親子関係定義情報は、事業報告のための表示順序、表示構成等を示す情報であり、事業報告の各項目を階層的に表示、または印刷するために用いられる。例えば、図5の〔挿入前〕の〔表示リンク〕に示すように、標題または上位概念の名前を示すタイトル項目(「流動資産、タイトル項目」)の下に、「現金及び預金」、「たな卸資産」、「流動資産合計」といった項目が並べられている。これは、「流動資産、タイトル項目」の内容として、「現金及び預金」、「たな卸資産」および「流動資産合計」を表示することを意図している。
【0047】
計算親子関係定義情報は、事業報告のための計算情報を定義するものであり、事業報告を元に計算される様々な数値の計算(資産等の総計や、各項目内の合計、その他の指標の計算等)のために用いられる。例えば、図5の〔挿入前〕の〔計算リンク〕に示すように、合計を示す項目(「流動資産合計」)の下に、「現金及び預金」、「たな卸資産」といった項目が並べられている。これは、「流動資産合計」を、「現金及び預金」と「たな卸資産」とから計算することを意図している。計算親子関係定義情報はまた、各項目を演算に用いる際の重み付け(例えば、親に対して加算する(+)か減算する(−)か)を示す情報をさらに含んでいてもよい。
【0048】
定義親子関係定義情報は、事業報告のための概念定義情報を定義するものであり、事業報告に用いられる項目間の概念上の関係を表現するために用いられる。例えば、図9の〔挿入前〕の〔定義リンク〕に示すように、上位概念を示す「資産の部、タイトル項目」の子として、中位概念を示す「流動資産、タイトル項目」が置かれ、さらにその子として、下位概念を示す「現金及び預金」ならびに「受取手形」が置かれている。
【0049】
これら、表示親子関係定義情報、計算親子関係定義情報および定義親子関係定義情報は、合わさって一つの事業報告の形式を定義することができる。
【0050】
上述したように、構造化文書処理部114は、構造化文書を解析して、親子関係定義情報を生成する。この構造化文書は、構造化文書処理部114に予め入力されているか、事業報告形式定義情報記憶部116に予め記憶されているものである。なお、本明細書において「構造化文書」とは、要素に分割可能な文書を指す。各要素は、タグ等を用いて文書からの分離が容易な方法で記述されていることが好ましい。そのような構造化文書としては、例えば、XMLを使用することができる。構造化文書は符号化されていてもよい。
【0051】
構造化文書処理部114が解析する構造化文書は、事業報告の形式を定義する情報を表現した構造化文書であればよいが、例えば、タクソノミスキーマおよび各種リンクベース(親子関係定義情報)を含むXBRLのタクソノミであり得る。構造化文書処理部114において構造化文書を解析して当該構造化文書が表現する情報を生成する手法は、当該構造化文書の規格(例えば、XML)に基づいて、周知慣用の情報処理技術を適用すればよい。
【0052】
次に、端末10が起動すると、端末10の表示制御部30は、端末10の通信制御部34を介して端末10の通信部16から事業報告形式定義情報編集装置100の通信部102へ、表示親子関係定義情報(表示リンク)を要求する信号を送信させる(ステップS20)。
【0053】
上記信号を通信部102において受け取った事業報告形式定義情報編集装置100の通信制御部110は、事業報告形式定義情報記憶部116から表示親子関係定義情報を読み出し、通信部102を介して端末10の通信部16へと表示親子関係定義情報を送信する(ステップS22)。このとき、表示親子関係定義情報を表示するために必要な情報(例えば、各項目の名称を表現する情報等)を併せて送ってもよい。
【0054】
表示親子関係定義情報を通信部16にて受信した端末10の通信制御部34は、表示制御部30へ表示親子関係定義情報を渡し、表示制御部30は、表示部12に表示親子関係定義情報によって定義される親子関係を表現する画像を表示させる(ステップS10)。上記親子関係を表現する画像は、例えば、図5〜8に示すような木構造を表示するツリービューとすることができる。
【0055】
次に、端末10の入力部14において、ユーザーの追加指示の入力を受け付ける(ステップS12)。入力部14は、例えば、以下のような操作を入力として検出する。
【0056】
まず、一つの局面において、新しい項目(「ユーザー科目」)を、「流動資産、タイトル項目」の子として、「現金及び預金」と「たな卸資産」との間に追加すべきことを指示する場合、表示部12が図5に示すようなツリービューを表示しているときに、ユーザーは追加すべき位置(「現金及び預金」と「たな卸資産」との間、図5中の点線で示す位置)を指定して「ユーザー科目」をこの位置に追加することを入力する(操作1)。また、他の実施形態において、追加すべき位置の代わりに、追加すべき位置の後の項目(基準項目)を指定してもよい。
【0057】
入力制御部32は、上記操作を入力部14によって受け付け、追加すべき追加項目として、「ユーザー科目」を検出するとともに、ユーザーが指定した位置を検出して、挿入すべき位置の直後に位置する項目である「たな卸資産」を基準項目として検出する。なお、上記基準項目は、上記追加項目と同じ項目を親とする兄弟関係にある項目となる。なお、一実施形態において、併せて、追加位置の親の項目(「流動資産、タイトル項目」)を検出してもよい。
【0058】
他の局面において、新しい項目(「ユーザー科目」)を、「現金及び預金」の子として挿入すべきことを指示する場合、表示部12が図7に示すようなツリービューを表示しているときに、ユーザーは上記新しい項目の親となるべき項目(「現金及び預金」、図7中下線を付した項目)を指定して「ユーザー科目」を子に追加することを入力する(操作2)。
【0059】
入力制御部32は、上記操作を入力部14によって受け付け、追加すべき追加項目として、「ユーザー科目」を検出するとともに、ユーザーが指定した項目を、当該追加項目の親となるべき項目として検出する。
【0060】
続いて、端末10の入力制御部32は、上記操作1または2を受けて検出した入力に基づいて、追加指示情報50を生成する。そして、入力制御部32は、通信制御部34を介して端末10の通信部16から事業報告形式定義情報編集装置100の通信部102へ、追加指示情報50を送信させる(ステップS24)。
【0061】
追加指示情報50は、例えば、図4に示すように、情報52、情報54および情報56からなる構造を有するデータである。情報52は、親子関係を追加すべき親子関係定義情報(本例では、表示親子関係定義情報)を示す。なお、一実施形態において、親子関係を追加すべき親子関係定義情報が固定されていれば、情報52は省略することができる。情報54は、上記追加項目を示す。情報56は、上記基準項目および上記追加項目の親となるべき項目の少なくとも何れかを示す。例えば、操作1による入力の場合には、上記基準項目が、操作2による入力の場合には、上記追加項目の親となるべき項目が示され得る。
【0062】
このような追加指示情報50を通信部102において受け取ると、事業報告形式定義情報編集装置100の通信制御部110は、編集制御部112に追加指示情報50を渡し、編集制御部112は、追加指示情報50をさらに追加部118へと渡す。
【0063】
追加部118は、追加指示情報50に基づいて、まず、事業報告形式定義情報記憶部116から、情報52に示される親子関係定義情報(本例では、表示親子関係定義情報(表示リンク))を読み出し、情報54に示される追加項目を当該親子関係定義情報の表現する木構造に追加し、追加後の上記親子関係定義情報を、事業報告形式定義情報記憶部116に記憶させる(ステップS32)。以下、本ステップを詳細に説明する。
【0064】
(A.情報56が基準項目を示す場合)
追加部118は、上記基準項目の親である項目を親とし、追加項目を子とする親子関係を情報52に示される親子関係定義情報に追加する。このとき、上記基準項目の親である項目は、上記追加項目の親となるべき項目として、追加指示情報50の情報56に含ませてもよい。
【0065】
また、親子関係定義情報に含まれる親子関係は、それぞれ子となる項目の兄弟間の順序を規定するための情報が関連付けられていてもよい。この場合には、追加する上記親子関係に、上記追加項目の順序が、上記基準要素の直前になるように、上記兄弟間の順序を規定するための情報を関連付けてもよい。これにより、ユーザーの意図した位置に、上記追加項目を追加することができる。
【0066】
(B.情報56が追加項目の親となるべき項目を示す場合)
追加部118は、上記追加項目の親となるべき項目を親とし、追加項目を子とする親子関係を情報52に示される親子関係定義情報に追加する。このとき、追加する上記親子関係に、上記追加項目の順序が、兄弟間において最後となるように上記兄弟間の順序を規定するための情報を関連付けてもよい。
【0067】
続いて、情報52に示される親子関係定義情報に追加すべき親子関係を示す追加指示情報50に基づいて、上記親子関係定義情報(本例では、表示親子関係定義情報(表示リンク))とは異なる他の親子関係定義情報(本例では、計算親子関係定義情報(計算リンク、ステップS34)および定義親子関係定義情報(定義リンク、ステップS36))にそれぞれ対応する親子関係を追加する。以下、ステップS34およびS36の詳細について説明する。なお、上記他の親子関係定義情報は、ステップS34では、計算親子関係定義情報であり、ステップS36では、計算親子関係定義情報である。
【0068】
(A.情報56が基準項目を示す場合)
情報56が基準項目を示す場合、追加部118は、まず、上記他の親子関係定義情報から、上記基準項目を検索し、さらにその親を検索する。そして、得られた項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を上記他の親子関係定義情報に対して追加する。
【0069】
ここで、本発明者らが独自に見出した知見によれば、同じ事業報告に用いる項目間の関係、特に、表示上の関係、計算上の関係、および概念定義上の関係においては、それぞれの親子関係が異なる場合であっても、兄弟関係は同一である場合が多い。よって、情報52に示される親子関係定義情報に追加すべき親子関係を指定するときに、単純に追加すべき親子関係の親と子とを指定するのではなく、あえて上記追加すべき親子関係が追加される前の上記親子関係定義情報において上記追加すべき親子関係の親の子として定義されている項目(基準項目)を指定し、この項目に基づいて、上記他の親子関係定義情報に追加すべき親子関係を導くことにより、適切な親子関係を上記他の親子関係定義情報に追加することができる。
【0070】
(B.情報56が追加項目の親となるべき項目を示す場合)
情報56が追加項目の親となるべき項目を示す場合、追加部118は、まず、上記他の親子関係定義情報から、情報52に示される親子関係定義情報において上記追加項目の親となるべき項目を検索し、得られた項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を上記他の親子関係定義情報に対して追加する。
【0071】
以上のように、追加部118は、追加指示情報50に示される項目さらにはその項目の親の項目を、上記他の親子関係定義情報において検索し、得られた項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を上記他の親子関係定義情報に対して追加する。これにより、事業報告形式定義情報編集装置100は、一つの指示に基づいて、複数の親子関係定義情報に対して親子関係を適切に追加することができる。
【0072】
最後に、通信制御部110が、ステップS32において親子関係が追加された表示親子関係定義情報(表示リンク)を、事業報告形式定義情報記憶部116から読み出して、通信部102を介して端末10の通信部16へと表示親子関係定義情報を送信する(ステップS26)。このとき、ステップS22と同様、表示親子関係定義情報を表示するために必要な情報(例えば、各項目の名称を表現する情報等)を併せて送ってもよい。
【0073】
以上のステップにより、本実施形態に係る事業報告形式定義情報編集システム1は、複数の親子関係定義情報に対して親子関係を適切に追加することができる。
【0074】
なお、上記例では、表示親子関係定義情報への追加指示情報に基づいて、他の親子関係定義情報に親子関係を追加する構成について記載しているが、本発明はこれに限定されず、計算親子関係定義情報または定義親子関係定義情報定義に基づいて、他の親子関係定義情報に親子関係を追加する構成も本発明の範疇である。本明細書に接した当業者であれば、上述した図2の説明において、表示親子関係定義情報(表示リンク)と、計算親子関係定義情報(計算リンク)または定義親子関係定義情報(定義リンク)とが交換可能であることを容易に理解する。
【0075】
すなわち、本発明に係る事業報告形式定義情報編集装置100を用いれば、一つの親子関係定義情報(第1の親子関係定義情報)に対して追加すべき親子関係を指定する追加指示情報に基づいて、他の親子関係定義情報(第2の親子関係定義情報)に、上記追加すべき親子関係に対応する親子関係を追加することができる。
【0076】
なお、後述するように、第1の親子関係定義情報と第2の親子関係定義情報との関係は、異なる種類の親子関係定義情報である場合の他にも、親子関係定義情報が属する事業報告形式定義情報の年度が異なる場合も本発明の範疇である。
【0077】
続いて、本発明のさらなる詳細について説明する。
【0078】
(表示親子関係定義情報への追加指示情報に基づく計算親子関係定義情報への追加)
まず、表示親子関係定義情報への追加指示情報に基づく計算親子関係定義情報への追加(ステップS34)の詳細について、図3、5〜8を参照して説明する。図3は、ステップS34の詳細な流れを説明するフローチャートである。
【0079】
まず、追加部118は、基準項目を用いるケースか否かを判定する(ステップS100)。ここで、基準項目を用いるケースとは、追加指示情報50の情報56が、基準項目を含む場合であり、基準項目を用いないケースとは、追加指示情報50の情報56が、基準項目を含まない場合であり、それぞれ、上記操作1および2に対応する。情報56が基準項目を含む場合、ステップS102へ進み、情報56が基準項目を含まない場合には、ステップS110へ進む。
【0080】
基準項目を用いないケースでは、追加項目(「ユーザー科目」)の親となるべき項目として、表示親子関係定義情報(表示リンク)の項目(「現金及び預金」)が指定されている(図7の[挿入前]参照)。追加部118は、指定された上記親となるべき項目を、計算親子関係定義情報(計算リンク)において検索し(ステップS110)、計算親子関係定義情報(計算リンク)において見出された項目(「現金及び預金」)を親とし、追加項目(「ユーザー科目」)を子とする親子関係を計算親子関係定義情報(計算リンク)に追加する(図7の[挿入後]参照。ステップS108)。
【0081】
ステップS102では、合計項目判定部130が、情報56に示される基準項目がいくつかの項目(勘定科目)の合計を示す合計項目であるか否かを判定する。基準項目が合計項目であるか否かは、基準項目に関連付けられた名称から判定する。例えば、上記事業報告形式定義情報に、各項目の名称をそれぞれの項目に関連付けて定義する構造化文書である名称定義文書が含まれていれば、合計項目判定部130は、事業報告形式定義文書記憶部116に記憶されている上記名称定義情報から、情報56に示される基準項目に関連付けられた名称を取得し、当該名称が合計を表現する合計ラベルであるか否かを判定することによって、基準項目が合計項目であるか否かを判定することができる。すなわち、合計項目判定部130は、各項目に関連付けられた名称を取得して、それが合計ラベルであるか否かを判定すればよい。
【0082】
なお、ある名称が合計ラベルであるか否かを判定する手法は、用いる事業報告形式定義情報によって適宜選択すればよいが、例えば、XBRLの場合、名称定義文書は、各名称について各々の名称の役割(例えば、標準、冗長、合計、期首、期末等)が定義されている。合計項目判定部130は、事業報告形式定義文書記憶部116に記憶されている上記名称定義情報から、ある名称について定義された役割が合計であるか否かを判定して、当該役割が合計である場合に、当該ある名称が合計ラベルであると判定すればよい。
【0083】
なお、合計項目判定部130に予め合計除外リストが入力されている構成であってもよい。この場合、合計項目判定部130は、上記基準項目が上記合計除外リストに含まれるか否かを判定し、上記基準項目が上記合計除外リストに含まれる場合、上記基準項目は合計項目ではないと判定する。そして、合計項目判定部130が上記基準項目は合計項目であると判定した場合には、ステップS112に進み、上記基準項目が合計項目でないと判定した場合には、ステップS104に進む。
【0084】
上記基準項目が合計項目である場合、一例において、表示親子関係定義情報(表示リンク)において追加項目(「ユーザー科目」)の兄弟となるべき基準項目として、「流動資産合計」が指定されている(図6の[挿入前]参照)。ここで、ユーザーの意図は、計算親子関係定義情報(計算リンク)では、「流動資産合計」の子として「ユーザー科目」を追加することであると推定される。そこで、追加部118は、指定された上記基準項目を、計算親子関係定義情報(計算リンク)において検索する(ステップS112)。そして、計算親子関係定義情報(計算リンク)において見出された項目(「流動資産合計」)を親とし、追加項目(「ユーザー科目」)を子とする親子関係を計算親子関係定義情報(計算リンク)に追加する(図6の[挿入後]参照。ステップS108)。
【0085】
すなわち、本発明者らが独自に見出した知見によれば、合計項目では表示親子関係定義情報と計算親子関係定義情報との間で兄弟関係が異なり、基準項目が合計項目であった場合に、追加すべき親子関係として適切なのは、基準項目を親とし、追加項目を子とする親子関係であるため、事業報告形式定義情報編集装置100が、ステップS102およびS112の工程を実施することにより、より適切な親子関係を計算親子関係定義情報に追加することができる。
【0086】
ステップS104では、総額項目判定部132が、定義親子関係定義情報(定義リンク)において、総額を示す項目を親とし、純額を示す項目を子とする総額純額間の親子関係であって、情報56に示される基準項目を親とする親子関係が定義されているか否かを判定する。例えば、図8の[挿入前]に示すように、「受取手形及び売掛金」を基準科目として、「ユーザー科目」を追加する場合、総額項目判定部132は、定義親子関係定義情報(定義リンク)を検索して、図8の[挿入前]の〔定義リンク〕に示されるような「受取手形及び売掛金」を親とする親子関係が存在するか否かを判定する。総額項目判定部132が定義親子関係定義情報に上記親子関係が定義されていると判定した場合には、ステップS114に進み、上記親子関係が定義されていないと判定した場合には、ステップS106に進む。
【0087】
定義親子関係定義情報に純額を示す項目を子とする総額純額間の親子関係であって、情報56に示される基準項目を親とする親子関係が定義されている場合、一例において、図8の[挿入前]に示すように、「受取手形及び売掛金」を基準科目として、「ユーザー科目」を追加するとき、計算親子関係定義情報(計算リンク)では、「受取手形及び売掛金(純額)」の子として「受取手形及び売掛金」および「貸倒引当金、受取手形及び売掛金」が存在している。すなわち、表示親子関係定義情報と、計算親子関係定義情報とでは、「受取手形及び売掛金(純額)」と「受取手形及び売掛金」との親子関係が逆転している。ここで、ユーザーの意図は、計算親子関係定義情報(計算リンク)では、「受取手形及び売掛金(純額)」の兄弟として「ユーザー科目」を追加することであると推定される。そこで、追加部118は、指定された上記基準項目を、計算親子関係定義情報(計算リンク)において検索し、その親を検索し、さらにその親を検索する(ステップS114)。そして、計算親子関係定義情報(計算リンク)において見出された項目(「流動資産」)を親とし、追加項目(「ユーザー科目」)を子とする親子関係を計算親子関係定義情報(計算リンク)に追加する(図8の[挿入後]参照。ステップS108)。
【0088】
すなわち、本発明者らが独自に見出した知見によれば、総額を示す項目では、表示親子関係定義情報と計算親子関係定義情報との間で兄弟関係が異なり、定義親子関係定義情報を用いることにより総額を示す項目か否かを判定し得、基準科目が総額項目であった場合に、追加すべき親子関係として適切なのは、総額を示す基準項目の親の親を親とし、追加項目を子とする親子関係であるため、事業報告形式定義情報編集装置100が、ステップS104およびS114の工程を実施することにより、より適切な親子関係を計算親子関係定義情報に追加することができる。以下、総額−純額を考慮した処理についてさらに詳しく説明する。
【0089】
定義親子関係定義情報において「総額−純額」の親子関係が定義される項目は、引当性資産(貸倒引当金により、回収不能見積額が減額される資産)および償却性資産(減価償却累計額、減損損失累計額により価値の減少分が減額される資産)がある。これらの会計上の意味は異なるが、表示上または計算上の親子関係は同様となるため、同一視することができる。
【0090】
そして、表示上の親子関係と計算上の親子関係との関係は、図11に示すように、(i)科目別控除パターン、(ii)一括控除パターン、および(iii)直接控除パターンの3種類に分類することができる。このうち、表示リンクと計算リンクとで「総額−純額」の親子関係が逆転するのは、(i)科目別控除パターンの場合である。
【0091】
ここで、(iii)直接控除パターンでは、定義親子関係定義情報に、「総額−純額」の親子関係が定義されないため問題ない。
【0092】
一方、(ii)一括控除パターンを考慮する場合、ステップS104において、総額項目判定部132が、情報56に示される基準項目を親とする総額純額間の親子関係を検出したとき、さらに、上記総額純額間の親子関係において子(すなわち、純額)となる項目が関係する親子関係を計算親子関係定義情報において検索して、存在したときには(i)科目別控除パターンであるので、ステップS114に進み、存在しなかったときには(ii)一括控除パターンであるので、ステップS106に進むようにすることが好ましい。
【0093】
上記の構成によれば、(ii)一括控除パターンの場合についても適切な親子関係を追加することができる。
【0094】
基準項目を用いるケースであって、基準項目が合計項目でも総額項目でも無い場合、一例において、表示親子関係定義情報(表示リンク)において追加項目(「ユーザー科目」)の兄弟となるべき基準項目として、「たな卸資産」が指定されている(図5の[挿入前]参照)。追加部118は、指定された上記基準項目を、計算親子関係定義情報(計算リンク)において検索し、さらにその親を検索する(ステップS106)。そして、計算親子関係定義情報(計算リンク)において見出された項目(「流動資産合計」)を親とし、追加項目(「ユーザー科目」)を子とする親子関係を計算親子関係定義情報(計算リンク)に追加する(図5の[挿入後]参照。ステップS108)。
【0095】
ステップS36では、第2の親子関係定義情報としての定義親子関係定義情報に対する追加を実施する。定義親子関係定義情報への追加は、ステップS34における計算親子関係定義情報への追加と同様に行うことができる。例えば、図9に示すように、指定された基準項目に基づいた追加を行ってもよいし、図10に示すように、指定された、第1の親子関係定義情報において追加項目の親となるべき項目に基づいた追加を行ってもよい。
【0096】
(その他の構成)
事業報告形式定義情報編集装置100は、追加指示情報50の他にも、様々な指示を受けて、事業報告形式定義情報を編集するものであってもよい。例えば、事業報告形式定義情報編集装置100の主制御部104が、事業報告形式定義情報記憶部116に記憶された親子関係定義情報から任意の親子関係を削除する削除部120を備えていてもよい。すなわち、親子関係定義情報および削除すべき親子関係を指定する削除指示情報を通信部102が受信すると、通信制御部110は、当該削除指示情報を編集制御部112に渡し、編集制御部112は、当該削除指示情報を削除部120に渡す。削除指示情報を受け取った削除部120は、当該削除指示情報に従い、当該削除指示情報に指定された親子関係定義情報から、当該削除指示情報に指定された削除すべき親子関係を削除する。
【0097】
なお、追加指示情報50と、削除指示情報とを組み合わせることによって、親子関係定義情報内で、親子関係を移動させることもできる。
【0098】
また、事業報告形式定義情報編集装置100の構造化文書処理部114は、追加部118または削除部120によって編集された親子関係定義情報または事業報告形式定義情報に基づいて構造化文書(例えば、XBRLタクソノミ)を生成してもよい。すなわち、構造化文書処理部114が、XBRLタクソノミから事業報告形式定義情報を生成し、追加部118等が、当該事業報告形式定義情報を編集し、構造化文書処理部114が、編集後の当該事業報告形式定義情報からXBRLタクソノミを生成することにより、XBRLタクソノミの編集を行うことができる。
【0099】
また、事業報告形式定義情報は、必要に応じて、第2の親子関係定義情報への追加機能を無効化し得るものであってもよい。これにより、全ての親子関係定義情報を個々に編集することが可能となる。
【0100】
また、以上では、一つの親子関係定義情報への親子関係の追加指示情報に基づいて、上記一つの親子関係定義情報とは異なる種類の親子関係定義情報(例えば、表示親子関係定義情報に対して、計算親子関係定義情報等)への上記親子関係に対応する親子関係の追加を行う構成(相互類似性の高い親子関係定義情報への挿入)について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、事業報告形式定義情報編集システム1は、ある年度の事業報告の形式を定義するための一つの親子関係定義情報への親子関係の追加指示情報に基づいて、上記事業報告とは、年度の異なる事業報告の形式を定義するための親子関係定義情報に、上記親子関係に対応する親子関係の追加を行ってもよい。
【0101】
すなわち、ある年度において会計基準の変更等が行われた場合、事業報告の形式を定義するための親子関係情報を、年度ごとに作成する必要がある(同種親子関係定義情報における年度ごとの役割分担の存在)。ここで、本発明に係る事業報告形式定義情報編集装置100の追加部118が、追加指示情報50に基づき、追加指示情報50の情報52に示される親子関係定義情報と同種(すなわち、表示親子関係定義情報同士、計算親子関係定義情報同士、または定義親子関係定義情報同士)の親子関係定義情報であって、情報52に示される親子関係定義情報とは異なる年度の事業報告の形式を定義するための親子関係定義情報に対して追加を行うようになっていれば、ある年度の事業報告の形式を定義するための一つの親子関係定義情報への親子関係の追加指示情報に基づいて、上記事業報告とは、年度の異なる事業報告の形式を定義するための親子関係定義情報に、上記親子関係に対応する親子関係の追加を行うことができるため、年度ごとの親子関係情報を容易に作成することができる。
【0102】
(プログラムおよび記録媒体)
事業報告形式定義情報編集装置100の主制御部104は、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0103】
すなわち、主制御部104は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するMPUなどのCPU、このプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。
【0104】
そして、本発明の目的は、主制御部104のプログラムメモリに固定的に担持されている場合に限らず、上記プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、または、ソースプログラム)を記録した記録媒体を事業報告形式定義情報編集装置100に供給し、事業報告形式定義情報編集装置100が上記記録媒体に記録されている上記プログラムコードを読み出して実行することによっても、達成可能である。
【0105】
上記記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0106】
また、主制御部104(または事業報告形式定義情報編集装置100)を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して主制御部104に供給する。この通信ネットワークは主制御部104にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。なお、通信ネットワーク2も同様である。
【0107】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、NFC、DLNA、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0108】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、種々の事業報告を作成するために用いる、事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を編集するために利用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 事業報告形式定義情報編集システム
10 端末
12 表示部(表示手段)
14 入力部(入力手段)
50 追加指示情報
100 事業報告形式定義情報編集装置
102 通信部
104 主制御部
114 構造化文書処理部
116 事業報告形式定義情報記憶部
118 追加部(追加手段)
130 合計項目判定部(合計項目判定手段)
132 総額項目判定部(総額項目判定手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を編集する技術に関するものであり、特に、事業報告に用いる勘定科目間の親子関係を定義する親子関係定義文書を複数含む事業報告形式定義情報を編集する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、事業報告を電子化するための技術として、XBRL(非特許文献1参照)が注目されている。XBRLは、財務情報の作成、流通、利用等を容易にするための技術であり、例えば、金融庁の提供するEDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)において、財務諸表を記載する形式として採用されている(非特許文献2参照)。
【0003】
XBRLとは、拡張可能な事業報告用の言語(eXtensible Bussiness Reporting Language)の略称であり、以下のような構造を有している。
【0004】
まず、XBRLでは、事業報告(例えば、財務諸表)の形式を定義するタクソノミと、タクソノミにより定義された形式に従ってデータが入力されたインスタンス文書が存在する。これらの文書は、XML形式によって記載される。
【0005】
タクソノミには、報告の語彙を定義する文書としてタクソノミスキーマが含まれている。タクソノミスキーマは、XMLスキーマ形式で記載されており、インスタンス文書を構成する要素の種類を、事業報告の語彙に含まれる項目(例えば、財務諸表における勘定科目)に対応するように規定する。
【0006】
タクソノミには、また、名称リンクベースおよび参照リンクベースが含まれる。名称リンクベースは、各項目の名称を定義するものであり、名称としては、例えば、標準ラベル、冗長ラベル、それらの各国語による表記等が含まれる。参照リンクベースは、各項目が基づく法律等を示すものである。
【0007】
タクソノミには、さらに、表示リンクベース、計算リンクベースおよび定義リンクベースが含まれる。これらは、それぞれ、上記各項目の表示上の親子関係、計算上の親子関係または概念上の親子関係を定義する文書である。表示上の親子関係とは、表をディスプレイ等に表示するとき、または紙上に印刷するときの階層構造を示す。表示リンクベースにはまた、そのような階層構造のほかに、表示または印刷する際の順番を規定するための各項目についての表示順序を示す情報が定義されている。計算上の親子関係とは、表を用いて計算する際の階層構造を示す。計算リンクベースはまた、そのような階層構造における計算上の重み付けを示す情報が定義されている。概念定義上の親子関係とは、各項目の概念定義上の階層構造である。
【0008】
このようなXBRLのタクソノミは、語彙を定義する文書と、語彙に含まれる項目についての付加的な情報および項目間の親子関係を定義する文書とが分離されているために、拡張、修正等が容易である。XBRLを利用した技術として、例えば、特許文献1から9がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−134864号公報(平成20年6月12日公開)
【特許文献2】特開2007−164591号公報(平成19年6月28日公開)
【特許文献3】特開2006−163876号公報(平成18年6月22日公開)
【特許文献4】特開2006−155136号公報(平成18年6月15日公開)
【特許文献5】特開2006−65382号公報(平成18年3月9日公開)
【特許文献6】特開2005−242855号公報(平成17年9月8日公開)
【特許文献7】特開2005−216000号公報(平成17年8月11日公開)
【特許文献8】特開2003−316765号公報(平成15年11月7日公開)
【特許文献9】特表2008−515061号公報(平成20年5月8日公開)
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】http://www.xbrl.org/Specification/XBRL-RECOMMENDATION-2003-12-31+Corrected-Errata-2008-07-02.htm(平成21年4月28日検索)
【非特許文献2】https://info.edinet-fsa.go.jp/E01EW/BLMainController.jsp(平成21年4月28日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のXBRLのような事業報告形式定義情報、すなわち、事業報告に用いられる項目間の親子関係を定義する親子関係定義情報を複数含む事業報告形式定義情報を編集する場合、新しい親子関係を追加するためには、複数の親子関係定義情報ごとに似たような操作を繰り返して行う必要があり、煩雑である。これは、特許文献1〜9に記載の技術においても同様である。そのため、上記のような事業報告形式定義情報の編集を容易にする技術が求められている。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複数の親子関係定義情報を含む事業報告形式定義情報の編集を容易にするための技術を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る事業報告形式定義情報編集装置は、上記課題を解決するために、事業報告に用いられる項目間の親子関係を定義する親子関係定義情報を複数含み、当該事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を編集する事業報告形式定義情報編集装置であって、第1の親子関係定義情報に対して追加すべき親子関係を指定する追加指示情報に基づき、第1の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係を追加するとともに、第1の親子関係定義情報とは異なる第2の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係に対応する親子関係を追加する追加手段を備えていることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、第1の親子関係定義情報に対する親子関係の追加指示に基づいて、他の親子関係定義情報に親子関係を追加するため、親子関係定義情報ごとに追加すべき親子関係を指定する必要がなく、複数の親子関係定義情報を含む事業報告形式定義情報を容易に編集することができる。
【0015】
なお、第1の親子関係定義情報と、第2の親子関係定義情報との差異は、それぞれが定義する親子関係の種類、それぞれが用いられる事業報告が属する年度等様々な場合がある。また、追加手段は、上記追加すべき親子関係に対応する親子関係を、追加指示情報に含まれる情報に応じた様々な方法によって導き出す。
【0016】
上記事業報告形式定義情報編集装置では、上記事業報告形式定義情報は、上記事業報告に用いられる項目間の表示上の親子関係を定義する表示親子関係定義情報、上記事業報告に用いられる項目間の計算上の親子関係を定義する計算親子関係定義情報、および上記事業報告に用いられる項目間の概念定義上の親子関係を定義する定義親子関係定義情報を含んでいることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、上記事業報告形式定義情報は、表示親子関係定義情報、計算親子関係定義情報、および定義親子関係定義情報を含んでいるので、XBRLのタクソノミのように、事業報告の形式を定義するために好適に用いることができる。よって、そのような事業報告形式定義情報を容易に編集する上記事業報告形式定義情報編集装置は有用である。
【0018】
上記事業報告形式定義情報編集装置では、上記追加指示情報は、基準項目および追加項目を指定する情報を含み、第1の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を上記追加すべき親子関係として指定するものであり、上記追加手段は、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、上記追加指示情報には、基準項目を指定する情報が含まれている。この基準項目は、上記追加すべき親子関係が追加される前の第1の親子関係定義情報において、上記追加すべき親子関係において親となる勘定項目の、子として定義されている項目であり、上記追加すべき親子関係が追加された後の第1の親子関係定義情報において、追加項目と兄弟関係(同じ親を有する項目)となるべきものである。そして、このような基準項目に基づいて第2の親子関係定義情報へ追加する親子関係を決めることにより、第1の親子関係定義情報と、第2の親子関係定義情報とにおいて定義される親子関係の差異を吸収して適切に第2の親子関係定義情報への親子関係の追加を行うことができる。これは、同じ事業報告に用いる項目の親子関係、特に、表示上の親子関係、計算上の親子関係、および概念定義上の親子関係においては、それぞれの親子関係が異なる場合であっても、兄弟関係は同一である場合が多いという本発明者らが独自に見出した知見に基づくものである。
【0020】
以上のように、上記構成では、第1の親子関係定義情報に追加すべき第1の親子関係を指定する追加指示情報において、単純に追加すべき親子関係の親と子とを指定するのではなく、あえて上記追加すべき親子関係が追加される前の第1の親子関係定義情報において上記追加すべき親子関係の親の子として定義されている項目を指定し、この項目に基づいて、第2の親子関係定義情報に追加すべき親子関係を導くことにより、適切な親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することができる。
【0021】
上記事業報告形式定義情報編集装置では、第1の親子関係定義情報は、上記表示親子関係定義情報であり、第2の親子関係定義情報は、上記計算親子関係定義情報であり、上記追加手段は、上記基準項目が、他の項目の合計を示す合計項目であるか否かを判定する合計項目判定手段を備え、上記合計項目判定手段が上記基準項目は合計項目でないと判定した場合に、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加し、上記合計項目判定手段が上記基準項目は合計項目であると判定した場合に、上記基準項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、上記基準項目が合計項目であるか否かを判定し、判定結果に応じた親子関係を第2の親子関係定義情報に追加するため、より適切な適切な親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することができる。上記の構成は、本発明者らが独自に見出した知見である、合計項目では表示親子関係定義情報と計算親子関係定義情報との間で兄弟関係が異なること、および、基準項目が合計項目であった場合に、追加すべき親子関係として適切なのは、基準項目を親とし、追加項目を子とする親子関係であることに基づくものである。
【0023】
上記事業報告形式定義情報編集装置では、第1の親子関係定義情報は、上記表示親子関係定義情報であり、第2の親子関係定義情報は、上記計算親子関係定義情報であり、上記追加手段は、上記定義親子関係定義情報に、総額を示す項目を親とし、純額を示す項目を子とする総額純額間の親子関係であって、上記基準項目が親となる総額純額間の親子関係が定義されているか否かを判定する総額項目判定手段を備え、上記総額項目判定手段が上記定義親子関係定義情報に上記総額純額間の親子関係が定義されていないと判定した場合に、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加し、上記総額項目判定手段が上記定義親子関係定義情報に上記総額純額間の親子関係が定義されていると判定した場合に、上記計算親子関係定義情報において上記基準項目の親の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、定義親子関係定義情報を用いて上記基準項目が総額を示しているか否かを判定して、その判定結果に応じた親子関係を第2の親子関係定義情報に追加するため、より適切な適切な親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することができる。上記の構成は、本発明者らが独自に見出した知見および独自の発想である、総額を示す項目では、表示親子関係定義情報と計算親子関係定義情報との間で兄弟関係が異なること、定義親子関係定義情報を用いることにより総額を示す項目か否かを判定し得ること、および、基準項目が総額を示す項目であった場合に追加すべき親子関係として適切なのは、総額を示す基準項目の親の親を親とし、追加項目を子とする親子関係であることに基づくものである。
【0025】
本発明に係る事業報告形式定義情報編集システムは、上記事業報告形式定義情報編集装置と、当該事業報告形式定義情報編集装置に対して上記追加指示情報を送信する端末とを備えていることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、ウェブ型のアプリケーションとして本発明に係る事業報告形式定義情報編集システムを構築することができる。なお、本発明は、ウェブ型のアプリケーションに限定されるものではなく、上記事業報告形式定義情報編集装置をスタンドアロンで用いる場合も包含するものである。
【0027】
上記事業報告形式定義情報編集システムでは、上記端末は、第1の親子関係定義情報によって定義された親子関係を表現する画像を表示する表示手段と、第1の親子関係定義情報に追加すべき親子関係の入力を受け付ける入力手段とを備えていることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、上記端末が、上記表示手段と上記入力手段とを備えているために、ユーザーはインタラクティブな様式で追加すべき親子関係を入力することができるので、ユーザーはさらに容易に追加指示を入力することができる。
【0029】
また、本発明に係る装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータに上記の各装置の機能を実現させるプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、一つの親子関係定義情報に対する親子関係の追加指示に基づいて、他の親子関係定義情報に親子関係を追加するため、親子関係定義情報ごとに追加すべき親子関係を指定する必要がなく、複数の親子関係定義情報を含む事業報告形式定義情報を容易に編集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る事業報告形式定義情報編集システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る事業報告形式定義情報編集システムの動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る第2の親子関係定義情報に追加すべき親子関係の生成工程の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る第2の親子関係定義情報に追加すべき親子関係の生成工程の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態における親子関係定義情報および追加すべき親子関係を説明する図である。
【図11】総額純額間の表示上および計算上の親子関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る第1の実施形態について、図1〜図10を参照して以下に説明する。
【0033】
(事業報告形式定義情報編集システム1の構成)
まず、本実施形態に係る事業報告形式定義情報編集システム1について、図1を参照にして以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る事業報告形式定義情報編集システム1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、事業報告形式定義情報編集システム1は、事業報告形式定義情報編集装置100および端末10を備えている。両者は、通信ネットワーク3を介して互い接続され、データおよび情報をやり取りする。
【0034】
(端末10)
端末10は、表示部(表示手段)12および入力部(入力手段)14を備えており、ユーザーとの間でのインタラクティブな応答を実施する。端末10はまた、通信部16および主制御部18を備えている。主制御部18は、表示制御部30、入力制御部32、および通信制御部34を備えている。各部材の詳細については後述する。
【0035】
(事業報告形式定義情報編集装置100)
事業報告形式定義情報編集装置100は、通信部102、および主制御部104を備えている。主制御部104は、通信制御部110、編集制御部112、構造化文書処理部114、事業報告形式定義情報記憶部116、追加部(追加手段)118および削除部120を備えている。追加部118は、合計項目判定部(合計項目判定手段)130、および総額項目判定部(総額項目判定手段)132を備えている。各部材の詳細については後述する。
【0036】
(事業報告形式定義情報編集システム1の概要)
事業報告形式定義情報編集システム1は、事業報告形式定義情報に含まれる第1の親子関係定義情報に追加すべき親子関係を示す入力を受け付け、追加指示情報50を生成し、事業報告形式定義情報編集装置100に送信する。事業報告形式定義情報編集装置100は、受信した追加指示情報50に基づき、第1の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係を追加するとともに、当該追加すべき親子関係に対応する、第2の親子関係定義情報に追加すべき親子関係を第2の親子関係定義情報に追加する。これにより、一つの親子関係定義情報に親子関係を追加する入力に基づいて、複数の親子関係定義情報に対して親子関係を追加することができる。
【0037】
なお、事業報告形式定義情報編集システム1は、このように、少なくとも、親子関係定義情報に親子関係を追加するものであればよく、事業報告形式定義情報の全体について編集するものでなくともよい。
【0038】
(事業報告形式定義情報編集処理の一例)
事業報告形式定義情報編集システム1における事業報告形式定義情報編集処理の一例について、図2を参照して以下に説明する。図2は、事業報告形式定義情報編集システム1の動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0039】
図2に示すように、事業報告形式定義情報編集装置100が起動すると、主制御部104の構造化文書処理部114が、予め構造化文書処理部114に入力されているか、事業報告形式定義情報記憶部116に予め記憶されている構造化文書を解析して、親子関係定義情報を生成し、事業報告形式定義情報記憶部116に記憶する(ステップS30)。
【0040】
(親子関係定義情報)
ここで、親子関係定義情報について詳細に説明する。本明細書において、親子関係定義情報とは、事業報告に用いられる項目(例えば、勘定科目)間の親子関係を定義する情報であって、事業報告形式定義情報に複数含まれるものである。なお、本明細書において「親子関係」とは、項目同士のリンクを示すものである。上記リンクは全体として木構造を構成する場合が多いため、便宜的に、木構造の根に向かう方向を「親」と呼ぶが、あくまでも便宜上の名称であり、他の名称であってもよい。また、各項目には自らを他の項目から識別するための識別子が関連付けられている。これにより、事業報告形式定義情報編集装置100は、上記識別子に基づいて、異なる親子関係定義情報間において、対応する項目を見出すことができる。さらに、各項目の名称に関する情報(名称、名前空間等)が関連付けられていてもよい。
【0041】
事業報告形式定義情報とは、事業報告の形式を定義する情報を指し、例えば、事業報告の雛形を提供するものである。本明細書において、事業報告とは、企業等の財務情報および企業等が行った経済活動に関する情報を記述するものを指し、例えば、財務諸表等の財務報告、残高情報、在庫情報ならびに仕入情報、注文情報、請求情報、出荷送品情報等の具体的な情報およびそれらに基づく仕訳情報等が挙げられる。財務諸表とは、企業等の財務状態および経営成績を開示する書類であり、例えば、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)、株主資本等変動計算書(S/S)が挙げられる。財務諸表には、副次的な情報(例えば、財務諸表注記等の定量または定性的な情報)が含まれてもよい。また、単一企業についての個別財務諸表であってもよいし、企業グループについての連結財務諸表であってもよい。なお、四半期決算、中間決算等における財務諸表も含まれる。
【0042】
以下では、編集対象の事業報告形式定義情報として、EDINETタクソノミ(非特許文献2)を参考のために用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、同様の会計基準(わが国における会計基準はもちろん、他国の会計基準も含む)に従う事業報告形式定義情報に対して、本発明に係る事業報告形式定義情報編集システムに好適に使用し得ることを容易に理解する。
【0043】
本実施形態において、親子関係定義情報は、図5〜10に示すような事業報告に用いられる項目をノードとする木構造データである。このようなデータが項目間の親子関係を定義することを当業者は容易に理解する。例えば、図5は、親子関係を追加する前(〔挿入前〕)の第1の親子関係定義情報(〔表示リンク〕)および第2の親子関係定義情報(〔計算リンク〕)、ならびに、親子関係を追加した後(〔挿入後〕)の第2の親子関係定義情報(〔計算リンク〕)の部分を示すものであるが、それぞれが木構造を有する情報であることは明らかであり、例えば、〔挿入後〕の〔計算リンク〕には、「流動資産合計」を親とし、「現金および預金」、「ユーザー科目」、および「たな卸資産」のそれぞれを子とする親子関係が定義されている。
【0044】
なお、親子関係定義情報は、木構造データに限定されず、項目間の親子関係を取得し得る形態のデータであればよい。例えば、上述したように、本実施形態に係る事業報告形式定義情報編集装置100では、構造化文書を解析して親子関係定義情報を含む事業報告形式定義情報を生成するが、この構造化文書をそのまま事業報告形式定義情報として用いてもよい。その場合は構造化文書処理部114は不要となる。例えば、XBRLのタクソノミのような事業報告の形式を定義する情報を表現した構造化文書であれば、容易に、項目間の親子関係を取得し得ることを当業者は容易に理解する。
【0045】
ここで、親子関係定義情報には、図5〜10に示すように、いくつかの種類が存在する。例えば、勘定科目間の表示上の親子関係を定義する表示親子関係定義情報(図5〜10に示す〔表示リンク〕)、勘定科目間の計算上の親子関係を定義する計算親子関係定義情報(図5〜10に示す〔計算リンク〕)、勘定科目間の概念定義上の親子関係を定義する定義親子関係定義情報(図5〜10に示す〔定義リンク〕)が挙げられる。
【0046】
表示親子関係定義情報は、事業報告のための表示順序、表示構成等を示す情報であり、事業報告の各項目を階層的に表示、または印刷するために用いられる。例えば、図5の〔挿入前〕の〔表示リンク〕に示すように、標題または上位概念の名前を示すタイトル項目(「流動資産、タイトル項目」)の下に、「現金及び預金」、「たな卸資産」、「流動資産合計」といった項目が並べられている。これは、「流動資産、タイトル項目」の内容として、「現金及び預金」、「たな卸資産」および「流動資産合計」を表示することを意図している。
【0047】
計算親子関係定義情報は、事業報告のための計算情報を定義するものであり、事業報告を元に計算される様々な数値の計算(資産等の総計や、各項目内の合計、その他の指標の計算等)のために用いられる。例えば、図5の〔挿入前〕の〔計算リンク〕に示すように、合計を示す項目(「流動資産合計」)の下に、「現金及び預金」、「たな卸資産」といった項目が並べられている。これは、「流動資産合計」を、「現金及び預金」と「たな卸資産」とから計算することを意図している。計算親子関係定義情報はまた、各項目を演算に用いる際の重み付け(例えば、親に対して加算する(+)か減算する(−)か)を示す情報をさらに含んでいてもよい。
【0048】
定義親子関係定義情報は、事業報告のための概念定義情報を定義するものであり、事業報告に用いられる項目間の概念上の関係を表現するために用いられる。例えば、図9の〔挿入前〕の〔定義リンク〕に示すように、上位概念を示す「資産の部、タイトル項目」の子として、中位概念を示す「流動資産、タイトル項目」が置かれ、さらにその子として、下位概念を示す「現金及び預金」ならびに「受取手形」が置かれている。
【0049】
これら、表示親子関係定義情報、計算親子関係定義情報および定義親子関係定義情報は、合わさって一つの事業報告の形式を定義することができる。
【0050】
上述したように、構造化文書処理部114は、構造化文書を解析して、親子関係定義情報を生成する。この構造化文書は、構造化文書処理部114に予め入力されているか、事業報告形式定義情報記憶部116に予め記憶されているものである。なお、本明細書において「構造化文書」とは、要素に分割可能な文書を指す。各要素は、タグ等を用いて文書からの分離が容易な方法で記述されていることが好ましい。そのような構造化文書としては、例えば、XMLを使用することができる。構造化文書は符号化されていてもよい。
【0051】
構造化文書処理部114が解析する構造化文書は、事業報告の形式を定義する情報を表現した構造化文書であればよいが、例えば、タクソノミスキーマおよび各種リンクベース(親子関係定義情報)を含むXBRLのタクソノミであり得る。構造化文書処理部114において構造化文書を解析して当該構造化文書が表現する情報を生成する手法は、当該構造化文書の規格(例えば、XML)に基づいて、周知慣用の情報処理技術を適用すればよい。
【0052】
次に、端末10が起動すると、端末10の表示制御部30は、端末10の通信制御部34を介して端末10の通信部16から事業報告形式定義情報編集装置100の通信部102へ、表示親子関係定義情報(表示リンク)を要求する信号を送信させる(ステップS20)。
【0053】
上記信号を通信部102において受け取った事業報告形式定義情報編集装置100の通信制御部110は、事業報告形式定義情報記憶部116から表示親子関係定義情報を読み出し、通信部102を介して端末10の通信部16へと表示親子関係定義情報を送信する(ステップS22)。このとき、表示親子関係定義情報を表示するために必要な情報(例えば、各項目の名称を表現する情報等)を併せて送ってもよい。
【0054】
表示親子関係定義情報を通信部16にて受信した端末10の通信制御部34は、表示制御部30へ表示親子関係定義情報を渡し、表示制御部30は、表示部12に表示親子関係定義情報によって定義される親子関係を表現する画像を表示させる(ステップS10)。上記親子関係を表現する画像は、例えば、図5〜8に示すような木構造を表示するツリービューとすることができる。
【0055】
次に、端末10の入力部14において、ユーザーの追加指示の入力を受け付ける(ステップS12)。入力部14は、例えば、以下のような操作を入力として検出する。
【0056】
まず、一つの局面において、新しい項目(「ユーザー科目」)を、「流動資産、タイトル項目」の子として、「現金及び預金」と「たな卸資産」との間に追加すべきことを指示する場合、表示部12が図5に示すようなツリービューを表示しているときに、ユーザーは追加すべき位置(「現金及び預金」と「たな卸資産」との間、図5中の点線で示す位置)を指定して「ユーザー科目」をこの位置に追加することを入力する(操作1)。また、他の実施形態において、追加すべき位置の代わりに、追加すべき位置の後の項目(基準項目)を指定してもよい。
【0057】
入力制御部32は、上記操作を入力部14によって受け付け、追加すべき追加項目として、「ユーザー科目」を検出するとともに、ユーザーが指定した位置を検出して、挿入すべき位置の直後に位置する項目である「たな卸資産」を基準項目として検出する。なお、上記基準項目は、上記追加項目と同じ項目を親とする兄弟関係にある項目となる。なお、一実施形態において、併せて、追加位置の親の項目(「流動資産、タイトル項目」)を検出してもよい。
【0058】
他の局面において、新しい項目(「ユーザー科目」)を、「現金及び預金」の子として挿入すべきことを指示する場合、表示部12が図7に示すようなツリービューを表示しているときに、ユーザーは上記新しい項目の親となるべき項目(「現金及び預金」、図7中下線を付した項目)を指定して「ユーザー科目」を子に追加することを入力する(操作2)。
【0059】
入力制御部32は、上記操作を入力部14によって受け付け、追加すべき追加項目として、「ユーザー科目」を検出するとともに、ユーザーが指定した項目を、当該追加項目の親となるべき項目として検出する。
【0060】
続いて、端末10の入力制御部32は、上記操作1または2を受けて検出した入力に基づいて、追加指示情報50を生成する。そして、入力制御部32は、通信制御部34を介して端末10の通信部16から事業報告形式定義情報編集装置100の通信部102へ、追加指示情報50を送信させる(ステップS24)。
【0061】
追加指示情報50は、例えば、図4に示すように、情報52、情報54および情報56からなる構造を有するデータである。情報52は、親子関係を追加すべき親子関係定義情報(本例では、表示親子関係定義情報)を示す。なお、一実施形態において、親子関係を追加すべき親子関係定義情報が固定されていれば、情報52は省略することができる。情報54は、上記追加項目を示す。情報56は、上記基準項目および上記追加項目の親となるべき項目の少なくとも何れかを示す。例えば、操作1による入力の場合には、上記基準項目が、操作2による入力の場合には、上記追加項目の親となるべき項目が示され得る。
【0062】
このような追加指示情報50を通信部102において受け取ると、事業報告形式定義情報編集装置100の通信制御部110は、編集制御部112に追加指示情報50を渡し、編集制御部112は、追加指示情報50をさらに追加部118へと渡す。
【0063】
追加部118は、追加指示情報50に基づいて、まず、事業報告形式定義情報記憶部116から、情報52に示される親子関係定義情報(本例では、表示親子関係定義情報(表示リンク))を読み出し、情報54に示される追加項目を当該親子関係定義情報の表現する木構造に追加し、追加後の上記親子関係定義情報を、事業報告形式定義情報記憶部116に記憶させる(ステップS32)。以下、本ステップを詳細に説明する。
【0064】
(A.情報56が基準項目を示す場合)
追加部118は、上記基準項目の親である項目を親とし、追加項目を子とする親子関係を情報52に示される親子関係定義情報に追加する。このとき、上記基準項目の親である項目は、上記追加項目の親となるべき項目として、追加指示情報50の情報56に含ませてもよい。
【0065】
また、親子関係定義情報に含まれる親子関係は、それぞれ子となる項目の兄弟間の順序を規定するための情報が関連付けられていてもよい。この場合には、追加する上記親子関係に、上記追加項目の順序が、上記基準要素の直前になるように、上記兄弟間の順序を規定するための情報を関連付けてもよい。これにより、ユーザーの意図した位置に、上記追加項目を追加することができる。
【0066】
(B.情報56が追加項目の親となるべき項目を示す場合)
追加部118は、上記追加項目の親となるべき項目を親とし、追加項目を子とする親子関係を情報52に示される親子関係定義情報に追加する。このとき、追加する上記親子関係に、上記追加項目の順序が、兄弟間において最後となるように上記兄弟間の順序を規定するための情報を関連付けてもよい。
【0067】
続いて、情報52に示される親子関係定義情報に追加すべき親子関係を示す追加指示情報50に基づいて、上記親子関係定義情報(本例では、表示親子関係定義情報(表示リンク))とは異なる他の親子関係定義情報(本例では、計算親子関係定義情報(計算リンク、ステップS34)および定義親子関係定義情報(定義リンク、ステップS36))にそれぞれ対応する親子関係を追加する。以下、ステップS34およびS36の詳細について説明する。なお、上記他の親子関係定義情報は、ステップS34では、計算親子関係定義情報であり、ステップS36では、計算親子関係定義情報である。
【0068】
(A.情報56が基準項目を示す場合)
情報56が基準項目を示す場合、追加部118は、まず、上記他の親子関係定義情報から、上記基準項目を検索し、さらにその親を検索する。そして、得られた項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を上記他の親子関係定義情報に対して追加する。
【0069】
ここで、本発明者らが独自に見出した知見によれば、同じ事業報告に用いる項目間の関係、特に、表示上の関係、計算上の関係、および概念定義上の関係においては、それぞれの親子関係が異なる場合であっても、兄弟関係は同一である場合が多い。よって、情報52に示される親子関係定義情報に追加すべき親子関係を指定するときに、単純に追加すべき親子関係の親と子とを指定するのではなく、あえて上記追加すべき親子関係が追加される前の上記親子関係定義情報において上記追加すべき親子関係の親の子として定義されている項目(基準項目)を指定し、この項目に基づいて、上記他の親子関係定義情報に追加すべき親子関係を導くことにより、適切な親子関係を上記他の親子関係定義情報に追加することができる。
【0070】
(B.情報56が追加項目の親となるべき項目を示す場合)
情報56が追加項目の親となるべき項目を示す場合、追加部118は、まず、上記他の親子関係定義情報から、情報52に示される親子関係定義情報において上記追加項目の親となるべき項目を検索し、得られた項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を上記他の親子関係定義情報に対して追加する。
【0071】
以上のように、追加部118は、追加指示情報50に示される項目さらにはその項目の親の項目を、上記他の親子関係定義情報において検索し、得られた項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を上記他の親子関係定義情報に対して追加する。これにより、事業報告形式定義情報編集装置100は、一つの指示に基づいて、複数の親子関係定義情報に対して親子関係を適切に追加することができる。
【0072】
最後に、通信制御部110が、ステップS32において親子関係が追加された表示親子関係定義情報(表示リンク)を、事業報告形式定義情報記憶部116から読み出して、通信部102を介して端末10の通信部16へと表示親子関係定義情報を送信する(ステップS26)。このとき、ステップS22と同様、表示親子関係定義情報を表示するために必要な情報(例えば、各項目の名称を表現する情報等)を併せて送ってもよい。
【0073】
以上のステップにより、本実施形態に係る事業報告形式定義情報編集システム1は、複数の親子関係定義情報に対して親子関係を適切に追加することができる。
【0074】
なお、上記例では、表示親子関係定義情報への追加指示情報に基づいて、他の親子関係定義情報に親子関係を追加する構成について記載しているが、本発明はこれに限定されず、計算親子関係定義情報または定義親子関係定義情報定義に基づいて、他の親子関係定義情報に親子関係を追加する構成も本発明の範疇である。本明細書に接した当業者であれば、上述した図2の説明において、表示親子関係定義情報(表示リンク)と、計算親子関係定義情報(計算リンク)または定義親子関係定義情報(定義リンク)とが交換可能であることを容易に理解する。
【0075】
すなわち、本発明に係る事業報告形式定義情報編集装置100を用いれば、一つの親子関係定義情報(第1の親子関係定義情報)に対して追加すべき親子関係を指定する追加指示情報に基づいて、他の親子関係定義情報(第2の親子関係定義情報)に、上記追加すべき親子関係に対応する親子関係を追加することができる。
【0076】
なお、後述するように、第1の親子関係定義情報と第2の親子関係定義情報との関係は、異なる種類の親子関係定義情報である場合の他にも、親子関係定義情報が属する事業報告形式定義情報の年度が異なる場合も本発明の範疇である。
【0077】
続いて、本発明のさらなる詳細について説明する。
【0078】
(表示親子関係定義情報への追加指示情報に基づく計算親子関係定義情報への追加)
まず、表示親子関係定義情報への追加指示情報に基づく計算親子関係定義情報への追加(ステップS34)の詳細について、図3、5〜8を参照して説明する。図3は、ステップS34の詳細な流れを説明するフローチャートである。
【0079】
まず、追加部118は、基準項目を用いるケースか否かを判定する(ステップS100)。ここで、基準項目を用いるケースとは、追加指示情報50の情報56が、基準項目を含む場合であり、基準項目を用いないケースとは、追加指示情報50の情報56が、基準項目を含まない場合であり、それぞれ、上記操作1および2に対応する。情報56が基準項目を含む場合、ステップS102へ進み、情報56が基準項目を含まない場合には、ステップS110へ進む。
【0080】
基準項目を用いないケースでは、追加項目(「ユーザー科目」)の親となるべき項目として、表示親子関係定義情報(表示リンク)の項目(「現金及び預金」)が指定されている(図7の[挿入前]参照)。追加部118は、指定された上記親となるべき項目を、計算親子関係定義情報(計算リンク)において検索し(ステップS110)、計算親子関係定義情報(計算リンク)において見出された項目(「現金及び預金」)を親とし、追加項目(「ユーザー科目」)を子とする親子関係を計算親子関係定義情報(計算リンク)に追加する(図7の[挿入後]参照。ステップS108)。
【0081】
ステップS102では、合計項目判定部130が、情報56に示される基準項目がいくつかの項目(勘定科目)の合計を示す合計項目であるか否かを判定する。基準項目が合計項目であるか否かは、基準項目に関連付けられた名称から判定する。例えば、上記事業報告形式定義情報に、各項目の名称をそれぞれの項目に関連付けて定義する構造化文書である名称定義文書が含まれていれば、合計項目判定部130は、事業報告形式定義文書記憶部116に記憶されている上記名称定義情報から、情報56に示される基準項目に関連付けられた名称を取得し、当該名称が合計を表現する合計ラベルであるか否かを判定することによって、基準項目が合計項目であるか否かを判定することができる。すなわち、合計項目判定部130は、各項目に関連付けられた名称を取得して、それが合計ラベルであるか否かを判定すればよい。
【0082】
なお、ある名称が合計ラベルであるか否かを判定する手法は、用いる事業報告形式定義情報によって適宜選択すればよいが、例えば、XBRLの場合、名称定義文書は、各名称について各々の名称の役割(例えば、標準、冗長、合計、期首、期末等)が定義されている。合計項目判定部130は、事業報告形式定義文書記憶部116に記憶されている上記名称定義情報から、ある名称について定義された役割が合計であるか否かを判定して、当該役割が合計である場合に、当該ある名称が合計ラベルであると判定すればよい。
【0083】
なお、合計項目判定部130に予め合計除外リストが入力されている構成であってもよい。この場合、合計項目判定部130は、上記基準項目が上記合計除外リストに含まれるか否かを判定し、上記基準項目が上記合計除外リストに含まれる場合、上記基準項目は合計項目ではないと判定する。そして、合計項目判定部130が上記基準項目は合計項目であると判定した場合には、ステップS112に進み、上記基準項目が合計項目でないと判定した場合には、ステップS104に進む。
【0084】
上記基準項目が合計項目である場合、一例において、表示親子関係定義情報(表示リンク)において追加項目(「ユーザー科目」)の兄弟となるべき基準項目として、「流動資産合計」が指定されている(図6の[挿入前]参照)。ここで、ユーザーの意図は、計算親子関係定義情報(計算リンク)では、「流動資産合計」の子として「ユーザー科目」を追加することであると推定される。そこで、追加部118は、指定された上記基準項目を、計算親子関係定義情報(計算リンク)において検索する(ステップS112)。そして、計算親子関係定義情報(計算リンク)において見出された項目(「流動資産合計」)を親とし、追加項目(「ユーザー科目」)を子とする親子関係を計算親子関係定義情報(計算リンク)に追加する(図6の[挿入後]参照。ステップS108)。
【0085】
すなわち、本発明者らが独自に見出した知見によれば、合計項目では表示親子関係定義情報と計算親子関係定義情報との間で兄弟関係が異なり、基準項目が合計項目であった場合に、追加すべき親子関係として適切なのは、基準項目を親とし、追加項目を子とする親子関係であるため、事業報告形式定義情報編集装置100が、ステップS102およびS112の工程を実施することにより、より適切な親子関係を計算親子関係定義情報に追加することができる。
【0086】
ステップS104では、総額項目判定部132が、定義親子関係定義情報(定義リンク)において、総額を示す項目を親とし、純額を示す項目を子とする総額純額間の親子関係であって、情報56に示される基準項目を親とする親子関係が定義されているか否かを判定する。例えば、図8の[挿入前]に示すように、「受取手形及び売掛金」を基準科目として、「ユーザー科目」を追加する場合、総額項目判定部132は、定義親子関係定義情報(定義リンク)を検索して、図8の[挿入前]の〔定義リンク〕に示されるような「受取手形及び売掛金」を親とする親子関係が存在するか否かを判定する。総額項目判定部132が定義親子関係定義情報に上記親子関係が定義されていると判定した場合には、ステップS114に進み、上記親子関係が定義されていないと判定した場合には、ステップS106に進む。
【0087】
定義親子関係定義情報に純額を示す項目を子とする総額純額間の親子関係であって、情報56に示される基準項目を親とする親子関係が定義されている場合、一例において、図8の[挿入前]に示すように、「受取手形及び売掛金」を基準科目として、「ユーザー科目」を追加するとき、計算親子関係定義情報(計算リンク)では、「受取手形及び売掛金(純額)」の子として「受取手形及び売掛金」および「貸倒引当金、受取手形及び売掛金」が存在している。すなわち、表示親子関係定義情報と、計算親子関係定義情報とでは、「受取手形及び売掛金(純額)」と「受取手形及び売掛金」との親子関係が逆転している。ここで、ユーザーの意図は、計算親子関係定義情報(計算リンク)では、「受取手形及び売掛金(純額)」の兄弟として「ユーザー科目」を追加することであると推定される。そこで、追加部118は、指定された上記基準項目を、計算親子関係定義情報(計算リンク)において検索し、その親を検索し、さらにその親を検索する(ステップS114)。そして、計算親子関係定義情報(計算リンク)において見出された項目(「流動資産」)を親とし、追加項目(「ユーザー科目」)を子とする親子関係を計算親子関係定義情報(計算リンク)に追加する(図8の[挿入後]参照。ステップS108)。
【0088】
すなわち、本発明者らが独自に見出した知見によれば、総額を示す項目では、表示親子関係定義情報と計算親子関係定義情報との間で兄弟関係が異なり、定義親子関係定義情報を用いることにより総額を示す項目か否かを判定し得、基準科目が総額項目であった場合に、追加すべき親子関係として適切なのは、総額を示す基準項目の親の親を親とし、追加項目を子とする親子関係であるため、事業報告形式定義情報編集装置100が、ステップS104およびS114の工程を実施することにより、より適切な親子関係を計算親子関係定義情報に追加することができる。以下、総額−純額を考慮した処理についてさらに詳しく説明する。
【0089】
定義親子関係定義情報において「総額−純額」の親子関係が定義される項目は、引当性資産(貸倒引当金により、回収不能見積額が減額される資産)および償却性資産(減価償却累計額、減損損失累計額により価値の減少分が減額される資産)がある。これらの会計上の意味は異なるが、表示上または計算上の親子関係は同様となるため、同一視することができる。
【0090】
そして、表示上の親子関係と計算上の親子関係との関係は、図11に示すように、(i)科目別控除パターン、(ii)一括控除パターン、および(iii)直接控除パターンの3種類に分類することができる。このうち、表示リンクと計算リンクとで「総額−純額」の親子関係が逆転するのは、(i)科目別控除パターンの場合である。
【0091】
ここで、(iii)直接控除パターンでは、定義親子関係定義情報に、「総額−純額」の親子関係が定義されないため問題ない。
【0092】
一方、(ii)一括控除パターンを考慮する場合、ステップS104において、総額項目判定部132が、情報56に示される基準項目を親とする総額純額間の親子関係を検出したとき、さらに、上記総額純額間の親子関係において子(すなわち、純額)となる項目が関係する親子関係を計算親子関係定義情報において検索して、存在したときには(i)科目別控除パターンであるので、ステップS114に進み、存在しなかったときには(ii)一括控除パターンであるので、ステップS106に進むようにすることが好ましい。
【0093】
上記の構成によれば、(ii)一括控除パターンの場合についても適切な親子関係を追加することができる。
【0094】
基準項目を用いるケースであって、基準項目が合計項目でも総額項目でも無い場合、一例において、表示親子関係定義情報(表示リンク)において追加項目(「ユーザー科目」)の兄弟となるべき基準項目として、「たな卸資産」が指定されている(図5の[挿入前]参照)。追加部118は、指定された上記基準項目を、計算親子関係定義情報(計算リンク)において検索し、さらにその親を検索する(ステップS106)。そして、計算親子関係定義情報(計算リンク)において見出された項目(「流動資産合計」)を親とし、追加項目(「ユーザー科目」)を子とする親子関係を計算親子関係定義情報(計算リンク)に追加する(図5の[挿入後]参照。ステップS108)。
【0095】
ステップS36では、第2の親子関係定義情報としての定義親子関係定義情報に対する追加を実施する。定義親子関係定義情報への追加は、ステップS34における計算親子関係定義情報への追加と同様に行うことができる。例えば、図9に示すように、指定された基準項目に基づいた追加を行ってもよいし、図10に示すように、指定された、第1の親子関係定義情報において追加項目の親となるべき項目に基づいた追加を行ってもよい。
【0096】
(その他の構成)
事業報告形式定義情報編集装置100は、追加指示情報50の他にも、様々な指示を受けて、事業報告形式定義情報を編集するものであってもよい。例えば、事業報告形式定義情報編集装置100の主制御部104が、事業報告形式定義情報記憶部116に記憶された親子関係定義情報から任意の親子関係を削除する削除部120を備えていてもよい。すなわち、親子関係定義情報および削除すべき親子関係を指定する削除指示情報を通信部102が受信すると、通信制御部110は、当該削除指示情報を編集制御部112に渡し、編集制御部112は、当該削除指示情報を削除部120に渡す。削除指示情報を受け取った削除部120は、当該削除指示情報に従い、当該削除指示情報に指定された親子関係定義情報から、当該削除指示情報に指定された削除すべき親子関係を削除する。
【0097】
なお、追加指示情報50と、削除指示情報とを組み合わせることによって、親子関係定義情報内で、親子関係を移動させることもできる。
【0098】
また、事業報告形式定義情報編集装置100の構造化文書処理部114は、追加部118または削除部120によって編集された親子関係定義情報または事業報告形式定義情報に基づいて構造化文書(例えば、XBRLタクソノミ)を生成してもよい。すなわち、構造化文書処理部114が、XBRLタクソノミから事業報告形式定義情報を生成し、追加部118等が、当該事業報告形式定義情報を編集し、構造化文書処理部114が、編集後の当該事業報告形式定義情報からXBRLタクソノミを生成することにより、XBRLタクソノミの編集を行うことができる。
【0099】
また、事業報告形式定義情報は、必要に応じて、第2の親子関係定義情報への追加機能を無効化し得るものであってもよい。これにより、全ての親子関係定義情報を個々に編集することが可能となる。
【0100】
また、以上では、一つの親子関係定義情報への親子関係の追加指示情報に基づいて、上記一つの親子関係定義情報とは異なる種類の親子関係定義情報(例えば、表示親子関係定義情報に対して、計算親子関係定義情報等)への上記親子関係に対応する親子関係の追加を行う構成(相互類似性の高い親子関係定義情報への挿入)について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、事業報告形式定義情報編集システム1は、ある年度の事業報告の形式を定義するための一つの親子関係定義情報への親子関係の追加指示情報に基づいて、上記事業報告とは、年度の異なる事業報告の形式を定義するための親子関係定義情報に、上記親子関係に対応する親子関係の追加を行ってもよい。
【0101】
すなわち、ある年度において会計基準の変更等が行われた場合、事業報告の形式を定義するための親子関係情報を、年度ごとに作成する必要がある(同種親子関係定義情報における年度ごとの役割分担の存在)。ここで、本発明に係る事業報告形式定義情報編集装置100の追加部118が、追加指示情報50に基づき、追加指示情報50の情報52に示される親子関係定義情報と同種(すなわち、表示親子関係定義情報同士、計算親子関係定義情報同士、または定義親子関係定義情報同士)の親子関係定義情報であって、情報52に示される親子関係定義情報とは異なる年度の事業報告の形式を定義するための親子関係定義情報に対して追加を行うようになっていれば、ある年度の事業報告の形式を定義するための一つの親子関係定義情報への親子関係の追加指示情報に基づいて、上記事業報告とは、年度の異なる事業報告の形式を定義するための親子関係定義情報に、上記親子関係に対応する親子関係の追加を行うことができるため、年度ごとの親子関係情報を容易に作成することができる。
【0102】
(プログラムおよび記録媒体)
事業報告形式定義情報編集装置100の主制御部104は、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0103】
すなわち、主制御部104は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するMPUなどのCPU、このプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。
【0104】
そして、本発明の目的は、主制御部104のプログラムメモリに固定的に担持されている場合に限らず、上記プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、または、ソースプログラム)を記録した記録媒体を事業報告形式定義情報編集装置100に供給し、事業報告形式定義情報編集装置100が上記記録媒体に記録されている上記プログラムコードを読み出して実行することによっても、達成可能である。
【0105】
上記記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0106】
また、主制御部104(または事業報告形式定義情報編集装置100)を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して主制御部104に供給する。この通信ネットワークは主制御部104にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。なお、通信ネットワーク2も同様である。
【0107】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、NFC、DLNA、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0108】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、種々の事業報告を作成するために用いる、事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を編集するために利用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 事業報告形式定義情報編集システム
10 端末
12 表示部(表示手段)
14 入力部(入力手段)
50 追加指示情報
100 事業報告形式定義情報編集装置
102 通信部
104 主制御部
114 構造化文書処理部
116 事業報告形式定義情報記憶部
118 追加部(追加手段)
130 合計項目判定部(合計項目判定手段)
132 総額項目判定部(総額項目判定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業報告に用いられる項目間の親子関係を定義する親子関係定義情報を複数含み、当該事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を編集する事業報告形式定義情報編集装置であって、
第1の親子関係定義情報に対して追加すべき親子関係を指定する追加指示情報に基づき、第1の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係を追加するとともに、第1の親子関係定義情報とは異なる第2の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係に対応する親子関係を追加する追加手段を備えていることを特徴とする事業報告形式定義情報編集装置。
【請求項2】
上記事業報告形式定義情報は、上記事業報告に用いられる項目間の表示上の親子関係を定義する表示親子関係定義情報、上記事業報告に用いられる項目間の計算上の親子関係を定義する計算親子関係定義情報、および上記事業報告に用いられる項目間の概念定義上の親子関係を定義する定義親子関係定義情報を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の事業報告形式定義情報編集装置。
【請求項3】
上記追加指示情報は、基準項目および追加項目を指定する情報を含み、第1の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を上記追加すべき親子関係として指定するものであり、
上記追加手段は、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することを特徴とする請求項2に記載の事業報告形式定義情報編集装置。
【請求項4】
第1の親子関係定義情報は、上記表示親子関係定義情報であり、
第2の親子関係定義情報は、上記計算親子関係定義情報であり、
上記追加手段は、
上記基準項目が、他の項目の合計を示す合計項目であるか否かを判定する合計項目判定手段を備え、
上記合計項目判定手段が上記基準項目は合計項目でないと判定した場合に、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加し、
上記合計項目判定手段が上記基準項目は合計項目であると判定した場合に、上記基準項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することを特徴とする請求項3に記載の事業報告形式定義情報編集装置。
【請求項5】
第1の親子関係定義情報は、上記表示親子関係定義情報であり、
第2の親子関係定義情報は、上記計算親子関係定義情報であり、
上記追加手段は、
上記定義親子関係定義情報に、総額を示す項目を親とし、純額を示す項目を子とする総額純額間の親子関係であって、上記基準項目が親となる総額純額間の親子関係が定義されているか否かを判定する総額項目判定手段を備え、
上記総額項目判定手段が上記定義親子関係定義情報に上記総額純額間の親子関係が定義されていないと判定した場合に、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加し、
上記総額項目判定手段が上記定義親子関係定義情報に上記総額純額間の親子関係が定義されていると判定した場合に、上記計算親子関係定義情報において上記基準項目の親の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することを特徴とする請求項3または4に記載の事業報告形式定義情報編集装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の事業報告形式定義情報編集装置と、当該事業報告形式定義情報編集装置に対して上記追加指示情報を送信する端末とを備えていることを特徴とする事業報告形式定義情報編集システム。
【請求項7】
上記端末は、
第1の親子関係定義情報によって定義された親子関係を表現する画像を表示する表示手段と、
第1の親子関係定義情報に追加すべき親子関係の入力を受け付ける入力手段とを備えていることを特徴とする請求項6に記載の事業報告形式定義情報編集システム。
【請求項8】
コンピュータを請求項1から5の何れか一項に記載の事業報告形式定義情報編集装置として動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記事業報告形式定義情報編集装置が備えている各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
事業報告に用いられる項目間の親子関係を定義する親子関係定義情報を複数含み、当該事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を編集する事業報告形式定義情報編集装置であって、
第1の親子関係定義情報に対して追加すべき親子関係を指定する追加指示情報に基づき、第1の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係を追加するとともに、第1の親子関係定義情報とは異なる第2の親子関係定義情報に上記追加すべき親子関係に対応する親子関係を追加する追加手段を備えていることを特徴とする事業報告形式定義情報編集装置。
【請求項2】
上記事業報告形式定義情報は、上記事業報告に用いられる項目間の表示上の親子関係を定義する表示親子関係定義情報、上記事業報告に用いられる項目間の計算上の親子関係を定義する計算親子関係定義情報、および上記事業報告に用いられる項目間の概念定義上の親子関係を定義する定義親子関係定義情報を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の事業報告形式定義情報編集装置。
【請求項3】
上記追加指示情報は、基準項目および追加項目を指定する情報を含み、第1の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を上記追加すべき親子関係として指定するものであり、
上記追加手段は、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することを特徴とする請求項2に記載の事業報告形式定義情報編集装置。
【請求項4】
第1の親子関係定義情報は、上記表示親子関係定義情報であり、
第2の親子関係定義情報は、上記計算親子関係定義情報であり、
上記追加手段は、
上記基準項目が、他の項目の合計を示す合計項目であるか否かを判定する合計項目判定手段を備え、
上記合計項目判定手段が上記基準項目は合計項目でないと判定した場合に、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加し、
上記合計項目判定手段が上記基準項目は合計項目であると判定した場合に、上記基準項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することを特徴とする請求項3に記載の事業報告形式定義情報編集装置。
【請求項5】
第1の親子関係定義情報は、上記表示親子関係定義情報であり、
第2の親子関係定義情報は、上記計算親子関係定義情報であり、
上記追加手段は、
上記定義親子関係定義情報に、総額を示す項目を親とし、純額を示す項目を子とする総額純額間の親子関係であって、上記基準項目が親となる総額純額間の親子関係が定義されているか否かを判定する総額項目判定手段を備え、
上記総額項目判定手段が上記定義親子関係定義情報に上記総額純額間の親子関係が定義されていないと判定した場合に、第2の親子関係定義情報において上記基準項目の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加し、
上記総額項目判定手段が上記定義親子関係定義情報に上記総額純額間の親子関係が定義されていると判定した場合に、上記計算親子関係定義情報において上記基準項目の親の親として定義されている項目を親とし、上記追加項目を子とする親子関係を第2の親子関係定義情報に追加することを特徴とする請求項3または4に記載の事業報告形式定義情報編集装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の事業報告形式定義情報編集装置と、当該事業報告形式定義情報編集装置に対して上記追加指示情報を送信する端末とを備えていることを特徴とする事業報告形式定義情報編集システム。
【請求項7】
上記端末は、
第1の親子関係定義情報によって定義された親子関係を表現する画像を表示する表示手段と、
第1の親子関係定義情報に追加すべき親子関係の入力を受け付ける入力手段とを備えていることを特徴とする請求項6に記載の事業報告形式定義情報編集システム。
【請求項8】
コンピュータを請求項1から5の何れか一項に記載の事業報告形式定義情報編集装置として動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記事業報告形式定義情報編集装置が備えている各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−39772(P2011−39772A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186533(P2009−186533)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(597095599)株式会社プロネクサス (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(597095599)株式会社プロネクサス (8)
【Fターム(参考)】
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