説明

二つの親和性反応物を用いて、少なくとも二価のアナライトを検出する方法

a) アナライトを含有していると疑われる液体試料1の中に存在する、および
b) 少なくとも二つの結合構造BSに同時に親和性結合する点で少なくとも二価であるアナライトの決定方法。方法は、アナライトおよび固相に固定化される親和性反応物1を含む、親和性複合体の生成を含む。方法は、(i)親和性反応物1が固定化される固相を含有している反応キャビティを含む微小流体流路を提供する、(ii)キャビティの上流で試料1を提供して、それを流動条件下に親和性複合体の形成のためにキャビティを通って流す、(iii)a)工程(ii)の後で複合体の中に結合構造BSを含む、分析的に検出可能でかつ可溶性の親和性反応物2を組み込む、およびb)組み込まれた親和性反応物2の量を測定する、ことによって固相の中で形成した複合体の量を測定する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明の第一の態様は、アナライトを含有していると疑われる液体試料1の中のアナライトを測定するための方法に関する。方法は、アナライトと、固相に固定化される親和性反応物1を含む、固定化親和性複合体の形成を含む。親和性反応物1は、アナライトに親和性結合可能な結合構造BSを露出する。BSは、アナライト上のBS結合部位に親和性結合する複合体の中にある。複合体の形成のための条件は、試料1中のアナライトの量に関連する量で複合体が形成されるように選択される。複合体は、アナライトに親和性結合をすることにより親和性複合体の中に組み込まれる、分析的に検出可能な親和性反応物2の使用により測定される。
【0002】
アナライトは、それが少なくとも二つの同等なエピトープに同時に結合をする能力があるという意味で少なくとも二価の抗体と同等である。本発明の免疫アッセイについては、かくしてアナライトは、それぞれの抗原結合部位が親和性反応物1の一部であるBS(=抗原(Ag))に結合し得る、少なくとも二価の抗−BS抗体(Ab)である。かくして、用語“アナライト”は好ましくは、天然のおよび組換えの抗体全長、天然の抗体の少なくとも二価の抗原に結合する能力を模倣する、種々の種類の遺伝子工学的に作られた形態を含む、組換えのおよび天然の(Fab)フラグメントおよびそれらの二価の抗原を結合フラグメントを含んでいるが、該用語はまた、本発明にしたがう親和性アッセイにより特性決定されるべきである、他の少なくとも二価の生体有機親和性反応物を含む。本発明でアナライトとして対象となり得る非抗体アナライトの例は、ストレプトアビジン、微生物に由来しているIgG結合タンパク質(タンパク質A、G等)、ヒトフィブロネクチン等である。
【0003】
試料1は、典型的に、試料1と同一である元の試料に由来してもよく、また元のアナライトを含有している元の試料を、試料1の中のアナライトの量が元の試料の中の元のアナライトの量に関連するように加工することにより得てもよい。
【0004】
微小流体装置の中のマイクロチャネル構造、親和性反応物もしくはアナライト等のような、特定の項目の複数形は、三つもしくはそれ以上、四つもしくはそれ以上、五つもしくはそれ以上等のように、二つもしくはそれ以上の項目があることを意味する。さらに下を参照されたい。
用語“親和性反応物”および“親和性カウンターパート”は、これらの反応物が要求される特異性を有することを意図する。
本明細書中で引用される全ての特許文献および査定された特許は、出典明示によりその全体を本明細書の一部とする。これは、米国特許および特許出願ならびに米国を指定している国際特許出願に特に適用される。
【背景技術】
【0005】
背景技術および本発明の目的
上に規定される種類のアッセイは、科学文献および特許文献の中で周知である。普通に使用される検出可能な親和性反応物2は、抗体アナライトのクラス−、サブクラス−、もしくは種−特異的な決定因子に、そして少数の場合には抗原結合部位に、結合し得る。一般的な記述では、この種類のアッセイを、微小流体系のような流体系の中で使用することが示唆された。例えば、WO 02075312、WO 03018198、WO 04083108、WO 04083109(全てGyros ABの)を参照されたい。
【0006】
US 6,653,066(Krutzik)は、生物学的試料の中の抗−HIV抗体を検出するための試料吸収材パッドに基づく試験細片を記述している。可溶性の標識HIV抗原を上流区域の中に配置して、HIV抗原を下流区域の中に固定化する。抗−HIV抗体を含有していると疑われる試料を二つの区域を通して通過し、その後で下流区域に結合された標識HIV抗原を検出する。殆ど任意の抗体特異性、親和性、および濃度の抗体アナライトに容易に適応され得る固相をいかに達成するか、または総スペクトルの親和性を含有している混合物の中で親和性が高いもしくは親和性が低い抗体副集団をいかに選択的に検出するかについては何も議論はない。
またDerwent 1989−303835(大日本製薬)を参照されたい。
【0007】
親和性アッセイにおいて望ましい検出限界、精度(変動係数、CV)、動的範囲、信号対雑音比、回収率、診断的特異性および感度等に到達するにはしばしば問題がある。それ故に、一つ、二つもしくはそれ以上のこれらの特性に関して許容され得るレベル、例えば、a) ≦10−6Mの、例えば≦10−9Mもしくは≦10−12Mもしくは≦10−13Mもしくは≦10−14Mもしくは≦10−15Mもしくは≦10−16Mの検出限界、b) 三、四、五、六以上もしくはそれ以上の桁の大きさである動的範囲、c) ±20%内の、例えば±10%内もしくは±5%内もしくは±3%内の精度(CV)、d) ≧70%の、例えば≧80%もしくは≧90%もしくは≧95%またはおよそ100%もしくはそれ以上の回収率、を得ることを容易にするフォーマットにおいて上で定義した種類のアッセイを提供することは、一般的な要求およびゴールである。この要求は、nl−範囲を含むμL−範囲を下限とする試料容積、例えば、<20μL、例えば<5,000nLもしくは<1,000nLもしくは<500nLが使用される微小流体アッセイについて、より顕著である。試料としては、アナライト試料および試薬試料ならびに希釈剤もしくは洗液として使用される試料が含まれる。
【0008】
例えば、1:10および1の間のように、1:100および1の間の希釈係数を持つ、無希釈のもしくは低希釈の試料について種々の臨床アッセイを行うことがしばしば望まれる。この一般的な要望は、本発明の親和性アッセイ法に対するゴールとして適用可能である。
【0009】
外因性の抗原への感染もしくは暴露においてならびにワクチン化のためにまたはアッセイ、捕捉、薬物等において反応物として使用されるべき抗体を作成するために免疫応答を積極的に誘発する試みにおいて、体液性免疫応答が喚起されて、相当の期間に亘り発達される。外因性の生物に対する予防のための一人前の免疫応答は、数ヶ月を取って、宿主、典型的には、哺乳動物、鳥類等のような脊椎動物、の中に発達し得る。免疫アッセイで反応物としておよび/または固定化かもしくは固定化可能の捕捉反応物として使用されるべき抗体は、他の品質基準を課す。相当する免疫応答は、抗体の特別な使用に依存してある特定の期間において中断される必要があり得る。経時的に免疫応答において生じる抗体の多様性が、免疫グロブリン(Ig)のクラス/サブクラスの間でシフトし得るが、また分子レベル、即ち、エピトープの特異性および親和性、即ち結合力、の観点から免疫応答をより正確にするプロセスの上で発展させ得る。後者のプロセスは、“親和性成熟”と呼ばれる。体液性免疫応答は、それが異なる抗体を生成する細胞から由来していて、エピトープの特異性、Igのクラス/サブクラス、親和性等に関して異なっている、抗体のスペクトルを含む意味で、ポリクローナルである。
【0010】
現在、親和性が低いおよび/もしくは高い抗体の含量にしたがって体液性免疫応答を積極的にかつ効果的に区別することができる分析系は存在しない。アッセイ条件は、時には、高親和性抗体が優先的に選択される条件であってもよいが、大抵の場合には、大きい試料容積、長い拡散距離および長いインキュベーション時間が親和性にしたがう反応性抗体の選択を妨げるであろう。抗体アッセイは、意図される使用のために、例えば、生物学的マーカー(即ち、疾患、感染等のための診断マーカー)として、免疫アッセイでの反応物として、固定化もしくは固定化可能の捕捉反応物として等、限定された意義の抗体をしばしば測定する。診断的な抗原特異的抗体アッセイでは、臨床的にあまり重要でない抗体が、アッセイ結果の中に“含まれ”得て、臨床的に重要な抗体を曖昧にして、診断の正確さに負の影響を与える。抗体の存在をアッセイするのに専用の大抵のアッセイは、負の応答を弱い正のものから区別するのに困難を有する。
【発明の開示】
【0011】
本発明の一つのゴールは、親和性が高い抗−BS抗体副集団の、親和性が低い抗−BS抗体副集団からの識別を容易にしているフォーマットで上述の抗体アッセイを提供することであり、ここで、両方の種類の副集団が、固定化親和性反応物1のBSに対して指向している。ポリクローナルのおよび個別のモノクローナル抗−BS抗体の混合物であるモノクローナル抗−BS抗体アナライトについては、用語“高い”および“低い”は主として、二つの副集団が、抗−BS抗体アナライトにより定義される親和性範囲の、それぞれ、最高の部分および最低の部分にある親和性の抗−BS抗体を含有しなければならないことを意味する。単一のモノクローナル抗−BS抗体を含むモノクローナル抗−BS抗体アナライトについては、用語は、それぞれ(同一の条件)、より高い程度にもしくは更に低い程度に結合することを示し、そこでは“より低い程度に”は、全く検出不可能な結合を含む。この文脈における親和性とは、親和性定数、即ち、KBS−Ab=[BS−Ab]/[BS][Ab]を指す。親和性が高い抗体については、定数は、典型的に≧10L/モルであり、例えば≧10L/モルもしくは≧1010L/モルもしくは≧1012L/モルである。親和性が低い抗体については、定数は、≦10L/モルもしくは≦10L/モルもしくは≦10L/モルのように、典型的に≦10L/モルである。これらの親和性定数とは、Biacore (Uppsala, Sweden)からの生体センサー(表面プラスモン共鳴)により、即ち、デキストランで被膜した金の表面に固定化した抗原で、得られる値を指す。
類似のゴールおよび定義が、無抗体アナライトにまた適用可能である。
【0012】
図面
図1.実験の部で用いられる微小流体装置の断面。断面は、マイクロチャネル構造のサブセットを含む。
図2a−b.CDアッセイ間およびCDアッセイ内の測定範囲。図2a:ウサギα−PPVを同じ日に三回操作した。測定範囲は、4桁以上で、CD間およびCD内の両方で、良好な再現性を示している。x軸上の100の濃度は、125の希釈係数に相当する。図2b:1.96〜6.08の範囲にあるCVのプロット化。
図3a−b.再現性。図3a:プールされて逐次的に希釈された五匹のマウスからの四つの標準曲線。操作を同一の機器の上で四日繰り返した。お互いのトップに標準曲線を置くことにより良好な再現性を立証することができた。x軸上の100の濃度は、125の希釈係数に相当する。図3b:CVは、3.74〜6.15の範囲であり、変動は小さい。
図4a−c.アナライトとして三つの異なる抗−hIgGモノクローナルについての標準曲線および固相の上の捕捉抗原(親和性反応物1)としてのhIgGの種々の量/密度。検出抗原は、フルオロフォアで標識したhIgG(親和性反応物2)である。
【0013】
本発明
本発明者らは、a) 試料1が、抗−BS抗体アナライトの少なくとも一つの抗原結合部位が塞がれないままであるような条件下で固相を含有している反応キャビティを通って通過している間に、親和性反応物1と、抗体アナライトの間の固定化親和性複合体の形成が形成される、およびb) 抗−BS抗体アナライトの抗原結合部位に結合し得る結合構造BS(抗原)を含む親和性反応物2を利用することにより、複合体の測定を行う、場合に、上述のゴールを少なくとも部分的に満たすことができることを見出した。
この態様にしたがう方法は、その最も一般的な態様において、
i) 親和性反応物1が固定化された固相を含有する反応キャビティを含んでいる流路を提供して、それによりアナライトへの親和性結合のためにBSを露出する、
ii) 反応キャビティの上流の位置で試料1を提供し、そして固定化親和性複合体の形成のために反応キャビティを通って、流動条件下で、そしてアナライトのBS結合部位の一つが塞がれないままである形態で、好ましくは、固相の上流部分で顕著な量の複合体形成が起こり、かつ固相の下流部分で微々たる量の複合体形成しか起こらないで、試料1を流している、
iii) アナライトの上のBSを結合構造に結合し得る結合構造BSを含む、分析的に検出可能かつ可溶性の親和性反応物2の使用により固相の中で組み立てられる複合体を測定する、ならびに
iv) それから試料1が由来する元の試料の中のアナライトの量に工程(iii)で見出された測定値を任意に関連付ける:
工程を含むことを特徴とする。
【0014】
親和性反応物1および親和性反応物2の結合構造BSは、二つの反応物の両方がアナライトの上のBS結合部位に、例えば、抗体アナライトの抗原結合部位に、結合する能力があるかぎり、同一であっても異なっていてもよい。この文脈において、溶解性は懸濁性を含む。
【0015】
工程(i):反応キャビティ(104a−h)、固定化結合構造BS、および固相物質を含んでいる流路
流路は、好ましくは、微小流体装置の中に存在する種類、即ち、基板中に作られ、その中で行われる構造中で行われるべきアッセイプロトコルの工程を可能にする、マイクロ導管の系により定義されるマイクロチャネル構造を持っている。典型的な微小流体装置は、例えば、Gyros AB/Amersham Biosciences(WO 99055827、WO 99058245、WO 02074438、WO 02075312、WO 03018198(US 20030044322)等); Tecan/Gamera Bioscience (WO 01087487、WO 01087486、WO 00079285、WO 00078455、WO 00069560、WO 98007019、WO 98053311);Amic AB(WO 03024597、WO 04104585、WO 03101424等)等により記述されている。あまり好ましい態様ではないが、流路は、反応キャビティ、混合キャビティ、バルブ機能等のような種々の機能性ユニットを繋いでいる管の形態であってもよい。なお他の態様では、流路は、液体輸送が毛管力等により起こり得る、或る種類の吸湿性物質/多孔性物質により構成される。後者の態様は、種々の種類の従来の試験細片を含む。
【0016】
流路は、典型的に微小フォーマットである、即ち、マイクロチャネル構造/微小流体装置について下記のサイズの寸法を有するおよび/もしくはその液体容積を取り扱う能力がある。
反応キャビティは、微小フォーマットの中で好ましい態様にある。
【0017】
反応キャビティ(104a−h)は、結合構造BSを保持している固相が存在する、流路(101a−h)の一部として定義される。かくして、反応キャビティのおよびBS−固相の上流/入口末端は合致する。同様な様式で、下流/入口末端は合致する。反応マイクロキャビティは、他の固相が、BSが存在する固相の上流もしくは下流に置かれた、更に大きいチャンバーの部分であり得る。この他の固相は、BSがない点で、および/もしくは固相物質の種類に関して、BS−固相と異なり得る。BSがないこれらの他の固相のそれぞれは、一つもしくはそれ以上の他の結合構造、例えば、他のアナライト(An''、An'''等)に結合する能力があって、かくしてチャンバーの中で他の反応キャビティおよび親和性反応物(ARl''、ARl'''等)を定義するBS''、BS'''等、を含有し得る。同一の固相/反応マイクロキャビティは、数多くの異なる固定化結合構造(BSs)をまた含有し得る。固定化BSもしくは異なるBSsの組合せに関してお互いに異なる固相は、BSがない固相、即ち、ダミー固相、により物理的に分離され得る。
【0018】
反応キャビティ(104a−h)は、典型的に、微小フォーマットにおいて、即ち、≦1000μmである、例えば≦500μmもしくは≦200μmである、少なくとも一つの断面の大きさ(深さおよび/もしくは幅)を有して、次いで、マイクロキャビティと呼ばれる。最小の断面の大きさは、典型的に、≧5μm、例えば≧25μmもしくは≧50μmである。反応キャビティの総容積は、典型的にnL−範囲で、例えば≦5,000nL、例えば≦1,000nLもしくは≦500nLもしくは≦100nLもしくは≦50nLもしくは≦25nLである。
【0019】
反応キャビティは典型的には、1〜100,000μmの範囲内、例えば≧10μmもしくは≧50μmもしくは≧100μmもしくは≧400μm、および/または≦50,000μmもしくは≦10,000μmもしくは≦5,000μmもしくは≦2500μmもしくは≦1,000μmである長さを有する。
【0020】
固相は、多孔性床、即ち、多孔性のモノリス床または多孔性もしくは非多孔性であり得る充填された粒子の床、の形態であり得る。これに代えて、固相は、反応キャビティの内部壁であり得る。モノリス床は、多孔性の膜もしくは多孔性のプラグの形態であり得る。
用語“多孔性の粒子”は、WO 02075312(Gyros AB)の中と同一の意味を有する。
【0021】
適当な粒子は、球形もしくは回転楕円形(ビーズ状)、または非球形である。粒子のための適切な平均直径は、典型的に1〜100μmの範囲で見出され、好ましくは≧5μm、例えば≧10μmもしくは≧15μmおよび/もしくは≦50μmの平均直径である。また、更に小さい粒子、例えば、0.1μm以下の平均直径を持つ粒子を使用することができる。直径とは、“流体力学的”直径を指す。使用されるべき粒子は、WO 02075312(Gyros AB)と同一の意味で、単分散(モノサイズ)であっても多分散(ポリサイズ)であってもよい。
【0022】
固相の基礎物質は、無機および/もしくは有機物質から作られ得る。典型的な無機物質はガラスを含む。典型的な有機物質は有機高分子を含む。高分子物質は、ガラスおよびシリコンゴムのような無機高分子、ならびに合成のもしくは生物学的な起源(生体高分子)の有機高分子を含む。用語“生体高分子”は、天然の生体高分子に由来する高分子のバックボーンがある半合成高分子を含む。適切な合成有機高分子は、典型的に架橋されていて、重合可能な炭素−炭素二重結合を含んでいるモノマーの重合によりしばしば得られている。適当なモノマーの例は、アクリル酸ヒドロキシアルキル、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアクリル酸2−ヒドロキシアルキル、ならびに相当するメタクリル酸エステル、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、ビニルおよびスチリルエーテル、アルケン置換ポリヒドロキシ高分子、スチレン等である。典型的な生体高分子は大抵の場合には、炭水化物構造、例えばアガロース、デキストラン、でん粉等を示す。
【0023】
多孔性床の文脈における用語“親水性”は、床の一つの末端が過剰の水と接触するときに(吸収)、床全体にわたって毛管力により水が広がるのに十分な細孔の表面の濡れ可能性を意味する。この表現はまた、工程(ii)の間に水性の液体媒体と接触する床の内部表面は、それぞれが、例えば、酸素および窒素の中で選択されるヘテロ原子を有する、複数の極性の官能基を露出すべきであることを意味する。適切な官能基を、ヒドロキシ基、エチレンオキシド基(−X−[CHCHO−])[式中、nは>1の整数で、Xは窒素もしくは酸素である]、アミノ基、アミド基、エステル基、カルボキシ基、スルホン基等の中で選択することができる。粒子形態にある固相の物質については、これは、粒子の少なくとも外部表面が極性の官能基を提示すべきであることを意味する。同様の物質、濡れ可能性、官能基等はまた、内部壁の形態にある固相に適用される。
【0024】
固相の上のBS(抗体アナライトに対する抗原)の密度の低下は、典型的に、固相の上のBSおよび分析的に検出可能な反応物(親和性反応物2)の上のBSの間にアナライトがブリッジングする可能性を増加して、かくしてまたアッセイの良好な性能の可能性を増加するであろう。BS間の距離が固相の中で十分に大きければ、さらなる低下による、ブリッジングに対する作用は微小であるようである。固相の上のBSの総量は、アナライトの量に比較してモル過剰が典型的である。
【0025】
固相の上のBSおよび固相を通過すべき試料の中のアナライトの量の間のモル比は、≧2、例えば≧5もしくは≧25もしくは≧50もしくは≧100もしくは≧1,000もしくは≧10,000もしくは≧100,000であり得る。アナライトが固相の上のBSに対する親和性の点で異なる抗体の副集団を含みそして親和性範囲の下限で副集団を捕捉することを選択的に避けたいとしている、本発明の態様では、固相に結合するBSの僅かな過剰および不十分な量であってさえ、使用する利点があり得る。換言すれば、固相の上のBSの量およびアナライトの量の間のモル比は、態様に依存して、≦100,000、例えば≦10,000もしくは≦1,000もしくは≦500もしくは≦100もしくは≦50もしくは25≦もしくは≦10もしくは≦5もしくは≦2もしくは≦1もしくは≦0.8もしくは≦0.5であり得る。
【0026】
本発明の方法の良好な性能を得るために、それぞれの特定のアナライトについて、作業結合能力、BSの密度、固相の種類等を決定するために、典型的に、実験的試験が必要である。
【0027】
親和性反応物1および/もしくは2、特にそれらのBS部分、ならびにアナライトは、
a)ポリおよびオリゴペプチド構造のようなペプチド構造のようなタンパク質構造を含んで、それらの構造の模倣体および化学的に修飾した形態等を含んでいる、アミノ酸構造;
b)それらの構造の模倣体および化学的に修飾した形態、等を含んでいる炭水化物構造;
c)核酸構造、ならびにそれらのヌクレオチド構造の模倣体および化学的に修飾した形態、等を含んでいるヌクレオチド構造;
d)ステロイド構造、トリグリセリド構造、等のような、ならびにそれらの構造の模倣体および化学的に修飾した形態を含んでいる脂質構造;
e)有機のもしくは生体有機の性質の他の構造
を示し得る。
多数の他の構造および物質がまた、使用される親和性反応物の中に、例えばそれらのBS部分の中に、存在し得る。そのような他の構造および物質を、感染物(細菌、藻類、菌類、ウイルス、プリオン、カビ、寄生虫等)、薬物、自動抗原、アレルゲン、診断目的のためにまたは抗原特異的抗体試薬もしくは薬物の製造のために体液の免疫応答を誘発する能力がある、合成もしくは天然の免疫原のハプテンの/抗原の構造をもって例示することができる。
【0028】
固相の上に、BSを導入するための技術は、典型的に、二つの主要な経路:
a)BSを含む親和性反応物1の固相への固定化、および
b)固相の上に段階的に親和性反応物1の構築(BSを示す固定化反応物の固相合成)
の一つもしくは両方にしたがう。
両方の経路は、当分野で普通に公知である。固相物質への結合は、共有結合、親和性結合(例えば生体特異的親和性結合)、物理的吸着、静電気結合等を介し得る。
【0029】
選択肢a)は典型的には、本発明の方法の加工の間の望ましくない切断に耐える結合を形成するために、お互いに相互的に反応性である、二つの反応性構造(RSspおよびRSarl)の固定ペアを使用する。RSspは、工程(i)の前に固相物質の上に予め導入されるかもしくは固相物質の上に生来存在する。RSarlは、親和性反応物1の上に存在する。固定結合の形成は、工程(i)の前もしくは間のいずれかで行われる。
【0030】
共有固定化は、RSspのRSarlとの反応から生じる結合が、親和性反応物1をそしてかくして親和性反応物1のBSを固相に結合させた共有結合の形成に至ることを意味する。親和性反応物1のRSarl基は、典型的に、求電子性基および求核性基の中で選択される。使用され得る基の例は、アミノ基および置換のもしくは未置換の−NHを含んでいる他の基、カルボキシ基(−COOH/−COO)、ヒドロキシ基、チオール基、ジスルフィド基、カルボニル基(ケト、アルデヒド)、炭素−炭素二重結合および三重結合を含有する基、ハロアルキル基、特にそのような基の反応性形(活性化形)、例えば、反応性エステル、反応性アミドもしくはイミド、一つもしくはそれ以上のカルボニルが直接結合したアルケンおよびアルキン基(α−β不飽和カルボニル)、カルボニル基が直接結合したハロアルキル(α−ハロカルボニル)等である。フリーラジカル反応がまた、結合構造BSの固相の上への共有結合導入のために使用され得る。
【0031】
親和性結合を介する固定化は、メンバー(固定化リガンド、L=RSsp)の一つが固相物質にしっかりと結合した固定親和性ペアを利用し得る。他のメンバー(固定結合要素、B=RSari)が、結合要素BおよびBS(抗体アナライトに対する抗原/ハプテンに等しい)を含んでいるコンジュゲート(固定コンジュゲート)として使用される。ペアは、典型的に、それが固定化されるべき親和性反応物の親和性反応と干渉しないように選択されて、かくしてそれが非干渉性である、一連の親和性反応物の固定化に有用であり得る。換言すれば、結合要素Bおよび親和性リガンドLは両方とも一般的である。固定親和性ペアの例は、a)ストレプトアビジン、アビジン、ニュートラビジン、抗−ビオチン抗体等のようなビオチンに結合する化合物およびビオチン、b)抗−ハプテン抗体および相当するハプテンもしくは抗原、c)IMAC基(固定化金属親和性キレート)ならびにヒスチジルおよび/もしくはシステイニルおよび/もしくはリン酸化アミノ酸残基を含んでいるアミノ酸配列(即ち、IMACモチーフ)、d)抗−種特異的抗体および相当する種からのIg類、e)クラス/サブクラス−特異的抗体および相当するクラスからのIg類、f)Ig類および細菌に由来するIgを結合するタンパク質(もしくはその逆)等である。相当する未反応の親和性反応物と同一のカウンターパートに親和性を提示するフラグメントもしくは誘導体は、そのペアと同一のペアの一員である、即ち、免疫グロブリンについては、フラグメントは、種にもしくはクラス/サブクラスに特異的なIg部分を含み得る。Igは、哺乳動物の免疫グロブリンならびに他の動物の相当するタンパク質を意味する。
【0032】
用語“コンジュゲート”とは主として共有結合コンジュゲートを指し、例えば化学結合コンジュゲートおよび組換え的に作製したコンジュゲートを指し、そしてリンカーを介して典型的には共有結合で結合される少なくとも二つの部分を含む。組換えコンジュゲートについては、リンカーならびに少なくとも一つの部分は、ペプチド構造を有する。この用語はまた、所謂天然のコンジュゲート、即ち、お互いに離れて間隔を空けて、親和性を二つの異なる分子要素に向かって指向している、二つの結合部位をそれぞれが示す親和性反応物、を含んでいる。かくして、天然のコンジュゲートは、異なる物理的に離れた抗原の決定因子を有する抗原、分子の一つの部分に種におよび/もしくはクラスに特異的な決定因子を、ならびに他の部分に抗原/ハプテン結合部位を含む抗体を含んでいる。
【0033】
好ましい固定親和性ペア(LおよびB)は、典型的には、ストレプトアビジンおよびビオチンについての相当する親和性定数とせいぜい同一であるか、または後者の親和性定数より≦10倍もしくは≦10倍もしくは≦10倍大きい親和性定数(KL〜B=[L][B]/[L〜B])を有する。これは典型的には、それぞれ、およそ≦10−13モル/L、≦10−12モル/L、≦10−11モル/Lおよび≦10−10モル/L、である親和性定数を意味するであろう。ビオチン結合化合物およびストレプトアビジン結合化合物(またはその逆)の中で、LならびにBをそれぞれ選択することが望ましい。これらの親和性定数の範囲とは、Biacore (Uppsala, Sweden)からの生体センサー(表面プラスモン共鳴)により、即ち、デキストランで被膜した金の表面に固定化したリガンドLで、得られる値を指す。
【0034】
RSarlに対する固相の結合能力を、固定化により引き起こされる結合部位の妨害および破壊を無視して、モル/単位容積でのRSspの量として測定することができる。この測定でもって、適当な結合能力は、典型的に、0.001〜3000pmoleの、例えば0.01〜300pmoleの範囲内(液体で飽和された床の形態にある固相のnLにより割り算された)に見出される。例えば、もしもnL当り0.1pmoleのストレプトアビジンが固定化されたならば、これは0.4pmole/nLのビオチン結合部位に相当する。換算係数の四は、ストレプトアビジンがストレプトアビジン分子当りビオチンに対して四つの結合部位を有するからである。
【0035】
また、結合能力を、RSarlに対する実際の結合能力、即ち、RSsp(床の形態および水のような液体で飽和された)を含有する固相の、単位容積当りのモル活性RSari構造として測定することができる。この種類の結合能力は、固定化技術、固相の細孔サイズ、固定化されるべき要素のサイズ、固相の物質およびデザイン等に依存するであろう。理想的には、結合部位(上記で定義)の総数と同様の範囲が、実際の結合能力に適用される。
【0036】
実際の結合能力の測定を、当分野で周知の原理にしたがって行うことができる。これは典型的には、固相のRSspがRSariを含有している過剰の試薬で飽和され、その後でRSspに結合された量を、例えば固相の上で直接にもしくは溶離後に、測定することを意味する。測定を容易にするために、例えば、RSariを含有している標識された試薬および標識されていない試薬の混合物の使用により、試薬の標識形態を使用してもよい。
【0037】
親和性ペアを固定化する場合には、実際の結合能力は主として、結合要素Bの基本形、例えば、コンジュゲート形成していないおよび/もしくは誘導体化されていない形態における結合/捕捉を指す。
固相が反応マイクロキャビティの内壁である場合には、固相の容積は、反応マイクロキャビティの容積とみなされる。
【0038】
特別なアッセイに対する(RSarlに対する)結合能力の最適な範囲は、数多くの要素、例えば、溶質および/もしくはアナライトの種類、ならびに/または、溶質/アナライトが測定される濃度範囲、使用される固定親和性ペアのような固定ペア、固相の種類、例えば、多孔性およびその基礎物質、もしも固定親和性ペアが使用されるならば、コンジュゲートのサイズ、等に依存する。試行錯誤による試験は、この時点で特定のアッセイに関して結合能力を最適化する最も安全な方法である。
【0039】
反応性の構造RSspおよび/もしくはBSを、固相を流路の反応キャビティの中に置いた場合は固相上に、または固相を流路の外に置いた場合は、バッチモードで、導入し得る。RSsp固相物質の一部は、バッチモードでのRSspの導入の後、流路の反応キャビティに輸送され、ここで、それはさらに変換されて、BSを示し得る。後者の変換はまた、流路の外でバッチモードで起こり得る。これに代えて、両方の工程は、固相を流路の反応キャビティの中に置く間に行われる。流動方向にBSの均一な分布もしくは固相の上流部分に少なくとも十分に過剰のBSを有することは重要であり得る。適切な分布を、両方の工程をバッチモードで実施し、続けて流路に固相の一部を輸送することにより、達成することができる。
【0040】
固相の上のBSの密度および量を、親和性反応物1のRSspを含有する固相の活性化形への固定化を、競争モードのような、阻害モードで行うことにより制御様式で容易に代えることができる。換言すれば、RSarlを提示している形態の親和性反応物1およびRSspと反応性である構造RSnsを示すナンセンス反応物を含有している液体試料とRSspの固相を接触して、上記の種類の結合を与える。両方の反応物もしくは反応物の総量は、典型的に、RSsp基の量に比較して過剰にあるべきである。次いで、最終の固相の中のBSの実際の密度を、親和性反応物1およびナンセンス反応物についての固定化反応の速度の間の関係により決定するであろう。この方式では、望ましいBSの量および密度に関して広い範囲で異なる反応キャビティを顧客がデザインすることが簡単であるであろう。BSの阻害導入を、バッチモードでもしくは反応キャビティの中のRSspの固相で流動条件下の反応で行い得る。実験の部で示されるように、これは、与えられたBSに対する親和性の点で異なるアナライトの副集団の定量化のための、固相の構築およびデザインを簡単にするであろう。
【0041】
別の態様では、ナンセンス反応物を、親和性反応物1が固定化される前にもしくは後で固相と反応する。この態様では、RSspの少なくとも一部が第一工程の後で残存することを確保することが重要である。
【0042】
ある特定の態様では、親和性反応物1を含んでいて、固相の上にBS構造を導入するために使用される液体試料はまた、一つもしくはそれ以上の更に別な親和性反応物を含有し、それぞれは、a)RSariについて上で記載したRSspと反応し得る反応性構造RS、およびb)上で記載されたタイプの他の少なくとも二価のアナライトに対する親和性を有している。換言すれば、液体試料は、第一のアナライトに対する特異性を持つ親和性反応物1、第二のアナライトに対する特異性を持つ親和性反応物1、第三のアナライトに対する特異性を持つ親和性反応物1等を含有する。これらの態様では、最終の固相は、複数の親和性反応物を含有して、同一の液体試料の中で二つもしくはそれ以上のアナライトをアッセイする(多重化)のに有用であるであろう。それぞれのアナライトは、それ自身のユニークな結合構造BS(2、2、2等)を持つそれ自身の検出可能な親和性反応物2を必要とするであろう。
【0043】
BSの導入に使用されない反応性構造RSspを中和するために無関係な反応物が使用される場合には、工程(ii)で使用される最終の固相は、固相の上にBS(親和性反応物1)の導入のために利用されなかったRSspから誘導される構造を含有するであろう。これらの固相は、本出願と平行して出願された我々の同時係属国際出願の中に記述される、別の発明“発明の別の態様”の一部である。
固定親和性ペアは、RSspおよびRSariとして好まれている。
【0044】
工程(ii):流動条件および捕捉
工程(ii)における用語“流動条件”は、アナライトが存在する液体が、反応キャビティ/固相を通って、アナライトおよび固相のBSの間で親和性複合体が形成される間、連続して流動していながら、抗−BS抗体アナライトのようなアナライトが固相の上のBSに提示されることを意味する。使用される流動速度は、好ましくは、親和性反応のために非拡散制限条件を提供し得るものであるが、拡散制限条件も使用し得る。非拡散制限条件を提供している流動速度は、それらが、たとえアナライトの微小フラクションがBS構造を露出している固相の更に下流区分に存在し得るとしても、固相の上流区分で捕捉されたアナライトの富化(ピーク)をもたらすことを特徴とする。そのようなピークで捕捉される抗−BS抗体アナライトの副集団のようなアナライトの副集団は、典型的に、ピークの下流で捕捉されるもしくは捕捉されることなく、固相を通過した抗−BS抗体アナライトの副集団よりも高い親和性を持っている。
【0045】
多孔性の床を通る適切な流動速度は、数多くの因子:
a)固定化親和性反応物1;
b)アナライトの種類、例えば、種の起源、Ig−クラスおよび/もしくはサブクラス、対象のアナライトの親和性定数を含んでいる抗体アナライトの種類;
c)反応キャビティの寸法(容積、長さ等);
d)固相の種類(固相の物質、多孔度、床もしくは被膜された内壁等);ならびに
e)等
に依存する。
典型的には、流動速度は、液体試料1、即ち、アナライトを含んでいて、反応キャビティを通って通過している液体のアリコートについて、≧0.010秒の、例えば≧0.050秒もしくは≧0.1秒の滞留時間を与えなければならない。滞留時間の上限は、典型的に2時間以下であり、例えば1時間以下である。例示的な流動速度は、0.001〜10000nL/秒内、例えば0.01〜1000nL/秒もしくは0.01〜100nL/秒もしくは0.1〜10nL/秒である。これらの流動速度の範囲は、1〜1000nLの、例えば1〜200nLもしくは1〜50nLもしくは1〜25nLの範囲にある固相の容積に主として有用であり得る。滞留時間とは、液体のアリコートが反応キャビティの中の固相を通過するのにかかる時間を指す。最適化は、典型的には、それぞれの特定の系について実験による試験を必要とするであろう。
【0046】
上で定義した流動条件はまた、好ましくは、固相への他の親和性反応物、例えば親和性反応物2(工程(Ui))の捕捉の間に適用される。親和性が高いアナライトの副集団の選択的な測定に望ましい流動条件とするための同様の一般的な傾向は、また、工程(iii)の一部として起こるときに、固相への親和性反応物2の捕捉について適用されるようである。
親和性が高いアナライトの副集団の選択的な決定に望ましい流動条件は、本明細書中で下で更に記載される。WO 02075312(Gyros AB)をまた参照されたい。
【0047】
固相を通る液体流動を、原理的には任意の種類の力、例えば、これに適合させた微小流体装置の中の流動経路について、例えば動電子的もしくは非動電子的に生じる力、好ましくは場合により毛管力と組み合わされた遠心力により駆動することができる。さらに下を参照されたい。
【0048】
工程(iii):工程(ii)の結果の測定
この工程は、工程(ii)の間に固相の上でBSに結合した抗−BS抗体アナライトの量の測定を意味して、固相の流動方向におけるアナライトの分布の測定を含み得る。測定は、BSを示してそれ故に工程(ii)で形成される固定化複合体に組み込まれ得る親和性反応物2の使用により達成される。
【0049】
分析的に検出可能な親和性反応物2は、検出可能な基がある一つの部分1、ならびに、アナライトのBS結合部位の一つに親和性結合し得るBSがある、もう一つの部分2を含む。かくして、親和性反応物2は、部分1および部分2が、好ましくは共有結合により、お互いにしっかりと結合したコンジュゲートである。このコンジュゲートは、天然でもしくは合成であり得る。合成のコンジュゲートについては、検出可能な基は、“標識”もしくは“タグ”と呼ばれるであろう。
【0050】
親和性反応物2の結合は、a)工程(ii)の前にもしくは工程(iii)の間の何れかで起こり得る。親和性反応物2への結合のために利用される、アナライト上のBS結合部位は、固相上でBSに結合するために利用されない。
【0051】
選択肢の(a)は、アナライトおよび親和性反応物2を含む予め生成した親和性複合体として、アナライトが工程(ii)で反応キャビティの中に入っていくことを意味し、ここで、反応物2のBSは、アナライトのBS結合部位に結合して、固相の上でBSにより親和性捕捉する(固定化親和性反応物1を介して)ために利用されるアナライトの上で少なくとも一つのBS結合部位を残している。予め生成した親和性複合体は、反応キャビティの上流の位置で流動経路の外側でもしくは流動経路内で創成され得る。この予め生成する条件は、予め生成した複合体の量が元の試料の中の抗−BS抗体アナライトの実際の量に関連するようになるように、選択される。試料1が反応キャビティを通って通過しているときには、固相の上のBSが予め生成した親和性複合体を捕捉する。かくして、生じた固定化複合体は、アナライト、親和性反応物2および親和性反応物1を含む。
【0052】
選択肢の(b)は、反応キャビティの上流の位置で別の液体試料2の中に親和性反応物2が提供されることを意味する。この試料2は、試料1に続いて反応キャビティを通って通過する。試料1および試料2の間には一つもしくはそれ以上の洗浄工程があってもよい。工程(ii)の後でアナライトの上に塞がれないままであるBS結合部位は、次いで、親和性反応物2を捕捉するであろう。3次の固定化複合体は、原理的には選択肢の(a)におけるのと同一の種類であろう。
【0053】
親和性反応物2の部分2の検出可能性は、部分が分析的に検出されて、定量化され得る基を含む事実に帰する。信号発生基および親和性基は、有用な検出可能な基の典型的な例である。信号発生基は、放射線放射もしくは放射線吸収基および与えられた放射線と他の方法で干渉する基の中で選択され得る。特定の信号発生基は、酵素、補因子、基質、補酵素等を含む酵素的に活性な基;放射性もしくは非放射性同位元素のような特定の同位元素を含んでいる基;蛍光性および蛍光発生基;化学発光性基、生体発光性基等を含む発光性基;金属イオンを含む金属含有基等である。この文脈において、親和性基は、典型的に、検出可能な親和性基に対する親和性カウンターパートと、親和性反応物2の検出可能な基とは異なる第二の検出可能な基との間の複合体であって、典型的に標識の形態で好ましくは信号発生基である親和性反応物3の使用により検出される。検出可能な基に基づく典型的な親和性は、検出可能な基に基づく親和性が、固定結合ペアの一員へ、もしもそのようなペアがBSの固相への固定化に使用されるならば、方法の間は親和性結合をする能力があってはならないという条件で、上で議論された固定親和性ペアの個別なメンバーの中で選択され得る。
【0054】
他の態様では、親和性反応物2は、固相の上に形成される親和性複合体に反応物が加わる容積もしくは質量の増加に因り検出可能である。換言すれば、反応物はそれ自体で、検出可能な基を定義する。例えば、WO 03102559(Gyros AB)を参照されたい。
【0055】
検出可能な基および測定の方法がそのようにデザインされた場合には、実際の測定を反応キャビティの中で行うことができる。これは、反応キャビティ/固相の中で流動方向に沿うアナライトの分布を、アナライトおよび固相に予め固定化されたBSの間で親和性を測定するために使用する場合に、特に重要である。例えば、WO 02075312(Gyros AB)およびPCT/SE2005/001 153(Gyros AB)を参照されたい。もしも固相に捕捉されるアナライトの量のみが望まれるならば、実際の測定は、反応キャビティの下流で、例えば、別の検出キャビティの中で、行ってもよい。これは、反応キャビティを通って通過する過剰の親和性反応物2のもしくは工程(ii)で固相の上に形成される複合体から生成される可溶性のかつ検出可能な要素の測定を含んでもよい。親和性反応物1は、切断可能な結合により固相に、例えば、固定化され得る。選択肢として、使用される分析的に検出可能な反応物、例えば親和性反応物2、の中の分析的に検出可能な基は、切断され得るリンカーにより検出可能な反応物の他の部分に結合され得る。例えば、US 4,231,999(Pharmacia Diagnostics AB)を参照されたい。複合体の形成および次の洗浄の後で、必要ならば、切断され得るリンカー/結合を分解して、検出可能な基を含んでいる放出されたフラグメントをそれらが測定される、検出キャビティの下流に輸送する。もう一つの選択肢は、検出可能な基が、測定のために下流に輸送され得る可溶性生成物を生じさせる反応系の中で反応物であることである。最後の選択肢を可能にしている適当な反応系は、酵素系を含んでいる生体触媒系のような、触媒系を含み、その場合には、検出可能な基は、触媒、補触媒、補因子、基質、補基質、阻害剤、エフェクター等のような系の成分であり得る。酵素系については、関連する成分は、酵素、補酵素、補因子、基質、補基質、阻害剤、活性化因子、エフェクター等である。
【0056】
親和性複合体の中に組み込まれる検出可能な親和性反応物の上の信号発生基は、第二の信号発生基と組み合わせられ得る。この第二の基は、複合体が形成されるかもしくは解離されるときに、二つの基が一緒に、適切な信号を与えるように選択され得る。この態様は、トリチウムで標識される可溶性の親和性反応物(例えば親和性反応物2)が、シンチレーション物質を含んでいる固相と一緒に使用される、シンチレーション近接アッセイ(SPA)で例示され得る。相互作用している標識での原理はまた、同一であっても異なっていてもよい、フルオロフォアのペアおよび蛍光−失活剤ペアで例示され得る。
【0057】
なおもう一つの態様では、親和性反応物2がアナライトを介して固相に結合するときに、信号が変化する信号発生基と固定化BSが関係している。
【0058】
得られる信号データの測定および処理は、好ましくは、WO 03025548、US 20030156763、WO 03056517、US SN 10/331,399、WO 05001766(全てGyros AB)に記載された通りに行われる。
【0059】
分布は、固相の上のセクション(上流セクション)(例えば抗原を含んでいる固相の入口末端の次の)において、例えば、(a)固相/反応キャビティの長さ、もしくは(b)閾値を越える信号が測定される固相/反応キャビティの部分の、≦75%を、好ましくは≦50%もしくは≦30%を包含していて、捕捉されたアナライトの相対的な量として測定され得る。この相対的な量は、“ピーク”と呼ばれ得る。分布の測定は、体液の免疫応答の抗体アナライトのような、抗体アナライトについては特に興味深い。
【0060】
工程(iv):定量化
この工程は、工程(iii)で見出される測定値を、試料1が由来する元の試料の中のアナライトの量および/もしくは試料1の中のアナライトの量に関連付けることを含む。これは、典型的に、一つもしくはそれ以上の標準試料について得られた値と比較することにより既知の原理にしたがってなされる。典型的には、標準試料は,a)変動する既知量のアナライトを含有する一連の一つ、二つもしくはそれ以上の試料、b)例えば、同一のまたは異なる個人からの初期の場合に得られた一つもしくはそれ以上の試料、c)健康な個人からもしくは特定の疾患状態を有する個人から得られた一つもしくはそれ以上の試料等を含む。定量化は典型的に絶対的である。それはまた相対的であってもよく、例えば、試料1のもしくは元の試料の或る種類の成分に対して相対的であってもよく、また初期のもしくは後期の場合におよび/または同一のもしくは別の個人から採取したもう一つの試料に対して相対的であってもよい。
【0061】
ポリクローナル抗体アナライトのような、或る特定のアナライトは典型的には、同一の結合構造に向かって指向されるが異なる親和性を持つアナライトの副集団のスペクトルを含有する。工程(ii)の間に、低親和性のアナライトの副集団は、結合することなく、固相から流れ出る傾向を有するであろう。これは、もしも固相の上のBS(=抗原)の量が、三つの異なる抗−IgGモノクローナルでの我々の結果(実験の部を参照)によりおよび本明細書の他の場所で提案されるように選択されているならば、達成され得る。アナライトの総量に比して、親和性が高いおよび/もしくは低いアナライトの副集団の量を知ることは、時々興味があり得る。これは典型的には、アナライトの総量のもしくはアナライトの少なくとも更に大きいフラクションの評価を必要とする。後者の態様は、親和性の捕捉工程(ii)の間に更に低い流動速度で、および/もしくはアナライトを結合する能力を増加させた固相で、工程(i)〜(iv)を繰り返すことにより達成され得る。あるいは、アナライトについての従来の親和性アッセイを、捕捉反応を平衡に至らしめる間に、静的条件下に実施し得る。より遅い流動速度により、より低い親和性のアナライトの副集団を捕捉するチャンスが増加するであろう、即ち、流動速度が減少すれば、ピークはより明瞭になるであろう。静的条件を持つ選択肢は、親和性が低いおよび高いアナライトの両方の副集団を測定するであろう。両方の選択肢では、結果は、試料の中の親和性が低いおよび高いアナライトの副集団のレベルの公正な評価を可能にするであろう。
【0062】
その他
本発明の方法は、ヒトを含んでいる動物の種々の医学状態の診断に有益であるようである。例えばポリクローナル抗−BS抗体アナライトの、選択的に親和性が高い抗−BS抗体副集団を測定するような、親和性が低いアナライトの副集団の測定を除外する方法の態様は、明らかに改善が見られる。興味ある疾患は、自己免疫疾患、寄生虫による感染症、細菌、ウイルス、菌類、カビによる感染を含んでいる感染疾患、および抗原特異的抗体アッセイが個人の臨床診断に使用され得る他の疾患である。抗−BS抗体もしくは親和性が高い抗体として分類される抗−BS抗体のいずれかの総量を測定して、疾患それ自体または疾患の重篤度の指標として使用する。好ましくは明瞭なピークの形での、入口末端(上のセクション)に向かう捕捉抗体の分布は、次いで、親和性が高い抗−BS抗体のより高いレベルおよび/もしくはより高い親和性を指し示しているであろう。記された疾患の多くについて、これは更に正確な診断、ならびに/または疾患の重篤度および/もしくは状態を指し示しているであろう。それ故に、例えば上記の幅および高さの観点から、より明瞭なピークは、より大きい診断的価値を指し示しているように見える。これは、固相の出口末端(下のセクション)に向かう分布も有用であることを除外しない。それは、或る特定の疾患状態が重篤ではないかもしくはかかりやすくないであろうことを指し示している負のマーカーとして、少なくとも有益であり得る。
【0063】
臨床診断アッセイのためには、本発明の方法は、少なくとも親和性が高い抗体副集団を測定することを目的とする態様に関して、潜在的に、改良された診断的特異性を示唆するであろう。拡散制限条件下で同様のアッセイを実施することに比較して、≧1.1の、例えば≧1.5もしくはさらにそれ以上の、例えば≧2.0の改良率を想定することができる。この文脈において、拡散制限条件とは典型的には、捕捉工程で平衡に達するのに十分な時間、静的条件(非流動条件)とすることを指し、ここで、その捕捉工程では、分析的に検出可能な親和性反応物2を捕捉されたアナライトへ結合させる(上の工程(iii)での流動することに相当する)ために、場合により静的条件と組み合わせて、アナライトが固相の上のBSに結合する(上の工程(ii)での流動することに相当する)。
【0064】
試料
流動経路の中で輸送されて加工される液体試料/液体アリコートは、典型的に、希釈剤、洗浄液ならびに/または使用されるアナライトおよび/もしくは試薬(例えば親和性反応物2)のような反応物を含んでいる液体を含んでいる、水性のものである。アナライトを含有する液体試料1は、未加工の生物学的流体試料であり得るかもしくはそのような流体に由来し得る。液体試料1を得るための加工は、流動経路内でおよび/もしくは外で起こり得る。この加工は、a)元のアナライトをそれが液体試料の中で存在するようにアナライトの形態に変換すること、b)希釈すること、c)細胞および/もしくは他の粒子状物質の除去等を含み得る。もしも特定の文脈により別に暗示されない限り、本明細書で用語“アナライト”は、元のアナライトならびに、変換されたアナライトの量が、元の試料中の元のアナライトの量の関数である限り、その任意の変換された形態を意図する。
【0065】
用語“生物学的流体”は、親和性反応物1および2について上で指示された種類の構造を示す生体有機化合物を含有する任意の流体を意図する。更に狭い意味では、同一の用語は、この種類の生体有機化合物を含有して、その成分が生きているかもしくは死んだ生物学的物質により少なくとも部分的に測定された流体に由来する流体を意図する。典型的な生物学的流体には、細胞培養液上清、組織ホモジネート、血液および血清もしくは血漿のような種々な血液のフラクション、涙流体、吐瀉液、尿、汗、精液、脳脊髄液、胃液、唾、リンパ液、等ならびに上記の生体有機化合物を含有しそしてこれらの特定の生物学的流体に由来している種々の液体調製物が含まれる。抗体アナライトについては、液体試料1は典型的には、脊椎動物で誘発される体液の免疫応答の抗体を含有する上記の種類の脊椎動物の体液に由来する。典型的な脊椎動物は、哺乳動物、鳥類、両棲類、爬虫類等である。典型的な哺乳動物は、クジラ、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ等である。典型的な鳥類は、メンドリ、カナリア、セキセイインコ等である。両棲類および爬虫類の中には、ペットとして使用されるかもしくは動物園で人気のあるものが記述され得る。
【0066】
好ましい流動経路(微小流体装置の中のLe.)
微小流体装置は、一つ、二つもしくはそれ以上のマイクロチャネル構造(101a〜h)を含む装置であって、該構造においては、一つもしくはそれ以上の液体アリコート/試料、例えば、μL−範囲の、典型的にはナノリットル(nL)範囲の容積を有し、かつ、アナライトおよび試薬、生成物、試料、緩衝剤等のような種々の種類の反応物を含む液体試料1ならびに/もしくは2、が加工される。それぞれのマイクロチャネル構造(101a〜h)は、微小流体装置内で実施されるべき該革新的アッセイの工程を実施するために必要である全ての機能性部分を含む。μL−範囲は、≦1,000μLの、例えば≦100μLもしくは≦10μLの容積を意図して、5,000nLの上限を有するが、大抵の場合には、≦1000nLの、例えば≦500nLもしくは≦100nLの容積に関するnL−範囲を含む。nL−範囲は、ピコリットル(pl)範囲を含む。マイクロチャネル構造は、≦10μm、好ましくは、≦5×10μm、例えば≦10μmである断面積を有する一つもしくはそれ以上のキャビティならびに/または導管を含む。
【0067】
かくして、微小流体装置のマイクロチャネル構造(101a〜h)は、a)例えば、場合により容積計量ユニット(106a〜h、108a〜h)(装置内で加工されるべき液体アリコートを計量するための)と一緒に入口ポート/入口開口部(105a〜b、107a〜h)を含んでいる入口装備(inlet arrangement)(102、103a〜h)、b)液体輸送用のマイクロ導管、c)反応マイクロキャビティ(104a〜h);d)混合マイクロキャビティ/ユニット;e)液体(入口装備の中に存在し得る)から粒子状物質を分離するためのユニット、f)例えば、キャピラリー電気泳動、クロマトグラフィー等により、試料の中で溶解されたかもしくは懸濁された成分をお互いから分離するためのユニット;g)検出マイクロキャビティ;h)廃棄導管/マイクロキャビティ(112、H5a〜h);i)バルブ(109a〜h、H0a〜h);j)環境外気への通気口(106a〜i);液体分割(液体ルーター)等:の中で選択される一つ、二つ、三つもしくはそれ以上の機能性ユニットを含み得る。機能性ユニットは、数個の機能性を有してもよく、例えば反応マイクロキャビティ(104a〜h)および検出マイクロキャビティが合致してもよい。微小流体装置の中の種々の種類の機能性ユニットは、Gyros AB/Amersham Pharmacia Biotech AB:WO 99055827、WO 99058245、WO 02074438、WO 02075312、WO 03018198(US 20030044322)、WO 03034598、WO 05032999(US SN 10/957,452)、WO 04103890、WO 2005094976により、ならびにTecan/Gamera Biosciences:WO 01087487、WO 01087486、WO 00079285、WO 00078455、WO 00069560、WO 98007019、WO 98053311により記述されている。
【0068】
有利な形では、親水性の多孔性床に意図された反応マイクロキャビティ(104a〜h)は、一つもしくはそれ以上の入口装備(上流方向)(102、103a〜h)に連結されて、それらのそれぞれは、入口ポート(105a〜b、107a〜h)および少なくとも一つの容積計量ユニット(106a〜h、108a〜h)を含んでいる。入口装備(103a〜h)の一つの有利な態様は、一つのマイクロチャネル構造(101a〜h)および/もしくは固相物質を含有することを意図した反応マイクロキャビティ(104a〜h)にのみ連結される。もう一つの有利な入口装備(102)は、マイクロチャネル構造(101a〜h)および/もしくは固相物質を含有することを意図した反応マイクロキャビティ(104a〜h)の全てまたはサブセット(100)に共通である。この後者の態様は、共通の入口孔(105a〜b)およびサブセット(100)のマイクロチャネル構造/反応マイクロキャビティ(101a〜h/104a〜h)のそれぞれについて一つの容積計量ユニット(106a〜h)を持つ分配多岐流路を含む。両方の態様において、容積計量ユニット(106a〜h、108a〜h)のそれぞれは順番に、そのマイクロチャネル構造(101a〜h)の下流部分、例えば、反応マイクロキャビティ(104a〜h)と通じている。共通の入口装備(102)および/もしくは共通の分配多岐流路により連結しているマイクロチャネル構造は、マイクロチャネル構造のグループもしくはサブセット(100)を規定する。それぞれの容積計量ユニット(106a〜h、108a〜h)は典型的には、その出口末端においてバルブ(109a〜h、H0a〜h)を有する。このバルブは、例えば、親水性のおよび疎水性の表面の間の境界(疎水性表面継ぎ目)のような、出口末端における化学的な表面特性の(WO 99058245、WO 2004103890、WO 2004103891およびUS SN 10/849,321 (Amersham Pharmacia Biotech AB and Gyros AB))および/もしくは幾何学的な/物理的な表面特性の(WO 98007019(Gamera))変化を利用して、典型的に受動的である。
【0069】
入口ポート、容積計量ユニット、分配多岐流路、バルブ等を持つ典型的な入口装備はWO 02074438、WO 02075312、WO 02075775およびWO 02075776(全てGyros AB)の中で提示されている。
【0070】
本革新的方法が、アナライトと親和性反応物2の間の親和性複合体が、工程(ii)に先立ってマイクロチャネル構造内に形成されることを含む場合には、反応キャビティとアナライトを含有している液体試料および親和性反応物2を含有している液体試料のための入口(複数を含む)との間に混合機能がある。二つの液体アリコートを、別々の入口ポートを介してもしくは共通の入口ポートを介して、導入し得る。混合機能は、典型的に、
a)混合マイクロ導管の中で混合すること、ならびに/または
b)別々の混合マイクロキャビティの中で二つの液体試料を収集し、そして
i)機械混合器、例えば、混合マイクロキャビティの中で磁石粒子を含むことにより、および/もしくは
ii)外部の磁石と組み合わせたマイクロキャビティの中で磁石粒子を含むことにより行われる可能な慣性力の使用、および/もしくは
iii)混合マイクロキャビティに連結されたマイクロ導管の中での前後の輸送、
により混合を引き起こすこと、
に基づいている。
【0071】
例えば前後に回転することにより、装置の加速するおよび/もしくは減速する動きは、慣性力を生じ得る。前後の輸送は、一つの方向で毛管輸送を、反対の方向で遠心力、即ち、適切な微小流体装置の断続的な回転、を用いることにより引き起こされ得る。混合マイクロキャビティの出口は、閉じていないバルブ、例えば、疎水性継ぎ目もしくはマイクロチャネル構造のマイクロ導管の内部表面/壁の側面の断面積における急激な変化により定義される受動性バルブのようなバルブを典型的に備えている。入口ポートの一つもしくは両方は、先の段落で記述された容積規定ユニットを備えても備えなくてもよい。上記の混合は、US 6,582,662 (Tecan);US 6,572,432(Tecan)、US 20020025583(First Medical Inc)、WO 02074438(Gyros AB)、WO 03018198、WO 05032399(Gyros AB)、PCT/SE2005/000403(Gyros AB)、US 5,591,643 (Abaxis)、WO 2004103891(Gyros AB)等に提示されている。
【0072】
それぞれのマイクロチャネル構造は、少なくとも一つの液体用の入口開口部(105a〜b、107a〜h)ならびに過剰空気(通気口)用のおよび場合によりまた液体(廃棄チャネル(112)の中の円)用の少なくとも一つの出口開口部(116a〜i、112)を有する。
【0073】
微小流体装置は、装置当り複数のマイクロチャネル構造を含有し、そこでは一つの構造が、本発明にしたがって固相を含有するように意図されている。この文脈での複数は、二つ、三つもしくはそれ以上のマイクロチャネル構造を意味して、典型的には、≧10、例えば、≧25もしくは≧90もしくは≧180もしくは≧270もしくは≧360、である。
【0074】
機能性ユニットの二つもしくはそれ以上の間で微小流体装置/マイクロチャネル構造内で液体を輸送するために、異なる原理を利用し得る。例えば、次の段落で記載されるディスクを回転することにより、慣性力を使用し得る。他の有用な力は、毛管力、静水圧等のような毛管力、動電子力、非動電子力である。
【0075】
微小流体装置は典型的にはディスクの形態である。好ましいフォーマットは、ディスク平面に垂直であるかもしくはそれと合致する対称軸(C)[ここで、nは≧2、3、4もしくは5の整数、好ましくは∞(C)である]を有する。換言すれば、ディスクは、正方形のような方形であり得るか、もしくは他の多角形の形態であり得るが、好ましくは円形である。典型的にはディスク平面に垂直もしくは平行である回転軸の周りに、装置を回転することは、必要な遠心力を生じ得る。回転軸がディスク平面に対して垂直でない態様は、WO 04050247(Gyros AB))に示されている。
【0076】
もしも遠心力が、反応マイクロキャビティ/固相を通る液流を駆動するのに使用されるならば、反応マイクロキャビティは、典型的に、回転軸から外側に本質的に放射状で流動方向に位置している。
【0077】
好ましい装置は、典型的にディスク形態であり、従来のCDフォーマットと同様なサイズおよび/もしくは形を有し、例えば、従来のCD−直径(12cm)を持つ円形ディスクの10%〜300%までの範囲にあるサイズを有する。
【0078】
微小流体装置のマイクロチャネル/マイクロキャビティは、次の工程でもう一つの本質的に平面な基板(蓋)によりカバーされる、カバーされていない形態でチャネル/キャビティを示す本質的に平面な基板表面から製造され得る。WO 91016966(Pharmacia Biotech AB)およびWO 01054810(Gyros AB)を参照されたい。両方の基板は、好ましくはプラスチック物質、例えば、可塑性高分子物質から製造される。
内部表面の汚損活性および親水性は、適用に関連して均衡が取れているべきである。例えば、WO 0147637(Gyros AB)を参照されたい。
【0079】
マイクロチャネル構造の内部表面の文脈において用語“濡れ可能性”(親水性)および“非濡れ可能性”(疎水性)は、表面がそれぞれ、≦90°もしくは≧90°の水接触角を有することを意図する。異なる機能性部分の間の液体の効率的な輸送を容易にするために、個別の部分の内部表面は、主として濡れ可能性であるべきであり、好ましくは、≦60°の、例えば≦50°もしくは≦40°もしくは≦30°もしくは≦20°の接触角を有する。これらの濡れ可能性値は、マイクロ導管の少なくとも一つ、二つ、三つ、四つもしくはそれ以上の内壁に適用される。一つもしくはそれ以上の内壁が、より高い水接触角を有する、例えば疎水性である場合には、これは、一つもしくはそれ以上の他の内壁(複数を含む)のより濡れ可能性の高い表面により相殺され得る。特に入口装備における、濡れ可能性は、液体がキャビティ/マイクロ導管に入り始めれば、使用されるべき水性液体が毛管力(自己吸引)により意図されたマイクロキャビティ/マイクロ導管を満たすことが出来るように適合させるべきである。マイクロチャネル構造の中の親水性内部表面は、例えば、受動性バルブ、抗−吸上げ手段、孔(環境外気等への通気口(図1で長方形)としてのみ機能する)を導入するために、一つもしくはそれ以上の局所的疎水性表面継ぎ目を含んでもよい。例えば、WO 99058245、WO 02074438、US 20040202579、WO 2004105890、WO 2004103891(全てGyros AB)を参照されたい。接触角とは、使用温度、典型的に25℃、での値を指し、静的であって、WO 00056808およびWO 01047637(全てGyros AB)に例示される方法により測定され得る。
【実施例】
【0080】
実験の部
アッセイ手順
本発明を二つのモデル系:
a)抗−PPV抗体をアナライトとしそしてPPVが結合した固相を親和性反応物1として(抗原および標識PPVを親和性反応物2(抗原)として)、ならびに
b)抗−IgGモノクローナル抗体をアナライトとし、固相に結合したIgGを親和性反応物1(抗原)とし、そして標識IgGを検出可能な親和性反応物2(抗原)として、
の中で検討した。
PPVはブタのパルボウイルスを意味する。実験の部で用いられるようにアッセイの主要工程は、工程1) 捕捉試薬の添加=ビオチン化ウシ血清アルブミン(BSA)と組み合わせたビオチン化PPV−抗原もしくはビオチン化IgGの添加、工程2) アナライトの添加/捕捉工程=アナライト(抗−PPV抗体もしくは抗−IgG抗体)を含有する試料の添加;ならびに工程3) 測定/検出工程=フルオロフォアで標識されたPPV抗原もしくはフルオロフォアで標識されたIgGの添加である。選択された特別なアッセイプロトコルは、Bioaffy 1C v2と呼ばれて、その詳細は実験の部の終わりに示されている。
略語の“PPV”は、ブタのパルボウイルスからの抗原調製物を指す。
【0081】
微小流体装置および計器装備
微小流体装置は、WO 04083108(Gyros AB)およびWO 04083109(Gyros AB)で示されるものと同一であった。固相は、ストレプトアビジンが固定化された、フェニルデキストランで被膜されたポリスチレン粒子であって、反応マイクロキャビティ(104)の中で床/カラムに充填されていた。加工するために使用された機器は、レーザー蛍光検出器を備えたGyrolab Workstationであって、微小流体ディスクは、Bioaffy CD microlaboratoryであり、両方ともGyros AB, Uppsala, Swedenの製品であった。
【0082】
実施例1:抗−PPV抗体のアッセイ
アナライト:National Veterinary Institute, Uppsala, Swedenからのウサギのポリクローナル抗−PPV抗血清およびマウスの抗−PPVIgGモノクローナル。Svanova, Swedenからのマウスの抗−PPVIgGモノクローナル(Svanovir[登録商標]:血清の中のPPV抗体の検出のためのELISA試験。マニュアル番号19-7400-00/04)。PPV抗原との免疫感作の種々の段階の間にマウスから採取される血清試料。標準品は、5段階で希釈される(1/5〜1/78125)、PPVで免疫感作中にマウスから採取した血清であった。
【0083】
試薬:PPVおよびウシ血清アルブミン(BSA)。PPVは、Rivera, E at the National Veterinary Institute, Uppsala, Sweden (Rivera E 等、“The Rb1 fraction from ginseng elicits Th1 immunity” Vaccine (in press))から得られた。プールIIの調製物を使用した。
【0084】
ビオチン化試薬(PPV=親和性反応物1、BSA)
●PPV50μgを用いた。1mg/mLの濃度を得るために、ウイルスフラクション500μLをPall CorporationsからのNanosep 30Kフィルターの中で遠心分離した。EZ−リンク−スルホ−NHS−LC−ビオチン(Pierce)を10mMに希釈して、20倍のモル過剰で使用した。溶液を混合して、室温で40分間インキュベートした。Nano Sep 30Kカラムの膜の上の反応混合液と一緒にPBS(0.015M NaPO pH7.4、0.15M NaCl、0.02%NaN)450μLの容積を入れること、引き続き約50μLが残るまで、13,000rpmで遠心分離することにより、遊離のビオチンを除去した。遊離のビオチンが除去されたことを確認するために、PBS 450μLでもう一度洗浄を実施した。最終の容積は60μlであった。
●本質的に同一の手順をウシ血清アルブミン(BSA)のビオチン化に使用した。出発濃度は、300μLの容積の中で1mL当りBSA 1mgであった。ビオチン試薬を12倍のモル過剰で使用した。精製工程を、Pierceからのタンパク質脱塩回転カラムを用いて実施した。最終の容積は330μlであった。
【0085】
フルオロフォアで標識されたPPV(親和性反応物2)
ウイルス調製物90μgを、Pall CorporationsからのNanosep 30Kフィルターを用いて1mg/mLに濃縮して、Alexa fluorophor 647 モノクローナル抗体標識化キット(A-20186, Molecular Probe)で製造者の指示に従って標識した。最終調製物は、90μLの容積を有した。
【0086】
固定化されてビオチン化された反応物のタイトレーション(固定化PPV=親和性反応物1)
PPVを検出可能な様式で抗体に結合させるために、ビオチン化ウシ血清アルブミン(BSA)と一緒にビオチン化PPVを固相の上で固定化した。濃度の適当な組合せは、抗体がビオチン化されたおよび標識された試薬の両方に結合すること、即ち、二つの抗原調製物を“ブリッジング”することが出来るように定める必要がある。従来の抗体アッセイでは、この測定は、カラムが抗原で飽和されている限り必要で無かったであろう。しかしながら、本発明にしたがうアッセイでは、抗体は、これが検出抗原(親和性反応物2)に結合することを妨げることから、固定化抗原(親和性反応物1)に両方の腕で結合することを許容しない。他方、応答を発生させるために、固相の上に固定化された十分な抗原(親和性反応物1)があるべきであって、さもなければアッセイは有用ではない。もしも抗原および抗体の間の反応平衡が、いずれかの側にあまりに多く偏っていたならば、信号を得ることは、理論的に不可能である。
【0087】
PBS−Tの中でビオチン化PPV(希釈1/10〜1/1280)およびビオチン化BSA(希釈1〜1/128)の希釈された/未希釈の原液の異なる1:1組合せを試験した。PPVと一緒にBSAを使用する目的は、ストレプトアビジンのカラムをタンパク質で十分に飽和して、かくして標識PPVおよびその予め固定化されたストレプトアビジンを含んでいる固相との間の非特異的表面相互作用を避けることである。
【0088】
ブリッジング結合を促進するために、ビオチン化PPVおよびビオチン化BSAの混合液を、捕捉試薬の添加工程で加えた。ブランクおよび試料の間の信号比率を計算した。試料およびバックグランド応答との間の大きい比率が、高性能を持つアッセイに望まれる。結果は、80〜160倍の範囲でPPVについての希釈およびBSAについて16〜64倍の範囲での希釈を示唆した。
【0089】
タイトレーションを更に詳しく研究するために、ビューア(使用された機器の中のソフトウエアプログラム)の図表を比較して、評価した。カラムの上のより多いPPVは、より大きい信号を、そしてカラムのトップでアナライトの富化をもたらすことを観察することができた。応答の絶対値は、V64ビオチン化BSAについてV80の希釈で転換点を示した。ビューアは、より多くのビオチン化BSAは、ピークにより広いベースを与えて、プロフィールはつぶれているように見えることを示した。カラムのトップでピークを持つカラムのプロフィールは、アルゴリズムができるだけ多くの信号を集積するために好ましかった。
【0090】
BSAおよびPPVの間の比率は、約1.57でなければならないことを結論することができた。試薬を節約する興味において、選ばれた希釈は、1:1として一緒に混合されたPPVについてV100およびBSAについてV64であった。これは、PPVについてV80およびBSA調製物についてV51に後で修飾された。
【0091】
フルオロフォアで標識されたPPV(親和性反応物2)のタイトレーション
また、フルオロフォアで標識されたPPV反応物についての最適濃度を、1%BSAを含むPBSの中で三つの異なる希釈、V10、V20およびV40、のフルオロフォアで標識されたPPV原液を用いることにより試験した。ウサギ抗−PPV血清を逐次的に希釈して、参照試料として使用して、全てのタイトレーションについてデータポイントを作成した。希釈の1/40が最低のバックグランドを与えたことが見出された。この希釈をその結果として使用した。
【0092】
性能
精度:マウスの血清を、1%BSAを含むPBSで125倍に希釈して、12回繰り返して吸引して、アッセイした。変動係数(CV)は1.89%であった。
測定範囲:図2を参照されたい。
再現性:図3を参照されたい。
【0093】
試料希釈
血清試料について可能な希釈係数を評価するために、低力価の抗−PPVを持つ二匹のマウス、中間力価の抗−PPVを持つ二匹のマウスおよび高力価の抗−PPVを持つ二匹のマウスを選択した。全ての試料を、免疫感作後二週間で採取した。試料を、A、Vs、V16およびV32として希釈して、三回操作した。試料を、如何なる技術的問題もなく異なる希釈で分析した。最小に希釈した試料を、全てのマウスについて測定して、バックグランド信号から区別することができた。
【0094】
ゲルろ過
ブリッジングアッセイが免疫グロブリンのクラスに独立していることを立証するために、ゲルろ過実験を実施した。血清をPPVの免疫感作の間に五匹のマウスから二回採取して100μLを集めた:a)IgMを期待できた免疫感作後二週間(2v1)、およびb)大抵はIgGが存在する、ブースター後五週間(5vII)。集積液を、Superdex[登録商標](AeKTA FPLC[登録商標])の上で、最初にミリQ水で三回洗浄し、引き続いて脱気したPBSで二回平衡化し、その後で血清試料を注入することにより、別々にクロマトグラフした。フラクションをマイクロタイター・ウェルに集めた。検出範囲内の各第二番目のフラクションを、Bioaffy[登録商標]CD microlaboratoryの上で本発明のアッセイ方法で試験した。
【0095】
免疫感作後二週間で得られた集積液について二つの明確なピークにおいて、活性が見出された。より低い活性ピークは、ボイド容量に近接した一方で、より高い活性ピークは、アルブミンの保持容量に近接した。この故に、アナライトの分子サイズは、広く変動して、PPV特異的なIgMが低活性ピークに、そしてPPV特異的なIgGが高活性ピークに寄与するとみられる。ブースター後五週間に採取された試料については、唯一つの活性ピークを見ることができた。このピークは、IgGと予測される、クロマトグラムのエリアに割り当てられた。
【0096】
未知の試料の定量化:PPVでの免疫感作の間にマウスからの合計234個の血清を、1/25の正常希釈において三回操作した。この希釈は、飽和されたカラムが見出された高い抗−PPVの抗体力価を持つ試料については不十分であることが分かった。飽和されたカラムを示している試料は、更に高い希釈で再試験を行った。
【0097】
実施例2:抗−IgG抗体のアッセイ
アナライト:Sigma(製品番号555784)からの一つのポリクローナル抗体およびヒトIgGに特異的な三つのモノクローナル抗体をアナライトとして使用し、ここで、BD Pharmingenが一つのクローン(19885)を供給し、そしてFitzgeraldが残りの二つのクローン(10−121および10−117)を供給した。モノクローナルは、図4a〜cの中で1561、1523および1560と呼ばれている。
【0098】
試薬
骨髄腫からのヒトモノクローナルIgG1λ(Sigma)を、抗原(hIgG)として使用した。
●hIgGをPPVについて上で記述したのと同様の方法でビオチンで標識した。ビオチン反応については、第一の工程は、保存緩衝液中のTrisが、ビオチン試薬と干渉する可能性があるので、緩衝液を交換することであった。Pall CorporationsからのNanosep 30Kフィルターをこの目的に使用した。Trisの除去後に、EZ−リンク−スルホ−NHS−LC−ビオチン(Pierce)を10mMに希釈して、12倍のモル過剰でhIgG溶液100μLに加えた。溶液を混合して、室温で1時間インキュベートした。280nmにおける吸光度を測定して、タンパク質濃度を3.45μMに決定した。ビオチン化hIgG=親和性反応物1;
●フルオロフォアの標識化をPPVについて上で記述された通りに行った。hIgGの出発量は100μgであった。標識化の程度を、280nmにおよび605nmにおける吸光度を測定することにより2.76μMの最終濃度を持つタンパク質1モル当り約7モルのALEXA(フルオロフォア)と決定した。フルオロフォアで標識したhIgG=親和性反応物2。
【0099】
試薬のタイトレーション
ビオチン化試薬(MgGおよびBSA)をタイトレーションを行い、異なるモノクローナル抗体をアナライトとして試験する前に、アッセイ系について最適の希釈を見出した。手順は、ビオチン化BSAと1:1の比率で混合されたビオチン化MgGの原液の種々の希釈を用いたが、PPVについてと本質的に同一の手順であった。カラムプロフィールと共に、信号およびブランクの間の応答比率は、最も望ましい組合せの最終選択のための根拠となった。ビオチン化MgGの1/100とビオチン化BSAの1/64の組合せが選ばれた。
【0100】
また、検出抗原(フルオロフォアで標識されたMgG)の希釈液を試験して、大きい信号対ノイズ比を得た。フルオロフォアで標識されたMgGを20、40および80の希釈係数で操作した。40の希釈係数が選択された。
全てのタイトレーション実験について、ポリクローナル抗体を対照アナライトとして使用した。
【0101】
異なる量のビオチン化抗原
三つのモノクローナルマウス抗−ヒトIgGを、1:1の比率で(下を参照)ビオチン化BSAと一緒にビオチン化MgG(BMgG)の組合せで試験した。
MgG 64BSAで
20MgG 64BSAで
100MgG 64BSAで
500MgG 16BSAで
ストレプトアビジンカラムのタンパク質による飽和を確実にするために、および非特異的相互作用を避けるために、V16BSAの希釈を最も希釈されたビオチン化IgGと共に用いた。モノクローナル抗−MgG抗体(アナライト)を、5000ng/mLから8ng/mLまでの範囲にある濃度で別々に操作して、五つのデータポイントで曲線を作成した。検出を、69nMのフルオロフォアで標識されたMgGで行った。
【0102】
Gyrolabビューアで研究されたカラムのプロフィールは、更に少ない抗原がカラムに加えられるときよりも捕捉試薬混合液の中に更に多くの抗原(MgG)があるときに更に高い応答レベルを示している。全ての三つの抗体のピークは、ビオチン化された抗原が更に少なく存在するときには崩れるように見え、より台形様のピークとなる傾向が同様にある。捕捉試薬混合液の中に更に少ない抗原を含むことにより、抗原に対して低い親和性を持つ抗体か消えていって、最終的にはブランクレベルに近づくであろうことが可能であるように実際見えた。この可能性は、アナライトとして用いられた三つのモノクローナル抗−IgG抗体について得られた標準曲線によりまた支持される。図4a〜cを参照されたい。
【0103】
使用されたアッセイプロトコル(Bioaffy 1C 2v)は、工程:
●当初必要とされる洗浄:粒子洗浄1、粒子洗浄回転1、粒子洗浄2、および粒子洗浄回転2
●捕捉試薬の添加:捕捉試薬回転、捕捉試薬洗浄1、捕捉試薬洗浄回転1、捕捉試薬洗浄2、捕捉試薬洗浄回転2
●アナライトの添加:アナライト回転、アナライト洗浄1、アナライト洗浄回転1、アナライト洗浄2、およびアナライト洗浄回転2
●CD配置1:バックグランドPMT1%を検出、バックグランドPMT5%を検出、バックグランドPMT25%を検出、スピンアウト、検出試薬添加、検出試薬回転、検出試薬洗浄1、検出試薬洗浄回転1、検出試薬洗浄2、検出試薬洗浄回転2、検出試薬洗浄3、検出試薬洗浄回転3、検出試薬洗浄4、検出試薬洗浄回転4
●CD配置2:PMT1%を検出、PMT5%を検出、PMT25%を検出
を含む。
【0104】
実施例3:ヘテロフィル抗体のアッセイ
このアッセイは、R−1530マウス抗−hTNFα抗体を捕捉抗体として、および他のマウス抗−hTNFα抗体を検出抗体として利用するサンドイッチhTNFαアッセイにより、数個の血清および血漿試料(クエン酸塩血漿、ヘパリン血漿、EDTA血漿)において、当該顕著な正のアッセイ応答が、思いがけなく見出されたことに基づいてデザインされた。
【0105】
微小流体装置および計器装備:実施例1および2についてと同一。
アッセイ手順:実施例1および2について概略されるように。
【0106】
試料:16人の血液提供者からの血清。血清を終夜冷蔵庫の中で解凍し、ボルテックス撹拌して、最後にEppendorf遠心器で+8℃において4000rpmで15分間遠心分離した。
【0107】
緩衝液
PBS−T:1.5mM PBS pH7.4,Tween[登録商標]0.05%、NaN 0.02%
PBS−BSA:1.5mM PBS pH7.4,NaN 0.02%、1%BSA
【0108】
試薬:
【表1】

1) 実施例2でhIgGについて概略されたようにビオチン化された
2) 実施例2でMgGについて概略されたようにAlexa 647で標識された
3) 微小流体装置の中に導入された溶液の濃度
【0109】
対照標準:
PBS−BSAの中で2.4〜1750pg/mLの範囲での組換えhTNFα。
【0110】
結果
顕著に高められたレベルの異好性の抗体を、数個の血清試料の中で測定することができた。原理的には、同一の相対的な変異をそれぞれの検出抗体についてならびに血液提供者の血清に対応するEDTA−、ヘパリン−およびクエン酸塩−血漿について得ることができた。
【0111】
本発明のある特定の革新的態様は、添付の請求項の中に更に詳しく規定されている。本発明およびその利点が詳細に記述されているけれども、添付の請求項により定義した本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更、置き換えならびに改変をその中でなし得ることが理解されるべきである。さらに、本明細書の範囲は、本明細書の中で記述される加工、機械、製造、物質の成分、手段、方法および工程の特定の実施態様に限定されることを意図しない。当業者が本発明の開示から容易に認識するように、現在存在する、または実質的に同一の機能を実施するもしくは本明細書の中で記述される対応する実施態様と実質的に同一の結果を達成する、後で開発される加工、機械、製造、物質の成分、手段、方法、もしくは工程を、本発明にしたがって利用し得る。したがって、添付の請求項は、それらの範囲の中にそのような加工、機械、製造、物質の成分、手段、方法、もしくは工程を含むことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】実験の部で用いられる微小流体装置の断面。断面は、マイクロチャネル構造のサブセットを含む。
【図2a】CDアッセイ間およびCDアッセイ内の測定範囲。図2a:ウサギα−PPVを同じ日に三回操作した。測定範囲は、4桁以上で、CD間およびCD内の両方は、良好な再現性を示している。x軸上の100の濃度は、125の希釈係数に相当する。
【図2b】CDアッセイ間およびCDアッセイ内の測定範囲。図2b:1.96〜6.08の範囲にあるCVのプロット化。
【図3a】再現性。プールされて逐次的に希釈された五匹のマウスからの四つの標準曲線。操作を同一の機器の上で四日繰り返した。お互いのトップに標準曲線を置くことにより良好な再現性を立証することができた。x軸上の100の濃度は、125の希釈係数に相当する。
【図3b】再現性。CVは、3.74〜6.15の範囲であり、変動は小さい。
【図4a】アナライトとして三つの異なる抗−hIgGモノクローナルについての標準曲線および固相の上の捕捉抗原(親和性反応物1)としてhIgGの種々の量/密度。検出抗原は、フルオロフォアで標識したhIgG(親和性反応物2)である。
【図4b】アナライトとして三つの異なる抗−hIgGモノクローナルについての標準曲線および固相の上の捕捉抗原(親和性反応物1)としてhIgGの種々の量/密度。検出抗原は、フルオロフォアで標識したhIgG(親和性反応物2)である。
【図4c】アナライトとして三つの異なる抗−hIgGモノクローナルについての標準曲線および固相の上の捕捉抗原(親和性反応物1)としてhIgGの種々の量/密度。検出抗原は、フルオロフォアで標識したhIgG(親和性反応物2)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナライトと、BSを提示して固相に固定化される親和性反応物1を含む親和性複合体の生成により、
a) アナライトを含有していると疑われる液体試料1の中に存在する、および
b) 少なくとも二つの同等な結合構造BSに同時に親和性結合する能力に関して少なくとも二価であるアナライトの決定方法であって、
(i) 微小流体装置のマイクロチャネル構造の形態で流路を提供し、当該構造が、その中に親和性反応物1が固定化された固相がある反応キャビティを含んでいる、
(ii) キャビティの上流の位置で試料1を提供して、試料1を流動条件下に親和性複合体の生成の形成用の反応キャビティを通って流動する、
(iii) 固相の中に形成される複合体の量を
a.結合構造BSを反応キャビティの上流の位置の中に含む、分析的に検出可能でかつ可溶性の親和性反応物2を含有する液体試料2を提供すること、
b.試料1が同一のキャビティを通過していた後でこの試料2をキャビティを通って流動すること、および
c.複合体の中に組み込まれた親和性反応物2の量を測定すること
により測定する:
工程を含んでいることを特徴とする、方法。
【請求項2】
アナライトが抗−BS抗体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗−BS抗体がBSに対する親和性の点で異なる抗−BS抗体の副集団を含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
抗−BS抗体が異なるモノクローナル抗−BS抗体の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
抗−BS抗体がポリクローナル抗−BS抗体である、即ち、異なる細胞から由来しているモノクローナル抗−BS抗体の混合物を含んでいる天然の抗−BS抗体調製物であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法であって、固相の中のBSの密度および量ならびに工程(ii)の間の流体速度を、抗体副集団のフラクションのみが固相のBSにより捕捉されるようにお互いに適合させたことを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、本方法の間で加工に耐える結合を形成するために、お互いに相互的に反応性である、反応性構造の固定ペアの使用により固相のBSが固相に結合していて、当該反応性構造(RSsp)の一方が工程(i)の前に固相の上に予め導入され、他方の反応性構造(RSari)が親和性反応物1の上に存在し、そして当該形成が工程(i)の前もしくは間の何れかで行われることを特徴とする、方法。
【請求項8】
当該固定ペアが固相に結合しているリガンドLを含んでいる固定親和性ペアであって、カウンターパートがBSに結合している固定結合要素Bであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(ii)で使用される固相がBSの固定化に利用されたことがない反応性RSsp構造から誘導された構造を含むことを特徴とする、請求項7〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
当該固相が多孔性床の形態であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、
a) 当該アナライトが抗体である、
b) 当該試料がBSを含んでいる抗原に暴露された後のもしくは暴露後と疑われる動物の体液から由来する、および
c) 当該暴露が起ったかどうか、または当該暴露により免疫応答の状態が当該動物の中に生じたかどうかを決定するために、当該方法を実施する
ことを特徴とする、方法。
【請求項12】
当該アナライトに関する疾患の診断に該方法が使用される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公表番号】特表2008−527372(P2008−527372A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551225(P2007−551225)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000071
【国際公開番号】WO2006/075965
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505358004)ユィロス・パテント・アクチボラグ (22)
【氏名又は名称原語表記】Gyros Patent AB